【実施例】
【0044】
(実施例1)
ソーダライムガラス基板上に、スパッタリング法により、2.5cm×2.5cmの大きさのMo層を厚み1μm形成した。
【0045】
(Cu層の電解析出)
3.0MのNaOH、0.2Mのソルビトール、0.10MのCuCl
2を含む水溶液を電解液として、電解析出により、Mo層上に230nmのCu膜を形成した。なお、電解析出の対極としてはPt板を用い、参照極にはAg
+/AgCl/飽和KCl溶液の構成の水溶液用電極を用い、正負極間距離は1.5cmとし、室温とし、参照極に対する陰極の電位を−1.14Vとし、通電量を0.67Cとした。その後、水洗し乾燥した。
【0046】
(Sn層の電解析出)
2.25MのNaOH、0.45Mのソルビトール、55mMのSnCl
2を含む水溶液を電解液として、電解析出により、Cu層上に270nmのSn膜を形成した。なお、電解析出の対極としてはPt板を用い、参照極にはAg
+/AgCl/飽和KCl溶液の構成の水溶液用電極を用い、正負極間距離は1.5cmとし、室温とし、参照極に対する陰極の電位を−1.21Vとし、通電量を0.42Cとした。その後、水洗し乾燥した。
【0047】
(Zn層の電解析出)
フタル酸水素カリウムとスルファミン酸でpH3に調整した水溶液に、0.24MLiClと50mMZnCl
2を溶解したものを電解液として、電解析出により、Sn層上に150nmのZn膜を形成した。なお、電解析出の対極としてはPt板を用い、参照極にはAg
+/AgCl/飽和KCl溶液の構成の水溶液用電極を用い、正負極間距離は1.5cmとし、室温とし、参照極に対する陰極の電位を−1.1Vとし、通電量を0.42Cとした。その後、水洗し乾燥した。
【0048】
(硫化)
Cu/Sn/Znを積層した前駆体を1.0×10
3Paの硫化水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、1mgのSnを加えて、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中の硫化水素の量は、積層体の完全硫化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型化合物半導体吸収層(光吸収層)としてのCZTS膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS(エネルギー分散型X線)分析による膜組成は、Cu
2aZn
bSn
cS
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0であった。Sn、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ12.5at%、23.8at%、13.8at%であった。
【0049】
(n型化合物半導体バッファ層の製膜)
蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)1質量部、及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにしてn型化合物半導体バッファ層(バッファ層)を得た。得られたSn含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.15at%であった。光吸収層のSn含有量と比べて、小さな値となった。
【0050】
(透明電極の製膜)
RFスパッタ装置にて、まず、ノンドープのZnOターゲットを用いて、1.5Pa、400Wで5分間製膜し、高抵抗のZnO透明膜を製膜後、Alを2重量%含むZnOターゲットを用いて、0.2Pa、200Wで40分間製膜し、AlドープZnO透明電極をCZTS/Sn含有CdS上に得た。得られた膜の厚さは600nmであった。
【0051】
(Ni/Al表面電極)
櫛状のマスクを用いて、蒸着装置にてNi100nm、Al1μmの表面電極を製膜し、面積1cm
2の太陽電池セルを得た。
【0052】
(太陽電池特性)
キセノンランプを光源に用い、スペクトルを太陽光に似せた擬似太陽光光源(ソーラーシミュレータ)を用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が5.4%となった。
【0053】
(実施例2)
(太陽電池)
バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。バッファ層は以下のように作製した。蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.7質量部、5mM塩化銅(CuCl
2)0.3質量部、及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Cu含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.10at%、Cuの含有量は0.05at%であった。光吸収層のSn、Cu含有量と比べて、小さな値となった。
【0054】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が5.8%となった。
【0055】
(実施例3)
(太陽電池)
バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。バッファ層は以下のように作製した。蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.7質量部、5mM塩化銅(CuCl
2)0.3質量部、5mM塩化亜鉛(ZnCl2)1.0質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Cu、Zn含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.10at%、Cuの含有量は0.05at%、Znの含有量は0.17at%であった。光吸収層のSn、Cu、Zn含有量と比べて、小さな値となった。
