(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、前記特許文献1,2に記載される型枠パネルは、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とするものであって、そのまま外装材や内装材等として用いることができないものであった。
また、隣り合うパネル同士の接続構造について、十分に記載されていないので、大面積のコンクリート構造物に適用できるか否かも不明であるが、さらに、その接続部分、断面材の突き合わせ部分から、ノロが漏れ出し、前述のように硬化後にノロを拭き取ったり、表層材の外面を仕上げ材で覆う必要があることは、容易に想定されるものであった。
【0007】
そこで、本発明は、型枠パネルを構成する外装材と断熱材が、隣り合う型枠パネルの外装材と断熱材とそれぞれ接続可能であるため、接続強度が高く、コンクリート打設後の仕上げを必要とすることなく、そのまま外装材として用いることができ、しかも隣り合うパネル同士の接続部分からのノロの漏れ出しをも防止できる型枠パネル、及びコンクリート壁体の構築構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、外装材と、該外装材の内側に添設する断熱材とからなる型枠パネルであって、前記外装材は、仕上げ面となる面板部と、該面板部の両端に形成した接続部と、前記
面板部の裏面側に側方が開放する空間部を備え、該空間部内に螺子部を備える定着材を取り付けて形成した定着部とを有し、前記断熱材は、一方の端部に段状の重合部を、他方の端部に前記重合部と重合する被重合部を有し、隣接する外装材同士は係合又は嵌合又は重合によって接続可能であると共に隣接する断熱材同士は重合部及び被重合部を重合させて接続可能であり、コンクリート打設空間内に配設される棒状部材を、断熱材の裏面側から前記定着部の螺子部に螺合して連結することができることを特徴とする型枠パネルに関するものである。
【0010】
また、本発明は、前記型枠パネルにおいて、空間部内に、定着材と外装材との接触を防止する緩衝材を介在させていることを特徴とする型枠パネルをも提案する。
【0011】
また、本発明は、前記型枠パネルにおいて、断熱材には、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔には棒状部材が挿通可能であることを特徴とする型枠パネルをも提案する。
【0012】
さらに、本発明は、前記型枠パネルをコンクリート打設空間の少なくとも一方の型枠として用いたことを特徴とするコンクリート壁体の構築構造をも提案する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の型枠パネルは、隣接する外装材同士を係合又は嵌合又は重合によって接続できると共に、隣接する断熱材同士を重合によって接続できるので、隣接する型枠パネル同士の接続強度が高いものとなる。
また、隣接する型枠パネル同士の接続部分からノロが漏れだそうとしても、特に断熱材の接続部分は段状に重合されているので、漏れ出し流路が屈折状となる。しかも、外装材が棒状部材で内側へ引っ張られ、コンクリートの打設圧で内側から断熱材が外側へ押されることにより、両側からの圧力を受けて重合部分の密度が増すため、ノロの回る屈折状の隙間を圧迫して極力なくすことができる。さらに、コンクリートの打設空間から棒状部材が連結する定着部は、外装材の面板部の裏面側に形成されているので、この定着部にて面板部の表面への漏れ出しが防止される。
そして、隣接する型枠パネル同士の接続も、コンクリート打設空間内に配設される棒状部材との連結も、極めて容易に行うことができる。
