特許第5928553号(P5928553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928553
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】中継装置及びスピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/00 20110101AFI20160519BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20160519BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20160519BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   H04N5/00 A
   H04Q9/00 301E
   H04R3/00 310
   H04R1/02 102Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-212211(P2014-212211)
(22)【出願日】2014年10月17日
(62)【分割の表示】特願2011-48439(P2011-48439)の分割
【原出願日】2011年3月7日
(65)【公開番号】特開2015-57893(P2015-57893A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭史
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−40937(JP,A)
【文献】 特開2010−157808(JP,A)
【文献】 特開2009−76177(JP,A)
【文献】 特開2007−306360(JP,A)
【文献】 特開2005−341468(JP,A)
【文献】 特開2005−277453(JP,A)
【文献】 特開平11−90051(JP,A)
【文献】 特開平10−117390(JP,A)
【文献】 特開平8−256387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/00
H04Q 9/00
H04R 3/00
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の筐体と、
該筐体の一の面に設けられ、外部装置を遠隔操作する遠隔操作機器から操作信号を受信する操作信号受信手段と、
前記筐体の一の面とは異なる面の長手方向に沿って設けられ、前記操作信号受信手段が受信した前記操作信号を外部に中継するための信号を再発光する信号発光手段と、
を備える中継装置。
【請求項2】
前記信号発光手段は、前記操作信号を赤外線として外部に発光する複数の赤外線発光手段から構成される請求項1の中継装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の中継装置と、
外部から音声信号を受信する音声信号受信手段と、
該音声信号受信手段が受信した音声信号を音声として出力する音声出力手段と、
を備えるスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置を遠隔操作する遠隔操作機器から受信した操作信号を中継する中継装置及びそれを備えたスピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AV(Audio Visual)機器などの電子機器は、赤外線信号を出力する遠隔操作機器(リモートコントローラ/以下、リモコンという)により遠隔操作が可能となっている。遠隔操作ができるようにするためには、電子機器に設けられた赤外線信号の受信部が、リモコンから出力される赤外線信号を受信できる状態にする必要がある。例えば、受信部の前方に物が置かれていたり、電子機器が離れた位置にあったりする場合には、受信部はリモコンからの赤外線信号を受信できず、ユーザはリモコンにより電子機器を操作できない。
【0003】