【0056】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が6.8%となった。
【0057】
(比較例1)
(太陽電池)
バッファ層形成時に、5mM塩化スズ(SnCl
2)を加えずに、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液21.0質量部にした以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。このときのCdSバッファ層ではSn、Cu、Zn、Ge、Agは未検出であった。
【0058】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が4.3%となった。
【0059】
(実施例4)
光吸収層、バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。光吸収層、バッファ層の製膜は以下のように行った。
【0060】
(光吸収層前駆体の形成)
真空蒸着法によりPhysical Vapor deposition(物理蒸着、以下PVDと呼ぶ)装置にて行った。なおPVD装置における各工程の成膜前に、あらかじめ各原料元素のフラックス比と得られる膜に含まれる組成の関係を測定しておくことで、膜組成の調整を行った。各元素のフラックスは各Kセルの温度を調整することにより適宜変更した。
【0061】
ソーダライムガラス上に形成されたMo裏面電極をPVD装置のチャンバー内に設置し、チャンバー内を脱気した。真空装置内の到達圧力は1.33×10
−6Paとした。
その後、基板を330℃まで加熱し温度が安定した後に、Cu、Zn、Sn、Ge及びSの各Kセルのシャッターを開き、Cu、Zn、Sn、Ge及びSを基板上に蒸着させた。この蒸着により基板上に約2μmの厚さの層が形成された時点で、各Kセルのシャッターを閉じた。その後基板を200℃まで冷却し、前駆体の成膜を終了した。
【0062】
(硫化)
得られた前駆体を1.0×10
3Paの硫化水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、1mgのSnを加えて、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中の硫化水素の量は、積層体の完全硫化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型半導体としてのCZTS膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS分析による膜組成は、Cu
2aZn
b(Sn
1−yGe
y)
cS
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0、y=0.3であった。Sn、Ge、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ11.2at%、1.3at%、23.8at%、13.8at%であった。
【0063】
(バッファ層の製膜)
蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.7質量部、5mM塩化ゲルマニウム(GeCl
4)0.3質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Ge含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.11at%、Geの含有量は0.04at%であった。光吸収層のSn、Ge含有量と比べて、小さな値となった。
【0064】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が6.8%となった。
【0065】
(比較例2)
(太陽電池)
バッファ層形成時に、5mM塩化スズ(SnCl
2)、5mM塩化ゲルマニウム(GeCl
4)を加えずに、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液21.0質量部にした以外は、実施例2と同様に太陽電池セルを作製した。このときのCdSバッファ層ではSn、Cu、Zn、Ge、Agは未検出であった。
【0066】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が4.7%となった。
【0067】
(実施例5)
光吸収層、バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。光吸収層、バッファ層の製膜は以下のように行った。
【0068】
(光吸収層前駆体の形成)
真空蒸着法によりPVD装置にて行った。実施例4と同様、PVD装置における各工程の成膜前に、あらかじめ各原料元素のフラックス比と得られる膜に含まれる組成の関係を測定しておくことで、膜組成の調整を行った。各元素のフラックスは各Kセルの温度を調整することにより適宜変更した。
ソーダライムガラス上に形成されたMo裏面電極をPVD装置のチャンバー内に設置し、チャンバー内を脱気した。真空装置内の到達圧力は1.33×10
−6Paとした。
その後、基板を330℃まで加熱し温度が安定した後に、Ag、Cu、Zn、Sn、及びSの各Kセルのシャッターを開き、Ag、Cu、Zn、Sn及びSを基板上に蒸着させた。この蒸着により基板上に約2μmの厚さの層が形成された時点で、各Kセルのシャッターを閉じた。その後基板を200℃まで冷却し、前駆体の成膜を終了した。
【0069】
(硫化)
得られた前駆体を1.0×10
3Paの硫化水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、1mgのSnを加えて、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中の硫化水素の量は、積層体の完全硫化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型半導体としてのCZTS膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS分析による膜組成は、(Ag
