特許第5928522号(P5928522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928522
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】血栓捕捉カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20160519BHJP
【FI】
   A61B17/00 320
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-96037(P2014-96037)
(22)【出願日】2014年5月7日
(62)【分割の表示】特願2011-271489(P2011-271489)の分割
【原出願日】2003年8月18日
(65)【公開番号】特開2014-210188(P2014-210188A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】特願2002-239678(P2002-239678)
(32)【優先日】2002年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】一色 高明
(72)【発明者】
【氏名】片石 有一
(72)【発明者】
【氏名】宮川 克也
(72)【発明者】
【氏名】片岡 秀彰
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−051229(JP,A)
【文献】 特開2004−097807(JP,A)
【文献】 特表2003−518985(JP,A)
【文献】 特表2003−508114(JP,A)
【文献】 特表2004−518454(JP,A)
【文献】 特表2004−510486(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/049215(WO,A2)
【文献】 国際公開第2001/015629(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/011627(WO,A2)
【文献】 国際公開第2002/028292(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端から先端に貫通するルーメンを有し、該ルーメンの基端が閉鎖部材で閉鎖されたシースと、該シースのルーメンに進退自在に挿着された、先端と基端を有する柔軟なシャフトと、該シャフトの先端部分に設けられ、前記シースの先端部分に該先端から出し入れ可能に挿着された血栓捕捉部材と、を含んでなり、
該血栓捕捉部材は、螺旋状の複数のワイヤで形成され、先端と基端が収束し中間の膨らんだ形状を有するワイヤ部材と、漏斗状のディッピング成形物としての、合成樹脂からなる不織布または織編物から形成されたフィルターと、を含んでなり、
前記血栓捕捉部材は、先端が前記シャフトにスライド可能に取り付けられるとともに、基端が該シャフトに固定され、前記シースに収縮状態で挿着されており、該シースを基端側に引いたときに、前記血栓捕捉部材がシースの外に出て拡張するようにされてなり、
前記シースにシャフトを挿通可能な孔が設けられるとともに、該シースの先端側に該孔
に連通しかつ血栓捕捉部材を挿入可能な第2のルーメンが形成され、血栓捕捉部材より基
端側のシャフト部分が該孔を通して前記シースの外に突出され、
前記第2のルーメンは、前記シースを規定する壁に隣接するように、該シースが有する
ルーメンの内部に存在する血栓捕捉カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冠動脈や頚動脈、静脈グラフトなどの血管狭窄部で経皮的血管形成術を行う際、遊離した血栓等を捕捉する血栓捕捉カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冠動脈や頚動脈、静脈グラフトなどの血管狭窄部において、ステント、POBA(Plain Old Balloon Atherectomy)等の経皮的血管形成術が行われている。この手術は、血管狭窄部でステント留置やバルーン拡張を行い、血流を確保する血行再建術の一つであり、所期の成果を挙げている。
【0003】
しかしながら、上記の方法では、狭窄部を拡張したものの術中遊離したプラークや血栓などが病変部末梢側へ流れ、梗塞、No-Reflow現象などをきたし、再灌流が得られないことがある。そして、このような血栓等によって引き起こされる合併症は重篤なものが多い。
【0004】
