特許第5928804号(P5928804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928804
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/518 20060101AFI20160519BHJP
【FI】
   H01R13/518
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-130854(P2012-130854)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-254700(P2013-254700A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年7月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 怜也
(72)【発明者】
【氏名】島田 梢
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−241801(JP,A)
【文献】 特開2000−150049(JP,A)
【文献】 特開2011−018452(JP,A)
【文献】 特開2002−313488(JP,A)
【文献】 特開2009−037844(JP,A)
【文献】 特開平10−241773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/518
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器側に設けられた機器側コネクタと、電線側に設けられた電線側コネクタとが嵌合可能とされたコネクタであって、
前記機器側コネクタは、嵌合方向前側に開口して設けられた機器側フード部を複数積層してなる機器側フード部群と、前記機器側フード部にそれぞれ収容され前記機器側フード部の奥壁から嵌合方向前側に突出して設けられた複数の雄端子とを有し、
前記電線側コネクタは、前記電線が引き出された電線引出面を有する奥壁と、前記電線引出面の周縁から嵌合方向前側に立ち上がる形態とされ、前記両コネクタの嵌合時に前記機器側フード部群を一括して覆う単一の電線側フード部と、前記複数の雄端子とそれぞれ嵌合する複数の雌端子と、前記雌端子を内部に収容するキャビティを備えて前記電線側フード部の奥壁から嵌合方向前側に突出する形態をなし、前記両コネクタの嵌合時に前記複数の機器側フード部の内部に個別に挿入される複数の端子保持筒部と、隣り合う各端子保持筒部を相互に連結する撓み防止壁とを有し、
前記機器側フード部群には、前記撓み防止壁を逃がすスリットが切り欠き形成され、
前記撓み防止壁は、前記端子保持筒部の先端側に配されており、前記端子保持筒部の基端側には、リテーナが装着されているコネクタ。
【請求項2】
前記電線側コネクタは、隣り合う各端子保持筒部を相互に連結する撓み防止壁を有し、
前記機器側フード部群には、前記撓み防止壁を逃がすスリットが切り欠き形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記機器側コネクタは、前記機器側フード部群を一括して覆う機器側ケースを有し、前記電線側フード部は、前記両コネクタの嵌合時に前記機器側ケースを介して前記機器側フード部群を一括して覆う請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の雄端子を内部に収容する複数の機器側フード部を備えた機器側コネクタとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。一方、この機器側コネクタと嵌合可能な電線側コネクタには、雄端子と嵌合する雌端子と、この雌端子を内部に収容するキャビティを備えて機器側フード部内に挿入される複数の端子収容筒部とが設けられている。したがって、電線側コネクタを機器側コネクタに嵌合させると、端子収容筒部が機器側フード部内に挿入されて雄端子が雌端子に嵌合することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−344419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のコネクタでは複数の電線側コネクタが別体に構成されているため、各端子収容筒部を各機器側フード部内に挿入する作業が面倒になり、機器側コネクタに対する電線側コネクタの嵌合作業性が悪いものとなっている。また、端子収容筒部が機器側フード部内に挿入された状態では、機器側フード部が外部に露出しているため、外部から衝撃を受けた際に機器側フード部が破損しやすくなる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、機器側コネクタに対する電線側コネクタの嵌合作業性を向上させつつ、両コネクタの嵌合状態において機器側フード部を保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機器側に設けられた機器側コネクタと、電線側に設けられた電線側コネクタとが嵌合可能とされたコネクタであって、機器側コネクタは、嵌合方向前側に開口して設けられた機器側フード部を複数積層してなる機器側フード部群と、機器側フード部にそれぞれ収容され機器側フード部の奥壁から嵌合方向前側に突出して設けられた複数の雄端子とを有し、電線側コネクタは、電線が引き出された電線引出面を有する奥壁