このように本発明の型枠パネルは、隣接する型枠パネルを高い接続強度にて接続することができ、しかも型枠パネル同士の接続部分や棒状部材を伝ってノロが漏れ出そうとしても、それらを確実に防止できるので、外装材を別途仕上げ処理(拭き取り等)する必要が無く、そのまま用いることができる。さらに、定着材としてナット等を取り付けた状態で搬送すればよく、平坦状のボートとして取り扱うことができ、積み重ねも可能であり、搬送コストの削減にも繋がる。
しかも、面板部の裏面側に側方が開放する空間部を備え、該空間部内に螺子部を有する定着材を取り付けて定着部を形成しているので、コンクリートの打設空間から棒状部材を伝ってノロが定着部に浸入しても、この空間部にて、面板部の表面への漏れ出しが防止される。
【0015】
また、定着材と外装材との接触を防止する緩衝材を介在させている場合には、例えば定着材がナットであれば、ナット頭部が直接外装材裏面に接触しないので、外装材の面板部に痕跡などが生ずることがない。
【0016】
また、断熱材に、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔に棒状部材が挿通可能である場合には、貫通孔に棒状部材を突き立てた状態で型枠パネルを敷設することができ、所定位置に敷設した後に、棒状部材を締め付ければよく、連結作業を極めて簡易に実施できる。前述のように、この棒状部材としては、間隔保持部材(セパレータ)の一部を用いることができ、容易に型枠を構築することができる。
【0017】
さらに、本発明のコンクリート壁の構築構造は、前記構成の型枠パネルを、コンクリート型枠工法の型枠として用いるものであり、前述のように適宜に断熱材や外装材を選定して様々な仕様のコンクリート壁を容易に且つ安価に構築することができる。
例えば外装材として高強度の金属面材を用いることにより、コンクリートの打設圧力に抗する強度を備え、広い面積を備える壁体にも適用することができる。また、外装材を仕上げ材として用いる場合、外装材の裏面側に定着部を設けたため、必ずしも外側からの施工が必要なく、内側のみの施工も可能となる。この場合、外側の足場が不要となりコストの削減が実現できる。さらに、外側に足場を必要としないため、足場の組めない敷地(施工場所)においても施工を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の型枠パネルは、外装材と、該外装材の内側に添設する断熱材とからなり、隣接する外装材同士は係合又は嵌合又は重合によって接続可能であり、断熱材同士は重合によって接続可能であり、隣接する型枠パネル同士の接続強度が高いものである。
そして、コンクリート打設空間内に配設される棒状部材を、断熱材の裏面側から外装材の裏面側に形成した定着部の螺子部に螺合して連結することができる。
【0020】
前記型枠パネルを構成する断熱材、外装材は、それぞれ別々に成形されるものであって、適宜に選択して所望の構成とすることができる。例えば型枠パネル全体の強度やその他の特性を所望のレベルに設定しようとすれば、これらの断熱材、外装材を適宜に選択して所望の特性を得ることができる。
以下に、断熱材、外装材について、それぞれ説明する。
【0021】
前記断熱材としては、一方の端部に段状の重合部を、他方の端部に前記重合部と重合する被重合部を有するものであれば、それ以外の構成は特に限定するものではない。
例えば各種素材の断熱材を適用することができ、例えば合成樹脂製ボートに限らず木製ボードでもよく、また単層でも複層でもよく、異なる材質の複層構成でもよい。そのため、難燃性、不燃性等の機能性ボード材を用いてもよく、また厚み等についても何等制限がなく、どのような断熱材を用いてもよい。
なお、この断熱材の表面側には、外装材の定着部を収納(もしくは位置)するための凹部を設けてもよいし、前記重合部と被重合部との接続部分に凹状空間を形成してもよい。
また、一体の断熱材に一枚のみの外装材を取り付けても二枚以上の外装材を取り付けてもよいので、前記凹部や前記凹状空間を複数設けるようにしてもよい。
