【実施例】
【0025】
図1は本発明の一実施例であるパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、
図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、
図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。
【0026】
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、
図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(
図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
【0027】
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
【0028】
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
【0029】
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24aと、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン24bとが配設されている。
【0030】
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(
図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(
図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(
図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
【0031】
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、
図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30には、遊技領域31の右側部に配置された振分装置32を有する。この振分装置32の内部には、遊技球の通過を検知する第1大当り開始ゲートスイッチ36a及び第2大当り開始ゲートスイッチ37a(
図3参照)を有する。また、振分装置32には、特定入球口32aに入球した遊技球が通過する遊技球誘導路bと、遊技球誘導路bを通過する遊技球を第1大当り開始ゲート36又は第2大当り開始ゲート37の何れかに振分ける振分部材50と、振分部材50を動作させる駆動モータ59(駆動源)を有する。また、遊技盤30には、遊技領域31の左部に配置され遊技球の通過を検知する普通図柄ゲートスイッチ33a(
図3参照)を有する普通図柄作動ゲート33と、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の下方に配置され遊技球の入賞を検知する第1始動口スイッチ60a(
図3参照)を有する第1始動口60と及び第2始動口スイッチ38a(
図3参照)を有する第2始動口38と、遊技領域31の左下部に配置された図柄表示装置40と、第2始動口38に取り付けられた開閉可能なチューリップ式の普通電動役物39と、第2始動口38の下方に配置され開閉可能な大入賞口44と、いずれの入球口(入賞口)にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口48と、を備える。また、遊技盤30は、図示しないが、一般入球口(一般入賞口)や各入球口(各入賞口)の周辺等に遊技球をガイド(誘導)したり弾いたりする多数の釘が設けられている。
【0032】
特定入球口32aに入球した遊技球は、振分部材50により第1大当り開始ゲート36又は第2大当り開始ゲート37のいずれかに振分けられる。
図4は、振分装置50の構成の概略を示す構成図である。振分部材50が実線で示す状態にある場合は、特定入球口32aに入球した遊技球は、第2大当り開始ゲート37に振分けられる。また振分部材50が点線で示す状態にある場合は、特定入球口32aに入球した遊技球は、第1大当り開始ゲート36に振分けられる。第1大当り開始ゲート36及び第2大当り開始ゲート37には、遊技球の通過を検知するための第1大当り開始ゲートスイッチ36a及び第2大当り開始ゲートスイッチ37aが設けられている。
ここで、振分部材50の手前側には、前面板が設けられており、振分装置内に入球した遊技球が、大当り開始ゲート36、37に入球する前に振分装置外に飛び出ないように構成されている。また前面板は透明板で構成されているため、遊技者は、振分部材50の動作態様を認識することができる。これにより、振分部材50は、本発明の「報知手段」に相当する。
【0033】
尚、本実施例では、振分装置32の特定入球口32aを開閉する開閉板が設けられていないため、遊技球は特別遊技許可状態であるか否かに拘らず(当否判定結果が当りでも外れでも)、常時入球可能な状態となっているが、この様な構成に限らない。他の態様として、例えば、特定入球口32aの入口に特定入球口32aへの入球を許容する状態(「開放状態」ともいう)と、許容しない状態(「閉鎖状態」ともいう)とに変化する特定入球口32a用の開閉部材を設けることができる。そして、当該開閉部材を、特別遊技許可状態が発生するまでは閉鎖状態とし、特別遊技許可状態が発生した状態で(発生した後、所定時間経過後であってもよい)、開放状態とすることとしてもよい。この様な開閉部材を設け、開閉部材の開閉タイミングを制御することで、例えば、振分部材50が第1大当り開始ゲート36に振分ける状態となっている場合には開閉部材を閉鎖状態とし、振分部材50が第2大当り開始ゲート37に振分ける状態となっている場合にのみ開閉部材を開放状態とすることで、遊技者がどのタイミングで発射しても、第1大当り開始ゲート36に入球させることができないものとすることができる。すなわち、特別遊技許可状態において、開閉部材の開閉制御を実行することで、入球可能な大当り開始ゲート(入球し易い大当り開始ゲート)を、遊技機側で制御することができる。
【0034】
普通電動役物39は、第2始動口38に設けられた左右一対の翼片部39aと、翼片部39aを作動させる普通電動役物ソレノイド39b(
図3参照)と、を備える。この普通電動役物39は、
図2に示すように、翼片部39aが直立しているときには始動口38への遊技球の入賞の可能性が低い(入球不可能な)通常状態となる(図中点線で表示)。この状態においては、始動口(第1始動口38及び第2始動口60)に向けて発射された遊技球は、主に第1始動口38に入球する状態となる。また、翼片部39aが左右に開いているときには始動口38への遊技球の入球の可能性が高い開放状態となる(図中実線で表示)。この状態においては、始動口(第1始動口60及び第2始動口38)に向けて発射された遊技球は、主に第2始動口38に入球する状態となる。なお、第2始動口38を開閉する開閉部材を左右一対の翼片部39aとしたが、板状の開閉板や出没式の開閉部材とするなど、第2始動口38を開閉できるもの(第2始動口38を遊技球が入球可能な状態と入球不能な状態とに変化させるもの)であれば、如何なる部材を用いるものとしても構わない。
【0035】
大入賞口44は、通常は遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技(特別遊技)のときに、大入賞口ソレノイド44b(
図3参照)によって遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となるよう駆動される。大入賞口44には、遊技球の入賞を検知すると共にその入賞数をカウントするための大入賞口スイッチ44a(
図3参照)が取り付けられている。本実施例では、大当り遊技の処理として、大入賞口スイッチ44aが遊技球の入賞を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒)が経過するまでを1ラウンドとして大入賞口44を開放し、規定ラウンドまで大入賞口44の開放動作を繰り返す。なお、各ラウンドの間には、所定時間(例えば、2秒間)だけ大入賞口44を閉状態とする。
【0036】
図柄表示装置40は、
図5の構成図に例示するように、普通図柄(以下、普図とも呼ぶ)の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示装置41と、第1特別図柄の変動表示および停止表示が可能な第1特別図柄表示装置43と、第2特別図柄の変動表示および停止表示が可能な第2特別図柄表示装置45と、を備える。普通図柄表示装置41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41a,中普通図柄表示部41b,右普通図柄表示部41cを備える。
図6に、普通図柄表示装置41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示装置41は、
図6に示すように、3つの表示部の点灯と消灯との組み合わせにより、8通りの表示態様がある。この普通図柄表示装置41は、普通図柄作動ゲート33への遊技球の入球を契機として、8通りの表示態様を順次切り替えることにより変動表示し、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のいずれかの表示態様で停止表示される。このとき、停止表示された表示態様が通常当り(
図6の例では、左普通図柄表示部41aが消灯すると共に中普通図柄表示部41bと右普通図柄表示部41cとが点灯する表示態様)である場合に、普通電動役物39を一定時間に亘って開放する。また、停止表示された表示態様が特定当り(
図6の例では、左普通図柄表示部41aと中普通図柄表示部41bと右普通図柄表示部41cの全てが点灯する表示態様)である場合には、普通電動役物39の開放時間が通常当りよりも長くなる。普通図柄の変動表示中に、遊技球が普通図柄作動ゲート33に入球したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。なお、普通図柄の変動表示の保留数は保留図柄35bによって表示される。
【0037】
第1特別図柄表示装置43は、
図5に示すように、7セグメント表示器を用いて構成されており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数通りの表示態様(最大128通り)を表現している。第1特別図柄表示装置43は、第1始動口60への入球(入賞)が検知されたときに、表示状態を順次切り替えることにより第1特別図柄を変動表示し、変動表示の実行時間が経過すると、第1特別図柄が、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で停止表示される。このとき、停止表示された表示態様が特定の表示態様(当り特別図柄)である場合に、大当りとなる。
図7に、大当り時又は外れ時における特別図柄表示装置43の表示態様の一例を示す。図示するように、通常大当りに係る第1特別図柄(通常大当り特別図柄)は、第1特別図柄表示装置43における右上,右下,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様である(
図7の上段参照)。また、確変大当りに係る第1特別図柄(確変大当り特別図柄)は、特別図柄表示装置43における上段の横棒セグメントと右下および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様である(
