特許第5928809号(P5928809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928809
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】棒状化粧料塗布容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/04 20060101AFI20160519BHJP
【FI】
   A45D40/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-154176(P2012-154176)
(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-14527(P2014-14527A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141210
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100100767
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 正彦
(72)【発明者】
【氏名】澤柳 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 布美子
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−005526(JP,A)
【文献】 実開昭50−118085(JP,U)
【文献】 実開平03−003916(JP,U)
【文献】 実公昭50−014690(JP,Y1)
【文献】 実開平02−075007(JP,U)
【文献】 米国特許第05888004(US,A)
【文献】 特開2006−305318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装する繰出機構により、外筒内の中筒内において保持される棒状化粧料を前進自在に収容する本体と、該本体の前端開口部に対して着脱自在となるキャップとから構成され、
該本体内において、ネジ軸と連結する中皿と一体となる棒状化粧料を前進可能に保持する中筒と、後述する外筒と共に、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒とを固持するものであって、
該本体内において内装される繰出機構を、
該本体内外方向に摺動し、本体内に固持される回止筒と一体となる外筒の第1繰出機構と、
中皿と連結するネジ軸と、該ネジ軸が回転不能に貫通し、外筒と一体となり、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒と、該ネジ軸と噛合し、本体に対して相対的に回転不能になるネジ筒とからなる第2繰出機構とからなるものとし、
外筒の本体内外方向への摺動とともに、該外筒と一体となる回止筒によって露出した中筒内において保持される棒状化粧料を突出させ、又は中筒を外筒内へ収容してなる
ことを特徴とする棒状化粧料塗布容器。
【請求項2】
上記繰出機構において、
第1繰出機構は、側面に軸先端方向に対して左巻きのラセン溝を刻設し、本体に対して嵌合されるラセン筒と、外側面に該ラセン筒のラセン溝に遊嵌する突起を突設するとともに、後端縁に後述する回止筒の片歯カムと一方向のみ噛合して結合自在となる片歯カムを形成して、本体内外方向に摺動自在となる外筒とからなり、
第2繰出機構は、軸先端方向に向かって左巻きのネジ部を有し、棒状化粧料を保持する中皿と一体となるネジ軸と、該ネジ軸が回転不能に貫通するものであって、外方に向かって突設される鍔部に前記外筒の片歯カムと一方向のみ噛合して結合自在となる片歯カムを形成して、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒と、該ネジ軸のネジ部と噛合する噛合せ部を形成し、本体に対して回転不能となるように嵌合されるネジ筒とからなるものであって、
