(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
真空オーブン乾燥を使用し前記第1の溶媒及び前記第2の沈殿剤液体溶媒のほぼ全てを前記中空ワイヤのルーメン空間から引き出すステップが、前記第1の溶媒と前記第2の沈降分離溶媒との間で形成された正の共沸混合物が、揮発性になり気体相へと移行するように、前記真空オーブン内の温度および圧力を制御するステップを備えている、
請求項6に記載の方法。
前記真空オーブン乾燥を使用するステップの前に、前記治療用物質、第1の溶媒および第2の沈殿剤液体溶媒で充填された中空ステントに水を添加するステップを更に含み、前記水が、前記充填された中空ステントを包囲する硬いシェルを作り出す、
請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施形態が、ここで図を参照して説明され、ここでは、同様な参照番号は、同一又は機能的に同様な要素を指す。用語「遠位」及び「近位」は、処置する臨床医に対する位置又は方向に関して以下の説明で用いられる。「遠位」又は「遠位に」とは、臨床医から遠い又は臨床医から離れた方向での位置である。「近位」及び「近位に」とは、臨床医に近い又は臨床に向かう方向での位置である。
【0010】
以下の詳細な説明は、事実上単に例示的なものであり、本発明又は本発明の用途及び使用を限定するよう意図されていない。本明細書に記載される薬剤溶出ステントは、冠動脈、頸動脈、腎臓動脈、又は有用であるとみなされる任意の他の体内通路などの血管の治療において使用される。特に、本明細書に記載される方法によって治療用物質で装填された薬剤溶出ステントは、患者の体内の様々な治療部位での展開に適用され、血管ステント(例えば、冠状動脈ステント及び大脳ステントなどの末梢血管ステント)、尿路ステント(例えば、尿道ステント及び尿管ステント)、胆管ステント、気管ステント、胃腸管ステント及び食道ステントを包含する。更には、前述の技術分野、背景技術、発明の概要又は以下の発明を実施するための形態において提示されたいずれの明示された又は黙示された理論にも拘束されるという意図はない。
【0011】
中空ワイヤ薬剤溶出ステント
本明細書の実施形態による薬剤で装填されるためのステント100の一実施形態が
図1ないし
図3に示されている。特に、ステント100は、中空ワイヤ102から形成され、以下中空ステント又は中空コアステントと呼ばれてもよい。中空ワイヤ102は、ルーメン又はルーメン空間を画定し、これは、所望のステントパターンに成形される前又は後に形成される。言い換えれば、本明細書で使用するとき、「中空ワイヤから形成されたステント」とは、所望のステントパターンに成形された直線状の中空ワイヤ、コアを有する中実ワイヤであり、それを通る不連続ルーメン又はルーメン空間を有するために、中実ワイヤが所望のステントパターンに成形された後に、そのコアが少なくとも部分的に取り除かれているもの、又は所望のステントパターンに形成された管状成分をもたらす任意の好適な製造方法から構成されたステントで、この管状成分が、それを通って連続的又は不連続的に延びるルーメン又はルーメン空間を有するものを含む。
図1に示されるように、中空ワイヤ102は、曲げられた部分又はクラウン108によって結合されたほぼ直線状部分106を含む一連のほぼ正弦波形に形成され、それを通る中央血流通路又はルーメンを画定する概ね管状のステント100を形成する。長手方向に隣接する正弦形の選択されたクラウン108は、例えば、
図1に示されるような溶接部110によって接合される。本明細書の実施形態による中空ステント内に薬剤を装填する方法は、
図1に示されるパターンを有する中空ステントに限定されない。ステントとしての使用に好適である任意のパターンに形成された中空ステントが、本明細書に開示された方法によって薬剤で装填される。例えば、限定されるものではないが、それぞれがその全体を参照することで本明細書に組み込まれている、Gianturcoへの米国特許第4,800,082号、Wiktorへの米国特許第4,886,062号、Wiktorへの米国特許第5,133,732号、Wiktorへの米国特許第5,782,903号、Boyleへの米国特許第6,136,023号、並びにPinchukへの米国特許第5,019,090号に開示されたパターンに形成された中空ステントは、本明細書で開示された方法によって薬剤で装填される。
【0012】
図2に示されるように、ステント100の中空ワイヤ102は、治療用物質又は薬剤112が中空ワイヤ102のルーメン又はルーメン空間103内に堆積されることを可能にする。ルーメン103は、中空ワイヤ102の第1の端部114から第2の端部114’に連続的に延びてもよく、若しくは直線状部分106内にだけありクラウン108にはないように不連続的であってもよく又は直線状部分106及びクラウン108の一部にあるように不連続的であってもよい。中空ワイヤ102は、円形の断面をほぼ有するように示されているが、中空ワイヤ102は、断面で楕円形状又は長方形状であってもよい。中空ワイヤ102は、0.0005〜0.02の範囲の内径又はルーメン径I
Dを伴い、0.0004〜0.005インチの範囲の壁厚さW
Tを有する。ステント100を形成する中空ワイヤ102は、壁組織に人工的半径方向支持を提供する金属材料から作られ、これらは、ステンレス鋼、ニッケル−チタン(ニチノール)、MP35Nなどのニッケル−コバルト合金、コバルト−クロム、タンタル、チタン、白金、金、銀、パラジウム、イリジウムなどが挙げられるが、これに限定されない。或いは、中空ワイヤ102は、当該技術分野で既知のように、皮下注射針の製造で典型的に使用されるタイプの非常に小さい直径の中空金属チューブであるハイポチューブから作られてもよい。或いは、中空ワイヤ102は、ポリマー材料などの非金属材料から形成される。このポリマー材料は、ルーメンへの開存性を回復するために及び/又は薬剤送達を提供するために使用された後にステント100が体内で吸収されるように、生体分解性又は生体吸収性である。
【0013】
中空ワイヤ102は、ルーメン103から治療用物質又は薬剤112が放出されることを可能にするためのその長さに沿って分散された薬剤送達用側面開口部又はポート104を更に含む。側面開口部104は、ステント100のほぼ直線状の部分106にのみ、ステント100のクラウン108にのみ、又はほぼ直線状の部分106とクラウン108の双方に配設される。側面開口部104は、中空ステント100からの薬剤112の溶出速度を制御するために所望通りに寸法決めされかつ成形されることが可能である。特に、側面開口部104は、スリットであってもよく又は限定されないが、円形、楕円形、長方形、又は任意の多角形断面が挙げられる任意の好適な断面を有する穴であってもよい。より大きな寸法の側面開口部104は、概してより速い溶出速度を可能にし、並びにより小さい寸法の開口部104は、概してより遅い溶出速度をもたらす。更に、中空ステント100の異なる部分でステント100から溶出される薬剤112の量及び/又は速度を変化させるために、側面開口部104の寸法及び/又は量は、中空ステント100に沿って変化される。側面開口部104は、例えば、限定されるものではないが、幅又は直径で5〜30μmであってもよい。側面開口部104は、中空ステント100の外側に面する又はルーメン外側表面118上にのみ提供されるか、
図2に示されるように、中空ステント100の内側に面する又はルーメン表面118上に、これら両表面上に提供されるか、若しくはワイヤ102の周囲に沿う任意の場所に提供される。
【0014】
本明細書の様々な実施形態では、広範囲の治療薬剤が、当業者によって容易に決定される、並びに最終的には、例えば、治療される病状、治療薬剤それ自体の性質、投与形態が導入される組織などに左右される薬学的有効量で、中空ワイヤ102のルーメン103内に収容される溶出可能な治療用物質又は薬剤112として使用される。更に、1つ以上の治療用物質又は薬剤が中空ワイヤ102に装填されることが、当業者によって理解されるであろう。狭窄患部の領域に供給される薬剤112は、この狭窄を形成するプラーク物質を溶解するタイプのものであり、或いは抗血小板形成剤、抗血栓剤、又は抗増殖剤である。このような薬剤としては、例えばTPA、ヘパリン、ウロキナーゼ、又はシロリムスが挙げられる。もちろん、ステント100は、以下に示す1つ以上の薬剤を含む任意の好適な医薬品を体内血管の壁及び内部に送達するために使用され、これらは、抗血栓剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗転移剤、細胞外マトリックス生成及び組織化に影響を及ぼす薬剤、抗腫瘍剤、抗有糸分裂剤、麻酔剤、抗凝固剤、血管細胞成長促進剤、血管細胞成長阻害剤、コレステロール低下剤、血管拡張剤、及び内因性血管作動性機構を妨害する薬剤である。
【0015】
本明細書の実施形態によると、中空ステント100は、体内への移植の前に、治療用物質又は薬剤112で装填又は充填される。
図1の線3−3に沿った
図3の断面図で示されるように、ワイヤ102の開放端部114、114’は、薬剤が通路103内に装填される前又は後のいずれかに、閉鎖又は密閉されてもよい。一旦、所望の位置で体内に配置されると、治療用物質が側面開口部104を介してルーメン103から溶出し得るように、中空ステント100は、体腔内での永久的又は一時的移植のために展開される。
【0016】
図4は、薬剤溶出中空ステントに関する溶出速度のチャートを示す。このチャートは、溶出された治療用物質のパーセンテージを時間の関数として示している。1及び2と記された線は、所望の臨床的に有効なデータを生じたステントの表面上のポリマー中に配置された治療用物質を伴う市販の薬剤溶出ステントを表わしている。3、4、5、及び6と記された線は、ステントの表面上にポリマーが存在しない、本明細書に記載された方法による治療用物質で充填されたルーメンを有するステントを用いたテストである。特に、3、4、5、及び6と記された線については、中空ステントのルーメンは、本明細書でより詳細に記載されているような共沸混合物充填プロセス、それに続く溶媒抽出のための真空乾燥及び組織ブラシを介してのステント洗浄を用いて充填された。3及び4と記された線は、1つの6μmの穴を各ストラット上に有する中空ステントを用いたテストであり、5及び6と記された線は、各ストラット上に3つの10μmの穴を有する中空ステントを用いたテストである。特に、線3及び線5で記されたテストで使用された中空ステントは、シロリムス及びテトラヒドロフランの溶液で充填され、続いてヘキサンを添加し、シロリムスを沈殿させて、次いで溶媒が中空ステントルーメンから抽出され、ステントの外側が洗浄された。線4及び線6で記されたテストで使用された中空ステントは、シロリムス、テトラヒドロフラン及び賦形剤の溶液で充填され、続いてヘキサンを添加し、シロリムスを沈殿させて、次いで溶媒及び非溶媒が中空ステントルーメンから抽出され、ステントの外側が洗浄された。溶出速度のチャートは、制御放出が、治療用物質で充填された中空ステント及び治療用物質に加えて賦形剤で充填された中空ステントを介して達成されること、並びに中空ステントが、ステントの表面上のポリマー中に配置された治療用物質を有する薬剤溶出ステントと同様な溶出曲線を達成し得ることを示している。薬剤−ポリマー被覆ステントと同様な溶出曲線を有する中空充填ステントは、ポリマーコーティングなしでより安全であると同時に、同様の臨床的有効性を有することが予想される。更に、溶出速度のチャートは、様々な溶出曲線が、治療用物質で充填された中空ステント又は治療用物質に加えて賦形剤で充填された中空ステントから可能となり得ることを示している。
【0017】
ステント充填プロセスの概要
本明細書の実施形態による中空ステント100のルーメン103内に薬剤を装填する一般的方法が、薬剤充填520、溶媒抽出538、及びステント洗浄546を含めて