【0022】
この断熱材には、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔にコンクリート打設空間内に配設される棒状部材が挿通可能であることが望ましい。この場合、貫通孔に棒状部材を突き立てた状態で型枠パネルを敷設することができ、所定位置に敷設した後に、棒状部材を締め付ければよいため、連結作業を極めて簡易に実施できる。また、この断熱材の表面又は裏面側に、コンクリートの打設圧を補強するための補強板を適宜に設けてもよい。
【0023】
前記外装材としては、仕上げ面となる面板部と、該面板部の両端、即ち少なくとも対向する一対の端縁(例えば上下、左右)に形成した接続部と、前記面板部の裏面側に形成した螺子部を有する定着部とを有するものであれば、それ以外の構成は特に限定するものではない。
前記面板部は、仕上げ面となるので、略平坦状でもよく、任意の意匠(化粧)性を付与したものでもよく、特にその形状を限定するものではない。
また、前記接続部は、係合又は嵌合又は重合によって接続されるものであり、両端に同一形状を設けることはほとんどないので、以後、一方を接続部とし、他方を接続受部とする。
例えばこの外装材としては、素材や成形法を限定するものではなく、各種素材の面材を適用することができ、金属面材でも硬質樹脂板でもよいし、アルミ等の押出型材を用いてもよい。
【0024】
金属面材や硬質樹脂板にて外装材を形成する場合には、仕上げ面となる面板部の両端、即ち少なくとも対向する一対の端縁(例えば上下、左右)に接続部を備え、例えば重合にて接続する場合には、一方の接続部は、前記面板部の端縁を裏面側へ折り曲げ、更に内側へ折曲した被重合片を有し、他方の接続受部は、裏面側へ折り曲げ、更に外側に折曲した重合片を有する構成としてもよい。
【0025】
アルミ等の押出型材にて外装材を形成する場合には、仕上げ面となる面板部の両端、即ち少なくとも対向する一対の端縁(例えば上下、左右)に接続可能な接続部を備え、例えば係合又は嵌合にて接続する場合には、高い強度及び弾性が付与されるため、係合又は嵌合等の組付状態が弾性的に安定に維持され、容易に接続することができる。
また、特にその厚みを限定するものではないが、大凡厚みは1.2〜1.6mm以上であって、コンクリート打設圧等の多少の応力が作用しても面が歪んだり変形することがない強度を有するものがより望ましい。但し、成形上或いはコスト等の問題からこの押出型材からなる外装材は、概ね幅が200mm程度が汎用的(実用的)であるため、通常1m近い幅に成形される前記断熱材に対して複数枚の外装材を添設するものとなる。
なお、この外装材としては、一種の外装材を用いてもよいし、二種(以上)の外装材を用いてもよく、二種(以上)の場合には、その幅が異なるものでもよい。以降は一種又は二種の外装材を用いるものとして説明する。二種の外装材を用いるとしても、各外装材に空間部を設ける必要はなく、少なくとも一方のみに設ければよい。即ち二種の外装材を用いる場合には、一方の外装材には空間部を設け、他方の外装材には空間部を設けない仕様が多い。二種の外装材を用いる場合にも、それぞれの外装材に設ける接続部は同一でもよいし、異なる構成でもよい。
そして、この外装材は、一体の断熱材に対して一枚の外装材を添設してもよいが、前述の成形幅の問題から、一体の断熱材に対して複数枚の外装材を添設するので、一体の断熱材に対し、一種の外装材を複数枚添設するか、一体の断熱材に対し、二種の外装材を一枚ずつ、或いは複数枚添設するものとなる。
【0026】
次に、前記面板部の裏面側に設ける定着部について説明する。
この定着部は、棒状部材を螺合させる螺子部を備えるものであればよく、雌螺子部でも雄螺子部でもよい。
・定着部が雌螺子部を有し、棒状部材が雄螺子部を有する場合;