本体の回転によって、外筒を本体内方向へ摺動させて中筒を露出させるとともに、外筒の片歯カムと回止筒の片歯カムとを噛合させて一体に結合させた上で、ネジ筒によって露出した中筒内において中皿に一体に保持される棒状化粧料を突出させ、又は外筒を本体外方向へ摺動させて中筒を外筒内ヘ収容してなる
ことを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料塗布容器。
【請求項3】
上記繰出機構において、
第1繰出機構は、本体の内側面に沿って周設する円周リブ及び後述する外筒の外側面に突設される係止突起間に係合自在となる軸方向に配設される縦リブと、外側面に該本体の内側面に突設する円周リブと係止自在となる係止突起を一定の間隔を持って突設するとともに、後述する回止筒の軸方向に配設される係合突縁に常時遊嵌される縦スリットを後端縁より軸方向に沿って刻設し、本体内外方向に摺動自在になる外筒とからなり、
第2繰出機構は、軸先端方向に向かって左巻きのネジ部を有し、中皿と一体となるネジ軸と、該ネジ軸が回転不能に貫通するものであって、外周面において該外筒の縦スリットと常時遊嵌する係合突縁を突設し、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒と、該ネジ軸のネジ部と噛合する噛合せ部を形成し、本体に対して回転不能になるネジ筒とからなるものであって、
外筒を本体内方向へ摺動させて中筒を露出させるとともに、本体と共に回転するネジ筒によって露出した中筒内において中皿に一体に保持される棒状化粧料を突出させ、又は外筒を本体外方向へ摺動させて中筒を外筒内へ収容してなる
ことを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば口紅、アイシャドウ、ファンデーション等の棒状化粧料(以下、「棒状化粧料」という。)を出没自在に収容する棒状化粧料塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば棒状化粧料を収容する棒状化粧料塗布容器は、本体を回転させることによって該本体内に収容する棒状化粧料を出没自在とするものが一般的である。また、該棒状化粧料塗布容器内に出没自在に収容される棒状化粧料は、溶融した化粧料を筒状である本体内に充?するとともに、冷却、固化させてなるものである。
そして、近年において、上記棒状化粧料は、塗布時のソフト感、発色の良さ、及び艶等が求められていることから非常に柔軟なものである。
【0003】
しかしながら、上記棒状化粧料は常時本体の内側面に接触しているので、本体内から又は本体内への棒状化粧料の出没時には本体の内側面と棒状化粧料の外周面との間で大きな摩擦が発生するものである。その結果、比較的硬い棒状化粧料であるならば、上記摩擦に耐え得るものであるが、非常に柔軟な棒状化粧料では、特に本体内へ収容しようとすると、上記摩擦に耐えられず、棒状化粧料の破断や本体外への抜出等が生じる恐れがある。
【0004】
そこで、ラチェット機構を採用してスリーブ内での棒状化粧料の繰り下がりを防止するとともに、棒状化粧料の繰り出し時のピッチを塗布に必要な最小限とすることができるもの(特許文献1参照)や、本体と相対回転可能に装着された先筒内に、棒状化粧料を摺動可能に収容するパイプ部材を収容し、本体と先筒との第一の螺合部及び先筒とパイプ部材との第二の螺合部よりなり、異なるリードを有する繰出機構によって、棒状化粧料を本体内から突出させるときには第一の螺合部により先筒内のパイプを前進させた後、第二の螺合部を働かせてパイプ内の化粧料を突出させ、棒状化粧料を本体内へ収容させるときには第一の螺合部のみを働かせて先筒内のパイプを後退させるもの(特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
