特許第5928858号(P5928858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5928858
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】犬用肛門拭取体
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20160519BHJP
【FI】
   A01K23/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-209953(P2015-209953)
(22)【出願日】2015年10月26日
【審査請求日】2015年11月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515023442
【氏名又は名称】ジャパンモード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 太郎
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 竜二
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 明美
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第09151005(US,B1)
【文献】 実開昭57−205214(JP,U)
【文献】 特表2003−511138(JP,A)
【文献】 特開2007−117053(JP,A)
【文献】 実開昭59−168256(JP,U)
【文献】 特開2015−047462(JP,A)
【文献】 特表2003−530934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
A47L 13/00−13/62
E01H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、
上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、
平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、
側部から中間部に向けて応力が集中するように、又は中間部から側部に向けて応力が集中するように内部応力が負荷されていること
を特徴とする犬用肛門拭取体。
【請求項2】
犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、
上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、
平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、
上記粘着層は、両側部が中間部より延出される方向が拭取方向にほぼ合致するように上記捕集袋に貼着され、
上記拭取方向の前端から後端にかけて延長された案内用の凸状のリブの根本部から頂部に向けて内部応力が予め負荷されていること
を特徴とする犬用肛門拭取体。
【請求項3】
犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、
上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、
平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、
上記中間部は、低摩擦領域とされ、上記両側部は上記低摩擦領域よりも表面の摩擦係数が高い高摩擦領域とされていること
を特徴とする犬用肛門拭取体。
【請求項4】
犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、
上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、
平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、
上記中間部のみには、上記拭取層が二重に形成されていること
を特徴とする犬用肛門拭取体。
【請求項5】
犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、
上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、
平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、
上記中間部と、上記両側部とは互いに異種材料で構成され、上記中間部は、上記両側部よりも吸水性の高い材料で構成されていること
を特徴とする犬用肛門拭取体。
【請求項6】
犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、
上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、
平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、
上記中間部の弾性率は、上記両側部の弾性率よりも低く構成していること
