(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記探索手段は、前記新規出発地と前記新規目的地が特定された場合に、前記新規出発地から前記新規目的地に至る距離を算定し、当該算定した距離が所定距離以上である場合のみに、前記地図情報と前記ルート情報とに基づく前記新規ルートの探索を行う、
請求項1から4のいずれか一項に記載のルート探索システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るルート探索システム、ルート探索方法、及びルート探索プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(構成)
最初に、本実施の形態に係るルート探索システムの構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るルート探索システムを例示するブロック図である。
図1に示すように、ルート探索システム1は、新たに車両が走行するルートであって、その出発地(以下、新規出発地NSと称する)からその目的地(以下、新規目的地NGと称する)に至る新規ルートNRを探索するシステムであり、車両(図示省略)に搭載された車載装置10と、基地局(図示省略)等に設けられたルート探索サーバ20とを備えており、これらルート探索サーバ20と車載装置10とはネットワーク2を介して相互に通信可能に接続されている。ここで、
図1には、車載装置10を1台のみ示しているが、実際にはルート探索システム1は、複数の車両の各々に搭載された車載装置10と、これら複数の車載装置10に対して通信可能な共通のルート探索サーバ20を備えて構成されている。ただし、これら複数の車両の各々の車載装置10は、相互に同様に構成することができるため、以下では、1台の車両(以下、自車両と称する)に搭載された車載装置10について説明するものとし、他の車両(以下、他車両と称する)に搭載された車載装置10についてはその説明を省略する。なお、自車両と他車両を区別する必要がない場合には、これらを単に「車両」と総称する。なお、「車両」とは、四輪自動車等を含む概念である。
【0021】
(構成−車載装置)
次に、車載装置10の構成について説明する。この車載装置10は、自車両の各種の情報をルート探索サーバ20に出力すると共に、ルート探索サーバ20から出力された情報に基づく各種の制御を行う装置である。具体的には、
図1に示すように、車載装置10は、操作部11、通信部12、ディスプレイ13、スピーカ14、制御部15、及びデータ記録部16を備えている。なお、車載装置10は、例えば自車両に搭載された公知のナビゲーション装置等によって構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0022】
(構成−車載装置−操作部)
操作部11は、自車両のユーザによる操作入力を受け付ける操作手段である。この操作手段は、例えば、タッチパネル、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいはハードスイッチ等、公知の操作手段を用いて構成されている。
【0023】
(構成−車載装置−通信部)
通信部12は、ルート探索サーバ20との間でネットワーク2を介して通信するための通信手段であり、例えば、FM多重VICS(登録商標)、光VICS、DCM(Data Communication Module)、あるいは移動体無線通信網を用いて通信を行う公知の通信部として構成することができる。
【0024】
(構成−車載装置−ディスプレイ)
ディスプレイ13は、制御部15の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。このディスプレイ13は、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを用いて構成されている。
【0025】
(構成−車載装置−スピーカ)
スピーカ14は、制御部15の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ14より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0026】
(構成−車載装置−制御部)
制御部15は、車載装置10を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係るルート探索プログラムは、任意の記録媒体又はネットワーク2を介して車載装置10にインストールされることで、制御部15の各部を実質的に構成する(後述するルート探索サーバ20の制御部22についても同様とする)。
【0027】
また、
図1に示すように、制御部15は、機能概念的に、出発地及び目的地設定部15a、探索条件設定部15b、及び案内部15cを備えている。出発地及び目的地設定部15aは、操作部11によって自車両のユーザ等の入力が受け付けられることにより、新規出発地NS及び新規目的地NGを設定する出発地及び目的地設定手段である。ここで、「新規出発地NS及び新規目的地NGの設定」とは、例えば、新規出発地NS及び新規目的地NGの住所が操作部11を介して入力された場合に、後述するデータ記録部16の地
図DB16aに格納された地図情報を参照して、新規出発地NS及び新規目的地NGの位置(具体的には、緯度及び経度)が設定されることを意味する。探索条件設定部15bは、操作部11によって自車両のユーザ等の入力が受け付けられることにより、新規ルートNRの探索条件(以下、新規探索条件と称する)を設定する探索条件設定手段である。ここで、「探索条件」とは、ルートの探索において優先条件とした探索条件であり、例えば高速自動車国道(以下、高速道路と称する)を優先的に探索する高速優先探索、高速道路や有料道路を優先的に探索する有料道路優先探索、一般国道(以下、国道と称する)や都道府県道等を優先的に探索する一般道優先探索等を含む概念である。案内部15cは、通信部12を介してルート探索サーバ20から受信した新規ルートNRに関する情報を、出力手段としてのディスプレイ13又はスピーカ14を介して自車両のユーザに案内する案内手段である。