図5に示されている。特に薬剤充填工程520では、一般的に治療用物質112は、中空ワイヤ102のルーメン103内に装填されるために、溶媒又は分散媒体/分散剤と混合される。更に、中空ワイヤ102のルーメン103内に装填されるために、溶媒又は分散媒体/分散剤に加えて溶出を補助するために賦形剤と混合される。これ以降、用語「薬剤組成物」が、治療用物質、溶媒又は分散媒体、及び任意の賦形剤/添加剤/それらに添加される調整剤を概ね指すものとして用いられる。中空ステント100のルーメン103が薬剤組成物で充填された後に、溶媒又は分散媒体をルーメン空間内から抽出するために溶媒/分散媒体抽出工程538が実施され、これによって、体内に溶出されるために、主として治療用物質112のみが、又は治療用物質112及び1つ以上の賦形剤が中空ステント100内に留まる。最後に、側面開口部104が存在する場所以外は、中空ステント100の外側表面がほぼ治療薬剤112を含まないように、ステント洗浄工程546が、中空ステント100に対して実施される。本明細書により用いられる装置及び方法に応じて、薬剤充填、溶媒/分散媒体抽出及び/又はステント洗浄の工程の1つ以上が、中空ワイヤ102がステント100に成形される前又は後に、中空ワイヤ102で実施されてもよい。例えば、以下に記載されるプロセスのいくつかは、治療用物質をルーメン空間内に装填するために中空ワイヤ102が直線状であることを必要とし、一方以下に記載される他のプロセスが、ワイヤ102が所望の正弦形、らせん形、又は他のステント形状に形成された後に、中空ワイヤ102を充填するよう使用することも可能である。
【0018】
薬剤充填工程
図5Aは、薬剤充填工程520のより詳細なフローチャートを示す。特に、本明細書の実施形態によると、薬剤組成物は、順方向充填法522又は逆方向充填法536のいずれかを介して中空ワイヤ102に装填される。順方向充填方法は、薬剤送達用開口部104が、それを通しての漏れを防止するために、いくつかの様式でほぼ遮断又は塞がれると同時に、開放端部114、114’の一方又は双方を通じて中空ワイヤ102を充填することを含む。逆方向充填法は、複数個の側面開口部104を通じて中空ワイヤ102を充填することを含む。いくつかの逆方向充填法では、中空ワイヤ102はまた、側面開口部104に加えて、その開放端部114、114’の一方又は双方を介しても充填される。したがって、逆方向充填法は、薬剤送達用ポート104を中空ステント100のルーメン空間を充填するためのアクセスポイントとして活用する。中空ワイヤ102の長さに沿って離間した複数のアクセスポイントを使用することで、薬剤組成物はより均一にルーメン103に導入され、これによって、ルーメン103の全長が薬剤組成物で充填される。更に、逆方向充填プロセス中にルーメン103又は側面開口部104の部分的遮断が生じた場合、ルーメン103の残りの部分の充填は、ルーメン空間の充填が端から端までの充填に依存しないので、残りの側面開口部104を介して充填が継続し得るために、多大な影響を受けることはない。
【0019】
上述したように、いくつかのステント形状では、ルーメン103は、中空ワイヤ102の長さに沿って不連続的である。例えば、先に参照によって本明細書に組み込まれた、同時係属中の米国特許出願第12/884,343号に記載されているように、中空ステント100をより放射線不透過性にするために、中空ワイヤ102のコアは、中空ステント100のクラウン内の左にある。中空ワイヤ102のルーメン103を通じて、一方及び/又は他方の開放端部114、114’から順方向充填法で薬剤組成物を充填することは、ルーメンの不連続的性質のために不可能となる。したがって、薬剤組成物が、薬剤送達用側面開口部又はポート104を経て分離されたルーメンを同時に横方向で充填するために、逆方向充填法での充填は、不連続ルーメンを有する中空ワイヤから形成されたステントについては特に有利である。
【0020】
図5Aに示されるように、順方向充填法522又は逆方向充填法536が利用されるか否かにかかわらず、治療用物質112は、中空ワイヤ102に装填される前に、溶液524としての溶媒又は溶媒混合物と混合されるか若しくはスラリー/懸濁液530としての分散媒体と混合される。溶液524は、その中で治療用物質112が、溶媒又は溶媒混合物内に溶解する均質な混合物である。一実施形態では、溶液524は、治療用物質112を溶解する高容量を有する有機溶媒である高容量溶媒528を含有する。本明細書で使用されるような高容量溶媒とは、溶媒1ミリリットル当たり物質500mgを超える濃度で治療用物質112を溶解する能力として定義される。シロリムス及び同様な物質に関する高容量薬剤溶解溶媒の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム、及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられるが、これに限定されない。高容量溶媒に加えて、溶液524は、薬剤溶出を補助するための賦形剤526を含有してもよい。一実施形態では、賦形剤526は、モノオレイン酸ソルビタン及びモノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート20、ポリソルベート60、及びポリソルベート80などのポリソルベート、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及び2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、ドデシル硫酸ナトリウム、オクチルフルコシド、及び低分子量ポリ(エチレングリコール)類などの界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。別の実施形態では、賦形剤526は、塩化ナトリウムなどの塩及び尿素、クエン酸、及びアスコルビン酸などの他の物質などの親水性薬剤であってもよいが、これに限定されない。更に別の実施形態では、賦形剤526は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などの安定化剤であってもよいが、これに限定されない。所望の薬剤装填に応じて、低用量溶媒もまた、治療用物質112のその低減した溶解度に関して選択される。低容量とは、典型的には、溶媒1ミリリットル当たり薬剤500mg未満の濃度で治療用物質112を溶解する能力として定義される。シロリムス及び同様な物質に関する低容量薬剤溶解溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトニトリル、乳酸エチル、アセトン、及びテトラヒドロフラン/水(9:1重量比)のような溶媒混合物が挙げられるが、これに限定されない。溶液524が、中空ステント100に装填された後に、治療用物質112は、溶液から析出され、例えば固体相に変換され、残留する溶媒及び存在する場合は任意の非溶媒の大部分が、中空ワイヤ102のルーメン空間から抽出されることで、主として治療用物質112のみ又は治療用物質112及び1つ以上の賦形剤526が残存し、体内に溶出される。
【0021】
スラリー/懸濁液形態530では、治療用物質112は、溶解されないが、むしろ分散媒体中に固体微粒子として分散され、この分散媒体とは、その内部で固体微粒子が分散される液体形態での連続媒体を指す。懸濁液を使用することは、一緒に混合する場合、治療用物質112が分散媒体中に固体のままで残るために、溶液による場合のような溶媒から治療用物質112を沈殿させる必要を排除する。治療用物質112を溶解することができない分散媒体の例は、治療用物質112の特性に左右される。例えば、シロリムスを溶解し得ない好適な分散媒体としては、水、ヘキサン、及び他の簡単なアルカン、例えば、C5〜C10が挙げられるが、これに限定されない。懸濁及び安定化を支援するため、懸濁液全体の薬剤の分散を更に確実にするために及び/又は薬剤粒子の表面潤滑性を増加させるために、特定の賦形剤、懸濁剤、界面活性剤、及び/又は他の添加剤/調整剤が、薬剤スラリー/懸濁液に添加される。したがって、界面活性剤は、治療用物質112が分散媒体の最上部で浮遊すること又は分散媒体の底部に沈降することを一般的に防止する。界面活性剤の例としては、モノオレイン酸ソルビタン及びモノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート20、及びポリソルベート60などのポリソルベート、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及び2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリンが挙げられるが、これに限定されない。一実施形態では、治療用物質112の目的とされた量が、分散媒体中に懸濁され、適切な添加剤/調整剤が、総薬剤組成物を基準として0.001〜10重量%で添加される。更には、尿素又は2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリンなどの賦形剤が、薬剤溶出を補助するためにスラリー/懸濁液530に添加されてもよい。
【0022】
溶液524に対向するものとしてスラリー/懸濁液530を使用する1つの利点は、治療用物質112が分散媒体内で既に固体形態であるために、開口部104が乾燥した薬剤溶液で遮断されてしまうことがないことである。特に、溶液524で中空ステント100を充填する場合、ルーメン103内の溶液524のフラクションが開口部104を通じて中空ステント100の外部表面に流出又は漏出する可能性がある。この漏出は、表面張力/毛管作用又は移動プロセスからの流出のために起こる。ステントの外部表面上の溶液524は、中空ワイヤ102のルーメン103内に収容される溶液524よりも一層速く乾燥する。実質的な作用は、側面開口部104を閉塞する可能性がある薬剤の流延層であり、これによって、更に溶媒抽出を困難にする。ルーメン空間内に捕捉された残留溶媒は、生体適合性に悪影響を有し得、並びに効果的な薬剤充填を予測する上での複雑化の原因となる。溶液524よりもむしろスラリー/懸濁液530を利用することによって、薬剤及び分散媒体は分離して残り、薬剤の流延層は形成されない。
【0023】
スラリー/懸濁液530中に懸濁される場合、治療用物質112の粒径は、沈殿前に粒子がどれほど長く懸濁されたままでいるかを意味する懸濁液の粘度及び懸濁液の安定性を含む様々な因子に影響を及ぼす。一実施形態では、標識付けされた標準スラリー/懸濁液532、1μm〜50μmの範囲の薬剤粒子直径が利用される。治療用物質112は、中空ワイヤのルーメンに充填する前にペレット化される。粒径分布の制御又は薬剤のペレット化は、粉砕プロセスなどの機械的手段及び沈殿プロセスなどの非機械的手段を含む様々な経路を経て生じ得る。順方向充填法が使用されている場合には、ペレットがステントストラットのルーメン空間よりも小さいことで、薬剤粒子はその端部を通過することができる。逆方向充填法が使用されている場合には、ペレットはステントストラットの開口部104よりも小さいことで、薬剤粒子はそれを通過することができる。スラリー/懸濁液532中のペレット化薬剤は、振動/超音波処理、加圧充填、又は本明細書に記載される任意の他の好適な技術によって、ステントのルーメン内に装填される。治療用物質をペレット化することは、投与における改善された一致性及びより容易な装填のために粒子のほぼ均一な寸法をもたらす。
【0024】
別の実施形態では、標識付け小粒子及びナノ粒子スラリー/懸濁液534、1nm〜1000nmの範囲の薬剤粒径が使用される。100nm未満の粒径範囲における粒子は、一般的にナノ粒子と呼ばれる。小粒径薬剤及び特にナノ粒子は、ステントへの薬剤のより効果的な装填を可能にする、より小さい粒子として薬剤送達において用いられるための魅力的な候補である。特に、この薬剤粒子は、ルーメン空間103及び側面開口部104よりも非常に小さい。したがって、順方向充填法においては、薬剤の小粒子は、ステントの開放端部114、114’を介して中空ワイヤ102のルーメン103に容易に移動することができる。逆方向充填法では、この薬剤は、側面開口部104を容易に横断し、中空ワイヤ102のルーメン103を充填することができる。
【0025】
上述した効率性に加えて、小粒子及びナノ粒子薬剤は、薬剤送達において利点を有する。具体的には、粒子サイズが低減されるとともに、薬剤の安定性はインサイチュで増加される。この利点は、粒子サイズが、μmサイズの粒子からnm直径の粒子に減少される場合に一層明白となる。nm範囲の粒子はまた、薬剤供給原と標的組織との間に存在する濃度勾配を使用することによって、ステントから組織に全粒子として拡散する能力も有する。結果として、ステント100のルーメンから組織に至る輸送の速度が増大される。
【0026】
小粒子及びナノ粒子薬剤は、限定されるものではないが、均質化処理/ミクロ流体処理、沈殿、超臨界CO
2、ボールミル粉砕、及びロッドミル粉砕が挙げられる任意の好適な方法によって生成される。ナノ粒子を有するスラリー/懸濁液を生成する場合、スラリー/懸濁液の粘度が、開口部104をわたりステントへと輸送することを可能にするために十分に低いことが重要である。