特許文献1には、リモコンからの信号が到達しない位置にある電子機器を操作できるようにするシステムが開示されている。特許文献1に記載のシステムは、リモコンとテレビやビデオ等のAV機器との間にリモコンの信号を中継する中継機器(リピータ装置ともいう)を介在させた構成としてある。ユーザは、リモコンから中継機器に信号を送信すると、中継機器がAV機器に対してリモコンから受信した信号を送信する。これにより、リモコンとAV機器とが離れた位置関係にあっても、ユーザはリモコンによりAV機器を操作することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−275591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子機器に設けられている受信部は、リモコンから赤外線信号を受信できる範囲がある程度制限されている。このため、リモコンの信号を中継する中継機器は、電子機器の受信部の信号受信範囲を考慮して設置されなければならない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、遠隔操作機器により操作する外部装置との位置関係を意識することなく容易に設置することができ、遠隔操作機器からの操作信号をより的確に中継することができる中継装置及びスピーカ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る中継装置は、長尺状の該筐体の一の面に設けられ、外部装置を遠隔操作する遠隔操作機器から操作信号を受信する操作信号受信手段と、前記筐体の一の面とは異なる面の長手方向に沿って設けられ、前記操作信号受信手段が受信した前記操作信号を外部に中継するための信号を再発光する信号発光手段と、を備える。
【0008】
この構成では、操作信号を中継する信号中継手段が長尺状の該筐体の長手方向に沿って設けられているため、中継装置が、外部装置に対向して設置され、その外部装置が中継装置により遠隔操作機器からの操作信号を受信できない場合であっても、長手方向に沿って設けられる信号中継手段から外部装置に信号を中継することができる。このため、中継装置を設置する作業者は、外部装置と信号中継手段との位置関係を意識することなく、中継装置を設置することができる。
【0009】
本発明に係る中継装置において、前記信号発光手段は、前記操作信号を赤外線として外部に発光する複数の赤外線発光手段から構成される。
【0010】
この構成では、操作信号を中継する信号中継手段が複数設けられているため、中継装置が、外部装置に対向して設置され、その外部装置が中継装置により遠隔操作機器からの操作信号を受信できない場合であっても、複数の信号中継手段の何れかから外部装置に信号を中継することができる。このため、中継装置を設置する作業者は、外部装置と信号中継手段との位置関係を意識することなく、中継装置を設置することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中継装置を、遠隔操作機器で操作する外部装置との位置関係を意識することなく容易に設置することができ、遠隔操作機器からの操作信号をより的確に中継させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係るスピーカ装置の設置状態を示す図
図2】スピーカ装置の背面図
図3】調整モードの方法を説明するための模式図
図4】スピーカ装置のハードウェア構成を示すブロック図
図5】実施形態1に係るスピーカ装置が実行する処理を示すフローチャート
図6】実施形態2に係るスピーカ装置が実行する処理を示すフローチャート
図7】実施形態3に係るスピーカ装置が実行する処理を示すフローチャート
図8】実施形態4に係るスピーカ装置の構成を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る中継装置は、テレビ(外部装置)用のリモコン(遠隔操作機器)の赤外線信号(以下、赤外線という)を受光し、その赤外線と同じ情報を含む赤外線をテレビの赤外線受光部に向けて発光する信号中継機器である。以下では、本発明に係る中継装置は、テレビの赤外線受光部を塞ぐようにテレビの前方に設置され、テレビの音声を出力するスピーカ装置と一体化されたものとして説明する。
【0014】
なお、本発明に係る中継装置は、スピーカ装置以外に、他の装置と一体化されてもよいし、中継装置単体であってもよい。また、本発明に係る中継装置による赤外線の中継先である外部装置は、テレビ以外に、オーディオステレオ装置やレコーダ等であってもよい。
【0015】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係るスピーカ装置の設置状態を示す図である。本実施形態に係るスピーカ装置1はテレビ100の前方に設置される。図1(a)はスピーカ装置1をテレビ100の前方に設置した状態の斜視図であり、図1(b)は側面図である。
【0016】
スピーカ装置1とテレビ100とは、図示しないHDMIケーブルにより接続されている。HDMIケーブルは、テレビ100からスピーカ装置1への音声信号の送信以外に、HDMI−CECコマンド(応答信号)の送信を可能にする。HDMI−CECコマンドとは、例えば、テレビ100がリモコン200からボリュームを制御する信号などがあり、本実施形態ではこのHDMI−CECコマンドを応答信号として利用する。