【0028】
(構成−車載装置−データ記録部)
データ記録部16は、車載装置10の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述するルート探索サーバ20のデータ記録部23についても同様とする)。
【0029】
また、このデータ記録部16は、地図データベース(以下、データベースを「DB」と称する)16aを備えている。地
図DB16aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。ここで、「地図情報」とは、道路、道路構造物、施設等を含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(ノード番号、座標)や、道路上に設定された各リンクに関するリンクデータ(リンクID、リンク名、接続ノード番号、道路座標、道路種別(例えば高速道路、有料道路、国道、都道府県道、市町村道等)、車線数、走行規制等)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、施設等)、地形データ等を含んで構成されている(後述するルート探索サーバ20の地
図DB23aについても同様とする)。
【0030】
(構成−ルート探索サーバ)
次に、ルート探索サーバ20の構成について説明する。このルート探索サーバ20は、新規出発地NSから新規目的地NGに至る新規ルートNRを探索する装置である。具体的には、
図1に示すように、ルート探索サーバ20は、通信部21、制御部22、及びデータ記録部23を備えている。
【0031】
(構成−ルート探索サーバ−通信部)
通信部21は、車載装置10との間でネットワーク2を介して通信を行う通信手段である。具体的には、通信部21は、車両の車載装置10から出力された各種の情報をネットワーク2を介して受信し、各種の情報をネットワーク2を介して車両の車載装置10に送信する。この通信部21としては、例えば、FM多重VICS、光VICS、DCM(Data Communication Module)、あるいは移動体無線通信網を用いて通信を行う公知の通信部として構成することができる。
【0032】
(構成−ルート探索サーバ−制御部)
制御部22は、ルート探索サーバ20を制御する制御手段であり、機能概念的に、情報取得部24と、探索部25とを備えている。
【0033】
情報取得部24は、新規ルートNRに関する情報を取得するための情報取得手段である。ここで、情報取得部24による新規ルートNRに関する情報の取得方法は任意であるが、例えば、情報取得部24は、必要に応じて通信部21を介して車両の車載装置10から取得し、データ記録部23に揮発的又は不揮発的に記録するようにしてもよい。この情報取得部24は、さらに、出発地及び目的地特定部24aと、探索条件特定部24bとを備えている。出発地及び目的地特定部24aは、車載装置10の出発地及び目的地設定部15aから通信部21介して受信した設定データに基づいて、新規出発地NS及び新規目的地NGを特定する出発地及び目的地特定手段である。探索条件特定部24bは、車載装置10の探索条件設定部15bから通信部21を介して受信した設定データに基づいて、新規探索条件を特定する探索条件特定手段である。
【0034】
探索部25は、新規出発地NSから新規目的地NGに至る新規ルートNRを探索する探索手段である。この探索部25は、さらに、過去ルート抽出部25aと、新規出発地側部分ルート探索部25bと、新規目的地側部分ルート探索部25cとを備えている。過去ルート抽出部25aは、後述するルート情報DB23bに格納されている過去ルートRの中から所定の過去ルートRを抽出する過去ルート抽出手段である。新規出発地側部分ルート探索部25bは、後述する新規出発地側部分ルートNSRを探索する新規出発地側部分ルート探索手段である。新規目的地側部分ルート探索部25cは、後述する新規目的地側部分ルートNGRを探索する新規目的地側部分ルート探索手段である。なお、これらの制御部22の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0035】
(構成−ルート探索サーバ−データ記録部)
データ記録部23は、ルート探索サーバ20の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、地
図DB23a、及びルート情報DB23bを備えている。
【0036】
地
図DB23aは、地図情報を格納している。ここで、この地図情報の構成については、地
図DB16aに格納されている地図情報の構成に加えて、地図上にあらかじめ設定された各区画部に関する区画部データ(区画部番号、区画部の境界座標等)を含んで構成されている。ここで、「区画部」とは、ディスプレイ13に表示される地図を所定方向(例えば南北方向等)に沿った複数の仮想的な境界線と、この境界線に対して直交する所定方向(例えば東西方向等)に沿った複数の仮想的な境界線とによって、所定の大きさの升目状に区画した領域であり、例えば、一辺の長さが実距離5kmに相当する地図上の長さ×他辺の長さが実距離7kmに相当する地図上の長さで区画した領域が該当する。
【0037】
ルート情報DB23bは、ルート情報及び探索条件情報を格納するルート情報格納手段である。ここで、「ルート情報」とは、過去に車両が走行したルートであって、その出発地(以下、過去出発地Sと称する)から目的地(以下、過去目的地Gと称する)に至る過去ルートRを特定する情報である。また、「探索条件情報」とは、過去ルートRの探索条件を特定する情報である。
図2は、ルート情報DB23bの構成例を示す図である。