ところで、ラチェット機構を採用してスリーブ内での棒状化粧料の繰り下がりを防止するとともに、棒状化粧料の繰り出し時のピッチを塗布に必要な最小限とすることができるものでは、スリーブ内へ棒状化粧料の収容はできないが、スリーブ内より塗布に必要な最小限の棒状化粧料を突出させるものである。その結果、スリーブより突出した棒状化粧料を無駄なく塗布し、塗布後に棒状化粧料をスリーブより突出させることはないものとなる。
しかしながら、棒状化粧料を平滑に塗布する必要があることから、塗布時にスリーブの先端が塗布面に対して直接接触しないようにしなければならず、必要以上に棒状化粧料をスリーブから突出させてしまうものである。従って、塗布後に棒状化粧料がスリーブより突出して残ってしまうと、キャップの装着により棒状化粧料が変形し、さらに装着するキャップのみならず周囲を汚損する恐れがある。
【0006】
また、本体と相対回転可能に装着された先筒内に、棒状化粧料を摺動可能に収容するパイプ部材を収容し、本体と先筒との第一の螺合部及び先筒とパイプ部材との第二の螺合部よりなり、異なるリードを有する繰出機構によって、棒状化粧料を本体内から突出させるときには第一の螺合部の次に第二の螺合部を働かせ、棒状化粧料を本体内へ収容させるときには第一の螺合部のみを働かせるものでは、棒状化粧料を突出させるパイプ部材は先筒内において出没自在に収容されるものである。その結果、使用後にパイプ部材より棒状化粧料が突出していても、棒状化粧料に干渉することなくキャップを確実に装着することができる。
しかしながら、上記繰出機構の作動は、該繰出機構を構成する第一の螺合部と第二の螺合部との摩擦抵抗又は作動抵抗の大小差により行われるので、この第一の螺合部と第二の螺合部との摩擦抵抗又は作動抵抗が不正確であると第一の螺合部及び第二の螺合部において誤作動が起こる恐れがある。すなわち、棒状化粧料を本体内から突出させるとき、第1螺合部より先に第2螺合部が作動し、必要以上の棒状化粧料が突出し塗布後にパイプ部材を先筒内に収容しても、先筒から棒状化粧料が突出してしまうことで棒状化粧料の破損や、キャップのみならず、周囲をも汚損してしまうものである。そこで、該繰出機構では、該繰出機構を構成する部品において高い精度や追加部品が必要とされるので、製造作業が複雑となり、作業効率は低下して製造コストの上昇を招く恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−158777号公報
【特許文献2】特許第4620606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、簡単な構造により、棒状化粧料塗布容器内に保持される棒状化粧料の突出又は収容を確実に行うことができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴として、
内装する繰出機構により、外筒内の中筒内において保持される棒状化粧料を前進自在に収容する本体と、該本体の前端開口部に対して着脱自在となるキャップとから構成され、
該本体内において、ネジ軸と連結する中皿と一体となる棒状化粧料を前進可能に保持する中筒と、後述する外筒と共に、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒とを固持するものであって、
該本体内において内装される繰出機構を、
該本体内外方向に摺動し、本体内に固持される回止筒と一体となる外筒の第1繰出機構と、
中皿と連結するネジ軸と、該ネジ軸が回転不能に貫通し、外筒と一体となり、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒と、該ネジ軸と噛合し、本体に対して相対的に回転不能になるネジ筒とからなる第2繰出機構とからなるものとし、
外筒の本体内外方向への摺動とともに、該外筒と一体となる回止筒によって露出した中筒内において保持される棒状化粧料を突出させ、又は中筒を外筒内へ収容してなるものである。
【0010】
そのため、中筒内において保持される棒状化粧料の突出又は中筒の収容に際して必要となる外筒の本体内外方向への摺動と、中筒内において保持される棒状化粧料の突出を別の繰出機構によるものとするものである。その結果、本体内に内装する繰出機構を簡単にすることができる上、該繰出機構を構成する部品における高い部品精度を不要とすることができるものである。
