特許第5928893号(P5928893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5928893経路探索装置、経路案内装置、経路探索プログラム及び経路案内プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928893
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】経路探索装置、経路案内装置、経路探索プログラム及び経路案内プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20160519BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20160519BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/137
   G09B29/10 A
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-175647(P2012-175647)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-35234(P2014-35234A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 大介
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−113388(JP,A)
【文献】 特開平08−030193(JP,A)
【文献】 特開平11−295096(JP,A)
【文献】 特開2003−344077(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0128768(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
G09B 23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの走行ルートを探索する経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路探索装置であって、
前記経路案内装置から出発地と目的地を取得する取得手段と、
前記取得した出発地から目的地までの走行ルートを探索する経路探索手段と、
前記探索した走行ルートから退出可能な退出可能道路を特定する道路特定手段と、
前記走行ルート上で、前記特定した退出可能道路よりも前記目的地側に復帰点を設定する復帰点設定手段と、
前記特定した退出可能道路の前記走行ルートとの交差点から、前記設定した復帰点までの復帰ルートを探索する復帰経路探索手段と、
前記経路案内装置から、復帰ルートの要求を受け付ける要求受付手段と、
前記経路案内装置に、前記探索した走行ルートを送信するとともに、前記復帰ルートの要求を受け付けた場合に、前記探索した所定数の復帰ルートを送信する経路送信手段と、を具備し、
前記経路送信手段は、前記経路案内装置が復帰ルートの要求をしてから、復帰ルートの受信を完了するまでに車両が走行すると想定される距離Lよりも大きい距離Lsを基準にして決められた前記所定数の復帰ルートを送信する、
ことを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記経路送信手段は、前記経路案内装置に送信済みの復帰ルートに対応する前記退出可能道路のうち最も目的地側の退出可能道路から、前記距離Lsまでの間に存在する退出可能道路に対して探索された復帰ルートを送信する、
ことを特徴とする請求項に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記復帰点設定手段は、前記特定した退出可能道路よりも前記目的地側に存在し、前記走行ルートに進入可能な道路と前記走行ルートとの交差点を復帰点として設定する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記道路特定手段は、前記経路送信手段で送信済みの復帰ルートに対応する前記退出可能道路のうち最も目的地側の退出可能道路の先に存在する、前記所定数本目の退出可能道路を特定し、
前記復帰点設定手段は、前記道路特定手段で特定した前記所定数の退出可能道路のうち最も目的地側の退出可能道路から、更に所定数本目の退出可能道路と、前記走行ルートとの交差点を前記復帰点に設定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の経路探索装置。
【請求項5】
目的地までの走行ルートを探索する請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載された経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路案内装置であって、
前記経路探索装置に、出発地と目的地とを送信する送信手段と、
前記経路探索装置に、復帰ルートの要求をする復帰ルート要求手段と、
前記経路探索装置から、前記走行ルートと前記復帰ルートを受信する経路受信手段と、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記検出した現在位置に対応して、前記受信した走行ルートを案内する案内手段とを備え、
前記案内手段は、前記現在位置が前記走行ルートから外れた場合に、前記復帰ルートに切り換えて案内をする、
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項6】
前記復帰ルート要求手段は、前記受信済みの復帰ルートで未通過の復帰ルートの数が前記所定数未満となった場合に、復帰ルートの要求をする、
ことを特徴とする請求項に記載の経路案内装置。
【請求項7】
目的地までの走行ルートを探索する経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路探索装置用の経路探索プログラムであって、
前記経路案内装置から出発地と目的地を取得する取得機能と、
前記取得した出発地から目的地までの走行ルートを探索する経路探索機能と、
前記探索した走行ルートから退出可能な退出可能道路を特定する道路特定機能と、
前記走行ルート上で、前記特定した退出可能道路よりも前記目的地側に復帰点を設定する復帰点設定機能と、
前記特定した退出可能道路の前記走行ルートとの交差点から、前記設定した復帰点までの復帰ルートを探索する復帰経路探索機能と、
前記経路案内装置から、復帰ルートの要求を受け付ける要求受付機能と、
前記経路案内装置に、前記探索した走行ルートを送信するとともに、前記復帰ルートの要求を受け付けた場合に、前記探索した所定数の復帰ルートを送信する経路送信機能と、
をコンピュータに実現させ
前記経路送信機能は、前記経路案内装置が復帰ルートの要求をしてから、復帰ルートの受信を完了するまでに車両が走行すると想定される距離Lよりも大きい距離Lsを基準にして決められた前記所定数の復帰ルートを送信する、