【0017】
テレビ100は、操作信号としての赤外線をテレビ100用のリモコン200から受光する受光部102を備えている。受光部102は、表示画面101の下方のパネルに設けられている。本実施形態で は、受光部102が設けられたパネルに対向するようにスピーカ装置1が設けられている。このため、受光部102は、テレビ100に対向する側からの赤外線に対してスピーカ装置1により遮られてしまい、リモコン200からの赤外線を直接受光することができない。
【0018】
スピーカ装置1は直方体形状の筐体1Aを有している。スピーカ装置1は、筐体1Aの長手方向がテレビ100の幅方向と略一致し、かつ、筐体1Aの一面(以下、この面を背面という)がテレビ100側となるようにテレビ100の前方に設置されている。このとき、筐体1Aの背面は、テレビ100の受光部102が設けられたパネルと略平行に対向している。なお、以下では、筐体1Aの背面と平行な筐体1Aの面を前面とする。
【0019】
スピーカ装置1は複数のスピーカ2A,2B,2C,2D,2Eを備えている。スピーカ2A〜2Eは、筐体1Aの前面の長手方向に沿って設けられている。スピーカ装置1は、HDMIケーブルを介してテレビ100から音声信号を受信し、スピーカ2A〜2Eによりスピーカ装置1の前方へ放音する。
【0020】
スピーカ装置1は、赤外線を受光する受光部3を備えている。受光部3は筐体1Aの前面に設けられ、リモコン200からの赤外線を受光する。スピーカ装置1は、テレビ100の受光部102とリモコン200との間を遮るように設置されるため、スピーカ装置1の受光部3は、テレビ100の受光部102に代わってリモコン200の赤外線を受光する。
【0021】
スピーカ装置1は、報知用のLED(Light Emitting Diode)4を備えている。LED4は、所定のタイミングで発光し、ユーザ(テレビ100の視聴者)にリモコン200の操作を促す。リモコン200の操作とは、音量ボタンやチャンネルボタンなど、リモコン200が有する何れかのボタンを押す操作である。なお、LED4以外に、液晶表示画面を筐体1Aの前面に設け、文字によりユーザにリモコン200の操作をより分かりやすく促すようにしてもよい。また、スピーカ2A〜2Eから音を出力して促すようにしてもよい。この場合、LED4は無くてもよい。
【0022】
図2はスピーカ装置1の背面図である。筐体1Aの背面には、複数の赤外線発光部5A,5B,5C,5D,5E,5F,5Gが長手方向に沿って設けられている。赤外線発光部5A〜5Gは、リモコン200と同様に、テレビ100が識別可能なフォーマットの赤外線を発光する。筐体1Aの背面は、テレビ100の受光部102が設けられたパネルと対向している。従って、赤外線発光部5A〜5Gの少なくとも一つは、テレビ100の受光部102と対向または近傍に位置するようになる。
【0023】
赤外線発光部5A〜5Gは、受光部3がリモコン200からの赤外線を受光すると、テレビ100へ出力する信号として、受光した赤外線と同じ赤外線を再発光する。例えば、リモコン200がテレビ100の音量を変更させる制御信号の赤外線を発光し、スピーカ装置1がその赤外線を受光すると、赤外線発光部5A〜5Gは、テレビ100の音量を変更させる制御信号の赤外線を発光する。
【0024】
これにより、テレビ100の受光部102は、スピーカ装置1に遮られてリモコン200から直接赤外線を受光できないが、赤外線発光部5A〜5Gの何れかが発光した赤外線を受光することができる。
【0025】
スピーカ装置1は、赤外線発光部5A〜5Gの何れから赤外線を発光させるかを決定する調整モードを実行する。赤外線発光部5A〜5Gの中には、テレビ100の受光部102から離れて位置するものもある。受信部102から離れた赤外線発光部を発光させても、受信部102は赤外線を受光できないため、無駄な消費電力が生じることとなる。そこで、スピーカ装置1は、調整モードにより、赤外線発光部5A〜5Gの何れを発光すべきかを決定する。
【0026】
以下、調整モードの方法について説明する。図3は、調整モードの方法を説明するための模式図である。図3において、赤外線発光部5A〜5Bから出ている一点鎖線は赤外線の発光範囲を表し、テレビ100の受信部102から出ている点線は、受信部102が赤外線を受光できる受光範囲を示す。
【0027】
調整モードを開始すると、スピーカ装置1の制御部10は、LED4を発光させてユーザにリモコン200の操作を促す。リモコン200がユーザにより操作され、リモコン200から赤外線が発光されると、受光部3がその赤外線を受光する。そして、スピーカ装置1は、赤外線発光部5Aから赤外線(制御信号)を発光させる。
【0028】
