特許第5928668号(P5928668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5928668高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品
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  • 特許5928668-高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5928668
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを用いた成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/06 20060101AFI20160519BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20160519BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20160519BHJP
   F16L 11/00 20060101ALI20160519BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20160519BHJP
【FI】
   C08L77/06
   C08L23/26
   C08L51/06
   F16L11/00
   H01M8/04
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-553705(P2015-553705)
(86)(22)【出願日】2015年10月26日
(86)【国際出願番号】JP2015080094
【審査請求日】2016年2月10日
(31)【優先権主張番号】特願2014-235139(P2014-235139)
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】落合 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 定之
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−191871(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/136596(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/114689(WO,A1)
【文献】 特開2007−204674(JP,A)
【文献】 特開2008−173881(JP,A)
【文献】 特開2008−030289(JP,A)
【文献】 特開2008−031233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A)および不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を配合してなる、高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
ヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を5〜100重量部配合してなる、請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる、高圧水素に触れる成形品。
【請求項4】
請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる、高圧水素に触れる高圧水素用ホース。
【請求項5】
請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる内面層の外側に補強層を備える高圧水素用ホース。
【請求項6】
さらに、最外層に耐候層を備える請求項5に記載の高圧水素用ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、石油燃料の枯渇や、有害ガス排出量の削減の要請に対応するために、水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させて発電する燃料電池を自動車に搭載し、燃料電池が発電した電気をモータに供給して駆動力とする燃料電池電気自動車が注目されてきている。水素は分子サイズが小さいため、比較的分子サイズの大きい天然ガスなどに比べ、樹脂中を透過し易いこと、高圧水素は常圧の水素に比べ、樹脂中に蓄積される量が多くなることなどから、これまでの樹脂製タンクやホースでは、高圧水素の充填および放圧を繰り返すと、変形や破壊が起こる課題があった。
【0003】
燃料電池電気自動車の水素ガスなどの貯蔵に用いられるタンクとして、例えば、金属製端部品、該端部品を包囲したポリアミド樹脂製のライナーおよび該ライナーを包囲する熱硬化性樹脂を含浸させた繊維の構造用層とを備えるタンクが検討されている(例えば、特許文献1参照)。また、ガスバリア性に優れ、低温でも優れた耐衝撃性を有する水素タンクライナーとして、例えば、ポリアミド6、共重合ポリアミド、および耐衝撃材を含むポリアミド樹脂組成物からなる水素タンクライナー用材料を成形してなる水素タンクライナーが検討されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、水素ステーションから燃料電池自動車等に水素ガスを充填するホースとして、内面層にナイロン、ポリアセタール、エチレンビニルアルコール共重合体等を使用した水素充填用ホースが検討されている(例えば、特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2011−505523号公報
【特許文献2】特開2009−191871号公報
【特許文献3】特開2010−031993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたタンクは、高圧水素の充填および放圧の繰り返しにより、−40℃以下から90℃以上の温度変化(ヒートサイクル)を繰り返し受けると、樹脂部と金属部との結合部において割れが発生し、耐ヒートサイクル性が充分ではなかった。一方、特許文献2に記載された水素タンクライナーは、耐ヒートサイクル性を多少改善するものの、未だ不十分であった。また、ポリアミド樹脂の結晶性が低いことから、水素ガスの透過や、水素の樹脂中への溶解が生じやすく、高圧水素の充填および放圧を繰り返すと、水素タンクライナーに欠陥点が生じる問題があった。
【0007】
また、特許文献3に記載された水素充填用ホースでは、内面層に温度90℃における乾燥水素ガスのガス透過係数が1×10−8cc・cm/cm・sec.・cmHg以下であるナイロン樹脂を使用すると記載されているが、具体的にどのようなナイロン樹脂であるかについて詳細な説明が一切ない。さらに、一般的なナイロン樹脂は、水素充填用ホースに用いるには、柔軟性および耐ヒートサイクル性が充分ではないと考えられていた。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、柔軟性および耐ヒートサイクル性に優れ、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても欠陥点の発生が抑制された成形品を得ることのできるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
ヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A)および不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を配合してなる、高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物。
【0010】
本発明は、上記のポリアミド樹脂組成物を成形してなる、高圧水素に触れる成形品を含む。
【0011】
本発明は、上記のポリアミド樹脂組成物を成形してなる、高圧水素に触れる高圧水素用ホースを含む。
【0012】
本発明は、上記のポリアミド樹脂組成物を成形してなる内面層の外側に補強層を備える高圧水素用ホースを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物によれば、柔軟性および耐ヒートサイクル性に優れ、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても欠陥点の発生が抑制された成形品を提供することができる。本発明の成形品は、柔軟性および耐ヒートサイクル性に優れ、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても欠陥点が発生しにくい特徴を活かして、高圧水素に触れる用途に用いられる成形品として有用に展開することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の高圧水素用ホースの好ましい一態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0016】
本発明の高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物(以下、「ポリアミド樹脂組成物」と記載する場合がある)は、少なくともヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A)(以下、単に「ポリアミド樹脂(A)」と記載する場合がある)および不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)(以下、単に「エチレン/α−オレフィン共重合体(B)」と記載する場合がある)を配合してなる。ヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A)は、成形性およびガスバリア性に優れる。また、柔軟性に優れることから、温度変化による成形品の歪みを緩和することができるため、耐ヒートサイクル性に優れる。さらに、結晶化度が高く、水素ガスの透過や、水素の樹脂中への溶解を抑制することができるため、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても欠陥点が発生しにくい成形品を得ることができる。また、かかるポリアミド樹脂(A)を不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)と組み合わせることにより、柔軟性および耐ヒートサイクル性を向上させることができる。高圧水素に触れる用途に用いられる成形品は、高圧水素の充填および放圧により、−40℃以下から90℃以上の温度変化(ヒートサイクル)を繰り返し受ける。そのため、成形品が例えば、樹脂部と金属部とを有する複合品である場合、樹脂部と金属部との結合部において割れが発生しやすい。不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を配合することにより、このようなヒートサイクルの繰り返しにより生じる樹脂部と金属部との結合部における割れを抑制することができる。
【0017】
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)とは、ヘキサメチレンジアミン由来の単位および炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を主たる構成単位とするポリアミド樹脂である。本発明の目的を損なわない範囲で、他の単量体が共重合されたものでもよい。ここで、「主たる構成単位とする」とは、ポリアミド樹脂を構成する単量体単位の合計100モル%中、ヘキサメチレンジアミン由来の単位および炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を合計50モル%以上含むことを意味する。ヘキサメチレンジアミン由来の単位および炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を70モル%以上含むことより好ましく、90モル%以上含むことがさらに好ましい。
【0018】
炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などが挙げられる。これらを二種以上用いてもよい。これらのうち、得られるポリアミド樹脂組成物の結晶性、強度のバランスに優れるセバシン酸またはドデカン二酸が好ましく、特にセバシン酸が好ましい。
【0019】
共重合される他の単量体としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸;ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム;テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン;アジピン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらを2種以上共重合してもよい。
【0020】
ポリアミド樹脂(A)の重合度には特に制限がないが、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜7.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、ポリアミド樹脂組成物の粘度が適度に高くなり、成形時の空気の巻き込みを抑制し、成形性をより向上させることができる。相対粘度は1.8以上がより好ましい。一方、相対粘度が7.0以下であれば、ポリアミド樹脂組成物の粘度が適度に低くなり、成形性をより向上させることができる。
【0021】
ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基量には特に制限がないが、1.0〜10.0×10−5mol/gの範囲であることが好ましい。アミノ末端基量が1.0〜10.0×10−5mol/gの範囲であれば、十分な重合度が得られ、成形品の機械強度を向上させることができる。ここで、ポリアミド樹脂(A)のアミノ末端基は、ポリアミド樹脂(A)を、フェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5(体積比))に溶解し、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0022】
本発明に用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体(B)とは、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体である。ここで、不飽和カルボン酸の誘導体とは、不飽和カルボン酸のカルボキシル基のヒドロキシ基部分を他の置換基で置換した化合物であり、不飽和カルボン酸の金属塩、酸ハロゲン化物、エステル、酸無水物、アミドおよびイミドなどである。
【0023】
