(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トランスの一次巻線に入力電力を印加し、前記トランスの一次巻線に接続されたスイッチング素子をオンオフ動作させることで、前記トランスの二次巻線にパルス電圧を誘起させ、整流ダイオードと平滑コンデンサとを有する二次側整流平滑回路によって整流平滑した出力電圧を出力するスイッチング電源装置であって、
過渡状態を検出して、ソフトドライブ指示信号を出力する過渡状態検出回路と、
前記ソフトドライブ指示信号が入力されると、ゲート閾電圧を通過する際のゲート電圧の充電速度を通常動作時に比べて遅くしたソフトドライブ動作で前記スイッチング素子をオンオフ動作させるドライブ回路とを具備し、
前記過渡状態検出回路は、起動時から、前記出力電圧が定常電圧に到達後、フィードバック制御の応答性によって前記スイッチング素子のドレイン電流が振動する期間を前記過渡状態として検出することを特徴とするスイッチング電源装置。
前記ドライブ回路は、前記ゲート電圧が前記ゲート閾電圧を通過した後、前記ゲート電圧の充電速度を通常動作時に戻すことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
前記過渡状態検出回路は、二次側からフィードバック信号によって検出される過負荷状態を前記過渡状態として検出し、前記ソフトドライブ指示信号を予め設定された期間出力することを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチング電源装置。
前記過渡状態検出回路は、前記スイッチング素子のドレイン電流によって検出される過負荷状態を前記過渡状態として検出し、前記ソフトドライブ指示信号を予め設定された期間出力することを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチング電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態のスイッチング電源装置は、
図1を参照すると、整流回路DBと、平滑コンデンサC1、C2、C3と、トランスTと、コントローラIC1と、整流ダイオードD1、D2と、エラーアンプ(E/A)2と、フォトカプラを構成する発光ダイオードPC1及び受光トランジスタPC2と、電流検出抵抗Rocpと、抵抗R1、R2と、コンデンサC4とを備えている。
【0010】
ダイオードがブリッジ構成された整流回路DBの交流入力端子ACin1、ACin2には商用交流電源ACが接続され、商用交流電源ACから入力された交流電圧が全波整流されて整流回路DBから出力される。整流回路DBの整流出力正極端子と整流出力負極端子との間には、平滑コンデンサC1が接続されている。また、整流回路DBの整流出力負極端子は接地端子に接続されている。これにより、商用交流電源ACを整流回路DBと平滑コンデンサC1とで整流平滑した直流電源が得られる。
【0011】
コントローラIC1は、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子と当該スイッチング素子のスイッチング制御を行うための制御回路が内蔵されており、D/ST(MOSFETドレイン/起動電流入力)端子と、S/OCP(MOSFETソース/過電流保護)端子と、Vcc(制御回路電源電圧入力)端子と、FB/OLP(フィードバック信号入力/過負荷保護信号入力)端子と、GND端子とを備えている。
【0012】
一次側(入力側)から二次側(負荷側)へ電力を供給するトランスTは、一次巻線Pおよび補助巻線Dと、二次巻線Sとで構成されており、整流回路DBの整流出力正極端子がトランスTの一次巻線Pの一端部に接続され、トランスTの一次巻線Pの他端部がコントローラIC1のD/ST端子に接続されていると共に、コントローラIC1のS/OCP端子が抵抗Rocpを介して接地端子に接続されている。これにより、コントローラIC1が内蔵するスイッチング素子をオン/オフ制御することで、トランスTの一次巻線Pに与えられた電力が、トランスTの二次巻線Sに伝達され、トランスTの二次巻線Sに脈流が発生する。また、電流検出抵抗Rocpは、コントローラIC1が内蔵するスイッチング素子を流れる電流を電圧信号V
ocpとして検出する抵抗として接続されている。コントローラIC1は、スイッチング素子を流れる電流に対応した電圧信号V
ocpが予め設定された過電流閾値以上になると、二次側に供給する電力を制限する過電流保護(OCP)機能を有している。
【0013】