スピーカ装置1の制御部10は、赤外線発光部5Aを発光させてから所定時間経過後、LED4を再び発光させてユーザにリモコン200の操作を促す。リモコン200からの赤外線を受光部3が受光すると、スピーカ装置1は、次に赤外線発光部5Bから赤外線を発光させる。スピーカ装置1は、斯かる動作を繰り返し、赤外線発光部5A〜5Gまで順に一つずつ赤外線を発光させる。
【0029】
なお、赤外線発光部5A〜5Gから赤外線を発光させる順序は特に限定されないが、以下では、赤外線発光部5A、赤外線発光部5B、赤外線発光部5C、赤外線発光部5D、赤外線発光部5E,赤外線発光部5F,および赤外線発光部5Gの順に赤外線を発光させるものとする。
【0030】
テレビ100は、スピーカ装置1から赤外線を受光した場合、受光した赤外線に応じた動作を行う。例えば、ボリュームを調整する赤外線を受信した場合、テレビ100は、ボリュームを調整するHDMI−CECコマンドを応答信号として、HDMIケーブルを介して送信する。テレビ100からHDMI−CECコマンドを受信すると、スピーカ装置1は、赤外線発光部5A〜5Gの何れが赤外線を発光させていたときにHDMI−CECコマンドを受信したのかを記憶する。
【0031】
なお、本実施形態では、応答信号として受信した赤外線が示す制御に準じた信号をHDMI−CECコマンドとして送信しているが、これに限らず単に赤外線を受信した旨を示す信号や、受信した赤外線の強度を示す信号を応答信号として送信してもよい。また、テレビ100の仕様によっては、リモコン200から送信されたコマンドの全てをHDMI−CECコマンドとして送信できない場合がある。その場合は、HDMI−CECコマンドとして送信可能なコマンドを応答信号とすることができる。
【0032】
図3の場合、テレビ100の受光部102は、赤外線発光部5A〜5Cが発光した赤外線を受光することができるが、赤外線発光部5D〜5Gが発光した赤外線を受光することができない。このため、リモコン200からの赤外線をテレビ100へ入力させる場合、スピーカ装置1は、赤外線発光部5A〜5Cの少なくとも一つから赤外線を発光させ、赤外線発光部5D〜5Gの赤外線の発光制御は行わない。このように、調整モードで、赤外線を発光させることが無駄な赤外線発光部5D〜5Gを特定して、その発光制御を行わないようにすることで、無駄な電力消費をなくすことができる。
【0033】
調整モードにおいて、テレビ100の受信部102が複数の赤外線発光部から赤外線を受光できた場合、スピーカ装置1は、複数の赤外線発光部から何れかを選択する。その選択方法は、特に限定することなく適宜変更可能である。例えば、受信部102が赤外線発光部5A〜5Cから赤外線を受光できた場合、真中に位置する赤外線発光部5Bが選択されてもよいし、受光した赤外線の強度が一番高い赤外線発光部を選択してもよいし、最初に赤外線が受光された赤外線発光部5Aを選択されてもよい。また、赤外線発光部5A〜5Cからランダムに一つ選択されてもよい。
【0034】
ただし、赤外線発光部5A〜5C全て発光させてもよいし、テレビ100の受信部102が赤外線発光部5〜5G全てから赤外線を受光できる場合には、赤外線発光部5〜5G全てを発光させてもよい。
【0035】
次に、図4はスピーカ装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。スピーカ装置1は、上述したスピーカ2A〜2E、受光部3、LED4および赤外線発光部5A〜5G以外に、制御部10、記憶部11、発光制御部12及びHDMI通信部13等を備えている。
【0036】
制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することでスピーカ装置1の動作を制御する。記憶部11は、制御部10が実行するプログラムや、制御部10の処理結果、例えば、調整モードにおいて決定した発光制御すべき赤外線発光部5A〜5Gの情報などを記憶する。
【0037】
発光制御部12はLED4および赤外線発光部5A〜5Gの発光制御を行う。HDMI通信部13は、テレビ100とHDMIケーブルを介した通信を行う。本実施形態では、上述したように、HDMI通信部13はテレビ100から音声信号およびHDMI−CECコマンドを受信する。
【0038】
図5はスピーカ装置1が実行する処理を示すフローチャートである。図5に示す処理は、制御部10により実行される。
【0039】
制御部10は、調整モードを開始するか否かを判定する(S1)。調整モードを開始するタイミングは、スピーカ装置1の電源をオンにしたときであってもよいし、ユーザにより開始操作が行われたときであってもよい。調整モードを開始しない場合(S1:NO)、制御部10は本処理を終了する。調整モードを開始する場合(S1:YES)、制御部10はLED4を発光させ、ユーザにリモコン200の操作を促す(S2)。