を特徴とする犬用肛門拭取体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬の肛門に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体に関し、特に拭き取りの利便性を向上させると共に、衛生面や資源の節約面にも優れた犬用肛門拭取体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットとして飼育される犬は散歩中に道路上で排泄をするが、その排泄物(糞)の処理は飼育家に必ず付いて回る問題である。一般的にこの排泄物の処理は、スーパーストアやコンビニエンスストア等で無償でもらえるポリエチレン等から構成される袋に手を嵌め、排泄物を掴んで袖口から全体を裏返し、排泄物ごと手から抜き取って袖口を結ぶ場合が多い。これに加えて、衛生面から専用のウェットティシュ等を犬の肛門又はその周囲に当てがい、これに付着した排泄物を拭き取る場合が多い。
【0003】
しかしながら、排泄物の拭き取りのために、この専用のウェットティッシュを別途購入する必要があり、飼育家の頭を悩ます原因ともなっていた。このため、ウェットティッシュを別途購入することなく、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取ることが可能なツールが特に飼育家の間で求められていた。
【0004】
従来においては、例えば特許文献1に示すようなペット糞処理用具が提案されている。この特許文献1の開示技術によれば、立体的な多孔性の網状構造を有する有機高分子材料のシートと、このシートを人の手に保持するための手段により構成され、汚れや排泄物で固まった動物の毛皮を清掃できる旨の記載がある。しかしながら、この特許文献1の開示技術によれば、あくまで毛皮を清掃する点に特化したものであり、犬の肛門又はその周囲のようなデリケートな部分において拭き取り動作を行った場合に、その網状構造により傷をつけてしまう場合もある。
【0005】
また、特許文献2の開示技術によれば、ペットを対象とした手袋型拭き取り用具において、内部が蒸れにくく、しかも汚れが手に付着しにくくするために、保水率の高いシートで表面を構成した技術が開示されている。しかしながら、この特許文献2の開示技術では、界面活性剤を使用して動物を洗浄する際にその毛皮を拭き取ることを前提とした技術であり、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物の拭き取りに対応したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−2664号公報
【特許文献2】特開2015−73619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物の拭き取りの利便性を向上させると共に、衛生面や資源の節約面にも優れた犬用肛門拭取体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明を適用した犬用肛門拭取体は、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、側部から中間部に向けて応力が集中するように、又は中間部から側部に向けて応力が集中するように内部応力が負荷されていることを特徴とする。
本発明を適用した犬用肛門拭取体は、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、上記粘着層は、両側部が中間部より延出される方向が拭取方向にほぼ合致するように上記捕集袋に貼着され、上記拭取方向の前端から後端にかけて延長された案内用の凸状のリブの根本部から頂部に向けて内部応力が予め負荷されていることを特徴とする。
本発明を適用した犬用肛門拭取体は、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、上記中間部は、低摩擦領域とされ、上記両側部は上記低摩擦領域よりも表面の摩擦係数が高い高摩擦領域とされていることを特徴とする。
本発明を適用した犬用肛門拭取体は、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、上記中間部のみには、上記拭取層が二重に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明を適用した犬用肛門拭取体は、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、上記中間部と、上記両側部とは互いに異種材料で構成され、上記中間部は、上記両側部よりも吸水性の高い材料で構成されていることを特徴とする。
本発明を適用した犬用肛門拭取体は、犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、上記排泄物を拭き取るための拭取層が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋の表側に貼着される粘着層がその裏面に形成され、平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされ、上記中間部の弾性率は、上記両側部の弾性率よりも低く構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述した構成からなる本発明によれば、挿入した手の中指が中間部に、また人差し指と薬指が両側部に位置することとなる。特に両側部は、中間部よりも一方向に向けて偏移されている場合に、かかる指との間の位置あわせを好適に実現できる。かかる状態で犬の肛門又はその近傍に捕集袋に挿入した手を近づけることにより、ちょうど飼育家の手の中指、人差し指、薬指が犬用肛門拭取体に位置することとなり、これら中指、人差し指、薬指により、犬用肛門拭取体をうまく肛門に接触させることが可能となり、肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取ることが可能となる。