ことを特徴とする経路探索プログラム。
【請求項8】
目的地までの走行ルートを探索する請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載された経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路案内装置用の経路案内プログラムであって、
前記経路探索装置に、出発地と目的地とを送信する送信機能と、
前記経路探索装置に、復帰ルートの要求をする復帰ルート要求機能と、
前記経路探索装置から、前記走行ルートと前記復帰ルートを受信する経路受信機能と、
現在位置を検出する現在位置検出機能と、
前記検出した現在位置に対応して、前記受信した走行ルートを案内する案内機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記案内機能は、前記現在位置が前記走行ルートから外れた場合に、前記復帰ルートに切り換えて案内をする、
ことを特徴とする経路案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置、経路案内装置、経路探索プログラム及び経路案内プログラムに係り、例えば、経路探索装置が経路案内装置から出発地と目的地を取得して目的地までの走行経路の探索を行い、経路案内装置が経路探索装置から送信した目的地までの走行経路を受信して案内を行うナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両や装置の現在位置や目的地までの経路を案内するナビゲーション装置が広く普及している。このナビゲーション装置では、地図データを保存しておき、走行経路の探索や探索した走行経路の案内の全てを行うようになっている。
一方、出発地から目的地までのルート探索をセンターサーバ側で行い、探索された走行経路を車載ナビゲーション装置に送信し、車載ナビゲーション装置では受信した走行経路の案内を行うことで、経路探索と経路案内とを別装置で行う技術が提案されている。
このように経路探索をセンターサーバで行うことにより、最新の情報による高速で質の高い経路探索が可能になるが、経路案内を行う車両が走行経路を外れた場合、ナビゲーション装置はセンターサーバに対してリルートを要求し、センターサーバは再度目的地までの走行経路を探索するか、又は、送付済みの走行経路上に戻るルートを探索してナビゲーション装置に送信する必要がある。
そして、センターサーバにおいて要求を受信してからリルートを行うと、ナビゲーション装置とセンターサーバ間における認証や通信などで時間を要してしまい新しい案内ルートの提供が遅れてしまうという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、センタで経路探索を行った際に、探索した走行経路上に存在する各分岐点から目的地までの代替経路を予め探索しておき、探索した走行経路と代替経路をナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置では走行経路から外れた場合には代替経路の案内を行う技術について記載されている。
この特許文献1の方法によれば、走行経路から外れたとしても即座に新しい案内経路(代替経路)による案内を行うことが可能である。
【0004】
しかし、出発地から目的地までが離れれば離れる程に代替経路が多くなるという課題がある。
このためナビゲーション装置では、代替経路の案内を行うことは可能だが、保存すべきデータ量が多くなるという問題がある。
一方、センターサーバでは、代替経路を含めた経路探索に時間を要してしまうという問題がある。
さらに、ナビゲーション装置、センターサーバ双方の課題として、データ量が多くなり、送受信に時間を要するという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−002572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、目的地までの走行経路と復帰ルートとを効率的に検索し提供することを第1の目的とする。
また、目的地までの走行経路と復帰ルートとを効率的に取得して案内を行うことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に記載の発明では、目的地までの走行ルートを探索する経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路探索装置であって、前記経路案内装置から出発地と目的地を取得する取得手段と、前記取得した出発地から目的地までの走行ルートを探索する経路探索手段と、前記探索した走行ルートから退出可能な退出可能道路を特定する道路特定手段と、前記走行ルート上で、前記特定した退出可能道路よりも前記目的地側に復帰点を設定する復帰点設定手段と、前記特定した退出可能道路の前記走行ルートとの交差点から、前記設定した復帰点までの復帰ルートを探索する復帰経路探索手段と、前記経路案内装置から、復帰ルートの要求を受け付ける要求受付手段と、前記経路案内装置に、前記探索した走行ルートを送信するとともに、前記復帰ルートの要求を受け付けた場合に、前記探索した所定数の復帰ルートを送信する経路送信手段と、を具備し、前記経路送信手段は、前記経路案内装置が復帰ルートの要求をしてから、復帰ルートの受信を完了するまでに車両が走行すると想定される距離Lよりも大きい距離Lsを基準にして決められた前記所定数の復帰ルートを送信する、ことを特徴とする経路探索装置を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記経路送信手段は、前記経路案内装置に送信済みの復帰ルートに対応する前記退出可能道路のうち最も目的地側の退出可能道路から、前記距離Lsまでの間に存在する退出可能道路に対して探索された復帰ルートを送信する、ことを特徴とする請求項に記載の経路探索装置を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記復帰点設定手段は、前記特定した退出可能道路よりも前記目的地側に存在し、前記走行ルートに進入可能な道路と前記走行ルートとの交差点を復帰点として設定する、ことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の経路探索装置を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記道路特定手段は、前記経路送信手段で送信済みの復帰ルートに対応する前記退出可能道路のうち最も目的地側の退出可能道路の先に存在する、前記所定数本目の退出可能道路を特定し、前記復帰点設定手段は、前記道路特定手段で特定した前記所定数の退出可能道路のうち最も目的地側の退出可能道路から、更に所定数本目の退出可能道路と、前記走行ルートとの交差点を前記復帰点に設定する、ことを特徴とする請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の経路探索装置を提供する。