定着部は、後述する図示実施例のように六角ナット、四角ナットなどの角ナットや複数の雌螺子部を螺設した板状材を定着材として配置したもの、或いは被重合片を厚肉にしてタップ加工(雌ねじ加工)を施したものでもよい。その場合の棒状部材は、棒状のボルト材等を用いる。なお、前述のように外装材を押出型材にて成形する場合には、厚肉の被重合片を成形する態様にも容易に対応できる。
・定着部が雄螺子部を有し、棒状部材が雌螺子部を有する場合;
定着部は、空間部の外側(=断熱材側)にボルトを立設されるもの(溶接等による固着)、孔からボルトを立設したものでもよい。その場合の棒状部材は、少なくともその先端に雌ねじ加工を施したもの、或いは筒状の部材等が用いられる。
【0027】
特に好ましくは、面板部の裏面側に、側方又は裏面側が開放する空間部を設け、該空間部内に螺子部を有する定着材を取り付けて定着部を形成してもよい。この場合の定着材としては、雌螺子部を備える定着材として、前述の六角ナット、四角ナットなどの角ナットや複数の雌螺子部を螺設した板状材が挙げられ、雄螺子部を備える定着材として、前述のボルト等が挙げられる。なお、前述のように外装材を押出型材にて成形する場合には、定着材の保持(包持)強度も高いものとなる。
定着部として、汎用のナットを用いた場合には、ナットの頭部は角形であるため、棒状部材(ボルト材)の取付に際してとも回り(自転)が防止されるものとなる。
【0028】
なお、空間部には、定着材のみを配設するのではなく、定着材と外装材との接触を防止する緩衝材を介在させることが望ましい。例えば定着材が外装材に押し付けられて、外装材の面板部に痕跡などが生じないようにするためである。
この緩衝材としては、前記断熱材と同材であってもよいし、ゴム等の弾性材であってもよい。また、この緩衝材は、空間部内に連続的に設けるものでも、ナット介在部分(棒状部材の先端位置)のみに配するものでもよい。さらに、予め、或いは配設作業に際し、外装材の裏面側に設けるものであっても、定着材の上部(ナット頭部)に設けるものであってもよい。
【0029】
続いて、前記断熱材の裏面側から前記定着部の螺子部に螺合させて連結する棒状部材について説明する。
この棒状部材は、前記定着部の螺子部に螺合する螺合受部を有する構成であり、定着部がナット等のように雌螺子部を有する場合には、この棒状部材として雄螺子部を備えるボルト材等を用いればよく、後述する図示実施例のように間隔保持部材(セパレータ)の一部を兼ねるものであってもよい。また、定着部がボルトを立設した雄螺子部を有する場合には、この棒状部材として雌螺子部を備える筒状部材等を用いればよい。
また、後述する図示実施例では、鍔状材(押さえ部材)を備える構成であるが、この鍔状材の有無、形状等は特に限定するものではない。さらに、鍔状材を用いる場合であっても、必ずしも全ての棒状部材に用いる必要はなく、所定の列や隅部等の任意の位置に用いるものでもよい。即ち外装材と断熱材の一体化手段の仕様や強度、或いは全体の強度等に応じて適宜に設ければよい。
【0030】
これらの各部材をそれぞれ配設してなる本発明の型枠パネルは、以下の成形工程、一体化工程、接続工程により製造される。なお、一体の断熱材に一種の外装材を複数取り付ける場合には、接続構造は一種であるが、ここでは一体の断熱材にそれぞれ異なる接続部を備える二種の外装材を各2枚ずつ、合計4枚を取り付ける例を示す。
【0031】
・成形工程
まず、外装材については、定着部を備える外装材(便宜的に第1外装材とする)と備えない外装材(便宜的に第2外装材とする)との二種の外装材を用い、各外装材の両端に、隣接する端縁の接続部と接続するように成形する。即ち第1外装材の一方側の接続部Aは、第2外装材の他方側の接続部Dと接続可能とし、第1外装材の他方側の接続部Bは、第2外装材の一方側の接続部Cと接続可能とする。これらの接続部A,D、接続部B,Cが、係合又は嵌合にて接続される場合、弾性係合部又は弾性嵌合が形成される。