図6は、粒子サイズが側面開口部104のサイズ未満に良好に適合され、並びに粘度が変更される場合に、どのように薬剤装填が影響を受けるかを示すチャートである。この例では、側面開口部104のサイズは6μmであり、粒子サイズは300nmであり、パーセント充填重量は、理論上の最大量に対するステント中に充填された薬剤の量の比として定義される。一実施形態では、小粒子及びナノ粒子薬剤は、ヘキサン又は水などの界面活性剤安定化分散剤を用いて、複数のパスの均質化処理プロセスを介して産生される。例えば、ヘキサン系分散剤は、ヘキサンを1%(v/v)のSPAN(登録商標)80と混合させることによって生成され、水溶系分散剤は、水をTween(登録商標)80と混合させることによって生成される。治療用物質112がスラリー/懸濁液に添加され、これは10%(v/v)である。この混合物が、所定の時間、例えば、1〜60分間超音波処理され、均質化処理前に成分を混合する。次いで、ミクロ流体ホモゲナイザー又はミクロ流体処理装置が、28000psi及び860パスの設定で、均質化処理のために使用される。
図7Aは、ナノ粒子薬剤粒子に均質化されたヘキサン系分散剤(5%(v/v))を示し、一方
図7Bは、均質化されていないヘキサン系分散剤系(5%(v/v))を示す。均質化の後に、動的光散乱(DLS)及び/又はSEMが、粒子が均質であることを確認する粒子分布を測定するために用いられる。次いで、スラリー/懸濁液が、所望のスラリー/懸濁液体積率に希釈され、振動/超音波処理、加圧充填、又は本明細書に記載される任意の他の好適な技術によりステントのルーメンに装填される。
【0027】
薬剤充填:順方向充填高圧気体実施形態
図8及び
図9は、本明細書の実施形態による順方向充填法で中空ステントのルーメンを治療用物質で装填するための装置860の概略図である。装置860は、スラリー/懸濁液配合物及び/又は装填技術(複数可)用に修正がなされた、確立された毛細管カラム装填技術を活用するよう使用される高圧装填ボンベである。特に、装置860は、圧力源862、圧力ベント866を有する三方弁864、圧力ゲージ868、高圧装填ユニット又はボンベ870、及びこれら品目を一緒に連結させる管材872を備える。
図9に示すように、装填ユニット870は、本体878、キャップロック880、治療用物質及び分散媒体の懸濁液を保持するためのバイアル又は容器882、そこに管材872が取り付けられるサイドポート886、及びナット884を備える。
図8に示すように、装填ユニット870は、キャップシール888を更に含む。加圧気体が、管材872を経て装填ユニット870に入り、バイアル882内に保持された治療用物質懸濁液を加圧する。装填ユニット870の出口側には、治療用物質懸濁液をバイアルから受け取るために、中空ワイヤ102のルーメン空間が、バイアル882と流体連通するように、中空ステント100の第1の端部に流体的に連結するための高圧フィッティング874がある。そこに配設されたフリットを有する端部フィッティング876は、中空ステント100の第2の端部に接続され、治療用物質が中空ステント100から放出することを防止する。このフリットの孔サイズは、治療用物質のスラリー/懸濁液密度及び治療用物質の粒子サイズに応じて、0.2μm〜20μmの範囲である。中空ステント100を除く装置860の上述した部分は、Wildomar,CaliforniaのWestern Fluids Engineering +MFG,LLCから入手可能である。
【0028】
作動中、バイアル882が、治療用物質112を含むスラリー/懸濁液で充填される。一実施形態では、単位体積当たりの薬剤濃度が0.5mg/ml〜50mg/mlの範囲となるように、薬剤治療用物質112の固定質量をバイアル882に添加し、続いて分散媒体を添加することによって、バイアル882がスラリー/懸濁液で充填される。ステント100の第1の端部が、高圧接続部874を用いて、高圧装填ユニット870に接続される。一実施形態では、ミクロ撹拌バー(図示せず)が、バイアル882に添加されてもよく、バイアル882が装填ユニット870の内側に配置され、その内部で密閉された後に、高圧装填ユニット870は、磁気撹拌プレートの最上部に配置される。不活性高圧気体が、管材872を介してサイドポート886を通じて装填ユニット870に入り、治療用物質112のスラリー/懸濁液をバイアル882から押し出し、ナット884を出て高圧フィッティング874を経て、中空ステント100を形成するワイヤ102のルーメン空間へと向ける。加圧された薬剤スラリー/懸濁液は中空ステント100のルーメン空間を通過し、治療薬剤112の固体粒子が、端部フィッティング876のフリットによって捕捉される。特に、固体薬剤又は治療用物質112をフリットの背後又はその上流に保持又は捕捉すると同時に、分散媒体がフリットを通過し又はそれを通って、すなわち、その下流に押し込まれることが可能であるように、フリットの孔のサイズが選択され、これによって、中空ステント100のルーメン空間を、その第2の端部から第1の端部に至るまで充填/装填する。
【0029】
初期装填圧力は、所望の装填速度、スラリー/懸濁液内の薬剤濃度、及び中空ワイヤ102の内径と薬剤粒子サイズとの間の比に応じて、100〜10,000psiの範囲である。一実施形態では、0.004”の内径を有する6インチの長さの中空管が、直径でおよそ5μmのメジアン直径を有するシロリムスで充填された。このシロリムスは、ヘキサン−イソプロパノール中に懸濁され、90:10のヘキサン:イソプロパノール(v/v)の混合物を得た。0.5μmのフリットを、端部フィッティング876で使用した。装填ボンベ870を500psiに加圧し、およそ55分間その状態で保持した。その後、ボンベを周囲圧まで減圧し、次いで600psiまで再加圧した。圧力を更に20分間にわたり600から900psiに徐々に増加させて、次いで30分間にわたり、100psiの増加量で1500psiまで更に増加させた。4インチより太い中空管をシロリムスで充填した。本明細書の実施形態では、治療用物質の粒子の直径は、1μm〜50μmの範囲で選択される。一実施形態では、中空ステントの均一な装填は、周期的な拍動性圧力工程又はサイクルが使用されるように、装填圧を周囲圧に又はそれに近い圧力まで周期的に減少させることにより、すなわち、装填ユニット870を周囲圧に又はそれに近い圧力に減圧することで、引き続いて装填圧を増加させることによって、すなわち装填ユニット870を装填圧に再加圧することで支援される。別の実施形態では、均一装填は、中空ステント100が、装填ユニット870の最も遠い第2の端部から第1の端部に向かって装填を開始すると同時に、装填圧を漸進的に立ち上げる又は増加させることによって補助される。別の実施形態では、真空が低圧力又はフリットの下流側でシステムに印加され、スラリー/懸濁液を中空ワイヤ102のルーメン空間を通してフリットに向かう汲み上げることで補助し、並びにフリットを通じて分散媒体を押し込むこと/引き上げることを補助する。
【0030】
一実施形態では、高圧気体が、スラリー/懸濁液を中空ワイヤ102のルーメン空間を通して押し込むために、スラリー/懸濁液の漏れを最小にするために、中空ステント100の薬剤送達用開口部104は、順方向充填プロセス中に一時的に遮断又は塞がれる。加えて、
図8に示すように、中空ワイヤのルーメン空間を順方向充填するための高圧気体は、先に成形された中空ステント100を充填するために使用されてもよく、或いは引き続いて中空ステント100へと成形される直線状の中空ワイヤ又は管102を充填するために使用されてもよい。
【0031】
薬剤充填:遠心力を介する順方向充填実施形態
図10及び
図11は、本明細書の別の実施形態による遠心力を用いて中空ステントのルーメンを治療用物質で充填するための装置1090及び方法の概略図である。装置1090は、回転可能なディスク1092及び中央充填管1094を備える。充填管1094は、乾燥治療用物質112で充填される。或いは、充填管1094は、治療用物質を含有する溶液又はスラリー/懸濁液で充填される。中央充填管1094は、中空ステント100のルーメン103に接続される。見てわかるように、複数個の中空ステント100が、中央充填管1094に接続される。矢印で示されるように、ディスク1092が高速で回転され、これによって、治療用物質が、中央充填管1094から中空ステント100のルーメン103に半径方向に向かって押し込まれる。
【0032】
図12及び
図13は、複数個の中空ステントのルーメンを治療物質で充填するために遠心力を使用する別の実施形態の概略図である。装填装置1291は、2つの上部及び下部セグメント1297A、1297Bを備え、これが長手方向に延びる表面に沿って組み合わさり、円筒状構造を形成する。
図12の側面図に示すように、セグメント1297A、1297Bは、円筒状装填装置1291のほぼ等しい半分である。
図13は、セグメント1297Aの上面図を示す。装填装置1291は、ポリカーボネート、ステンレス鋼、及び同様な材料から形成され、治療用物質112で充填されるべき直線状の中空ワイヤ102の配列又はその複数個を保持するようデザインされている。直線状の中空ワイヤ102は、それぞれのセグメント1297A、1297Bの平坦な表面上に形成された複数の溝部1295を有する装填コンパートメント1280内に配置される。溝部1295は、充填中にワイヤが所定の位置にしっかりと保持されるように、複数個の直線状中空ワイヤ102を確実に収容するために十分なサイズ及び形状に正確に機械加工されている。装填装置1291の二等分されたデザインは、充填されるべきステントの装填を促進する。装置1291は、直線状中空ワイヤ102のルーメン内に装填される薬剤スラリー/懸濁液を収容するための楔形のリザーバ1293を備える。装填コンパートメント1280は、リザーバ1293の下流に配置され、リザーバ1293と流体連通する。装置1291は、その上流に薬剤を保持することを可能にすると同時に、それを通しての分散媒体の流れを容易にする拘束濾過プレート1299を更に備える。一実施形態では、この拘束濾過プレートは、薬剤を直線状中空ワイヤ102のルーメン内に拘束すると同時に、それを通して流体が流れることを可能にする焼結ガラスの挿入部材である。拘束濾過プレート1299の下流の排液用チャンバー1296は、本明細書により詳細に説明されるように、充填処理中に装置1291を通して流れる分散媒体を捕捉かつ収容する。セグメント1297A、1297Bが一緒に閉じられ、充填プロセス中にスラリー/懸濁液が装置から漏出しないように、ゴムガスケット1298が装置を密閉する。更に、ゴム製隔膜(図示せず)を有するねじ込みキャップ1289及びベースリング1287が、セグメント1297A、1297Bを一緒に強固に保持する。
【0033】
充填プロセスは、複数個の直線状中空ワイヤ102又は管未完成品を、装填装置1291の一方の半分の溝部1295内に配置することによって開始する。次いで、直線状中空ワイヤ102を装置1291のセグメント1297A、1297Bの間に挟み込むことで、装填装置1291が閉じられ、ベースリング1287及びキャップ1289が、ユニットを密閉する位置にねじ込まれる。好都合なことに、漏れを最小化するために、順応性ゴムコーティングが装填コンパートメント1280の1つ以上の表面に施されることで、装填装置1291が閉じられる場合に、ゴムコーティングが中空ワイヤ102内に形成された薬剤送達用開口部104を通しての漏出を密閉又は防止する。一旦密閉されると、スラリー/懸濁液をキャップ1289のゴム製隔膜を通じて注入することによって、リザーバ1293が治療用物質を含有するスラリー/懸濁液で満たされる。次いで、装置1291が、標準遠心分離ロータに配置され、高G遠心力が、薬剤スラリー/懸濁液を中空ワイヤ102のルーメン内に導入し、迅速かつ効率的な方法で、その体積を薬剤粒子で充填する。遠心分離ロータの速度及び時間のパラメータは、スラリー/懸濁液の組成、スラリー/懸濁液の粘度、薬剤粒子サイズ又は直径、摩擦係数、及び所望の充填の程度が挙げられる様々な因子に依存する。遠心力は、中空管102の全体の長さに沿って作用し、スラリー/懸濁液は、中空ワイヤ102を通じて移動する。スラリー/懸濁液の分散媒体は、拘束濾過プレート1299を通過し又はそれを通して流れ、排液用チャンバー1296内に収容されるが、一方スラリー/懸濁液の治療用物質は、中空ワイヤ102のルーメン内にそのまま残る。濾過の後に、直線中空ワイヤ102は、所望のステント形状又は構成に成形される。