【0011】
また本発明によれば、排泄物の付着性に優れた材料で構成されている拭取層を有することにより、拭き取り性能が優れていることから一度又は少ない回数の拭き動作のみで汚れを除去することが可能となる。これに加えて、ちょうど飼育家の手の中指、人差し指、薬指が犬用肛門拭取体に位置させることが可能となることから、指からの力が犬用肛門拭取体に対して好適に加わることとなり、肛門に付着した排泄物をその指からの力を通じて効率的に拭き取ることが可能となる。このため、拭き取り動作の回数をより減らすことができ、飼育家の飼育労力の負担の軽減を図ることが可能となる。これに加えて、拭き取り動作の回数を減らすことで犬の肛門に拭取層が擦れることにより傷が付いてしまうのを防止することができ、また肛門に傷が付くことによりばい菌が傷口から入り込むのを防止でき、衛生面においても優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】シート上に本発明を適用した犬用肛門拭取体を配列させた例を示す図である。
図2】本発明を適用した犬用肛門拭取体の断面図である。
図3】本発明を適用した犬用肛門拭取体の平面図である。
図4】本発明を適用した犬用肛門拭取体の平面視で見た場合における変形例を示す図である。
図5】本発明を適用した犬用肛門拭取体の平面視で見た場合における他の変形例を示す図である。
図6】本発明を適用した犬用肛門拭取体の平面視で見た場合における更なる他の変形例を示す図である。
図7】袋の表面に対して犬用肛門拭取体を貼着する例を示す図である。
図8】飼育家が袋の中に手を挿入した例を示す図である。
図9】本発明を適用した犬用肛門拭取体により実際に犬の肛門に付着した排泄物を拭き取る方法について説明するための図である。
図10】拭取層につき、高摩擦領域と低摩擦領域とを分けて設ける例を示す図である。
図11】犬用肛門拭取体の表層を構成する拭取層につき多孔質の材料で構成した例を示す図である。
図12】中間部におけるほぼ中心線に沿ってA方向に向けてリブを形成させた犬用肛門拭取体の例を示す図である。
図13】犬用肛門拭取体の断面を波形状に構成した例を示す図である。
図14】犬用肛門拭取体に対して予め内部応力を導入した例を示す図である。
図15】犬用肛門拭取体における拭取層の表面に複数のエンボスを規則的に形成した例を示す図である。
図16】(a)は、一の側端から他の側端に至るまで全体的に円弧状となるように撓ませて構成した例を示す図であり、(b)は、前端から後端に至るまで全体的に円弧状となるように撓ませて構成した例を示す図である。
図17】中間部のほぼ中心線において山折りに折り込まれた例を示す図である。
図18】A方向に向けて断続的に突起を形成させる例を示す図である。
図19】手の指に応じた案内部を形成された例を示す図である。
図20】主として中指が当たる中間部については、拭取層の上に更にもう一層に亘り同一の材料を積層させた例を示す図である。
図21】拭取層につき、中間部と側部との間で互いに異種材料で構成した例を示す図である。
図22】拭取層と、粘着層との間に冷却材を介装させた例を示す図である。
図23】、平面視においてちょうど中間部の中央付近において洗浄液を封入させた例を示す図である。
図24】中間部と側部との間で互いに弾性率を異ならせた例を示す図である。
図25】前端から後端にかけて複数の領域に区切った例を示す図である。
図26】本発明を適用した犬用肛門拭取体において、平面視で矩形状に構成した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した犬用肛門拭取体について図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0014】
本発明を適用した犬用肛門拭取体2は、犬の肛門に付着した糞等の排泄物を拭き取るための拭取体であり、例えば図1に示すようなシート1上に予め貼着された状態で流通販売される。このシート1には、犬用肛門拭取体2が複数に亘り配列されている。
【0015】
図2は、本発明を適用した犬用肛門拭取体2の断面図である。犬用肛門拭取体2は、排泄物を拭き取るための拭取層21が表面に形成され、粘着層22がその裏面に形成されている。この犬用肛門拭取体2は、少なくとも表面に拭取層21が、裏面に粘着層22がそれぞれ形成されているものであれば、この拭取層21と粘着層22との間にいかなる層が介装されていてもよい。
【0016】
拭取層21は、犬の排泄物に接触した場合にこれを吸いつけて好適に除去可能な媒体である。この拭取層21は、紙、繊維、布、織物、毛皮、合成樹脂、植物性繊維、ちり紙、薄葉紙等で構成される。この拭取層21は、上述した例に限定されるものではなく、他のいかなる物質を使用するようにしてもよい。拭取層21の種類、拭取層21の厚み等は、犬の種類、使用環境(温度環境)等により適宜選定される。
