(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5928857
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】保護シート材における保護フィルムの貼付方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20160519BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/1335
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-166239(P2015-166239)
(22)【出願日】2015年8月7日
【審査請求日】2015年8月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593002654
【氏名又は名称】ナニワ化工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊樹
【審査官】
弓指 洋平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−012804(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3141815(JP,U)
【文献】
特開2006−206782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/1335
G02F 1/13
G09F 9/00
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な合成樹脂素材からなる保護フィルム(4)の一側面に粘着材(3)の層を設け、前記粘着材(3)の層を剥離材(2)で被覆し、使用に際して、前記剥離材(2)を剥離して前記粘着材(3)の粘着力で所要の貼付対象機器の液晶画面に貼着するところの保護シート材(1)であって、
前記剥離材(2)を、可撓性を有する柔軟で透明な合成樹脂素材で構成すると共にその一面に、前記貼付対象機器の液晶画面の周枠を示す枠線(20)をプリントしてあり、該剥離材(2)を前記粘着材(3)の層に重ねて被覆した後に、その所定位置において、該剥離材(2)の外表面側から該剥離材(2)の厚みの90%以上の深さの切込み(7)を形成し、該剥離材(2)を曲げる操作でもって該切込み(7)の部分で前記剥離材(2)を分割切断ができるように構成し、
前記枠線(20)を前記貼付対象機器の液晶画面に位置合わせして載せ、前記保護シート材(1)の一端側を押さえた状態で他端を上に持ち上げて湾曲させることで前記切込み(7)の位置で分割切断し、
該分割切断により、前記剥離材(2)の可撓性による復元力によって前記粘着材(3)の層から浮き上がった、持ち上げた側の切断端部(2A)を把持して前記粘着材(3)の層から前記持ち上げた側の剥離材(2)の半分を完全に剥離して除去し、
次いで、前記剥離材(2)を剥離した前記保護フィルム(4)の部分を前記液晶画面に貼付して固定し、
しかる後に、今度は貼付した前記保護フィルム(4)を押さえて、反対側の前記保護シート材(1)の端部を把持して全体を上方に持ち上げ、湾曲させると、残っている剥離材(2)がその可撓性によって前記保護フィルム(4)の粘着材(3)の層から浮き上がるので、その端部(2B)を把持することで残った剥離材(2)を完全に剥離して除去し、以って、前記保護フィルム(4)の残りの部分も前記液晶画面に貼付する、
ことを特徴とする保護シート材における保護フィルムの貼付方法。
【請求項2】
前記枠線(20)に加え、前記貼付対象機器の特定位置を示す枠線(20A)がプリントされていることを特徴とする請求項1に記載の保護シート材における保護フィルムの貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話、パソコンなど、液晶画面を備えた貼付対象機器の画面保護を図るところの保護シート材における保護フィルムの貼付方法に用いる保護シート材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶画面は、携帯電話、携帯ゲーム機、タブレット機、パソコン、或いは制御機器などの電子機器の表示手段として用いられているが、こうした液晶画面は外部に露出されているものであるから、爪或いは他物との接触によって傷つき易く、そのために保護皮膜を貼ることが求められている。