図2に示すように、ルート情報DB23bは、項目「ルート番号」、項目「過去出発地位置」、項目「過去目的地位置」と、項目「リンクID」と、項目「探索条件」と、項目「日時」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。項目「ルート番号」に対応して格納される情報は、ルート情報のうち過去ルートRのルート番号を特定する情報である。項目「過去出発地位置」に対応して格納される情報は、ルート情報のうち過去出発地Sの位置を特定する情報であり、具体的には、過去出発地Sの座標であって、項目「緯度」に対応して格納される情報である過去出発地Sの緯度と、項目「経度」に対応して格納される情報である過去出発地Sの経度とを含んで構成されている。項目「過去目的地位置」に対応して格納される情報は、ルート情報のうち過去目的地Gの位置を特定する情報であり、具体的には、過去目的地Gの座標であって、項目「緯度」に対応して格納される情報である過去目的地Gの緯度と、項目「経度」に対応して格納される情報である過去目的地Gの経度とを含んで構成されている。項目「リンクID」に対応して格納される情報は、ルート情報のうち過去ルートRに含まれるリンクのリンクIDを特定する情報である。項目「探索条件」に対応して格納される情報は、探索条件情報である。項目「日時」に対応して格納される情報は、ルート情報がルート情報DB23bに記録された日時を特定する情報である。
【0038】
(構成−ネットワーク)
図1において、ネットワーク2は、複数の車両の各々に搭載された車載装置10と、共通のルート探索サーバ20とを、相互に通信可能とする通信網であり、例えば、公知の移動体通信網を用いて構成される。
【0039】
(処理)
次に、このように構成されるルート探索サーバ20によって実行されるルート探索処理について説明する。
図3は、本実施の形態に係るルート探索処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。
図4は、ルート探索処理の処理対象とする新規出発地NS及び新規目的地NGを含む地図を例示した図である。ここで、
図4において、複数の区画部(
図4に示す区画部A〜区画部O等)を区切るための境界線を細線で示し(なお、区画部番号を左上に示す)、新規ルートNRを太線で示し、過去ルートRを新規ルートNRとは異なる太線で示し、後述する新規候補ルートNCR2を点線で示している。このルート探索処理は、新規出発地NSから新規目的地NGに至る新規ルートNRを探索する処理であり、例えば、車載装置10及びルート探索サーバ20に電源が投入された後に起動される。
【0040】
ルート探索処理が起動されると、
図3に示すように、出発地及び目的地特定部24aが、車両の車載装置10から受信した出発地及び目的地設定部15aの設定データに基づいて、新規出発地NS及び新規目的地NGを特定し、且つ、探索条件特定部24bが、車両の車載装置10の探索条件設定部15bから通信部21を介して受信した設定データに基づいて、新規探索条件を特定するまで、制御部22は待機する(SA1、No)。
【0041】
ここで、新規出発地NS及び新規目的地NGが特定され、且つ新規探索条件が特定された場合(SA1、Yes)、ルート情報DB23bに格納されたルート情報を利用して探索するのか否か、すなわち過去ルートRを利用して探索するのか否かを決定するために、制御部22はSA2、SA3の処理を行なう。
【0042】
まず、探索部25は、SA1にて特定された新規出発地NS及び新規目的地NGに基づいて、新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離を算定する(SA2)。具体的には、探索部25は、SA1にて特定された新規出発地NSから新規目的地NGまでの最短距離を算定する。例えば、
図4に示すように、新規出発地NS=自宅、新規目的地NG=会社が特定された場合において、新規出発地NSの位置=緯度:35.702、経度:139.560、新規目的地NGの位置=緯度:35.691、経度:139.735であった場合に、新規出発地NSと新規目的地NGとの最短距離=赤道半径×cos
−1(sin(新規出発地NSの緯度)×sin(新規目的地NGの緯度)+cos(新規出発地NSの経度)×cos(新規目的地NGの経度)×cos((新規目的地NGの緯度)−(新規出発地NSの緯度)))=6378.137km×cos
−1(sin(35.702)×sin(35.691)+cos(139.560)×cos(139.735)×cos((35.691)−(35.702))=15.8kmが算定される。
【0043】
図3に戻り、探索部25は、SA2にて算定された新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離が所定距離以上であるか否かを判定する(SA3)。ここで、「所定距離」は、任意に設定することができるが、例えば、ダイクストラ法の如き公知のルート探索方法を用いた新規ルートNRの探索における処理負荷と、過去ルートを利用した新規ルートNRの探索における処理負荷とを比較した場合に、前者の方が後者よりも多大となる可能性が高いような、新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離の中の最短距離(例えば、10km以上)に設定されている。例えば、
図4に示すように、新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離=15.8kmであった場合、新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離が所定距離以上であったと判定される。
【0044】
図3に戻り、新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離が所定距離以内であった場合(SA3、No)は、探索部25は、SA1にて特定された新規出発地NS及び新規目的地NGと、地