【0017】
粘着層22は、一般にシールとして使用される粘着剤である。この粘着剤の主成分は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン粘着剤などで構成される。粘着層22は、溶剤系、水系エマルジョン、ホットメルト、UV硬化等の粘着剤を適用するようにしてもよい。水系エマルジョン型粘着剤のポリマーとしては、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ゴム系ポリマー、それらの変成体、それらの共重合体などが好適に用いられる。この粘着層22は、上述した例に限定されるものではなく、他のいかなる物質を使用するようにしてもよい。粘着層22を構成する粘着財の種類、粘着層22の厚み等は、被着体の種類、使用環境(温度環境)等により適宜選定される。
【0018】
図3は、本発明を適用した犬用肛門拭取体2の平面図を示している。犬用肛門拭取体2は、平面視で見た場合に、両側に形成された側部2bと、この両側部2bの中間に形成される中間部2aとを有している。この中間部2a及び側部2bは、両者間で明確な境界は存在せず、より中央に近い側が中間部2aであり、より側端に近い方が側部2bとなる。この犬用肛門拭取体2は、両側部2bが一の方向Aに向けて中間部2aよりも偏移された形状とされている。つまり、両側部2bが中間部2aよりも方向Aに向けてシフトしていれば、或いは偏らせてなるものであればよい。図3の例では、この中間部2aよりも両側部2bがA方向に向けて延出されていることで、当該A方向に向けて偏移されているといえる。犬用肛門拭取体2は、前端24の輪郭は円弧状とされており、後端25の輪郭も同様に円弧状とされている。その結果、中間部2aの両側に形成された両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出され、ひいては偏移された形状となる。
【0019】
但し、この前端24又は後端25は、円弧状に形成される場合に限定されるものではない。図4〜6は、この犬用肛門拭取体2の平面視で見た場合における変形例を示している。
【0020】
図4(a)は、前端24、後端25ともに中心で折り曲げられた直線状で構成されている。但し、その直線の角度は、後端25の方が前端24よりもゆるやかとされている。このような形状においても同様に両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出され、ひいては偏移された形状となる。図4(b)は、いわゆるコ字状で構成されてなるが、両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出されていることから、両側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。図4(c)は、図4(a)の形態において左右のバランスを異ならせた形態である。このような左右のバランスを異ならせても、両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出され、ひいては偏移された形状となっているため、同様に本発明の範囲に含まれるものである。
【0021】
図5(a)は、外郭が多角形状とされており、その中に同様の多角形状の内郭がくりぬかれてなる形態の例である。この形態においても、両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出されていることから、両側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。図5(b)は、円形のリングのA方向に向けた端部を切除した形状としており、換言すれば、円形状の外郭から同じく円形状の内郭をあたかもくりぬいた形態の例である。この形態においても、両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出されていることから、両側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。図5(c)は、長方形から円形状の内郭をくりぬいた形態の例である。この形態においても、両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出されていることから、両側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。
【0022】
図6(a)は、前端24において3つの山が連なる形状とし、後端25を円弧状に構成した例である。この形態においても、両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて延出されていることから、両側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。図6(b)は、前端24において3つの山が連なる形状とし、後端25を直線としている。この形態においては中間部2aが両側部2bよりもA方向と反対方向に突出していることから、逆に言えば側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。図6(c)は、正五角形であるが、中間部2aと両側部2bとに区切った場合、中間部2aが両側部2bよりもA方向と反対方向に突出していることから、逆に言えば側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。図6(d)は、三角形であるが、中間部2aと両側部2bとに区切った場合、中間部2aが両側部2bよりもA方向と反対方向に突出していることから、逆に言えば側部2bは、中間部2aよりもA方向に偏移しているといえる。