図7の中段参照)。また、外れに係る第1特別図柄(外れ特別図柄)は、第1特別図柄表示装置43における中央の横棒セグメントが点灯する表示態様である(
図7の下段参照)。なお、大当り時における第1特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各大当り時における第1特別図柄の表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。
【0038】
また、第2特別図柄表示装置45は、第1特別図柄表示装置43と同様に、
図5に示すように、7セグメント表示器を用いて構成されており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数通りの表示態様(最大128通り)を表現している。第2特別図柄表示装置45は、第2始動口38への入球(入賞)が検知されたときに、表示状態を順次切り替えることにより第2特別図柄を変動表示し、変動表示の実行時間が経過すると、第2特別図柄が、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で停止表示される。このとき、停止表示された表示態様が特定の表示態様(当り特別図柄)である場合に、大当りとなる。第1特別図柄表示装置43と同様であるので省略する(
図7参照)。
また、第1特別図柄と第2特別図柄とは、何れか一方のみが変動表示を可能とされ、(両方の特別図柄が変動表示を行っていない状態で)両方の特別図柄に保留が存在する場合、は第2特別図柄が第1特別図柄に優先して変動表示を行うものとされている。すなわち、第1特別図柄は、第2特別図柄が変動表示を行っておらず、且つ第1特別図柄に係る保留がゼロの状態でのみ、変動表示を開始することができる。
【0039】
ここで、本実施例では、第1特別図柄又は第2特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技を実行するための権利が発生(「チャンスモード」ともいう)し、チャンスモード中に後述する条件が成立すると、大当り遊技が開始される。
また、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口60に入賞したときには、第1特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。第1特別図柄の変動表示の保留数は保留図柄35aによって表示される。また、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示中に、遊技球が第2始動口38に入賞したときには、第2特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。第2特別図柄の変動表示の保留数は保留図柄35cによって表示される。
ここで、本実施例の『大当り遊技を実行するための権利が発生した状態(チャンスモード)』は、本発明の「特別遊技許可状態」に相当する。
【0040】
ここで、通常大当りを契機とする大当り遊技は、大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動表示が、所定回数(例えば、100回)行われるまで、第1特別図柄、第2特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮されると共に普通図柄が当りで停止表示された場合に普通電動役物39の開放時間が延長される状態(いわゆる時短状態又は開放延長状態)となる大当り態様である。なお、通常大当りに係る大当り遊技の終了後には、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低い低確率状態(低確率モードとも呼ぶ)となる。一方、確変大当りを契機とする大当り遊技は、通常大当りと同様に大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低確率モードよりも高くなる確変状態(高確率モードとも呼ぶ)となり且つ時短状態となる大当り態様である。
【0041】
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されるもので、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な演出表示が行われる。本実施例の演出表示装置34は、
図8に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似図柄、疑似特別図柄)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄と、を有している。演出図柄及び背景図柄は、表示領域において重畳して表示されるので、この演出表示装置34の表示領域全体が、演出図柄表示領域であり、背景図柄表示領域でもある。また、演出表示装置34は、遊技球が第1始動口60又は第2始動口38に入球したときに、3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。つまり、演出図柄34L,34M,34Rの変動表示又は停止表示は、第1特別図柄及び第2特別図柄の両方に対応している(両方の変動表示又は停止表示に対応して実行される)。演出図柄34L,34M,34Rが停止表示されると、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかった場合にはリーチなしの単純な外れとなり(例えば、「231」など)、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致した場合にはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかった場合にはリーチありの外れとなり(例えば、「737」など)、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致した場合に大当りとなる(例えば、「777」など)。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した第1特別図柄表示装置43又は第2特別図柄表示装置45により表示される特別図柄の当否の結果と一致する。これには、当り外れの結果のみが一致するものも含まれる(つまり、確率変動判定の結果が一致しないものも含まれる)。
【0042】
また、演出表示装置34は、本実施例では、表示画面内に第1特別図柄用の保留図柄35aと普通図柄用の保留図柄35bと第2特別図柄用の保留図柄35cも表示されている。保留図柄35aは、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動表示中に始動口60に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞時とは逆の順に消去される。保留図柄35bは、普通図柄の変動表示中に普通図柄作動ゲート33に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、普通図柄の変動表示が開始されるごとにゲート入球時とは逆の順に消去される。さらに、保留図柄35cは、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動表示中に始動口38に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入賞時とは逆の順に消去される。
【0043】
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、普通図柄作動ゲート33は遊技領域31の中央に配置された演出表示装置34の左側部に、第1始動口60は演出表示装置34の下方に配置され、第2始動口38は第1始動口60の下方にそれぞれ配置されており、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側(演出表示装置34に対して左側)に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより(第1の発射強度によって第1の発射位置に発射させることにより)、遊技球を普通図柄作動ゲート33に入球(通過)させたり、第1始動口60又は第2始動口38に入球させたりすることができる。
また、演出表示装置34の右側部に、特定入球口32a(振分装置32)が配置され、第2始動口38の下方に大入賞口44が配置されており、遊技者は遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34に対して右側)に流下させるように発射ハンドル18の操作量を調整して遊技球を発射させる所謂右打ちをすることにより(第2の発射強度によって第2の発射位置に発射させることにより)、遊技球を特定入球口32a(振分装置32)や大入賞口44に入球させることができる。また、特定入球口32a(振分装置32)と大入賞口44との配置位置や障害釘等により、特定入球口32a(振分装置32)に入球しやすい発射位置(第1の発射強度よりも強い第2の発射強度によって第2の発射位置に発射)と、大入賞口44に入球しやすい発射位置(第2の発射強度よりも強い第3の発射強度によって第3の発射位置に発射)とを構成することができる。
【0044】
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として
図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、
図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、
図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を
図9に示す。
【0045】
主制御基板70には、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、
図3に示すように、第1始動口スイッチ60aからの入球信号(入賞信号)、第2始動口スイッチ60aからの入球信号(入賞信号)、普通図柄ゲートスイッチ33aからの入球信号(通過信号)、大入賞口スイッチ44aからの入球信号、第1大当り開始ゲートスイッチ36aからの入球信号、第2大当り開始ゲートスイッチ37aからの入球信号等が中継端子板72を介して入力されている。
また、主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る第1図柄表示基板40a及び第2図柄表示基板40bへの制御信号や普通電動役物ソレノイド39bへの駆動信号,大入賞口ソレノイド44bへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。また、主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。
【0046】
尚、本実施例では、特定入球口32aに遊技球が入球したことを検知する検知スイッチを設けていないが、特定入球口スイッチを設けて、特定入球口スイッチからの入球信号が中継端子板72を介して主制御基板70に入力される構成としてもよい。これにより、特定入球口に入球した遊技球の個数や入球タイミングを管理し、不正の防止や、振分部材の動作の基準として用いることができる。また、振分部材の位置(何れの大当り開始ゲートに誘導される状態か)を検知する振分部材位置スイッチを設け、位置を示す信号が中継端子板72を介して主制御基板70に入力される構成としてもよい。これにより、振分部材50の位置(振分装置32の振分状態)を主制御部で正確に管理することができる。