【0034】
スラリー/懸濁液に関して上述されたが、装置1291は、治療用物質の溶液で中空ワイヤ102のルーメン空間を充填するためにも利用されてもよい。溶液で使用する場合、排液用チャンバー1296は省略されてもよく、拘束プレート1299は、液体のそれを通しての通過を許可する必要はないが、むしろ溶液の通路を遮断するよう機能し得、これによって、中空ワイヤ102のルーメン空間内の充填を可能にする。濾過後に、直線状中空ワイヤのルーメンが薬剤溶液で充填され、本明細書に記載される任意の好適な方法により溶媒がそこから引き続いて抽出されねばならない。一般的に、中空ワイヤを溶液で充填することは、遠心分離ロータのより短い持続時間及びより低い速度を要求する。
【0035】
図14を参照すると、高G遠心力を介する中空ステントを装填するための実施形態が示されている。装填装置1291と同様に、装填装置1491は、ほぼ円筒状であり、長手方向に延びる表面に沿って組み合わさり、ほぼ円筒状構造(図示せず)を形成する上部及び下部の長手方向のセグメントを備える。装置1491は、薬剤スラリー/懸濁液を収容するための楔形リザーバ1493、それを通しての分散媒体の流れ並びにその上流の薬剤保持を容易にする拘束プレート又は焼結ガラス挿入部材1499、充填処理中に装置1491を通って流れる分散媒体を捕捉かつ収容する排液用チャンバー1496、装置1491を密閉するためのゴムガスケット1498、並びに装置1491を閉鎖するためのキャップ1489及びベースリング1487を備える。しかしながら、直線状の中空ワイヤを収容するための溝部を有するよりはむしろ、装置1491は、単一の中空ステント100を収容するためにそこに形成された円筒状装填コンパートメント1480を具備する。円筒状装填コンパートメント1480は、中空ステントを収容するための特定の直径及び長さである。一実施形態では、中空ステントを所定の位置にしっかりと保持するために、ロッド又はコア(図示せず)が薬剤充填プロセス中に中空ステントを通して挿入されてもよい。その中で薬剤スラリー/懸濁液又は溶液をステントのルーメン空間内に導入させるために、高G遠心力がステントの長さ全体にわたって適用される充填プロセスは、装置1291に関して上述されたものと同様である。
【0036】
薬剤充填:薬剤沈殿用に超臨界CO2を使用する順方向充填実施形態
図15は、本明細書の別の実施形態による治療用薬剤で中空ステントのルーメンを充填するための装置1585及び方法の概略図である。装置1585は、圧力チャンバー1583(仮想線で示される)、超臨界二酸化炭素(SCCO
2)のための供給部1581、エタノールなどの溶媒中で治療用物質の溶液を導入するための供給ライン1579、及び再循環システム1577を備える。超臨界二酸化炭素は、その臨界温度が(31.1℃)より高く、臨界圧力が(72.9atm/7.39MPa)より高い二酸化炭素である。中空ステント100が、圧力チャンバー内に配置される。溶液が中空ステント100のルーメンを通して押されると同時に、超臨界二酸化炭素が、開口部104を通して中空ステント100のルーメンに入る。超臨界二酸化炭素は、治療用物質を沈殿するように溶液と相互作用することで、治療用物質が中空ステント100のルーメン内に留まり、エタノールなどの溶媒は再循環システム1577を通じて再循環され続ける。この実施形態では、治療用物質を溶液から沈殿させるために、SCCO
2の特性が、薬剤充填プロセスの一部としてこのように利用される。中空ステント100を通して押されるいかなる治療用物質も補足するために、フィルター1573が圧力チャンバーの出口側に位置付けられてもよい。治療用物質供給部1575が、再循環システム1577に連結されることで、治療用物質と溶媒とが混合されて、供給ライン1579を通じて圧力チャンバーに溶液として導入される。
【0037】
一実施形態では、ステントを順方向充填するための超臨界二酸化炭素は、
図15に示すような成形された中空ステント100を充填するために使用されてもよく、又は引き続いて中空ステント100へと成形される直線状の中空管102を充填するために使用されてもよい。
【0038】
薬剤充填:順方向充填注射器実施形態
図16は、本明細書の別の実施形態による治療用薬剤で中空ステントのルーメンを充填するための装置1671及び方法の概略図である。装置1671は、注射器ルアーコネクター1669及び注射器ルアーコネクターを中空ステント100に連結するための小口径管継ぎ手1667を備える。注射器(図示せず)は、注射器ルアーコネクター及び小口径管継ぎ手を通して、治療用物質を中空ステント100のルーメン内に注入する。この治療用物質は、溶媒又は分散媒体と混合され、それぞれ溶液又はスラリー/懸濁液を形成する。溶媒又は分散媒体の例としては、エタノール、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、水、及び当業者に既知であると思われる他のもの、及び/又は本明細書で記載されるものが挙げられる。一実施形態では、中空ステント100の薬剤送達用開口部104は、注射器が治療用物質及び溶媒/分散媒体をステントのルーメンを通じて注入すると同時に、漏れを最小に抑えるために遮断され又は塞がれる。更に、ステントを順方向充填するための注射器は、
図16に示すような中空ステント100を充填するために使用されてもよく、又は中空ステント100へと引き続いて成形される直線状の中空管102を充填するために使用されてもよい。
【0039】
薬剤充填:振動を用いる順方向充填実施形態
ステントを順方向充填することが、振動によって補助される。振動は、直接的に又は液体浴を通じて印加される。振動は、ステントのルーメンを通しての治療用物質の移動において補助する。
図17は、薬剤装填を補助するために振動を用いる一実施形態の概略的表現を示す。中空ステント100が、水などの液体で満たされた容器1765内に配置される。薬剤組成物を含有するホッパー1761が中空ステント100の1つの端部に連結され、ステントの対向する端部は閉じられる。薬剤組成物は、治療用物質又は乾燥治療用物質を含有する溶液又はスラリー/懸濁液である。ポンプ1759がホッパー1761に連結され、薬剤組成物を中空ステント100のルーメンを通じて押す。超音波処理装置1757又は同様な振動発生装置が、液体1763内に配置される。超音波処理装置1757は、支持構造1755によって所定の位置に保持され、電源1753に連結される。薬剤組成物が中空ステント100のルーメン103を通して充填される間に、超音波処理装置1757が液体1763を振動することで、中空ステント100を振動させる。この超音波処理装置は、約20〜100KHzで振動される。振動技術は、他の装填方法及びステントを振動させるための様々な手段で用いられることが当業者によって理解されるであろう。例えば、超音波処理装置1757又は同様な振動装置は、ステントの部分と直接的に接触してもよい。
【0040】
中空ステント100の薬剤送達用開口部104は、液体1763が開口部104を介して中空ステント100に入ることを防止するために、並びに治療用物質及び溶媒/分散媒体がステントのルーメン内に汲み入れられると同時に漏出を更に最小限にとどめるために、順方向充填プロセス中に遮断され又は塞がれる。更に、ステントを順方向充填するための振動は、
図17に示すような成形された中空ステント100を充填するために使用されてもよく、又は中空ステント100へと引き続いて成形される直線状の中空管102を充填するために使用されてもよい。
【0041】
薬剤充填:生体分解可能なライナー又はプラグを使用する順方向充填実施形態
一実施形態では、このステントは、ステントを治療用物質又は薬剤で充填することを補助し並びにステント移植後の薬剤送達の速度を更に制御するためのライナーを含有し得る。特に、
図18の横断面図を参照すると、ステント1800は、中空ワイヤ1802の内側表面1849に一致する生体吸収性/生体分解性のライナー1851を含み得る。一実施形態では、ライナー1851は、0.001〜0.002インチの間の範囲である厚さを有する。ライナー1851は、製造加工プロセスの薬剤充填工程中に側面開口部1804を通じて治療用物質1812が漏れることを防止する。以下に記載されるようにライナーが配置された後に、ステント1800が、本明細書に記載される任意の順方向充填法を使用して、治療用物質1812で充填又は装填される。使用される充填方法のタイプにかかわらず、ライナー1851は、中空ワイヤ1802のルーメン1803が充填されると同時に、治療用物質1812が開口部1804を通じて浸出しない又は漏れないことを確実にする。
【0042】
製造加工プロセス中に開口部1804を遮断することに加えて、ライナー1851はまた、ステント1800が体内血管に移植された後に、体内血管への治療用物質の放出を制御するための機構として作用する。ライナー1851は、治療用物質1812が血ルーメン内へ溶出可能であるように血管内で溶解又は破壊する生体吸収性/生体分解性ポリマーから形成される。一実施形態では、ライナー1812は、生体分解性縫合糸などの医療的用途に長い間使用されてきた生体分解性プラスチックであるポリ乳酸(PLA)から作り出される。ライナー1851を構成することでの使用で好適である他の生体分解性ポリマーとしては、例えば、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸、これら物質のコポリマー、並びにその組成物及び混合物が挙げられる。ライナー1851を構成することでの使用に好適である生体吸収性ポリマーとしては、ポリラクチド[ポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−D−ラクチド(PDLA)]、ポリグリコリド、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシドコポリマー、変性セルロース、コラーゲン、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ無水物、ポリホスホエステル、ポリ(アミノ酸)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)などのポリマー又はコポリマー、又はラクチド、グリコリド、トリメチレンカーボネート、ε−カプロラクトン、ポリエチレングリコールなどの2つ又はそれ以上のポリマー化可能な単量体、4−tert−ブチルカプロラクトン及びN−アセチルカプロラクトンなどのカプロラクトン誘導体、ポリ(エチレングリコール)ビス(カルボキシメチル)エーテルが挙げられる。生体分解性ポリマーのそれぞれのタイプは、体内における特徴的な分解速度を有する。いくつかの物質は、比較的速い生体吸収材料であり(数週間から数か月)、一方他の物質は比較的遅い生体吸収材料である(数か月から数年)。ライナー1851の溶解速度は、生体吸収性ポリマーのタイプ、生体吸収性ポリマーの厚さ及び/又は密度、及び/又は生体吸収性ポリマーの性質を制御することにより調整される。更に、ポリマー材料の厚さ及び/又は密度を増加させることは、概してライナーの溶解速度を遅くする。生体吸収性ポリマーの化学的組成及び分子量などの特性もまた、ライナーの溶解速度を制御するために選択される。
【0043】
ステント1800が血管内に移植された後に、血管を通って流れる血液に曝されるために、生体吸収性/生体分解性ライナー1851が崩壊し、これによって、治療用物質1812が治療部位にて放出され、血流に入る。ステント1800が移植された後の治療用物質1812の血管への放出を制御するために用いられる外側表面の生体吸収性/生体分解性コーティングと比較すると、ライナー1851は、バルーンカテーテル(図示せず)上のバルーンにステントをクリンピングするなどの更なる処理工程中でより保護される。更に、医療器具の露出された表面上のポリマーコーティングは、送達中に剥離するか若しくは損傷される可能性がある。これと比較すると、ライナー1851は、中空ワイヤ102の内側にあるために、送達中に剥離するか若しくは損傷されることから保護される。
【0044】
図19及び