と、電線引出面の周縁から嵌合方向前側に立ち上がる形態とされ、両コネクタの嵌合時に機器側フード部群を一括して覆う単一の電線側フード部と、複数の雄端子とそれぞれ嵌合する複数の雌端子と、雌端子を内部に収容するキャビティを備えて電線側フード部の奥壁から嵌合方向前側に突出する形態をなし、両コネクタの嵌合時に複数の機器側フード部の内部に個別に挿入される複数の端子保持筒部と、隣り合う各端子保持筒部を相互に連結する撓み防止壁とを有し、機器側フード部群には、撓み防止壁を逃がすスリットが切り欠き形成され、撓み防止壁は、端子保持筒部の先端側に配されており、端子保持筒部の基端側には、リテーナが装着されている構成としたところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によると、電線側コネクタを機器側コネクタに嵌合させた際に各端子保持筒部が一括して各機器側フード部内に挿入され、各雄端子が一括して各雌端子に嵌合する。また、両コネクタの嵌合状態では、機器側フード部群が電線側フード部によって一括して覆われているため、外部から衝撃を受けた際に機器側フード部群が破損することはない。したがって、機器側コネクタに対する電線側コネクタの嵌合作業性を向上させつつ、両コネクタの嵌合状態において機器側フード部を保護することができる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
電線側コネクタは、隣り合う端子保持筒部を相互に連結する撓み防止壁を有し、機器側フード部群には、撓み防止壁を逃がすスリットが切り欠き形成されている構成としてもよい。
【0009】
このような構成によると、端子保持筒部を成形した際に、樹脂の熱収縮等によって端子保持筒部が倒れようとした場合に、撓み防止壁によって端子保持筒部の倒れを防ぐことができる。また、両コネクタの嵌合時に撓み防止壁がスリットに進入することで、撓み防止壁が機器側フード部群に干渉することもない。
【0010】
機器側コネクタは、機器側フード部群を一括して覆う機器側ケースを有し、電線側フード部は、両コネクタの嵌合時に機器側ケースを介して機器側フード部群を一括して覆う構成としてもよい。
【0011】
このような構成によると、両コネクタの嵌合前においても機器側フード部群を保護することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機器側コネクタに対する電線側コネクタの嵌合作業性を向上させつつ、両コネクタの嵌合状態において機器側フード部を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電線側コネクタを機器側コネクタに嵌合させた状態を斜めから見た斜視図
図2】電線側コネクタを機器側コネクタに嵌合させた状態を左側方から見た左側面図
図3】電線側コネクタを斜めから見た斜視図
図4】電線側コネクタを左側方から見た左側面図
図5】電線側コネクタを正面から見た正面図
図6】電線側コネクタを右側方から見た右側面図
図7】機器側コネクタを斜めから見た斜視図
図8】機器側コネクタを正面から見た正面図
図9】機器側コネクタを右側方から見た右側面図
図10】機器側コネクタを下方から見た底面図
図11図8におけるA−A線で切断した一部切り欠き断面図
図12図8におけるB−B線で切断した一部切り欠き断面図
図13】雄端子が雌端子に嵌合した状態を上方から見た断面図
図14】撓み防止壁が切り欠きに収容された状態を下方から見た断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図14の図面を参照しながら説明する。本実施形態におけるコネクタは、図1に示すように、互いに嵌合可能な電線側コネクタ10と機器側コネクタ30とを備えて構成されている。機器側コネクタ30は、バッテリや基板などの扁平な機器を積層した機器側に設けられたコネクタである。一方、電線側コネクタ10は、電圧検知線や電力線などの電線Wの端末に接続されたコネクタである。なお、以下においては両コネクタ10,30の嵌合方向を前後方向とし、互いの嵌合面側を前側として説明する。
【0015】
電線側コネクタ10は、図3に示すように、電線Wが後方に引き出された電線引出面11を有しており、この電線引出面11の周縁から前方に立ち上がる形態で電線側フード部12が設けられている。この電線側フード部12は、図5に示すように、前方および右側方に開口する形態をなし、その奥壁13には、複数の端子収容筒部14が上下方向に並んで配設されている。各端子収容筒部14は、奥壁13から前方に突出する形態をなしている。隣り合う端子収容筒部14は、撓み防止壁15によって互いに連結されている。この撓み防止壁15は、図6に示すように、端子収容筒部14の先端側に配されている。一方、端子収容筒部14の基端側には、リテーナ16が装着されている。
【0016】
電線側フード部12の右側面には、図4に示すように、平板状のロックアーム17が設けられている。このロックアーム17は、図3に示すように、電線側フード部12の後端から立ち上がった後、片持ち状をなして前方に延びる形態とされている。ロックアーム17の前端部には、ロック孔18が板厚方向に貫通して形成されている。ロックアーム17の前端は、弾性変位可能に形成されている。
【0017】