【0040】
制御部10は、リモコン200から赤外線を受光したか否かを判定する(S3)。受光していない場合(S3:NO)、制御部10は受光するまで待機する。このとき、所定時間経過しても赤外線を受光しない場合には、制御部10は本処理を終了してもよいし、他の処理(例えば、S2の処理)に移行してもよい。
【0041】
赤外線を受光した場合(S3:YES)、制御部10は、発光制御部12に赤外線発光部5A〜5Gの一つを発光制御させ、テレビ100が応答可能な赤外線を発光させる(S4)。制御部10は、テレビ100からHDMI−CECコマンドを受信したか否かを判定する(S5)。テレビ100からHDMI−CECコマンドを受信した場合(S5:YES)、制御部10はS4で発光させた赤外線発光部5A〜5Gを特定する情報を記憶部11に記憶し(S7)、S8の処理に移る。
【0042】
HDMI−CECコマンドを受信していない場合(S5:NO)、制御部10は、S4で赤外線発光部5A〜5Gの一つから赤外線を発光させてから所定時間が経過したか否かを判定する(S6)。所定時間が経過していない場合(S6:NO)、制御部10はS5の処理に戻る。所定時間が経過した場合(S6:YES)、制御部10はS8の処理に移る。
【0043】
制御部10は、赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがあるか否かを判定する(S8)。赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがある場合(S8:YES)、制御部10はS2の処理に戻り、他の赤外線発光部5A〜5Gについても同様の処理を行う。例えば、制御部10は、赤外線発光部5Aについての処理を行った場合、次に、赤外線発光部5Bについて同様の処理を行う。
【0044】
赤外線発光部5A〜5Gのうち赤外線を発光させていないものがなくなった場合(S8:NO)、制御部10は、S7で特定する情報が記憶された赤外線発光部から赤外線を発光するのに適したものを選択する(S9)。記憶部11に一つの赤外線発光部の情報のみ記憶されている場合、制御部10は、その赤外線発光部が赤外線を発光するのに適したものとする。複数の赤外線発光部の情報を記憶部11に記憶している場合、制御部10は、何れか一つを選択する。
【0045】
S9の処理の後、制御部10は本処理を終了する。本処理の調整モードを終了した以降、制御部10は、リモコン200から赤外線を受光すると、S9で選択した赤外線発光部から受光した赤外線をテレビ100に対し再発光させる。
【0046】
なお、制御部10は、赤外線発光部の発光レベルを最小限に抑えるようにしてもよい。この場合、発光させる赤外線発光部を特定した後、発光レベルを段階的に下げて、S2以降の処理を再度実行する。そして、制御部10は、赤外線発光部の発光レベルを、テレビ100が受光可能であった最終的な発光レベルに設定する。これにより、赤外線の発光レベルを必要以上に大きくすることなく、消費電力を軽減できる。
【0047】
また、図5に示す処理では、テレビ100が複数の赤外線発光部から赤外線を受光した場合、S9の処理で何れか一つを選択しているが、例えば、制御部10は、調整モードで受信部102が受光できた赤外線を発光した全ての赤外線発光部から赤外線を発光させてもよい。
【0048】
さらに、複数の赤外線発光部から赤外線を発光させる場合も、制御部10は、必要最低限の光量で赤外線を発光させるようにしてもよい。この場合も、赤外線の光量を必要最低限とすることで、消費電力を抑えることができる。
【0049】
また、調整モードにおいて、テレビ100が複数の赤外線発光部から赤外線を受光できた場合、制御部10は、複数の赤外線発光部に対して赤外線を再度発光させ、赤外線発光部をさらに絞り込むようにしてもよい。例えば、テレビ100が赤外線発光部5A,5B,5Cからの赤外線を受光できた場合、制御部10は、発光レベルを下げて、再度赤外線発光部5A,5B,5Cを発光させる。このときテレビ100が赤外線発光部5Aから赤外線を受光できなかった場合には、制御部10は、赤外線発光部5Aを、発光制御の対象から除外する。以下、これを繰り返すことで、テレビ100の受信部102に最も近い赤外線発光部をさらに絞り込むことができる。
【0050】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2では、調整モードにおいてユーザにリモコン200の操作を一度だけ行わせる点で、赤外線発光部5A〜5Gを発光させる都度、ユーザにリモコン200の操作を要求する実施形態1と相違する。以下、その相違点についてのみ説明し、実施形態1と同様の構成および機能については説明を省略する。