かかる保護皮膜としては、一般に、樹脂フィルム(シート)を基材として用いており、製品の最終工程で貼着したり、あるいは携帯電話等の個人ユーザーが別途購入し、自ら貼着したりしている。
【0003】
具体的には、
図9及び
図10(拡大縦断面図)に示すように、このような保護シートは、一般に、樹脂フィルム(PET:ポリエチレンテレフタレート)からなる基材4の一側面に、シリコーン吸着させた粘着材3の層を備え、其の面を保護するために、通常他の樹脂フィルム(紙材に離型処理を施したものを用いることもある)の剥離材2(セパレーター層)を貼り付け、所要のサイズにカットされ、この状態で、搬送、販売され、ユーザーがその剥離材2を剥がして、目的の液晶画面などに、その粘着材3の層でもって貼り付けるものである。
【0004】
従って、市場流通しているのは、前記剥離材2が貼られている状態のものであり、本発明では、これを保護シート材1と称する。
【0005】
上述の保護シート材1は、その使用に際し、例えば、貼付対象機器の液晶画面に貼着する場合、その剥離材2を保護シート6から剥離し、画面に貼着することになるが、この際、規格サイズの保護シート材1から所要の面積のものをカットし(製造工程において予め規定のサイズのものが準備されることもある)、得られた保護シート材1の全域の剥離材2を剥離してから液晶画面に保護シート6を貼着しようとすると、保護シート6の全面の粘着材3の層に手指が貼り付いて、液晶画面に対する貼着位置の端部の位置決めが難しくなり、また、保護シート6の端から順番に貼って行くときに皺寄りなくスムースに行うということが出来難い。そして、貼着を何度もやり直しするような場合には、埃などが入り込むといった問題も発生する。
【0006】
そこで、従来においては、前記剥離材2に予め切込み(切れ目)を入れておいて、先ず、その部分剥離可能な剥離材2を剥離し、露出した粘着材3の一部を液晶画面に仮止めし、その後に、残りの剥離材2を剥がしながら順次液晶画面の上に貼着して行くという方法が採られていた。
【0007】
こうした保護シート材にかかわる従来技術としては、次の文献を挙げることができる。
【特許文献1】特開2011−74109
【特許文献2】特開2001−293780
【特許文献3】特開2012−25057
【0008】
そこで、上述したスムースな貼着を行うため、或いは皺寄り問題、埃等の混入問題を解消するべく、剥離材2に切込み7を入れることとなるが、次の問題が生じていた。
即ち、
図9及び
図10に示すように、このような切込み7を形成する場合、
図11に示すようなスリッター機を用いて保護シート材1の剥離材2(セパレーター層)側から直接切込み加工を行うと、塗布されているシリコーン吸着の粘着材3の層をも切断する可能性がある。
【0009】
又、基材4、両側面の粘着材3と表面保護膜5、即ち、保護シート6は、基本的には樹脂層といえるものであるから、例え、不完全切断を試みたとしても、
図11に示すスリッター機を用いると、この圧縮変形し得る樹脂層を刃付きローラー等で押さえ付けて切り込みすることとなり、シリコーン吸着の粘着材3の層に凹部が発生する。
このような凹部が形成されると、保護シート6を画面に貼着するときに空気が入って皺寄りとなったり、その凹部の光屈折に起因する反射光で画面が見難くなったりするという問題がある。
【0010】
更に、剥離材2(セパレーター層)を粘着材3の層から剥がして、別途、全切切り込みした後再度貼り付ける方法もあるが、この方法では、裁断された剥離材2の細片を再貼着する際、相互に完全密着させて行うことは難しく、結果的にシリコーン吸着の粘着材3の層に細片同士による切込み線痕が発生し、画面に貼った後切込み線痕が消えることが無く、画面用保護フィルム、光飛散防止フィルムのように目視確認が出来る商品に対し使用するには問題があった。
【0011】
加えて、従来の剥離材2の完全切断による裏切り込みの場合、切込み線より粘着材3の粘着溶剤が染み出す事態も多々発生しており(
図10参照)、保護シート6の表面に付着し、ここに付着した埃等が固着されて容易に除去することが難しくなり、爾後の液晶画面への貼着使用上、問題になることが多くあった。
【0012】
このように、従来においては、要約すると次の問題があった。
1)剥離材(セパレーター)に、完全切断の切込みを入れると、シリコーン吸着の粘着材の層に切込み線痕が付くこととなって液晶画面等への貼着後に目障りとなる。
2)また、完全切断の切込み線から、粘着材の層の粘着剤の溶剤が染み出し、問題となる。
3)更に、事前に剥離材を切断しておいてから揃えて粘着材の層に貼着させる場合でも、この粘着材の層には、その分離された剥離材の突合せの線が残ることになり、画面等に貼着したときに目障りとなる。