例えば、冠動脈において血栓が関与している不安定狭心症や急性心筋梗塞などでは、ステント留置やバルーン拡張により血栓が押し出され、病変部末梢側の血管が閉塞されることがある。その結果、心筋に十分な酸素や栄養が供給されなくなり、心筋壊死等の心筋障害を引き起こす。また、同様に、脳に血液を供給している血管が詰まると、所謂脳梗塞を引き起こし脳組織が死んだ状態になる。特に頚動脈は動脈硬化により狭窄が起こりやすく、脳への血流が不足したり、狭窄部に生じた血栓により脳梗塞を引き起こしやすい。このような脳梗塞の症状としては、麻痺、しびれ、失語症、意識障害などがあり、一度失ってしまった機能は、リハビリテーションをしても100%の回復は見込めず、その後の患者の生活に大きな影響を与える。また、古く変成した静脈グラフト狭窄部には、多量の血栓が付着しているため注意が必要とされている。
【0005】
このように、血栓による梗塞は重篤な合併症を引き起こすものであるため、経皮的血管形成術において病変部末梢側の保護が求められつつあり、既にGuard Wire(登録商標;特許文献1参照)やFilter Wire EX(登録商標;特許文献2参照)などのカテーテルデバイスが開発されている。
【0006】
Guard Wireは、ガイドワイヤー先端部にバルーンを備えたものであり、その先端が病変部通過後、付属の装置でバルーンを拡張させて、ステント留置やPOBAを施行し、その後、付属の吸引装置を用いて血栓を吸引する。その際、病変部末梢側の血流は遮断されており、遊離した血栓の流出を防ぐことが出来る。しかしながら、術中、末梢側への血流を確保できず、虚血時間が長くなれば患者に与える影響が大きく、問題がある。また、バルーンの拡張、収縮のための専用装置が必要であり、操作が複雑になる、術者が特別なトレーニングを必要とするという問題もある。
【0007】
また、Filter Wire EXは、ガイドワイヤー先端部にフィルターを設けたものであり、病変部末梢側の血流を確保しながら血栓を捕捉することができる。しかしながら、このものはガイドワイヤーがフィルターの中央に位置していないため、血管壁に均等に密着できず、血栓が末梢側へ流出する可能性が十分にある。
【0008】
このようなわけで、ステント留置やPOBAの施行に際し、術中病変部末梢側への血流確保と、血栓等を確実に捕捉するための血管壁への高い密着性や、操作性の改良が渇望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2001−514544号公報
【特許文献2】特表2002−505151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、血管壁に柔軟に、また、均等に密着して血栓等を確実に捕捉することができ、病変部末梢側への血流を遮断することなく、経皮的血管形成術を容易に行うことのできる血栓捕捉カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、複数の螺旋状ワイヤが交叉されてなる部材であって、先端と基端が収束し中間の膨らんだ形状を有し、好ましくはこの膨らんだ中間部分を含む先端側にフィルターを設けたものを、血栓捕捉部材として採用すれば、術中病変部末梢側への血流確保と、血管壁への高い密着性をともに満足できることに想到し、本発明を完成した。
1つの態様では、本発明は、
基端から先端に貫通するルーメンを有するシースと、該シースのルーメンに進退自在に挿着された、先端と基端を有する柔軟なシャフトと、該シャフトの先端部分に設けられ、前記シースの先端部分に該先端から出し入れ可能に挿着された血栓捕捉部材、とを含んでなり、
前記血栓捕捉部の先端側に、体液は透過することのできる体液通過孔を有するフィルターが被覆されてなる血栓捕捉部を設け、
該シャフトは、該シースと該シャフトの間の段差を無くす円錐状部材を血栓捕捉部材に近接して先端側に有し、
前記血栓捕捉部材は、先端が前記シャフトにスライド可能に取り付けられるとともに、基端が該シャフトに固定され、前記シースに収縮状態で挿着されており、該シースを基端側に引いたときに、複数の螺旋状ワイヤからなる前記血栓捕捉部材がシースの外に出て復元形状に拡張し、螺旋状部分が血管壁に柔軟に密着するようにされてなる血栓捕捉カテーテルに存する。
別の態様では、該第2のルーメンは、該シースを規定する壁に隣接するように、該シースが有する該ルーメンの内部に存在し、更に別の態様では、前記シースにシャフトを挿通可能な孔が設けられるとともに、シースの先端側に該孔に連通しかつ血栓捕捉部材を挿入可能な第2のルーメンが形成され、血栓捕捉部材より基端側のシャフト部分が該孔を通して前記シースの外に突出される。