)請求項に記載の発明では、目的地までの走行ルートを探索する請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載された経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路案内装置であって、前記経路探索装置に、出発地と目的地とを送信する送信手段と、前記経路探索装置に、復帰ルートの要求をする復帰ルート要求手段と、前記経路探索装置から、前記走行ルートと前記復帰ルートを受信する経路受信手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記検出した現在位置に対応して、前記受信した走行ルートを案内する案内手段とを備え、前記案内手段は、前記現在位置が前記走行ルートから外れた場合に、前記復帰ルートに切り換えて案内をする、ことを特徴とする経路案内装置を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記復帰ルート要求手段は、前記受信済みの復帰ルートで未通過の復帰ルートの数が前記所定数未満となった場合に、復帰ルートの要求をする、ことを特徴とする請求項に記載の経路案内装置を提供する。
)請求項に記載の発明では、目的地までの走行ルートを探索する経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路探索装置用の経路探索プログラムであって、前記経路案内装置から出発地と目的地を取得する取得機能と、前記取得した出発地から目的地までの走行ルートを探索する経路探索機能と、前記探索した走行ルートから退出可能な退出可能道路を特定する道路特定機能と、前記走行ルート上で、前記特定した退出可能道路よりも前記目的地側に復帰点を設定する復帰点設定機能と、前記特定した退出可能道路の前記走行ルートとの交差点から、前記設定した復帰点までの復帰ルートを探索する復帰経路探索機能と、前記経路案内装置から、復帰ルートの要求を受け付ける要求受付機能と、前記経路案内装置に、前記探索した走行ルートを送信するとともに、前記復帰ルートの要求を受け付けた場合に、前記探索した所定数の復帰ルートを送信する経路送信機能と、をコンピュータに実現させ、前記経路送信機能は、前記経路案内装置が復帰ルートの要求をしてから、復帰ルートの受信を完了するまでに車両が走行すると想定される距離Lよりも大きい距離Lsを基準にして決められた前記所定数の復帰ルートを送信する、ことを特徴とする経路探索プログラムを提供する。
)請求項に記載の発明では、目的地までの走行ルートを探索する請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載された経路探索装置と、前記経路探索装置で探索された走行ルートを案内する経路案内装置で構成されるナビゲーションシステムにおける経路案内装置用の経路案内プログラムであって、前記経路探索装置に、出発地と目的地とを送信する送信機能と、前記経路探索装置に、復帰ルートの要求をする復帰ルート要求機能と、前記経路探索装置から、前記走行ルートと前記復帰ルートを受信する経路受信機能と、現在位置を検出する現在位置検出機能と、前記検出した現在位置に対応して、前記受信した走行ルートを案内する案内機能と、をコンピュータに実現させ、前記案内機能は、前記現在位置が前記走行ルートから外れた場合に、前記復帰ルートに切り換えて案内をする、ことを特徴とする経路案内プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1〜請求項、請求項記載の発明によれば、目的地までの走行経路と復帰ルートとを効率的に検索し経路案内装置に提供することができる。
請求項、請求項、請求項記載の発明によれば、目的地までの走行経路と復帰ルートとを効率的に取得して案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】センターサーバで探索した走行ルートMと、リルート候補道路と、復帰ルートについて表した説明図である。
図2】走行経路の案内を行うナビゲーション装置の構成図である。
図3】走行ルートMと復帰ルートの探索を行うセンターサーバの構成図である。
図4】一般道路における復帰ルートの要求タイミングと、復帰ルート探索の関係を表したものである。
図5】高速道路における復帰ルートの要求タイミングと、復帰ルート探索の関係を表したものである。
図6】経路探索処理と経路案内処理の内容について表したフローチャートの一部である。
図7】経路探索処理と経路案内処理の内容について表したフローチャートの他の部分である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のセンターサーバ及びナビゲーション装置における好適な実施の形態について、図1から図7を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
図1は、センターサーバで探索した走行経路(走行ルートM)と、車両が走行ルートMから外れる可能性があるリルート候補道路と、復帰ルートについて表したものである。
センターサーバでは、図1に示すように、ナビゲーション装置から受信した出発地から目的地までの走行経路(走行ルートM)を探索する。この探索の際に、車両が走行ルートMから外れる可能性がある道路、すなわち、リルートが必要になる可能性がある道路(リルート候補道路A1〜J1)を検索し、走行ルートM上に任意の復帰ポイントR1(復帰点として機能)を設定する。
そして、各リルート候補道路A1〜J1から復帰ポイントR1までの復帰ルートを探索(復帰ルート探索)し、走行ルートMと復帰ルートをナビゲーション装置に送信する。
この復帰ルート探索では、走行ルートM上の全リルート候補道路に対して一度に行うのではなく、車両の現在位置(最初は出発地)から、所定本数α(例えば、10本)のリルート候補道路A1〜J1に対して行う。
【0011】
ナビゲーション装置では、センターサーバから受信した走行ルートMと復帰ルートを記憶しておき、画面表示した地図情報上に走行ルートMを表示すると共に、車両の現在位置Nを表示することで案内をし、更に、装置によっては音声による走行ルートMの案内を行う。
そして、車両が走行ルートMから外れてリルート候補道路、例えば、図1に示すようにC1に進入した場合には、進入したリルート候補道路C1に対応する復帰ルートc1(点線で表示)と、その復帰ルートc1の復帰ポイントR1から先の走行ルートMとを結合したルートに切り換えて案内を継続する。
【0012】
車両が走行ルートM通りに走行し、進行方向で一番近い復帰ポイント(図1の場合、R1)までのリルート候補道路(復帰ルート)の数が所定数α未満になった場合、ナビゲーション装置はセンターサーバに次の復帰ルート探索を要求する。
センターサーバでは、復帰ルート探索の要求を受信すると、送信済みの復帰ルートa1〜j1以降の、α本のリルート候補道路A2〜J2(図示せず)に対して新たな復帰ポイントR2(図示せず)までの復帰ルート探索を行い、探索した復帰ルート(a2〜j2)をナビゲーション装置に送信する。