【0047】
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、
図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24aや返却ボタン24bからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号が中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
【0048】
サブ制御基板90は、
図9に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93aを駆動したり可動式の装飾部材を作動させるための装飾モータ93bを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26からの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。
【0049】
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立した場合に発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信している。
【0050】
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。
図10は、実施例のパチンコ機10の遊技の流れの概略を示す説明図である。
図10に示すように、始動口(第1始動口60又は第2始動口38)に遊技球が入球すると(ステップS10)、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動表示が開始される(ステップS12)。特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)が外れ図柄で停止表示されると(ステップS14)、外れが確定する(ステップS16)。一方、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)が大当り図柄で停止表示されると(ステップS18)、チャンスモードに突入する(ステップS20)。チャンスモードになると、遊技球が第1大当り開始ゲート36又は第2大当り開始ゲート37を入球することを条件に大当り遊技を実行することができる。チャンスモード以外の状態においては、例え遊技球が第1大当り開始ゲート36又は第2大当り開始ゲート37に入球したとしても大当り遊技は実行されない。また、本実施例では、一旦チャンスモードが発生した場合には、大当り遊技が実行されるまで、チャンスモードが維持される。他の態様として、所定時間が経過(例えば30分)した場合には、チャンスモードが終了し、大当り開始ゲートに遊技球が入球しても大当り遊技が開始されない通常状態となることとすることもできる。
【0051】
チャンスモードにおいて、特定入球口32aに遊技球が入球すると(ステップS22)入球した遊技球は振分装置32(振分部材50)を介して第1大当り開始ゲート36か第2大当り開始ゲート37かのいずれかに振り分けられる。遊技球が第1大当り開始ゲート36に入球すると(ステップS30)、後述の第1ラウンド抽選が実行される(ステップS32)。具体的に、第1大当り開始ゲート36に入球したタイミングで取得した乱数(0〜99のうちから取得した1の乱数)と第1ラウンド抽選テーブルとに基づいて、ラウンド数及び大入賞口44の開放時間等の異なる大当り遊技から1の大当り遊技が決定(選択)され(本実施例では、5R又は15R)、決定された大当り遊技が実行される(ステップS34)。
【0052】
また、遊技球が第2大当り開始ゲート37に入球すると(ステップS24)、後述の第2ラウンド抽選が実行される(ステップS26)。具体的に、第2大当り開始ゲート37に入球したタイミングで取得した乱数(0〜99のうちから取得した1の乱数)と第2ラウンド抽選テーブルとに基づいて、所定のラウンド数及び所定の開放時間の大当り遊技から1の大当り遊技が決定(選択)され(本実施例では、10R)、決定された大当り遊技が実行される(ステップS28)。
【0053】
この様に、本実施例では、チャンスモードにおいて、遊技球を第1大当り開始ゲート36に入球させて大当り遊技を開始するか、又は第2大当り開始ゲートに入球させて大当り遊技を開始するかによって、異なる態様の大当り遊技を実行可能とされている。本実施例では、第1大当り開始ゲート36に入球させて大当り遊技を開始する場合には、5R大当り遊技(獲得賞球500発)、又は15R大当り遊技(獲得賞球1500発)の何れか一方の大当り遊技が実行される。本実施例では、大当り開始ゲート通過時に取得した乱数に基づいて大当り遊技の抽選(ラウンド抽選)が行われる。また、大当り遊技のラウンド数を異ならせることで、遊技者に付与される賞球(利益)の量を異ならせたが、ラウンド数は同じとし、大入賞口を開放する時間を異ならせることで、遊技者に付与される賞球(利益)の量を異ならせてもよい(15R:500発と15R1500発)。また、第2大当り開始ゲート37に入球させて大当り遊技を開始する場合には、10R大当り遊技(獲得賞球1000発)の大当り遊技が実行される。つまり、第2大当り開始ゲート37に入球させて大当り遊技を開始する場合には、大当り遊技の抽選が行われない(10R確定)。そして、何れの大当り開始ゲートに入球させて大当り遊技を開始した場合にも、得られる利益の期待値を1000発として、期待値を等しくすることで、両方の大当り開始ゲートを公平(遊技を公平)なものとすることができる。特定の遊技者(経験値の高い遊技者)のみが得をし、初心者が不利になることがない。これにより、遊技者は、チャンスモードの状態で、何れの大当り開始ゲートに入球するかについて考え、任意のタイミングで、任意の大当り開始ゲートに向けて遊技球を発射することができる。チャンスモード中の遊技興趣を高めることができる。
【0054】
また、振分装置32の振分部材50の位置(動作態様)が何れの位置(何れの状態)にあるか、すなわち、『今遊技球を発射して特定入球口32aに入球させた場合には、何れの大当り開始ゲートに入球するか』について、演出表示装置34の表示領域で表示する。表示内容としては、振分装置32の状態が何れの状態にあるかを遊技者が認識可能な程度とされる。例えば、本実施例では、振分装置32の振分部材50は10秒毎に、状態を切り替えるものとされる。この動作タイミングに合わせて、演出表示装置34上において、10秒毎に『スモール大当りorビッグ大当り抽選タイム!!』(報知1)又は『ミドル大当り確定タイム!!』(報知2)等(以下単に「報知表示」ともいう)の表示が切替表示される。そして遊技者はこの報知に合わせて、任意の大当り開始ゲートを狙って遊技球を発射する。
【0055】
また、振分部材50が切替わる(動作する)間際に遊技球を発射した場合には、第1大当り開始ゲートを狙って発射したにも関わらず、第2大当り開始ゲートに入球する恐れがある。この様な事態を防ぐため、振分部材50が切り替わる間際は、報知表示と共に、切替わるまでの時間を認識できる表示をしたり、又は報知表示を停止する報知停止期間を設けることができる。例えば、報知1を8秒行い、その後2秒間報知を停止し、次に報知2を8秒行い、その後2秒間報知を停止するといった態様で行うことができる。
ここで、演出表示装置34は本発明の「報知手段」に相当する。また遊技盤面に設けられた図示しないLEDや、枠部材に設けられたLED等を用いて遊技者に認識可能に報知することができる。
【0056】
以下、実施例のパチンコ機10の動作の詳細について説明する。
[主制御処理]
図11は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、ステップS100で初期化処理などの電源投入時に必要な電源投入処理を実行した後、ステップS110の遊技開始処理と、ステップS120の第1普通図柄遊技処理(普
図1遊技処理)と、ステップS130の第2普通図柄遊技処理(普
図2遊技処理)と、ステップS140の特別図柄遊技処理と、ステップS150の役物連続作動装置作動処理と、ステップS160の大当り遊技処理と、を繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、ステップS110〜S160の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
【0057】
また、電源投入処理においては、駆動モータ59の駆動を開始し(開始に際して、原点復帰処理を実行してもよい)、振分装置32の振分部材50に継続的に所定の動作をさせる。具体的には、第1大当り開始ゲートに遊技球を振分ける状態(
図4の点線)と、第2大当り開始ゲートに遊技球を振分ける状態(
図4の実線)と、に10秒毎に切替える動作を開始する。本実施例では、電源が投入されている間、常に一定の動作を実行するものとされている。
ここで、振分装置32が本発明の「振分装置」に相当し、振分部材50が本発明の「振分部材」に相当する。また、主制御基板70のCPU70aは振分部材50及び駆動モータ59の動作態様を制御する振分部材駆動制御手段に相当し、駆動モータ59は振分部材駆動手段に相当する。
【0058】
[遊技開始処理]
ステップS110の遊技開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(普通図柄ゲートスイッチ33a、第1始動口スイッチ60a、第2始動口スイッチ38a、第1大当り開始ゲートスイッチ36a、第2大当り開始ゲートスイッチ37a、大入賞口スイッチ44aなど)の状態を検知してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種乱数値(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数,変動パターン決定用乱数など)を更新したりする。続いて、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ60a、第2始動口スイッチ38a、大入賞口スイッチ44a、一般入賞口スイッチなど)が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定されると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM70cの所定の賞球情報記憶領域に保存し、賞球情報が値0でない場合には賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御基板80に送信して遊技開始処理を終了する。払出制御基板80は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入賞が検知されて主制御基板70から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。遊技開始処理が終了すると、主制御処理に戻って次のステップS120の普通図柄遊技処理に進む。
【0059】
[第1普通図柄遊技処理]
ステップS120の第1普通図柄遊技処理(普
図1遊技処理)は、