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸およびこれらカルボン酸の金属塩;マレイン酸水素メチル、イタコン酸水素メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの酸無水物;マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物が好ましく、マレイン酸または無水マレイン酸が特に好ましい。
【0024】
これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体を用いてエチレン/α−オレフィン共重合体を変性する方法としては、例えば、エチレン/α−オレフィン共重合体と、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を共重合する方法、ラジカル開始剤を用いて、未変性エチレン/α−オレフィン共重合体に、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をグラフト導入する方法などを挙げることができる。
【0025】
エチレン/α−オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらα−オレフィンの中でも、炭素数3〜12のα−オレフィンが、機械強度の向上の観点から好ましい。さらに、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−エチリデンノルボルネン、5−エチル−2,5−ノルボルナジエン、5−(1’−プロペニル)−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンの少なくとも1種が共重合されていてもよい。
【0026】
エチレン/α−オレフィン共重合体のα−オレフィン含量は、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは2〜25モル%、さらに好ましくは3〜20モル%である。
【0027】
エチレン/α−オレフィン共重合体(B)は、特に限定されないが、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の耐ヒートサイクル性をより向上させる観点から、ASTM D2240−05に従って測定した成形品のショアA硬度が90A以下であるものが好ましく、80A以下がより好ましい。
【0028】
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるポリアミド樹脂(A)およびエチレン/α−オレフィン共重合体(B)の配合量には特に制限はないが、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、エチレン/α−オレフィン共重合体(B)を5〜100重量部配合してなることが好ましい。エチレン/α−オレフィン共重合体(B)の配合量を5重量部以上とすることにより、成形品の柔軟性および耐ヒートサイクル性をより向上させることができる。一方、エチレン/α−オレフィン共重合体(B)の配合量を100重量部以下とすることにより、より高圧の水素で充填および放圧を繰り返しても、欠陥点の発生を抑制することができる。エチレン/α−オレフィン共重合体(B)の配合量は、80重量部以下がより好ましく、70重量部以下がさらに好ましく、50重量部以下が最も好ましい。
【0029】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、前記成分(A)および成分(B)以外のその他の成分を配合しても構わない。その他の成分としては、例えば、充填材、前記成分(A)以外の熱可塑性樹脂類、前記成分(B)以外の耐衝撃材、各種添加剤類を挙げることができる。
【0030】
例えば、充填材を配合することにより、成形品の強度および寸法安定性等を向上させることができる。充填材の形状は、繊維状であっても非繊維状であってもよく、繊維状充填材と非繊維状充填材を組み合わせて用いてもよい。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。非繊維状充填材としては、例えば、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩;アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などが挙げられる。これらは中空であってもよい。また、これら繊維状および/または非繊維状充填材を、カップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械特性を得る観点において好ましい。カップリング剤としては、例えば、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0031】
熱可塑性樹脂類としては、例えば、前記成分(A)以外のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアルキレンオキサイド樹脂等が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂類を2種以上配合することも可能である。なお、前記成分(A)以外のポリアミド樹脂を配合する場合、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、4重量部以下が好ましい。
【0032】
耐衝撃材としては、例えば、前記成分(B)以外のオレフィン系樹脂、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、スチレン系ゴム、ニトリル系ゴム、ビニル系ゴム、ウレタン系ゴム、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、アイオノマーなどが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。
【0033】
耐衝撃材の構造は特に限定されず、例えば、ゴムからなる少なくとも1つの層と、それとは異種の重合体からなる1つ以上の層からなる、いわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造体であってもよい。多層構造体を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよいが、内部に1層以上のゴム層(コア層)を有することが好ましい。多層構造体のゴム層を構成するゴムの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分、エチレン成分、プロピレン成分、イソブテン成分などを重合させて得られるゴムが挙げられる。多層構造体のゴム層以外の層を構成する異種の重合体の種類は、熱可塑性を有する重合体であれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体が好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、不飽和グリシジル基含有単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、脂肪族ビニル単位、芳香族ビニル単位、シアン化ビニル単位、マレイミド単位、不飽和ジカルボン酸単位およびその他のビニル単位などを含有する重合体が挙げられる。
【0034】
各種添加剤類としては、例えば、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などが挙げられる。