【0013】
センターサーバが復帰ルート探索を行うリルート候補道路の数αは、ナビゲーション装置が復帰ルート探索要求をしてから復帰ルートの受信を完了するまでの時間(タイムラグ)Tの間に、受信済みの全復帰ルートを通過してしまわない本数αが決められている。
これによりナビゲーション装置は、自車位置の先に存在する直近のリルート候補道路A1〜J1に対する復帰ルートが常に記憶している状態となり、復帰ルートの案内を直ちに開始することができる。
【0014】
(2)実施形態の詳細
本実施形態では、経路探索装置として機能するセンターサーバ100と、経路案内装置として機能するナビゲーション装置によりナビゲーションシステムが構成される。
そして、出発地から目的地までの走行経路(走行ルートM)の探索をセンターサーバ100が行い、出発地、目的地の設定と、センターサーバ100で探索された走行ルートMの案内をナビゲーション装置1が行う。
図2は、本実施形態において、走行経路の案内を行うナビゲーション装置1の構成図である。
ナビゲーション装置1は、図2に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
現在位置検出装置10は、方位センサ12、距離センサ13、GPS受信装置14を備え、それぞれ以下のように構成されている。
方位センサ12は、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出する手段であり、本実施形態では、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを使用している。なお、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、方位センサ12として、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方位を検出する手段であってもよい。
【0015】
距離センサ13は、車両の移動距離を計測できる手段であり、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものを使用する。
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
【0016】
情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42やスピーカ43等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0017】
この情報処理制御装置20は、以下のように構成されている。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置1全体の総括的な演算及び制御を行う。
ROM22には、ナビゲーション機能に関する各種プログラムが格納されている。このナビゲーション機能としては、例えば、現在地を取得したり、出発地や目的地の入力を受け付けてセンターサーバ100に経路探索を要求したり、センターサーバ100から受信した目的地までの走行ルートM(走行経路)や、走行ルートMから外れた場合の復帰ルートを画面表示や音声により案内したりする等がある。
ROM22には、またナビゲーション装置1を特定する装置IDが記憶されている。この装置IDは、センターサーバと通信により経路探索の要求や、復帰ルート探索の要求をする際に他のデータと共に、通信インターフェイス25を介して送信される。
なお、これらのナビゲーション機能に関するプログラムや装置IDについては、ROM22ではなく、所定のサーバからダウンロードすることで一時的にRAM24に格納し、また、情報記憶装置50のプログラム格納領域に保存するようにしてもよい。
CPU21は、ROM22等に格納されている各種プログラムを実行することで、ナビゲーション機能が実現される。
【0018】
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
RAM24は、入力装置41により入力された目的地の情報等のユーザが入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
例えば、入力装置41からユーザにより入力され、センターサーバ100に送信するための出発地と目的地、車両現在位置を出発地とする場合に現在位置検出装置10で検出した現在位置、センターサーバ100から受信した出発地から目的地までの走行ルートM、復帰ルートan〜jn、リルート候補道路An〜Jn、その他の情報が一時記憶される。
また、情報記憶装置50に地図データファイル51を備えていない場合にセンターサーバ100から受信する地図データがRAM24に記憶される場合もある。更に、地図データファイル51を備えるが、より詳細な地図データや更新された地図データをセンターサーバ100から受信する場合の地図データがRAM24に記憶される場合もある。
【0019】
通信インターフェイス25は、伝送路45を介して各種情報を入出力するための手段である。具体的には、伝送路45を介して、GPS受信装置14、入力装置41、情報記憶装置50が接続される。
この通信インターフェイス25は、さらに、インターネット等の各種ネットワークや各種通信手段を介して外部装置との通信を行う。本実施形態では、通信インターフェイス25により、センターサーバ100との通信が行われるようになっている。
【0020】
時計28は、例えば、水晶振動子などを用いて構成されており、時刻を刻んだり、発振によってナビゲーション装置1の各部の動作タイミングを提供したりする。
その他、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための画像処理専用の画像プロセッサ、画像プロセッサで処理された画像情報を格納する画像メモリ、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理しスピーカ43に出力する音声処理専用の音声プロセッサを配設するようにしてもよい。
【0021】
入出力装置40は、利用者により目的地、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、音声を出力するスピーカ43より構成される。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。入力装置41のユーザ操作により出発地や目的地が入力されたりする。
ディスプレイ42には、現在位置検出装置10で検出された現在位置周辺の地図が表示されると共に、当該地図上にセンターサーバ100から受信した走行ルートMや現在位置マークNが表示される。
【0022】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、その他のデータファイル52(例えば、走行経路を音声により案内する場合の音声データ等)を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
