【実施例】
【0012】
図1〜
図6は、この発明の実施例を示すものである。
図2において、1はレンジエクステンデッド型電気自動車(プラグイン式シリーズ型ハイブリッド車)(以下「車両」という)である。この車両1は、内燃機関型エンジン(以下「エンジン」という)2と、このエンジン2で駆動される発電モータである発電機3と、この発電機3から出力される電気エネルギを電力として蓄え且つ車両1の駆動源に電力を供給する蓄電池4とを備える。発電機3は、電力を発電する発電機能と、蓄電池4の電力を利用して車両1を駆動させる駆動機能とを備える装置であり、車両1の駆動源としても機能するものである。なお、この発電機能と駆動機能とは、発電機3が共に備えるのではなく、異なる複数の機器がそれぞれの機能を備える構成としても良い。
車両1には、電力供給制御装置5が設けられる。
この電力供給制御装置5には、
図1に示すように、制御手段(ECU)6が設けられているとともに、この制御手段6に連絡して、蓄電池残量であるSOC(State Of Charge)の検出を行うSOC検出手段7と、車速の検出を行う車速検出手段8と、エンジン2の始動又は停止状態を検出するエンジン状態検出手段9と、所定の車速
(0km/h)以上でエンジン2を始動させるエンジン始動手段10と、所定条件の下で発電量を増大させる発電量増大手段11とが設けられている。
制御手段6は、蓄電池4のSOCが第一SOCとなった場合に所定の車速
(Vst−min〜Vst0km/h)以上でエンジン2を駆動させるHEVモード1と、蓄電池4のSOCが第一SOCよりも低い第二SOCとなった場合に、常時、エンジン2を駆動させるHEVモード2とを備える。
また、制御手段6には、車速平均値を算出する車速平均値算出手段12と、SOC変化量を算出するSOC変化量算出手段13とが備えられている。
なお、制御手段6には、イグニションスイッチ14が連絡している。
【0013】
そして、制御手段6は、車速平均値(Vave)が所定の車速平均値(Vave−th)よりも小さいほど、又は、SOCの減量分が所定量以上で且つその減量分が大きいほど、HEVモード1におけるエンジン始動開始車速(Vst)を下げるように制御、つまり、HEVモード1を持続させてHEVモード2になりにくくする制御を行う。
このHEVモード1におけるエンジン始動開始車速(Vst)の制御においては、
図5に示すように、現在から過去に遡る所定期間における走行履歴により、車速平均値(Vave)と、SOCの変化量(ΔSOC)を求める。つまり、車速(V)及びSOCの移り変わりを所定時間ごとに記録しておき、そのフロー処理時から過去に遡る所定時間の間の車速の平均から車速平均値(Vave)を求め、また、SOCの移り変わりからSOCの変化量(ΔSOC)を求める。
この
図5においては、車速平均値(Vave)が所定の車速平均値(Vave−th)よりも低いと、通常のエンジン始動
開始車速(Vst
0:イグニションスイッチ14のオン後の初期値)よりも低い速度で、エンジン2を始動させる。
また、SOCの変化量(ΔSOC)が所定のSOC変化量(ΔSOC−th)よりも低いと、つまり、SOCの減量分が所定値以上に大きいと、通常のエンジン始動
開始車速(Vst
0)よりも低い車速で、エンジン2を始動させる。
これにより、車速平均値(Vave)又はSOCの減量分に応じて、HEVモード1におけるエンジン始動開始車速(Vst)を変更でき、車両1が所定の速度以上の走行状態にある場合に、エンジン2を始動させて蓄電池4の充電を行うHEVモード1をより持続させることができる。よって、常に、エンジン2による発電を実施するHEVモード2に移行する頻度を下げることができるので、車内の快適性を確保することができる。
【0014】
また、制御手段6は、車速平均値(Vave)が所定の車速平均値(Vave−th)よりも小さいほど、又は、SOCの減量分が所定量以上で且つその減量分が大きいほど、HEVモード1における発電量を増大させるように制御する。
このHEVモード1における発電量を増大させる制御においては、
図6に示すように、現在から過去に遡る所定期間における走行履歴により、車速平均値(Vave)とSOCの変化量(ΔSOC)とを求める。
この
図6においては、車速平均値(Vave)が所定の車速平均値(Vave−th)よりも低いと、通常の発電電力よりも大きい発電を行う。また、発電量は、その時の要求動力、電気負荷によって時時刻刻変化する。発電量の増量分(ΔGen)は、それに対する増量した分である。なお、この発電量の増量分(ΔGen)のイグニションスイッチ14のオン後の初期値は、零(0)である。
また、SOCの変化量(ΔSOC)が所定のSOC変化量(ΔSOC−th)よりも低いと、つまり、SOCの減量分が所定値以上に大きいと、通常の発電電力よりも大きい発電を行う。
これにより、車速平均値(Vave)又はSOCの減量分に応じて、HEVモード1における発電量を変更でき、車両1が所定の速度以上の走行状態にある場合に、エンジン2を始動させて蓄電池4の充電を行うHEVモード1をより持続させることができる。よって、常に、エンジン2による発電を実施するHEVモード2に移行する頻度を下げることができるので、車内の快適性を確保することができる。
