特許第5928479号(P5928479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928479
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】有機トリオールボレート塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/04 20060101AFI20160519BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160519BHJP
【FI】
   C07F5/04 CCSP
   !C07B61/00 300
【請求項の数】6
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-547009(P2013-547009)
(86)(22)【出願日】2012年5月21日
(86)【国際出願番号】JP2012062906
(87)【国際公開番号】WO2013080583
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】特願2011-264180(P2011-264180)
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 発行者名:The Chemical Society of Japan 刊行物名:Chem.Lett.2011,40,702−704 “Direct Conversion of Pinacol Arylboronic Esters to Aryl Triolborates” 発行年月日:平成23年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】和光純薬工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖典
【審査官】 井上 千弥子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/093637(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/081174(WO,A1)
【文献】 特開2012−254970(JP,A)
【文献】 Australian Journal of Chemistry,2011年,64(11),pp. 1447-1453
【文献】 Synlett,2011年,12,pp. 1769-1773
【文献】 Chemistry - An Asian Journal ,2011年,6(3),pp. 932-937
【文献】 Synlett,2009年,6,pp. 994-998
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/04
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]で示される化合物と
(式中、Rは、無置換若しくは下記(1)〜(10)の置換基を少なくとも1つ有する1〜4環のアリール基、或いは、無置換若しくは下記(1)〜(10)の置換基を少なくとも1つ有する1〜2環の芳香族性複素環基を表し:
(1)下記一般式[4]で示されるフェニル基
(式中、R7は、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、又は、炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、kは0〜5の整数を表す。)、(2)ハロゲン原子、(3)アミノ基、(4)炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、(5)炭素数1〜6のアルコキシ基、(6)炭素数1〜6のアルキル基、(7)炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、(8)炭素数1〜6のアミノアルキル基、(9)炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、(10)炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;
nは0又は1を表し、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基を表すが、nが0の場合、R1は、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシカルボニル基を表す。)
下記一般式[2]で示される化合物とを、
(式中、R8は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
水及びアルカリ金属水酸化物(MOH)の存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする、
下記一般式[3]で示される有機トリオールボレート塩の製造方法。
(式中、R及びR8は上記と同じ。Mは、アルカリ金属を表す。)
【請求項2】
水を、一般式[1]で示される化合物の0.5〜5当量用いる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アルカリ金属水酸化物を、一般式[1]で示される化合物の0.5〜2当量用いる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
反応を10〜90℃で行う、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
有機溶媒が、エーテル又はアルコールである、請求項1〜4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
Mが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムである、請求項1〜5の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機トリオールボレート塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機トリオールボレート塩は、炭素−炭素結合形成反応、炭素−窒素結合形成反応、炭素−酸素結合形成反応、炭素−硫黄結合形成反応等の有機合成化学の反応、特にクロスカップリング反応や付加反応用の試薬として有用なものである。
【0003】
該有機トリオールボレート塩の製造方法としては、例えばボロン酸に、トリス(ヒドロキシルメチル)エタン等のトリオールを反応させた後、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化物又は金属水素化物を反応させることにより得る方法や、例えば、有機リチウム化合物若しくは有機マグネシウム化合物と、ホウ酸トリメチル若しくはホウ酸トリイソプロピルとを反応させて得られる有機トリアルコキシボレートに、トリス(ヒドロキシルメチル)エタン等のトリオールを反応させる方法等が知られている(Angew.Chem.Int. Ed. 2008, 47, 928-931、WO2008/09637)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/09637
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Angew.Chem.Int. Ed. 2008, 47, 928-931
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の方法において、カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基等の官能基を有する有機トリオールボレート塩を得ようとした場合、前者は出発物質がボロン酸であるため、これらの官能基を出発物質に含有させるのが難しく、後者の場合は、反応性の高いリチウムやグリニヤール試薬を用いるため、出発物質が上記官能基を有する場合、官能基が反応に関与してしまい、これらの官能基を有する有機トリオールボレート塩を製造することはできなかった。
【0007】
そのため、カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基等の官能基を有する有機トリオールボレート塩を製造することができる新たな方法の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基等の官能基を有する有機トリオールボレート塩を製造することができる、有機トリオールボレート塩の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記状況に鑑み、鋭意研究を行った結果、下記一般式[1]で示される化合物と
(式中、Rは、無置換若しくは下記(1)〜(10)の置換基を少なくとも1つ有する1〜4環のアリール基、或いは、無置換若しくは下記(1)〜(10)の置換基を少なくとも1つ有する1〜2環の芳香族性複素環基を表し:
(1)下記一般式[4]で示されるフェニル基
(式中、R7は、ハロゲン原子、アミノ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、又は、炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、kは0〜5の整数を表す。)、(2)ハロゲン原子、(3)アミノ基、(4)炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、(5)炭素数1〜6のアルコキシ基、(6)炭素数1〜6のアルキル基、(7)炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、(8)炭素数1〜6のアミノアルキル基、(9)炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、(10)炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;
nは0又は1を表し、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基を表すが、nが0の場合、R1は、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基を表す。)、
下記一般式[2]で示される化合物とを、水及びアルカリ金属水酸化物(MOH)の存在下、有機溶媒中で反応させることにより、
(式中、R8は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基等の官能基を有する有機トリオールボレート塩を容易に合成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
(I)下記一般式[1]で示される化合物と、
(式中、R、R1〜R6は、上記と同じ。)
下記一般式[2]で示される化合物とを、
(式中、R8は、上記と同じ。)
水及びアルカリ金属水酸化物(MOH)の存在下、有機溶媒中で反応させることを特徴とする、下記一般式[3]で示される有機トリオールボレート塩の製造方法

(式中、R及びR8は上記と同じ。Mは、アルカリ金属を表す。)、
並びに、
【0011】
(II)下記一般式[3’]で示される有機トリオールボレート塩
(式中、R’は、下記(a)、(b)又は(c)を表し:
(a)下記(1)〜(6)の置換基を少なくとも1つ有するフェニル基:
(1)ハロゲン原子、(2)アミノ基、(3)炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、(4)炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、(5)炭素数1〜6のアミノアルキル基、(6)炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基;
(b)無置換若しくは下記(1)〜(10)の置換基を少なくとも1つ有する2〜4環のアリール基:
(1)下記一般式[4]で示されるフェニル基
(式中、R7及びkは、上記と同じ。)、(2)ハロゲン原子、(3)アミノ基、(4)炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、(5)炭素数1〜6のアルコキシ基、(6)炭素数1〜6のアルキル基、(7)炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、(8)炭素数1〜6のアミノアルキル基、(9)炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、(10)炭素数2〜12のアルコキシアルキル基;
(c)無置換若しくは下記(1)〜(10)の置換基を少なくとも1つ有する1〜2環の芳香族性複素環基:
(1)下記一般式[4]で示されるフェニル基
(式中、R7及びkは、上記と同じ。)、(2)ハロゲン原子、(3)アミノ基、(4)炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、(5)炭素数1〜6のアルコキシ基、(6)炭素数1〜6のアルキル基、(7)炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、(8)炭素数1〜6のアミノアルキル基、(9)炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、及び(10)炭素数2〜12のアルコキシアルキル基、
R8は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Mは、アルカリ金属を表す。)に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によれば、従来の製造方法では得ることができなかった、カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を有する有機トリオールボレート塩を、容易に製造することが可能となる。
【0013】
更に、本発明の有機トリオールボレート塩は、クロスカップリング反応、1,4-付加反応等の炭素−炭素結合形成反応、炭素−窒素結合形成反応、炭素−酸素結合形成反応、炭素−硫黄結合形成反応等に用いることができるものであり、無水有機溶媒中で反応させることができるものである。そのため、本発明の有機トリオールボレート塩を、例えばクロスカップリング反応、1,4-付加反応等の有機合成反応用試薬として用いた場合、効率よく反応を行うことができる。更に、本発明の有機トリオールボレート塩は、本発明の製造方法により初めて得られたものであり、カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基を有するものである。そのため、このようなトリオールボレート塩を、上記反応に用いることにより、従来のトリオールボレート塩では製造することができなかった、カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基を有する化合物の合成が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の有機トリオールボレート塩の製造方法]
一般式[1]におけるRは、無置換若しくは下記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する1〜4環のアリール基、或いは、無置換若しくは下記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する1〜2環の芳香族性複素環基である。
置換基(1):下記一般式[4]で示されるフェニル基
(式中、R7及びkは、上記と同じ。)。
置換基(2):ハロゲン原子。置換基(3):アミノ基。置換基(4):炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基。置換基(5):炭素数1〜6のアルコキシ基。置換基(6):炭素数1〜6のアルキル基、置換基(7):炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、置換基(8):炭素数1〜6のアミノアルキル基、置換基(9):炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、及び置換基(10):炭素数2〜12のアルコキシアルキル基。
【0015】
一般式[4]におけるkは、通常0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表し、0が特に好ましい。
【0016】