【0023】
なお、本発明を適用した犬用肛門拭取体2は、上述したように平面視で見た形態に限定されるものではなく、平面視で両側部2bが中間部2aよりもA方向に向けて偏移された形状であればいかなる形態とされていてもよい。
【0024】
また犬用肛門拭取体2は、平面視で見た形態のみならず、拭取層21の表面特性につき、各種形態を採用するものであってもよい。
【0025】
次に、本発明を適用した犬用肛門拭取体2における実際の使用方法について説明をする。
【0026】
先ず飼育家は、ペットとしての犬の散歩中をする際において、スーパーストアやコンビニエンスストア等で無償でもらえるポリエチレン等から構成される捕集袋と、犬用肛門拭取体2が複数に亘り配列されているシート1を携帯する。そして、犬が糞を下場合において飼育家は、シート1から一の犬用肛門拭取体2を剥がし、図7に示すように捕集袋3の表面に対して犬用肛門拭取体2を貼着する。この犬用肛門拭取体2の貼着方向は、ちょうどA方向が捕集袋3の袋口3aに向けて配向するように貼着する。但し、この犬用肛門拭取体2の貼着方向は、A方向がほぼ袋口3aに向いているものであれば多少方向が変化するものであってもよい。
【0027】
次に飼育家は図8に示すように捕集袋3の中に手を挿入する。上述したように両側部2bは、当該中間部2aよりもA方向に向けて偏移されているため、挿入した手の中指が犬用肛門拭取体2における中間部2aに、また人差し指と薬指が両側部2bに位置することとなる。かかる状態で図9(a)に示すように犬4の肛門41又はその近傍に捕集袋3に挿入した手を近づける。図9(b)は、肛門41付近の拡大図であるが、肛門41に対して捕集袋3に貼着された犬用肛門拭取体2を当てがう。このとき、ちょうど飼育家の手の中指、人差し指、薬指が犬用肛門拭取体2に位置することから、これら中指、人差し指、薬指により、犬用肛門拭取体2をうまく肛門41に接触させることが可能となる。そして、この肛門41に接触された状態にある犬用肛門拭取体2をA方向に向けて拭き取り、或いは擦り付ける動作を行うことで、その肛門41又はその周囲に付着した排泄物を拭き取ることが可能となる。
【0028】
この拭き取り動作は、肛門41又はその周囲に対して犬用肛門拭取体2を何度か行うようにしてもよいが、本発明によれば、排泄物の付着性に優れた材料で構成されている拭取層21を有することにより、拭き取り性能が優れていることから一度又は少ない回数の拭き動作のみで汚れを除去することが可能となる。これに加えて、ちょうど飼育家の手の中指、人差し指、薬指が犬用肛門拭取体2に位置させることが可能となることから、指からの力が犬用肛門拭取体2に対して好適に加わることとなり、肛門に付着した排泄物をその指からの力を通じて効率的に拭き取ることが可能となる。このため、拭き取り動作の回数をより減らすことができ、飼育家の飼育労力の負担の軽減を図ることが可能となる。これに加えて、拭き取り動作の回数を減らすことで犬の肛門に拭取層21が擦れることにより傷が付いてしまうのを防止することができ、また肛門に傷が付くことによりばい菌が傷口から入り込むのを防止でき、衛生面においても優れたものとなる。
【0029】
このようにして、肛門に付着した排泄物の拭き取りを行った後、飼育家は、手を捕集袋3に挿入したまま、地面に転がっている排泄物を掴みとる。この排泄物の摘み取りの動作は、地面上の排泄物に対して捕集袋3を介して上から掴み取る。このとき、図8に示すように飼育家の手の中指、人差し指、薬指が犬用肛門拭取体2に位置させた状態をそのまま維持しつつ、上から排泄物を掴み取ることが可能となる。上述した肛門に付着した排泄物の拭き取り動作は、肛門に対して手を下側から当てがうのに対して、地面の排泄物の掴み取り動作は手を上側から近接させる。つまり捕集袋3内に手を挿入したままの状態で、単に上側又は下側から近接させる動作のみを行うことで、これら排泄物の拭き取り及び掴み取りの双方の動作を実現することができる。ちなみに排泄物を掴み取った後は、捕集袋3を袖口から全体を裏返し、排泄物ごと手から抜き取って袖口を結んで廃棄することとなる。
【0030】
特に本発明を適用した犬用肛門拭取体2によれば、スーパーストアやコンビニエンスストア等で無償でもらえるポリエチレン等から構成される捕集袋3をそのまま流用することができるため、資源の節約面においても優れたものとなり、しかも飼育家は単に犬用肛門拭取体2が配列しているシート1のみを購入すればよいことから、飼育コストを下げることも可能となる。
【0031】
なお本発明を適用した犬用肛門拭取体2は、上述した形態に限定されるものではない。
【0032】
例えば図10(a)に示す形態では、拭取層21につき、高摩擦領域31と低摩擦領域32とを分けて設ける。この例では、中間部2aを低摩擦領域32とし、両側部2bを高摩擦領域31としているが、これに限定されるものではなく、中間部2aを高摩擦領域31とし、両側部2bとしてもよい。また、高摩擦領域31と低摩擦領域32は、中間部2a、両側部2bに対応させて割り当てられる場合に限定されるものではなく、その割り当ての配置についてはいかなるものであってもよい。即ち、この拭取層21の全表面のうち、一部が高摩擦領域31であり、一部が低摩擦領域32が割り当てられるものであればいかなる形態とされていてもよく、例えばこの高摩擦領域31と低摩擦領域32が混在するものであってもよい。
【0033】
図10(b)は、図10(a)のB−B´断面図である。ちょうど中間部2aに相当する箇所においては低摩擦領域32とされ、その側部2bは高摩擦領域31とされている。高摩擦領域31は、表面の摩擦係数が低摩擦領域32よりも大きいものであればいかなる材料で構成されていてもよい。また、高摩擦領域31は低摩擦領域32と同一材料で構成されている代わりに表面粗さのみ異ならせることで摩擦係数に差を持たせるようにしてもよい。
【0034】
このように拭取層21につき、高摩擦領域31と低摩擦領域32を局所的に設けることにより、特に肛門41に付着した排泄物の拭き取り動作をより効率的に実現できる。例えば、中間部2aを低摩擦領域32とし、両側部2bを高摩擦領域31とすることにより、拭き取り時には、両側部2bを肛門41の周囲に、また中間部2aを肛門41に対して直接的に接触させることが可能となる。両側部2bの高摩擦領域31が肛門41の周囲に接触していることで犬用肛門拭取体2をA方向に向けて引く力が増大する。その結果、両側部2bの高摩擦領域31を介して犬用肛門拭取体2をA方向に向けて引くスピードを遅くすることが可能となる。これに対して、肛門41には低摩擦領域32からなる中間部2aが接触することにより、表面が粗い高摩擦領域31によりデリケートな肛門41を傷つけてしまうのを防止できる。つまり、この図10の構成からなる犬用肛門拭取体2によれば拭き取り時においてA方向に向けて引くスピードを遅くすることで、拭き取りをゆっくりと行うことができるため、1回の拭き取り動作で排泄物を残すことなく拭き取ることが可能とし、しかも犬4の肛門41に傷をつけてしまうのを防止できる。
【0035】
また図11は、この犬用肛門拭取体2の表層を構成する拭取層21につき多孔質の材料で構成した例を示している。犬用肛門拭取体2の表層には、小孔51が規則的又はランダムに形成されている。この拭き取り時には、拭き取った排泄物をこの小孔51に案内することができる。その結果、犬用肛門拭取体2の表層に排泄物が付着したままの状態になるのを防止できる。特に犬用肛門拭取体2を介して肛門41を複数回に亘って拭く場合に既に付着している排泄物を小孔51内に導くことでその表面をできるだけ清純に維持することが可能となる。
【0036】
図12(a)の例では、ちょうど中間部2aにおけるほぼ中心線に沿ってA方向に向けてリブ53を形成させた犬用肛門拭取体2の例を示している。このリブ53は、図12(b)に示すB−B´線断面図に示すように、ほぼ中央を凸状に隆起させることで構成されている。このようなリブ53が形成されていることにより、犬用肛門拭取体2を肛門41に当てがった場合に、このリブ53が肛門41の奥深くに入り込むことでフィットし、肛門41に付着した排泄物を残すことなく拭き取ることが可能となる。このとき中指をこのリブ53の内側から挿入することも可能となり、この中指を介してリブ53から肛門41への押圧力を働かせることで、付着した排泄物をより効率的に除去することが可能となる。また、このリブ53を肛門41に接触させることにより、このリブ53が犬の尻に沿って案内されることで、拭き取り方向をちょうどA方向に向けて制御されることとなる。なお、この凸状のリブ53を設ける代わりに、凹状の溝部を設けるようにしてもよい。
【0037】
図13において犬用肛門拭取体2の断面を波形状に構成した例を示している。即ち、中間部2aから両側部2bに至るまで、上方に向けて隆起した隆起部57と、下方に向けて隆起した溝部56が交互に連続させてなる。このとき、中間部2aの中心にはかならず隆起部57が位置するように構成されている。この中間部2aの中心に位置する隆起部57が肛門41の奥深くに入り込むことでフィットし、肛門41に付着した排泄物を残すことなく拭き取ることが可能となる。また中間部2aの中心以外の隆起部57において人差し指、薬指を添えることができることから安定した状態で把持することも可能となる。また波形状で構成することで比較的強度面においても強いものとすることができる。波形状に撓ませる方法としては、元からそのように撓んでいる状態のゴムやスポンジ等の弾性材を拭取層21と粘着層22の間に介装させることで実現するようにしてもよい。なお、この波形の断面形状はサイン波に限定されるものではなく、隆起部57と溝部56が連続するものであればいかなるものであってもよい。
【0038】
図14は、犬用肛門拭取体2に対して予め内部応力を導入した例を示している。この事前に発生させる内部応力は、例えば図14(a)に示すように中間部2aに向けて応力が集中するような方向とされていてもよいし、図14(b)に示すように中間部2aから側部2bに向けた内部応力とされていてもよい。
【0039】