xCu
1−x)
2aZn
bSn
cS
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0、x=0.05であった。Sn、Ag、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ12.5at%、1.2at%、22.6at%、13.8at%であった。
【0070】
(バッファ層の製膜)
蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.8質量部、5mM塩化銀(AgCl)0.2質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Ag含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.13at%、Agの含有量は0.02at%であった。光吸収層のSn、Ag含有量と比べて、小さな値となった。
【0071】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が5.1%となった。
【0072】
(比較例3)
(太陽電池)
バッファ層形成時に、5mM塩化スズ(SnCl
2)、5mM塩化銀(AgCl)を加えずに、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液21.0質量部にした以外は、実施例2と同様に太陽電池セルを作製した。このときのCdSバッファ層ではSn、Cu、Zn、Ge、Agは未検出であった。
【0073】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が3.8%となった。
【0074】
(実施例6)
光吸収層、バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。光吸収層、バッファ層の製膜は以下のように行った。
【0075】
(光吸収層前駆体の形成)
真空蒸着法によりPVD装置にて行った。実施例4と同様、PVD装置における各工程の成膜前に、あらかじめ各原料元素のフラックス比と得られる膜に含まれる組成の関係を測定しておくことで、膜組成の調整を行った。各元素のフラックスは各Kセルの温度を調整することにより適宜変更した。
ソーダライムガラス上に形成されたMo裏面電極をPVD装置のチャンバー内に設置し、チャンバー内を脱気した。真空装置内の到達圧力は1.33×10
−6Paとした。
その後、基板を330℃まで加熱し温度が安定した後に、Ag、Zn、Sn、及びSの各Kセルのシャッターを開き、Ag、Zn、Sn及びSを基板上に蒸着させた。この蒸着により基板上に約2μmの厚さの層が形成された時点で、各Kセルのシャッターを閉じた。その後基板を200℃まで冷却し、前駆体の成膜を終了した。
【0076】
(硫化)
得られた前駆体を1.0×10
3Paの硫化水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、1mgのSnを加えて、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中の硫化水素の量は、積層体の完全硫化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型半導体としてのAg
2aZn
bSn
cS
4(AZTS)膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS分析による膜組成は、Ag
2aZn
bSn
cS
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0であった。Sn、Ag、Znの含有量に換算すると、それぞれ12.5at%、23.8at%、13.8at%であった。
【0077】
(バッファ層の製膜)
蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.8質量部、5mM塩化銀(AgCl)0.2質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたAZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、AZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Ag含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.13at%、Agの含有量は0.02at%であった。光吸収層のSn、Ag含有量と比べて、小さな値となった。
【0078】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が1.5%となった。
【0079】
(比較例4)
(太陽電池)
バッファ層形成時に、5mM塩化スズ(SnCl
2)、5mM塩化銀(AgCl)を加えずに、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液21.0質量部にした以外は、実施例7と同様に太陽電池セルを作製した。このときのCdSバッファ層ではSn、Cu、Zn、Ge、Agは未検出であった。
【0080】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が1.0%となった。
(実施例7)
光吸収層、バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。光吸収層、バッファ層の製膜は以下のように行った。
【0081】
(光吸収層前駆体の形成)