トランスTの二次巻線Sの両端子間には、整流ダイオードD1を介して平滑コンデンサC2が接続されている。トランスTの二次巻線Sに誘起される電圧は、整流ダイオードD1と平滑コンデンサC2により整流平滑され、平滑コンデンサC2の端子間電圧が出力電圧Voとして出力端子から出力される。なお、平滑コンデンサC2の正極端子に接続されているラインが電源ラインとなり、平滑コンデンサC2の負極端子が接続されたラインは接地端子に接続されたGNDラインとなる。
【0014】
電源ラインとGNDラインとの間には、エラーアンプ2が直列に接続されている。エラーアンプ2は、電源ラインとGNDラインとの間に接続され、出力電圧Voと定常電圧との差に応じて、フォトカプラの発光ダイオードPC1に流れる電流を制御する。また、コントローラIC1のFB/OLP端子は並列に接続された発光ダイオードPC1及びコンデンサC4を介して接地端子に接続されている。これにより、出力電圧に応じたフィードバック(FB)信号が二次の発光ダイオードPC1から一次側の受光トランジスタPC2に送信され、コントローラIC1のFB/OLP端子に電圧信号V
FBとして入力される。コントローラIC1は、FB/OLP端子に入力される電圧信号V
FBに基づいてスイッチング素子のデューティ比を制御し、二次側に供給する電力量を制御する。
【0015】
また、トランスTの補助巻線Dの両端子間には、整流ダイオードD2を介して平滑コンデンサC3が接続され、整流ダイオードD2と平滑コンデンサC3との接続点がコントローラIC1のVcc端子に接続されている。これにより、補助巻線Dに発生した電圧は、整流ダイオードD2及び平滑コンデンサC3により整流平滑され、IC用電源電圧VccとしてコントローラIC1のVcc端子に供給される。
【0016】
(第1の実施の形態)
次に、
図1示すコントローラIC1の第1の実施の形態の回路構成について、
図2を参照して説明する。
コントローラIC1は、
図2を参照すると、Nチャネル型のパワーMOSFET等からなるスイッチング素子Q1と、ドライブ回路11と、OSC(内部発振器)12と、レギュレータ13と、タイマ回路14と、過負荷検出回路15と、可変電圧V
R1、V
R2と、オア回路OR1、OR2と、フリップフロップFF1と、コンパレータCOMP1、COMP2、COMP3と、抵抗R3とを備えている。
【0017】
D/ST端子には、スイッチング素子Q1のドレイン端子が接続されていると共に、S/OCP端子には、スイッチング素子Q1のソース端子が接続され、スイッチング素子Q1のゲート端子には、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号DRVを出力してオン/オフを制御するドライブ回路11が接続されている。ドライブ回路11には、オア回路OR1の出力が入力されている。
【0018】
オア回路OR1の入力端子には、OSC12の出力とフリップフロップFF1の反転出力端子Q
−の出力とが入力され、フリップフロップFF1のS端子には、OSC12の出力が、フリップフロップFF1のR端子には、オア回路OR2の出力が接続されている。なお、OSC12から出力されるクロック信号のパルス幅はスイッチング素子Q1の最低オン時間幅未満に設定されている。フリップフロップFF1は、PWMラッチ回路として機能する。これにより、OSC12の出力信号がLレベル(クロック信号が出力されていない状態)で、且つフリップフロップFF1がセットされて反転出力端子Q
−の出力信号がLレベルである場合に、オア回路OR1からHレベルの出力信号がドライブ回路11に入力され、スイッチング素子Q1がターンオンされる。
【0019】
S/OCP端子は、コンパレータCOMP1の非反転端子とコンパレータCOMP2の非反転端子とにそれぞれ接続されている。コンパレータCOMP1は、過電流を検出するOCPコンパレータであり、反転端子には、通常動作時には過電流閾値に設定されている可変電圧V
R1が接続されている。通常動作時には、スイッチング素子Q1を流れるドレイン電流IDに対応するS/OCP端子の電圧信号V
ocpが過電流閾値以上である場合に、コンパレータCOMP2からHレベルの出力信号が出力される。コンパレータCOMP1の出力信号がHレベルになることで、オア回路OR2を介してフリップフロップFF1がリセットされて、オア回路OR1の出力信号がLレベルとなり、スイッチング素子Q1がオフされる。
【0020】
コンパレータCOMP2は、FB/OLP端子に電圧信号VFBとして入力されるFB信号に基づいてスイッチング素子Q1のデューティ比を制御するフィードバック制御を行うための電流センスコンバータである。コンパレータCOMP2の反転入力端子は、抵抗R