また、第1外装材の裏面側には定着部が設けられているので、該定着部にナット等の定着材を収容して定着部とする。なお、定着材のズレや分離が懸念される際には、適宜接着剤などを用いて接着しておくようにしてもよい。
一方、断熱材については、後述する図示実施例のように単層の場合には、外装材の空間部を表面側へ設け、該空間部を形成する外郭部分を嵌め込む凹部を設けることにより、外装材のズレ等を生ずることがなく配設できる。
【0032】
・一体化工程
前記断熱材の表面に、前記二種の外装材を並列状に敷設するが、二種の外装材の各接続部の態様により、適宜に組み合わせて接続すればよい。
なお、断熱材と外装材とは、型枠パネルの使用に際して分離したりズレたりしない程度に一体化するが、その手段を限定するものではなく、例えば面板部裏面を断熱材表面と接着してもよいし、爪等によるものでもよい。或いは後述する図示実施例では、棒状部材に鍔状材を取り付けて断熱材を押さえる(挟着する)役割を果たすので、それまでの仮止めであってもよい。また、接着して一体化する場合には、使用する接着剤や接着面(全面接着に限らず部分接着でもよい)について何等限定するものではない。
【0033】
・接続工程
前記接続部A,D、接続部B,Cの接続構造については、係合又は嵌合又は重合によって接続されるものとすると、前述のように特に外装材が押出型材からなる場合には、組付状態が弾性的に安定に維持され、弾性係合部又は弾性嵌合部を形成する。そして、一体の断熱材上には、二種の外装材を各2枚ずつ、合計4枚を取り付けるので、一体の断熱材上には、一つの接続部A,Dの接続構造と二つの接続部B,Cの接続構造とが形成されるものとなる。
【0034】
これらの工程より製造される本発明の型枠パネルは、断熱材の表面に金属面材等の二種の外装材を合計4枚配設してなる構成であり、隣接する型枠パネルを接続する際には、断熱材上の第1外装材の一方側の接続部Aと、隣接する断熱材上の第2外装材の他方側の接続部Dとを、接続すればよい。この接続は、前述の断熱材表面での第1外装材及び第2外装材の接続と全く同様である。
そして、この型枠パネルは、隣接する型枠パネル同士における外装材同士及び断熱材同士をそれぞれ接続できるので、接続強度が高い接続を行うことができる。
【0035】
また、本発明のコンクリート壁の構築構造は、前記構成の型枠パネルを、コンクリート型枠工法の型枠として用いるものであり、前述のように適宜に断熱材や外装材を選定して様々な仕様のコンクリート壁を容易に且つ安価に構築することができる。
そして、型枠パネルの裏面側からノロが漏れ出そうとしても、断熱材の接続部分は段状に重合されているので、漏れ出し流路が屈折状となる。しかも、外装材が棒状部材で内側へ引っ張られ、コンクリートの打設圧で内側から断熱材が外側へ押されることにより、両側からの圧力を受けて重合部分の密度が増すため、ノロの回る屈折状の隙間を圧迫して極力なくすことができる。さらに、面板部の裏面側に設けた定着部も、その漏れ出しを防止できるので、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装材として用いることができる。
【実施例1】
【0036】
本発明の型枠パネル1の
図1,2に示す第1実施例では、一体の断熱材3の表面にそれぞれ二枚ずつの外装材2I,2IIが合計4枚添設(接着)されて一体化されてなり、断熱材3の表面側の略中央に凹部31が形成され、該凹部31に螺子部を備える六角ナット4Aである定着材が取り付けられて定着部23を形成し、断熱材3の端部に形成した段状の重合部32、被重合部33を重合させて接続可能である構成である。
なお、
図1及び
図2では、上面側が表面側で、下面側が裏面側、コンクリート打設面側である。
【0037】
前記外装材2I,2IIのうち、