【0023】
地図データファイル51には、ナビゲーションにおける地図表示、経路探索、経路案内に必要な各種データとして、地図データ、道路データ、目的地データ、案内地点データ、詳細目的地データ、その他のデータが記憶されている。
地図データとしては、全国道路地図、各地域の道路地図または住宅地図等が記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形及び、道路名称等が表示される市街図である。細街路とは、例えば、国道、県道以下の道幅が所定値以下の比較的狭い道路である。
地図データは、車両現在位置やユーザに指定された地点を含む、所定縮尺による一定範囲の地図がディスプレイ42に表示される。この地図上には、車両の現在位置や指定された地点が表示される。
道路データは、各道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータで、ノード情報とリンク情報で構成される。この道路データは、経路探索やマップマッチングに使用されると共に、探索した走行経路を地図データ上に重ねて表示する場合にも使用される。
【0024】
なお、本実施形態のナビゲーション装置1では、目的地までの走行経路についてはセンターサーバ100から走行ルートMを受信するので、経路探索に必要なデータを情報記憶装置50の保存対象外とすることも可能である。
この場合でも、センターサーバ100に走行経路の探索を要求しないで、現在位置周辺の地図と現在位置マークNを画面表示したりする必要から、地図データやマップマッチング用の道路データについては保存される。
ただし、現在地をセンターサーバ100に送信し周辺の地図データを受信して画面表示する場合には、地図データや道路データも情報記憶装置50の保存対象外としてもよい。
【0025】
図3は、走行ルートMと復帰ルートの探索を行うセンターサーバ100の構成を表したものである。
センターサーバ100は、図3に示されるように、CPU101、ROM102、RAM103、通信インターフェイス104、大容量の情報記憶装置105、その他の装置を備えたコンピュータシステムにより構成されている。
CPU101は、センターサーバ100全体の総括的な演算及び制御を行う。センターサーバ100のCPU101は、ナビゲーション装置1のCPU21に比べて、複数のナビゲーション装置1を対象にした経路探索や復帰ルート探索を可能にするため、より高速処理が可能なCPUが使用される。また、複数のナビゲーション装置1からの要求に対応するため並列処理が行われる。
【0026】
ROM102には、目的地までの走行ルートMや復帰ルートを探索してナビゲーション装置1に提供するナビゲーションプログラム等のナビゲーション機能に関する各種プログラムが格納されている。なお、これらのナビゲーション機能に関するプログラムについては、ROM102ではなく、情報記憶装置105のプログラム格納領域に保存するようにしてもよい。
CPU101は、ナビゲーションプログラム等の各種プログラムに従い処理を実行する。
【0027】
RAM103は、図示しない入力装置から入力された情報を一時記憶すると共に、ナビゲーション装置1から送信された出発地と目的地、目的地まで経路探索した走行ルートM、走行ルートM上のリルート候補道路、リルート候補道路に対する復帰ポイントR、探索して送信済みの復帰ルートを、各ナビゲーション装置の装置ID毎に保存する。
【0028】
通信インターフェイス104は、外部装置との間で各種情報の送受信を行うための通信手段として機能する。
例えば、通信インターフェイス104を介して、ナビゲーション装置1との間で、装置ID、出発地、目的地を受信して、探索した目的地までの走行ルートMや復帰ルートを送信したり、復帰ルート探索の要求を受信して新たな復帰ルートを送信したりする。
また、通信インターフェイス104を介して、交通情報センタ等の各種外部装置と接続することで各地の渋滞情報、事故情報、工事情報、気象情報等を取得したり、また、後述する地図情報や道路情報の最新情報を取得する。
【0029】
情報記憶装置105は、地図データファイル、その他のデータファイル(例えば、渋滞情報)を格納している。
この情報記憶装置105は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
【0030】
地図データファイルには、ナビゲーションにおける地図表示、経路探索、経路案内に必要な各種データとして、地図データ、道路データ、目的地データ、案内地点データ、詳細目的地データ、その他のデータが記憶されている。
地図データとしては、全国道路地図、各地域の道路地図または住宅地図等が記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。
道路データは、各道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータで、ノード情報とリンク情報で構成される。この道路データは、走行ルートMの探索や、走行ルートM上のリルート候補道路や復帰ポイントの決定、各リルート候補道路から復帰ポイントまでの復帰ルート探索に使用される。
【0031】
これら、地図データファイルとして保存される各種データは、常に最新のデータに更新されると共に、ナビゲーション装置1が保存している地図データファイル51よりも詳細な情報が保存されるようになっている。
また、上述したように、地図データファイル51を備えていない、又は簡易データだけ備えているナビゲーション装置1に対して、センターサーバ100は、探索した走行ルートMや復帰ルートに加えて、走行ルートM周辺の地図データも送信する。
【0032】
このように構成されたセンターサーバ100における、走行ルートMに対して探索する復帰ルートの数や、探索のタイミングについて一般道の場合と高速道路の場合に分けて説明する。
(3)一般道の場合
(a)対象となるリルート候補道路
一般道の場合、探索した走行ルートM沿いに、退出可能な道路が対象となる。
但し、交差点内道路、計画道路などのリルート禁止道路は対象外とする
交差点内道路は、実際の道路ではなく、経路探索用の道路データとして交差点内に設定した道路である。
計画道路は、計画中の道路で未だ存在しない道路である。
なお、走行ルートMから進入禁止の道路は、退出可能な道路ではないので対象外である。
【0033】
(b)事前復帰ルート探索道路数
1回の復帰ルート探索で対象とするリルート候補道路の数αは、次のようにして決められている。
すなわち、100m間隔で十字路があり、ナビゲーション装置1が復帰ルート探索を要求してから復帰ルートの受信を完了するまでの時間Tに30秒かかり、車両が車速50km/hで走行するものと仮定する。
以上の仮定によれば、復帰ルート探索を行う間に車両は距離L=417m移動することになるので、この距離Lよりも大きな距離Ls以内に存在する交差点を対象とする。本実施形態では、L=417mなので、Ls以内の交差点として、最低でも417/100=4.17以上の交差点、すなわち、5つの交差点を対象とする。