図13に例示するフローチャートに従って実行される。普通図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄ゲートスイッチ33aからの入球信号に基づいて普通図柄作動ゲート(普図作動ゲート)33を遊技球が通過したか否かを判定する(ステップS200)。普通図柄作動ゲート33に遊技球が入球(通過)したと判定されると、普通図柄の現在の保留数(普
図1保留数)がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(ステップS202)。現在の保留数が上限値よりも少ないと判定された場合には、保留数を値1だけインクリメントすると共に(ステップS204)、普通図柄用の判定用乱数(当り判定用乱数)を取得してRAM70cの普通図柄用の判定用乱数記憶領域に格納する(ステップS206)。判定用乱数を取得すると、判定用乱数の値をゲート通過時コマンドとしてサブ制御基板90に送信する。なお、ステップS200で普通図柄作動ゲート33に遊技球が入球(通過)していないと判定されたり、ステップS202で保留数が上限値に達していると判定されると、ステップS204,ステップS206の処理をスキップして次の処理に進む。
【0060】
次に、普通電動役物39が開放動作中であるか否か(ステップS208)、普通図柄が変動表示中であるか否か(ステップS210)、普通図柄が停止表示時間中であるか否か(ステップS212)、保留数が値0であるか否か(ステップS214)をそれぞれ判定する。普通電動役物39が開放動作中でなく、普通図柄が変動表示中でなく、普通図柄が停止表示時間中でなく、保留数が値0でもないと判定されると、普通図柄用の判定用乱数記憶領域に記憶されている当り判定用乱数のうち最も古い当り判定用乱数を読み出し(ステップS216)、
図13に例示する普通図柄変動開始処理(普図変動開始処理)を実行して(ステップS218)、普通図柄遊技処理を一旦終了する。
【0061】
図13の普通図柄変動開始処理(普図変動開始処理)では、主制御基板70のCPU70aは、普通図柄確率変動フラグ(普通図柄確変フラグとも呼ぶ)がオンか否かを判定する(ステップS250)。ここで、普通図柄確変フラグは、大当り遊技の終了を条件としてオンされる(大当り遊技終了時にオンされる)フラグであり、その詳細については後述する。普通図柄確変フラグがオンの場合には高確率用の当り判定テーブルを用いて当否判定を行い(ステップS252)、普通図柄確変フラグがオフの場合には低確率用の当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(ステップS254)。
図14に、当り判定テーブルの一例を示す。低確率用の当り判定テーブルでは、
図14(a)に示すように、当り判定用乱数が値0〜値299のうち値25,値26の場合に通常当りとなり、値299の場合に特定当りとなる(通常当りと特定当りとを含めて1/100の当り確率)。一方、高確率用の当り判定テーブルでは、
図14(b)に示すように、当り判定用乱数が値0〜値299のうち値25〜値299の場合に特定当りとなる(92/100の当り確率)。尚、高確率の際に当りになると、当該当りは、特定当りとなり、開放パターンが長時間開放パターンとなる(開放延長機能の作動)。
【0062】
次に、ステップS252,254の当り判定の結果が当りであるか否か(ステップS256)、当りの場合には特定当りであるか否か(ステップS258)を判定する。当り判定の結果が特定当りの場合には特定当り図柄を設定し(ステップS260)、特定当りでないが通常当りである場合には通常当り図柄を設定し(ステップS262)、当りでない即ち外れである場合には外れ図柄を設定する(ステップS264)。そして、図柄表示基板40aを制御して普通図柄の変動表示を開始し(ステップS266)、普通図柄保留数を値1だけデクリメントし(ステップS268)、図柄変動開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(ステップS270)、普通図柄変動開始処理を終了する。
【0063】
図12の普通図柄遊技処理に戻って、普通図柄の変動表示を開始すると、次周回で普通図柄遊技処理が実行されたときにステップS210で普通図柄が変動表示中と判定されるため、主制御基板70のCPU70aは、変動表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS220)。変動表示時間が経過していないと判定されると、普通図柄遊技処理を一旦終了する。変動表示時間の設定は、時短状態にない場合には長時間(例えば、30秒)に設定され、時短状態にある場合には短時間(例えば、1秒)に短縮される。なお、時短状態であるか否かは、普通図柄変動短縮フラグの設定状況(状態)により判定する。一方、変動表示時間が経過したと判定されると、普通図柄の変動を停止し(ステップS222)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(ステップS224)。そして、停止表示時間を設定し(ステップS226)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS228)。停止表示時間は、普通図柄の変動表示を停止してから次に普通図柄の変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば、0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定されると、普通図柄遊技処理を一旦終了する。普通図柄の停止表示がなされると、ステップS212で停止表示中と判定されるため、再びステップS228で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過したと判定されると、停止表示している普通図柄が当り図柄であるか否かを判定する(ステップS230)。
【0064】
ステップS230で当り図柄と判定されると、
図15に例示する普通電動役物開放動作開始処理を実行する(ステップS232)。普通電動役物開放動作開始処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、
図13の普通図柄変動開始処理のステップS252,254で判定された当りが特定当りか否かを判定し(ステップS280)、特定当りと判定されると、第2始動口38の開放時間を長時間(例えば、10秒)とする長時間開放パターンを設定し(ステップS282)、特定当りでないと判定されると、第2始動口38の開放時間を短時間(例えば、2秒)とする短時間開放パターンを設定する(ステップS284)。そして、設定された開放パターンで普通電動役物39の開放動作を開始して(ステップS286)、普通電動役物開放動作開始処理を終了する。ここで、普通電動役物39の開放動作は、上述したように、普通電動役物ソレノイド39bを駆動制御することによって、翼片部39aを左右に開く(開放状態とする)ことにより行う。普通図柄電動役物39の開放動作が開始されると、第2始動口38が開放状態となり、第2始動口38に遊技球が入球可能となる。また、第2始動口38が開放状態となると、第1始動口よりも第2始動口への遊技球の入球率が高くなり、また第2特別図柄は、第1特別図柄に優先して変動表示を実行されるため、第2特別図柄を主体とした遊技状態となる。
【0065】
図12の普通図柄遊技処理に戻って、普通電動役物39の開放動作(開閉動作)を開始した状態で普通図柄遊技処理が実行されると、ステップS208で普通電動役物39は開放動作中と判定されるため、開放時間が経過したか否かを判定し(ステップS242)、開放時間が経過していないと判定されると、普通電動役物39の開放動作(開閉動作)を維持したまま普通図柄遊技処理を一旦終了し、開放時間が経過したと判定されると、普通電動役物39の開放動作を終了して(ステップS244)、普通図柄遊技処理を終了する。
【0066】
一方、ステップS230で当り図柄でないと判定されると、普通図柄確変フラグがオンか否かを判定し(ステップS234)、普通図柄確変フラグがオフの場合にはそのまま普通図柄遊技処理を終了する。一方、普通図柄確変フラグがオンの場合には、普通図柄確率変動カウンタ(普通図柄確変カウンタとも呼ぶ)を値1だけデクリメントし(ステップS236)、普通図柄確変カウンタが値0か否かを判定する(ステップS238)。ここで、普通図柄確変カウンタは、普通図柄の当否判定で高確率を維持する普通図柄の変動回数を定めるカウンタであり、所定値(本実施例では、値10000)がセットされる。実質的に、次回大当りが発生するまで普通図柄の高確率状態(及び開放延長状態)が維持される。普通図柄確変カウンタが値0でない場合にはそのまま普通図柄遊技処理を終了し、普通図柄確変カウンタが値0である場合には普通図柄確変フラグをオフとして(ステップS240)、普通図柄遊技処理を終了する。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のステップS140の特別図柄遊技処理に進む。
【0067】
[特別図柄遊技処理]
ステップS140の特別図柄遊技処理は、
図16(前半部分)および
図17(後半部分)に示すフローチャートに従って実行される。
図16および
図17の特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ60aからの検知信号があるか否かにより、第1始動口60に遊技球が入球したか否かを判定する(ステップS300)。第1始動口60に遊技球が入球したと判定されると(ステップS300:YES)、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(ステップS301)。現在の保留数が上限値よりも少ないと判定された場合には(S301:YES)、保留数を値1だけインクリメントすると共に、当否判定用乱数を取得してRAM70cの第1特別図柄判定用乱数記憶領域に格納し(ステップS302)、始動入賞時コマンド(何れの始動口に入球したか、確変当りか通常当りか外れか等を特定可能なコマンド)をサブ制御基板90に送信する。
【0068】
第1始動口への入球がない(S300:NO)又は第1特別図柄の保留数が上限値に達している(ステップS301:NO)と判定された場合は、第2始動口スイッチ38aからの検知信号があるか否かを判定する(ステップS303)。第2始動口38に遊技球が入球したと判定されると(ステップS303:YES)、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(ステップS304)。現在の保留数が上限値よりも少ないと判定された場合には、保留数を値1だけインクリメントすると共に、当否判定用乱数を取得してRAM70cの第2特別図柄判定用乱数記憶領域に格納し(ステップS305)、始動入賞時コマンドをサブ制御基板90に送信する。
【0069】
ここで、ステップS302で取得・記憶された第1特図に係る当否判定用乱数(第1特図判定用乱数)としては、第1始動口60への遊技球の入球により行われる大当り判定の際に用いられる大当り判定用乱数や、大当り判定の結果が大当りの場合に特別図柄表示装置43に停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,大当り判定の結果が外れで演出表示装置34の表示画面に演出図柄を変動表示する際にリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ用乱数などが挙げられる。またステップS305で取得・記憶された第2特図に係る当否判定用乱数(第2特図判定用乱数)についても、第1特図判定用乱数と同様である。また、始動入球時コマンドには、記憶した判定用乱数を示すコマンドや保留数を示すコマンドが含まれる。これらのコマンドは、共通の始動入球時コマンドとして送信するものの他、個別のコマンドとして送信するものとしてもよい。尚、第2始動口への入球がない(ステップS303:NO)又は第2特別図柄の保留数が上限値に達している(ステップS304:NO)と判定された場合は、条件装置作動フラグがONになっているかどうかの判定処理に進む(ステップS310)