一般式[4]中のR7におけるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0017】
一般式[4]中のR7における炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状のアルコキシ基を有するものであれば何れでもよいが、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基が好ましい。具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、sec-ヘキシルオキシカルボニル基、tert-ヘキシルオキシカルボニル基、ネオヘキシルオキシカルボニル基、シクロプロポキシカルボニル基、シクロブトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0018】
一般式[4]中のR7における炭素数1〜6のアルコキシ基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよいが、炭素数1〜3のものが好ましく、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec-ヘキシルオキシ基、tert-ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基等が挙げられる。
【0019】
一般式[4]中のR7における炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよいが、炭素数1〜3のものが好ましく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基等が挙げられる。
【0020】
一般式[4]中のR7における炭素数1〜6のハロゲノアルキル基としては、上記R7における炭素数1〜6のアルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子に置換されたものが挙げられるが、炭素数1〜3のアルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子に置換されたものが好ましい。該ハロゲン原子は、同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。具体的には、例えばトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、ジブロモメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロクロロエチル基、ジフルオロエチル基、フルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、フルオロプロピル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
一般式[4]中のR7における炭素数1〜6のアミノアルキル基としては、上記R7における炭素数1〜6のアルキル基の水素原子の一部がアミノ基に置換されたものが挙げられるが、炭素数1〜3のアルキル基の水素原子の一部がアミノ基に置換されたものが好ましい。具体的には、例えばアミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
一般式[4]中のR7における炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基としては、上記R7としての炭素数1〜6のアルキル基の水素原子の一部がアルコキシカルボニル基に置換されたものが挙げられ、該アルコキシカルボニル基としては、上記R7における炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基で記載されているものと同じものが挙げられる。該アルコキシカルボニルアルキル基としては、炭素数3〜7のアルコキシカルボニルアルキル基が好ましい。具体的には例えば、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基、メトキシカルボニルブチル基、メトキシカルボニルペンチル基、メトキシカルボニルヘキシル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルプロピル基、エトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルペンチル基、エトキシカルボニルヘキシル基、プロポキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルエチル基、プロポキシカルボニルプロピル基、プロポキシカルボニルブチル基、プロポキシカルボニルペンチル基、プロポキシカルボニルヘキシル基、ブトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルエチル基、ブトキシカルボニルプロピル基、ブトキシカルボニルブチル基、ブトキシカルボニルペンチル基、ブトキシカルボニルヘキシル基、ペンチルオキシカルボニルメチル基、ペンチルオキシカルボニルエチル基、ペンチルオキシカルボニルプロピル基、ペンチルオキシカルボニルブチル基、ペンチルオキシカルボニルペンチル基、ペンチルオキシカルボニルヘキシル基、ヘキシルオキシカルボニルメチル基、ヘキシルオキシカルボニルエチル基、ヘキシルオキシカルボニルプロピル基、ヘキシルオキシカルボニルブチル基、ヘキシルオキシカルボニルペンチル基、ヘキシルオキシカルボニルヘキシル基等が挙げられる。
【0023】
一般式[4]中のR7における炭素数2〜12のアルコキシアルキル基としては、上記R7における炭素数1〜6のアルキル基の水素原子の一部がアルコキシ基に置換されたものが挙げられ、該アルコキシ基としては、上記R7における炭素数1〜6のアルコキシ基で記載されているものと同じものが挙げられる。該アルコキシアルキル基としては、炭素数2〜4のものが好ましい。具体的には、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、プロポキシヘキシル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基、ブトキシペンチル基、ブトキシヘキシル基、ペンチルオキシメチル基、ペンチルオキシエチル基、ペンチルオキシプロピル基、ペンチルオキシブチル基、ペンチルオキシペンチル基、ペンチルオキシヘキシル基、ヘキシルオキシメチル基、ヘキシルオキシエチル基、ヘキシルオキシプロピル基、ヘキシルオキシブチル基、ヘキシルオキシペンチル基、ヘキシルオキシヘキシル基等が挙げられる。
【0024】
一般式[4]の好ましい具体例としては、例えば、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ヨードフェニル基、アミノフェニル基、ジアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、n-プロポキシカルボニルフェニル基、n-ブトキシカルボニルフェニル基、n-ペンチルオキシカルボニルフェニル基、n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n-プロポキシフェニル基、n-ブトキシフェニル基、n-ペンチルオキシフェニル基、n-ヘキシルオキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、n-ペンチルフェニル基、n-ヘキシルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基、クロロメチルフェニル基、ブロモメチルフェニル基、アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、メトキシカルボニルメチルフェニル基、メトキシカルボニルエチルフェニル基、メトキシカルボニルプロピルフェニル基、フルオロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、クロロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ヨード(トリフルオロメチル基)フェニル基、フルオロ(ペンタフルオロエチルメチル基)フェニル基、クロロ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ブロモ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ヨード(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、フルオロ(メトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(メトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(メトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(メトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(エトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(エトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(エトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(エトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、クロロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ヨード(n-プロポキシカルボニル)フェニル基等が挙げられる。
【0025】
置換基(2)のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0026】
置換基(4)の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基としては、上記R7におけるアルコキシカルボニル基と同じものが挙げられる。
【0027】
置換基(5)の炭素数1〜6のアルコキシ基としては、上記R7におけるアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0028】
置換基(6)の炭素数1〜6のアルキル基としては、上記R7におけるアルキル基と同じものが挙げられる。
【0029】
置換基(7)の炭素数1〜6のハロゲノアルキル基としては、上記R7におけるハロゲノアルキル基と同じものが挙げられる。
【0030】
置換基(8)の炭素数1〜6のアミノアルキル基としては、上記R7におけるアミノアルキル基と同じものが挙げられる。
【0031】
置換基(9)の炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基としては、上記R7におけるアルコキシカルボニルアルキル基と同じものが挙げられる。
【0032】
置換基(10)の炭素数2〜12のアルコキシアルキル基としては、上記R7におけるアルコキシアルキル基と同じものが挙げられる。
【0033】
一般式[1]中のRにおける、無置換の1〜4環のアリール基としては、単環のアリール基又は単環のアリール基が縮合したものであり、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基が挙げられ、フェニル基又はピレニル基が好ましい。
【0034】
一般式[1]中のRにおける、置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する1〜4環のアリール基としては、上記無置換の1〜4環のアリール基が、置換基(1)〜(10)を通常1〜6個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個有するものである。また、立体障害の影響を避けるため、ホウ素との結合手を1位とした場合、1位の両隣の位置以外に該置換基を有するのが好ましく、例えばアリール基がフェニル基の場合、3位、4位、又は5位に置換基を有するのが好ましい。上記1〜4環のアリール基の中でも、単環(1環)のアリール基が好ましい。また、上記置換基(1)〜(10)の中でも、置換基(2)、(4)、(5)、(6)及び(7)から選ばれるものが好ましく、置換基(2)、(4)、(5)及び(7)から選ばれるものがより好ましい。上記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する1〜4環のアリール基の好ましい具体例としては、例えばビフェニル基、クロロフェニルフェニル基、ジクロロフェニルフェニル基、ブロモフェニルフェニル基、ジブロモフェニルフェニル基、メトキシカルボニルフェニルフェニル基、メトキシフェニルフェニル基、トリフルオロメチルフェニルフェニル基、クロロ(メトキシカルボニルフェニルフェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル)フェニルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ヨードフェニル基、アミノフェニル基、ジアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、n-プロポキシカルボニルフェニル基、n-ブトキシカルボニルフェニル基、n-ペンチルオキシカルボニルフェニル基、n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n-プロポキシフェニル基、n-ブトキシフェニル基、n-ペンチルオキシフェニル基、n-ヘキシルオキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、n-ペンチルフェニル基、n-ヘキシルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基、クロロメチルフェニル基、ブロモメチルフェニル基、アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、メトキシカルボニルメチルフェニル基、メトキシカルボニルエチルフェニル基、メトキシカルボニルプロピルフェニル基、フルオロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、クロロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ヨード(トリフルオロメチル基)フェニル基、フルオロ(ペンタフルオロエチルメチル基)フェニル基、クロロ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ブロモ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ヨード(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、フルオロ(メトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(メトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(メトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(メトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(エトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(エトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(エトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(エトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、クロロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ヨード(n-プロポキシカルボニル)フェニル基等が挙げられる。
【0035】