そして、各交差点は十字路を想定して2本ずつのリルート候補道路があると仮定し、α=5×2=10本となる。
【0034】
但し、リルート候補道路単位でα=10としたが、T字路の場合もあるので、交差点数β=5単位でリルート候補道路を決定するようにしてもよい。
また、10本は1例であり、検索時間の遅れや一度に送信するデータ量の増加を考慮した上で、より多くのリルート候補道路数α(例えば、α=14、20等)、又は、交差点数β(例えば、β=7、10)を採用するようにしてもよい。
【0035】
(c)復帰ポイントRの設定
各リルート候補道路に所定距離だけ進んだ地点を出発地として復帰ルート探索をする場合の目的地となる点が復帰ポイントRで、走行ルートM上に設定される。
但し、走行ルートMに進入可能な道路と走行ルートMとの交差点が対象となる。
なお、復帰ポイントRは、必ずしも交差点でなくてもよく、当該交差点よりも目的地側のノードを復帰ポイントRとすることも可能である。
【0036】
今回の復帰ルート探索における復帰ポイントRとしては、次回の復帰ルート探索の対象となるα個のリルート候補道路のうち、目的地に一番近いリルート候補道路と走行ルートMとの交差点が設定される。
すなわち、交差点数βとすると、既に復帰ルートが受信済みである交差点数が(β−1)、今回対象となる交差点数がβ、次回対象となる交差点数がβとなるので、β=5とすると車両現在位置から目的地側14個目の交差点が、今回の復帰ルート探索における復帰ポイントに設定される。
なお、走行ルートM上において、車両現在位置から2β−1個先の交差点よりも手前に高速道路の入口が有る場合には、高速道路入口を復帰ポイントに設定する。
また、車両が目的地に近づいて、車両現在位置から目的地までの間に2β−1個の交差点が存在しない場合には、目的地を復帰ポイントに設定する。
【0037】
(d)復帰ルート探索のタイミング
ナビゲーション装置1がセンターサーバ100に復帰ルート探索の要求をするタイミングは次の通りでる。
すなわち、ナビゲーション装置1は、車両現在位置から目的地側の(未通過の)リルート候補道路、又は復帰ルートの数がα未満となった時点で、復帰ルート探索の要求をする。実際には、目的地から手前側にα本目の復帰ルートに対応するリルート候補道路の交差点通過と同時に、復帰ルート探索の要求がなされる。
【0038】
図4は、一般道路における復帰ルートの要求タイミングと、復帰ルート探索の関係を表したものである。
図4では、探索した走行ルートMを直線で表し、リルート候補道路を走行ルートMからの矢印で表している。
ナビゲーション装置1は、図4(a)に示されるように、車両の現在位置Nの先に、リルート候補道路A1〜J1に対する復帰ルートをセンターサーバ100から受信済みであるものとする。
この場合の各リルート候補道路A1〜J1に対する復帰ポイントR1は、次の通りである。すなわち、最も目的地側のリルート候補道路I1(J1)の先に存在するα個(=10個)のリルート候補道路のうち、最も目的地側のリルート候補道路と走行ルートMとの交差点が復帰ポイントR1に設定されている。
そして、センターサーバ100では、各リルート候補道路A1〜J1から復帰ポイントR1までの復帰ルートa1〜j1を探索し、ナビゲーション装置1に送信済みとなっている。
【0039】
そして車両が走行ルートMを走行し、図4(b)に示されるように、現在位置Nがリルート候補道路A1(B1)を通過すると、未通過のリルート候補道路(残りの復帰ルート)の数がα(=10)未満となるので、ナビゲーション装置1からセンターサーバ100に復帰ルート探索が要求される。
センターサーバ100では、復帰ルート探索要求を受信すると、既に復帰ルート探索済みのリルート候補道路A1〜J1以降に存在する、α個のリルート候補道路を今回のリルート候補道路A2〜J2とする。
また、今回の復帰ルート探索における復帰ポイントR2として、次回の復帰ルート探索の対象となり、目的地に一番近いリルート候補道路の交差点が設定される。
そして、センターサーバ100は、今回の復帰ルート探索において、各リルート候補道路A2〜J2に対応する復帰ポイントR2までの各復帰ルートa2〜j2を探索して、ナビゲーション装置1に送信する。
【0040】
以下同様にして、現在位置Nがリルート候補道路A2(B2)を通過すると、ナビゲーション装置1からセンターサーバ100に復帰ルート探索の要求がだされ、図4(c)に示されるように、リルート候補道路A3〜J3を対象として復帰ポイントR3までの復帰ルートa3〜j3が探索され、ナビゲーション装置1に送信される。
【0041】
(4)高速道路の場合
(a)対象となるリルート候補道路
高速道路の場合も一般道路と同様に、走行ルートM沿いから退出可能な道路が対象となり、リルート禁止道路は対象外となる。
但し、高速道路の場合、リルート禁止道路には交差点内道路が含まれず、サービスエリアやパーキングエリア内の道路が含まれる。
【0042】
(b)事前復帰ルート探索道路数
次のインターチェンジ(IC)、または、ジャンクション(JCT)の走行ルートM以外の道路で、原則としてα=1であるが、
ICやJCTが1km以内で連続する場合は、最初のIC、JCTから1km以内に存在するICやJCTの走行ルートM以外の道路も対象とする。
【0043】
(c)復帰ポイントRの設定
高速道路の場合には、全てのリルート候補道路に対して目的地が復帰ポイントRに設定される。これにより、復帰ルート探索では、各リルート候補道路から目的地までの全ルート探索が実行される。
【0044】
但し、走行ルートMの途中に高速道路区間が存在している場合で、高速道路の出口から目的地までの一般道路上にリルート候補道路が存在する場合には、高速道路出口以降のリルート候補道路と走行ルートMとの交差点を復帰ポイントRに設定するようにしてもよい。例えば、高速道路の出口から数えてα個目のリルート候補道路の交差点、又はβ個めの交差点を復帰ポイントにする。
【0045】
(d)復帰ルート探索のタイミング
車両の現在位置が、次のICやJCTの手前γkmとなった時点でナビゲーション装置1からセンターサーバ100に復帰ルート探索要求をだす。
例えば、一般道の場合と同様にナビゲーション装置1が復帰ルート探索を要求してから復帰ルートの受信を完了するまでの時間Tに30秒かかり、車両が車速100km/hで走行する場合を想定すると、時間T=30秒の間に車両は833m移動するので、γ=1kmとなる。
【0046】
図5は、高速道路における復帰ルートの要求タイミングと、復帰ルート探索の関係を表したものである。
図5においても探索した走行ルートMを直線で表し、リルート候補道路(ICやJCT)を走行ルートMからの矢印で表している。
ナビゲーション装置1は、図5に示されるように、車両の現在位置Nが、復帰ルートを受信していない次のIC等の手前1kmに到達すると、センターサーバ100に復帰ルート探索を要求する。