【0013】
そこで、本発明者は、かかる問題に鑑み、液晶画面等を保護する保護シートに貼着されている剥離材を部分的に剥離切断し、露出した粘着材の層で容易に仮止めでき、皺寄り難く、埃の入り込みを未然に回避できながらスムースに貼着でき、且つ、粘着材の層に対する切込み痕などが残らないようにして貼着後の見た目が綺麗に仕上がるようにすることを考えた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上述の如き手段を講講じことで、貼付方法は改善されたのであるが、保護シート材を所要の貼付機器の正しい位置に、確実に載置することが難しく、貼り直しを余儀されなくなるという問題が残っており、スムース、且つ、正確な貼り付けが出来ないという問題が残った。
【0015】
本発明は、保護シート材を貼付機器の液晶画面に対して正確に載置してその保護フィルムを貼付することができるようにし、失敗による貼り直しを回避して、保護フィルムの綺麗な貼付を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明にかかる保護シート材における保護フィルムの貼付方法は、透明な合成樹脂素材からなる保護フィルム(4)の一側面に粘着材(3)の層を設け、前記粘着材(3)の層を剥離材(2)で被覆し、使用に際して、前記剥離材(2)を剥離して前記粘着材(3)の粘着力で所要の貼付対象機器の液晶画面に貼着するところの
保護シート材(1)であって、
前記剥離材(2)を、可撓性を有する柔軟で透明な合成樹脂素材で構成すると共にその一面に、前記貼付対象機器の液晶画面の周枠を示す枠線(20)をプリントしてあり、該剥離材(2)を前記粘着材(3)の層に重ねて被覆した後に、その所定位置において、該剥離材(2)の外表面側から該剥離材(2)の厚みの90%以上の深さの切込み(7)を形成し、
該剥離材(2)を曲げる操作でもって該切込み(7)の部分で前記剥離材(2)を分割切断ができるように構成し、
前記枠線(20)を前記貼付対象機器の液晶画面に位置合わせして載せ、前記
保護シート材(1)の一端側を押さえた状態で他端を上に持ち上げて湾曲させることで前記切込み(7)の位置で分割切断し、
該分割切断により、前記剥離材(2)の可撓性による復元力によって前記粘着材(3)の層から浮き上がった、持ち上げた側の切断端部(2A)を把持して前記粘着材(3)の層から前記持ち上げた側の剥離材(2)の半分を完全に剥離して除去し、
次いで、前記剥離材(2)を剥離した前記保護フィルム(4)の部分を前記液晶画面に貼付して固定し、
しかる後に、今度は貼付した前記保護フィルム(4)を押さえて、反対側の前記
保護シート材(1)の端部を把持して全体を上方に持ち上げ、湾曲させると、残っている剥離材(2)がその可撓性によって前記保護フィルム(4)の粘着材(3)の層から浮き上がるので、その端部(2B)を把持することで残った剥離材(2)を完全に剥離して除去し、以って、
前記保護フィルム(4)の残りの部分も前記液晶画面に貼付する、
ことを特徴とする。
【0017】
本発明において、貼付対象機器とは、携帯電話、スマートフォン(商標名)等の電子機器、ポータブルサイズのPC等を含むものとする。従って、その液晶画面も、矩形とは限らず円形、台形なども対象となる。
本発明に言う枠線とは、矩形、○型、星型、多角形などを含むものとし、前記貼付対象機器の液晶画面位置を示す何らかの位置表示部位に対応できるものであればよい。また、その線については、実線、一点鎖線、二点鎖線(仮想線)、破線なども含まれる。更に、液晶画面のコーナー示す¬の印であってもよい。
そして、前記切込み(7)は、完全破断状態ではなく、僅かな肉厚を残すスリットを意味する。この切込みは、保護シート材を横方向に二分して、上下部分を順次貼付する場合だけでなく、縦方向に二分して左右部分順次貼付する場合も含まれる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、剥離材の枠線の存在によって、貼付対象機器の液晶画面に正確に載置させることができながら、剥離材の可撓性と切込みによって、保護シートの一端側を押さえ、他端側を持ち上げる操作を行うことで、その切込み位置で分断させて、半分ずつ貼付固定させることができるので、全体として、正確且つ迅速、スムースな転写貼付を行う事が出来る利点がある。
本発明のその他の利点は以下の実施例の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明にかかる保護シート材の製造工程を示す概略図。