端子収容筒部14の内部には、図13に示すように、雌端子40を収容可能なキャビティ19が形成されている。この雌端子40は、電線Wの端末に接続される電線接続部41と、雄端子50が内部に嵌合する端子嵌合部42とを備えて構成されている。端子嵌合部42は、前後両端が開口する角筒状をなし、その内部には弾性接触片43が形成されている。端子嵌合部42の前端開口には、断面方形状をなす雄端子50が進入可能とされており、弾性接触片43が撓み変形して雄端子50に弾性的に接触することにより、両端子40,50が導通可能に接続される。
【0018】
端子収容筒部14の前壁には、雄端子50を挿通させる雄端子挿通孔20が貫通して形成されている。一方、端子収容筒部14の後部には、電線側フード部12の奥壁13を貫通させることで雌端子40を挿通させる雌端子挿通孔21が形成されている。また、端子収容筒部14の周壁には、リテーナ16が装着されるリテーナ装着口22が形成されている。また、端子収容筒部14の内壁には、ランス23が形成されている。これにより、雌端子挿通孔21から端子収容筒部14のキャビティ19に雌端子40を挿入すると、ランス23が端子嵌合部42に設けられたランスホールに嵌まり込むことで雌端子40が抜け止めされる。また、リテーナ装着口22にリテーナ16を装着すると、このリテーナ16が端子嵌合部42の後端角部に後方から係止することで、雌端子40がランス23とともに二重係止状態で抜け止めされる。
【0019】
機器側コネクタ30は、機器毎に設けられた複数の機器側フード部32を有している。ここで、複数の機器側フード部32を積層したものを機器側フード部32群といい、複数の機器を積層したものを機器群という。機器群および機器側フード部32群は、機器側ケース31によって一括して覆われている。雄端子50は、機器側フード部32の奥壁37から前方に突出して設けられている。機器側ケース31のうち機器側フード部32群を覆う部分は、機器側覆い部33とされている。この機器側覆い部33の右側面には、図7に示すように、ロック突部34が設けられている。電線側コネクタ10の電線側フード部12内に機器側覆い部33を嵌合させると、図2に示すように、ロックアーム17のロック孔18にロック突部34が嵌まり込んで係止することで両コネクタ10,30が嵌合状態に保持される。
【0020】
機器側フード部32群のうち隣り合う機器側フード部32を仕切る隔壁35には、スリット36が形成されている。このスリット36は、隔壁35の左端部に配されており、隔壁35の左端部を前後方向に切り欠くことで形成されている。本実施形態では図示4個の機器側フード部32が上下方向に並んで配設されており、これらを仕切る図示3個の隔壁35が配設されている。したがって、各隔壁35に対応して図示3個のスリット36が配設されている。両コネクタ10,30を嵌合させると、図13に示すように、端子収容筒部14が機器側フード部32内に挿入され、図14に示すように、撓み防止壁15を隔壁35に干渉させることなくスリット36に逃がすことができる。さらに、機器側フード部32群が機器側覆い部33を介して電線側フード部12に一括して覆われる。したがって、機器側フード部32群は、電線側フード部12によって保護される。また、複数の端子収容筒部14を対応する機器側フード部32内に一括して挿入することができるため、両コネクタ10,30の嵌合作業性を向上させることができる。
【0021】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用および効果を説明する。まず、従来構造、すなわち撓み防止壁15が設けられていない場合には、電線側フード部12を成形する際に、端子収容筒部を成形する空間に樹脂が流れにくくなって樹脂切れを起こす可能性がある。その点、本実施形態では隣り合う端子収容筒部14の間に撓み防止壁15を設けているため、この撓み防止壁15を成形する空間に樹脂が流れやすくなって樹脂切れを防ぐことができる。さらに、端子収容筒部14同士が撓み防止壁15によって互いに連結されているため、成形時の熱収縮等によって端子収容筒部14の倒れが発生することを抑制できる。
【0022】
また、本実施形態では、複数の端子収容筒部14が電線側フード部12によって一体に構成されているため、これらの端子収容筒部14を機器側フード部32群に一括して挿入することができる。したがって、両コネクタ10,30の嵌合作業性を向上させることができる。また、両コネクタ10,30の嵌合状態では機器側フード部32群が電線側フード部12によって一括して覆われているため、機器側フード部32群を保護することができる。さらに、両コネクタ10,30の嵌合前においても機器側フード部32群が機器側ケース31の機器側覆い部33によって覆われているため、機器側フード部32群を保護することができる。
【0023】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では撓み防止壁15を設けているものの、本発明によると、隣り合う端子収容筒部の間に撓み防止壁を設けないものも含まれる。
【0024】
(2)上記実施形態では機器側フード部32群が機器側ケース31の機器側覆い部33によって覆われているものの、本発明によると、機器側覆い部33を設けないで機器側フード部32群を電線側フード部12によって直接覆うものとしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10…電線側コネクタ
12…電線側フード部
13…奥壁
14…端子収容筒部(端子保持筒部)
15…撓み防止壁
19…キャビティ
30…機器側コネクタ
31…機器側ケース
32…機器側フード部
36…スリット
37…奥壁
40…雌端子
50…雄端子
W…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14