図2(c)の下段に示す外装材2Iは、仕上げ面となる面板部21の裏面側に空間部23を備える構成であり、面板部21の略中央に略T字状に表面側へ突出する突条211が設けられ、対向する端縁には接続部22A,22Bが設けられるアルミの押出型材である。そして、その一方側(図面右側)の接続部22Aに隣接して側方(図面左側)が開放する空間部23が形成されている。なお、詳しくは前記空間部23は、面板部21から延在する部分と、裏面側へ突出するように形成された略L字状片とで囲まれる略コ字状の空間を指す。
前記外装材2IIは、
図2(c)の上段に示すように面板部21の構成については前記外装材2Iとほぼ同様で、同一符号を付して説明を省略するが、対向する端縁には接続部22C,22Dが設けられるアルミの押出型材である。
なお、接続部22A〜22Dについては詳述しないが、外装材2Iの接続部22Bと隣接する外装材2IIの接続部22Cが係合して接続し、外装材2IIの接続部22Dと隣接する外装材2Iの接続部22Aとが係合して接続する。、
【0038】
前記断熱材3は、
図1(b)及び
図3(a)右側に示すように単層の硬質ポリウレタンフォームである合成樹脂発泡面材を用い、その表面側の略中央には、上方が解放する溝状の凹部31が形成され、その一方(図面右側)の端部には、厚み方向の下方が切り欠かれた段状の重合部32が形成され、他方(図面左側)の端部には、厚み方向の上方が切り欠かれた、前記重合部32と重合する被重合部33が形成されている。
前記凹部31には、外装材2Iの空間部23を形成する枠状部分と接続部22A、及び外装材2IIの接続部22Dが嵌合(遊嵌)される。
前記接続部32と前記被接続部33とは、重合させて接続可能であり、該接続部分に上方が解放する凹状空間31'を形成する構成であり、該凹状空間31'には、前記凹部31と同様に外装材2Iの空間部23を形成する枠状部分と接続部22A、及び外装材2IIの接続部22Dが嵌合(遊嵌)される。
この第1実施例では、前述のように一体の断熱材3に二種の外装材2I,2IIを二枚ずつ取り付けるので、略中央に凹部31が、隣接する型枠パネル1との接続部分に凹状空間31'が形成される。なお、これらの凹部31及び凹状空間31'には、表裏に貫通する貫通孔311が設けられている。
【0039】
そして、前記断熱材3の表面に、前記二種の外装材2I,2IIを並列状に敷設して接続するには、外装材2I,2IIの各面板部21を断熱材3の表面に接着すると共に、外装材2Iの一方側の接続部22Aを、外装材2IIの他方側の接続部22Dと係合させ、外装材2Iの他方側の接続部22Bは、外装材2IIの一方側の接続部22Cと係合させる。
このように前記外装材2I,2IIの接続は、何れも係合によるものであって、各面板部21を断熱材3の表面に接着する構成と相俟って弾性的に係合するものとなる。
なお、この第1実施例では、アルミの押出型材である外装材2I,2IIを、係合にて接続できるので、
図3(a)左側に示すように断熱材3に接着しない状態で外装材2I,2IIを係合させて接続させることができるので、その後に断熱材3と接着する加工を施して
図3(b)に示すような型枠パネル1としてもよい。
こうして断熱材3の表面に二種の外装材2I,2IIを合計4枚配設してなる構成の型枠パネル1が形成される。
なお、この第1実施例において、合計4枚の外装材2I+2II+2I+2IIは一枚の外装材と見なすことができるため、
図3(b)、
図4、
図5、及び以下の説明では、これらを外装材2とする。
【0040】
前記型枠パネル1には、空間部23が二箇所に設けられ、該空間部23には、螺子部を備える六角ナット4Aである定着材が取り付けられて定着部を形成している。なお、図示実施例では、六角ナット4Aの外側(図面では上側)に緩衝材4bを配設した。
そのため、
図1(a)に示すように、棒状のボルト材である棒状部材5Aを前記定着部4Aへ断熱材3の裏面側から螺合させて連結することができる。この棒状部材5Aとしては、セパレータと称される間隔保持用部材を用いた。