図DB23aに格納された地図情報とに基づいて、公知のルート探索方法を用いて新規ルートNRを探索する(SA11)。つまり、過去ルートRを利用しない新規ルートNRの探索を行なう。このような探索では、公知のルート探索方法で新規ルートNRの探索を行なうことになるが、新規ルートNRの探索範囲が狭いため処理負荷が比較的小さくてすみ、また、過去ルートRを利用して新規ルートNRの探索を行なった場合に比べて、探索精度が低下したり、処理負荷が却って多大になるといった問題が生じることを防止することできる。その後、制御部22は、ルート探索処理を終了する。
【0045】
一方、新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離が所定距離以上であった場合(SA3、Yes)は、制御部22は、過去ルート抽出処理(SA4)、新規出発地側部分ルート探索処理(SA5)、新規目的地側部分ルート探索処理(SA6)を順次起動する。つまり、過去ルートRを利用して新規ルートNRを探索する。
【0046】
(処理−過去ルート抽出処理)
まず、過去ルート抽出処理(SA4)について説明する。
図5は、過去ルート抽出処理のフローチャートである。過去ルート抽出処理は、ルート情報DB23bに格納されている過去ルートRの中から所定の過去ルートRを抽出する処理である。
【0047】
過去ルート抽出処理が起動されると、過去ルート抽出部25aは、SA1にて特定された新規出発地NSと、地
図DB23aに格納された地図情報とに基づいて、新規出発地NSを含む所定範囲エリアである出発地エリアSAを特定する(SB1)。具体的には、過去ルート抽出部25aは、地
図DB23aに格納された地図情報を参照して、地図上における複数の区画部の中から、新規出発地NSを含む区画部を特定し、当該特定した区画部を出発地エリアSAとして特定する。例えば、
図4に示すように、新規出発地NSの位置=緯度:35.702、経度:139.560であった場合に、区画部A〜区画部Oのうち、新規出発地NSを含む区画部Gが特定される。
【0048】
図5に戻り、過去ルート抽出部25aは、SA1にて特定された新規目的地NGと、地
図DB23aに格納された地図情報とに基づいて、新規目的地NGを含む所定範囲エリアである目的地エリアGAを特定する(SB2)。具体的には、過去ルート抽出部25aは、地
図DB23aに格納された地図情報を参照して、地図上における複数の区画部の中から、新規目的地NGを含む区画部を特定し、当該特定した区画部を目的地エリアGAとして特定する。例えば、
図4に示すように、新規目的地NGの位置=緯度:35.691、経度:139.735であった場合に、区画部A〜区画部Oのうち、新規目的地NGを含む区画部Iが特定される。
【0049】
図5に戻り、過去ルート抽出部25aは、SB2にて特定された目的地エリアGAと、地
図DB23aに格納された地図情報と、ルート情報DB23bに格納されたルート情報とに基づいて、過去ルートRの中から、目的地エリアGAを少なくとも一部が通過する過去ルートRを抽出する(SB3)。具体的には、過去ルート抽出部25aは、地
図DB23aに格納された地図情報を参照して、目的地エリアGA内に存在するリンクIDを特定する。そして、過去ルート抽出部25aは、ルート情報DB23bに格納されたルート情報を参照して、上記特定したリンクIDの少なくとも一部を含むルート情報に対応する過去ルートRを抽出する。
【0050】
ここで、ルート情報DB23bから抽出されるルート情報については任意であるが、例えば、鮮度の高いルート情報を抽出することにより、探索時の状況に応じた新規ルートNRを探索することが可能となるように、新規ルートNRを探索する時点から所定時間(例えば1時間等)だけ直近に探索された過去ルートRに対応するルート情報のみが抽出されてもよい。具体的には、
図2、
図4に示すように、目的地エリアGA=区画部Iであった場合に、区画部I内に存在するリンクID=LI1、・・・、LI10、LI11、・・・、LI20、LI21、・・・、LI25、・・・、LI100が特定される。そして、ルート情報DB23bに格納されたルート情報であって、ルート探索処理開始時(例えば、平成25年3月15日AM10:30等)から直近1時間のルート情報のうち、過去ルートR1に対応するルート情報が、上記特定されたリンクID=LI1、・・・、LI10を含み、過去ルートR2に対応するルート情報が、上記特定されたリンクID=LI11、・・・、LI20を含み、過去ルートR3に対応するルート情報が、上記特定されたリンクID=LI21、・・・、LI25を含む場合には、これら過去ルートR1〜R3が抽出される。
【0051】
図5に戻り、過去ルート抽出部25aは、SB1にて特定された出発地エリアSAと、SB3にて抽出された過去ルートRと、地
図DB23aに格納された地図情報と、ルート情報DB23bに格納されたルート情報とに基づいて、SB3にて抽出された過去ルートRの中から、出発地エリアSAを少なくとも一部通過する過去ルートRを抽出する(SB4)。具体的には、過去ルート抽出部25aは、地
図DB23aに格納された地図情報を参照して、出発地エリアSA内に存在するリンクIDを特定する。そして、過去ルート抽出部25aは、ルート情報DB23bに格納されたルート情報を参照して、SB3にて抽出された過去ルートRの中から、上記特定したリンクIDの少なくとも一部を含むルート情報に対応する過去ルートRを抽出する。例えば、
図2、
図4に示すように、出発地エリアSA=区画部Gであった場合に、区画部G内に存在するリンクID=LG1、・・・、LG10、LG11、・・・、LG20、・・・、LG70が特定される。そして、出発地エリアSAを通過する過去ルートR=過去ルートR1〜過去ルートR3であった場合に、過去ルートR1に対応するルート情報が、上記特定されたリンクID=LG1、・・・、LG10を含み、過去ルートR2に対応するルート情報が、上記特定されたリンクID=LG11、・・・、LG20を含む場合には、過去ルートR1、R2が抽出される。
【0052】