図20は、ライナー1851についての製造の例示的方法を示す。特に、一実施形態では、生体吸収性/生体分解性ポリマーの中空管1947が、中空ワイヤ1802のルーメン1803内に供給される。中空ワイヤ1802は、直線状であってもステント構造に成形されていてもよい。バルーン形成技術と同様に、管1947がいずれかの端部にクランピングされ、これと同時に内圧及び外部加熱が加えられることで、管1947が吹き出し、中空ワイヤ1902の内部表面に一致するライナー1851を形成する。すなわち、このブロープロセスが管1947をライナー1851へと伸張かつ薄化させる。他の製造プロセスが、ライナー1851を形成するために使用されてもよく、これらは、ステントの外部表面上のマスクされた領域の有無にかかわらず、生体吸収性/生体分解性ポリマーを液体形状で中空ステントに気体補助射出成形及び浸漬成形又は汲入排出することが挙げられるが、これに限定されない。
【0045】
図21を参照すると、その中で、ステント2100の薬剤送達用開口部2104が、生体吸収性/生体分解性ポリマーのプラグ2145で充填される、別の実施形態が示されている。上記のライナー1851と同様に、プラグ2145は、ステント2100を治療用物質又は薬剤2112で充填することで補助するよう働き、並びにステント移植後に薬剤送達の速度を制御するよう更に働く。プラグ2145は、薬剤送達用側面開口部を実質的に封入し、したがってほぼ中空ワイヤ2102の外部表面から内部表面に至るまで延びる。プラグ2145は、ステント2100の外側表面と同一平面上にある最上表面を有し得るか、又はわずかに突起しているか凸凹した状態である。プラグ2145は、製造プロセスの薬剤充填工程中に、治療用物質2112が薬剤送達用開口部を通して漏出することを防止する。プラグ2145の配置後に、本明細書に記載される任意の順方向充填法を使用して、ステント2100が治療物質2112で充填又は装填される。製造中に薬剤送達用側面開口部を遮断することに加えて、プラグ2145は、治療用物質2112が血ルーメン内に放出又は放射されるように血管内で溶解又は崩壊する生体吸収性/生体分解性ポリマーから形成されているので、プラグ2145はまた、ステント2100が移植された後に治療用物質2112の血管への放出を制御する機構としても作用する。
【0046】
プラグ2145は、ライナー1851に関して上述された任意の生体吸収性/生体分解性ポリマーから形成される。一実施形態では、プラグ2145は、中空ワイヤ2102の外側表面から形成され、任意の適切な方法から形成され、これらは、ステントの外部表面上のマスクされた領域の有無にかかわらず、液体形状の生体吸収性/生体分解性ポリマーを薬剤送達用側面開口部に注射すること、薬剤送達用側面開口部と同じ形状を有する中実プラグを側面開口部に手動で押し込むこと、及び中空ステントを液体形状の生体吸収性/生体分解性ポリマー中に浸漬させて、中空ステントを形成することが挙げられるが、これに限定されない。
【0047】
薬剤充填:中実ロッド又は円柱に成形された薬剤を使用する薬剤順方向充填実施形態
別の実施形態では、治療用物質は、中空ワイヤ102のルーメン103の直径よりも小さい直径を有するロッド又は中実円柱に作られる。治療用物質は、これを乳糖粉末、二塩基性リン酸カルシウム、ショ糖、コーンスターチ、微結晶性セルロース及び変性セルロース、及びこれらの組み合わせなどの結合剤と組み合わせることによって中実円柱に形作られることが可能である。治療用物質及び結合剤は均一に混合され、この実施形態におけるロッド又は円筒形状などの所望の形状に圧縮される。次いで、中空ワイヤがステントパターンに曲げられる前に、すなわち、ワイヤが直線状である時に、ロッドが中空ワイヤ102のルーメン103内に挿入される。それに配設された治療用物質を有する中空ワイヤ102が、上記のように、次いでステント形状に成形される。固体形状での治療用物質は、中空ワイヤがステントパターンに形作られる間に、中空ワイヤに支持をもたらす。
【0048】
薬剤充填:圧力及び/又は真空ポンプを使用する逆方向及び順方向充填実施形態
図22は、中空ワイヤのルーメンを治療用物質の溶液又は懸濁液で装填するための装置2243及び方法の概略図である。装置2243は、真空ポンプ2241、多岐管2239、及びリザーバ2237を備える。リザーバ2237は、治療用物質112を含有する溶液又は懸濁液中の薬剤組成物で満たされる。真空ポンプ2241は、管材2235又は他の好適な連結機構によって、多岐管2239に連結される。多岐管2239は、中空ステント100を形成するそれぞれの中空ワイヤのルーメン空間103と流体連通されるように、フィッティング2233又は他の好適な流体連結機構を用いて、複数個の中空ステント100の第1の開放端部114、114’に連結される。中空ステント100は、多岐管2239から溶液又は懸濁液で満たされたリザーバ2237に至るまで延びる。操作では、真空ポンプ2241が、多岐管2239及び中空ステント100のルーメン空間103を通して真空を引き込み、中空ステント100の側面開口部104を通して並びに対向する開放第2端部114、114’を通して薬剤組成物を引き込む。このようにして、中空ステント100のルーメン空間103が薬剤組成物で充填される。
【0049】
図23は、本明細書の別の実施形態による、中空ステントのルーメンを治療用物質で装填するための装置2331及び方法の概略図である。装置2331は、圧力チャンバー又は容器2329(仮想線で示される)及び真空ポンプ2327を備える。圧力チャンバー2329は、薬剤懸濁液内に沈められた中空ステントを封じ込めるために好適である圧力制御された容器である。圧力源2322は、チャンバー内の圧力を制御するために、圧力チャンバー2329の内部に流動的に接続される。本明細書での使用に好適である他の圧力チャンバー構造としては、以下に記載される
図23Aの装置及び
図8ないし
図9に関して上述された充填ボンベが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
中空ステントが、圧力チャンバー2329内に配置され、懸濁液での治療用物質が圧力チャンバーに提供又は供給される。中空ステントの開放端部は圧力チャンバーを超えて延びて、限定されないがナット及びフェルールの組み合わせなどの圧力フィッティング(図示せず)によって圧力チャンバー2329に密封されてもよい。真空ポンプ2327は、それぞれの対向する開放端部114、114’を介して中空ステント100のルーメン103に連結される。一実施形態では、圧力チャンバー2329内部の圧力は、大気圧よりも高く、矢印2325によって表示される生じた内に向かう力が、治療用物質112の懸濁液を、側面開口部104を通して中空ステントのルーメン103内に押すか又は押し込む。これと同時に、真空ポンプ2327が、矢印2323によって表示された外に向かう力を発生させて、それぞれの開放端部114、114’及び真空ポンプ2327に向かって外方向に懸濁液及び特に治療用物質112の固体粒子を引くことで補助する。別の実施形態では、圧力チャンバー2329の内部の圧力は、大気圧と平衡化されることが可能で、真空ポンプ2327によって生じる圧力差が、ステントのルーメン空間内に並びに真空ポンプ2327に向かって外方向で治療用物質112の固体粒子を引くように作用する。フィルター2321は、中空ステント100のいずれかの端部に提供されてもよく、これによって、分散媒体がフィルター2321を通り抜けることが可能であると同時に、治療用物質がフィルターに対して「積み上げられ」、中空ステント100のルーメン空間103を堅く充填する。上記の方法及び装置は、真空が側面開口部104を通して中空ステント100の表面に沿って供給され、溶液又は懸濁液中の治療用物質が中空ステント100の開放端部114、114’からルーメン空間に内方向に押し込まれるように変更されてもよいことが、当業者により理解されるであろう。特に、圧力チャンバー2329内で真空を作ることによって、真空が中空ステント100の側面開口部104に加えられる以外は、同一の組立て又は装置が使用されてもよい。この実施形態では、真空ポンプ2327は、真空を作るために、圧力チャンバー2329から直接的に引かれる可能性がある。ステント100の開放端部114、114’は、治療物質の溶液又はスラリー/懸濁液中で浸漬され、これによって、圧力差のために、ステント100のルーメン空間中に引かれ又は押し込まれると考えられる。一実施形態では、溶液/懸濁液が加圧されることで、圧力チャンバー2329からの真空及び溶液/懸濁液に印加された圧力が、溶液/懸濁液を押し込み、ステント100のルーメン空間を充填する。
【0051】
図23Aは、薬剤懸濁液内に沈められた中空ステントを封入するために好適である圧力制御された容器の別の実施形態である。上記の装置2331と同様に機能する装置2331Aは、圧力チャンバー又は容器2329A及びチャンバー2329Aの圧力を制御するために圧力チャンバー2329Aの内部に流動的に接続された圧力源2322Aを備える。一実施形態では、圧力源2322Aからの加圧気体が、薬剤懸濁液を移動させることにおいて補助し得る。圧力チャンバー2329Aは、圧力チャンバー2329A内に中空ステント100が配置されることを許可する着脱自在に密閉可能なキャップ又は蓋2321を備える。中空ステント100が圧力チャンバー2329A内に配置され、懸濁液中の治療用物質が圧力チャンバーに提供又は供給される。中空ステントの開放端部が圧力チャンバー2329Aを超えて延びて、限定されないが、ナット及びフェルールの組み合わせなどの圧縮フィッティング2326Aによって、圧力チャンバー2329Aに密封される。フリット又はフィルター2321Aが、ステント100の各端部と真空ポンプ2327Aとの間のラインに配置されることで、分散媒体がフィルター2321Aを通り抜けることが可能であると同時に、治療用物質がフィルターに対して「積み上げられ」、中空ステント100のルーメン空間103を堅く充填する。フリット/圧縮フィッティングから真空ポンプに至る管材のサイズでの変化を可能にするために、管アダプタ2328もまたステント100の各端部と真空ポンプ2327Aとの間のラインに配置される。
図23に関して上述したように、圧力差及び真空ポンプ2327Aが、治療用物質112の懸濁液を、側面開口部104を通して中空ステントのルーメン103内に押すか又は押し込む。
【0052】
ステントを逆方向充填又は順方向充填するための圧力チャンバー及び/又は真空ポンプは、
図22、
図23、及び
図23Aで示されるような成形された中空ステント100を充填するよう使用されてもよく、又は引き続き中空ステント100へと成形される直線状の中空ワイヤ又は管102を充填するよう使用されてもよい。
薬剤充填:振動を使用する逆方向充填実施形態
【0053】
別の実施形態では、振動がステントを逆方向充填することに使用される。振動は、直接的に又は液体浴を通じて印加される。振動は、ステントのルーメンを通して、治療用物質の溶液又は懸濁液が、薬剤送達用側面開口104を横切り、ステント100を形成する中空ワイヤ102のルーメンへ移動することにおいて補助する。
図24は、薬剤装填を補助するために超音波処理浴を用いる一実施形態の概略的表現を示す。容器又は管2419が、治療用物質112を有する薬剤溶液又は懸濁液で満たされ、その成形された構造の中空ステント100がその中に沈められる。管2419が超音波処理浴のチャンバー2465内に配置される。チャンバー2465は、水又は他の溶液などの液体2463で満たされている。超音波処理浴は、一般的に、超音波周波数で振動する電気信号と協働してサイズを変化させることによって液体2463中で超音波を発生する、チャンバー2465に内蔵された内部超音波発生変換器2457を備える。あるいは、
図17に関して上述された超音波処理ホーン1757などの外部超音波発生変換器が、振動を発生させるために液体2463内に配置されてもよい。内部超音波発生変換器2457が液体2463を振動させて、これによって、薬用液剤又は懸濁液を中空ステント100の薬剤送達用開口部104へと振動させる。一実施形態では、薬剤溶液又は懸濁液は、1時間〜4時間の間の持続時間で振動される。内部的超音波発生変換器2457は、約20〜100kHzで振動される。振動技術は他の装填法と共に用いられてもよく、ステントを振動するための様々な手段が用いられてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。一実施形態では、中空ステント100が超音波処理中に室温より高くまで暖まらないことを確実にするために、氷又は別の冷却剤が必要に応じて超音波処理浴に添加されてもよい。
【0054】