また、前記シースの先端側側壁にシャフトを挿通可能な側孔が設けられるとともに、シースの先端側に該側孔に連通しかつ血栓捕捉部材を挿入可能な第2のルーメンが形成され、血栓捕捉部材より基端側のシャフト部分が該側孔を通して前記シースの外に突出されるようにしてもよい。
更に別の態様では、本発明は、
基端から先端に貫通するルーメンを有し、該ルーメンの基端が閉鎖部材で閉鎖されたシースと、該シースのルーメンに進退自在に挿着された、先端と基端を有する柔軟なシャフトと、該シャフトの先端部分に設けられ、前記シースの先端部分に該先端から出し入れ可能に挿着された血栓捕捉部材と、を含んでなり、
該血栓捕捉部材は、螺旋状の複数のワイヤで形成され、先端と基端が収束し中間の膨らんだ形状を有するワイヤ部材と、漏斗状にディッピング成形された、合成樹脂からなる不織布または織編物から形成されたフィルターと、を含んでなり、
前記血栓捕捉部材は、先端が前記シャフトにスライド可能に取り付けられるとともに、基端が該シャフトに固定され、前記シースに収縮状態で挿着されており、該シースを基端側に引いたときに、前記血栓捕捉部材がシースの外に出て拡張するようにされてなる血栓捕捉カテーテルに存する。
また、フィルターの孔径は、100μm〜200μmが最も好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明を採用することにより、血管壁に柔軟に密着する血栓捕捉部材を用いて血栓等を確実に捕捉することができ、病変部末梢側への血流を遮断することなく、経皮的血管形成術を容易に行うことができる。
さらに、血栓捕捉性能は、ワイヤが直線状であると血液と触れる部分はワイヤのテーパー状の外側一部分(ワイヤ径とワイヤの本数に依存)だけとなるが、ワイヤが螺旋状であるため血液と触れる部分はワイヤのテーパー状の外側一部分だけでなくテーパー状内側も含まれ、より接触面積が大きくなり多くの血栓を捕捉することが可能となる。
加えて、血管密着性は、ワイヤが螺旋状であるため血管壁に(屈曲部では特に)より柔軟に(組織に優しく)密着することが可能となる。その密着により、血流等による位置ズレも起こり難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例を示す説明図である。
図2】本発明の他の実施例を示す説明図である。
図3】本発明における血栓捕捉部材の一実施例を示す平面図である。
図4図2図3における血栓捕捉部材を含む先端部分の拡大図である。
図5図3のA−A線拡大断面図である。
図6】血栓捕捉部材を含む先端部分の他の実施例を示す図である。
図7】本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術の説明図である。
図8】本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術の説明図である。
図9】本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術の説明図である。
図10】本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術の説明図である。
図11】本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術の説明図である。
図12】本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術の説明図である。
図13】本発明の更に他の実施例を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す説明図であり、図2は本発明の他の実施例を示す説明図、図3は本発明における血栓捕捉部材の一実施例を示す平面図、図4図2図3における血栓捕捉部材を含む先端部分の拡大図、図5図3のA−A線拡大断面図、図6は血栓捕捉部材を含む先端部分の他の実施例を示す図である。また、図7〜12は本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術の説明図、図13は本発明の更に他の実施例を示す先端部分の拡大図である。
本発明の血栓捕捉カテーテルは、図1図4に示す様に、ルーメン11の基端が閉鎖部材12で閉鎖されたシース1と、このシース1のルーメン11に挿着された柔軟なシャフト2と、このシャフト2の先端部分に設けられ、シース1の先端部分に挿着された血栓捕捉部材3、とを含んでなる。血栓捕捉部材3は、複数のワイヤ311が螺旋状に交叉されてなる先端と基端が収束し中間が膨らんだ交叉ワイヤ部材31と、この交叉ワイヤ部材31の先端側に設けられたフィルター32を含んでなり、その先端がシャフト2にスライド可能に取り付けられるとともに、基端がシャフト2に固定され、シース1に収縮状態で挿着されている。この構成により、シース1を基端側に引いたときに、血栓捕捉部材3がシース1の外に出て拡張するようになっている。