【0035】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド樹脂(A)とともに銅化合物を配合することが、長期耐熱性を向上させることができるので好ましい。銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどの錯化合物などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。なかでも1価の銅化合物、とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などが好ましい。銅化合物の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、0.015重量部以上がより好ましい。一方、成形時の金属銅の遊離に起因する着色を抑制する観点から、銅化合物の配合量は、2重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
【0036】
また、銅化合物とともにハロゲン化アルカリを配合してもよい。ハロゲン化アルカリ化合物としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができる。これらを2種以上配合してもよい。ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0037】
次に、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明の熱可塑性ポリアミド樹脂組成物の製造方法には特に制限はなく、例えば、ポリアミド樹脂(A)、エチレン/α−オレフィン共重合体(B)および必要に応じてその他の成分を一括混練する方法などが挙げられる。混練装置としては、例えば、バンバリーミキサー、ロール、押出機等の公知の混練装置を採用することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物に各種添加剤類などのその他の成分を配合する場合、これらを任意の段階で配合することができる。例えば、二軸押出機により本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する場合、ポリアミド樹脂(A)およびエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を配合する際にその他の成分を同時に配合する方法や、ポリアミド樹脂(A)およびエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を溶融混練中にサイドフィード等の手法によりその他の成分を配合する方法や、予めポリアミド樹脂(A)およびエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を溶融混練した後にその他の成分を配合する方法や、予め、ポリアミド樹脂(A)にその他の成分を配合して溶融混練後、エチレン/α−オレフィン共重合体(B)を配合する方法などが挙げられる。
【0038】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高圧水素に触れる成形品用に好ましく用いられる。ここでいう高圧水素に触れる成形品とは、常圧以上の圧力の水素に触れる成形品である。高圧水素の充填および放圧を繰り返したときの欠陥点の発生を抑制する効果を奏することから、20MPa以上の水素に触れる成形品用途に好ましく用いられ、30MPa以上の水素に触れる成形品用途により好ましく用いられる。一方、200MPa以下の水素に触れる成形品用途に好ましく用いられ、150MPa以下の水素に触れる成形品用途により好ましく用いられ、100MPa以下の水素に触れる成形品用途にさらに好ましく用いられる。
【0039】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、任意の方法により成形して成形品を得ることが可能であり、成形形状は、任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられる。成形形状としては、例えば、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルムまたはシート状、パイプ状、中空状、箱状等の形状が挙げられる。
【0040】
本発明の成形品は、耐ヒートサイクル性に優れ、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても欠陥点の発生が抑制される優れた特徴を活かして、高圧水素用開閉バルブ、高圧水素用逆止弁、高圧水素用減圧弁、高圧水素用圧力調整弁、高圧水素用シール、高圧水素用ホース、高圧水素用タンク、高圧水素用ライナー、高圧水素用パイプ、高圧水素用パッキン、高圧水素用圧力センサ、高圧水素用ポンプ、高圧水素用チューブ、高圧水素用レギュレーター、高圧水素用フィルム、高圧水素用シート、高圧水素用繊維、高圧水素用継ぎ手等に好適に用いることができる。
【0041】
本発明の成形品は、柔軟性および耐ヒートサイクル性の両方に優れることから、なかでも高圧水素用ホースに好適に用いることができる。高圧水素用ホースは、水素ステーションから燃料電池自動車等に水素ガスを充填するホースとして使用される。高圧水素用ホースは、柔軟性が要求されると共に、高圧水素の充填および放圧の繰り返しにより、−40℃以下から90℃以上の温度変化(ヒートサイクル)を繰り返し受けるので、高い耐ヒートサイクル性が要求される。
【0042】
高圧水素用ホースとしては、本発明のポリアミド樹脂組成物をチューブ状に成形してなる内面層の外側に、補強層が設けられたものが好ましい。外側に補強層を設けることにより、ホースの柔軟性を保ちつつ、耐圧性が向上する。さらに、最外層に耐候層が設けられたものがより好ましい。水素ステーションは、屋外に設置されることが多いので、最外層に耐候層を有することによって、高圧水素用ホースの劣化を防ぐことができる。このようなホースの断面図を図1に示した。本発明のポリアミド樹脂組成物からなるチューブ状の内面層1の外側に補強層2が設けられ、さらに最外層に耐候層3が設けられている。
【0043】
補強層の材質としては、高耐圧および柔軟性の観点から、アラミド繊維またはポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維が好ましく、より高耐圧の観点からポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維がより好ましい。補強層は、これらの繊維で内面層の周囲を同心状に被覆することにより設けることが好ましい。
【0044】
耐候層の材質としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。耐候層は、これらの樹脂で補強層の周囲を同心状に被覆することにより設けることが好ましい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。各実施例および比較例における評価は、次の方法で行った。
【0046】
(1)柔軟性:曲げ弾性率
各実施例および比較例により得られたペレットを、住友重機械工業(株)製射出成形機(SE−75DUZ−C250)を用いて、金型温度80℃、射出速度100mm/秒、冷却時間20秒の成形条件で、厚さ1/8インチASTM D−790準拠の曲げ試験片を成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、230℃−235℃−240℃−240℃に設定した。