超音波処理後に、中空ステント100が、ルーメン空間103が治療用物質112、溶媒又は分散媒体、及び/又は1つ以上の界面活性剤又は賦形剤などの任意の調整剤/添加剤を含有する薬剤溶液又は懸濁液で満たされた状態で容器2419から取り外され、外側の溶媒又は分散媒体の大部分を除去するために少なくとも部分的に乾燥される。乾燥後に、中空ステント100の外側表面が、流延薬剤溶液の層又は乾燥薬剤残渣のいずれかとして、同一の溶液又は懸濁液成分で被覆されてもよい。中空ステント100は、ルーメン空間からの残留する溶媒又は分散媒体を除去するために及び/又はステントの外部表面からの薬剤溶液の流延層又は薬剤残渣を除去するために、本明細書に記載されるような溶媒抽出工程及び/又は本明細書に記載されるような洗浄工程を更に実行し得る。ステントを逆方向充填するための振動は、
図24に示される成形された中空ステント100を充填するために使用されてもよく、又は引き続いて中空ステント100へと成形される直線状の中空管102を充填するために使用されてもよい。
【0055】
溶媒抽出:薬剤を沈殿させるための共沸混合物
図25ないし
図28は、その中で、溶液が中空ワイヤのルーメン空間に装填された後に、沈殿法が溶媒から薬剤を分離するために使用される一実施形態を示す。特に、
図25の第1の工程2520及び
図26の横断面図で示されるように、ステント2600の中空ワイヤ2602が、治療用物質又は薬剤112の溶液2617及び第1の溶媒で第1充填される。治療用物質112は、第1の溶媒に可溶性であり、溶液2617を形成する。第1の溶媒は、高容量又は低容量溶媒である。一実施形態では、第1の溶媒はテトラヒドロフラン(THF)であるが、治療用物質112を溶解するために好適な他の溶媒が使用されてもよい。THFは、大量の例えばシロリムスなどの様々な薬剤を溶解する高容量溶媒である。以下の説明によって明らかになるように、第1溶媒はまた、プロセスで後に添加される第2の沈降分離剤である溶媒と共沸混合物を形成することが可能でなければならない。ステント2600は、本明細書で記載される任意の充填法を使用して、溶液2617で充填又は装填されるが、第1の溶媒の蒸発がステント2600の長さに沿って離間する複数の開口部2604を通して迅速に発生する可能性があるために、超音波処理浴を介する振動などの逆方向充填法が好ましい。
【0056】
図25の第2の工程2521では、第2の又は沈降分離剤溶媒がステント2600のルーメンに添加される。第2の溶媒は、これらの重要な機能を実施するために、以下の特性を有し:(1)第2の溶媒は、治療用物質112を溶解せず、すなわち、治療用物質112は、溶液2617から沈殿するように、治療用物質112は第2の溶媒中で不溶性であること、並びに(2)適切な均質の混合を保証するために第2の溶媒は、第1の溶媒と混和すること、及び第1の溶媒と共沸混合物を形成することが可能であること、である。上記の第2の沈降分離剤溶媒の第1番目の特性に関しては、第2の沈降分離剤溶媒は、溶液2617内で治療用物質112を溶解することができない非溶媒と呼ばれることが留意される。上記の第2の沈降分離剤溶媒の第2番目の特性に関しては、得られる蒸気が元の混合物と同一の構成比を有するために、共沸混合物とは、沸騰される場合にその組成が変化されないような比率での2つ以上の液体の混合物である。第2の又は沈降分離剤溶媒が、2つの溶媒、すなわち、第1の溶媒及び沈降分離剤溶媒が共沸点に到達するまで添加される。例えば、THFが第1の溶媒として使用される場合、ヘキサンが第2の沈降分離剤溶媒として使用される。シロリムスを含む様々な薬剤が、ヘキサンに不溶性である。更に、THF及びヘキサンは混和性であり、重量(w/w)で46.5%のTHF及び53.5%のヘキサンで共沸混合物を形成する。THF/ヘキサン混合物の共沸点は、53.5%のヘキサンを必要とするために、治療用物質112が溶液2617から沈殿することを保証するために、大量のヘキサンが溶液2617に添加される。別の実施形態では、エタノールが治療用物質を溶解するための第1の溶媒として使用され、並びにこの治療用物質が水に不溶性である限りにおいて、水がエタノールと共に共沸混合物を形成する第2の沈降分離剤溶媒として使用される。
図27の横断面図に示すように、沈殿後に、治療用物質112は固相で存在し、一方2つの溶媒、すなわち、第1の溶媒及び沈降分離剤溶媒が、液相で混合物2715として存在する。
【0057】
第2の沈降分離剤溶媒は、任意の好適な方法で、ステント2600のルーメン空間に添加されてもよい。例えば、振動が中空ステント100を装填するための逆方向充填法で使用される場合、ステント100が溶液2617中にまだ沈められている間に、第2の沈降分離剤溶媒が、超音波/超音波処理浴に単純に添加されてもよく、第2沈降分離溶媒は、浸漬されたステントの薬剤送達用側面開口部を介してルーメン空間に入るだろう。第2の沈降分離剤溶媒は、中空ワイヤ2602のルーメン空間内及びステント2600の外側の双方で第1の溶媒から治療用物質を沈殿させると思われる。溶液2617から治療用物質112を沈殿させることで、薬剤及び溶媒が分離され、乾燥された薬剤の流延層が形成されず、乾燥時に開口2604を遮断すると考えられる。
【0058】
ここで、
図25の第3の工程を参照すると、中空ワイヤ2602のルーメン空間内で液体混合物として存在する、2つの溶媒、すなわち、第1の溶媒及び沈降分離剤溶媒を除去するために、溶媒抽出が実施される。混合物2715内にまだ浸漬されているか、又はそこから取り出されたステント2600が、真空オーブン上に配置される。第1の溶媒と沈降分離剤溶媒との間で形成された共沸混合物が揮発性となり気相に移行するように、温度及び圧力が制御される。例えば、THF−ヘキサンを溶媒の迅速な蒸発させるために、周囲圧力がおよそ5torrに減圧されてもよく、温度が30℃〜40℃の間に低下されてもよい。温度及び圧力に関して必要な特定値は、選択された、しかしながら、圧力に関しては1×10
-8torr〜760torrの間での範囲であり並びに温度に関しては25℃〜40℃の範囲である典型的値である特定の溶媒系に依存する。
図28の横断面図に示されるように、混合物2715は、ステント2600から蒸発分離又は蒸発し、中空ワイヤ2602のルーメン空間内に固体形状でほぼ治療用物質112のみを残す。中空ワイヤ2602内には、ごく一部の溶媒が残留するか又は溶媒が全く残留しない。第1の溶媒及び沈降分離剤溶媒が共沸混合物を形成するために、溶媒抽出中に混合物2715は蒸発されるがむしろ固体形状で残留するので、治療用物質112の溶解度は変化しない。沸騰中に共沸混合物の組成は変化しないために、治療用物質112は、共沸混合物が蒸発すると同時にいかなる残留する溶媒中でも溶解しない。中空ステント内に薬剤を沈殿させるために共沸混合物を形成させることは、成形されたステント内で使用されてもよく、又は引き続いて中空ステントへ成形される直線状の中空管を充填するために使用されてもよい。
【0059】
一実施形態では、第1の溶媒及び沈降分離剤溶媒は、その組み合わせが個々の成分よりもいっそう揮発性であることを意味する正の共沸混合物を形成する。揮発性共沸混合物は、混合物2715に関して比較的低い沸点をもたらすことで、混合物2715はステント2600から迅速かつ容易に蒸発分離又は蒸発すると考えられる。先の実施形態で述べられたTHF及びヘキサンは、比較的低い沸点を有する正の共沸混合物を形成するための第1の溶媒及び沈降分離剤溶媒として用いられる。
【0060】
別の実施形態では、上記の溶媒抽出工程2538に先だって、水が中空ステント100に加えられ、なぜなら、水のTHF/ヘキサン/シロリムス系への添加が硬いシェルを作り出す可能性があるからである。この硬いシェルは、ステントの取り扱い中に薬剤がステントの内側から損失されることがないように、ステント2600をキャッピングすることに使用される。
【0061】
ステント装填プロセスの溶媒/分散媒体抽出工程
図5に戻って参照すると、ステントが薬剤で充填された後の、薬剤装填プロセスの第2の工程は、溶媒又は分散媒体抽出538である。中空ワイヤ102のルーメン空間が薬剤組成物で充填された後に、主として治療用物質112のみ又は治療用物質に加えて1つ以上の賦形剤が、体内に溶出されるために中空ステント100内に位置づけられるように、いかなる残留する溶媒/分散媒体もルーメン空間内から抽出されなければならない。したがって、溶媒/分散媒体抽出の最終結果は、ルーメン内に残留する溶媒/分散媒体の相当量がない状態で中空ステントを充填した薬剤であるか、又は薬剤及び賦形剤である。溶媒/分散媒体抽出は、治療用物質112の組成に影響を及ぼすことなく又は変更することなく生じることが好ましい。溶媒/分散媒体抽出は、中空ステント100を生体適合性移植片に作り上げるために必要であり、治療用物質112の一貫した溶出を確保するために望ましい。
【0062】
図5Bは、装填プロセスの溶媒/分散媒体抽出工程538のより詳細なフローチャートを示し、これは、中空ステントのルーメン空間内に保持された治療用物質の溶液からの溶媒の除去及び中空ステントルーメン空間内の保持された治療用物質のスラリー/懸濁液からの分散媒体の除去の双方を指す。特に、溶媒/分散媒体抽出工程538は、一般的に、超臨界CO
2抽出540の方法、真空オーブン乾燥542の方法、及び/又はcryovac昇華の方法の1つ以上を介して実施される。溶媒/分散媒体抽出が実施された後に中空ワイヤのルーメン空間は、微少量の溶媒/分散媒体のみを伴い、主として薬剤のみ、又は薬剤及び賦形剤で充填される。各方法は、以下により詳細に説明される。
【0063】
溶媒/分散媒体抽出:真空オーブン乾燥実施形態
中空ステント100が、本明細書で記載されるいずれかの充填法を介して、溶液又は懸濁液のいずれかでの薬剤組成物で充填又は装填された後に、中空ワイヤ102のルーメン空間内に収容されたいずれの溶媒/分散媒体を蒸発させて、治療用物質を析出させるために、ステントは真空オーブン内で乾燥される。乾燥に用いられる温度は、乾燥中に薬剤分解を引き起こすことがないと同時に溶媒除去を促進するために十分に高い。特に、ステントはオーブン内に配置され、25℃〜40℃の間の温度及び1torr〜760torrの間の圧力で24時間まで乾燥され、外部溶媒/分散媒体の大部分並びにルーメン空間内に装填された溶媒/分散媒体の一部を蒸発させ得る。真空オーブン乾燥後に、乾燥した薬剤残渣又は薬剤流延がステントの外部表面上にしばしば残ったままであり、残留する溶媒/分散媒体はしばしばルーメン空間内に残ったままである。
【0064】
溶媒/分散媒体抽出:超臨界CO2実施形態
図29及び
図30を参照すると、ルーメン空間内の残留溶媒又は分散媒体を微少量まで減らすために超臨界二酸化炭素(SCCO
2)抽出を利用する2つの実施形態が示されている。これら実施形態は、先に充填された治療用物質/薬剤をステントのルーメン空間から取り除くことなく、残留溶媒又は分散媒体を抽出するために、SCCO
2の特性を使用する。
図29の静的抽出法の第1の工程2920では、ステント100は、中空ワイヤ102の少なくともルーメン空間が薬剤組成物で充填されるように、本明細書に記載される任意の充填法を介して、溶液又は懸濁液のいずれかで、薬剤組成物で充填又は装填される。一実施形態では、超臨界二酸化炭素(SCCO
2)抽出を実行する前に、ステントは真空オーブン内で乾燥されてもよい。
【0065】
図29の方法の第2の工程2938Aでは、溶液/懸濁液で充填された中空ステント100が、抽出容器の内部に配置される。抽出容器は、中空ステント100を保持することが可能であり、並びに超臨界二酸化炭素のために必要とされる温度及び圧力に耐えることが可能である圧力容器である。抽出容器に関する通常の構造は、超臨界二酸化炭素の流れを可能にするために各端部が着脱自在のキャップ及びフィッティングを備える、ステンレス鋼円筒状であるが、他の形状及び構造が使用されてもよい。抽出容器が31℃〜40℃の間の温度に加熱され、次いで、超臨界二酸化炭素(SCCO
2)が、気体のようではあるが液体の密度のような密度で、抽出容器を充填するように膨張することによって、超臨界流体として行動するように、抽出容器内の温度及び圧力がCO
2に関する臨界条件より高くなるまで、1100psi〜9000psiの間の圧力まで加圧された二酸化炭素(CO
2)で充填される。超臨界流体は、流体の臨界温度及び圧力を超える又はこれらと等しい温度及び圧力で定義されるものである。二酸化炭素の臨界温度は31.1℃であり、臨界圧力は1070.9psi(72.9atm)であるために、超臨界二酸化炭素(SCCO
2)は、温度が31.1℃より高く及び圧力が1070.9psiより高いの二酸化炭素に適用される。超臨界状態では、CO
2は、特有な気体様蒸気拡散率及び液体様密度を有する。通常の液体有機溶媒とは異なり、SCCO