3を介して基準電圧Regに接続されているFB/OLP端子に接続されている。コンパレータCOMP2において、電圧信号Vocpと電圧信号VFBとが比較され、電圧信号Vocpが電圧信号VFB以上である場合に、コンパレータCOMP2からHレベルの出力信号が出力される。コンパレータCOMP2の出力信号がHレベルになることで、オア回路OR2を介してフリップフロップFF1がリセットされてオア回路OR1の出力信号がLレベルとなり、スイッチング素子Q1がオフされる。これにより、FB信号に基づいてスイッチング素子Q1のデューティ比を制御するフィードバック制御が行われる。
【0021】
コンパレータCOMP3は、Vcc端子のIC用電源電圧Vccと、可変電圧V
R2とを比較する比較回路である。コンパレータCOMP3は、非反転入力端子がVcc端子に、反転入力端子が可変電圧V
R2にそれぞれ接続されている。コンパレータCOMP3からの出力信号は、可変電圧V
R2に入力され、可変電圧V
R2は、
コンパレータCOMP3からの出力信号がLowレベルの場合に、第1の基準電圧Von(例えば、15V)に、
コンパレータCOMP3からの出力信号がHレベルの場合に、第1の基準電圧Vonよりも低い第2の基準電圧Voff(例えば、10V)にそれぞれ設定される。これにより、コンパレータCOMP3の出力信号は、ヒステリス特性を有し、図示しない起動回路によって
図1に示す平滑コンデンサC3が充電され、IC用電源電圧Vccが第1の基準電圧Vonを超えると、Hレベルに、IC用電源電圧Vccが第2の基準電圧Voff以下になると、Lレベルになる。
【0022】
また、コンパレータCOMP3の出力端子は、レギュレータ13に接続されている。レギュレータ13は、Vcc端子から電力の供給を受け、コンパレータCOMP3の出力信号がHレベルの場合に動作し、コントローラIC1の各部が動作するための電源電圧をそれぞれ供給する。すなわち、コンパレータCOMP3の出力信号は、コントローラIC1のオンオフを制御する信号であり、コントローラIC1の定常動作時(スイッチング動作のオン時)には、
コンパレータCOMP3の出力信号は、Hレベルとなる。従って、可変電圧
VR2の第1の基準電圧Vonは、コントローラIC1の動作開始電圧であり、可変電圧
VR2の第2の基準電圧Voffは、コントローラIC1の動作停止電圧である。
【0023】
コンパレータCOMP3の出力端子は、タイマ回路14に接続されている。タイマ回路14は、コンパレータCOMP3の出力がHレベルになるタイミングで起動開始を検出する。そして、タイマ回路14は、起動開始から予め設定されている期間をかけて可変抵抗V
R1を過電流閾値まで徐々に引き上げるソフトスタート制御を行う。さらに、タイマ回路14は、起動開始を検出すると、予め設定されたソフトドライブ期間Taを生成し、ドライブ回路11に対してソフトドライブ指示信号をソフトドライブ期間Ta出力する。
【0024】
ドライブ回路11は、オア回路OR1の出力信号に基づいてスイッチング素子Q1のドライブ信号を出力する。ドライブ回路11は、
図3を参照すると、Pチャネル型MOSFETからなる第1のオン用スイッチ素子21と、Pチャネル型MOSFETからなる第2のオン用スイッチ素子22と、第1のオンドライブ抵抗31と、第2のオンドライブ抵抗32と、Nチャネル型MOSFETからなるオフ用スイッチ素子23と、オフドライブ抵抗33と、ディレイ回路40と、切り換えスイッチ41と、インバータ51、52、53とを備えている。
【0025】
電源電圧Regとスイッチング素子Q1のゲートとの間には、直列に接続された第1のオン用スイッチ素子21及び第1のオンドライブ抵抗31と、直列に接続された第2のオン用スイッチ素子22及び第2のオンドライブ抵抗32とが並列に接続されている。そして、第1のオン用スイッチ素子21のゲートには、インバータ51を介してオア回路OR1の出力端子が接続されていると共に、第2のオン用スイッチ素子22のゲートには、インバータ52を介して切り換えスイッチ41の出力端子が接続されている。切り換えスイッチ41の一方の入力端子には、オア回路OR1の出力端子が直接接続されていると共に、他方の入力端子には、ディレイ回路40を介してオア回路OR1の出力端子が直接接続されている。また、スイッチング素子Q1のゲートと接地端子GNDとの間には、直列に接続されたオフドライブ抵抗33及びオフ用スイッチ素子23が接続されている。切り換えスイッチ41は、通常動作には、オア回路OR1の出力端子が直接接続されている一方の入力端子側に切り換えられており、ソフトドライブ指示信号が入力されると、ディレイ回路40を介してオア回路OR1の出力端子が接続されている他方の入力端子側に切り換えられる。