一般式[1]中のRにおける、無置換の単環(1環)の芳香族性複素環基としては、5〜6員の、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1個以上、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜2個有するものが好ましい。具体例としては、例えばフラン、チオフェン、ピロール、2H-ピロール、ピロリン、2-ピロリン、ピロリジン等の1個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基、例えばオキサゾール、イソオキサゾール、1,3-オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,3-チアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、2-イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、3-ピラゾリン、プラゾリジン等の2個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基、例えばフラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール等の3個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基、例えばテトラゾール等の4個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基、例えばピラン、2H-ピラン、ピリジン、ピペリジン等の1個のヘテロ原子を有する6員複素環由来の基、例えばチオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン等の2個のヘテロ原子を有する6員複素環由来の基、1,2,4-トリアジン等の3個のヘテロ原子を有する6員複素環由来の基等が挙げられる。上記具体例の中でも、1個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基、2個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基、1個のヘテロ原子を有する6員複素環由来の基、2個のヘテロ原子を有する6員複素環由来の基が好ましく、1個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基、2個のヘテロ原子を有する5員複素環由来の基がより好ましく、中でも、フラン、チオフェン、ピロール、2H-ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,3-オキサゾール、ピラゾール由来の基等が特に好ましい。
【0036】
一般式[1]中のRにおける、無置換の2環の芳香族性複素環基としては、単環式複素環が縮合したもの、又は単環式複素環とベンゼン、ナフタレン等の芳香族不飽和環が2〜3個縮合した二環系複素環等が挙げられる。具体的には例えばベンゾフラン,イソベンゾフラン、1-ベンゾチオフェン、2-ベンゾチオフェン、インドール、3-インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、2H-クロメン、クロマン、イソクロマン、1H-2-ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、4H-キノリジン等の1個のヘテロ原子を有する複素環由来の基、例えばベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、1H-インダゾール、1,8-ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン等の2個のヘテロ原子を有する複素環由来の基、例えばプリン、プテリジン等の4個のヘテロ原子を有する複素環由来の基等が挙げられるが、中でも、5員の単環複素環とベンゼンが縮合した二環系複素環由来の基が好ましく、具体的にはベンゾフラン、イソベンゾフラン、1-ベンゾチオフェン、2-ベンゾチオフェン、インドール、3-インドール、イソインドール等が好ましい。
【0037】
一般式[1]中のRにおける、置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する1〜2環の芳香族性複素環基は、上記無置換の1〜2環の芳香族性複素環基が、上記置換基(1)〜(10)を通常1〜4個、好ましくは1〜2個、より好ましくは1個有するものである。また、立体障害の影響を避けるため、ホウ素との結合手を1位とした場合、該置換基を1位の両隣の位置以外に有するのが好ましく、例えば芳香族性複素環基が単環の5員環の場合、3位又は4位に置換基を有するのが好ましく、例えば芳香族性複素環基が単環の6員環の場合、3位、4位又は5位に置換基を有するのが好ましい。上記1〜2環の芳香族性複素環基は中でも単環(1環)の芳香族性複素環基が好ましい。また、上記置換基(1)〜(10)の中でも、置換基(2)、(4)、(5)、(6)及び(7)から選ばれるものが好ましく、置換基(6)から選ばれるものがより好ましい。好ましい具体例としては、フェニルフラン、フルオロフラン、クロロフラン、ブロモフラン、ヨードフラン、アミノフラン、メトキシカルボニルフラン、メトキシフラン、エトキシフラン、メチルフラン、エチルフラン、n-プロピルフラン、イソプロピルフラン、n-ブチルフラン、tert-ブチルフラン、n-ペンチルフラン、n-ヘキシルフラン、トリフルオロフラン、アミノメチルフラン、メトキシカルボニルメチルフラン、メトキシメチルフラン、フェニルチオフェン、フルオロチオフェン、クロロチオフェン、ブロモチオフェン、ヨードチオフェン、アミノチオフェン、メトキシカルボニルチオフェン、メトキシチオフェン、エトキシチオフェン、メチルチオフェン、エチルチオフェン、n-プロピルチオフェン、イソプロピルチオフェン、n-ブチルチオフェン、tert-ブチルチオフェン、n-ペンチルチオフェン、n-ヘキシルチオフェン、トリフルオロチオフェン、アミノメチルチオフェン、メトキシカルボニルメチルチオフェン、メトキシメチルチオフェン、フェニルピロール、フルオロピロール、クロロピロール、ブロモピロール、ヨードピロール、アミノピロール、メトキシカルボニルピロール、メトキシピロール、エトキシピロール、メチルピロール、エチルピロール、n-プロピルピロール、イソプロピルピロール、n-ブチルピロール、tert-ブチルピロール、n-ペンチルピロール、n-ヘキシルピロール、トリフルオロピロール、アミノメチルピロール、メトキシカルボニルメチルピロール、メトキシメチルピロール、フェニル-2H-ピロール、フルオロ-2H-ピロール、クロロ-2H-ピロール、ブロモ-2H-ピロール、ヨード-2H-ピロール、アミノ-2H-ピロール、メトキシカルボニル-2H-ピロール、メトキシ-2H-ピロール、エトキシ-2H-ピロール、メチル-2H-ピロール、エチル-2H-ピロール、n-プロピル-2H-ピロール、n-ブチル-2H-ピロール、tert-ブチル-2H-ピロール、n-ペンチル-2H-ピロール、n-ヘキシル-2H-ピロール、トリフルオロ-2H-ピロール、アミノメチル-2H-ピロール、メトキシカルボニルメチル-2H-ピロール、メトキシメチル-2H-ピロール、メチルピロリン、エチルピロリン、n-プロピルピロリン、メチル-2-ピロリン、エチル-2-ピロリン、n-プロピル-2-ピロリン、メチルピロリジン、エチルピロリジン、n-プロピルピロリジン、フェニルオキサゾール、フルオロオキサゾール、クロロオキサゾール、ブロモオキサゾール、ヨードオキサゾール、アミノオキサゾール、メトキシカルボニルオキサゾール、メトキシオキサゾール、エトキシオキサゾール、メチルオキサゾール、エチルオキサゾール、n-プロピルオキサゾール、イソプロピルオキサゾール、n-ブチルオキサゾール、tert-ブチルオキサゾール、n-ペンチルオキサゾール、n-ヘキシルオキサゾール、トリフルオロオキサゾール、アミノメチルオキサゾール、メトキシカルボニルメチルオキサゾール、メトキシメチルオキサゾール、フェニルイソオキサゾール、フルオロイソオキサゾール、クロロイソオキサゾール、ブロモイソオキサゾール、ヨードイソオキサゾール、アミノイソオキサゾール、メトキシカルボニルイソオキサゾール、メトキシイソオキサゾール、エトキシイソオキサゾール、メチルイソオキサゾール、エチルイソオキサゾール、n-プロピルイソオキサゾール、イソプロピルイソオキサゾール、n-ブチルイソオキサゾール、tert-ブチルイソオキサゾール、n-ペンチルイソオキサゾール、n-ヘキシルイソオキサゾール、トリフルオロイソオキサゾール、アミノメチルイソオキサゾール、メトキシカルボニルメチルイソオキサゾール、メトキシメチルイソオキサゾール、メチルチアゾール、エチルチアゾール、n-プロピルチアゾール、イソプロピルチアゾール、メチルイソチアゾール、エチルイソチアゾール、n-プロピルイソチアゾール、イソプロピルイソチアゾール、メチル-1,3-チアゾール、エチル-1,3-チアゾール、n-プロピル-1,3-チアゾール、イソプロピル-1,3-チアゾール、フェニルイミダゾール、フルオロイミダゾール、クロロイミダゾール、ブロモイミダゾール、ヨードイミダゾール、アミノイミダゾール、メトキシカルボニルイミダゾール、メトキシイミダゾール、エトキシイミダゾール、メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、n-プロピルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、n-ブチルイミダゾール、tert-ブチルイミダゾール、n-ペンチルイミダゾール、n-ヘキシルイミダゾール、トリフルオロイミダゾール、アミノメチルイミダゾール、メトキシカルボニルメチルイミダゾール、メトキシメチルイミダゾール、メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、n-プロピルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、メチル-2-イミダゾリン、エチル-2-イミダゾリン、n-プロピル-2-イミダゾリン、イソプロピル-2-イミダゾリン、メチルイミダゾリジン、エチルイミダゾリジン、n-プロピルイミダゾリジン、イソプロピルイミダゾリジン、フェニルピラゾール、フルオロピラゾール、クロロピラゾール、ブロモピラゾール、ヨードピラゾール、アミノピラゾール、メトキシカルボニルピラゾール、メトキシピラゾール、エトキシピラゾール、メチルピラゾール、エチルピラゾール、n-プロピルピラゾール、イソプロピルピラゾール、n-ブチルピラゾール、tert-ブチルピラゾール、n-ペンチルピラゾール、n-ヘキシルピラゾール、トリフルオロピラゾール、アミノメチルピラゾール、メトキシカルボニルメチルピラゾール、メトキシメチルピラゾール、メチルピラゾリン、エチルピラゾリン、n-プロピルピラゾリン、イソプロピルピラゾリン、メチル-3-ピラゾリン、エチル-3-ピラゾリン、n-プロピル-3-ピラゾリン、イソプロピル-3-ピラゾリン、メチルプラゾリン、エチルプラゾリン、n-プロピルプラゾリン、イソプロピルプラゾリン、メチルピラン、エチルピラン、n-プロピルピラン、イソプロピルピラン、メチル-2H-ピラン、エチル-2H-ピラン、n-プロピル-2H-ピラン、イソプロピル-2H-ピラン、フェニルピリジン、フルオロピリジン、クロロピリジン、ブロモピリジン、ヨードピリジン、アミノピリジン、メトキシカルボニルピリジン、メトキシピリジン、エトキシピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、n-プロピルピリジン、イソプロピルピリジン、n-ブチルピリジン、tert-ブチルピリジン、n-ペンチルピリジン、n-ヘキシルピリジン、トリフルオロピリジン、アミノメチルピリジン、メトキシカルボニルメチルピリジン、メトキシメチルピリジン、メチルピペリジン、エチルピペリジン、n-プロピルピペリジン、イソプロピルピペリジン、メチルチオピラン、エチルチオピラン、n-プロピルチオピラン、イソプロピルチオピラン、メチルピリダジン、エチルピリダジン、n-プロピルピリダジン、イソプロピルピリダジン、メチルピリミジン、エチルピリミジン、n-プロピルピリミジン、イソプロピルピリミジン、メチルピラジン、エチルピラジン、n-プロピルピラジン、イソプロピルピラジン、メチルピペラジン、エチルピペラジン、n-プロピルピペラジン、イソプロピルピペラジン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、n-プロピルモルホリン、イソプロピルモルホリン;フェニルベンゾフラン、フルオロベンゾフラン、クロロベンゾフラン、ブロモベンゾフラン、ヨードベンゾフラン、アミノベンゾフラン、メトキシカルボニルベンゾフラン、メトキシベンゾフラン、エトキシベンゾフラン、メチルベンゾフラン、エチルベンゾフラン、n-プロピルベンゾフラン、イソプロピルベンゾフラン、n-ブチルベンゾフラン、tert-ブチルベンゾフラン、n-ペンチルベンゾフラン、n-ヘキシルベンゾフラン、トリフルオロベンゾフラン、アミノメチルベンゾフラン、メトキシカルボニルメチルベンゾフラン、メトキシメチルベンゾフラン、メチルイソベンゾフラン、エチルイソベンゾフラン、n-プロピルイソベンゾフラン、イソプロピルイソベンゾフラン、フェニル1-ベンゾチオフェン、フルオロ1-ベンゾチオフェン、クロロ1-ベンゾチオフェン、ブロモ1-ベンゾチオフェン、ヨード1-ベンゾチオフェン、アミノ1-ベンゾチオフェン、メトキシカルボニル1-ベンゾチオフェン、メトキシ1-ベンゾチオフェン、エトキシ1-ベンゾチオフェン、メチル1-ベンゾチオフェン、エチル1-ベンゾチオフェン、n-プロピル1-ベンゾチオフェン、イソプロピル1-ベンゾチオフェン、n-ブチル1-ベンゾチオフェン、tert-ブチル1-ベンゾチオフェン、n-ペンチル1-ベンゾチオフェン、n-ヘキシル1-ベンゾチオフェン、トリフルオロ1-ベンゾチオフェン、アミノメチル1-ベンゾチオフェン、メトキシカルボニルメチル1-ベンゾチオフェン、メトキシメチル1-ベンゾチオフェン、フェニル2-ベンゾチオフェン、フルオロ2-ベンゾチオフェン、クロロ2-ベンゾチオフェン、ブロモ2-ベンゾチオフェン、ヨード2-ベンゾチオフェン、アミノ2-ベンゾチオフェン、メトキシカルボニル2-ベンゾチオフェン、メトキシ2-ベンゾチオフェン、エトキシ2-ベンゾチオフェン、メチル2-ベンゾチオフェン、エチル2-ベンゾチオフェン、n-プロピル2-ベンゾチオフェン、イソプロピル2-ベンゾチオフェン、n-ブチル2-ベンゾチオフェン、tert-ブチル2-ベンゾチオフェン、n-ペンチル2-ベンゾチオフェン、n-ヘキシル2-ベンゾチオフェン、トリフルオロ2-ベンゾチオフェン、アミノメチル2-ベンゾチオフェン、メトキシカルボニルメチル2-ベンゾチオフェン、メトキシメチル2-ベンゾチオフェン、フェニルインドール、フルオロインドール、クロロインドール、ブロモインドール、ヨードインドール、アミノインドール、メトキシカルボニルインドール、メトキシインドール、エトキシインドール、メチルインドール、エチルインドール、n-プロピルインドール、イソプロピルインドール、n-ブチルインドール、tert-ブチルインドール、n-ペンチルインドール、n-ヘキシルインドール、トリフルオロインドール、アミノメチルインドール、メトキシカルボニルメチルインドール、メトキシメチルインドール、メチル-3-インドール、エチル-3-インドール、n-プロピル-3-インドール、イソプロピル-3-インドール、メチルイソインドール、エチルイソインドール、n-プロピルイソインドール、イソプロピルイソインドール、メチルインドリジン、エチルインドリジン、n-プロピルインドリジン、イソプロピルインドリジン、メチルインドリン、エチルインドリン、n-プロピルインドリン、イソプロピルインドリン、メチルイソインドリン、エチルイソインドリン、n-プロピルイソインドリン、イソプロピルイソインドリン、メチル-1H-2-ベンゾピラン、エチル-1H-2-ベンゾピラン、n-プロピル-1H-2-ベンゾピラン、イソプロピル-1H-2-ベンゾピラン、メチルキノリン、エチルキノリン、n-プロピルキノリン、イソプロピルキノリンメチルイソキノリン、エチルイソキノリン、n-プロピルイソキノリン、イソプロピルイソキノリン、フェニルベンゾイミダゾール、フルオロベンゾイミダゾール、クロロベンゾイミダゾール、ブロモベンゾイミダゾール、ヨードベンゾイミダゾール、アミノベンゾイミダゾール、メトキシカルボニルベンゾイミダゾール、メトキシベンゾイミダゾール、エトキシベンゾイミダゾール、メチルベンゾイミダゾール、エチルベンゾイミダゾール、n-プロピルベンゾイミダゾール、イソプロピルベンゾイミダゾール、n-ブチルベンゾイミダゾール、tert-ブチルベンゾイミダゾール、n-ペンチルベンゾイミダゾール、n-ヘキシルベンゾイミダゾール、