【0051】
図6は実施形態2に係るスピーカ装置1が実行する処理を示すフローチャートである。なお、スピーカ装置1の構成については実施形態1と同様であるため、説明は省略する。図6に示す処理は、制御部10により実行される。
【0052】
制御部10は、調整モードを開始するか否かを判定する(S11)。調整モードを開始しない場合(S11:NO)、制御部10は本処理を終了する。調整モードを開始する場合(S11:YES)、制御部10はLED4を発光させ、ユーザにリモコン200の操作を促す(S12)。
【0053】
制御部10は、リモコン200から赤外線を受光したか否かを判定する(S13)。受光していない場合(S13:NO)、制御部10は受光するまで待機する。赤外線を受光した場合(S13:YES)、制御部10は、受光した赤外線の情報を記憶部11に記憶する(S14)。
【0054】
次に、制御部10は、発光制御部12に赤外線発光部5A〜5Gの一つを発光制御させ、S14で記憶部11に記憶した情報に基づいて、受光した赤外線を再発光させる(S15)。制御部10は、テレビ100からHDMI−CECコマンドを受信したか否かを判定する(S16)。テレビ100からHDMI−CECコマンドを受信した場合(S16:YES)、制御部10はS4で発光させた赤外線発光部5A〜5Gを特定する情報を記憶部11に記憶し(S17)、S19の処理に移る。
【0055】
HDMI−CECコマンドを受信していない場合(S16:NO)、制御部10は、S14で赤外線発光部5A〜5Gの一つから赤外線を発光させてから所定時間が経過したか否かを判定する(S18)。所定時間が経過していない場合(S18:NO)、制御部10はS15の処理に戻る。所定時間が経過した場合(S18:YES)、制御部10はS19の処理に移る。
【0056】
制御部10は、赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがある否かを判定する(S19)。赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがある場合(S19:YES)、制御部10はS15の処理に戻り、他の赤外線発光部5A〜5Gについても同様の処理を行う。
【0057】
赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがなくなった場合(S19:NO)、制御部10は、S17で特定する情報が記憶された赤外線発光部から赤外線を発光するのに適したものを選択する(S20)。その後、制御部10は本処理を終了する。
【0058】
以上のように、実施形態2では、ユーザは調整モードの開始時に一度だけリモコン200を操作すれば、以後は、自動で赤外線を発光するため、調整モードにおけるユーザの手間を省くことができる。
【0059】
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3では、テレビ100を操作可能な赤外線の情報が記憶部11に予め記憶されており、調整モードが開始されると、記憶部11に記憶されている情報の赤外線が赤外線発光部5〜5Gから発光される。すなわち、実施形態3では、調整モードにおいてユーザにリモコン200の操作を行わせない点で、実施形態1,2と相違する。以下、その相違点についてのみ説明し、実施形態1と同様の構成および機能については説明を省略する。
【0060】
図7は実施形態3に係るスピーカ装置1が実行する処理を示すフローチャートである。実施形態3に係るスピーカ装置1は、実施形態1で説明したLED4を有さない構成となる。図7に示す処理は、制御部10により実行される。
【0061】
制御部10は、調整モードを開始するか否かを判定する(S21)。調整モードを開始しない場合(S21:NO)、制御部10は本処理を終了する。調整モードを開始する場合(S21:YES)、制御部10は、発光制御部12に赤外線発光部5A〜5Gの一つを発光制御させ、予め記憶部11に記憶された情報を含む赤外線(例えば、ボリューム調整)を発光させる(S22)。
【0062】
制御部10は、テレビ100からHDMI−CECコマンドを受信したか否かを判定する(S23)。テレビ100からHDMI−CECコマンドを受信した場合(S23:YES)、制御部10はS22で発光させた赤外線発光部5A〜5Gを特定する情報を記憶部11に記憶し(S25)、S26の処理に移る。
【0063】
HDMI−CECコマンドを受信していない場合(S23:NO)、制御部10は、S22で赤外線発光部5A〜5Gの一つから赤外線を発光させてから所定時間が経過したか否かを判定する(S24)。所定時間が経過していない場合(S24:NO)、制御部10はS23の処理に戻る。所定時間が経過した場合(S23:YES)、制御部10はS26の処理に移る。
