特許第5928922号(P5928922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928922
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】ロボットシステム及びロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20160519BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   B25J13/00 Z
   B25J9/22 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-508942(P2014-508942)
(86)(22)【出願日】2012年4月2日
(86)【国際出願番号】JP2012058984
(87)【国際公開番号】WO2013150598
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2014年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100104503
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100191112
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修
(72)【発明者】
【氏名】上野 智広
(72)【発明者】
【氏名】木原 英治
(72)【発明者】
【氏名】難波 太郎
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−053054(JP,A)
【文献】 特開平07−277513(JP,A)
【文献】 特開平08−267382(JP,A)
【文献】 実開平05−061133(JP,U)
【文献】 特開平05−000729(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/110213(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームの先端に交換可能に取り付けられたツールを用いて、1以上の被対象物を保持した状態で積み込んで積込体を形成する第1ロボットと、
前記第1ロボットの動作を制御する第1ロボット制御装置と、
前記第1ロボットが各被対象物を積み込む際に用いた前記ツールの種類情報を含む各被対象物の積込情報を記憶する積込情報記憶装置と、
アームの先端に交換可能に取り付けられたツールを用いて、前記積込体から前記1以上の被対象物を保持した状態で積み出す第2ロボットと、
前記第2ロボットの動作を制御する第2ロボット制御装置と、
を有し、
前記第2ロボット制御装置は、
前記積込情報記憶装置に記憶された各被対象物の前記積込情報に基づいて、前記第2ロボットが前記被対象物の保持に使用する前記ツールの種類を含む前記第2ロボットの動作態様を決定する第1動作態様決定部を備え、前記第1動作態様決定部が決定した前記動作態様に基づいて、前記ツールの交換動作を含む前記第2ロボットの動作を制御する
ことを特徴とする、ロボットシステム。
【請求項2】
前記積込情報記憶装置は、
各被対象物の前記積込情報として、前記ツールの種類情報を含む各被対象物の保持態様情報、及び、各被対象物の積込位置情報、を記憶する
ことを特徴とする、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第2ロボット制御装置の前記第1動作態様決定部は、
前記積込情報記憶装置に記憶された、各被対象物の前記保持態様情報、及び、各被対象物の前記積込位置情報、に基づいて、前記第2ロボットの動作態様として、前記ツールの種類を含む各被対象物の保持態様、及び、前記積込体からの各被対象物の積出順序、を決定する
ことを特徴とする、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
アームの先端に交換可能に取り付けられたツールを用いて、1以上の被対象物を保持した状態で積み込んで積込体を形成する第3ロボットの動作を制御するロボット制御装置であって、
前記第3ロボットが各被対象物を積み込む際に用いた前記ツールの種類情報を含む各被対象物の積込情報を生成する積込情報生成部と、
前記積込情報生成部が生成した各被対象物の積込情報を積込情報記憶装置へ出力する積込情報出力部と、
を有することを特徴とする、ロボット制御装置。
【請求項5】
アームの先端に交換可能に取り付けられたツールを用いて、予め1以上の被対象物が積み込まれて形成された積込体から前記1以上の被対象物を保持した状態で積み出す第4ロボットの動作を制御するロボット制御装置であって、