【0015】
更に、制御手段6は、車速平均値(Vave)をエンジン2が停止状態にあると検出された時点から過去に遡る所定期間の車速平均値(Vave)から算出し、また、SOCの減量分をエンジン2が停止状態にあると検出された時点から過去に遡る所定期間のSOCの減少量から算出する。
これにより、HEVモード1においてエンジン2が停止していて、エンジン2の駆動による蓄電池4の充電ができておらず、さらに、蓄電池4の充電が期待できない車両1の走行状態にある場合を判別してHEVモード2への移行を抑制することができる。
【0016】
また、制御手段6は、エンジン始動後車速が大きいほど発電量を増大させる。
これにより、車速が増大することによって風きり音やロードノイズ等のエンジン作動音以外の音が大きくなることを利用して、乗員にエンジン2の作動音を気にさせることなくエンジン作動量を増大させることができる。従って、早期に蓄電池4を充電させることができる。
【0017】
次に、HEVモード1におけるエンジン始動開始車速(Vst)の制御について、
図3のフローチャートに基づいて説明する。
図3に示すように、プログラムがスタートすると(ステップA01)、HEVモード1且つエンジン停止か否かを判断し(ステップA02)、このステップA02がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップA02がYESの場合には、車速平均値(Vave)とSOCの変化量(ΔSOC)とを算出し(ステップA03)、Vave<Vave−th、又はΔSOC<ΔSOC−thか否かを判断する(ステップA04)。
このステップA04がYESの場合には、VstをVst−minからVst0の間でエンジン始動開始車速を設定する(ステップA05)。この時、VaveがVave−thよりも小さいほど、又はΔSOCがΔSOC−thよりも小さいほど、VstがVst−minに近づくように設定される。そして、V>Vstか否かを判断し(ステップA06)、このステップA06がNOの場合には、前記ステップA03に戻る。
一方、前記ステップA04がNOの場合には、Vst0をエンジン始動開始車速に設定し(ステップA07)、そして、V>Vst0か否かを判断し(ステップA08)、このステップA08がNOの場合には、前記ステップA03に戻る。
このステップA08がYESの場合、又は、前記ステップA06がYESの場合には、エンジン2を始動し(ステップA09)、プログラムをエンドとする(ステップA10)。
【0018】
次いで、HEVモード1における発電量を増大させる制御について、
図4のフローチャートに基づいて説明する。
図4に示すように、プログラムがスタートすると(ステップB01)、HEVモード1且つエンジン始動か否かを判断し(ステップB02)、このステップB02がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップB02がYESの場合には、車速平均値(Vave)とSOCの変化量(ΔSOC)とを算出し(ステップB03)、Vave<Vave−th、又はΔSOC<ΔSOC−thか否かを判断する(ステップB04)。
このステップB04がYESの場合には、所定の増量分(ΔGen)で発電量を増大させる(ステップB05)。
一方、このステップB04がNOの場合には、通常の発電制御で、発電量の増大を行わない(ステップB06)。
このステップB06の処理後、又は、前記ステップB05の処理後は、SOCが所定値以上か否かを判断する(ステップB07)。なお、この所定値とは、例えば、
図8のSOC−HEVに相当する。このステップB07がNOの場合には、前記ステップB03に戻る。
このステップB07がYESの場合には、エンジン2を停止し(ステップB08)、プログラムをエンドとする(ステップB09)。
【0019】
なお、この発明においては、以下のように、種々応用改変が可能である。
例えば、エンジン始動開始車速(Vst)と発電量の増量分(ΔGen)とを、同時に制御することも可能である。
また、モード1の持続制御を、運転者が選択/非選択するスイッチを設け、その設定により制御の実施/非実施を行わせることも可能である。
更に、発電量の増量分(ΔGen)は、車速平均値(Vave)又はSOCに依存する関数で、車速に関係なく決められる。ただし、車速が低く(必要発電量が低い)、発電量の増量分(ΔGen)が大きいと、エンジン回転数の増加分がわかりやすく、乗員の快音性が低下する。そのため、
図7に示すように、車速(V)に応じた係数(a)を発電量の増量分(ΔGen)に掛けることも可能である。
更にまた、増量分(ΔGen)を使った制御は、HEVモード2での発電量増量分にも応用可能である。
また、所定のSOC(絶対値)以上の場合、SOCの変化量(ΔSOC)の制御に基づいて、エンジン始動開始車速(Vst)の制御や、発電量の増量分(ΔGen)の制御を実施しない構成としても良い。