図5に戻り、SB3、SB4にて抽出された過去ルートRの中から、さらに所望条件(例えば、車両のユーザのニーズ等)に合致した過去ルートRを抽出するために、制御部22はSB5〜SB7の処理を行なう。
【0053】
まず、過去ルート抽出部25aは、SA1にて特定された新規探索条件と、SB4にて抽出された過去ルートRに対応するルート情報とに基づいて、新規探索条件と過去ルートRの探索条件とが合致するか否かを判定する(SB5)。例えば、
図2、
図4に示すように、新規探索条件=高速優先探索、出発地エリアSA及び目的地エリアGAを通過する過去ルートR1、R2の探索条件=高速優先探索であった場合に、新規探索条件と過去ルートR1、R2の探索条件とが合致すると判定される。
【0054】
ここで、新規探索条件と過去ルートRの探索条件とが合致しないと判定された場合(SB5、No)、制御部22は、SB6、SB7の処理を行うことなく、ルート判定処理を終了する。この場合において、SB4にて抽出された過去ルートRが、以降の処理にて用いられる過去ルートRとして取り扱われる。
【0055】
一方、新規探索条件と過去ルートRの探索条件とが合致すると判定された場合(SB5、Yes)、過去ルート抽出部25aは、地
図DB23aに格納された地図情報と、ルート情報DB23bに格納されたルート情報とに基づいて、SB5にて新規探索条件と合致すると判定された過去ルートRの後述する出口地点CSから後述する入口地点CGの間のルート(以下、過去部分ルートRSGと称する)上における複数のリンクの少なくとも一部が、道路種別が高速道路であるリンクで構成されているか否かを判定する(SB6)。具体的には、過去ルート抽出部25aは、後述するSC1及びSD1と同様に、後述する出口地点CS及び後述する入口地点CGを特定し、当該特定した後述する出口地点CS及び後述する入口地点CGに基づいて、過去ルートRにおける後述する出口地点CSから後述する入口地点CGの間の部分を、過去部分ルートRSGとして特定する。次いで、過去ルート抽出部25aは、地
図DB23aに格納された地図情報におけるリンクデータの道路種別を参照して、過去部分ルートRSGにおける複数のリンクの道路種別に高速道路が含まれているか否かを判定する。そして、過去ルート抽出部25aは、高速道路が含まれている場合に、道路種別が高速道路であるリンクで構成されていると判定するが、高速道路が含まれていなかった場合に、道路種別が高速道路であるリンクで構成されていないと判定する。
【0056】
ここで、過去部分ルートRSG上の複数のリンクの少なくとも一部が、道路種別が高速道路であるリンクで構成されていないと判定された場合(SB6、No)、過去ルート抽出部25aは、SB5にて新規探索条件と探索条件が合致すると判定された過去ルートRを抽出して、SB7の処理を行うことなく、ルート判定処理を終了する。この場合において、この処理にて抽出された過去ルートRが、以降の処理にて用いられる過去ルートRとして取り扱われる。
【0057】
一方、過去部分ルートRSG上の複数のリンクの少なくとも一部が、道路種別が高速道路であるリンクで構成されたと判定された場合(SB6、Yes)、過去ルート抽出部25aは、SB6の判定結果に基づいて、過去ルートRの探索条件がマッチングし、且つ、道路種別が高速道路であるリンクで構成された過去ルートRを抽出する(SB7)。例えば、
図2、
図4に示すように、出発地エリアSA及び目的地エリアGAを通過する過去ルートR1、R2であった場合に、過去ルートR1に対応するルート情報に含まれるリンクID=LF1〜LI5の道路種別が高速道路であり、過去ルートR2に対応するルート情報に含まれるリンクID=LH7〜LI18の道路種別が高速道路であった場合には、過去ルートR1、R2が抽出される。これにて、過去ルート抽出処理は終了し、
図3に示すSA4に戻る。
【0058】
(処理−新規出発地側部分ルート探索処理)
次に、
図3に示す新規出発地側部分ルート探索処理(SA5)について説明する。
図6は、新規出発地側部分ルート探索処理のフローチャートである。新規出発地側部分ルート探索処理は、後述する新規出発地側部分ルートNSRを探索する処理である。なお、過去ルート抽出処理にて複数の過去ルートRが抽出された場合には、各過去ルートRを対象とする後述する新規出発地側部分ルートNSRが探索されるものとする。
【0059】
新規出発地側部分ルート探索処理が起動されると、
図6に示すように、新規出発地側部分ルート探索部25bは、SA4にて抽出された過去ルートRと、SB1にて特定された出発地エリアSAと、地
図DB23aに格納された地図情報と、ルート情報DB23bに格納されたルート情報とに基づいて、過去ルートRが出発地エリアSAの境界と交差する地点であって当該過去ルートRにおける過去目的地G側の地点(以下、出口地点CSと称する)を特定する(SC1)。具体的には、新規出発地側部分ルート探索部25bは、地
図DB23aに格納された地図情報及びルート情報DB23bに格納されたルート情報を参照して、過去ルートRに含まれるリンクのうち出発地エリアSAの境界線と交差するリンクであり、且つ過去ルートRにおける過去目的地G側のリンクを特定する。そして、新規出発地側部分ルート探索部25bは、地
図DB23aに格納された地図情報を参照して、上記特定されたリンクに対応する道路座標のうち出発地エリアSAの境界線と交差する座標を、出口地点CSとして特定する。例えば、
図4に示すように、出発地エリアSA=区画部G、過去ルート抽出処理にて抽出された過去ルートR=過去ルートR1、R2であった場合に、過去ルートR1に対応する出口地点CS1は、区画部Gにおける境界線と過去ルートR1とが交差するリンクであり、且つ過去ルートR1における過去目的地G1側のリンク=LG10が特定され、この特定されたリンク=LG10に対応する道路座標のうち区画部Gの境界線と交差する座標=緯度:35.681、経度:139.627として特定される。また、過去ルートR2に対応する出口地点CS2は、区画部Gにおける境界線と過去ルートR2とが交差するリンクであり、且つ過去ルートR2における過去目的地G2側のリンク=LG20が特定され、この特定されたリンク=LG20に対応する道路座標のうち区画部Gの境界線と交差する座標=緯度:35.668、経度:139.623として特定される。