前記積込体の形成時に生成されて積込情報記憶装置に記憶された、各被対象物を積み込む際に用いられたツールの種類情報を含む各被対象物の積込情報を入力する積込情報入力部と、
前記積込情報入力部が入力した各被対象物の積込情報に基づいて、前記第4ロボットが前記被対象物の保持に使用する前記ツールの種類を含む前記第4ロボットの動作態様を決定する第2動作態様決定部と、
を有し、
前記第2動作態様決定部が決定した前記動作態様に基づいて、前記ツールの交換動作を含む前記第4ロボットの動作を制御する
ことを特徴とする、ロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ロボットシステム及びロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品位置認識装置が開示されている。この物品位置認識装置は、パレット上の被対象物(物品)をその上方から撮影するCCDカメラと、CCDカメラの撮影データを基に被対象物を認識する画像処理装置と、パレット上の被対象物を少なくとも平面移動することが可能なロボットとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−172605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ある現場でロボットを用いて被対象物を積み込んで積込体を形成する積込作業を行った後、その積込体を別の現場に運送し、その運送先の現場でロボットを用いて積込体から被対象物を積み出す積出作業を行う場合がある。このような場合、一般には、まず積み込み側の現場で積込作業を行う際に、視覚センサ及び画像処理装置を用いて被対象物の検知を行ってロボットの動作態様を決定して、その決定した動作態様に基づいて、積込作業におけるロボットの動作を制御する。そして、積み出し側の現場で積出作業を行う際にも、積み込み側の現場と同様に、視覚センサ及び画像処理装置を用いて上記積込体における被対象物の検知を行ってロボットの動作態様を決定して、その決定した動作態様に基づいて、積出作業におけるロボットの動作を制御する。以上のように、従来では、積み込み側及び積み出し側の両方の現場で、視覚センサ及び画像処理装置を用いて被対象物の検知を行う必要があったので、不便であった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、利便性を向上できるロボットシステム及びロボット制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、1以上の被対象物を保持しつつ積み込んで積込体を形成する第1ロボットと、前記第1ロボットの動作を制御する第1ロボット制御装置と、前記第1ロボットにより積み込まれた各被対象物の積込情報を記憶する積込情報記憶装置と、前記積込体から前記1以上の被対象物を保持しつつ積み出す第2ロボットと、前記第2ロボットの動作を制御する第2ロボット制御装置と、を有し、前記第2ロボット制御装置は、前記積込情報記憶装置に記憶された各被対象物の前記積込情報に基づいて、前記第2ロボットの動作態様を決定する第1動作態様決定部を備え、前記第1動作態様決定部が決定した前記動作態様に基づいて、前記第2ロボットの動作を制御するロボットシステムが適用される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施の形態のロボットシステムの全体構成を模式的に表すシステム構成図である。
図2】中央サーバの別の例を表す説明図である。
図3】積込現場の作業設備の構成を模式的に表す説明図である。
図4】積出現場の作業設備の構成を模式的に表す説明図である。
図5】積込現場のロボットコントローラ、積出現場のロボットコントローラ、及び中央サーバの機能的構成を表す機能ブロック図である。
図6】積込現場のロボットコントローラにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