さらに、使用時には本体内方向へ摺動する外筒と一体となる回止筒によって、中筒内において保持される棒状化粧料を確実に突出させることができ、使用後には中筒から棒状化粧料が突出していても、外筒からは突出してしまうことなく、中筒を外筒内に確実に収容させることができるものとなる。
【0011】
第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、
上記繰出機構において、
第1繰出機構は、側面に軸先端方向に対して左巻きのラセン溝を刻設し、本体に対して嵌合されるラセン筒と、外側面に該ラセン筒のラセン溝に遊嵌する突起を突設するとともに、後端縁に後述する回止筒の片歯カムと一方向のみ噛合して結合自在となる片歯カムを形成して、本体内外方向に摺動自在となる外筒とからなり、
第2繰出機構は、軸先端方向に向かって左巻きのネジ部を有し、棒状化粧料を保持する中皿と一体となるネジ軸と、該ネジ軸が回転不能に貫通するものであって、外方に向かって突設される鍔部に前記外筒の片歯カムと一方向のみ噛合して結合自在となる片歯カムを形成して、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒と、該ネジ軸のネジ部と噛合する噛合せ部を形成し、本体に対して回転不能となるように嵌合されるネジ筒とからなるものであって、
本体の回転によって、外筒を本体内方向へ摺動させて中筒を露出させるとともに、外筒の片歯カムと回止筒の片歯カムとを噛合させて一体に結合させた上で、ネジ筒によって露出した中筒内において中皿に一体に保持される棒状化粧料を突出させ、又は外筒を本体外方向へ摺動させて中筒を外筒内ヘ収容してなるものである。
【0012】
そのため、本体の回転により本体内外方向に外筒を摺動させる第1繰出機構を、本体内に嵌合するラセン筒のラセン溝と、該ラセン溝に遊嵌される外筒の突起とからなるものとし、中筒内に保持される棒状化粧料を突出させる第2繰出機構とは別にするものである。その結果、繰出機構を簡単にすることができる上、該繰出機構を構成する部品における高い部品精度を不要とすることができるものである。
さらに、使用時には本体を右回転させることで、本体内側面のラセン溝に突起を遊嵌する外筒は本体内方向へ摺動して中筒を露出させるとともに、外筒の片歯カムと本体内の固持される回止筒の片歯カムとが噛合して両者は一体に結合した上で、本体に対して相対的に回転不能に嵌合されるネジ筒とネジ軸との噛合を介して該ネジ軸と一体となる中皿を前進させるものである。その結果、中筒より棒状化粧料を突出させることができるものとなる。一方、使用後には本体を反対方向に左回転させることで、該外筒の片歯カムと回止筒の片歯カムとの噛合による結合が解離するとともに、外筒はその突起を遊嵌するラセン溝によって誘導されて本体外方向へ摺動するものとなる。その結果、外筒内へ中筒を確実に収容できるものとなる。
すなわち、本体内外方向へ摺動する外筒と回止筒における片歯カム同士による結合又は解離によってのみ、露出した中筒内において保持される棒状化粧料を確実に突出させ、又は中筒から棒状化粧料を突出していても、外筒からは突出してしまうことなく、中筒を外筒内へ確実に収容することができるものとなる。
【0013】
第1の特徴を踏まえて、第3の特徴として、
上記繰出機構において、
第1繰出機構は、本体の内側面に沿って周設する円周リブ及び後述する外筒の外側面に突設される係止突起間に係合自在となる軸方向に配設される縦リブと、外側面に該本体の内側面に突設する円周リブと係止自在となる係止突起を一定の間隔を持って突設するとともに、後述する回止筒の軸方向に配設される係合突縁に常時遊嵌される縦スリットを後端縁より軸方向に沿って刻設し、本体内外方向に摺動自在になる外筒とからなり、
第2繰出機構は、軸先端方向に向かって左巻きのネジ部を有し、中皿と一体となるネジ軸と、該ネジ軸が回転不能に貫通するものであって、外周面において該外筒の縦スリットと常時遊嵌する係合突縁を突設し、本体に対して相対的に回転可能になる回止筒と、該ネジ軸のネジ部と噛合する噛合せ部を形成し、本体に対して回転不能になるネジ筒とからなるものであって、