2は零表面張力を有し、したがって、小空隙又は空間を貫通することが可能である。SCCO
2はまた、簡単なアルコール、アルカン、DCM、THF、及びDMSOが挙げられる溶媒/分散媒体で用いられる同一の有機溶媒を溶解することが可能である有機溶媒に類似した溶媒特性も有する。
図29の方法の第3の工程では、SCCO
2をステント100のルーメン空間に貫通させ並びに充填プロセスから残された残留溶媒/分散媒体を溶解させるための保持期間又は平衡化時間などの十分な時間で、超臨界条件が抽出容器内で維持される。一実施形態では、この平衡化時間は、15分〜60分の間である。
【0066】
図29の方法の第4の工程2938Cでは、SCCO
2がステント100のルーメン空間に貫通し並びに残留する溶媒/分散媒体が溶解された後に、抽出容器が周囲圧力に徐々に減圧される。この減圧化は、膨張弁によって制御され、この膨張弁は、抽出容器に取り付けられた上流の入口弁と、抽出容器に取り付けられた下流の出口弁とを備える。膨張弁を開けることは、入口弁が閉じられた状態を維持する一方で出口弁を開けることを包含し、これが、抽出チャンバーからのSCCO
2及び残留する溶媒/分散媒体の流れを可能にすることによって、抽出容器内の圧力を減らす。膨張弁の出口が抽出チャンバーよりも低い圧力にあるために、SCCO
2の流れが生じる。一実施形態では、膨張弁の出口は周囲圧力である。膨張弁を横断して生じた減圧又は圧力降下は、そこを通って流れる物質の体積膨張をもたらすために、膨張弁と呼ばれる。抽出容器からのSCCO
2及び溶媒/分散媒体の外方向の流れは、固体形状の治療用物質が残留された状態で、ステントのルーメン空間からの溶媒/分散媒体の抽出をもたらす。使用での特定の溶媒/分散媒体並びに膨張弁のノズルの幾何学的構造に応じて、抽出された溶媒/分散媒体は、気体状態にも変化されて膨張弁の出口で蒸発し得、又は液体状態で抽出される。一実施形態では、ルーメン内の残留する溶媒/分散媒体の微少量までの除去を効果的に行うために、追加的加熱/加圧、保持及び減圧工程又はデューティーサイクル、すなわち、工程2938A〜2938Cが、繰り返し又は周期的に使用されてもよい。
【0067】
残留する溶媒/分散媒体のステントのルーメンからの除去に加えて、SCCO
2はまたシロリムスなどの特定の薬剤を溶解することに関して低容量性を示した。したがって、SCCO
2は、充填プロセス後のステントの外部表面上に位置するいかなる薬剤残渣も除去する上で有用である。特に、上記の保持時間中に、SCCO
2はまた、いずれの外部の残留溶媒及び外部薬剤残渣の小フラクションも溶解し、これによって、ステント外部表面に洗浄の実質的効果をもたらす。
【0068】
図30に示される動的抽出法では、方法工程3020、3038A及び3038Bは、
図29の方法の2920、2938A及び2938Bに関して上述されたものと同様である。第1の工程3020では、ステント100は、本明細書に記載される任意の充填法を介して、溶液又は懸濁液のいずれかで、薬剤組成物で充填又は装填される。第2の工程3038Aでは、溶液/懸濁液で充填されたステント100が、抽出容器の内部に配置され、31℃〜40℃の間の温度に加熱され、次いで抽出容器内の温度及び圧力がCO
2に関する臨界条件より高くなるまで、1100psi〜9000psiの間の圧力まで加圧された二酸化炭素(CO
2)で充填される。第3の工程3038Bでは、SCCO
2をステント100のルーメン空間に貫通させ並びに充填プロセスから残された残留溶媒/分散媒体を溶解させるために保持時間が持続される。
図30の方法の第4の工程3038Cでは、SCCO
2が中空ステント100のルーメン空間を貫通し残留する溶媒/分散媒体を溶解した後に、抽出容器圧力をSCCO
2の新鮮な供給の連続的流入を通して維持すると同時に、膨張弁を絞ることによって、抽出容器が動的に流れるよう許可される。SCCO
2の連続的流入は、加圧された二酸化炭素を抽出容器に連続的に加えること並びに抽出容器からの物質の流出を制御するために膨張弁を絞ることによって達成される。この実施形態では、上流の入口弁及び下流の出口弁の双方が開かれたままでいるために、抽出プロセス中に抽出容器は決して減圧されることない。動的抽出中にSCCO
2の新鮮な供給をもたらすために、CO
2ポンプは、新鮮なSCCO
2を抽出容器に連続して添加する。
【0069】
本明細書の実施形態では、静的及び/又は動的SCCO
2抽出法は、2000〜6000psiの間の圧力にて、30〜120分の間の総時間で充填されたステントで1つ以上のサイクルで使用される。SCCO
2抽出法は、ルーメン内の溶媒レベルを少量まで減少させる。更に、様々な実施形態では、中空ステントの外部表面を洗浄するために、本明細書で記載される1つ以上の洗浄法がSCCO
2抽出法の後に使用されてもよい。
【0070】
溶媒抽出;cryovaclo昇華実施形態
図31及び
図32を参照すると、その中で、cryovac昇華が本明細書の実施形態によるルーメン内残留溶媒を抽出するために使用される方法が示されている。特に、
図32の方法の第1の工程32230で示されるように、ステントが、溶液に好適である本明細書に記載される充填法を介して、治療用物質を含有する溶液で充填又は装填されることで、中空ワイヤ102のルーメン空間が薬剤溶液で充填される。一実施形態では、薬剤溶液は、アセトニトリル及びシロリムスを含有する。
【0071】
充填された後の
図32の方法の第2の工程3238Aは、溶液から薬剤を沈殿させるために、中空ステント100を冷却することである。特に、
図31を参照すると、
図32の方法のcryovac昇華工程3238A〜3238Cを実行するために適した装置2713が示されている。1つ以上の充填されたステントが、試料ホルダー2711に配置される。一実施形態では、充填されたステントを薬剤溶液中に浸漬された状態で保つために、追加的薬剤溶液が試料ホルダー2711に添加されてもよい。薬剤溶液中に充填されたステントを浸漬することは、乾燥した薬剤の流延層を薬剤送達用側面開口部104の全体にわたって作成する可能性があるステントの表面が乾燥することを防止し、これによって、開口部を遮断し、溶媒除去を防止する。
【0072】
次いで、試料ホルダー2711が、装置2713の処理チャンバー2709内に位置する冷却用プレート2701に取り付けられ、冷却材供給ライン2706及び冷却材戻りライン2708を介して循環する冷却材を通して冷却される。一実施形態では、試料ホルダー2711を冷却プレート上に取り付ける間の溶媒の蒸発を最小限にとどめるために、装置2713は、加圧された不活性気体、すなわち、大気圧より高い圧力が処理チャンバー2709に導入されるような、特別な予備調整工程を含んでもよい。不活性気体の例としては、アルゴン、ヘリウム、及び窒素が挙げられるが、これに限定されない。この予備調整工程は、試料ホルダー2711が冷却用プレート2701に取り付けられ、処理チャンバー2709が大気に対して閉じられるまで継続する。別の実施形態では、予備調整工程は、試料ホルダー2711が冷却用プレート2701によって冷却され、薬剤が薬剤溶液から沈殿するまで更に継続してもよい。処理チャンバー2709の温度及び圧力は、薬剤溶液の温度は、薬剤が溶媒から沈殿するために十分であるように制御かつ操作される。特に、温度は沈殿のために重要な要素ではあるが、圧力制御も沈殿が生じるために要求される温度に到達するために必要とされ、したがって、処理チャンバー2709の温度及び圧力の双方が制御される必要がある。冷却用プレート2701の温度は、冷却材温度によって並びに冷却材供給ライン2706及び冷却材戻りライン2708を通してどれ程の量の冷却剤が供給されるかによって制御され、処理チャンバー2709の圧力は、真空ポンプ2707を介して制御される。更に、熱電対2704が、冷却用プレート2701の温度を監視するために使用され、並びに圧力センサー2705が処理チャンバー2709内の圧力を監視するために使用される。一実施形態では、薬剤の沈殿は、アセトニトリル及びシロリムスの溶液については、冷却用プレート2701に関しておよそ−20℃の温度で、並びに処理チャンバー2709に関して600torrの圧力で発生する。冷却用プレート2701によってもたらされる冷却速度は、溶媒昇華中に薬剤の飛散が最小限にとどめられるように、溶媒を凍結する前に、沈殿した薬剤が溶媒から沈降又は空間的に離隔し得ることを確実にするために制御され又は十分に遅くすることが可能である。冷却速度の制御は、薬剤が沈殿する場合の条件に溶液近づくにつれて、より重要である。
【0073】
沈殿後に、ステントのルーメン空間及びステントの外表面上の双方に、溶媒が液相で存在すると同時に治療用物質又は薬剤は固相で存在する。溶媒から薬剤を沈殿させることによって、薬剤と溶媒とが分離され、乾燥した薬剤の流延層は、乾燥の際に開口部104を遮断するように形成しない。
図32に示すように、プロセスの第3の工程3238Bは、溶媒を固化又はとうけつするために、ステントを冷却することを更に含む。このように、溶媒を凍結するためにステントをされに冷却することは、沈殿した薬剤と溶媒部分との相対的位置をロックする。溶媒を凍結するために、試料ホルダー2711は、溶媒の融点未満の温度に到達せねばならない。溶媒に応じて、試料ホルダー2711の温度は、−150℃〜0℃の間の温度に到達するよう要求される。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、乳酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ヘキサン及び水が挙げられるが、これに限定されない。以下の表は、これら代表的溶媒の融点温度を列記する。
【表1】
【0074】
溶媒が固化された後、
図32の方法の第4の工程3238Cは、凍結した溶媒をステントから昇華させるためのものである。昇華は、中間の液相を通過しない固相から気相に至る物質の相転移である。特に、1.0E
-3〜1.0E
-8Torrのオーダーでの強い真空が、真空ポンプ2707を介して処理チャンバー2709に加えられることで、溶媒は昇華し、ステントのルーメン空間内に固体薬剤のみを残す。溶媒除去の後に、処理チャンバー2709の温度及び圧力が、大気条件に増加され、ステントが装置2713から取り出される。
【0075】
一実施例では、シロリムス及びアセトニトリルの溶液でステントを逆方向充填するために、中空ステントを、1時間より長く超音波処理した。薬剤溶液でステントを充填した後に、ステントを試料ホルダー2711内に配置し、更なる薬剤溶液を添加し、充填されたステントを完全に浸漬させた。次いで試料ホルダーを冷却用プレート2701上に配置した。次いで処理チャンバー2709を600tprrに真空排気し、冷却用プレート2701をおよそ−17℃に急冷させた。次いで、薬剤の沈殿及び溶媒の固化が観察されるまで、冷却速度をおよそ3℃/分に制御した。次いで処理チャンバー2709を1×10−3torr未満まで真空排気し、冷却用プレート2701をおよそ−45℃まで冷却した。次いで、処理チャンバー2709が連続的に真空排気させて、冷却用プレート2701を0.5℃/分の近似速度で加温させた。冷却用プレート2701の温度がおよそ−20℃であるおよそ45分後に、試料ホルダー2711を取り出した。判断の基準として、冷却用プレート2701の温度と試料の温度は、同一でなくともよい。温度における差は、冷却用プレートのデザイン、熱電対の位置、試料ホルダーの位置、冷却材供給および戻りラインの位置、加えて他の要因によるものである。この実施例において、冷却用プレート2701は銅で構成され、試料ホルダー2711に比べて大きな面積を有した。熱電対2704は、冷却用プレート2701の中心に位置し、冷却用ホルダー2711は、冷却用プレート2701の中心近くに位置した。冷却材供給ライン2706及び冷却材戻りライン2708は、中心近くで冷却用プレート2701に接触するよう方向づけられた。この構造では、熱電対2704からの冷却用プレート2701の表示された温度は、試料ホルダー2711のものよりもより暖かい温度をもたらした。したがって、冷却工程中のおよそ−17℃への冷却用プレート2701の急速冷却はまた、試料ホルダー、つまり薬剤溶液がより低い温度にあったことを意味する。同様に、冷却プレート2701の−30℃での温度及び表示された温度で観察された溶媒の固化は、試料ホルダー2711及び更に試料もより低い温度にあったことを意味する。アセトニトリルの融点が−45℃であるとすると、冷却用プレート2701と試料との間の温度オフセットは、およそ15℃であった。