この間隔保持部材は、先端が前記空間部23内の角ナット4Aの図示しない螺子部に螺合する棒状部材5Aに、鍔状材5bを介して合成樹脂製の筒状部材5cが連結された構成であり、更に前記筒状部材5cより大径の中間連結部5dを介して内部に棒状部材5eが配された筒状部材5fが連結され、断面視台形状(錐状)の台座5gを介して他方側の型枠6に至る構成である。そして、この間隔保持部材は、前記中間連結部5dにて分割可能であり、コンクリートの打設後には、他方側の棒状部材5eを抜き取って再利用することができ、熱橋の形成を防止することができる。なお、この棒状部材5Aは、隣接する断熱材3,3同士の重合部分(重合部32及び被重合部33)を貫通しているので、断熱材3,3同士の接続、即ち隣接する型枠パネル1,1の接続にも寄与するものとなる。
【0041】
このように本発明の型枠パネル1は、隣接する外装材2,2同士を係合によって接続でき、隣接する断熱材3,3同士を重合によって接続できるので、隣接する型枠パネル1,1同士の接続強度が高いものとなる。
なお、
図3(b)に示す型枠パネル1には、略中央と一方側(図面左側)の端部に貫通孔311が形成されているが、略中央の貫通孔311には、既に棒状部材5A及び鍔状材5bが配設され、図示しない定着部23内の六角ナット4Aと螺合して起立状に突出している。
【0042】
図4及び
図5には、前記第1実施例の型枠パネル1,1を横方向に直列状に接続する状態を示した。
まず
図4は、既に2面の型枠パネル1,1を接続したものに、更に型枠パネル1を接続しようとする状態を示す。
そして、
図4左側に示された2面の型枠パネル1,1を接続した構造では、各型枠パネル1の略中央の貫通孔311ばかりでなく、型枠パネル1,1同士の接続部分に位置する挿通孔311にも棒状部材5A及び鍔状材5bが配設されている。これは、既に説明したように、型枠パネル1,1同士を横方向に直列状に接続するに際し、棒状部材5Aが型枠パネル1,1の接続にも寄与するからである。
そのため、更に型枠パネル1を接続するには、隣接する外装材2,2同士を係合によって接続すると共に、隣接する断熱材3,3同士を重合によって接続し、更に棒状部材5Aを貫通孔311に裏面側から取り付け、その先端を図示しない定着部23内の六角ナット4Aと螺合させることにより、横方向に直列状に接続することができ、その結果、
図5に示される型枠構造を得ることができる。
【0043】
このように本発明の型枠パネル1は、容易に且つ高い接続強度で横方向に直列状に接続して型枠として用いることができ、その断熱材3側に取り付けた棒状部材5Aの先端に、前記
図1に示すように棒状部材5e及び筒状部材5fを連結させて間隔保持部材を構成すればよく、他方側の型枠6との間にコンクリートを打設すればよい。
【0044】
その際、隣接する型枠パネル1,1同士の接続部分からノロが漏れだそうとしても、特に断熱材3,3の接続部分は段状に重合されているので、漏れ出し流路が屈折状となる。しかも、外装材2が棒状部材5Aで内側へ引っ張られ、コンクリートの打設圧で内側から断熱材3が外側へ押されることにより、両側からの圧力を受けて重合部分の密度が増すため、ノロの回る屈折状の隙間を圧迫して極力なくすことができる。なお、外装材2が棒状部材5Aで内側へ引っ張られても、六角ナット4Aの外側に緩衝材4bを配設しているので、六角ナット4Aが外装材2に圧接したり傷つけたりすることがない。
さらに、棒状部材5Aを伝ってノロが空間部23に浸入しても、この空間部23は面板部21の裏面側に設けているので、ノロの漏れ出しを防止でき、面板部21を汚すことがなく美麗に保持することができ、面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装材として用いることができる。