外筒を本体内方向へ摺動させて中筒を露出させるとともに、本体と共に回転するネジ筒によって露出した中筒内において中皿に一体に保持される棒状化粧料を突出させ、又は外筒を本体外方向へ摺動させて中筒を外筒内へ収容してなるものである。
【0014】
そのため、本体内外方向に外筒を摺動させる第1繰出機構を、本体の内側面に軸方向に突設する縦リブと外側面に突設する係合突起により係合自在としてなる外筒を手でもって本体内外方向へ押勢することによって摺動させるものとし、中筒内に保持される棒状化粧料を突出させる第2繰出機構とは別にするものである。その結果、本体内に内装する繰出機構を簡単にすることができる上、該繰出機構を構成する部品における、高い部品精度を不要とすることができる。
さらに、使用時には外筒を本体内方向へ押勢することによって、外筒の係止突起と本体の内側面に突設された円周リブとの係止、及び本体の内側面に突設する縦リブと、該縦リブと係合して本体に対して回転不能となっている外筒の係止突起間との係合が解離しつつ外筒の縦スリットが回止筒の係合突縁に誘導されながら摺動して中筒を露出させるとともに、さらに本体を回転させることによって、本体に対して相対的に回転不能になるネジ筒とネジ軸との噛合を介して該ネジ軸と一体となる中皿を前進させるものである。その結果、中筒より棒状化粧料を突出させることができるものとなる。一方、使用後には外筒を本体外方向へ押勢することで外筒の縦スリットが回止筒の係合突縁に誘導されながら摺動して、該外筒の係止突起と本体の内側面に突設された円周リブとが係止するとともに、本体の縦リブが外筒の係止突起間とが係合するものとなる。その結果、外筒に対して本体は回転不能となるとともに、中筒を外筒へ確実に収容することができるものである。
すなわち、本体の円周リブと外筒の係止突起との係止、及び本体の縦リブと外筒の係止突起間と係合の結合又は解離によってのみ、露出した中筒内において保持される棒状化粧料を確実に突出させ、又は中筒から棒状化粧料を突出していても、外筒からは突出してしまうことなく中筒を外筒内へ確実に収容することができるものである。
【発明の効果】
【0015】
本願発明は、本体内外方向に摺動自在となる外筒と、本体内に固持される回止筒との結合を介して、外筒内の中筒を露出させながら該中筒内において保持される棒状化粧料を突出させ、又は中筒を外筒内に収容するものであるから、簡単な構造により製造コストの低減を図ることができるとともに、使用時には中筒より棒状化粧料を確実に突出させ、さらに使用後は中筒から棒状化粧料を突出していても、外筒からは突出してしまうことなく外筒内に中筒を確実に収容するので、たとえ柔軟な棒状化粧料であっても該棒状化粧料の破損、及び装着するキャップのみならず周囲への汚損を防止できる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本願発明の実施例1である棒状化粧料塗布容器の拡大断面図である。
図2図2は、本願発明の実施例1である棒状化粧料塗布容器の作動状態を示す図である。
図3図3(イ)は本願発明の実施例1である棒状化粧料塗布容器の繰出機構Aをなす第1繰出機構のラセン筒の平面図と縦断面図、(ロ)は本願発明の実施例1である棒状化粧料塗布容器の繰出機構Aをなす第1繰出機構の外筒の正面図と底面図、及び(ハ)は本願発明の実施例1である棒状化粧料塗布容器の繰出機構Aをなす第2繰出機構の回止筒の平面図と部分断面図と底面図である。
図4図4は、本願発明の実施例2である棒状化粧料塗布容器の拡大断面図である。
図5図5は、本願発明の実施例2である棒状化粧料塗布容器の作動状態を示す図である。
図6図6は、(イ)は本願発明の実施例2である棒状化粧料塗布容器の本体の部分断面図、(ロ)は本願発明の実施例2である棒状化粧料塗布容器の繰出機構Bをなす第1繰出機構の外筒の正面図と底面図、及び(ハ)は本願発明の実施例2である棒状化粧料塗布容器の繰出機構Bをなす第2繰出機構の回止筒の平面図と部分断面図と底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