図7】積出現場のロボットコントローラにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態のロボットシステム1は、積込現場に設けられた作業設備100A(図1中では図示省略。後述の図3参照)と、積出現場に設けられた作業設備100B(図1中では図示省略。後述の図4参照)と、中央サーバ200とを有している。積込現場は、例えば荷物運送サービスの利用者により持ち込まれた複数の荷物W(被対象物。後述の図3参照)の積み込みを行う現場である。積出現場は、積込現場で積み込まれて適宜の運送手段(例えばトラックや列車、船舶、航空機等)により運送されてきた複数の荷物Wの積み出しを行う現場である。中央サーバ200は、積込現場及び積出現場の作業設備100A,100B間で共通(共有)化されたサーバである。この中央サーバ200は、ネットワーククラウドNW1で連結された1以上の演算装置及び記憶装置の集合体として構成されており、作業設備100A,100Bのそれぞれに対しデータ通信可能に接続されている。なお、図2に示すように、中央サーバ200として、各作業設備100A,100Bと適宜のネットワークNW2を介して接続される単一の演算装置を用いることもできる。この場合、中央サーバ200は、例えばロボットシステム1の管理会社の社屋等に設置される。
【0011】
図3に示すように、積込現場には、作業設備100Aとして、コンベア101Aと、ロボット110Aと、ロボットコントローラ120Aと、レンズ131を備えたカメラ130と、画像処理装置140と、高さセンサ150とが設けられている。なお、ロボット110Aは、第1ロボット及び第3ロボットに相当し、ロボットコントローラ120Aは、第1ロボット制御装置及びロボット制御装置に相当する。
【0012】
コンベア101Aは、例えば荷物運送サービスの利用者により持ち込まれた複数の荷物Wを所定の搬送方向(図3中の矢印Aで示す方向)に搬送する。荷物Wは、この例では、個体間で形状にばらつきがあって、個体間で形状が不定な不定形物である。各荷物Wには、ICタグTが貼付されている。ICタグTには、固有の識別情報であるタグIDと、荷物Wの仕向地(送り先)の情報を含む仕向地情報とが記録されている。なお、これ以外の情報(例えば、荷物Wの形状や重さの情報、所有者の情報等)をICタグTに記憶させてもよい。
【0013】
ロボット110Aは、コンベア101Aにより連続して続々と搬送されてくる荷物Wを保持して、それらを仕向地に応じて仕分けつつ、仕向地に応じて設けられたパレットP上に積み込んで積込体WWを形成する、積込作業を行う。形成された積込体WWは、パレットP上に載置された状態で、適宜の運送手段により仕向地に応じた積出現場に運送される。このロボット110Aは、アーム111と、このアーム111を駆動するためのサーボモータをそれぞれ備えたアクチュエータAc1,Ac2,Ac3,Ac4,Ac5,Ac6とを有している。アーム111の先端には、荷物Wを真空吸着により持ち上げ(保持)可能な吸着式ハンド112が取り付けられている。また、図3中では図示を省略しているが、ロボット110Aの近傍には、吸着式ハンド112とは種類の異なるツール112(例えば、サーボハンド、フォーク式ハンド、チャック式ハンド等)が設けられている。ロボット110Aは、ATC(Auto Tool Changer)等を用いたツール交換動作を行うことにより、アーム111の先端のツール112を交換できるようになっている。さらに、図3中では図示を省略しているが、アーム111の先端側には、積込作業時に、荷物Wに貼付されたICタグTから当該荷物Wの仕向地情報を取得するためのICタグリーダが取り付けられている。ICタグリーダにより取得された荷物Wの仕向地情報は、ロボットコントローラ120Aへ出力される。
【0014】
ロボットコントローラ120Aは、上記ネットワーククラウドNW1を介し上記中央サーバ200と相互にデータ通信可能に接続されている。このロボットコントローラ120Aは、上記アーム111に設けられた各アクチュエータAc1〜Ac6のサーボモータと相互通信可能に接続されており、これら各サーボモータの駆動制御を行う。これにより、各アクチュエータAc1〜Ac6の全体の動作、すなわちロボット110Aの動作を制御する。また、ロボットコントローラ120Aは、上記アーム111の先端に取り付けられたツール112の動作(例えば吸着式ハンド112の吸着部を真空状態とするための図示しない真空装置のオン・オフ等)やICタグリーダの動作を制御する。
【0015】
カメラ130は、荷物Wの搬送経路の上流側上方において、搬送されてくる荷物Wを上記レンズ131を介し撮像可能なように、図示しない支持部材に固定されている。なお、カメラ130をロボット110A側(例えばアーム111の先端側等)に設けてもよい。このカメラ130は、搬送されてくる荷物Wをレンズ131を介し撮像して、その撮像した荷物Wの画像を含む画像情報を生成する。生成された画像情報は、画像処理装置140へ出力される。
【0016】
画像処理装置140は、カメラ130から出力された画像情報を入力し、その入力した画像情報を画像解析して、荷物Wの位置・姿勢及び形状(例えば、荷物Wの上面の形状)等を検知する。検知された荷物Wの位置・姿勢及び形状等の情報を含む画像解析情報は、ロボットコントローラ120Aへ出力される。
【0017】