【
図2】本発明にかかる保護シート材の加工前の要部の断面図。
【
図3】本発明にかかる保護シート材の加工後の要部の断面図。
【
図4】本発明にかかる保護シート材の使用方法の一工程を示す斜視図。
【
図5】本発明にかかる保護シート材の使用方法の一工程を示す斜視図。
【
図6】本発明にかかる保護シート材の使用方法の一工程を示す側面図。
【
図7】本発明にかかる保護シート材の別態様の使用方法の一工程を側面図。
【
図8】本発明にかかる保護シート材の別態様の使用方法の一工程を側面図。
【
図10】従来技術の保護シート材の要部の拡大断面図。
【
図11】従来技術の保護シート材のスリッター機の概略正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明にかかる保護シート材における保護フィルムの貼付方法の実施に際しては、前記枠線(20)に加え、前記貼付対象機器の特定位置を示す枠線(20A)がプリントされていることが好ましい。
これによって、例えば、特定位置、即ち、カメラレンズ用の開口を示す枠線(20A)であれば、液晶画面の周囲の位置合わせと合わせて、一層正確な位置決め行うことでき、より正確な貼付、転写を行うことができる。
【実施例】
【0021】
本発明にかかる保護シート材1は、
図2に示すように、次のように構成されている。
その保護シート材1を製造する工程は、従来技術と同様の前処理工程というべきものであるために、図示省略するが、先ず、保護フィルム4の一面に粘着材3の層を、粘着剤をロール転写によって塗布し、その後に剥離材2が貼着される。これによって、
図2に示す積層構造で、ロール状に巻かれた長尺の保護シート材1が形成される。
【0022】
前記保護フィルム4は、ここでは、厚みが、50〜200ミクロンのPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムで構成されている。従って、適度の可撓性を有し、折り曲げようとすると湾曲し、力を解除すると原状に復元するものである。
本発明においては、この保護フィルム4は、PETの素材フィルムだけでなく、図示省略しているが、防眩性乃至自己修復性を持たせるため、ベースのフィルム上に30ミクロン程度の軟質樹脂層(シリコーンとウレタン系樹脂の混合物)との積層状体として構成されている。しかし乍ら、PETの素材フィルムだけで構成される場合もある。
【0023】
また、粘着材3は、粘着剤として溶剤を用いたシリコーン樹脂液をロール転写により前記保護フィルム4に塗布することで構成されている。
更に、前記保護フィルム4の他側面(即ち、貼着後の表面を構成する一側面)には、この実施例では、表面保護膜5が設けられており、ここでは PP(ポリプロピレン)又はPETで構成され、保護シート1が画面等へ転写、貼着された後に剥離され、廃棄される。この表面保護膜5についは、実施に際しては、これを備えておらず、前記保護フィルム4の表面がそのまま外表面とされてよい。
【0024】
そして、前記保護シート材1は、前記保護フィルム4に、厚みが50ミクロン〜100ミクロンの剥離材2を貼着することで構成されているが、ここでは、その剥離材2のベースにPETを用いている。尚、他にPP、その他のベース材、例えば、洋紙を用いる場合などで、必要あれば、この一側面、即ち、前記粘着材3の層に接する面側に、シリコーン皮膜などの離型剤を塗布することもある。
そして、この剥離材2の一面、ここでは、前記粘着材3の層に接する一面に、印刷によって、枠線20がプリントされている。枠線20は、ここでは、実線で、貼付対象機器の液晶画面に対応するサイズで枠状に描かれているもので、前記保護シート1を液晶画面に載置したとき位置合わせに用いられる。この枠線20は、僅かの間隔もった二重線にするのが好ましいが、一本線でもよく、また、実線でなく、破線や二点鎖線であってもよく、また、単に液晶画面のコーナー部の部分のみを示す形状であってもよい。
【0025】
図1に示す切込み形成機により、前記保護シート材1に切込み7が形成される。
長尺の保護シート材1が、反転された状態で、図示左方から搬送されてくると、ガイドロール機構10によって、保護シート材1は、剥離材2が保護フィルム4(粘着材3、表面皮膜材5)から一旦剥離され、分離される。
【0026】
そして、該剥離材2が前記保護シート6から離れた状態において、アンビロール10A上へと送られ、前記保護シート材1の幅方向略中間位置で所定の間隔Lを持たせて、該剥離材2の外表面側から、回転する一対の切込み刃11を作用させ、前記剥離材2の厚みの90%(99%から90%であれば可)の深さD(35ミクロン)の1本の切込み7を入れる(