中筒内において保持された棒状化粧料の突出、又は外筒内への中筒の収容を確実に行えるように、繰出機構を分割して簡単な構造とした上で、該繰出機構を構成する部品における高い部品精度を不要として実現した。
【実施例1】
【0018】
図1において示すのは、本願発明の実施例1である棒状化粧料塗布容器1であり、該棒状化粧料塗布容器1は、内装する繰出機構Aにより、外筒3内で中筒4内において保持される棒状化粧料5を収容する本体2と、該本体2の前端開口部2aに対して着脱自在となるキャップ12とから構成されものである。
【0019】
さらに、該本体2内において、ネジ軸6と連結する中皿7と一体となる棒状化粧料5を前進可能に保持する中筒4と、後述する外筒3と結合自在となり、本体2の後端開口部2bに密嵌される尾栓9に対して相対的に回転可能になる回止筒8とを固持してなるものである。
【0020】
そして、該本体2内に内装される棒状化粧料5の繰出機構Aは、本体2内方向へ外筒3を摺動させて中筒4を露出させるとともに、該外筒3が回止筒8と結合する第1繰出機構A’と、中筒4内において中皿7と一体となって保持される棒状化粧料5を前進可能としてなる第2繰出機構A”とからなるものである。
【0021】
すなわち、第1繰出機構A’は、側面に軸先端方向に対して左巻きのラセン溝10aを対向するように刻設し、本体2に対して相対的に回転不能に嵌合されるラセン筒10と、外側面に該ラセン筒10のラセン溝10aに各々遊嵌する突起3aを対向するように突設するとともに、後端縁に後述する回止筒8の片歯カム8b(該片歯カム8bは、正面方向からみて右上がりの直角三角形状の歯となっている。)と一方向のみ噛合(従って、本体の左回転ではフリーとなり、右回転で噛合する。)して結合自在となる片歯カム3b(該片歯カム3bは、正面方向からみて左下がりの直角三角形状の歯となっている。)を形成し、本体2内外方向に摺動自在に保持される外筒3とからなるものである。
【0022】
また、第2繰出機構A”は、軸先端方向に向かって右巻きのネジ部6aを有し、棒状化粧料5を保持する中皿7と一体となるネジ軸6と、該ネジ軸6が回転不能に貫通するものであって、外方に向かって突設される鍔部8aに前記外筒3の片歯カム3b(該片歯カムは、正面方向からみて左下がりの直角三角形状の歯となっている。)と一方向のみ噛合(従って、左回転ではフリーとなり、右回転で噛合する。)して結合自在となる片歯カム8b(該片歯カム8bは、正面方向からみて右上がりの直角三角形状の歯となっている。)を形成し、本体2の後端開口部2bに密嵌する尾栓9に対して相対的に回転可能になる回止筒8と、回止筒8に対しては相対的に回転可能となり、該ネジ軸6のネジ部6aと噛合する噛合せ部11aを形成し、本体2の後端開口部2bに密嵌する尾栓9に対して回転不能に嵌合されるネジ筒11とからなるものである。
【0023】
本願発明の実施例1である棒状化粧料塗布容器1の本体2内に内装される繰出機構Aは以上の構成を具えるので、次のようにして、使用時には中筒4内において中皿7を一体となって保持される棒状化粧料5を簡単、確実に突出させ、また使用後には外筒3内に中筒4を簡単、且つ確実に収容させてなるものである。
【0024】
まず、使用時には、本体2に装着されたキャップ12を取り外した後、中筒4を内部に収容する外筒3を手でもって本体2を右回転させると、外筒3の外側面に突設される突起3aはラセン筒10の側面に刻設される左巻きのラセン溝10aに遊嵌されていて該突起3aはラセン溝10aに沿って動くことになるので、外筒3は本体2内方向へ摺動するものとなる。その結果、外筒3内の中筒4が外筒3外に露出するとともに、外筒3はラセン溝10aの末端で動きが止められた上で、本体2内方向へ摺動する外筒3と回止筒8とは、外筒3の片歯カム3bと回止筒8の片歯カム8bとが噛合し、両者3、8は相対的に回転不能となるように一体に結合するものである。