【0026】
ソフトドライブ指示信号が入力されていない通常動作時において、オア回路OR1の出力信号がHレベルになると、第1のオン用スイッチ素子21と第2のオン用スイッチ素子22とのいずれもがオンされ、スイッチング素子Q1のゲートは、
図4(a)に示すように、並列に接続された第1のオンドライブ抵抗31及び第2のオンドライブ抵抗32を介して充電される。これに対し、ソフトドライブ指示信号が入力されたソフトドライブ時において、オア回路OR1の出力信号がHレベルになると、
図4(b)に示すように、スイッチング素子Q1のゲートは、まず、第1のオンドライブ抵抗31のみを介して充電され、ディレイ回路40に設定されたディレイ時間Tdが経過した後に、並列に接続された第1のオンドライブ抵抗31及び第2のオンドライブ抵抗32を介して充電される。ディレイ回路40に設定されたディレイ時間Tdは、
図4(b)に示すように、第1のオンドライブ抵抗31のみを介して充電されるスイッチング素子Q1のゲート電圧V
Gがゲート閾電圧V
thを超える時間に設定されている。従って、通常動作時に比べてソフトドライブ時では、ゲート電圧V
Gがゲート閾電圧V
thを通過するまでの間、オンドライブ抵抗の抵抗値が大きい値に切り換えられ、ゲート閾電圧V
thを通過する際のゲート電圧V
Gの充電速度が遅く、ドライブ(ソース側の)スピードが遅くなる。
【0027】
タイマ回路14がソフトドライブ指示信号を出力するソフトドライブ期間Taは、
図5に示すように、起動時の過渡状態を含む、起動開始から出力電圧Voが定常電圧まで立ち上がる期間以上に設定されている。
図6〜
図8は、起動時の過渡状態時に通常動作を行った場合の各部の信号波形及び動作波形と、起動時の過渡状態時にソフトドライブ動作を行った場合の各部の信号波形及び動作波形とを対比させた波形である。
図6において、(a)は出力電圧Vo、(b)はIC用電源電圧Vcc、(c)はFB/OLP端子の電圧信号V
FB、(d)はS/OCP端子の電圧信号V
ocp、(e)はドレイン電流ID、(f)は
整流ダイオードD1の逆方向電圧VR、(g)はスイッチング素子Q1の駆動信号DRVをそれぞれ示している。
【0028】
図示しない起動回路によって平滑コンデンサC3が充電され、
図6(c)に示すように、IC用電源電圧Vccが動作開始電圧Vonに達すると、コントローラIC1が起動される。起動直後の
図6(e)、(f)に矢印Aで示す期間では、コントローラIC1は、ソフトスタート制御を行うと共に、リーディングエッジブランキング機能を停止するため、ターンオン時の放電電流(ドレイン電流ID)のみで動作する。このターンオン時の放電電流のみで動作する期間にソフトドライブ動作を行うことで、
図7(e)に示すように、通常動作に比べてドレイン電流IDの傾きが変わる。また、放電電流のみで動作する期間では、スイッチング素子Q1は最小のオン時間で動作する。これにより、
図7(e)に示すように、ドレイン電流IDのピークが抑えられ、
図7(f)に示すように、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0029】
ソフトスタート制御が終了した後、出力電圧Voが定常電圧に到達するまでの
図6(e)、(f)に矢印Bで示す期間では、コントローラIC1は、リーディングエッジブランキング機能を働かせている。この場合でも、ソフトドライブ動作を行うことで、
図7(e)に示すように、ターンオン時の放電電流(ドレイン電流ID)が抑えられ、
図7(f)に示すように、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0030】
また、出力電圧Voが定常電圧に到達した後でも、フィードバック制御の応答性により、
図6(e)に矢印Cで示すように、ドレイン電流IDが振動して高くなってしまうことがある。従って、出力電圧Voが定常電圧に到達した後のドレイン電流IDが振動する期間も、ソフトドライブ動作を行うことで、ドレイン電流IDが抑えられ、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0031】
なお、第1の実施の形態では、起動時のソフトドライブ期間Taを起動時から出力電圧Voが定常電圧に到達した後、フィードバック制御の応答性によってドレイン電流IDが振動する期間を含むように構成したが、