トリフルオロベンゾイミダゾール、アミノメチルベンゾイミダゾール、メトキシカルボニルメチルベンゾイミダゾール、メトキシメチルベンゾイミダゾール、メチルベンゾチアゾール、エチルベンゾチアゾール、n-プロピルベンゾチアゾール、イソプロピルベンゾチアゾール等の複素環基由来の基が挙げられる。中でも、メチルフラン、エチルフラン、n-プロピルフラン、イソプロピルフラン、n-ブチルフラン、tert-ブチルフラン、n-ペンチルフラン、n-ヘキシルフラン、メチルチオフェン、エチルチオフェン、n-プロピルチオフェン、n-ブチルチオフェン、tert-ブチルチオフェン、n-ペンチルチオフェン、n-ヘキシルチオフェン、1-メチルピロール、1-エチルピロール、1- n-プロピルピロール、1- n-ブチルピロール、1-tert-ブチルピロール、1- n-ペンチルピロール、1- n-ヘキシルピロール、3-メチルイソオキサゾール、3-エチルイソオキサゾール、3-n-プロピルイソオキサゾール、3-n-ブチルイソオキサゾール、3-tert-ブチルイソオキサゾール、3-n-ペンチルイソオキサゾール、3- n-ヘキシルイソオキサゾール、3,4-ジメチルイソオキサゾール、3,4-ジエチルイソオキサゾール、3,4-ジn-プロピルイソオキサゾール、1-メチルピラゾール、1-エチルピラゾール、1- n-プロピルピラゾール、1- n-ブチルピラゾール、1-tert-ブチルピラゾール、1-n-ペンチルピラゾール、1- n-ヘキシルピラゾール等の複素環基由来の基が好ましい。
【0038】
一般式[1]中のR1〜R6における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0039】
一般式[1]中のR1〜R6における炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基等が挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好ましく、エトキシカルボニル基がより好ましい。
【0040】
一般式[1]中のnは、0又は1を表し、0が好ましい。
【0041】
一般式[1]中のR1は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基を表すが、nが0の場合、即ち、一般式[1]で示される化合物が5員環のボロン酸エステルを形成する場合、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基を表す。nが0の場合、メチル基、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基が好ましく、メチル基又はエトキシカルボニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましく、nが1の場合、水素原子が好ましい。
【0042】
一般式[1]中のR2〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基を表すが、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0043】
一般式[1]中のR5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基を表すが、メチル基が好ましい。
【0044】
一般式[1]で示される化合物の好ましい具体例としては、下記一般式[1-1]〜[1-14](但し、式中のRは上記と同じ)で示されるものが挙げられ、[1-1]〜[1-2]、[1-6]〜[1-9]、[1-11]〜[1-12]、(但し、式中のRは上記と同じ)で示されるものが好ましく、中でも、一般式[1-2](但し、式中のRは上記と同じ)で示されるものが特に好ましい。
【0045】


【0046】
一般式[1]で示される化合物のより好ましい具体例としては、上記一般式[1-1]〜[1-14]におけるRが、フェニル基、ピレニル基、ビフェニル基、クロロフェニルフェニル基、ジクロロフェニルフェニル基、ブロモフェニルフェニル基、ジブロモフェニルフェニル基、メトキシカルボニルフェニルフェニル基、メトキシフェニルフェニル基、トリフルオロメチルフェニルフェニル基、クロロ(メトキシカルボニルフェニルフェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル)フェニルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ヨードフェニル基、アミノフェニル基、ジアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、n-プロポキシカルボニルフェニル基、n-ブトキシカルボニルフェニル基、n-ペンチルオキシカルボニルフェニル基、n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n-プロポキシフェニル基、n-ブトキシフェニル基、n-ペンチルオキシフェニル基、n-ヘキシルオキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、n-ペンチルフェニル基、n-ヘキシルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基、クロロメチルフェニル基、ブロモメチルフェニル基、アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、メトキシカルボニルメチルフェニル基、メトキシカルボニルエチルフェニル基、メトキシカルボニルプロピルフェニル基、フルオロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、クロロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ヨード(トリフルオロメチル基)フェニル基、フルオロ(ペンタフルオロエチルメチル基)フェニル基、クロロ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ブロモ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ヨード(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、フルオロ(メトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(メトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(メトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(メトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(エトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(エトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(エトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(エトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、クロロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ヨード(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、フラニル基,チオフェニル基,ピロリル基,2H-ピロリル基,ピロリニル基、2-ピロリニル基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,3-オキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,3-チアゾリル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、2-イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、3-ピラゾリニル基、プラゾリジニル基、フラザニル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、2H-ピラニル基、ピリジニル基、ピペリジニル基、チオピラニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、1,2,4-トリアジニル基、ベンゾフラニル基,イソベンゾフラニル基、1-ベンゾチオフェニル基、2-ベンゾチオフェニル基、インドリル基、3-インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、クロメニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、1H-2-ベンゾピラニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、4H-キノリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H-インダゾリル基、1,8-ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、キナゾリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、プリニル基、プテリジニル基、メチルフラニル基、エチルフラニル基、n-プロピルフラニル基、n-ブチルフラニル基、tert-ブチルフラニル基、n-ペンチルフラニル基、n-ヘキシルフラニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、n-プロピルチオフェニル基、n-ブチルチオフェニル基、tert-ブチルチオフェニル基、n-ペンチルチオフェニル基、n-ヘキシルチオフェニル基、1-メチルピロリル基、1-エチルピロリル基、1- n-プロピルピロリル基、1- n-ブチルピロリル基、1-tert-ブチルピロリル基、1- n-ペンチルピロリル基、1- n-ヘキシルピロリル基、3-メチルイソオキサゾリル基、3-エチルイソオキサゾリル基、3-n-プロピルイソオキサゾリル基、3-n-ブチルイソオキサゾリル基、3-tert-ブチルイソオキサゾリル基、3-n-ペンチルイソオキサゾリル基、3- n-ヘキシルイソオキサゾリル基、3,4-ジメチルイソオキサゾリル基、3,4-ジエチルイソオキサゾリル基、3,4-ジn-プロピルイソオキサゾリル基、1-メチルピラゾリル基、1-エチルピラゾリル基、1- n-プロピルピラゾリル基、1- n-ブチルピラゾリル基、1-tert-ブチルピラゾリル基、1-n-ペンチルピラゾリル基、又は1- n-ヘキシルピラゾリル基であるものが挙げられる。
【0047】
一般式[2]で示されるR8における炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
【0048】
一般式[2]で示される化合物の好ましい具体例としては、例えばトリス(ヒドロキシルメチル)エタン、トリス(ヒドロキシルメチル)プロパン、トリス(ヒドロキシルメチル)ブタン、トリス(ヒドロキシルメチル)ペンタン、トリス(ヒドロキシルメチル)ヘキサン、トリス(ヒドロキシルメチル)ヘプタン等が挙げられ、トリス(ヒドロキシルメチル)エタン、トリス(ヒドロキシルメチル)プロパン等がより好ましく、トリス(ヒドロキシルメチル)エタンが特に好ましい。
【0049】
一般式[3]におけるR及びR8は、上記一般式[1]におけるR及び一般式[2]におけるR8と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0050】
一般式[3]におけるMは、アルカリ金属を表し、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、中でも、リチウム、ナトリウム、カリウム等が好ましい。
【0051】
一般式[3]で示される有機トリオールボレート塩の好ましい具体例としては、下記一般式[3−1]〜[3−17]で示されるもの(但し、式中のRは上記と同じ)が挙げられ、一般式[3−1]〜[3−5]で示される化合物(但し、式中のRは上記と同じ)が好ましく、中でも、一般式[3−1]〜[3−2]で示される化合物(但し、式中のRは上記と同じ)がより好ましい。
【0052】


【0053】
一般式[3]で示される有機トリオールボレート塩のより好ましい具体例としては、一般式[3−1]〜[3−17]において、Rが、上記一般式[1]で示される化合物のより好ましい具体例におけるRの具体例と同じものである場合が挙げられる。
【0054】
本発明の有機トリオールボレート塩の製造方法においては、上記一般式[1]で示される化合物と上記一般式[2]で示される化合物とを、水及びアルカリ金属水酸化物(MOH)の存在下、有機溶媒中で反応させることにより、上記一般式[3]で示される有機トリオールボレート塩が製造される。
【0055】
本発明の製造方法における一般式[2]で示される化合物の使用量は、一般式[1]で示される化合物に対して、通常0.8〜1.0当量、好ましくは通常0.9〜1.0当量である。
【0056】
本発明の製造方法における水の使用量は、一般式[1]で示される化合物に対して、0.5〜5当量、好ましくは1〜5当量、より好ましくは2〜5当量、更に好ましくは3〜4当量である。
【0057】
上記アルカリ金属水酸化物(MOH)としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられ、中でも、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。その使用量は、通常一般式[1]で示される化合物に対して、0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.1当量、より好ましくは0.9〜1.0当量である。
【0058】
上記有機溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられるが、中でもエーテル類が好ましく、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が好ましく、ジオキサンが特に好ましい。これらは単独で用いても、二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。有機溶媒の使用量としては、一般式[1]で示される化合物1mmolに対して、通常0.1〜100mL、好ましくは1〜10mLである。
【0059】
本発明の製造方法における反応温度は、通常10〜90℃、好ましくは30〜60℃である。尚、反応温度は、用いられる金属水酸化物やその他の条件で適宜設定されればよく、アルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウムを用いる場合には10〜70℃が好ましく、アルカリ金属水酸化物として水酸化カリウムを用いる場合には50〜90℃が好ましい。反応時間は、用いた原料が消費され目的の有機トリオールボレート塩が生成するまでの時間と同等であれば特に問題ないが、通常3〜24時間、好ましくは10〜20時間である。
【0060】
本発明の製造方法としては、具体的には例えば、上記一般式[1]で示される化合物と、一般式[1]で示される化合物に対して0.8〜1.0当量の上記一般式[2]で示される化合物とを、一般式[1]で示される化合物に対して0.5〜5当量の水、及び一般式[1]で示される化合物に対して0.5〜2.0当量のアルカリ金属水酸化物の存在下、上記エーテル類やアルコール類0.1〜100mL中10〜90℃で3〜24時間反応させることによりなされればよく、その結果、上記一般式[3]で示される有機トリオールボレート塩が製造される。より具体的には、例えば、置換基を有するフェニルボロン酸ピナコールエステル1mmolと、トリス(ヒドロキシルメチル)エタン0.8〜1.0mmolとを、0.5〜5mmolの水及び0.5〜2.0mmolのアルカリ金属水酸化物の存在下、エーテル1〜10mL中10〜90℃で3〜24時間反応させることにより、上記置換基を有するフェニルトリオールボレートのアルカリ金属塩を得ることができる。
【0061】
[本発明の有機トリオールボレート塩]
一般式[3’]中のR’の(a)におけるフェニル基の置換基として挙げられる、ハロゲン原子、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基及び炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基は、一般式[4]中のR7の項で記載した、ハロゲン原子、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基及び炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基と同じものが挙げられる。
【0062】