図14(a)に示す形態においては、中間部2aに向けて応力が集中している状態で予め引っ張られているため、中指で押圧して場合にかかる内部応力により容易に撓ませることができ、中指を肛門41に押し当てることが可能となる。また図14(b)に示す形態においては、中間部2aが予め引っ張られているため、中指で押圧して場合にかかる内部応力により容易に撓んでしまうのを効果的に防止できる。特に図14(c)に示すように中央にリブ53を設ける場合においてそのリブ53の根本部から頂部に向けて図中矢印方向に向けた内部応力を予め発生させるようにしてもよい。これによりリブ53の内部から中指を当てた場合に、このリブ53を容易に撓ませることが可能となる。内部応力の発生手段としては、例えばゴム等の弾性材料につき局所的に引張応力を負荷した状態で、拭取層21と粘着層22との間に介装して固定するようにしてもよい。
【0040】
図15は、犬用肛門拭取体2における拭取層21の表面において、上に凸状の半球状のエンボス59を複数に亘り規則的に、又はランダムに形成した例を示している。これらエンボス59を設けておくことにより、肛門41に付着した排泄物をこのエンボス59に接触させることで効果的に拭き取ることが可能となる。このような形態からなる犬用肛門拭取体2により拭き取り動作を行うと、肛門41に対してエンボス59が複数回に亘り当たることとなる。このため一回目のエンボス59の接触を通じて拭き取れなかった排泄物は、次回以降に渡り接触するエンボス59を介して拭き取られることとなる。また肛門41に接触しない他のエンボス59も犬肛門付近に接触することでツボが押される場合もあり、又は排泄物以外の汚れを拭き取ることができる。ちなみに、このエンボス59の大きさは互いに異ならせることが可能となる。例えば中間部2aに形成されたエンボス59はより径大に構成し、側部2bに形成されるエンボス59はより径小に構成するようにしてもよい。これにより、中間部2aの径大なエンボスを通じて肛門41に付着した排泄物をより効率的に除去することが可能となる。
【0041】
図16(a)は、図3に示すB−B´断面図の他の例である。この例では、一の側端から他の側端に至るまで全体的に円弧状となるように撓ませて構成している。これにより、中指が内側から当たる円弧状の頂部を介して肛門41の奥深くまで拭取層21を接触させることが可能となる。
【0042】
図16(b)は、図3に示すC−C´断面図の他の例である。この例では、前端24から後端25に至るまで全体的に円弧状となるように撓ませて構成している。これにより、円弧状に構成しない場合と比較して肛門41と拭取層21との接触距離を長くすることができ、排泄物の拭き取り効率を向上させることが可能となる。
【0043】
図17(a)では、中間部2aのほぼ中心線において山折りに折り込まれた例を示している。図17(b)は、そのB−B´断面を示しているが、ちょうど中心においてその山折りの頂部60が形成されることとなる。この例においても同様に、中指が内側から当たる頂部60を介して肛門41の奥深くまで拭取層21を接触させることが可能となる。
【0044】
図18の例では、A方向に向けて断続的に突起65を形成させる例を示している。この突起65の形成位置は、図18(a)に示す平面視においてちょうど中間部2aの中心線に沿ったものとなる。この突起65の形状は、図18(b)に示すC−C´断面図に示すように、流線型の形状とされていることにより肛門41へ傷が付いてしまうのを防止することができる。
【0045】
図19の例では、手の中指に応じた溝状の中指案内部77を中間部2aの略中央近傍に形成し、その両側に人指し指に応じた溝状の人指し指案内部78及び薬指に応じた溝状の薬指案内部76を形成している。この薬指案内部76、中指案内部77、人指し指案内部78は何れも深さ方向に向けて凹状に形成されてなり、そのサイズも指の太さに応じたものとなっている。これにより、薬指案内部76、中指案内部77、人指し指案内部78にそれぞれ指を案内させることができ、ひいては犬用肛門拭取体2に対して指がずれることなく安定した状態で拭き取り動作を行うことができる。
【0046】
図20の例では、図3のB−B´断面図において、主として中指が当たる中間部2aについては、拭取層21の上に更にもう一層に亘り同一の材料からなる拭取層21´を積層させている。この拭取層21及び拭取層21´を二重に形成させることにより、実際に排泄物を拭き取る上でこれらが破けることなく強固なものとすることができる。ちなみに、拭取層21´は、拭取層21と同一材料で構成される場合に限定されるものではなく、また拭取層21´は2層以上で構成されていてもよい。
【0047】
図21の例では、図3のB−B´断面図において、拭取層につき、中間部2aと側部2bとの間で互いに異種材料で構成した例を示している。特にこの中間部2aに形成される拭取層81については、側部2bに形成された拭取層80よりも吸水性の高い材料としている。これにより、特に排泄物が接触する中間部2aの拭取層81について拭き取り性能を向上させ、拭取層80については比較的安価な材料とすることで全体的なコストを削減することが可能となる。
【0048】
図22の例では、図3のB−B´断面図において、拭取層21と、粘着層22との間に冷却材83を介装させた例を示している。このような冷却材83を介装させることにより、特に夏場において犬の下半身に心地よい冷たさを感じさせることができ、拭き取り動作を容易に行うことができる。またこの冷却材83の代替として保温材を介装させるようにしてもよい。このような保温材を介装させることにより、特に冬場において犬の下半身に心地よい温かさを感じさせることができ、拭き取り動作を容易に行うことができる。