センターサーバ100は、最初のリルート候補道路を含め1km以内に存在するICやJCTを今回のリルート候補道路とし、復帰ポイントR=目的地までの経路探索を行い、ナビゲーション装置1に送信する。
【0047】
次に、以上のように構成されたセンターサーバ100とナビゲーション装置1における経路探索と経路案内処理について説明する。
図6、7は経路探索処理と経路案内処理の内容について表したフローチャートである。
ナビゲーション装置のCPU21は、出発地と目的地を取得する(ステップ10)。出発地と目的地は、ユーザが入力装置41から入力した出発地、目的地を取得する。但し、ユーザ入力が現在値を指定した場合、又は、出発地の入力がない場合、CPU21は、現在位置検出装置10で検出した車両の現在位置を出発地として取得する。
CPU21は、取得した出発地、目的地を、自装置の装置IDと共にセンターサーバ100に送信することで、目的地までの走行ルートMの探索要求と、最初の復帰ルート探索要求(復帰ルートの要求)をする(ステップ11)。
【0048】
センターサーバ100のCPU101は、ナビゲーション装置1から装置ID、出発地、目的地を受信すると、RAM103に装置IDを検索キーとする領域を確保し、当該領域に出発地と目的地を記憶する(ステップ50)。
以後、センターサーバ100では、装置IDに基づいてナビゲーション装置1を特定し、当該ナビゲーション装置1に対する復帰ルート探索を行う。
【0049】
次にCPU101は、出発地から目的地までの走行ルートMを探索する(ステップ51)。
そして、最初の復帰ルート探索要求に基づいて復帰ルート探索を行う。すなわち、CPU101は、探索した走行ルートM上に、出発地から最初の復帰ポイントR1を決定する(ステップ52)。本実施形態における最初の復帰ポイントR1は、全リルート候補道路のうち、出発地から数えて2α(=20)本めのリルート候補道路と走行ルートMとの交差点である。
【0050】
次に、CPU101は、復帰ルート探索の対象となるリルート候補道路A1〜J1を決定する(ステップ53)。このリルート候補道路A1〜J1は、出発地から数えてα(=10)本のリルート候補道路が対象となる。
そして、CPU101、各リルート候補道路A1〜J1から復帰ポイントR1までの各復帰ルートa1〜j1を探索し、当該探索要求を受信した装置IDに対してRAM103に確保されている領域に保存する(ステップ54)。
CPU101は、探索した走行ルートMと復帰ルートa1〜j1を、装置IDに対応するナビゲーション装置1(車載機)に配信する(ステップ55)。なお、CPU101は、復帰ルートa1〜j1に対応するリルート候補道路A1〜J1を併せてナビゲーション装置1に送信するようにしてもよい。
【0051】
一方、ナビゲーション装置1では、センターサーバ100から配信される走行ルートMと復帰ルートa1〜j1を受信すると、RAM24の所定領域に保存する(ステップ12)。
【0052】
なお、本実施形態のナビゲーション装置1は、地図データファイル51を備えているため、センターサーバ100からは地図データを受信することはないが、地図データファイル51を備えないナビゲーション装置1の場合には、走行ルートM及び復帰ルートa1〜j1周辺の地図データも受信する。
この場合、地図データファイル51を備えないナビゲーション装置1は、ステップ11において、装置ID等をセンターサーバ100に送信する際に、経路周辺の地図データを要求する。地図データの要求は、自装置の構成として地図データファイルを有しないことを示すデータを送信する。
そしてセンターサーバ100は、地図データ要求も併せて受信すると、RAM103の装置IDに対応する領域に地図データの送付が必要であることを示すフラグを立て、以降の復帰ルート探索要求が来る毎に探索した復帰ルートを送信する毎に、フラグが立っているか確認し、立っていれば周辺の地図データを送信する。この場合、復帰ルートa1〜j1と周辺地図データの送信と同様に、走行ルートM周辺の地図データについても分割して送信するようにしてもよい。
【0053】
また、地図データファイル51を備えるナビゲーション装置1の場合についても、自装置の地図データファイル51のバージョン情報を送信することで、センターサーバ100から最新の地図データとの差分を受信することで、地図データファイル51を更新するようにしてもよい。
【0054】
ナビゲーション装置1では、センターサーバ100から受信した走行ルートMと復帰ルートに従い、目的地到着まで走行経路の案内と、復帰ルート探索の要求を繰り返す(ステップ13−1〜13−2)。
すなわちナビゲーション装置1のCPU21は、現在位置検出装置10で検出した車両の現在位置周辺の地図をディスプレイ42に表示すると共に、受信した走行ルートMと現在位置マークNを表示する。
そして、CPU21は、走行ルートMを外れて車両がリルート候補道路に進入したか否かを監視する(ステップ14)。
リルート候補道路に進入していなければ(ステップ14;N)、CPU21は、ディスプレイ42の表示や音声により走行ルートMの案内を行う(ステップ15)。
【0055】
CPU21は、事前復帰ルート探索のタイミングになったか否かを判断する(ステップ16)。
すなわちCPU21は、図4、5で説明したように、一般道路であれば車両現在位置から目的地側の(未通過の)リルート候補道路、又は復帰ルートの数がα未満となったか否かを判断し、高速道路であれば次のICやJCTの手前γkmとなったか否かについて判断される。
【0056】
そして、事前復帰ルート探索のタイミングでなければ(ステップ16;N)、CPU21は、ステップ14にもどり目的地までループを繰り返す。
事前復帰ルート探索のタイミングになった場合(ステップ16;Y)、CPU21は、装置ID、現在位置、復帰ルート要求を送信することで、その旨(次の復帰ルート探索タイミングであること)をセンターサーバ100に通知する(ステップ17)。
【0057】
一方、案内中の車両が走行ルートMから外れてリルート候補道路(復帰ルート)に進入した場合(ステップ14;Y)、ナビゲーション装置1のCPU21は、案内対象を走行ルートMから進入した復帰ルートに切り換えてユーザに案内する(ステップ18)。
そして、CPU21は、装置ID、現在位置、復帰ルート要求を送信することで、その旨(ルート外れであること)をセンターサーバ100に通知する(ステップ17)。
なお、ステップ17において、次の復帰ルート探索タイミングであることの通知も、ルート外れであることの通知も同一のデータをセンターサーバ100に送信するが、現在位置が走行ルートM上にあるか否かにより両者が区別されている。
【0058】
センターサーバ100では、ナビゲーション装置1から復帰ルート要求等を受信すると、CPU101が、受信した現在位置を装置IDに対応するRAM103の領域に保存し(ステップ56)、当該装置IDに対する復帰ルート探索を行う。
すなわちCPU101は、受信したナビゲーション装置1の現在位置が、当該装置IDに対応する走行ルートM上にあるか、送信済みのリルート候補道路(復帰ルート)上にあるか否かを判断することで走行ルートM外れか否かを判断する(ステップ57)。
【0059】