一般式[3’]中のR’の(a)における置換基を少なくとも1つ有するフェニル基は、(1)ハロゲン原子、(2)アミノ基、(3)炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、(4)炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、(5)炭素数1〜6のアミノアルキル基及び(6)炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基から選ばれる置換基を少なくとも1つ有するフェニル基であるが、(1)ハロゲン原子、(3)炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、及び(4)炭素数1〜6のハロゲノアルキル基から選ばれる置換基を少なくとも1つ有するフェニル基が好ましく、置換基を通常1〜6個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個有するものである。また、立体障害の影響を避けるため、ホウ素との結合手を1位とした場合、1位の両隣の位置以外に該置換基を有するのが好ましく、3位、4位又は5位に置換基を有するのが好ましい。R’の(a)における置換基を少なくとも1つ有するフェニル基としては、具体的には、例えばフルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ヨードフェニル基、アミノフェニル基、ジアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、n-プロポキシカルボニルフェニル基、n-ブトキシカルボニルフェニル基、n-ペンチルオキシカルボニルフェニル基、n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基、クロロメチルフェニル基、ブロモメチルフェニル基、アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、メトキシカルボニルメチルフェニル基、メトキシカルボニルエチルフェニル基、メトキシカルボニルプロピルフェニル基、フルオロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、クロロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ヨード(トリフルオロメチル基)フェニル基、フルオロ(ペンタフルオロエチルメチル基)フェニル基、クロロ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ブロモ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ヨード(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、フルオロ(メトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(メトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(メトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(メトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(エトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(エトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(エトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(エトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、クロロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ヨード(n-プロポキシカルボニル)フェニル基等が挙げられ、中でも、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、n-プロポキシカルボニルフェニル基、n-ブトキシカルボニルフェニル基、n-ペンチルオキシカルボニルフェニル基、n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基、クロロメチルフェニル基、ブロモメチルフェニル基、フルオロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、クロロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ヨード(トリフルオロメチル基)フェニル基、フルオロ(ペンタフルオロエチルメチル基)フェニル基、クロロ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ブロモ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ヨード(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、フルオロ(メトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(メトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(メトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(メトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(エトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(エトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(エトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(エトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、クロロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ヨード(n-プロポキシカルボニル)フェニル基等が好ましい。
【0063】
一般式[3’]中のR’の(b)における2〜4環のアリール基は、無置換若しくは下記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有するものである。
置換基(1):下記一般式[4]で示されるフェニル基

(式中、R7及びkは、上記と同じ。)。
置換基(2):ハロゲン原子、置換基(3):アミノ基、置換基(4):炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、置換基(5):炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基(6):炭素数1〜6のアルキル基、置換基(7):炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、置換基(8):炭素数1〜6のアミノアルキル基、置換基(9):炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、及び置換基(10):炭素数2〜12のアルコキシアルキル基。
【0064】
上記置換基(1)〜(10)の具体例は、上記一般式[1]中のRにおける置換基(1)〜(10)と同じものが挙げられる。
【0065】
一般式[3’]中のR’の(b)における無置換の2〜4環のアリール基は、単環のアリール基が縮合したものであり、具体的には、例えば、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基が挙げられ、中でもピレニル基が好ましい。
【0066】
一般式[3’]中のR’の(b)における上記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する2〜4環のアリール基としては、上記無置換の2〜4環のアリール基が、上記置換基(1)〜(10)を通常1〜6個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個有するものである。また、立体障害の影響を避けるため、ホウ素との結合手を1位とした場合、1位の両隣の位置以外に該置換基を有するのが好ましい。上記置換基(1)〜(10)の中でも、置換基(2)、(4)、(5)、(6)及び(7)から選ばれるものが好ましく、置換基(2)、(4)、(5)及び(7)から選ばれるものがより好ましい。上記置換基を少なくとも1つ有する、2〜4環のアリール基の好ましい具体例としては、例えばフェニルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、ブロモナフチル基、ヨードナフチル基、フルオロナフチル基、フルオロアントラセニル基、クロロアントラセニル基、ジクロロアントラセニル基、ブロモアントラセニル基、ヨードアントラセニル基、フルオロアントラセニル基、フルオロピレニル基、クロロピレニル基、ジクロロピレニル基、ブロモピレニル基、ヨードピレニル基、フルオロピレニル基、トリフルオロメチルナフチル基、トリフルオロメチルアントラセニル基、トリフルオロメチルピレニル基、クロロ(メトキシカルボニル)ナフチル基、クロロ(メトキシカルボニル)アントラセニル基、クロロ(メトキシカルボニル)ピレニル基、メトキシカルボニルナフチル基、エトキシカルボニルナフチル基、n-プロポキシカルボニルナフチル基、メトキシカルボニルアントラセニル基、エトキシカルボニルアントラセニル基、n-プロポキシカルボニルアントラセニル基、メトキシカルボニルピレニル基、エトキシカルボニルピレニル基、n-プロポキシカルボニルピレニル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、メトキシアントラセニル基、エトキシアントラセニル基、n-プロポキシアントラセニル基、メトキシピレニル基、エトキシピレニル基、n-プロポキシピレニル基、トリフルオロメチルナフチル基、ペンタフルオロエチルナフチル基、トリフルオロメチルアントラセニル基、ペンタフルオロエチルアントラセニル基、トリフルオロメチルピレニル基、ペンタフルオロエチルピレニル基等が挙げられる。
【0067】
一般式[3’]中のR’の(b)における無置換若しくは上記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する2〜4環のアリール基としては、上記の如き具体例の中でも、無置換の2〜4環のアリール基が好ましい。
【0068】
一般式[3’]中のR’の(c)における、1〜2環の芳香族性複素環基は、無置換若しくは下記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有するものである。
置換基(1):下記一般式[4]で示されるフェニル基

(式中、R7及びkは、上記と同じ。)。
置換基(2):ハロゲン原子、置換基(3):アミノ基、置換基(4):炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、置換基(5):炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基(6):炭素数1〜6のアルキル基、置換基(7):炭素数1〜6のハロゲノアルキル基、置換基(8):炭素数1〜6のアミノアルキル基、置換基(9):炭素数3〜13のアルコキシカルボニルアルキル基、及び置換基(10):炭素数2〜12のアルコキシアルキル基。
【0069】
上記置換基(1)〜(10)は、上記一般式[1]中のRにおける置換基(1)〜(10)と同じものが挙げられる。
【0070】
一般式[3’]中の(c)のR’における、上記置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する、1〜2環の芳香族性複素環基としては、上記一般式[1]中のRにおける、置換基(1)〜(10)を少なくとも1つ有する、1〜2環の芳香族性複素環基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0071】
一般式[3’]中の(c)のR’における、無置換の1〜2環の芳香族性複素環基としては、一般式[1]中のRにおける、無置換の1〜2環の芳香族性複素環基と同じものが挙げられる。
【0072】
一般式[3’]中のR8におけるアルキル基は、上記一般式[2]におけるアルキル基と同じものが挙げられる。
【0073】
一般式[3’]中のMで表されるアルキル金属は、一般式[3]におけるMと同じものが挙げられる。
【0074】
一般式[3’]で示される有機トリオールボレート塩の具体例としては、例えば下記一般式[3’−1]〜[3’−17]で示されるもの(但し、式中のR’は上記と同じ)が挙げられ、一般式[3’−1]〜[3’−5]で示される化合物が好ましく、中でも、一般式[3’−1]〜[3’−2]で示される化合物がより好ましい。
【0075】


【0076】
一般式[3’]で示される有機トリオールボレート塩のより好ましい具体例としては、一般式[3’−1]〜[3’−17]において、Rが、(a)フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ヨードフェニル基、アミノフェニル基、ジアミノフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、n-プロポキシカルボニルフェニル基、n-ブトキシカルボニルフェニル基、n-ペンチルオキシカルボニルフェニル基、n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基、クロロメチルフェニル基、ブロモメチルフェニル基、アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、メトキシカルボニルメチルフェニル基、メトキシカルボニルエチルフェニル基、メトキシカルボニルプロピルフェニル基、フルオロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、クロロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ヨード(トリフルオロメチル基)フェニル基、フルオロ(ペンタフルオロエチルメチル基)フェニル基、クロロ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ブロモ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ヨード(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、フルオロ(メトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(メトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(メトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(メトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(エトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(エトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(エトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(エトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、クロロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ヨード(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、(b)ナフチル基、ピレニル基、フェニルナフチル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ジクロロナフチル基、ブロモナフチル基、ヨードナフチル基、フルオロナフチル基、フルオロアントラセニル基、クロロアントラセニル基、ジクロロアントラセニル基、ブロモアントラセニル基、ヨードアントラセニル基、フルオロアントラセニル基、フルオロピレニル基、クロロピレニル基、ジクロロピレニル基、ブロモピレニル基、ヨードピレニル基、フルオロピレニル基、トリフルオロメチルナフチル基、トリフルオロメチルアントラセニル基、トリフルオロメチルピレニル基、クロロ(メトキシカルボニル)ナフチル基、クロロ(メトキシカルボニル)アントラセニル基、クロロ(メトキシカルボニル)ピレニル基、メトキシカルボニルナフチル基、エトキシカルボニルナフチル基、n-プロポキシカルボニルナフチル基、メトキシカルボニルアントラセニル基、エトキシカルボニルアントラセニル基、n-プロポキシカルボニルアントラセニル基、メトキシカルボニルピレニル基、エトキシカルボニルピレニル基、n-プロポキシカルボニルピレニル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、メトキシアントラセニル基、エトキシアントラセニル基、n-プロポキシアントラセニル基、メトキシピレニル基、エトキシピレニル基、n-プロポキシピレニル基、トリフルオロメチルナフチル基、ペンタフルオロエチルナフチル基、トリフルオロメチルアントラセニル基、ペンタフルオロエチルアントラセニル基、トリフルオロメチルピレニル基、ペンタフルオロエチルピレニル基、(c)フラニル基,チオフェニル基,ピロリル基,2H-ピロリル基,ピロリニル基、2-ピロリニル基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,3-オキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,3-チアゾリル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、2-イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、3-ピラゾリニル基、プラゾリジニル基、フラザニル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、2H-ピラニル基、ピリジニル基、ピペリジニル基、チオピラニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、1,2,4-トリアジニル基、ベンゾフラニル基,イソベンゾフラニル基、1-ベンゾチオフェニル基、2-ベンゾチオフェニル基、インドリル基、3-インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、クロメニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、1H-2-ベンゾピラニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、4H-キノリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H-インダゾリル基、1,8-ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、キナゾリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、プリニル基、プテリジニル基、メチルフラニル基、エチルフラニル基、n-プロピルフラニル基、n-ブチルフラニル基、tert-ブチルフラニル基、n-ペンチルフラニル基、n-ヘキシルフラニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、n-プロピルチオフェニル基、n-ブチルチオフェニル基、tert-ブチルチオフェニル基、n-ペンチルチオフェニル基、n-ヘキシルチオフェニル基、1-メチルピロリル基、1-エチルピロリル基、1- n-プロピルピロリル基、1- n-ブチルピロリル基、1-tert-ブチルピロリル基、1- n-ペンチルピロリル基、1- n-ヘキシルピロリル基、3-メチルイソオキサゾリル基、3-エチルイソオキサゾリル基、3-n-プロピルイソオキサゾリル基、3-n-ブチルイソオキサゾリル基、3-tert-ブチルイソオキサゾリル基、3-n-ペンチルイソオキサゾリル基、3- n-ヘキシルイソオキサゾリル基、3,4-ジメチルイソオキサゾリル基、3,4-ジエチルイソオキサゾリル基、3,4-ジn-プロピルイソオキサゾリル基、1-メチルピラゾリル基、1-エチルピラゾリル基、1- n-プロピルピラゾリル基、1- n-ブチルピラゾリル基、1-tert-ブチルピラゾリル基、1-n-ペンチルピラゾリル基、又は1- n-ヘキシルピラゾリル基である場合が挙げられる。より好ましくは、Rが、(a)フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、n-プロポキシカルボニルフェニル基、n-ブトキシカルボニルフェニル基、n-ペンチルオキシカルボニルフェニル基、n-ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロエチルフェニル基、クロロメチルフェニル基、ブロモメチルフェニル基、フルオロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、クロロ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ブロモ(トリフルオロメチル基)フェニル基、ヨード(トリフルオロメチル基)フェニル基、フルオロ(ペンタフルオロエチルメチル基)フェニル基、クロロ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ブロモ(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、ヨード(ペンタフルオロエチル基)フェニル基、フルオロ(メトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(メトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(メトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(メトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(エトキシカルボニル)フェニル基、クロロ(エトキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(エトキシカルボニル)フェニル基、ヨード(エトキシカルボニル)フェニル基、フルオロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、クロロ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ブロモ(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、ヨード(n-プロポキシカルボニル)フェニル基、(b)ナフチル基、ピレニル基、(c)フラニル基,チオフェニル基,ピロリル基,2H-ピロリル基,ピロリニル基、2-ピロリニル基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,3-オキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,3-チアゾリル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、2-イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、3-ピラゾリニル基、プラゾリジニル基、ピラニル基、2H-ピラニル基、ピリジニル基、ピペリジニル基、ベンゾフラニル基,イソベンゾフラニル基、1-ベンゾチオフェニル基、2-ベンゾチオフェニル基、インドリル基、3-インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、クロメニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、1H-2-ベンゾピラニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、4H-キノリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H-インダゾリル基、1,8-ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、キナゾリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、メチルフラニル基、エチルフラニル基、n-プロピルフラニル基、n-ブチルフラニル基、tert-ブチルフラニル基、n-ペンチルフラニル基、n-ヘキシルフラニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、n-プロピルチオフェニル基、n-ブチルチオフェニル基、tert-ブチルチオフェニル基、n-ペンチルチオフェニル基、n-ヘキシルチオフェニル基、1-メチルピロリル基、1-エチルピロリル基、1- n-プロピルピロリル基、1- n-ブチルピロリル基、1-tert-ブチルピロリル基、1- n-ペンチルピロリル基、1- n-ヘキシルピロリル基、3-メチルイソオキサゾリル基、3-エチルイソオキサゾリル基、3-n-プロピルイソオキサゾリル基、3-n-ブチルイソオキサゾリル基、3-tert-ブチルイソオキサゾリル基、3-n-ペンチルイソオキサゾリル基、3- n-ヘキシルイソオキサゾリル基、3,4-ジメチルイソオキサゾリル基、3,4-ジエチルイソオキサゾリル基、3,4-ジn-プロピルイソオキサゾリル基、1-メチルピラゾリル基、1-エチルピラゾリル基、1- n-プロピルピラゾリル基、1- n-ブチルピラゾリル基、1-tert-ブチルピラゾリル基、1-n-ペンチルピラゾリル基、又は1- n-ヘキシルピラゾリル基である場合が挙げられる。
【0077】
一般式[3’]で示される有機トリオールボレート塩は、例えば上記本発明の有機トリオールボレート塩の製造方法で記載された方法により製造される。
【0078】
上記の如き本発明の有機トリオールボレート塩は、無水有機溶媒中での反応に用いることができるため、これを例えば炭素−炭素結合形成反応、炭素−窒素結合形成反応、炭素−酸素結合形成反応、炭素−硫黄結合形成反応等の有機合成反応(特にクロスカップリング反応、付加反応等)用試薬として用いた場合、効率よく反応を行うことができる。更に、本発明の有機トリオールボレート塩は、カルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基を有することができるため、従来導入が難しかったカルボニルオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基を容易に導入することができる。
【0079】
本発明の有機トリオールボレート塩を用いて、パラジウム触媒カップリング反応を行う場合、例えば以下のように行えばよい。
【0080】
即ち、例えば、本発明の有機トリオールボレート塩(基質)、該基質に対して0.1〜3倍モル、好ましくは0.5〜2倍モルの有機ハロゲン化物及び該基質に対して0.01〜80重量%のパラジウム触媒(パラジウム金属が該基質に対して0.0005〜20重量%)を、反応溶媒(触媒に対して1〜20000当量、好ましくは10〜700当量となる量)に加え、約20℃〜200℃で約30分〜100時間撹拌反応させることにより目的物が得られる。
【0081】
また、本発明の有機トリオールボレート塩を用いて、ロジウム触媒1,4-付加反応を行う場合、以下のように行えばよい。
【0082】
即ち、例えば、本発明の有機トリオールボレート塩(基質)、該基質に対して0.1〜3倍モル、好ましくは0.5〜2倍モルの電子吸引性基置換オレフィン化合物及び該基質に対して0.01〜80重量%のロジウム触媒(ロジウム金属が該基質に対して0.0.0005〜20重量%)を、反応溶媒(触媒に対して1〜20000当量、好ましくは10〜700当量となる量)に加え、約20℃〜200℃で約30分〜100時間撹拌反応させることにより目的物が得られる。
【0083】
更に、本発明の有機トリオールボレート塩を用いて、銅触媒アミノ化反応を行う場合、以下のように行えばよい。
【0084】
即ち、例えば、本発明の有機トリオールボレート塩(基質)、該基質に対して0.1〜3倍モル、好ましくは0.5〜2倍モルのアミン化合物及び該基質に対して0.01〜80重量%の銅触媒(銅金属が該基質に対して0.0005〜20重量%)を、反応溶媒(触媒に対して1〜20000当量、好ましくは10〜700当量となる量)に加え、反応系内を酸素で置換した後、約20℃〜200℃で約30分〜100時間撹拌反応させることにより目的物が得られる。
【0085】
また、本発明の有機トリオールボレート塩を用いて、エーテル化反応を行う場合、アミン化合物の代わりに各種アルコールを用いること以外は、銅触媒アミノ化反応の場合と同様の操作を行うことにより目的物が得られる。
【0086】
更に、本発明の有機トリオールボレート塩を用いてチオエーテル化反応を行う場合は、アミン化合物の代わりに各種チオアルコールを用いる以外は、銅触媒アミノ化反応の場合と同様の操作を行うことにより目的物が得られる。
【0087】
即ち、例えば、当該有機トリオールボレート塩(基質)、該基質に対して0.1〜3倍モル、好ましくは0.5〜2倍モルのアミン化合物及び該基質に対して0.01〜80重量%の銅触媒(銅金属が該基質に対して0.0005〜20重量%)を、反応溶媒(触媒に対して1〜20000当量、好ましくは10〜700当量となる量)に加え、反応系内を酸素で置換した後、約20℃〜200℃で約30分〜100時間撹拌反応させることにより目的物が得られる。
【0088】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【実施例】
【0089】
実施例1 3,5-ジクロロフェニルトリオールボレートナトリウム塩の製造方法
(1) 3,5-ジクロロフェニルボロン酸ピナコールエステルの合成
ジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム(I)(和光純薬工業(株)製)1.66 mg(0.01 mmol%)、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン(dtbpy)(ALDRICH社製)1.34 mg(0.01 mmol)及びヘキサン5 mlを、室温で30分間攪拌した。その後、ビス(ピナコラート)ジボロン(和光純薬工業(株)製) 1397 mg(5.5 mmol)を入れ、最後に1,3-ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)1460 mg(10 mmol)を入れて80℃にして16時間攪拌した。反応後はジエチルエーテルと飽和食塩水で抽出しカラム精製し、3,5-ジクロロフェニルボロン酸ピナコールエステルを得た。
【0090】
(2)トリオールボレート塩の合成
3,5-ジクロロフェニルボロン酸ピナコールエステル273mg(1mmol)、トリス(ヒドロキシルメチル)エタン(和光純薬工業(株)製)120mg(1mmol)、水酸化ナトリウム 40mg(1mmol)、ジオキサン 5ml、水 54μl (3mmol)を25ml用枝つきフラスコに入れ、30℃で16時間攪拌しながら反応させた。反応後、ヘキサン16 mlを入れて反応物を析出させ、固体をろ過、洗浄した。さらに、1 mmHg(1.33hPa)、60℃で乾燥し、単離・精製して、目的のトリオールボレート塩を得た(収率84%)。
反応スキームを以下に示す。
上記反応の反応条件[使用溶媒、3,5-ジクロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(出発物質)に対する水酸化ナトリウムの使用量(当量)、反応温度、出発物質に対する水の使用量(当量)]及び収率について、表1に示す。
【0091】
また、得られたトリオールボレート塩の物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.47 (s, 3H),3.56 (s, 6H),7.05-7.06 (m, 1H), 7.18-7.19 (m, 2H).; 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.6, 35.1, 74.2, 123.8, 130.8, 132.3; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = -0.096; MS (FAB-) m/z (%): 273 ([M-Na]-, 17), 199 (45), 168 (26), 153 (100), 152 (81), 122 (26); HRMS (FAB-) m/z calcd. for C11H12BCl2O3-, 273.0262; found 273.0253.