図3参照)。
【0027】
しかる後に前記ガイドロール機構10を用いて再び前記保護フィルム4に合流させて貼着させる。
その後に、
図1の中段に示すように、使用する電子機器の最終形状となる長さ乃至大きさに前記保護シート材1をカットすることになる。この工程においては、抜き形状刃Hを用いて、保護シート1の側から前記剥離材2を残して、その保護シート6の側縁部を、剥離時のつまみ部Tが形成されるように、所定の幅で切除し、同時に、外形寸法のカットと、カメラ位置等の窓を穿孔8する。このカット工程は、対象機器のカメラ等の表面配置に応じたバリエーションが考慮されることになるのは勿論である。従って、前記カットは、機器乃至その画面の形状(円形、楕円、角部に丸みのある正方形乃至長方形など)に対応した形状にカットされることも含まれる。
【0028】
上述の製造工程を経て得られた保護シート材1は、
図2の下段及び
図3に示す構造のものとなる。
図4乃至
図8に示すように、この状態の保護シート材1を、対象となる機器の画面DSに貼着する場合、次のように行うが、便宜上、前段構成を含めた状態で説明することにする。
即ち、透明な合成樹脂素材からなる保護フィルム4の一側面に粘着材3の層を設け、前記粘着材3の層を剥離材2で被覆し、使用に際して、前記剥離材2を剥離して前記粘着材3の粘着力で所要の貼付対象機器の液晶画面に貼着する。
【0029】
先ず、前記剥離材2を、可撓性を有する柔軟で透明な合成樹脂素材で構成すると共にその一面に、前記貼付対象機器の液晶画面の周枠を示す枠線20をプリントしてあり、該剥離材2を前記粘着材3の層に重ねて被覆した後に、その所定位置において、該剥離材2の外表面側から該剥離材2の厚みの90%以上の深さの切込み7を形成し、該剥離材2の曲げる操作でもって該切込み7の部分で前記剥離材2を分割切断ができるように構成する。
図4は、所定の一台の貼付対象機器用に裁断された保護シート1を示す。
【0030】
そして、
図5に示すように、前記枠線20を前記貼付対象機器の液晶画面に位置合わせして載せ、
図6に示すように、前記保護シート1の一端側(ここでは、下側)を押さえた状態で他端(上側)を上に持ち上げて湾曲させることで前記切込み7の位置で分割切断する。この持ち上げ動作によって、前記剥離材2は、パキッと破裂音を発して前記切込み7の部分で分断されるのである。
【0031】
該分割切断により、前記剥離材2の可撓性による復元力によって前記粘着材3の層から浮き上がった、持ち上げた側の切断端部2Aを把持して前記粘着材3の層から前記持ち上げた側の半分の剥離材2を完全に剥離して除去する。
図7参照。
次いで、前記剥離材2を剥離した前記保護フィルム4の部分を前記液晶画面に押し付け、貼付して固定する。
しかる後に、
図8に示すように、今度は貼付した前記保護フィルム4を押さえて、反対側の前記保護シート1の端部を把持して全体を上方に持ち上げ、湾曲させると、残っている剥離材2がその可撓性によって前記保護フィルム4の粘着材3の層から少し浮き上がるので、その端部2Bを把持することで残った剥離材(2)を完全に剥離して除去し、以って、前記保護フィルム(4)残りの部分も前記液晶画面に押し付けて貼付するのである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、保護シートを剥離材にプリントした枠線を利用して液晶画面に適正に位置合わせでき、正確に貼付することができるもので、液晶画面等だけでなく、種々の機器などの表面保護を図ることができるので、用途が広がり利用価値が高い。
【符号の説明】
【0033】
1: 保護シート
2: 剥離材
3: 粘着材
4: 保護フィルム
7: 切込み
20: 枠線
【要約】 (修正有)
【課題】保護シート材を貼付機器の液晶画面に対して正確に載置してその保護フィルムを貼付することができるようにし、失敗による貼り直しを回避して、一般のユーザーでも保護フィルムの綺麗な貼付を行うことができる方法。
【解決手段】粘着材の層を、可撓性を有する柔軟で透明な合成樹脂素材で構成された剥離材2で被覆した保護シート材1で、剥離材2の所定位置において、枠線をプリントし、且つ、厚みの90%以上の深さの切込み7を入れて、剥離材2を曲げる操作にて切込み7の部分で分割ができるように構成し、枠線を液晶画面DSに位置合わせし、保護シート1の一端側を押さえた状態で他端を上に持ち上げて湾曲させ、粘着材の層から浮き上がった切断端部2Aを把持して剥離材2の半分を完全除去し、保護フィルム4を正確な位置に、半分ずつ貼付、固定できる保護フィルムの貼付方法。
【選択図】
図6