【0076】
一実施形態では、溶媒の除去を促進するために、プロセスの任意の箇所で振動エネルギーが装置2713に加えられてもよい。沈殿及び後続の溶媒凍結工程中に、薬剤及び溶媒は、薬剤の体積が凍結した溶媒によって包囲される又は逆も同様である明確な領域に分離し得る。凍結した溶媒の体積が薬剤によって包囲される場合、捕捉された溶媒は昇華し得ない。振動エネルギーの添加は、昇華を可能にするために、薬剤が溶媒をそれ以上完全に包囲しないように薬剤を移動させ得る。このような振動エネルギーは、ピエゾ電気変換器、振動磁石、又は極低温及び高真空プロセスに適合する任意の好適な技術を介して印加される。
【0077】
ステント装填プロセスのステント洗浄工程
図5に示される方法を参照すると、ステントのルーメンから溶媒が抽出された後、薬剤装填法の第3の工程は、ステント洗浄546である。薬剤組成物で中空ステントを充填するために使用された上記の方法は、ステントを充填するために用いられた薬剤組成物で被覆されたルーメン、ルーメン外部、ストラット間表面及びクラウン間表面を含むステントの全ての外側表面をもたらす。ステントの全ての外側表面は、薬剤送達用側面開口部が存在しない領域で実質的に薬剤を含まない状態であるべきである。好ましくは、ステント洗浄プロセスは、ステントの物理的操作がなく並びにステントのルーメン空間の内側の薬剤充填を妨害することなく、外表面薬剤残渣を除去する。
【0078】
図5Cは、薬剤装填プロセスのステント洗浄546のより詳細なフローチャートを示す。特に、ステント洗浄546は、CO
2ドライアイススノー噴霧装置を使用する方法などの無溶媒洗浄法548、及び/又は溶媒系スプレー法554、組織ブラシを使用する機械的操作洗浄法556、及び/又は溶媒系濯ぎ洗い法558が挙げられる溶媒系洗浄法552の1つ以上によって実施される。上述の洗浄法の任意の組み合わせが、ステントを洗浄するために使用される。洗浄法(複数可)の選択は、薬剤組成物成分、ステント表面上の乾燥成分の粘性、洗浄の結果としてステント内から除去される不実様な薬剤の度合い、及びステントルーメン内に捕捉された不必要な溶媒の度合いなどの要因によって支配される。各方法が、以下により詳細に説明される。
【0079】
無溶媒のステント洗浄
一実施形態では、CO
2ドライアイススノースプレー装置としても知られるCO
2スプレー洗浄システムは、目的とされる外側表面の薬剤残渣の除去のために用いられる。好適なCO
2スプレー洗浄機は、Applied Surface Technologiesから入手可能であるが、ステントでの使用のために追加的修正が必要である。CO
2スプレー洗浄機は、高純度の液体CO
2を取り込み、それを高速で特別にデザインされたオリフィス膨張ノズル全体に膨張させる。膨張で温度降下及び圧力降下の双方が生じ、これによって、液体CO
2をヅライアイススノーとしても知られる固体の微小粒子CO
2に変換する。膨張後に光速ドライアイススノーが、薬剤残渣を含有するステントの領域に向けられる。ドライアイスが接触するステントの表面は、ステント表面での温度の低下を引き起こし、周辺空気からの水蒸気の凝結に続く。ドライアイスの連続的適用は、凝結した水を凍結させる。凍結した水は、ドライアイスによる更なる洗浄からステント表面を効果的に遮蔽する。凍結した水の形成を最小限にするための修正は、ステントを加温するための包囲部材の添加である。更に加えて、この包囲部材は、存在する水蒸気の量を最小化するために、アルゴン又は窒素などの不活性気体でパージされてもよい。ステント表面の洗浄は、ビーズブラストに類似する薬剤残渣へのドライアイススノーの運動量移行によって生じる。ステントの接触後に、ドライアイススノー粒子が周囲温度によって加温され、CO
2は最終的に気体状態に戻る。最終的効果は、ステントから外部薬剤残渣を除去する無溶媒洗浄プロセスである。
【0080】
溶媒系スプレーシステムでのステント洗浄
溶媒スプレーシステムは、エジェクターシステムに基づいてデザインされ、ここでは、空気又は窒素が、溶媒を搬入する作動流体として働き、溶媒を微細な液滴又はミストに霧化する。このミストが高速でステントに向けられる。スプレーシステムで使用される溶媒に応じて、高速ミストがステント外側表面から薬剤組成物残渣を溶解する又は移動させる。様々なエジェクターシステムが使用されてもよい。例示的エジェクターシステムは、溶媒の小型のリザーバに接続された、通常はチリ粒子の吹飛ばしに用いられる窒素ペン又はエアーブラシであってもよい。
【0081】
溶媒スプレーシステムで使用される溶媒は、薬剤溶解の量、及び引き続くステントのルーメン空間からの除去の量を最小限にするように選択される。したがって、溶媒は薬剤を溶解するための限定された能力又は不能性に基づいて選択される。シロリムスを含む様々な治療用薬剤を溶解するための限定された能力を備える溶媒の例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、及びこれらアルコールと水との任意の質量比での組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。水の添加は、水に不溶性であるシロリムスなどの治療用薬剤に対するこれらの簡単なアルコールの溶解能力を抑制するよう働く。低薬剤溶解度溶媒を用いる場合、外部表面の薬剤組成物残渣は主に溶解によって除去され、スプレー速度による移動が続く。シロリムスを含む様々な治療用薬剤を溶解することができない溶媒の例としては、水及び簡単なアルカン(C5〜C10)が挙げられるが、これに限定されない。非薬剤溶解性溶媒を用いる場合、外部表面の薬剤組成物残渣はスプレー速度による移動によって主に除去される。
【0082】
組織ブラシを介する機械的操作によるステント洗浄
図33は、その中でステントの外部表面が組織ブラシ333を介しての機械的操作によって洗浄される、ステント洗浄の別の実施形態を示す。組織ブラシ法は手動であり、高度なステント処理を必要とする。ユーザーは、洗浄プロセス中に機械的一体性が損なわれないことを確保しつつ、全ての外部汚染物を除去するために十分に激しくステントを洗浄せねばならない。
図34に示されるように、溶媒335は、洗浄を補助するためにブラシに添加されてもよいが、過剰の溶媒は、ステントの内部部分から薬剤を除去する可能性及び/又は残留溶媒を添加する可能性もあり、薬剤装填手順に大量の変動をもたらす。
【0083】
溶媒系濯ぎ洗いシステムによるステント洗浄
溶媒濯ぎ洗い洗浄システムは、薬剤又は薬剤と賦形剤とを溶解する限定された能力を有する又はその能力を有さない溶媒系中への中空ステント100の完全な浸漬又はディッピングを包含する。溶媒濯ぎ洗い洗浄システムは、ステントが完全に浸漬される時間を厳密に制御しなければならない。ボルテックス、混合、回旋、又は総流体撹拌の他の手段が、バルク流体をステント表面全体にわたって剪断するために使用され、これによって、ステント外部表面を洗浄する。溶媒は薬剤を溶解するための限定された能力又は不能性に基づいて選択される。
【0084】
溶媒濯ぎ洗いシステムで使用される溶媒は、薬剤溶解の量、及び後続の中空ステント100のルーメン空間からの除去の量を最小限にとどめるべきである。したがって、シロリムスを含む様々な治療用薬剤を溶解するための限定された能力を備える溶媒の例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、及びこれらアルコールと水との任意の質量比での組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。水の添加は、水に不溶性であるシロリムスなどの治療用薬剤に対するこれらの簡単なアルコールの溶解能力を抑制するよう働く。低薬剤溶解度溶媒を用いる場合、外部表面の薬剤組成物残渣は主に溶解によって除去され、総流体撹拌による移動が続く。シロリムスを含む様々な治療用薬剤を溶解することができない溶媒の例としては、水及び簡単なアルカン(C5〜C10)が挙げられるが、これに限定されない。非薬剤溶解性溶媒を用いる場合、外部表面の薬剤組成物残渣は総流体撹拌による移動によって主に除去される。
【0085】
例示的組み合わせ/プロセス
要約すると、中空ステント100などの薬剤溶出ステントは、
図5に示されるような3つの主要部分又は工程を含む方法によって薬剤で装填され、これらは、薬剤充填工程520、溶媒抽出工程538、及びステント洗浄工程546を包含する。薬剤装填プロセスのこの3つの主要工程のそれぞれに関する様々な方法が本明細書に記載され、本明細書の実施形態による完全な装填プロセスが、薬剤充填の1つ以上のタイプ、溶媒抽出の1つ以上のタイプ、及びステント洗浄の1つ以上のタイプを包含し得ること、並びに本明細書で記載される方法が様々な組み合わせで使用されることが当業者には明らかになるであろう。
【0086】
例えば、
図35は、薬剤充填、溶媒抽出、及びステント洗浄に関して本明細書で記載された装置及び方法の1つの例示的組み合わせを示す。薬剤充填工程3520については、中空ステント100が、上記のように、例えば
図24の装置を参照して、振動/超音波処理を使用して逆方向充填される。薬剤が、1つ以上の賦形剤を有する高容量溶媒及び/又は低容量溶媒中に溶解される。溶媒抽出工程3538については、超臨界二酸化炭素(SCCO
2)抽出が、ルーメン内の残留する溶媒を微少量まで低減させるために使用される。
図30を参照して説明されたような静的SCCO
2抽出法が用いられてもよい。最後に、ステントは、上記のようなCO
2ドライアイススノースプレーシステムを使用する洗浄工程3546を介して洗浄される。
【0087】
図36は、薬剤充填、溶媒抽出、及びステント洗浄に関して本明細書で記載された装置及び方法の別の例示的組み合わせを示す。薬剤充填工程3620については、ステントが、上記のように、例えば
図24の装置を参照して、振動/超音波処理を使用して逆方向充填される。薬剤が、少なくとも尿素を含有する、1つ以上の賦形剤を有する高容量溶媒中に溶解される。溶媒抽出工程3638については、
図31及び
図32を参照して本明細書で説明されたようなcryovac昇華が、ルーメン内の残留する溶媒を微少量まで低減させるために使用される。最後に、ステントは、上記のようなCO
2ドライアイススノースプレーシステムを使用する洗浄工程3646を介して洗浄される。
【0088】
図37は、薬剤充填、溶媒抽出、及びステント洗浄に関して本明細書で記載された装置及び方法の別の例示的組み合わせを示す。薬剤充填工程3720については、ステントが、上記のように、例えば
図24の装置を参照して、振動/超音波処理を使用して逆方向充填される。薬剤が、溶媒中に懸濁されてスラリー/懸濁液を形成し、薬剤粒子のサイズは、nm範囲にあることが好ましい。溶媒抽出工程3738については、中空ワイヤのルーメン空間内に収容されたいずれの溶媒も蒸発させるために、ステントは真空オーブン内で乾燥される。最後に、ステントは、上記のようなCO
2ドライアイススノースプレーシステムを使用する洗浄工程3746を介して洗浄される。
【0089】
薬剤充填、溶媒抽出、及びステント洗浄に関する上記の組み合わせは、ただ単に例示的目的のためのものである。上記方法の様々な組み合わせが薬剤溶出ステントを装填するために、本明細書で使用されることが、当業者には明白になるであろう。
【0090】
本発明の様々な実施形態が上記で説明されてきたが、これらはただ単に説明及び例示によって提示されたものであって、限定するものではないことが理解されるべきである。形態と細部における様々な変更が、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいてその中でなされることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の全般及び範囲は、上記の例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。本明細書で説明された各々の実施形態、並びに本明細書で引用された各々の参照の各特徴は、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用される。更には、前述の技術分野、背景技術、発明の概要又は発明を実施するための形態において提示されたいずれかの明示又は黙示された理論によって拘束されるようとする意図はない。本明細書で論じられる全ての特許文献及び刊行物は、それらの全体を参照により本明細書に組み込むものとする。