真空蒸着法によりPVD装置にて行った。実施例4と同様、PVD装置における各工程の成膜前に、あらかじめ各原料元素のフラックス比と得られる膜に含まれる組成の関係を測定しておくことで、膜組成の調整を行った。各元素のフラックスは各Kセルの温度を調整することにより適宜変更した。
ソーダライムガラス上に形成されたMo裏面電極をPVD装置のチャンバー内に設置し、チャンバー内を脱気した。真空装置内の到達圧力は1.33×10
−6Paとした。
その後、基板を330℃まで加熱し温度が安定した後に、Cu、Zn、Ge、及びSの各Kセルのシャッターを開き、Cu、Zn、Ge及びSを基板上に蒸着させた。この蒸着により基板上に約2μmの厚さの層が形成された時点で、各Kセルのシャッターを閉じた。その後基板を200℃まで冷却し、前駆体の成膜を終了した。
【0082】
(硫化)
得られた前駆体を1.0×10
3Paの硫化水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中の硫化水素の量は、積層体の完全硫化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型半導体としてのCu
2aZn
bGe
cS
4(CZGS)膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS分析による膜組成は、Cu
2aZn
bGe
cS
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0であった。Sn、Ag、Znの含有量に換算すると、それぞれ12.5at%、23.8at%、13.8at%であった。
【0083】
(バッファ層の製膜)
蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化ゲルマニウム(GeCl
4)1質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZGS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZGS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたGe含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのGeの含有量は0.13at%であった。光吸収層のGe含有量と比べて、小さな値となった。
【0084】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が2.0%となった。
【0085】
(比較例5)
(太陽電池)
バッファ層形成時に、5mM塩化スズ(SnCl
2)、5mM塩化ゲルマニウム(GeCl
4)を加えずに、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液21.0質量部にした以外は、実施例8と同様に太陽電池セルを作製した。このときのCdSバッファ層ではSn、Cu、Zn、Ge、Agは未検出であった。
【0086】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が1.0%となった。
(実施例8)
光吸収層、バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。光吸収層、バッファ層の製膜は以下のように行った。
【0087】
(光吸収層前駆体の形成)
真空蒸着法によりPVD装置にて行った。実施例4と同様、PVD装置における各工程の成膜前に、あらかじめ各原料元素のフラックス比と得られる膜に含まれる組成の関係を測定しておくことで、膜組成の調整を行った。各元素のフラックスは各Kセルの温度を調整することにより適宜変更した。
ソーダライムガラス上に形成されたMo裏面電極をPVD装置のチャンバー内に設置し、チャンバー内を脱気した。真空装置内の到達圧力は1.33×10
−6Paとした。
その後、基板を330℃まで加熱し温度が安定した後に、Cu、Zn、Sn、及びSeの各Kセルのシャッターを開き、Cu、Zn、Sn及びSeを基板上に蒸着させた。この蒸着により基板上に約2μmの厚さの層が形成された時点で、各Kセルのシャッターを閉じた。その後基板を200℃まで冷却し、前駆体の成膜を終了した。
【0088】
(セレン化)
得られた前駆体を1.0×10
3Paのセレン水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、1mgのSnを加えて、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中のセレン化水素の量は、積層体の完全セレン化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型半導体としてのCu
2aZn
bSn
cSe
4(CZTSe)膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS分析による膜組成は、Cu
2aZn
bSn
cSe
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0であった。Sn、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ12.5at%、23.8at%、13.8at%であった。
【0089】
(バッファ層の製膜)
蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)1質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTSe膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTSe膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのGeの含有量は0.13at%であった。光吸収層のGe含有量と比べて、小さな値となった。