【0060】
図6に戻り、新規出発地側部分ルート探索部25bは、地
図DB23aに格納された地図情報に基づいて、公知のルート探索方法を用いて、SA1にて特定された新規出発地NSからSC1にて特定された出口地点CSに至るルートである新規出発地側部分ルートNSRを探索する(SC2)。例えば、
図4に示すように、新規出発地NS=自宅、出発地エリアSAの出口地点CS=出口地点CS1、CS2であった場合に、新規出発地NSから出口地点CS1に至る新規出発地側部分ルートNSR1と、新規出発地NSから出口地点CS2に至る新規出発地側部分ルートNSR2とが特定される。これにて、新規出発地側部分ルート探索処理は終了し、
図3に示すSA5に戻る。
【0061】
(処理−新規目的地側部分ルート探索処理)
次に、
図3に示す新規目的地側部分ルート探索処理について説明する(SA6)。
図7は、新規目的地側部分ルート探索処理のフローチャートである。新規目的地側部分ルート探索処理は、後述する新規目的地側部分ルートNGRを探索する処理である。なお、過去ルート抽出処理にて複数の過去ルートRが抽出された場合には、各過去ルートRを対象とする後述する新規目的地側部分ルートNGRが探索されるものとする。
【0062】
新規目的地側部分ルート探索処理が起動されると、
図7に示すように、新規目的地側部分ルート探索部25cは、SA4にて抽出された過去ルートRと、SB2にて特定された目的地エリアGAと、地
図DB23aに格納された地図情報と、ルート情報DB23bに格納されたルート情報とに基づいて、過去ルートRが目的地エリアGAの境界と交差する地点であって当該過去ルートRにおける過去出発地S側の地点(以下、入口地点CGと称する)を特定する(SD1)。具体的には、新規目的地側部分ルート探索部25cは、地
図DB23aに格納された地図情報及びルート情報DB23bに格納されたルート情報を参照して、過去ルートRに含まれるリンクのうち目的地エリアGAの境界線と交差するリンクであり、且つ過去ルートRにおける過去出発地S側のリンクを特定する。そして、新規目的地側部分ルート探索部25cは、地
図DB23aに格納された地図情報を参照して、上記特定されたリンクに対応する道路座標のうち目的地エリアGAの境界線と交差する座標を、入口地点CGとして特定する。例えば、
図4に示すように、目的地エリアGA=区画部I、過去ルート抽出処理にて抽出された過去ルートR=過去ルートR1、R2であった場合に、過去ルートR1に対応する入口地点CG1は、区画部Iにおける境界線と過去ルートR1とが交差するリンクであり、且つ過去ルートR1における過去出発地S1側のリンク=LI1が特定され、この特定されたリンク=LI1に対応する道路座標のうち区画部Iの境界線と交差する座標=緯度:35.669、経度:139.704として特定される。また、過去ルートR2に対応する入口地点CG2は、区画部Iにおける境界線と過去ルートR2とが交差するリンクであり、且つ過去ルートR2における過去出発地S2側のリンク=LI11が特定され、この特定されたリンク=LI11に対応する道路座標のうち区画部Iの境界線と交差する座標=緯度:35.658、経度:139.701として特定される。
【0063】
図7に戻り、新規目的地側部分ルート探索部25cは、地
図DB23aに格納された地図情報に基づいて、公知のルート探索方法を用いて、SD1にて特定された入口地点CGからSA1にて特定された新規目的地NGに至るルートである新規目的地側部分ルートNGRを探索する(SD2)。例えば、
図4に示すように、新規目的地NG=会社、目的地エリアGAの入口地点CG=入口地点CG1、CG2であった場合に、入口地点CG1から新規目的地NGに至る新規目的地側部分ルートNGR1と、入口地点CG2から新規目的地NGに至る新規目的地側部分ルートNGR2とが特定される。これにて、新規目的地側部分ルート探索処理は終了し、
図3に示すSA6に戻る。
【0064】
図3に戻り、探索部25は、SA4にて抽出された過去ルートRと、SA5にて探索された新規出発地側部分ルートNSRと、SA6にて探索された新規目的地側部分ルートNGRと、SB5にて特定された過去部分ルートRSGと、地
図DB23aに格納された地図情報とに基づいて、新規出発地側部分ルートNSR、過去部分ルートRSG、及び新規目的地側部分ルートNGRを順次経るルートである新規候補ルートNCRを生成する(SA7)。具体的には、探索部25は、地
図DB23aに格納された地図情報を参照して、新規目的地側部分ルートNGR、当該新規目的地側部分ルートNGRの出口地点CSと対応する過去部分ルートRSG、及び当該過去部分ルートRSGの入口地点CGと対応する新規目的地側部分ルートNGRを順次経る新規候補ルートNCRを生成する。例えば、
図4に示すように、過去ルート抽出処理にて抽出された過去ルートR=過去ルートR1、R2、新規出発地側部分ルート探索処理で探索された新規出発地側部分ルートNSR=新規出発地側部分ルートNSR1、NSR2、新規目的地側部分ルート探索処理で探索された新規目的地側部分ルートNGR=新規目的地側部分ルートNGR1、NGR2であった場合に、新規候補ルートNCR1は、新規出発地側部分ルートNSR1、過去ルートR1における出口地点CS1から入口地点CG1に至る部分(つまり過去部分ルートRSG1)、及び新規目的地側部分ルートNGR1を経るルートとして生成される。また、新規候補ルートNCR2は、新規出発地側部分ルートNSR2、過去ルートR2における出口地点CS2から入口地点CG2に至る部分(つまり過去部分ルートRSG2)、及び新規目的地側部分ルートNGR2を経るルートとして生成される。
【0065】
図3に戻り、SA7にて生成された新規候補ルートNCRから新規ルートNRを特定するために、制御部22はSA8〜SA10の処理を行なう。