図5に示すように、起動時から出力電圧Voが定常電圧に到達するまでの期間ta1をソフトドライブ期間としても一定の効果を得ることができる。また、ソフトスタート期間ta2をソフトドライブ期間とすると、ソフトドライブ期間を別途生成する必要がないため、回路構成を簡略化することができる。さらに、ソフトスタート期間ta2よりも短い期間ta3ソフトドライブ期間としても一定の効果を得ることができる。
【0032】
また、過負荷検出回路15に入力端子には、
図2を参照すると、FB/OLP端子が接続されている。過負荷検出回路15は、FB/OLP端子の電圧信号V
FBを予め設定された過負荷閾電圧と比較することで、過負荷状態を検出する。そして、過負荷検出回路15は、過負荷状態を検出すると、予め設定されたソフトドライブ期間Tbを生成し、ドライブ回路11に対してソフトドライブ指示信号をソフトドライブ期間Tb出力する。これにより、ターンオン時の放電電流(ドレイン電流ID)が抑えられ、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0033】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、トランスTの一次巻線Pに入力電力を印加し、トランスTの一次巻線Pに接続されたスイッチング素子Q1をオンオフ動作させることで、トランスTの二次巻線Sにパルス電圧を誘起させ、整流
ダイオードD1と平滑コンデンサC2とを有する二次側整流平滑回路によって整流平滑した出力電圧Voを出力するスイッチング電源装置であって、過渡状態を検出して、ソフトドライブ指示信号を出力する過渡状態検出回路(タイマ回路14、過負荷検出回路15)と、ソフトドライブ指示信号が入力されると、ゲート閾電圧を通過する際のゲート電圧の充電速度を通常動作時に比べて遅くしたソフトドライブ動作でスイッチング素子Q1をオンオフ動作させるドライブ回路11とを備えている。
この構成により、ターンオン時の放電電流を抑えて、整流ダイオードに発生するサージ電圧を抑えることができ、二次側やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードとして、耐圧の低いものを使用することができる。耐圧の低い整流ダイオードを使用することで、コストを低減することができる。さらに、耐圧の高い整流ダイオード(例えば、超高速整流ダイオード)に比べて、耐圧の低い整流ダイオード(例えば、ショットキバリアダイオード)は、順方向電圧VFが低く、電源効率の改善につながる。特に、軽負荷時では整流ダイオードの順方向電圧VFでの損失の影響度が大きいことから、順方向電圧VFの低い整流ダイオードを使用することで軽負荷効率に大きく改善につながる。
【0034】
さらに、第1の実施の形態によれば、ドライブ回路11は、ゲート電圧がゲート閾電圧を通過した後、ゲート電圧の充電速度を通常動作時に戻すように構成されている。
この構成により、ソフトドライブ動作時のスイッチング素子Q1のオン抵抗を抑えることができる。
【0035】
さらに、第1の実施の形態によれば、タイマ回路14は、起動時から予め設定された期間を過渡状態として検出し、ソフトドライブ指示信号を出力するように構成されている。
この構成により、ターンオン時の放電電流のみで動作する期間において、スイッチング素子Q1のドレイン電流IDのピークが抑えられ、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0036】
さらに、第1の実施の形態によれば、タイマ回路14は、起動時から出力電圧Voが定常電圧に到達後、フィードバック制御の応答性によってスイッチング素子Q1のドレイン電流IDが振動する期間を過渡状態として検出するように構成されている。
この構成により、ソフトスタート制御が終了した後、出力電圧Voが定常電圧に到達するまで期間や、フィードバック制御の応答性によってドレイン電流IDが振動する期間において、スイッチング素子Q1のドレイン電流IDのピークが抑えられ、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0037】
さらに、第1の実施の形態によれば、過負荷検出回路15は、二次側からフィードバック信号によって検出される過負荷状態を過渡状態として検出し、ソフトドライブ指示信号を予め設定された期間出力するように構成されている。
この構成により、過負荷状態において、スイッチング素子Q1のドレイン電流IDのピークが抑えられ、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、