【0045】
また、この第1実施例では、角ナットである六角ナット4Aを定着材として空間部23に取り付けて定着部として用いたので、定着材として汎用のナットを用いることができ、しかも頭部が角形であるため、棒状部材5Aの取付に際してとも回り(自転)が防止される。
【0046】
また、この第1実施例では、断熱材3に、表裏面に貫通する貫通孔311が所定間隔で開孔され、該貫通孔311に棒状部材5Aを挿通できるため、貫通孔311に棒状部材5Aを突き立てた状態で型枠パネル1を敷設することができ、所定位置に敷設した後に、棒状部材5Aを締め付ければよく、連結作業を極めて簡易に実施できる。
【0047】
また、この第1実施例では、面板部21から略T字状に突出する突条211が設けられた,縦縞状の仕上げ面が得られるので、この突条211を機能的又は意匠的に利用するようにしてもよい。
【0048】
図6に示す第2実施例の型枠パネル1'は、一体の断熱材3'の表面に、金属面材からなる一種の外装材2IIIが2枚添設(接着)されて一体化されてなる構成である。
【0049】
前記外装材2IIIは、仕上げ面となる面板部25と、該面板部25の対向する両端に、接続部26,27が設けられ、一方の端部に位置する接続部26は、裏面側へ折り曲げた略鉛直状の折曲片と、更に内側へ折曲した略水平状の重合片とを有する略コ字状であり、面板部25の裏面側に、内側が解放する空間部23'を有する。他方の端部に位置する接続部27は、裏面側へ折り曲げた略鉛直状の折曲片と、更に外側へ折曲した略水平状の被重合片とを有する略L字状である。なお、ここで「一方」とは図面右側を指し、「他方」とは図面左側を指す。この外装材2III,2IIIを一体の断熱材3'の表面にて接続するには、前記接続部26の重合片を前記接続部27の被重合片に重合させて接続する。
【0050】
前記断熱材3'は、上下方向の端面に凸状部34が設けられている以外は、前記第1実施例の断熱材3と全く同様であり、その表面側の略中央には、上方が解放する溝状の凹部31が形成され、その一方(図面右側)の端部には、厚み方向の下方が切り欠かれた段状の重合部32が形成され、他方(図面左側)の端部には、厚み方向の上方が切り欠かれた、前記重合部32と重合する被重合部33が形成されている。
【0051】
この第2実施例においても、前記第1実施例と同様に、型枠パネル1'に空間部23'が二箇所に設けられ、該空間部23'には、螺子部を備える六角ナット4Aである定着材が取り付けられて定着部を形成するため、棒状のボルト材である棒状部材5Aを前記定着部4Aへ断熱材3'の裏面側から螺合させて連結するが、この棒状部材5Aは、前記第1実施例と同様に隣接する型枠パネル1',1'間における断熱材3',3'同士の接続にも寄与する。
しかも、この
図6には、棒状部材5Aが配設される位置を一点鎖線にて示したが、この位置から明らかなように、当該第2実施例では、隣接する断熱材3',3'同士の接続ばかりでなく、外装材2III,2III同士の接続にも寄与するものである。勿論、断熱材3'の表面における外装材2III,2IIIの接続にも寄与する。
【0052】
そして、隣接する型枠パネル1',1'を接続する際には、断熱材3'の一方側に添設された外装材2IIIの接続部26と、隣接する断熱材3'の他方側に添設された外装材2IIIの接続部27とを重合状に接続すると共に、他方側の断熱材3'の重合部32と一方側の断熱材3'の被重合部33とを重合させて接続する。なお、この第2実施例において、2枚の外装材2III+2IIIは一枚の外装材と見なすことができるため、以下、これらを外装材2'とする。
【0053】
このように第2実施例の型枠パネル1'は、隣接する外装材2',2'同士も、隣接する断熱材3',3'同士も、重合によって接続できるので、隣接する型枠パネル1',1'同士の接続強度が高いものとなる。