【0047】
得られた成形品をASTM D790:95に従い温度23℃にて曲げ弾性率を評価した。3本測定した平均の値を曲げ弾性率とした。
【0048】
(2)耐ヒートサイクル性
各実施例および比較例により得られたペレットを、住友重機械工業(株)製射出成形機(SE−75DUZ−C250)を用いて、金型温度80℃、射出速度100mm/秒、冷却時間20秒の成形条件で、48.6mm×48.6mm×28.6mmの金属コアに厚み0.7mmでオーバーモールドした。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、250℃−255℃−260℃−260℃に設定した。
【0049】
得られた金属/樹脂複合成形品3個を、温度−45℃で1時間静置した後、温度90℃で1時間静置し、複合成形品を目視観察して割れの有無を判断した。この操作を繰り返し、3個の複合成形品が全て割れるサイクル数が1500回以上のものをA、1200〜1499回のものをB、1199回以下のものをCとした。
【0050】
(3)高圧水素の充填および放圧繰り返し特性
各実施例および比較例により得られたペレットから、住友重機械工業(株)製射出成形機(SG−75H−MIV)を用いて、金型温度80℃、射出速度10mm/秒、保圧10MPa、保圧時間10秒、冷却時間20秒の成形条件で、63.5mm×12.6mm×12.6mmの角柱試験片を射出成形した。なお、射出成形機の温度は、ホッパ下から先端に向かって、220℃−225℃−230℃−230℃に設定した。
【0051】
得られた63.5mm×12.6mm×12.6mmの角柱試験片をフライス加工により5mm×5mm×5mmの立方体に加工した。加工した試験片について、ヤマト科学(株)製TDM1000−ISを用いてX線CT解析を行い、欠陥点の有無を観察した。欠陥点のない試験片をオートクレーブに入れた後、オートクレーブ中に水素ガスを20MPaまで5分間かけて注入し、1時間保持した後、5分間かけて常圧になるまで減圧した。これを1サイクルとして100サイクル繰り返した。100サイクル繰り返し後の試験片について、ヤマト科学(株)製TDM1000−ISを用いてX線CT解析を行い、1μm以上の欠陥点の有無を観察し、欠陥点が存在しないものを「無し」、欠陥点が存在するものを「有り」とした。
【0052】
(参考例1)ポリアミド610樹脂(ヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A))の調製
ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の当モル塩を重合缶に投入し、投入した等モル塩と同量の純水を加え、重合缶内をNで置換した。その後、撹拌しながら重合缶を加熱し、缶内圧力を最大1.96MPaに調整しながら、最終到達温度を280℃として反応させた。反応物を水浴中に吐出し、ストランドカッターでペレタイズしてポリアミド610樹脂のペレットを得た。得られたペレットについて、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中25℃における相対粘度を測定した結果、3.5であった。また、得られたペレットをフェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5(体積比))に溶解し、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定した結果、アミノ末端基量は3.5×10−5mol/gであった。
【0053】
各実施例および比較例に用いた原料と略号を以下に示す。
PA6:ポリアミド6樹脂(融点224℃、降温結晶化温度175℃、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中25℃における相対粘度2.70)
PA11:ポリアミド11樹脂「“Rilsan” (登録商標)BESN TL」(ARKEMA社製)
PA6/66:ポリアミド6/66樹脂「“UBEナイロン”(登録商標)5034B」(宇部興産(株)製)
耐衝撃材1(不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)):無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体「“タフマー”(登録商標)MH7020」(三井化学(株)製)(ショアA硬度70A)
耐衝撃材2:グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン共重合体「“ボンドファースト”(登録商標)7L」(住友化学(株)製)(ショアA硬度60A)。
【0054】
[実施例1〜2、比較例1〜3、5、6]
表1記載の各原料を、シリンダー温度を240℃に設定し、ニーディングゾーンを2つ設けたスクリューアレンジとし、スクリュー回転数を200rpmとした2軸スクリュー押出機(JSW社製TEX30XSSST)(L/D=45.5(なお、ここでのLは原料供給口から吐出口までの長さ、Dはスクリュー径である)に供給して溶融混練した。ダイから吐出されたガットを5℃に温調した水を満たした冷却バス中を20秒間かけて通過させることで急冷した後、ストランドカッターでペレタイズし、ペレットを得た。得られたペレットを用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
[比較例4]
ポリアミド11樹脂「“Rilsan” (登録商標)BESN TL」(ARKEMA社製)のペレットを用いて、前述の方法により評価した結果を表1に記載した。
【0055】
【表1】
【0056】
以上の結果から、ヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A)および不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を配合して得られたポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品は、柔軟性および耐ヒートサイクル性に優れ、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても欠陥点の発生が抑制されていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、柔軟性および耐ヒートサイクル性に優れ、高圧水素の充填および放圧を繰り返しても欠陥点の発生が抑制された成形品を得ることができる。本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品は、これらの特性を活かして高圧水素に触れる成形品に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 内面層
2 補強層
3 耐候層
【要約】
ヘキサメチレンジアミン由来の単位と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸由来の単位を含むポリアミド樹脂(A)および不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性されたエチレン/α−オレフィン共重合体(B)を配合してなる、高圧水素に触れる成形品用のポリアミド樹脂組成物。柔軟性、耐ヒートサイクル性に優れ、高圧水素の充填、放圧を繰り返しても欠陥点の発生が抑制された成形品を得ることのできるポリアミド樹脂組成物を提供する。
図1