高さセンサ150は、コンベア101の上記搬送経路を挟んでその両側に向かい合わせで配置された、投光部150a及び受光部150bを有している。投光部150aは、所定の高さ位置ごとに、受光部150bに向けて水平なレーザ光を投光する。受光部150bは、投光部150aから投光されたレーザ光を受光する。この高さセンサ150は、搬送されてくる荷物4が、投光部150a及び受光部150bの間に亘る光路151を通過したときのレーザ光の受光部60bでの受光結果、すなわち荷物Wで遮蔽されたレーザ光の高さ位置に基づいて、光路151を通過した荷物Wの高さ方向(鉛直方向)寸法を検出するようになっている。例えば、コンベア101の搬送面の高さ位置を「H1」とし、荷物Wで遮蔽されたレーザ光の高さ位置を「H2」とすると、「H2」における高さ方向の座標値(いわゆるz軸方向の座標値)と「H1」における高さ方向の座標値との差分に基づいて、荷物Wの高さ方向寸法を検出することができる。なお、高さセンサ150としては、荷物Wの高さ方向寸法を検出可能なその他の方式を適用してもよい。検出された荷物Wの高さ方向寸法の情報(以下適宜、単に「高さ情報」という)は、ロボットコントローラ120Aへ出力される。
【0018】
図4に示すように、積出現場には、作業設備100Bとして、コンベア101Bと、ロボット110Bと、ロボットコントローラ120Bとが設けられている。なお、ロボット110Bは、第2ロボット及び第4ロボットに相当し、ロボットコントローラ120Bは、第2ロボット制御装置及びロボット制御装置に相当する。
【0019】
ロボット110Bは、積込現場から適宜の運送手段により運送されてきたパレットP上に載置された積込体WWから複数の荷物Wを保持しつつ積み出して、コンベア101Bの搬送面上に載置する、積出作業を行う。このロボット110Bは、積込現場に設けられたロボット110Aと同様の構成を備えている。すなわち、ロボット110Bは、アーム111と、アクチュエータAc1〜Ac6とを有しており、アーム111の先端には、吸着式ハンド112が取り付けられている。また、図4中では図示を省略しているが、ロボット110Bの近傍には、吸着式ハンド112とは種類の異なるツール112が設けられており、ロボット110Bは、ATC等を用いたツール交換動作を行うことにより、アーム111の先端のツール112を交換できるようになっている。
【0020】
コンベア101Bは、ロボット110Bにより積み出された複数の荷物Wを所定の搬送方向(図4中の矢印Bで示す方向)に搬送する。
【0021】
ロボットコントローラ120Bは、上記ネットワーククラウドNW1を介し上記中央サーバ200と相互にデータ通信可能に接続されている。このロボットコントローラ120Bは、上記アーム111に設けられた各アクチュエータAc1〜Ac6のサーボモータと相互通信可能に接続されており、これら各サーボモータの駆動制御を行う。これにより、各アクチュエータAc1〜Ac6の全体の動作、すなわちロボット110Bの動作を制御する。また、ロボットコントローラ120Bは、上記アーム111の先端に取り付けられたツール112の動作を制御する。
【0022】
図5に示すように、積込現場に設けられた作業設備100Aのロボットコントローラ120Aは、機能的構成として、制御部121Aと、通信制御部122Aと、第1入出力部123aと、第2入出力部123bと、記憶装置124Aとを備えている。
【0023】
通信制御部122Aは、中央サーバ200との間でネットワーククラウドNW1を介し行われる情報通信の制御を行う。
【0024】
第1入出力部123aは、ロボット110Aとの間で行われる情報通信の制御を行う。例えば、第1入出力部123aは、ロボット110Aに取り付けられたICタグリーダから出力される荷物Wの仕向地情報の入力制御を行う。
【0025】
第2入出力部123bは、カメラ130に接続された画像処理装置140や、高さセンサ150との間で行われる情報通信の制御を行う。例えば、第2入出力部123bは、画像処理装置140から出力される画像解析情報(荷物Wの位置・姿勢及び形状等の情報)や、高さセンサ150から出力される荷物Wの高さ情報の入力制御を行う。
【0026】
記憶装置124Aは、例えばHDD(Hard Disk Drive)等で構成されており、各種情報等を記憶する。例えば、記憶装置124Aには、ロボット110Aの動作を規定する教示情報が記憶されている。
【0027】
制御部121Aは、ロボットコントローラ120A全体の制御を行う。例えば、制御部121Aは、記憶装置124Aに記憶された教示情報に基づいて、ロボット110Aの上記各サーボモータの駆動制御や、上記ツール112の動作制御、上記ICタグリーダの動作制御等を行って、ロボット110Aの動作を制御する。また例えば、制御部121Aは、ロボット110AがパレットP上に積み込む各荷物Wの積込情報(詳細は後述)を生成する。生成された各荷物Wの積込情報は、通信制御部122A及びネットワーククラウドNW1を介し中央サーバ200へ出力される。