そして、さらに外筒3を手でもって本体2を右回転させると、該本体2の後端開口部2bに密嵌する尾栓9に対して相対的に回転不能になるネジ筒11は本体2とともに回転し、該ネジ筒11は中筒4内において棒状化粧料5を保持する中皿7と一体になるネジ軸6と噛合し、且つ該ネジ軸6は手で持たれた外筒3と一体となって回転不能である回止筒8によってその回転が規制されているので、ネジ軸6は該ネジ軸6と一体となる中皿7とともに前進して、中筒4より棒状化粧料5を突出させることができるものとなる。
従って、中筒4内において保持される棒状化粧料5は、外筒3を本体2内方向へ摺動させて回止筒8と結合させることによってのみ前進可能となり、棒状化粧料5を確実に突出させることができるものとなる。
【0025】
一方、使用後には、外筒3を手でもって本体2を左回転させると、外筒の3外側面に突設される突起3aがラセン筒10の側面に刻設される左巻きのラセン溝10aに遊嵌されていて、該突起3aはラセン溝10aに沿って動くことになるので、互いに噛合し一体に結合している外筒3の片歯カム3aと回止筒8の片歯カム3aとは解離して回止筒8とは自由になるとともに、外筒3は本体2外方向へ摺動するものとなる。その結果、外筒3は露出していた中筒4を確実に収容することができるものとなる。
従って、外筒3を回止筒と解離させ、本体2外方向へ摺動させることで中筒4を外筒3内に収容するものであるので、中筒4外に棒状化粧料5を突出させたままでもキャップ12を確実に装着することができ、また突出していても、外筒からは突出してしまうことはないので、該棒状化粧料5に対して損傷させること、及び中筒4の収容にあたって誤作動で中筒4外へ棒状化粧料5を過剰に突出させることをも確実に防止できるものとなる。
【実施例2】
【0026】
図4において示すのは、本願発明の実施例2である棒状化粧料塗布容器1’であり、該棒状化粧料塗布容器1’は、実施例1と同様に、内装する繰出機構Bにより、外筒3’内で中筒4’内において保持される棒状化粧料5’を収容する本体2’と、該本体2’の前端開口部2a’に対して着脱自在とするキャップ12’とから構成されものである。
【0027】
さらに、実施例1と同様に、該本体2’内において、後方に向かうネジ軸6’と連結する中皿7’と一体となる棒状化粧料5’を前進可能に保持する中筒4’と、後述する外筒3’と結合自在となり、本体2’の後端開口部2b’に密嵌する尾栓に対して相対的に回転可能になる回止筒8’とを固持してなるものである。
【0028】
そして、該本体2’内に内装される棒状化粧料5’の繰出機構Bは、本体2’内方向へ外筒3’を摺動させて中筒4’を露出させるとともに、該外筒3’が回止筒8’と結合する第1繰出機構B’と、中筒4’内において中皿7’と一体となって保持される棒状化粧料5’を前進可能としてなる第2繰出機構B”とからなるものである。
【0029】
すなわち、第1繰出機構B’は、本体2’の内側面に沿って周設する円周リブ2c’、2c’及び後述する外筒3’の外側面に突設される係止突起3a’間に係合自在となる軸方向に突設する縦リブ2d’と、外側面に該本体2’の内側面に突設する円周リブ2c’、2c’と係止自在となる係止突起3a’を一定の間隔をもって突設するとともに、後述する回止筒8’の軸方向に配設される係合突縁8a’に常時遊嵌される縦スリット3b’を後端縁より軸方向に沿って対向するように刻設し、本体2’内外方向に摺動自在になる外筒3’とからなるものである。
【0030】
また、第2繰出機構B”は、軸先端方向に向かって左巻きのネジ部6a’を有し、中皿7’と一体となるネジ軸6’と、該ネジ軸6’が回転不能に貫通するものであって、外側面において該外筒3’の縦スリット3b’と常時遊嵌する係合突縁8a’を突設し、本体2’の後端開口部2b’に密嵌する尾栓9’に対して相対的に回転可能になる回止筒8’と、該ネジ軸6’のネジ部6a’と歯合する噛合せ部11a’を形成し、本体2’の後端開口部2b’に密嵌する尾栓9’に対して回転不能になるネジ筒11’とからなるものである。
【0031】