走行ルートM外れでない場合、すなわち、現在位置が走行ルートM上にある場合(ステップ57;N)、CPU101は、RAM103に保存されている、ナビゲーション装置1に送信済みの復帰ルートと対応するリルート候補道路を当該装置IDで確認し、走行ルートM上で、新しい復帰ポイントRnと、リルート候補道路An〜Jnを決定する(ステップ58)。
一方、走行ルートM外れである場合、すなわち、現在位置が走行ルートM上になく送信済みの復帰ルート上にある場合(ステップ57;Y)、CPU101は、車両が位置している復帰ルートと、当該復帰ルートに対する復帰ポイントRnから先の走行ルートMとを結合したルートを新しいルートとし、この新しいルート上で、復帰ポイントRnと、リルート候補道路An〜Jnを決定する(ステップ59)。
【0060】
次にCPU101は、決定した各リルート候補道路An〜Jnから、復帰ポイントRnまでの復帰ルートan〜jnを探索し、RAM103の当該装置IDに対応する領域に保存する(ステップ60)。
そしてCPU101は、探索した新たな復帰ルートan〜jnを、装置IDに対応するナビゲーション装置1(車載機)に配信し(ステップ61)、リターンする。
【0061】
ナビゲーション装置1では、センターサーバ100から、新たな復帰ルート探索an〜jnを受信すると、CPU21は、RAM24に保存し(ステップ19)、目的地到着までステップ14にもどりループを繰り返す。
なお、ナビゲーション装置1は、ステップ17でセンターサーバ100に復帰ルート要求等を通知してから、復帰ルートを受信するまでの間においても、車両の現在位置に対応した走行ルートM、又は復帰ルートの案内を継続している。
【0062】
ナビゲーション装置1は、目的地に到着した場合に、走行経路(走行ルートM、復帰ルート)の案内を終了するが、目的地に到着したことを装置IDと共にセンターサーバ100に通知するようにしてもよい。
この場合センターサーバ100は、ナビゲーション装置1から目的地到着の通知を受領した時点で、当該装置IDに対してRAM103に保存していた走行ルートMやリルート候補道路等のデータを消去する。
但し、センターサーバ100は、目的地に最も近いリルート候補道路に対する復帰ルートをナビゲーション装置1に送信した時点で、当該IDに対する保存データを削除することで、ナビゲーション装置1との間で目的地到着の通知の送受信をしないようにすることも可能である。
【0063】
以上説明したように本実施形態のセンターサーバ100によれば、目的地までの走行経路(走行ルートM)を探索するとともに、復帰ルート探索要求を受ける毎に、走行ルートMから車両が外れた場合の復帰ルート探索を所定本数単位で行い、ナビゲーション装置1に送信する。
一方、ナビゲーション装置1では、センターサーバ100から受信した走行ルートMの案内を行い、車両が走行ルートMから外れたら、ただちに受信済みの復帰ルートに切り換えて案内を行う。そして、走行ルートM上を走行中に未だ通過していない受信済みの復帰ルートが所定数以下となった場合、及び、車両が走行ルートMから外れた場合に、センターサーバ100に復帰ルート探索要求をする。
【0064】
これにより、ナビゲーション装置1は、車両が走行ルートMから外れた場合でもタイムラグなく、直ちに復帰ルートに切り換えて案内を継続することができる。
そして、復帰ルート探索で探索する復帰ルート数(リルート候補道路数)αを、ナビゲーション装置1が次の復帰ルート探索を要求してから復帰ルートの受信を完了するまでの時間Tの間に車両が走行すると想定される距離Lよりも長い距離Ls分の数に設定している。このため、ナビゲーション装置1は常に前方に復帰ルートがある状態で走行ルートMを案内することができ、ルートを外れた際に復帰ルートが無いために案内が中断してしまうということがない。
また、復帰ルートを所定本数αずつに分割してナビゲーション装置1に送信しているため、ナビゲーション装置1とセンターサーバ100間でのデータの送受信量を少なくすることができる。
【0065】
以上、本発明のセンターサーバ100とナビゲーション装置1における1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、復帰ルート探索する復帰ルートの数をαに固定したが、目的地に一番近い送信済みの復帰ルートに対応するリルート候補道路からの距離Ls(上述の距離)を求め、この距離Ls内に存在するリルート候補道路を、今回の復帰ルート探索の対象としてもよい。
この場合の復帰ポイントとしては、目的地に一番近い送信済みの復帰ルートに対応するリルート候補道路から距離2Lsの次、又は手前に存在するリルート候補道路と走行ルートMとの交差点とする。
この変形例によれば、探索する復帰ルートの数は、走行する地域の道路状況によって変化し、交差点の少ない山間部等では少なくなり、交差点が多い都会では多くなる。
【0066】
説明した実施形態では、時間T内に車両が走行する想定距離Lとして、一般道の場合に車速を50km/hを想定して決定したが、車速については、ナビゲーション装置1から復帰ルート探索要求時の車速を受信し、走行ルートMの想定車速を修正するようにしてもよい。ナビゲーション装置1では、車速として、復帰ルート探索要求時の車速や、復帰ルート探索要求前のWkmの平均車速を送信する。
【0067】
また説明した実施形態において、センターサーバ100では、ナビゲーション装置1から復帰ルート探索要求がある毎に、次の復帰ルートを探索してナビゲーション装置に送信するようにした。これに対して、出発地と目的地を受信して走行ルートMを探索した際に、前記復帰ルートを探索してRAM103に保存しておき、ナビゲーション装置1から復帰ルート探索要求を受信した場合に、ナビゲーション装置1を搭載した車両が走行ルートMから外れていなければ、探索済みの復帰ルートを所定数だけナビゲーション装置1に送信するようにしてもよい。
なお、ナビゲーション装置1に最初に走行ルートMを送信する際には、上述した実施形態と同様に所定本数(実施形態ではα)分だけ復帰ルート探索をし、走行ルートMと復帰ルートをナビゲーション装置1に送信した後に、改めて残りの全復帰ルートの復帰ルート探索を行いRAM103に保存するようにしてもよい。
【0068】
また、説明した実施形態では、車両に搭載されるナビゲーション装置1を例に説明したが、ナビゲーション機能を搭載した携帯電話、PDA、スマートフォン、ノート型パソコン等の各種端末装置をナビゲーション装置1として適用される場合には、当該装置のID毎に走行ルートMと復帰ルートの探索、送信を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ナビゲーション装置
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
50 情報記憶装置
100 センターサーバ
101 CPU
103 RAM
104 通信インターフェイス
105 情報記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7