【0028】
また、積出現場に設けられた作業設備100Bのロボットコントローラ120Bは、機能的構成として、制御部121Bと、通信制御部122Bと、入出力部125と、記憶装置124Bとを備えている。
【0029】
通信制御部122Bは、中央サーバ200との間でネットワーククラウドNW1を介し行われる情報通信の制御を行う。
【0030】
入出力部125は、ロボット110Bとの間で行われる情報通信の制御を行う。
【0031】
記憶装置124Bは、例えばHDD等で構成されており、各種情報等を記憶する。例えば、記憶装置124Bには、ロボット110Bの動作を規定する教示情報が記憶されている。
【0032】
制御部121Bは、ロボットコントローラ120B全体の制御を行う。例えば、制御部121Bは、記憶装置124Bに記憶された教示情報に基づいて、ロボット110Bの上記各サーボモータの駆動制御や、上記ツール112の動作制御等を行って、ロボット110Bの動作を制御する。
【0033】
また、中央サーバ200は、機能的構成として、制御部201と、通信制御部202と、大容量記憶装置203(積込情報記憶装置)とを備えている。
【0034】
制御部201は、中央サーバ200全体の制御を行う。
【0035】
通信制御部202は、積込現場及び積出現場のロボットコントローラ120A,120Bとの間でネットワーククラウドNW1を介し行われる情報通信の制御を行う。
【0036】
大容量記憶装置203は、ネットワーククラウドNW1内に存在する複数の記憶媒体の集合として構成されており、記憶容量等を可変に設定することができる。この大容量記憶装置203には、積込情報データベースが記憶されている。
【0037】
積込情報データベースには、積込現場のロボットコントローラ120AからネットワーククラウドNW1を介し入力された、ロボット110AによりパレットP上に積み込まれた各荷物Wの積込情報(詳細は後述)が記憶されている。
【0038】
以下、図6を用いて、積込現場に設けられたロボットコントローラ120Aの制御部121Aにより実行される制御手順を説明する。
【0039】
図6において、このフローに示す処理は、所定の開始操作(例えば、ロボットコントローラ120Aの電源オン)が行われることによって開始される。すなわち、搬送されてくる荷物Wがカメラ130により撮像されると、その荷物Wの画像情報が画像処理装置140により画像解析され、その画像解析情報(荷物Wの位置・姿勢及び形状等の情報)がロボットコントローラ120Aへ出力される。そして、荷物Wがさらに搬送され、上記光路151を通過すると、その荷物Wの高さ方向寸法が高さセンサ150により検出され、その荷物Wの高さ情報がロボットコントローラ120Aへ出力される。ロボットコントローラ120Aの制御部121Aは、ステップSA10で、画像処理装置140から出力された画像解析情報、及び、高さセンサ150から出力された荷物Wの高さ情報を、第2入出力部123bにより入力する。
【0040】
その後、ステップSA20で、制御部121Aは、ロボット110Aを動作させ、アーム111の先端側に取り付けられたICタグリーダにより、搬送されてくる荷物Wに貼付されたICタグTから当該荷物Wの仕向地情報を取得させて、その取得された荷物Wの仕向地情報を第1入出力部123aにより入力する。
【0041】
そして、ステップSA30に移り、制御部121Aは、上記ステップSA20で入力された荷物Wの仕向地情報に基づいて、当該荷物Wの積み込み先(仕分け先)となるパレットPを決定する。また、上記ステップSA10で入力された画像解析情報及び荷物Wの高さ情報に基づいて、上記決定したパレットP上に荷物Wを積み込む際のロボット110Aの動作態様として、荷物Wの保持態様、及び、荷物Wの上記決定したパレットP上での積込位置を決定する。荷物Wの保持態様とは、例えば、荷物Wの保持に使用するツール112の種類、ツール112による荷物Wの保持位置(座標)、荷物Wの保持時の動作速度等の、荷物Wの保持に関する態様である。
【0042】
その後、ステップSA40で、制御部121Aは、上記ステップSA30で決定された動作態様に基づいて、ロボット110Aを動作させる。これにより、アーム111の先端に取り付けたツール112により、搬送されてくる荷物Wの保持位置を保持させ、パレットP上の積込位置に積み込ませる。
【0043】