【0070】
次に、条件装置作動フラグがオン(条件装置が作動中)であるか否か(ステップS310)、特別図柄変動表示中であるか否か(ステップS312)、停止表示時間中であるか否か(ステップS314)、保留数(第2特別図柄、第1特別図柄)が値0であるか否か(ステップS316)をそれぞれ判定する。条件装置作動フラグがオンであると判定されると(ステップS310:NO)、これで特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のステップS150の大当り遊技処理に進む。一方、条件装置が作動中でなく(ステップS310:NO)、特別図柄変動表示中でなく(ステップS312:NO)、停止表示時間中でない場合(ステップS314:NO)には、第2特別図柄の保留数(保留記憶数)が0か否かが判定される(ステップS316)。第2特別図柄の保留数の値が0でもないと判定されると(ステップS316:NO)、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし(ステップS318)、第2特別図柄用の乱数記憶領域に記憶されている判定用乱数のうち最も古い判定用乱数(第2特別図柄大当り判定用乱数)を読み出す(ステップS320)。そして、第2特別図柄用大当り判定テーブルと、読み出した第2特別図柄大当り判定用乱数とを用いて(対比して)、大当り判定を行い(ステップS322)、図柄変動開始処理を実行して(ステップS324)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。なお、条件装置が作動中であると(ステップS310:YES)、特別図柄遊技処理を終了し、図柄変動開始処理を行わないのであるから、後述のチャンスモードに一旦突入(遊技状態がチャンスモードに移行)すると、大当り遊技を発生させるまで、図柄変動開始処理を実行することができないこととなる(最も遊技機を初期化(リセット)することにより、チャンスモードを解除(終了)することは可能である)。従って、ある遊技者がチャンスモードで遊技を終了した場合には、次の遊技者は大当り遊技を発生させるまでチャンスモードで遊技を開始することとなる(通常状態から開始することはない)。また、ステップS322及び後述のステップS323の大当り判定(第2特別図柄大当り判定及び第1特別図柄大当り判定)で用いる大当り判定テーブルには、
図18(a)に例示する低確率モード用の大当り判定テーブルと、
図18(b)に例示する高確率モード用の大当り判定テーブルとが用意されており、現在の遊技状態が通常モード(低確率モード)である場合には低確率モード用のテーブルを用いて大当り判定を行い、現在の遊技状態が確変モード(高確率モード)である場合には高確率モード用のテーブルを用いて大当り判定を行う。なお、低確率モード用の大当り判定テーブルでは大当り判定用乱数が値0〜796のうち値60,61の場合に大当りとし(1/398.5の大当り確率)、高確率モード用の大当り判定テーブルでは当り判定用乱数が値0〜796のうち値60〜79の場合に大当りとするものとした(1/39.85の大当り確率)。
【0071】
第2特別図柄の保留数の値が0であると判定されると(ステップS316:YES)、第1特別図柄の保留数が0であるか否かの判定を行う(ステップS317)。第1とくべ打図柄の保留数の値が0でないと判定されると(ステップS317:NO)、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし(ステップS319)、第1特別図柄用の乱数記憶領域に記憶されている判定用乱数のうち最も古い判定用乱数(第1特別図柄大当り判定用乱数)を読み出す(ステップS321)。そして、第1特別図柄用大当り判定テーブルと、読み出した第1特別図柄大当り判定用乱数とを用いて(対比して)、大当り判定を行い(ステップS323)、図柄変動開始処理を実行して(ステップS324)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。なお、第2特別図柄の保留数が0であると判定されると(ステップS317:YES)、特別図柄遊技処理を終了する。
以下、
図19に例示する図柄変動開始処理についての詳細を説明する。
【0072】
図19の図柄変動開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、
図16の特別図柄遊技処理のステップS322又はS323の第1特別図柄大当り判定又は第2特別図柄大当り判定の結果が大当りであるか否かを判定し(ステップS380)、大当りと判定されると(ステップS380:YES)、大当り用変動パターンテーブルを設定する(ステップS382)。ここで、大当り用変動パターンテーブルは、図示しないが、変動パターン決定用乱数と変動パターンと変動時間とが対応付けられたものである。大当り用変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を取得し(ステップS384)、大当り図柄決定用乱数を読み出し(ステップS386)、設定した大当り用変動パターンテーブルと取得した変動パターン決定用乱数とを用いて大当り図柄変動パターンを設定すると共に、読み出した大当り図柄決定用乱数とを用いて停止表示させる大当り図柄を設定する(ステップS388)。尚、第1特別図柄の大当り図柄については、読み出した第1特別図柄大当り図柄決定用乱数と
図20(a)の第1特別図柄大当り図柄決定用乱数テーブルとを用いて決定される。また、第2特別図柄の大当り図柄については、読み出した第2特別図柄大当り図柄決定用乱数と
図20(b)の第2特別図柄大当り図柄決定用乱数テーブルとを用いて決定される。
【0073】
第1特別図柄の大当り図柄は、本実施例では、
図20(a)に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜値119のうち値0〜値47の場合に
図7の上段の停止図柄が選択されて「通常大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定乱数が値48〜値119の場合に
図7の中段の停止図柄が選択されて「確変大当り」となる(約60%の大当り振り分け確率)。
また、第2特別図柄の大当り図柄は、本実施例では、
図20(b)に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜値119のうち値0〜値27の場合に
図7の上段の停止図柄が選択されて「通常大当り」となり(約23%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定乱数が値28〜値119の場合に
図7の中段の停止図柄が選択されて「確変大当り」となる(約77%の大当り振り分け確率)。
つまり、第2特別図柄における大当り判定の方が、第1特別図柄における大当り判定よりも、確変大当りとなる可能性が高く、遊技者にとって有利な判定となっている。また、第2特別図柄は、第1特別図柄に優先して変動表示されるため、普通電動役物39が開放状態となりにくい、通常状態では、第1特別図柄に係る大当り判定が主体となる遊技が実行され、普通電動役物39が開放状態となり易い、開放延長状態(確変、時短中)では、第2特別図柄に係る大当り判定が主体となる遊技が実行される。従って、大当り遊技が実行されると、その後開放延長状態となり確変割合の高い第2特別図柄を主体とした遊技が開始されるので、一旦大当りとなると複数回の大当りを連続して獲得するチャンスとなる。これにより、遊技の興趣を高めることとなる。
尚、本実施例では、確変大当りとなる可能性が高くなるものとしたが、他の態様として、獲得可能な利益量の大きい大当り遊技が実行される可能性を高くしてもよい(確変大当りとなる可能性は同じでも相違してもよい)。
一方、ステップS380で大当り判定の結果が大当りでないと判定されると、外れ用変動パターンテーブルを設定する(ステップS390)。ここで、外れ用変動パターンテーブルは、大当り用変動パターンテーブルと同様に、変動パターン決定用乱数と変動パターンと変動時間とが対応付けられたものである。外れ用変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を取得し(ステップS392)、設定した外れ用変動パターンテーブルと取得した変動パターン決定用乱数とを用いて外れ図柄変動パターンを設定すると共に外れ図柄を設定する(ステップS394)。なお、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することもできる。外れ図柄としては、
図7下段の図柄が停止表示される。
【0074】
こうして大当り図柄変動パターンおよび大当り図柄あるいは外れ図柄変動パターンおよび外れ図柄を設定すると、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動表示を開始すると共に(ステップS396)、図柄変動開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(ステップS398)、図柄変動開始処理を終了する。ここで、図柄変動開始コマンドには、大当りの場合には大当り図柄変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と大当り停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれ、外れの場合には外れ図柄変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と外れ停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれている。
【0075】
図16および
図17の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄の変動表示が開始された状態で特別図柄遊技処理が実行された場合には、ステップS312で特別図柄が変動表示中と判定されるため(ステップS312:YES)、主制御基板70のCPU70aは、変動表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS326)。変動表示時間は特別図柄の変動パターンを決定する際に変動パターンに応じて決定されているから、変動表示時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と決定されている変動表示時間とを比較することにより行うことができる。変動表示時間が経過していないと判定されると(ステップS326:NO)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動表示時間が経過していると判定されると(ステップS326:YES)、特別図柄の変動を停止し(ステップS328)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(ステップS330)。図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90は、その図柄停止コマンドを演出表示制御基板91に転送する。そして、停止表示時間を設定し(ステップS332)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS334)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定されると(ステップS334:NO)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされると、ステップS314で停止表示時間中と判定されるため、再びステップS334で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定されると(ステップS334:YES)、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(ステップS336)。