【0092】
実施例2 反応温度の違いによる反応効率の違い
実施例1の反応温度30℃を60℃とした以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、トリオールボレート塩を得た。その結果、収率は76%であった。
尚、該反応の反応条件及び収率を表1に示す。また、物性データは実施例1と同じであった。
【0093】
実施例3 水酸化ナトリウムの使用量の違いによる反応効率の違い
使用した水酸化ナトリウム量を36mg(0.9mmol)とした以外は、実施例2と同様の方法により実験を行い、トリオールボレート塩を得た。その結果、収率は72%であった。
尚、該反応の反応条件及び収率を表1に示す。また、物性データは実施例1と同じであった。
【0094】
実施例4 水の使用量の違いによる反応効率の違い
使用した水の量を17μl(1mmol)とした以外は、実施例3と同様の方法により実験を行い、トリオールボレート塩を得た。その結果、収率は27%であった。
尚、該反応の反応条件及び収率を表1に示す。また、物性データは実施例1と同じであった。
【0095】
比較例1 水の使用量の違いによる反応効率の違い
反応において水を添加しなかった以外、実施例4と同様の方法により実験を行った。その結果、微量のトリオールボレート塩しか得られなかった。
尚、該反応の反応条件及び収率を表1に示す。
【0096】
実施例5 溶媒の違いによる反応効率の違い
溶媒としてジオキサンの代わりにテトラヒドロフラン(THF)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、トリオールボレート塩を得た。その結果、収率は48%であった。
尚、該反応の反応条件及び収率を表1に示す。また、物性データは実施例1と同じであった。
【0097】
実施例6 溶媒の違いによる反応効率の違い
溶媒としてジオキサンの代わりに1,2-ジメトキシエタン(DME)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、トリオールボレート塩を得た。その結果、収率は46%であった。
尚、該反応の反応条件及び収率を表1に示す。また、物性データは実施例1と同じであった。
【0098】
【表1】
【0099】
実施例1及び2の結果から、アルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウムを用いた本発明の方法によれば30℃〜60℃で高い収率でトリオールボレート塩が得られることが判った。また、実施例1〜3の結果より水酸化ナトリウムの量は、出発物質の0.9〜1当量であれば高い収率でトリオールボレート塩が得られることが判った。
実施例1〜4及び比較例1の結果より、水を使用しないとトリオールボレート塩はほとんど得られなかったが、水の使用量を出発物質の1当量とすると27%の収率ではあるが、目的のトリオールボレート塩を得る事ができ、水の使用量を出発物質の3当量とすると、高い収率でトリオールボレート塩が得られることが判った。
実施例5及び6より、ジオキサン以外のテトラヒドロフランや1,2-ジメトキシエタンを溶媒として用いた場合であっても、収率は低下するものの目的のトリオールボレート塩が得られることが判った。
【0100】
実施例7〜21 各種出発物質を用いたトリオールボレート塩の製造方法
実施例1の出発物質としての3,5-ジクロロフェニルボロン酸ピナコールの代わりに、表2に記載の各種置換基を有するボロン酸ピナコールを用いた以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、トリオールボレート塩を得た。尚、実施例10、12、15及び16においては、反応温度を60℃として実験を行った。
それぞれの収率を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
尚、実施例7〜21により得られた有機トリオールボレート塩の物性データは以下の通りである。
実施例7で得られたトリオールボレート塩(3,4-ジクロロフェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.47 (s, 3H), 3.61 (s, 6H), 7.17-7.22 (m, 2H), 7.40 (s, 1H).; 13C NMR(100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.6, 35.1, 74.2, 126.7, 128.4, 129.1, 132.7, 134.5; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.4; MS (FAB-) m/z (%): 273 ([M-Na]-, 30), 199 (40), 168 (22), 153 (100), 152 (71), 122 (22); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C11H12BCl2O3-, 273.0262; found, 273.0261.
【0103】
実施例8で得られたトリオールボレート塩[3-クロロ-5-メトキシカルボニルフェニル)トリオールボレートナトリウム塩]: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.48 (s, 3H), 3.56 (s, 6H), 3.82 (s, 3H), 7.49-7.52 (m, 2H), 7.91 (s, 1H).; 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.6, 35.2, 52.4, 74.2, 125.0, 129.5, 131.9, 132.3, 137.0, 167.0; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 1.25; MS (FAB-) m/z (%): 297 ([M-Na]- 24), 199 (42), 168 (30), 153 (100), 122 (12); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C13H15BClO5-, 297.0707; found, 297.0695.
【0104】
実施例9で得られたトリオールボレート塩[3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)フェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.48 (s, 3H), 3.57 (s, 6H), 7.44 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.66 (s, 1H).; 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.5, 35.2, 74.2, 121.0,121.6, 122.1, 123.7, 127.7, 139.2; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = -1.00; MS (FAB-) m/z (%): 351 ([M-Na]-,6), 306 (67), 305 (66), 199 (40), 168 (32), 153 (100), 152 (59), 122 (12); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C12H12BBrF3O3-, 351.0020; found, 351.0014.
【0105】
実施例10で得られたトリオールボレート塩(2-チオフェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.46 (s, 3H), 3.54 (s, 6H), 6.70-6.71 (m, 1H), 6.79-6.81 (m, 1H), 7.07 (d, J =4.56 Hz 1H).; 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.7, 34.9, 74.1, 123.8, 126.4, 126.9; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = -0.077, MS (FAB-) m/z (%): 211 ([M-Na]-,20), 199 (38), 153 (100), 152 (59), 122 (15); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C9H12BO3S-, 211.0606; found, 211.0604.
【0106】
実施例11で得られたトリオールボレート塩(2-ベンゾチオフェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.49 (s, 3H), 3.58 (s, 6H), 6.94 (s 1H), 7.04-7.08 (m, 1H), 7.12-7.16 (m 1H), 7.58 (d, J = 7.80 Hz, 1H), 7.73 (d, J =7.80 Hz, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.6, 35.0, 74.1, 121.7, 122.2, 122.3, 122.9, 123.3, 141.9, 142.3; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.60; MS (FAB-) m/z (%): 261 ([M-Na]-, 27), 199 (48), 168 (23), 153 (100), 122 (21); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C13H14BO3S-, 261.0762; found, 261.0760
【0107】
実施例12で得られたトリオールボレート塩(2-フラニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.45 (s,3H), 3.52 (s, 6H), 5.89 (s 1H), 6.09 (s 1H), 7.29 (s 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.6, 35.0, 73.7, 109.0, 110.3, 140.9; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.60; MS (FAB-) m/z (%): 195 ([M-Na]-, 38), 168 (18), 152 (47), 122 (23); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C9H12BO4-, 195.0834; found, 195.0827.
【0108】
実施例13で得られたトリオールボレート塩(2-ベンゾフラニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.49 (s, 3H), 3.57 (s, 6H), 6.29 (s, 1H), 7.00-7.02 (m, 2H), 7.32-7.34 (m, 1H), 7.37-7.39 (m, 1H); 13C NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 16.6, 35.0, 73.9, 106.9, 110.7, 120.0, 121.3, 121.6, 130.1, 156.0; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = -0.99; MS (FAB-) m/z (%): 245 ([M-Na]-, 43), 199 (41), 168 (30), 153 (100), 122 (15); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C13H14BO4-, 245.0991; found, 245.0992.
【0109】
実施例14で得られたトリオールボレート塩(1H-2-インドリルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO): δ = 0.50 (s, 3H), 3.60 (s, 6H), 5.94 (s, 1H), 6.72-6.74 (m, 2H), 7.20 (d, J = 9.16 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 6.84 Hz, 1H), 9.81 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.8, 35.0, 74.0, 102.2, 110.9, 117.2, 117.9, 118.7, 129.9, 137.2; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = -0.33; MS (FAB-) m/z (%): 244 ([M-Na]-, 20), 199 (40), 153 (100), 151 (59), 122 (14); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C13H15BNO3-, 244.1150; found, 244.1151.
【0110】
実施例15で得られたトリオールボレート塩(1H-2-ピローリルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.46 (s, 3H), 3.54 (s, 6H), 5.61 (s, 1H), 5.70 (s, 1H), 6.37 (s, 1H), 9.27 (brs, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.3, 34.3, 73.5, 106.0, 108.1, 114.3; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.64; MS (FAB-) m/z (%): 194 ([M-Na]-, 2), 193 (1), 168 (26), 153 (100), 152 (60), 122 (13); HRMS (FAB-): m/z calcd. for C9H13BNO3-, 194.0994; found, 194.0994
【0111】
実施例16で得られたトリオールボレート塩(1-メチル-1H-4-ピラゾリルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.47 (s, 3H), 3.57 (s, 6H), 3.75 (s, 3H), 5.74 (s, 1H), 6.96 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 6.5, 16.7, 38.7, 74.0, 108.2, 136.1; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.98; MS (FAB-) m/z (%): 209 ([M-Na]-,52), 199 (43), 168 (30), 153 (100), 152 (70).; HRMS (FAB-): m/z calcd. for C9H14BN2O3-, 209.1103; found, 209.1107.
【0112】
実施例17で得られたトリオールボレート塩(3-トリフルオロメチルフェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.48 (s, 3H), 3.58 (s, 6H), 7.19-7.24 (m, 2H), 7.56 (d, J = 7.32 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 36.7, 35.1, 74.2, 121, 124.7, 126.6, 126.9, 127.4, 129.0, 136.5; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.33; HRMS (FAB-): m/z calcd. for C12H13BF3O3-, 273.0915; found, 273.0919.
【0113】
実施例18で得られたトリオールボレート塩(4-トリフルオロメチルフェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.48 (s, 3H), 3.58 (s, 6H), 7.28 (d, J = 7.32 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 7.76 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, DMSO): δ = 16.7, 35.1, 74.2, 122,4, 133.0; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.44; MS (FAB-) m/z (%): 273 ([M-Na]-, 100), 272 (25), 199 (9), 168 (9), 153 (28), 122 (8); HRMS (FAB-): m/z: calcd. for C12H13BF3O3-, 273.0915; found 273.0907.
【0114】
実施例19で得られたトリオールボレート塩(3-メトキシフェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.48 (s, 3H), 3.56 (s, 6H), 3.65 (s, 3H), 6.45-6.47 (m, 1H), 6.88-6.89 (m, 3H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.8, 35.0, 54.9, 74.1, 110.9, 117.0, 125.2, 126.9, 158.1; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.73; MS (FAB-) m/z (%): 235 ([M-Na]-, 16), 199 (41), 153 (100), 152 (60), 122 (14); HRMS (FAB-): m/z: calcd. for C12H16BO4-, 235.1147; found, 235.1151.
【0115】
実施例20で得られたトリオールボレート塩(4-メトキシフェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.46 (s,3H), 3.55 (s, 6H), 3.63 (s, 3H), 6.55 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.20 (d, J = 7.8 Hz, 2H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.8, 34.9, 54.9, 74.1, 111.8, 133.5, 157.2; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 1.24.; HRMS (FAB-): m/z: calcd. for C12H16BO4-, 235.1147; found, 235.1159.
【0116】
実施例21で得られたトリオールボレート塩(フェニルトリオールボレートナトリウム塩): 1H-NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ: 0.47 (s, 3H), 3.56 (s, 6H), 6.88-6.98 (m, 3H), 7.30 (d, J = 6.8 Hz, 2H); 13C-NMR (DMSO-d6, 100MHz) δ:16.5, 73.9, 124.2, 125.7, 132.3; 11B-NMR (DMSO-d6, 128MHz) δ:4.39; MS (m/z) 56(5), 104(100), 148(27), 205(10, M+); exact mass calcd for C11H14 BO3: 205.1036; found 205.1041; anal. calcd for C11H14BKO3: C, 54.12, H, 5.78; found C, 52.76, H, 5.65.