【0066】
まず、探索部25は、SA7にて生成された新規候補ルートNCRが複数あるか否かを判定する(SA8)。例えば、
図4に示すように、新規候補ルートNCR=新規候補ルートNCR1、NCR2であった場合に、新規候補ルートNCRが複数あると判定される。
【0067】
図3に戻り、新規候補ルートNCRが複数ないと判定された場合(SA8、No)、探索部25は、新規候補ルートNCRを新規ルートNRとして特定する。そして、制御部22は、SA9、SA10の処理を行なうことなく、ルート探索処理を終了する。
【0068】
一方、新規候補ルートNCRが複数あると判定された場合(SA8、Yes)、探索部25は、SA7にて生成された新規候補ルートNCRと、地
図DB23aに格納された地図情報と、ルート情報DB23bに格納されたルート情報とに基づいて、公知のコスト算定方法を用いて、各新規候補ルートNCRのコストを算定する(SA9)。ここで、この新規候補ルートNCRのコストの算定については、例えば、新規候補ルートNCR上の各リンクの情報を地
図DB23aから取得し、新規候補ルートNCR毎に各リンクのコストを積算することにより、新規候補ルートNCRのコストを算定する。この場合において、各リンクのコストは、リンクの長さに加えて、例えば道路種別、車線数、交差点数、又は渋滞の発生頻度等によるコストの増減等を考慮して算定される。
【0069】
そして、探索部25は、SA9にて算定された各新規候補ルートNCRのコストの中から、最小のコストの新規候補ルートNCRを、新規ルートNRとして特定する(SA10)。例えば、
図4に示すように、新規候補ルートNCR=新規候補ルートNCR1、NCR2であった場合に、新規候補ルートNCR1のコストが新規候補ルートNCR2よりも小さかった場合には、新規候補ルートNCR1が、新規ルートNRとして特定される。このような探索では、過去ルートRを利用して新規ルートNRを探索するので、公知のルート探索方法で探索した場合に比べて、処理負荷を低減することができる。これにて、ルート探索を終了する。
【0070】
このように探索された新規ルートNRは、所定の車両の車載装置10にネットワーク2を介して送信される。そして、この新規ルートNRが受信された車載装置10の案内部15cは、当該新規ルートNRの案内を開始する。具体的には、所定の車載装置10の案内部15cは、自車両の現在位置の周辺の地図情報(データ記録部16の地
図DB16aから取得する)に対して、自車両の現在位置を表す位置アイコンや新規ルートNR等を重畳させて、ディスプレイ13に表示することによって、自車両の新規ルートNRの案内を行う(あるいは、新規ルートNRをスピーカ14を介して音声で案内してもよい)。なお、車載装置10のこのような新規ルートNRの案内については公知であるため、その詳細な説明を省略する。
【0071】
(効果)
このように本実施の形態によれば、探索部25は、新規出発地NSと新規目的地NGが特定された場合に、過去ルートRの中から、出発地エリアSAを少なくとも一部が通過し、かつ、目的地エリアGAを少なくとも一部が通過する過去ルートRを抽出し、抽出した過去ルートRの各々を対象として、探索した新規出発地側部分ルートNSR、抽出した過去ルートRにおける出口地点CSから入口地点CGの間のルートである過去部分ルートRSG、及び探索した新規目的地側部分ルートNGR、を順次経る新規候補ルートNCRのコストを算定し、算定したコストが最小となる新規候補ルートNCRを、新規出発地NSから新規目的地NGに至る新規ルートNRとして探索するので、過去ルートRが出発地エリアSAの少なくとも一部及び目的地エリアGAの少なくとも一部を通過していれば、過去ルートRを利用して新規ルートNRの探索を行うことができ、新規ルートNRの新規出発地NS又は新規目的地NGが過去ルートRの過去出発地S又は過去目的地Gと完全に一致した場合にのみ過去ルートRを利用して新規ルートNRの探索を行う場合に比べて、過去ルートRを確実に利用することができ、新規ルートの探索に要する処理負荷を一層確実に低減することが可能となる。
【0072】
また、探索部25は、新規ルートNRを探索する時点から所定時間だけ直近に探索された過去ルートRのルート情報のみに基づいて、新規ルートNRを探索するので、探索時の状況に応じた新規ルートNRの探索が可能となる。例えば、渋滞等の交通障害が現時点で一時的に発生している場合において、比較的古い過去ルートRは、この交通障害を回避できるルートではない可能性が高いが、比較的新しい過去ルートRは、この交通障害を回避できるルートである可能性が高いので、このような比較的新しい過去ルートRを利用することにより、新規ルートNRを一層好適に探索することができる。
【0073】
また、探索部25は、新規ルートNRの探索条件が特定された場合に、ルート情報DB23bにて格納された探索条件情報に基づいて、当該特定された探索条件と同じ探索条件によって探索された過去ルートRを抽出し、当該抽出した過去ルートRの各々を対象として、新規ルートNRを探索するので、例えば、ユーザが特定の探索条件で新規ルートNRを探索したい場合には、この特定の探索条件に合致した過去ルートRを抽出して利用することができ、ユーザのニーズに応じた新規ルートNRを探索することができる。
【0074】
また、探索部25は、地
図DB23a又はルート情報DB23bにて格納された道路種別情報に基づいて、道路種別が高速道路である道路によって少なくとも過去部分ルートRSGが構成されている過去ルートRを抽出し、当該抽出した過去ルートRの各々を対象として、新規ルートNRを探索するので、例えば、新規出発地NSから新規目的地NGまでの距離が比較的長い場合であっても、高速道路で構成された過去ルートRを利用することにより、高速道路以外の道路で構成された過去ルートRを利用する場合に比べて、走行時間が短く燃費に優れた新規ルートNRを探索することができる。
【0075】