【0076】
ステップS336で大当り図柄と判定されると、条件装置を作動させる条件装置作動フラグをオンとする(ステップS338)。そして、チャンスモード開始コマンドをサブ制御基板90に送信する(ステップS344)。ここで、条件装置作動フラグは大当り遊技を実行するための条件の一つであり、大当り遊技の実行には、この条件装置作動フラグと後述する役物連続作動装置作動フラグの両方がオンされる必要がある。本実施例では、条件装置作動フラグがオンで且つ役物連続作動装置作動フラグがオフの状態をチャンスモードとしている。従って、特別図柄が大当り図柄で停止表示しても、直ちに大当り遊技が実行されるわけではなく、チャンスモードを経由して大当り遊技が実行される。チャンスモード中には特別図柄の確変機能や普通図柄の時短機能および開放延長機能とを一旦停止させるため、特別図柄確率変動フラグ(特別図柄確変フラグ)がオンである場合には特別図柄確変フラグをオフとし(ステップS346,S348)、普通図柄変動短縮フラグがオンである場合には普通図柄変動短縮フラグをオフとすると共に普通図柄開放延長フラグをオフとして(ステップS350〜S354)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のステップS150の役物連続作動装置作動処理に進む。
この条件装置作動フラグがオンであり、役物連続作動装置作動フラグがオフである状態が、本発明の「特別遊技許可状態」に相当する。
【0077】
尚、本実施例では、特別図柄が大当り図柄で停止表示しても大当り遊技が直ちに実行されるわけではなく、チャンスモードを経由して大当り遊技が実行されるものとしたが、全ての大当り図柄についてこの態様を選択するのではなく、一部の大当り図柄(大当り態様)については、チャンスモードを経由して大当り遊技が実行されるものとし、他の大当り図柄(大当り態様)については、チャンスモードを経由することなく、大当り図柄が停止表示されることにより、条件装置作動フラグ及び役物連続作動装置作動フラグの両方をオンにして、直ちに大当り遊技を開始するものとしてもよい。これにより、遊技者が大当り開始ゲートに遊技球を入球させて大当り態様を選択するゲーム性と、遊技者の選択なしに特定の大当り遊技が確定するゲーム性とを混在させることができ、遊技性を多様化し、遊技興趣を高めることができる。
【0078】
一方、ステップS336で大当り図柄でないと判定されると、普通図柄変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(ステップS356)、普通図柄変動短縮フラグがオンでない場合にはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。普通図柄変動短縮フラグがオンの場合には普通図柄変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(ステップS358)、普通図柄変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(ステップS360)。ここで、普通図柄変動短縮カウンタは、時短(普通図柄の変動短縮)状態を維持する特別図柄の変動回数を示すものであり、大当り遊技の終了後に大当り図柄に応じた値がセットされる。普通図柄変動短縮カウンタが値0でない場合には、時短状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、普通図柄変動短縮カウンタが値0の場合には、時短状態を終了させるために、普通図柄変動短縮フラグをオフとすると共に(ステップS362)、普通図柄開放延長フラグをオフとして(ステップS364)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。なお、ステップS360の判定は通常モード(低確率モード)か確変モード(高確率モード)かに拘わらず実行されるが、確変大当りでは、大当り遊技の終了後に、普通図柄変動短縮カウンタに10,000回が設定されるため、確変大当りの場合に、普通図柄変動短縮カウンタが値0となることは通常あり得ず、次回に大当りを引くまで時短状態が終了することはない。
【0079】
[役物連続作動装置作動処理]
ステップS150の役物連続作動装置作動処理は、
図21に示すフローチャートに従って実行される。
図21の役物連続作動装置作動処理が実行されると、主制御基板70(主制御部ともいう)のCPU70aは、条件装置作動フラグがオンか否か(ステップS400)、役物連続作動装置作動フラグがオンか否か(ステップS402)等が判定される。条件装置作動フラグがオフである場合(ステップS400:NO)、役物連続作動装置がオンである場合(ステップS402:YES)には、役物連続作動装置作動処理を一旦終了する。
また条件装置作動フラグがオンであると判定され(ステップS400:YEs)、役物連続作動装置作動フラグがオフであると判定された場合は(ステップS402:NO)、第1大当り開始ゲートに遊技球が入球したか否かが判定される(ステップS403)。
【0080】
ここで、主制御部には、複数の大当り遊技のうちから実行する大当り遊技を決定する(特定する)ための乱数を発生する大当り態様決定乱数発生手段を備えており、第1大当り開始ゲート又は第2大当り開始ゲートに遊技球が入球した場合には、当該入球したタイミングで、第1大当り態様決定乱数又は第2大当り態様決定乱数が取得される。
【0081】
第1大当り開始ゲートに遊技球が入球(通過)したと判定された場合には(ステップS403:YES)、第1ラウンド抽選が実行さる(ステップS404)。第1ラウンド抽選処理において、第1大当り態様決定乱数が取得・記憶されると共に、大当り遊技(「大当り態様」ともいう)を決定するためのテーブルとして第1ラウンド抽選テーブルが選択され、第1大当り態様決定乱数と第1ラウンド抽選テーブルとに基づいて、大当り遊技の種類(5R大当り遊技か15R大当り遊技か)が決定される。第1ラウンド抽選テーブルには、ラウンド数の異なる複数の大当り遊技が設定されている。第1大当り開始ゲートに入球した際に取得した第1大当り態様決定乱数が、0〜49の場合には、開放時間が30秒のラウンドが5回実行される『5R大当り遊技(獲得球数500発)』に決定され、50〜99の場合には、開放時間が30秒のランドが15回実行される『15R大当り遊技(獲得球数1500発)』に決定される。各大当り遊技は50%の確率で発生する設定とされている。第1ラウンド抽選処理を実行し(ステップS404)、続いて第1ラウンド抽選処理によって決定した大当り遊技の設定として、5ラウンド又は15ラウンドのラウンド数の設定が行われる(ステップS407)。次に、大当り遊技を開始するための役物連続作動装置作動フラグをオンにし(S408)、大当り開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(ステップS410)、役物連続作動装置作動処理を終了する。
【0082】
また、第1大当り開始ゲートに遊技球が入球していないと判定された場合には(ステップS403:NO)、第2大当り開始ゲートに遊技球が入球したか否かが判定される(ステップS405)。第2大当り開始ゲートに遊技球が入球していないと判定された場合には(ステップS405:NO)、役物連続作動装置作動処理を終了する。第2大当り開始ゲートに遊技球が入球(通過)したと判定された場合には(ステップS405:YES)、第2ラウンド抽選が実行さる(ステップS406)。第2ラウンド抽選処理において、第2大当り態様決定乱数が取得・記憶されると共に、大当り態様を決定するためのテーブルとして第2ラウンド抽選テーブルが選択され、第2大当り態様決定乱数と第2ラウンド抽選テーブルとに基づいて、大当り態様が決定される。第2ラウンド抽選テーブルには、1個(1種類)の大当り遊技が設定されている。第2大当り開始ゲートに入球した際に取得した第2大当り態様決定乱数が、0〜99の何れであっても、開放時間が30秒のラウンドが10回実行される『10R大当り遊技(獲得球数1000発)』に決定される。つまり、本実施例では、第2大当り開始ゲートに遊技球を入球させることによって役物連続作動装置を作動する場合(大当り遊技を開始する場合)は、大当り遊技に確定していることとなる。従って、第2ラウンド抽選としているが、実質的には抽選は実行されない(単に「ラウンド設定」としてもよい)。第2ラウンド抽選処理を実行し(ステップS406)、続いて第2ラウンド抽選処理によって決定した大当り遊技の設定として、ラウンド数を10にする設定が行われる(ステップS407)。次に、大当り遊技を開始するための役物連続作動装置作動フラグをオンにし(S408)、大当り開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(ステップS410)、役物連続作動装置作動処理を終了する。
【0083】
このように、大当り遊技が開始されるためには、第1始動口60又は第2始動口38への遊技球の入球を契機として行われる当否判定の結果が大当りとなって第1特別図柄又は第2特別図柄が大当り図柄で停止表示されること(チャンスモードへの突入)の他に、特定入球口32aに入球した遊技球が、振分部材50によって第1大当り開始ゲート36又は第2大当り開始ゲート37に振り分けられ、何れかの大当り開始ゲートに入球することが必要となる。これにより、第1特別図柄又は第2特別図柄が大当り図柄で停止表示されても、遊技者は大当り遊技が開始されるまで上記条件をクリアするまでに所定の遊技を実行する必要があるから、遊技性の幅を広げることができ、興趣の向上を図ることができる。
【0084】
[大当り遊技処理]
ステップS160の大当り遊技処理は、
図22に示すフローチャートに従って実行される。