【0090】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が6.7%となった。
【0091】
(比較例6)
(太陽電池)
バッファ層形成時に、5mM塩化スズ(SnCl
2)を加えずに、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液21.0質量部にした以外は、実施例9と同様に太陽電池セルを作製した。このときのCdSバッファ層ではSn、Cu、Zn、Ge、Agは未検出であった。
【0092】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が4.8%となった。
(実施例9)
光吸収層、バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。光吸収層、バッファ層の製膜は以下のように行った。
【0093】
(光吸収層前駆体の形成)
真空蒸着法によりPVD装置にて行った。実施例4と同様、PVD装置における各工程の成膜前に、あらかじめ各原料元素のフラックス比と得られる膜に含まれる組成の関係を測定しておくことで、膜組成の調整を行った。各元素のフラックスは各Kセルの温度を調整することにより適宜変更した。
ソーダライムガラス上に形成されたMo裏面電極をPVD装置のチャンバー内に設置し、チャンバー内を脱気した。真空装置内の到達圧力は1.33×10
−6Paとした。
その後、基板を330℃まで加熱し温度が安定した後に、Cu、Zn、Sn、及びSeの各Kセルのシャッターを開き、Cu、Zn、Sn及びSeを基板上に蒸着させた。この蒸着により基板上に約2μmの厚さの層が形成された時点で、各Kセルのシャッターを閉じた。その後基板を200℃まで冷却し、前駆体の成膜を終了した。
【0094】
(硫化)
得られた前駆体を1.0×10
3Paの硫化水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、1mgのSnを加えて、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中の硫化水素の量は、積層体の完全硫化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型半導体としてのCu
2aZn
bSn
c(S
1−zSe
z)
4(CZTSSe)膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS分析による膜組成は、Cu
2aZn
bSn
c(S
1−zSe
z)
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0、z=0.7であった。Sn、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ12.5at%、23.8at%、13.8at%であった。
【0095】
(バッファ層の製膜)
蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)1質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTSe膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTSe膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのGeの含有量は0.13at%であった。光吸収層のGe含有量と比べて、小さな値となった。
【0096】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が6.9%となった。
(比較例7)
(太陽電池)
バッファ層形成時に、5mM塩化スズ(SnCl
2)を加えずに、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液21.0質量部にした以外は、実施例10と同様に太陽電池セルを作製した。このときのCdSバッファ層ではSn、Cu、Zn、Ge、Agは未検出であった。
【0097】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が4.9%となった。
【0098】
(実施例10)
(太陽電池)
バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。バッファ層は以下のように作製した。蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、1mM塩化スズ(SnCl
2)0.7質量部、3mM塩化銅(CuCl
2)0.3質量部、及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Cu含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.02at%、Cuの含有量は0.03at%であった。光吸収層のSn、Cu含有量と比べて、小さな値となった。
【0099】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が5.6%となった。
【0100】
(実施例11)
光吸収層、バッファ層の製膜以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。光吸収層、バッファ層の製膜は以下のように行った。
【0101】
(光吸収層前駆体の形成)
真空蒸着法によりPVD装置にて行った。実施例4と同様、PVD装置における各工程の成膜前に、あらかじめ各原料元素のフラックス比と得られる膜に含まれる組成の関係を測定しておくことで、膜組成の調整を行った。各元素のフラックスは各Kセルの温度を調整することにより適宜変更した。