また、探索部25は、新規出発地NSと新規目的地NGが特定された場合に、新規出発地NSから新規目的地NGに至る距離を算定し、当該算定した距離が所定距離以上である場合のみに、地図情報とルート情報とに基づく新規ルートNRの探索を行うので、新規ルートNRの探索に要する処理負荷が大きくなる場合にのみ過去ルートRを用いた新規ルートNRの探索を行うことで、この処理負荷が小さい場合にまで過去ルートRを利用した新規ルートNRの探索を行なうことによって、探索精度が低下したり、処理負荷が却って多大になるといった問題が生じることを防止することができる。
【0076】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0077】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。探索手段が、最小のコストである新規候補ルートNCRを新規ルートNRとして従来より正確に探索できない場合であっても、このような探索を従来とは異なる技術により達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0078】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、ルート探索システム1の構成要素の一部又は全部を、車両の車載装置10に組み込んでも良い。
【0079】
(車両について)
上記実施の形態では、車両は、四輪自動車等を含む概念であると説明したが、例えば、これに加えて二輪自動車や自転車等を含む概念であってもよい。この場合において、過去ルート抽出処理では、ルート情報DB23bにて格納されたルート情報に対応する過去ルートのうち、車種に応じた過去ルートRのみを対象として、当該処理が行なわれてもよい。具体的には、車種が四輪自動車、及び排気量125cc以上の二輪自動車である場合には、すべての過去ルートを対象として、当該処理が行なわれるが、車種が排気量125cc未満の二輪自動車(例えばスクータ等)や自転車である場合に、高速道路を除く過去ルートRを対象として、当該処理が行なうようにしてもよい。このように、車両の種類と、利用可能な過去ルートの種類(道路種別や探索条件等)を予め対応付けてデータ記録部16、23に記録しておき、本システムが利用される車両の種類が決定された場合に、この車両の種類に応じた過去ルートの種類をデータ記録部16、23から取得し、当該取得した過去ルートの種類に合致する過去ルートのみを用いて、新規ルートNRを探索するようにしてもよい。
【0080】
(道路種別を特定する情報について)
上記実施の形態では、リンクの道路種別を特定する情報は、地
図DB23aに格納されていると説明したが、これに限られず、例えば、ルート情報DB23bに格納されてもよい。なお、このリンクの道路種別を特定する情報は、特許請求の範囲における「道路種別情報」に対応する。
【0081】
(区画部の大きさについて)
上記実施の形態では、区画部の大きさは、あらかじめ設定されていると説明したが、これに限られない。例えば、処理負荷を一層低減し、且つ、さらに高精度に探索できるように、新規出発地NSと新規目的地NGとの距離の長さに応じて区画部の大きさが変更されてもよい。具体的には、地
図DB23aには、大きさの異なる区画部が複数格納されている(例えば、上述した大きさの区画部(以下、中区画部と称する)に加えて、さらに、一辺の長さが実距離2kmに相当する地図上の長さ×他辺の長さが実距離2kmに相当する地図上の長さで区画したもの(以下、小区画部と称する)、一辺の長さが実距離10kmに相当する地図上の長さ×他辺の長さが実距離20kmに相当する地図上の長さで区画したもの(以下、大区画部と称する)等)。そして、新規出発地NSと新規目的地NGとの距離の長さが所定距離範囲(例えば、15km〜50kmの範囲等)を下回る場合に小区画部が用いられ、当該距離が所定距離範囲以内の場合に中区画部が用いられ、又は当該距離が所定距離範囲を上回る場合に大区画部が用いられるように、制御部22が、当該距離の長さに応じて区画部の大きさを変更する。
【0082】
(ルート探索処理について)
上記実施の形態では、SA2、SA3、SA11の処理が行なわれると説明したが、例えば、SA2、SA3、SA11の処理を全て省略してもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、SA5の処理後に、SA6の処理が行われると説明したが、例えば、SA6の処理後に、SA5の処理が行われてもよい。
【0084】
(過去ルート抽出処理について)
上記実施の形態では、SB1において、過去ルート抽出部25aは、新規出発地NSを含む所定範囲エリアである1つの区画部を、出発地エリアSAとして特定すると説明したが、これに限られない。例えば、出発地エリアSAで過去ルートRが抽出することができない場合であっても、過去ルートRを利用して新規ルートNRを探索することが可能となるように、過去ルート抽出部25aは、新規出発地NSを含む1つの区画部と、これに隣接する少なくとも一つの区画部とを併せたものを、出発地エリアSAとして特定してもよい(なお、SB2の目的地エリアGAの特定についても同様とする)。
【0085】
また、上記実施の形態では、SB5〜SB7の処理が行なわれると説明したが、これに限られない。例えば、SB5、SB6の一部の処理を省略してもよい。あるいは、SB5〜SB7の処理を全て省略してもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、SB3の処理後に、SB4の処理が行われると説明したが、例えば、SB4の処理後に、SB3の処理が行われてもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、SB6において、過去ルート抽出部25aは、少なくとも一部のリンクの道路種別が高速道路である過去ルートRを用いて、過去部分ルートRSGを特定する例について説明したが、全てのリンクの道路種別が高速道路である過去ルートRを用いて、過去部分ルートRSGを特定するようにしてもよい。