【0049】
図23(a)の例では、平面視においてちょうど中間部2aの中央付近において洗浄液87を封入させた例を示している。この洗浄液87は、図23(b)に示すB−B´断面図に示すように保護シート86によりカバーされている。この保護シート86は、ポリエチレン等の樹脂性の薄膜等で構成されており、これを破くことにより内部に封入されている洗浄液87を流出できる構成とされている。洗浄液87は、例えば石鹸水等で構成されていてもよい。流出させた洗浄液87を犬の肛門41に塗布するとともに露出した拭取層21により排泄物を拭き取ることができ、肛門41の清潔性を向上させることができる。ちなみに、この保護シート86は、破く以外に、擦ることで穴を開けるようにしてもよいし、犬の体温で溶解可能なゼラチン等の物質で構成してもよい。
【0050】
また本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、中間部2aと、側部2bとの間で互いに物性を異ならせるようにしてもよい。かかる場合には、この中間部2aについてより比重の高い物質で構成し、側部2bについては、より比重の低い物質で構成している。これにより、犬用肛門拭取体2の重心がちょうど中間部2aに位置することにより、把持性を向上させることが可能となる。
【0051】
また図24に示すように、中間部2aと側部2bとの間で互いに弾性率を異ならせるようにしてもよい。このとき中間部2aの弾性率を、側部2bの弾性率より低い低弾性領域101とすることで、中指により中間部2aを押圧した場合にこれを容易に撓ませることが可能となる。このとき、低弾性領域101は、たとえばゴムやスポンジ、樹脂等、容易に撓むことができる弾性材で構成されていることが望ましい。これにより、中間部2aの動きを中指の動きに追従させることができるため、排泄物を拭き取るためのより細かい中指の動作を中間部2aに反映させることができ、拭き取り精度を高めることができる。また犬の尻や肛門41の形状に応じてこの中間部2aを自在に変形させてフィットさせることができる。ちなみに、中間部2aにつき上述した低弾性領域101で構成する場合には、この弾性材が形成される領域については粘着層22を省略することで、中指の押圧に応じて伸縮自在に構成することができる。また、拭取層21もこれに応じて省略する代わりに、弾性材の表面に吸水性の物質や紙を貼り付けるようにしてもよい。
【0052】
図25では、前端24から後端25にかけて複数の領域に区切った例を示している。この図25の例では、最内周側に形成されている内周領域97と、最外周側に形成されている外周領域95と、この内周領域97と外周領域95との間に形成されている中間領域96とを有している。この外周領域95、中間領域96、内周領域97は、互いに同一物性とされていてもよいし、上述したように比重、弾性率、厚みを互いに異ならせるようにしてもよい。
【0053】
なお、本発明は更に上述した各形態の何れか1以上を互いに組み合わせたもので構成されていてもよい。
【0054】
また、上述した実施の形態は、何れも平面視で両側部2bが中間部2aよりも一方向に向けて偏移されている場合を例にとり説明をしたが、かかる形態に限定されるものではない。図26は、平面視で矩形状とされており、特に両側部2bが中間部2aよりも一方向に偏移されているものではない。かかる場合においても図26に示すように中指を中間部2aに人差し指、薬指を両側部2bに接触させることができ、上述した作用効果を奏することが可能となる。また平面視で矩形状以外に、円形、楕円形、その他らランダムな形状等、両側部2bが中間部2aよりも一方向に偏移されていないいかなる形状に具現化されていてもてよい。
【0055】
またこの図26の平面形態と、図10〜25に示す何れか1以上の形態を互いに組み合わせたもので構成されていてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
1 シート
2 犬用肛門拭取体
3 捕集袋
4 犬
21、80、81 拭取層
22 粘着層
24 前端
25 後端
31 高摩擦領域
32 低摩擦領域
41 肛門
51 小孔
53 リブ
56 溝部
57 隆起部
59 エンボス
60 頂部
65 突起
76 薬指案内部
77 中指案内部
78 指案内部
83 冷却材
86 保護シート
87 洗浄液
95 外周領域
96 中間領域
97 内周領域
101 低弾性領域
【要約】
【課題】犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物の拭き取りの利便性を向上させると共に、衛生面や資源の節約面にも優れた犬用肛門拭取体を提供する。
【解決手段】犬の肛門又はその周囲に付着した排泄物を拭き取るための犬用肛門拭取体において、排泄物を拭き取るための拭取層21が表面に形成されるとともに、犬の排泄物を捕集するための捕集袋4の表側に貼着される粘着層22がその裏面に形成され、必要に応じて平面視で両側部がその中間に形成される中間部よりも一の方向に向けて偏移された形状とされていることを特徴とする。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
図23
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図26