ソーダライムガラス上に形成されたMo裏面電極をPVD装置のチャンバー内に設置し、チャンバー内を脱気した。真空装置内の到達圧力は1.33×10
−6Paとした。
その後、基板を330℃まで加熱し温度が安定した後に、Ag、Cu、Zn、Sn、Ge及びSeの各Kセルのシャッターを開き、Ag、Cu、Zn、Sn、Ge及びSeを基板上に蒸着させた。この蒸着により基板上に約2μmの厚さの層が形成された時点で、各Kセルのシャッターを閉じた。その後基板を200℃まで冷却し、前駆体の成膜を終了した。
【0102】
(硫化)
得られた前駆体を1.0×10
3Paの硫化水素含有アルゴンガス雰囲気中電気炉で、1mgのSnを加えて、密封状態で550℃に加熱し、30分間保持し、その後自然冷却した。雰囲気中の硫化水素の量は、積層体の完全硫化に必要な当量の100倍とした。これにより、p型半導体としてのCZTS膜を得た。SEM観察により得られた膜の厚さは2μmであり、EDS分析による膜組成は、(Ag
xCu
1−x)
2aZn
b(Sn
yGe
1−y)
c(S
1−zSe
z)
4において、a=0.95、b=1.1、c=1.0、x=0.05であった。Sn、Ge、Ag、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ11.2at%、1.3at%、1.2at%、22.6at%、13.8at%であった。
【0103】
(バッファ層の製膜)
蒸留水71.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、、5mM塩化ゲルマニウム(GeCl
4)0.3質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.8質量部、5mM塩化銀(AgCl)0.2質量部、5mM塩化銅(CuCl
2)0.3質量部、5mM塩化亜鉛(ZnCl2)1.0質量部及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Ge、Ag、Cu、Zn含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.11at%、Geの含有量は0.04at%、Agの含有量は0.02at%、Cuの含有量は0.05at%、Znの含有量は0.15at%であった。光吸収層のSn、Ge、Ag、Cu、Zn含有量と比べて、小さな値となった。
【0104】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が6.3%となった。
【0105】
(実施例12)
(太陽電池)
光吸収層前駆体の製膜でのCu層の電析における通電量を0.50C、Sn層の電析における通電量を0.50C、Zn層の電析における通電量を0.50Cにした以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。SEM観察によりこのとき得られたCZTS膜の厚さは2μmであり、EDS(エネルギー分散型X線)分析による膜組成は、Cu
2aZn
bSn
cS
4において、a=0.72、b=1.3、c=1.2であった。Sn、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ18.0at%、16.3at%、15.0at%であった。
バッファ層は以下のように作製した。蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.7質量部、5mM塩化銅(CuCl
2)0.3質量部、及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Cu含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.10at%、Cuの含有量は0.05at%であった。光吸収層のSn、Cu含有量と比べて、小さな値となった。
【0106】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が5.8%となった。
【0107】
(実施例13)
(太陽電池)
光吸収層前駆体の製膜でのCu層の電析における通電量を0.85C、Sn層の電析における通電量を0.31C、Zn層の電析における通電量を0.31Cにした以外は、実施例1と同様に太陽電池セルを作製した。SEM観察によりこのとき得られたCZTS膜の厚さは2μmであり、EDS(エネルギー分散型X線)分析による膜組成は、Cu
2aZn
bSn
cS
4において、a=1.22、b=0.81、c=0.75であった。Sn、Cu、Znの含有量に換算すると、それぞれ30.5at%、10.1at%、9.4at%であった。
バッファ層は以下のように作製した。蒸留水72.5質量部、0.4M塩化カドミウム(CdCl
2)水溶液6.5質量部、5mM塩化スズ(SnCl
2)0.7質量部、5mM塩化銅(CuCl
2)0.3質量部、及び、0.4M塩化アンモニウム(NH
4Cl)水溶液20.0質量部を混合した混合液を調製した。これを60℃に加熱し、得られたCZTS膜を5重量%のKCN溶液に5秒間浸漬し、水洗し乾燥した後に、この混合液に5分間浸漬した。その後、0.8Mチオ尿素(CH
4N
2S)水溶液80質量部、及び、13.8Mアンモニア水20質量部を混合した混合液を調製し、60℃に加熱したものを撹拌しながら加え、4分間撹拌した後、CZTS膜をこの溶液から取り出した。
このようにして得られたSn、Cu含有CdSバッファ層の厚さは50nmであり、このときのSnの含有量は0.10at%、Cuの含有量は0.05at%であった。光吸収層のSn、Cu含有量と比べて、小さな値となった。
【0108】
(太陽電池特性)
ソーラーシミュレータを用いて、100mW/cm
2(AM1.5)の条件でI−V測定を行い、変換効率を算出したところ、変換効率が5.1%となった。
【0109】
表1にまとめて示すように、CZTS系太陽電池において、比較例に示した従来技術に比べ、実施例に示したように高い変換効率を得ることができる。
【表1】