図22の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、条件装置作動フラグがオンであるか否か(ステップ500)、役物連続作動装置作動フラグがオンであるか否か(ステップS502)、をそれぞれ判定する。2つのフラグのいずれかがオフである場合には大当り遊技を実行することなくそのまま大当り遊技処理を一旦終了し、2つのフラグのいずれもがオンである場合には大当り遊技を実行すると判断し、大入賞口44が開放中であるか否かを判定する(ステップS504)。いま、大当り遊技の開始直後を考えると、大入賞口44は閉鎖しているため、ステップS502では否定的な判定がなされ、次に、大当り遊技終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS506)。この判定は、大入賞口44の開放動作の繰り返し回数(ラウンド数)が、設定された規定回数に達したか否かを判定することにより行われる。本実施例では、規定回数が、5回又は10回又は15回の何れかに設定される。大当り遊技の開始直後は、ステップS506で大当り遊技終了条件は成立していないと判定されるため、次に、規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定し(ステップS508)、規定の閉鎖時間が経過したと判定されると、大入賞口44が開放されるよう大入賞口ソレノイド44bを駆動制御して(ステップS510)、大当り遊技処理を一旦終了する。
【0085】
大入賞口44の開放を開始すると、次に大当り遊技処理が実行されたときにステップS504で大入賞口44が開放中と判定されるから、大入賞口44が開放を開始してからの経過時間が所定の開放時間に達したか否か(ステップS512)、大入賞口44に入賞した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したか否か(ステップS514)を判定する。ここで、開放時間は、本実施例では、通常大当りと確変大当りのいずれであっても30秒となる。大入賞口44が開放を開始してからの経過時間が所定の開放時間に達しておらず大入賞口44へ入賞した遊技球の数が規定数に達してもいないときには、大入賞口44の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44が開放を開始してからの経過時間が所定の開放時間に達していると判定されたときや、開放時間に達していなくても大入賞口44へ入賞した遊技球の数が規定数に達していると判定されたときには、大入賞口44が閉鎖されるよう大入賞口ソレノイド44bを駆動制御して(ステップS516)、大当り遊技処理を一旦終了する。大入賞口44が閉鎖されると、次に大当り遊技処理が実行されたときにステップS504で大入賞口44が開放中でないと判定されるから、大当り遊技終了条件が成立していない限りは規定の閉鎖時間が経過するまで待って大入賞口44を開放する(ステップS506〜S510)。このように閉鎖状態を挟みながら大入賞口44の開放動作を繰り返すことにより大当り遊技が進行される。大入賞口44の開放動作の繰り返し回数が規定回数に達すると、ステップS506で大当り遊技終了条件が成立したと判定され、
図23に例示する大当り遊技終了時処理を実行して(ステップS518)、大当り遊技処理を終了する。
【0086】
図23の大当り遊技終了時処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、条件装置作動フラグをオフとすると共に(ステップS520)、役物連続作動装置作動フラグをオフとし(ステップS522)、大当り図柄が確変図柄、即ち今回の大当りが確変大当りであるかを判定する(ステップS524)。確変図柄でない、即ち今回の大当りが通常大当りであると判定されると、特別図柄確変フラグはオフのまま維持して、普通図柄変動短縮カウンタを100回にセットし(ステップS526)、確変図柄と判定されると、特別図柄確変フラグをオンとすると共に(ステップS528)、普通図柄変動短縮カウンタを10,000回にセットする(ステップS530)。上述したように、普通図柄変動短縮カウンタが10,000回にセットされると、実質的には、次回の大当りを引くまで普通図柄の変動表示の時短状態が継続される。こうして普通図柄変動短縮カウンタをセットすると、普通図柄変動短縮フラグをオンとすると共に(ステップS532)、普通図柄開放延長フラグをオンとし(ステップS534)、大当り遊技終了コマンドをサブ制御基板90に送信して(ステップS536)、大当り遊技終了時処理を終了する。大当り遊技終了コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に制御信号を出力して演出表示装置34の背景画面を確変用あるいは時短用の背景に設定する等の処理を行う。
【0087】
[演出制御処理]
次に、サブ制御基板90により実行される動作について説明する。
図24は、サブ制御基板90のCPU90aにより実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。演出制御処理は、保留発生時処理(ステップS600)と、後述する図柄変動演出処理(ステップS610)と、大当り遊技演出処理(ステップS620)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、保留発生時処理は、
図16の特別図柄遊技処理のステップS308で主制御基板70により送信される始動入賞時コマンドが受信されたときに、保留数カウンタを値1だけインクリメントし、保留図柄35aの表示を一つ追加することにより行われる。また、大当り遊技演出処理は、主制御基板70から大当り遊技開始コマンドや大当り遊技終了コマンドが受信されたか否かを判定し、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当りファンファーレ画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に制御信号を出力し、大当り遊技終了コマンドを受信すると、エンディング画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に制御信号を出力することにより行われる。なお、各種演出では、演出表示装置34の画面表示に合わせて、音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力したり、LED93aが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力したりする。
【0088】
[図柄変動演出処理]
図柄変動演出処理は、
図25に例示するフローチャートに従って実行される。
図25の図柄変動演出処理では、サブ制御基板90(「サブ制御部」ともいう)のCPU90aは、まず、
図19の図柄変動開始処理のステップS398で主制御基板70により送信される特別図柄の図柄変動開始コマンドを受信したか否か、又は、大当り開始ゲート(第1大当り開始ゲート又は第2大当り開始ゲート)に遊技球が入球したことを示す入球信号コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS700)。何れかの図柄変動開始コマンドを受信したと判定されると、条件装置作動フラグがオンか否かを判定する(ステップS702)。条件装置作動フラグがオフの場合には(ステップS702:NO)、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示に対応して演出図柄が変動表示される演出パターンである特別図柄対応変動演出パターンを設定すると共に(ステップS704)、停止図柄を設定し(ステップS706)、設定した演出パターンと停止図柄とに従って特別図柄対応変動演出を実行する(ステップS708)。
【0089】
一方、条件装置作動フラグがオンの場合には(ステップS702:YES)、チャンスモードにおいて、第1大当り開始ゲート又は第2大当り開始ゲートに遊技球が入球したことに基づいて決定された大当り遊技を表示する演出表示を実行する。条件装置作動フラグがオンであると判定された場合には(ステップS702:YES)、第1大当り開始ゲートに遊技球が入球したか否かを判定する(ステップS712)。第1大当り開始ゲートに入球したと判定された場合には(ステップS712:YES)、役物連続作動装置を作動する契機として、第1大当り開始ゲートが選択され、複数の大当り遊技(5R大当り遊技、15R大当り遊技)のうち何れの大当り遊技が決定されるかを選択・決定する演出表示が実行され(S724)、図柄停止コマンドを受信したか否かが判定され(ステップS716)、受信したと判定された場合には(ステップS716:YES)、これから開始される所定の大当り遊技を特定可能な演出表示(停止表示)を行う(S718)。また、第1大当り開始ゲートに遊技球が入球していないと判定された場合には(ステップS712:NO)、第2大当り開始ゲートに遊技球が入球したか否かを判定する(ステップS720)。たか否かを判定する(ステップS712)。第2大当り開始ゲートに入球したと判定された場合には(ステップS720:YES)、役物連続作動装置を作動する契機として、第2大当り開始ゲートが選択され、特定の大当り遊技(10R大当り遊技)が決定されることを示す演出表示がなされ(S722)、図柄停止コマンドを受信したか否かが判定され(ステップS716)、受信したと判定された場合には(ステップS716:YES)、これから開始される所定の大当り遊技(10R)を特定可能な演出表示(停止表示)を行う(S718)。
なお、ステップS700で図柄変動開始コマンドを受信していないと判定されたとき、又はステップS720で第2大当り開始ゲートに入球していないと判定されたときには、所定の処理(ステップS702〜S714、S722〜S724)をスキップして次の処理に進む。
【0090】
図柄変動演出を行うと、
図16の特別図柄遊技処理のステップS330で主制御基板70により送信される特別図柄の図柄停止コマンドか、又は、実行される大当り遊技の抽選演出を終了するコマンドのいずれかを受信したか否かを判定し(ステップS716)、図柄停止コマンドを受信したと判定されると、受信した図柄停止コマンドに対応する図柄の変動演出を終了して(ステップS718)、図柄変動演出処理を終了する。
【0091】
以上説明した実施例のパチンコ機10によれば、第1始動口60又は第2始動口38への遊技球の入球を契機として行われる当否判定の結果が大当りとなって第1特別図柄又は第2特別図柄が大当り図柄で停止したときに大当り遊技の権利(チャンスモード)を発生させ、チャンスモード中に、遊技者の任意のタイミングで特定入球口32aに遊技球を入球させ、且つ入球した遊技球が振分部材50によって第1大当り開始ゲート36又は第2大当り開始ゲート37に振り分けられたときに大当り遊技を開始する。このように、大当り遊技が開始されるための条件として、第1始動口60又は第2始動口38への遊技球の入球を契機として行われる当否判定の結果が大当りとなる条件の他に、特定入球口32aに遊技球が入球して第1大当り開始ゲート36又は第2大当り開始ゲート37に遊技球が入球する条件を課している。そして、第1大当り開始ゲート36に入球することに基づいて開始される大当り遊技と、第2大当り開始ゲート37に入球することに基づいて開始される大当り遊技とで、遊技者が得ることのできる利益量が異なる(アタッカの開放態様の異なる)大当り遊技を開始可能なものとしている。これにより、遊技性の幅を広げることができ、興趣の向上を図ることができる。
【0092】
また、チャンスモードは一旦発生すると、大当り遊技が実行されるまで維持されるから、遊技者は任意のタイミングで大当り遊技の開始を狙うことができ、大当り遊技の開始前に一旦休憩等をとることができる。
【0093】
実施例では、
図4に示す通り、特定入球口32aに入球した遊技球を第1大当り開始ゲート36か第2大当り開始ゲート37かに振り分ける振分部材50を備える構成としたが、遊技球を第1大当り開始ゲート36か第2大当り開始ゲート37かに振分けることができるものであれば、如何なる機構を用いるものとしてもよい(例えば、2つ穴を有する周知のクルーンを用いてもよい)。また、特定入球口32aに入球した遊技球は、必ず、第1大当り開始ゲート36か第2大当り開始ゲート37かに振り分けられる構成としたが、これに限らず、何れの大当り開始ゲートにも入球しない第3の誘導路を備えてもよい。