【0015】
シース1は、ポリウレタンやポリエステル、ポリエチレン、フッ素樹脂等のプラスチックで形成された管状部材であって、基端から先端に貫通するルーメン11を有しており、このルーメン11の基端はシース1の基端に設けられた閉鎖部材12で閉鎖されている。
閉鎖部材12は、ポリプロピレンやABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックや、ステンレス鋼や真鍮などの金属で形成された管状部材であり、その先端開口部にシース1が挿着されている。閉鎖部材12の基端は閉鎖されているが、シャフト2の進退操作のためシャフト2をシース1の外に出しておく必要がある。シャフト2をシース1の外に出すためには、図1に示すように、閉鎖部材12の基端の軸上にシャフト2を挿通可能な孔121を設けるとともに、この孔121に隣接して先端側に止血弁122を設け、シャフト2の基端側がこの孔121と止血弁122を通してシース1の外に突出するようにしてもよい。また、図2に示すように、シース1の先端側側壁にシャフト2を挿通可能な側孔13を設けるとともに、シース1の先端側にこの側孔13に連通しかつ血栓捕捉部材3を挿入可能な第2のルーメン14を形成し、血栓捕捉部材3より基端側のシャフト2部分がこの側孔13を通してシース1の外に突出するようにしてもよい。
また、閉鎖部材12には、側注チューブ123を設け、血液の凝固を防ぐためのヘパリンなどを注入できるようにしてもよい。
但し、側注チューブ123を閉鎖部材12に設けていない場合には、第2のルーメン14を設ける必要はない。
【0016】
シース1にはシャフト2およびこのシャフト2の先端部分に設けられた血栓捕捉部材3が挿着されている。
シャフト2は、ステンレス鋼やニッケル−チタン合金などの可撓性を有する金属で形成された線状部材であり、図2に示すように変形してシース1の側孔13を通過する程度の柔軟性を有している。シャフト2としては、経皮的血管形成術に使用するガイドワイヤーを採用しても良い。シャフト2の先端部分にはシャフト2を囲繞して血栓捕捉部材3が設けられており、血栓捕捉部材3は、基端がシャフト2に固定され、先端がシャフト2にスライド可能に取り付けられている。
上述のように、シャフト2の先端部には、シース1とシャフト2の間の段差を無くすために、血栓捕捉部材3に近接して先端側に、図6に示すような円錐状部材21を設けるのが好ましい。この円錐状部材21は、基端側がシース1と同等の外径を有し、先端側に縮径する部材であって、これにより、病変部に対して血栓捕捉カテーテルをスムーズに通過させることが可能になる。円錐状部材21の形成材料としては、生体適合材料が好ましく、後述のフィルター32と同様の材料が採用可能である。
【0017】
血栓捕捉部材3は、シース1の先端部分にその先端から出し入れ可能に挿着されており、複数のワイヤ311が螺旋状に交叉されてなる先端と基端が収束し中間の膨らんだ形状を有する交叉ワイヤ部材31と、この交叉ワイヤ部材31の膨らんだ中間部分を含む先端側に設けられたフィルター32を含んでなる。ここで、フィルターの孔径は、50μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μm、最も好ましくは100μm〜200μmである。フィルターの孔径が50μm未満だと血液の流れが妨げられ、1000μmを超えるとフィルターを設ける意義がなくなる。なお血栓捕捉部材3は、図13に示すように、フィルターを設けず複数のワイヤー311のみからなっていてもよい。血栓が大きい場合、この複数のワイヤ311の編み目で血栓を捕捉することが可能である。なお、この場合の複数のワイヤの本数は、8〜16本好ましくは8〜14本、最も好ましくは8〜12本である。
【0018】
血栓捕捉部材3は、先端にスライドリング33を備え基端に固定リング34を備えており、このスライドリング33と固定リング34により、その先端がシャフト2にスライド可能に取り付けられるとともに、基端がシャフト2に固定されている。血栓捕捉部材3(シース1に挿着される前は図3に示すような拡張状態になっている)は、図4に示すようにその全体がシース1に収縮状態で挿着されており、シース1を基端側に引いたときに、血栓捕捉部材3がシース1の外に出て拡張するようになっている。