図9を参照すると、過負荷検出回路15に入力端子に、コンパレータCOMP1の出力端子が接続され過負荷検出回路15は、コンパレータCOMP1からHレベルの出力信号が出力されると、過負荷状態を検出する点で、第1の実施の形態と異なっている。すなわち、ドレイン電流IDとして検出されるS/OCP端子の電圧信号V
ocpは、FB/OLP端子の電圧信号V
FBに追随するため、第2の実施の形態では、ドレイン電流IDに基づいて過負荷状態を検出し、ソフトドライブ動作を行うように構成されている。
【0039】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、過負荷検出回路15は、スイッチング素子Q1のドレイン電流IDによって検出される過負荷状態を過渡状態として検出し、ソフトドライブ指示信号を予め設定された期間出力するように構成されている。
この構成により、過負荷状態において、スイッチング素子Q1のドレイン電流IDのピークが抑えられ、二次側の整流ダイオードD1やIC用電源電圧Vccの整流ダイオードD2に発生する
逆方向電圧VRも抑えることができる。
【0040】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、
図10を参照すると、第1の実施の形態の構成に加え、再起動遅延回路16が設けられている。再起動遅延回路16は、過負荷検出回路15からソフトドライブ指示信号が入力されると、オートリスタートの周期に遅くしている。すなわち、本発明では、過負荷状態を検出すると、ソフトドライブ動作を行うため、スイッチング素子Q1の発熱が高くなる。そこで、オートリスタートの周期を遅くすることで、発振回数(スイッチング駆動動作の繰返し間隔)を抑え、スイッチング素子Q1の発熱を抑制する。
【0041】
時刻t1から過負荷状態が続き、
図12に示すように、時刻t2でIC用電源電圧Vccが第2の基準電圧Voffまで下がると、コンパレータCOMP3からLレベルの出力信号が出力され、コントローラIC1の動作が停止する。コントローラIC1の動作が停止した場合の通常のオートリスタートでは、コントローラIC1の動作停止後、図示しない起動回路によってIC用電源電圧Vccが充電され、時刻t3で第1の基準電圧Vonに到達すると、コンパレータCOMP3からHレベルの出力信号が出力され、コントローラIC1が起動される。このように、図示しない起動回路によるIC用電源電圧Vccの充電時間(第2の基準電圧Voffから第1の基準電圧Von)がオートリスタートの周期となり、以降この動作が繰り返されることになる。
【0042】
これに対し、第3の実施の形態では、ソフトドライブ指示信号が入力されると、過負荷検出回路15は、
図11に示すように、コントローラIC1の動作停止後、図示しない起動回路によってIC用電源電圧Vccが充電され、時刻t3で第1の基準電圧Vonに到達しても、1回目は、コンパレータCOMP3からHレベルの出力信号が出力されないように制御する。その後、時刻t4でIC用電源電圧Vccが第2の基準電圧Voffまで下がり、時刻t5で第1の基準電圧Vonに到達することで、コンパレータCOMP3からHレベルの出力信号が出力され、コントローラIC1が起動される。この場合、図示しない起動回路によるIC用電源電圧Vccの充電時間(第2の基準電圧Voffから第1の基準電圧Von)の2回分と、IC用電源電圧Vccの放電時間(第1の基準電圧Vonから第2の基準電圧Voff)とを加算した時間がオートリスタートの周期となる。従って、連続した過負荷状態(
図11のTb)による停止からの再起動では、オートリスタートの周期が通常に比べ、少なくとも2周期以上遅くなる。これにより、発振回数(スイッチング駆動動作の繰返し間隔)を抑え、スイッチング素子Q1の発熱を軽減させることができる。
【0043】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、スイッチング素子Q1をオンオフ動作させるコントローラIC1を再起動するオートリスタート機能を有し、前記過負荷検出回路15によって、連続した過負荷状態(
図11のTb)による停止からの再起動では、オートリスタートの周期を遅くする再起動遅延回路16を備えている。
この構成により、過負荷状態でソフトドライブ動作を行うことでスイッチング素子Q1の発熱が高くなるが、発振回数(スイッチング駆動動作の繰返し間隔)を抑え、スイッチング素子Q1の発熱を抑制することができる。
【0044】
以上、本発明を具体的な実施形態で説明したが、上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施できることは言うまでも無い。