実施例7〜21の結果より、本発明の製造方法によれば、従来のトリオールボレート塩の製造方法では製造することができなかったカルボニル基、カルボニルオキシ基、2級アミノ基又は3級アミノ基を有するトリオールボレート塩を製造できることが判った。
【0117】
実施例22〜26 各種出発物質を用いたトリオールボレートカリウム塩の製造方法
実施例1の3,5-ジクロロフェニルボロン酸ピナコールの代わりに、表3に記載の各種置換基を有するボロン酸ピナコールを用い、水酸化ナトリウム1.0mmolの代わりに水酸化カリウム0.9mmolを用い、反応温度を90℃とした以外は、実施例1と同様の方法により実験を行い、トリオールボレートカリウム塩を得た。
それぞれの収率を表3に示す。
【0118】
【表3】
【0119】
尚、実施例22〜26により得られた有機トリオールボレート塩の物性データは以下の通りである。
実施例22 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.49 (s, 3H), 3.59 (s, 6H), 6.92-7.01 (m, 3H), 7.33 (d, J = 7.5 Hz, 2H); 13C NMR: δ =16.5, 34.6, 73.8, 124.4, 126.0, 132.3; HRMS m/z: calc. for C11H14BO3 205.1042, found 205.1041.
【0120】
実施例23 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.48 (s, 3H), 3.57 (s, 6H), 3.64 (s, 3H), 6.57 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.1 Hz, 2H); 13C NMR (100 Hz, DMSO-d6): δ = 16.5, 34.6, 54.6, 73.8, 111.6, 133.1, 156.9; MS m/z (%): 235 (M+, 100), 234 (24); HRMS m/z: calc. for C12H16BO4 235.1142, found 235.1159.
【0121】
実施例24 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.47 (s, 3H), 3.56 (s, 6H), 3.66 (s, 3H), 6.44-6.47 (m, 1H), 6.86-6.89 (m, 3H); 13C NMR(100 Hz, DMSO-d6): δ = 16.6, 35.0, 54.9, 73.7, 111.7, 118.2, 125.2, 126.9, 158.6; MS m/z (%): 235 ([M-K]+, 100), 199 (42), 153 (100), 122 (18); HRMS m/z: calc. for C12H16BO4 235.1142, found 235.1151.
【0122】
実施例25 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.48 (s, 3H), 3.57 (s, 6H), 3.64 (s, 3H), 6.57 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.1 Hz, 2H); 13C NMR (100 Hz, DMSO-d6): δ = 16.3, 34.7, 73.8, 122.2, 123.6, 124.5, 124.9, 125.4, 127.6, 132.7; MS m/z (%): 273 (M+, 25), 272 (6), 258 (6), 245 (15), 153 (10), 148 (100), 146 (24); HRMS m/z: calc. for C12H13BF3O3 273.0915, found 273.0919.
【0123】
実施例26 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.49 (s, 3H), 3.61 (s, 6H), 7.20-7.27 (m, 2H), 7.59-7.65 (m, 2H); 13C NMR (100 Hz, DMSO-d6): δ = 16.3, 34.8, 73.8, 121.2, 123.9, 126.7, 128.8, 136.2; HRMS m/z: calc. for C12H13BF3O3 273.0915, found 273.0919.
実施例22〜26の結果より、本発明の製造方法によれば、ホウ素との結合手を1位とした場合の3位又は4位に置換基を有するフェニル基を有するトリオールボレート塩も容易に製造できることが判った。
【0124】
実施例27 ピレニルトリオールボレートカリウム塩の製造方法
(1)ピレニルピナコールボロン酸エステルの合成(C-Hホウ素化方法)
ジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム(I)([Ie(OMe)(cod)]2、和光純薬工業(株)製)1.66 mg(反応基質に対して0.1 mol%;0.01mmol)、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン(dtbpy)(アルドリッチ社製)1.34 mg (反応基質に対して0.1 mol%;0.01mmol)、及びシクロヘキサン5 mlを25mlの枝つきフラスコに測りとり、室温で30分間攪拌した。その後、ビス(ピナコラート)ジボロン(B2pin2、和光純薬工業(株)製) 1397 mg(5.5 mmol)を入れ、最後にピレン(和光純薬工業(株)製)2022 mg(10 mmol)を入れて80℃で16時間攪拌した。反応後はジエチルエーテルと飽和食塩水で抽出しカラム精製し、ピレニルボロン酸ピナコールエステルを得た。以下に反応式を記載する(式中、Bpinは、ピナコールボロン酸エステルを表す。尚、Bpinは、以下同じものを表す。)
【0125】
(2) ピレニルトリオールボレートカリウム塩の製造
(1)で得られたピレニルボロン酸ピナコールエステル 932mg(1mmol)、トリス(ヒドロキシルメチル)エタン (和光純薬工業(株)製) 120mg(1mmol)、水酸化カリウム 50mg(0.9mmol)、ジオキサン 5ml、水 54μl (3mmol)を25ml用枝つきフラスコに入れ、60℃で16時間攪拌しながら反応させた。反応後、ヘキサン16 mlを入れて反応物を析出させ、固体をろ過、洗浄した。さらに、1 mmHg(1.33hPa)、60℃で乾燥し、単離・精製して、目的のトリオールボレート塩を得た(収率89%)。以下に、反応式を記載する。
得られたトリオールボレート塩の物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.56 (s, 3H), 3.72 (s, 6H), 7.91-8.13 (m, 7H), 8.30 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 16.3, 34.7, 73.8, 122.4, 123.5, 124.6, 124.8, 125.1, 128.3, 128.6, 130.4, 130.5; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 1.72.; HRMS (FAB-): m/z: calcd. for C21H18BO3-, 329.1354; found, 329.1353.
実施例27の結果より、本発明の製造方法によれば、ピレニル基を有するトリオールボレート塩を製造できることが判った。
【0126】
実施例28 3,5-ジメチル-4-イソオキサゾリルトリオールボレートカリウム塩の製造方法
(1) 3,5-ジメチル-4-イソオキサゾリルボロン酸ピナコールエステルの合成
ジオキサン (30 ml)に4-ヨード-3,5-ジメチルイソオキサゾール(東京化成工業(株)製) (3.56 g, 16 mmol), トリエチルアミン(和光純薬工業(株)製) (6.68 ml, 48mmol), ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(和光純薬工業(株)製) (0.56 g, 0.8 mmol)、 4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(和光純薬工業(株)製)(4.06 ml, 24 mmol)を入れ、還流下3時間攪拌した。反応液を濃縮した後、ジエチルエーテル(30mL)を入れ攪拌し、不溶物をろ過した。ろ液を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を濃縮し、カラム精製を行い、目的物を2.1 g収率62%で得た。 1H NMR (CDCl3, 250 MHz);1.30 (s, 12H), 2.33 (s, 3H), 2.51 (s, 3H)
【0127】
(2) 3,5-ジメチル-4-イソオキサゾリルトリオールボレートカリウム塩の合成
出発物質としてピレニルボロン酸ピナコールエステル 1mmolの代わりに(1)で得た3,5-ジメチル-4-イソオキサゾリルピナコールエステルを用いた以外は、実施例27の(2)と同様に実験を行い、3,5-ジメチル-4-イソオキサゾリルトリオールボレートカリウム塩を得た(収率:82%)。
【0128】
得られたトリオールボレート塩の物性データを以下に示す。
〔物性データ〕
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.41 (s, 3H), 2.02 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 3.51 (s, 6H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ = 12.1, 12.3, 16.3, 34.4, 73.5, 163.3, 191.1; 11B NMR (128 MHz, DMSO-d6): δ = 0.07; HRMS (FAB-): m/z: calcd. for C10H15BNO4-, 224.1100; found, 235.1098.
実施例28の結果より、本発明の製造方法によれば、3級アミノ基及びオキシ基を有する複素環基を有するトリオールボレート塩を製造できることが判った。
【0129】
実験例29 ワンポット法による3,5-ジクロロフェニルトリオールボレートナトリウム塩の合成方法
50mlの枝つきフラスコにジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)二イリジウム(I)(和光純薬工業(株)製)50 mg(反応基質に対して3 mol%;0.225mmol)、4,4’-ジ-tert-ブチル-2,2’-ビピリジン(dtbpy)(アルドリッチ社製)40.2 mg(反応基質に対して3 mol%;0.225mmol)、n-ヘキサン 30mlを測りとり室温で30分攪拌した。その後、ピナコールボロン酸(和光純薬工業(株)製) 1 ml(7.5 mmol)を入れ、最後に1,3-ジクロロベンゼン730 mg(5 mmol)を入れて室温で、16時間攪拌して反応させた。反応終了後ショートカラムで処理し、ガスクロマトフラフィーによって生成物の量を決定した後、トリオール540 mg(4.5 mmol)、水酸化ナトリウム 180 mg(4.5 mmol)、ジオキサン 23 ml、及び水 243μl(13.5 mmol)を入れ30℃、16時間攪拌し反応させた。反応後、ヘキサン70 mlに入れて目的物を析出させ、得られた固体をろ過、洗浄した後に0.5 mmHg(0.67hPa)、60℃で乾燥することで単離・精製した。
【0130】

この結果より、ワンポットで行っても目的のトリオールボレート塩を容易に製造できることが判った。
【0131】
実験例1 ピレニルトリオールボレートカリウム塩を用いたカップリング方法
酢酸パラジウム(0.03 mmol)、ジメチルホルムアミド(4 ml)及び水(1ml)を25ml用枝つきフラスコに入れ、室温で30分攪拌した。そこに実施例27で得たピレニルトリオールボレートナトリウム塩(1.5mmol)及び4-ブロモ安息香酸メチル(東京化成工業(株)製) (1 mmol)を入れ、室温で10時間攪拌し、反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルと飽和食塩水を用いて目的物を抽出し、硫酸マグネシウムで処理した。その後、カラムクロマトグラフィーで単離・精製を行い、4-ピレニル安息香酸メチルを得た(収率99%以上)。
この結果より、本発明の製造方法により得られた本発明のトリオールボレート塩を用いることで、高効率にカップリング反応を進めることができることが判った。
【0132】
実験例2 1H-2-ピロリルトリオールボレートナトリウム塩を用いたカップリング方法
酢酸パラジウム(0.05 mmol)、ジフェニルホスフィノプロパン(0.055 mmol)及びジメチルホルムアミド(5 ml)を25ml用枝つきフラスコに入れ、室温で30分攪拌した。そこに実施例15で得られた1H-2-ピロリルトリオールボレートナトリウム塩 (2mmol)、p-ブロモアセトフェノン(和光純薬工業(株)製) (1 mmol)、及びヨウ化銅(I)(0.2 mmol)を入れ、80℃で16時間攪拌し反応させた。反応終了後、ジエチルエーテルと飽和食塩水を用いて目的物を抽出し、硫酸マグネシウムで処理した。その後、カラムクロマトグラフィーで単離・精製し、1-(1H-2-ピロリルフェニル)エタノンを得た(収率99%以上)。
この結果より、本発明の製造方法により得られた本発明のトリオールボレート塩を用いることで、高効率にカップリング反応を進めることができることが判った。