【0064】
制御部10は、赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがあるか否かを判定する(S26)。赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがある場合(S26:YES)、制御部10はS23の処理に戻り、他の赤外線発光部5A〜5Gについても同様の処理を行う。
【0065】
赤外線発光部5A〜5Gのうち、まだ赤外線を発光させていないものがなくなった場合(S26:NO)、制御部10は、S25で特定する情報が記憶された赤外線発光部から赤外線を発光するのに適したものを選択する(S27)。その後、制御部10は本処理を終了する。
【0066】
以上のように、実施形態3では、調整モードにおいて、ユーザはリモコン200を操作する必要がないため、例えば、スピーカ装置1は、電源がオンされると同時に調整モードを開始でき、調整モードにおけるユーザの手間を省くことができる。
【0067】
なお、実施形態2及び実施形態3を組み合わせてもよい。具体的には、スピーカ装置1を接続したテレビ100の操作が可能な赤外線を記憶部11が記憶していないときに、LED4を発光させてユーザにリモコン200の操作を促す。リモコン200からの赤外線の情報を記憶部11に記憶し、以降、記憶した赤外線を調整モードにおいて発光させる。
【0068】
(実施形態4)
以下に、実施形態4について説明する。本実施形態に係るスピーカ装置1は、実施形態1〜3の場合より、赤外線を発光する赤外線発光部の数を少なくできる構成としている。なお、実施形態4に係るスピーカ装置1の動作については、実施形態1〜3と同じであるため説明は省略する。
【0069】
図8は、実施形態4に係るスピーカ装置1の構成を示す概略図である。図8(a)は筐体1Aの背面図であり、図8(b)は筐体1Aを上方から見た透視図である。
【0070】
スピーカ装置1の筐体1Aの背面には、複数の穴10A,10B,10C,10Dが長手方向に沿って形成されている。筐体1Aの内側には、穴10Aを構成し、互いに平行に対向する傾斜面11A,12Aが形成されている。また、筐体1Aの内側には、穴10Bを構成し、互いに平行に対向する傾斜面11B,12Bが形成されている。傾斜面11A,11Bは、互いに反対方向に傾斜している。
【0071】
傾斜面11A,11Bと対向する位置には、赤外線発光部6Aが設けられている。赤外線発光部6Aが発光した赤外線は、図の点線矢印で示すように、傾斜面11A,11Bおよび傾斜面12A,12Bで反射し、穴10A,10Bから外部へ出力される。
【0072】
同様に、筐体1Aの内側には、穴10Cを構成し、互いに平行に対向する傾斜面11C,12Cが形成され、穴10Dを構成し、互いに平行に対向する傾斜面11D,12Dが形成されている。傾斜面11C,11Dは、互いに反対方向に傾斜している。傾斜面11C,11Dと対向する位置には、赤外線発光部6Bが設けられている。赤外線発光部6Bが発光した赤外線は、図の点線矢印で示すように、傾斜面11C,11Dおよび傾斜面12C,12Dで反射し、穴10C,10Dから外部へ出力される。
【0073】
このように、本実施形態では、赤外線発光部6A,6Bからの赤外線を屈折させることで、二つの赤外線発光部6A,6Bで、四つの穴10A〜10Dから赤外線を出力できる。すなわち、二つの赤外線発光部6A,6Bで、四つの赤外線発光部を備えた構成と同じとすることができ、赤外線発光部の数を少なくすることができる。
【0074】
以上説明したスピーカ装置1の具体的構成などは、適宜設計変更可能であり、上述の実施形態に記載された作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、上述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0075】
上述の実施形態では、スピーカ装置1は、テレビ100等の外部装置とHDMIにより接続した構成で説明したが、USB(Universal Serial Bus)又はRS−232C等、外部装置に応答させることができるものであればよい。
【符号の説明】
【0076】
1−スピーカ装置(中継装置)
1A−筐体
2A〜2E−スピーカ(音声出力手段)
3−受信部(操作信号受信手段)
5A〜5G−赤外線発光部(信号中継手段)
10−制御部(出力制御手段)
12−発光制御部(出力制御手段、調整手段)
13−HDMI通信部(応答信号受信手段、音声信号受信手段)
100−テレビ
102−受光部
200−リモコン(遠隔操作機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8