本願発明の実施例2である棒状化粧料塗布容器1’の本体2’内に内装される繰出機構Bは以上の構成を具えるので、次のようにして、使用時には中筒4’内において中皿7’を一体となって保持される棒状化粧料5’を簡単、且つ確実に突出させ、また使用後には外筒3’内に中筒4’を簡単、且つ確実に収容させてなるものである。
【0032】
まず、使用時には、本体2’に装着されたキャップ12’を取り外した後、中筒4’を内部に収容する外筒3’を手でもって本体2’内方向へ押勢することにより、外筒3’の係止突起3a’と本体2’の内側面に突設された円周リブ2c’、2c’との係止、及び本体2’の内側面に突設する縦リブ2d’と係合して本体2’に対して回転不能となっている外筒3’の係止突起3a’間との係合が解離しつつ外筒3’の縦スリット3b’が常時遊嵌する回止筒8’の係合突縁8a’に誘導されながら該外筒3’は摺動するものとなる。その結果、外筒3’内の中筒4’は外筒3’外に露出するとともに、本体2’内方向へ摺動する外筒3’と回止筒8’とは、外筒3’の縦スリット3b’と回止筒8’の係合突縁8a’との遊嵌により一体に結合しているものである。
そして、さらに外筒3’を手でもって本体2’を右回転させると、該本体2’の後端開口部2b’に密嵌する尾栓9’に対して相対的に回転不能になるネジ筒11’は本体2’とともに回転し、該ネジ筒11’は中筒4’内において棒状化粧料5’を保持する中皿7’と一体になるネジ軸6’と噛合し、且つ該ネジ軸6’は手で持たれた外筒3’と一体となって回転不能である回止筒8’によってその回転が規制されているので、ネジ軸6’は該ネジ軸6’と一体となる中皿7’とともに前進して、中筒4’より棒状化粧料5’が突出させることができるものとなる。
従って、中筒4’内において保持される棒状化粧料5’は、外筒3’を本体2’内方向へ摺動させて回止筒8’と結合させることによってのみ前進可能となり、棒状化粧料5’を確実に突出させることができるものとなる。
【0033】
一方、使用後には、外筒3’を手でもって本体2’外方向へ押勢すると、外筒3’は、該外筒3’の縦スリット3b’が回止筒8’の係合突縁8a’に誘導されながら本体2’外方向へ摺動するものである。その結果、外筒3’の係止突起3a’と本体2’の内側面に周設される円周リブ2c’、2c’とが係止するとともに、本体2’の縦リブ2d’が外筒3’の係止突起3a’間とが係合するものとなる。その結果、本体2’に対して外筒3’は相対的に回転不能になるとともに露出していた中筒4’を確実に収容することができるものとなる。
従って、外筒3’を本体2’外方向へ摺動して回止筒8’と解離させ、本体2’外方向へ摺動させることで中筒4’を外筒3’内に収容するものであるので、中筒4’外に棒状化粧料5’を突出させたままでもキャップ12’を確実に装着することができ、また突出していても、外筒からは突出してしまうことはないので、棒状化粧料5’に対して損傷させること、及び中筒4’の収容にあたって誤作動で中筒4’外へ棒状化粧料5’を過剰に突出させることをも確実に防止できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本願発明は、棒状化粧料塗布容器内に保持される棒状化粧料を簡易且つ確実に出没させることができるので、アイライナーペンシルやアイブローペンシル等の芯状化粧料においても適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1、1’ 棒状化粧料塗布容器
2、2’ 本体
2a、2a’ 前端開口部
2b、2b’ 後端開口部
2c’ 円周リブ
2d’ 縦リブ
3、3’ 外筒
3a 突起
3b 片歯カム
3a’ 係止突起
3b’ 縦スリット
4、4’ 中筒
5、5’ 棒状化粧料
6、6’ ネジ軸
6a、6a’ ネジ部
7、7’ 中皿
8、8’ 回止筒
8a 鍔部
8b 片歯カム
8a’ 係合突縁
9、9’ 尾栓
10 ラセン筒
10a ラセン溝
11、11’ ネジ筒
11a、11a’ 噛合せ部
12、12’ キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6