【0094】
実施例では、第2普通図柄の当りの種類を通常当りと特定当たりの2種類とするものとしたが、通常当りのみの1種類としてもよいし、3種類以上としても構わない。
【0095】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例ではパチンコ機10が本発明の「遊技機」に相当し、第1始動口60又は第2始動口38が「始動口」に相当し、特定入球口32aが「特定入球口」に相当し、
図16の特別図柄遊技処理のステップS322の処理を実行する主制御基板70(のCPU)が「当否判定手段」に相当し、第1特別図柄表示装置43、第1図柄表示基板40a、第
2特別図柄表示装置45、第2図柄表示基板40b、及び
図19の図柄変動開始処理を実行する主制御基板70(のCPU)などが「第1の図柄表示手段」に相当し、
図21の役物連続作動装置作動処理や
図22の大当り遊技処理を実行する主制御基板70(のCPU)が「特別遊技実行手段」に相当し、
図17の特別図柄遊技処理のステップS338の処理を実行する主制御基板70(のCPU)が「特別遊技許可状態発生手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0096】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
(他の実施例)
【0097】
本実施例では、大当り態様が複数設定されているか否か(複数の大当り態様のうちから、何れの大当りを実行するかの抽選を行うか否か)に拘らず、大当り開始ゲート36、37への入球に伴って大当り態様決定乱数を取得し、当該取得した乱数と大当り態様決定テーブル(
図26(a)又は(b))とに基づいて、大当り態様を決定しているが、大当り態様の決定方式はこの様な態様に限らない。
他の態様1として、チャンスモードにおいて、第1大当り開始ゲート又は第2大当り開始ゲートの何れに遊技球が入球したかを特定可能なフラグを設定し(「通過ゲート特定手段」ともいう)、当該フラグとに基づいて大当り態様を決定することもできる。具体的には、入球ゲート特定手段(フラグ)が、第1大当り開始ゲートに入球したことを示す場合には、大当り遊技の振分があるため、ゲート通過時に取得した第1大当り態様特定乱数と、第1大当り開始ゲート用大当り態様決定テーブルと、により、複数の大当り遊技から実行する1の大当り遊技を決定する。そして、入球ゲート特定手段(フラグ)が、第2大当り開始ゲートに入球したことを示す場合には、大当り遊技の振分がないので、所定の大当り遊技を決定することとしてもよい。
【0098】
また、本実施例では、大当り開始ゲートを通過する際に、大当り態様決定乱数を取得し、当該取得乱数と大当り態様決定テーブル(
図26)とに基づいて、大当り遊技(大当り態様)の種類を決定したが、他の態様2として、大当り態様決定乱数を用いることなく(別途に乱数を用いることなく)、条件装置が作動したときに、既に取得している情報を用いることもできる。
例えば、大当り図柄決定乱数や当否判定乱数やリーチ乱数等の他の乱数、又は、大当り図柄によって決定してもよい。具体的に、大当り図柄を複数種類設定し、例えば特別図柄の大当り図柄として特別図柄1〜10が設定されている場合において、特別図柄1〜5が停止表示された場合において、第1大当り開始ゲートに入球した場合には、5R大当り遊技が実行され、特別図柄6〜10が停止表示された場合において、第1大当り開始ゲートに入球した場合には、15R大当り遊技が実行されるものとすることができる。また、第2大当り開始ゲートに入球した場合には、何れの特別図柄が停止表示された場合にも、10R大当り遊技が実行されるものとすることができる。ここで、何れのゲートに入球したかの特定は、上述した入球ゲート特定手段(フラグ)を用いることができる。また、特別図柄と入球した大当り開始ゲートとに基づいて、実行する大当り遊技を決定する場合には、特別図柄を遊技者に認識困難なものとすることが望ましい(特別図柄1〜10のどれが停止表示したのかを認識困難にする)。なぜなら、特別図柄を認識してしまうと、何れの大当り開始ゲートに入球させた方が獲得利益が多くなるかが、大当り遊技開始前に(チャンスモード中に)わかってしまい、特定の遊技者が有利となってしまうからである(遊技の公平性を欠く)。従って、図柄表示装置等に表示する特別図柄ではなく、遊技機の外部から認識できない当否判定乱数、当り図柄決定乱数や、その他の所定のタイミングで取得した乱数と、入球ゲート特定手段(フラグ)とにより決定することができる。
【0099】
また、本実施例では、特定入球口32aを常時入球可能なものとし、通常状態(条件装置が作動していない状態)で大当り開始ゲートに入球しても、役物連続作動装置を作動しない(大当り遊技を開始しない)ものとしたが、これに限らない。他の態様として、内部に大当り開始ゲートを有する振分装置の入球口たる特定入球口の入口に開閉部材を設け、新たな遊技性を付加することもできる。また特定入球口への入球を許容する状態と許容しない状態とに切替える開閉部材を有する可変入球装置を第2普通電動役物とし、第2普通電動役物の開閉部材を開閉するための第2普通図柄表示手段と、第2普通図柄作動ゲートとを備えることができる。第2普通図柄作動ゲートに遊技球が入球すると、第2普通図柄表示手段において第2普通図柄が変動表示され、所定時間経過後に停止表示される。第2普通図柄が当り図柄である場合には、第2普通電動役物の開閉部材が開放状態となる。この太洋においては、第2普通電動役物が開放状態とならなければ、大当り開始ゲートに遊技球を入球させることが困難又は不可能なものとされている。第2普通電動役物に関する処理は、上述した普通電動役物に関する処理(
図12、
図13、
図14、
図15等)と同様である。また、チャンスモードが発生すると、第2普通図柄が当り図柄となる確率を高確率としてもよい。チャンスモード中の遊技を遊技者に有利な態様で進行させることができる。さらに、チャンスモードであっても第2普通図柄の変動回数が所定回数を超えると高確率から低確率に戻すこともできる。これにより、所定回数は、第2普通電動役物を開放状態としやすいた、所定回数を超えると、第2普通図柄の当り確率が低確率となってしまうので、開放状態になり難い状態となってしまう。これにより、遊技者側とホール側とで受益をバランスさせることができる。また、高確率の状態が終了してもチャンスモード(条件装置が作動し、役物連続作動装置が非作動の状態)は終了しない。これにより、通常確率ではあるものの、第2普通図柄で当りを発生させ、何れかの大当り開始ゲート36、37に遊技球を入球させれば、第1特別図柄又は第2特別図柄の当りを経なくとも大当り遊技を実行可能である遊技状態をつくり出すことができる(以下、この状態を「低確チャンスモード」という)。この結果、遊技状態を多様化し、遊技興趣を高めることができる。
【0100】
具体的には、特別図柄の当り確率を第1の確率(例えば、1/300)とし、第2普通図柄の当り確率を低確率で第1の確率よりも低い1/500、高確率で1/10とすることができる。このように設定した場合には、遊技機が通常状態(非チャンスモード)にあるよりも、低確チャンスモードにある方が大当り遊技を発生させることが困難となる。これにより、遊技者はチャンスモード中(第2普通図柄の当り確率が高確率の間)に大当り遊技を発生させることに集中するため、チャンスモード中の興趣を高めることができる。
【0101】
また、特別図柄の当り確率を第1の確率(例えば、1/300)とし、第2普通図柄の当り確率を低確率で第1の確率よりも高い1/200、高確率で1/10とすることができる。このように設定した場合には、遊技機が通常状態(非チャンスモード)にあるよりも、低確チャンスモードにある方が大当り遊技を発生させることが容易となる。これにより、遊技者は、チャンスモードから低確チャンスモードに移行したとしても、遊技を継続するため、遊技機の稼働率を向上させることができる。しかしながら、低確チャンスモードで当りとならない時間が長時間となることで、遊技を止める遊技者もいる。このような場合には、遊技機島に通常状態から遊技を開始するよりも有利な状態の遊技機が放置(別の遊技者が遊技可能な状態と)されることとなり、他の遊技者が直ぐに遊技を開始することとなる。これにより、遊技者が遊技を止めた場合には、他の遊技者が、当該遊技機を'有利状態の遊技機かもしれない'と考えて、直ぐに遊技を開始する効果があり、当該遊技機島全体の稼働率を向上させることができる。また、遊技状態が、チャンスモードから低確チャンスモードに移行したことを遊技者に報知しないことで(報知タイミングを実際の移行タイミングとずらす場合を設定することで、又は報知の信頼度(真実の報知と虚偽の報知を混合)を設定することで)、遊技者が遊技を止め難くし、遊技機の稼働率を向上させることができる。
【0102】
また、第2普通図柄の当りの種類(通常当りと特定当り)に応じて異なる特定入球口36の開放時間(第2普通電動役物の開放動作時間)を選択するものとしてもよい。また、特定入球口32aの1回当たりの開放時間を一定とし、第2普通図柄の当りの種類に応じて異なる開放回数を選択するものとしてもよい。また、チャンスモード中の第2普通図柄の当り確率を高確率にする回数に制限を付ける場合、第2普通図柄確変カウンタに設定する値を一律に30回としてもよいし、例えば、チャンスモードを開始する契機となった当り図柄(特別図柄の当り図柄)の種類によって、第2普通図柄確変カウンタに設定される値を0回、30回、100回、10000回(実質大当り遊技が開始されるまで保障)などのように異なる値に設定してもよい。
【0103】
また、実施例では、条件装置作動フラグがオフの場合には特別図柄に対応する変動演出を演出表示装置34に表示し、条件装置作動フラグがオンの場合には、何れの大当り遊技が実行されるかを決定する演出表示が実行されるものとしたが、これに加えて、第2普通図柄に対応する変動演出を演出表示装置34に表示するものとしてもよい。
【0104】
また、実施例では、第1の大当り開始ゲートの通過に基づいて実行可能な大当り遊技を複数種類設定し(振分方式)、第2の大当り開始ゲートの通過に基づいて実行可能な大当り遊技を1種類設定したが(確定方式)、この様な態様に限られない。第1大当り開始ゲートへの入球に基づいて実行可能な大当り遊技も、第2大当り開始ゲートへの入球に基づいて実行可能な遊技も、複数種類設定してもよい(両方とも振分方式)。また、大当り開始ゲートを2個備える個性としたが、3個以上備え、全てを振分方式としても良いし、そのうちの一部を振分方式とし、残りを確定方式としてもよい。
【0105】
また、実施例では、
図26(a)(b)に示す通り、複数の大当り遊技として、開放時間が同一(30秒)でラウンド数の異なる大当り遊技を例示したが、これに限られない。複数の大当り遊技としては、ラウンド数は同じであるが、開放態様(開放パターン)が異なるものを例示できる。開放態様が異なるものとしては、アタッカの一回の開放時間が異なる大当り遊技、アタッカの開放回数が異なる大当り遊技、アタッカの閉鎖時間が異なる大当り遊技、アタッカの開閉速度が異なる大当り遊技が例示できる。また、開放態様を問わず、単に、獲得可能な利益量が異なる大当り遊技とすることもできる。また、獲得可能な利益量は同じ又は異なるもの問わず、大当り終了後の時短回数の異なる大当り遊技や、大当り終了後に特別図柄の当否判定確率が高確率で実行される回数たる確変回数の異なる大当り遊技であってもよい。