ワイヤ311の形成材料としては、形状記憶合金が採用可能であり、一般にNi−Ti系合金、Cu−Zn−Al系合金、Cu−Al−Ni系合金等が採用される。ワイヤ311の形成材料として形状記憶合金を採用した場合、血栓捕捉部材3(正確には複数のワイヤ311が螺旋状に交叉されてなる部材)は、通常、図3に示すような形状(復元形状)に記憶されている。血栓等が多い病変部に適用するために、血栓をより多く捕捉可能な様に、血栓捕捉部材3をより長く形成してもよい。
尚、血栓捕捉部材3の外径は、特に限定するものではないが、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0mmの外径を有するものが採用され、病変部の血管径に応じて使い分けるようにするのが好ましい。
【0019】
フィルター32は、好ましくは生体適合性材料の、例えばポリウレタンや、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の合成樹脂からなる不織布または織編物から形成された、図3に示すような漏斗状(限定するものではない)の部材であり、基端側の膨部321と先端側の収束部322からなり、膨部321の収束部322への移行部分には、血栓等を捕捉するが体液は透過することのできる大きさの複数の孔323が設けられている。フイルター32は、複数のワイヤ311が螺旋状に交叉されてなる部材の膨らんだ中間部分を含む先端側に被覆されており、少なくともその膨部321は交叉ワイヤ部材31に糸などで結束されており、収束部322の先端は後述のスライドリング33に隣接している。フィルター32を複数のワイヤ311が螺旋状に交叉されてなる交叉ワイヤ部材31の復元形状にディッピング成形し、その後、血栓等を捕捉するが体液は透過することのできる大きさの孔を複数穿ち、複数のワイヤ311が螺旋状に交叉されてなる部材に被覆してもよい。
【0020】
図5図3のA−A線拡大断面図であり、スライドリング33とシャフト2の関係を示している。スライドリング33は、内側リング331と外側リング332からなり、ワイヤ31はこの2つのリング331、332の間に挟まれる様に構成されており、シャフト2は内側リング331にスライド可能に挿着されている。リング331、332は、ステンレス鋼等の金属から形成されており、リング331、332と複数のワイヤ311の接着にはCOレーザー、YAGレーザー等のレーザー溶接機を用いたスポット溶接や圧着などが採用可能である。
特に図示はしないが、固定リング34もスライドリング33と同様の構成をしており、シャフト2は内側リング331に固定されている。シャフト2と固定リング34を固定するには、スライドリング33と同様の方法で接着すればよい。ここで、固定リング34はシャフト2に対して回動可能に設けてもよい。この場合、固定リング34をシャフト2と接着せず、例えば固定リング34の両端に極近接してシャフト2に環状リブ(図示していない)を設けるなどの方法が採用可能である。
【0021】
次に、本発明の血栓捕捉カテーテルを用いた経皮的血管形成術について図面(図7〜12)を用いて説明する。
先ず、図1に示すような血栓捕捉カテーテルCを用意し、これを目的とする血管付近に予め留置したガイディングカテーテル(図示していない)に挿入する。次に、シャフト2の先端部を血管狭窄部TEまで導入し(図7参照)、次いで血栓捕捉部材3が収縮状態で収納されているシース1の先端部も血管狭窄部TEの末梢側まで挿入する(図8参照)。シャフト2を固定した状態でシース1を基端側(手前)に引くと、血栓捕捉部材3がシース1のルーメン11から出て復元形状に拡張し、血管壁VWに密着する(図9参照)。次に、シース1をガイディングカテーテルから抜去し、別途用意したバルーンカテーテル4をシャフト2に沿って血管狭窄部TEまで挿入する(図10参照)。バルーン41を拡張し、その際遊離した血栓を血栓捕捉部材で捕捉する(図11参照)。バルーン41による血管拡張後、バルーンカテーテル4をガイディングカテーテルから抜去し、シャフト2を固定した状態でシース1を先端側に押し出すと、血栓捕捉部材3は再びシース1内に収納される(図12参照)。最後に血栓捕捉カテーテルCをガイディングカテーテルと一緒に抜去すれば、経皮的血管形成術が完了する。
【符号の説明】
【0022】
1 シース
11 ルーメン
12 閉鎖部材
121 孔
122 止血弁
123 側注チューブ
13 側孔
14 第2のルーメン
2 シャフト
21 円錐状部材
3 血栓捕捉部材
31 交叉ワイヤ部材
311 ワイヤ
32 フィルター
321 膨部
322 収束部
323 孔
33 スライドリング
331 内側リング
332 外側リング
34 固定リング
4 バルーンカテーテル
41 バルーン
C 血栓捕捉カテーテル
VW 血管壁
TE 血管狭窄部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13