そして、ステップSA50に移り、制御部121Aは、上記ステップSA40においてロボット110AによりパレットP上に積み込んだ荷物Wの積込情報を生成する。荷物Wの積込情報には、上記ステップSA30で決定された荷物Wの保持態様に対応する保持態様情報、及び、上記ステップSA30で決定された荷物Wの積込位置に対応する積込位置情報が含まれる。このステップSA50の手順が、積込情報生成部として機能する。
【0044】
その後、ステップSA60で、制御部121Aは、上記ステップSA50で生成された荷物Wの積込情報(保持態様情報及び積込位置情報)を、通信制御部122AによりネットワーククラウドNW1を介し中央サーバ200の上記積込情報データベースへ出力して記憶させる。このステップSA60の手順が、積込情報出力部として機能する。
【0045】
そして、ステップSA70に移り、制御部121Aは、コンベア101Aにより搬送される複数の荷物Wの積み込みが完了しているかどうかを判定する。積み込みが完了していない場合には、ステップSA70の判定は満たされず、上記ステップSA10に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、積み込みが完了していた場合には、ステップSA70の判定が満たされて、このフローに示す処理を終了する。なお、以上のようにして、パレットP上に複数の荷物Wが積み上げられることにより形成された積込体WWは、パレットP上に載置された状態で、適宜の運送手段により仕向地に応じた積出現場に運送される。
【0046】
以下、図7を用いて、積出現場に設けられたロボットコントローラ120Bの制御部121Bにより実行される制御手順を説明する。
【0047】
図7において、このフローに示す処理は、所定の開始操作(例えば、ロボットコントローラ120Bの電源オン)が行われることによって開始される。まずステップSB10で、ロボットコントローラ120Bの制御部121Bは、中央サーバ200の上記積込情報データベースに記憶された、この積出現場に応じたパレットP上に積み込まれた各荷物Wの積込情報(保持態様情報及び積込位置情報)を、通信制御部203によりネットワーククラウドNW1及び通信制御部122Bを介し取得(入力)する。このステップSB10の手順が、積込情報入力部として機能する。
【0048】
その後、ステップSB20で、制御部121Bは、上記ステップSB10で取得された、パレットP上に積み込まれた各荷物Wの積込情報に基づいて、当該パレットP上に載置された積込体WWから複数の荷物Wを積み出す際のロボット110Bの動作態様として、積込体WWからの各荷物Wの積出順序、及び、各荷物Wの保持態様(例えば、各荷物Wの保持に使用するツール112の種類、ツール112による各荷物Wの保持位置(座標)、各荷物Wの保持時の動作速度等の、各荷物Wの保持に関する態様)を決定する。このステップSB20の手順が、第1動作態様決定部及び第2動作態様決定部として機能する。
【0049】
そして、ステップSB30に移り、制御部121Bは、上記ステップSB20で決定された動作態様に基づいて、ロボット110Bを動作させる。これにより、アーム111の先端に取り付けたツール112により、パレットP上に載置された積込体WWにおける荷物Wの保持位置を保持させ、当該荷物Wを積み出させて、コンベア101Bの搬送面上に載置させる。
【0050】
その後、ステップSB40で、制御部121Bは、積込現場から運送されてきたパレットP上に載置された積込体WWからの積み出しが完了しているかどうかを判定する。積み出しが完了していない場合には、ステップSB40の判定は満たされず、上記ステップSB30に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、積み出しが完了していた場合には、ステップSB40の判定が満たされて、このフローに示す処理を終了する。
【0051】
以上説明した本実施形態のロボットシステム1において、積込現場では、カメラ130により撮像された荷物Wの画像情報が、画像処理装置140からロボットコントローラ120Aへ出力される。また、上記光路151を通過した荷物Wの高さ情報が、高さセンサ150からロボットコントローラ120Aへ出力される。そして、ロボットコントローラ120Aが、それら画像解析情報及び荷物Wの高さ情報に基づいて、ロボット110Aの動作態様を決定する。ロボット110Aは、その決定された動作態様に基づいて動作することで、複数の荷物Wを保持しつつ積み込んで積載体WWを形成することができる。ロボット110Aにより積み込まれた各荷物Wの積込情報は、中央サーバ200の積込情報データベースに記憶される。積出現場では、ロボットコントローラ120Bが、積込情報データベースに記憶された各荷物Wの積込情報に基づいて、ロボット110Bの動作態様を決定する。ロボット110Bは、その決定された動作態様に基づいて動作することで、積込体WWから各荷物Wを保持しつつ積み出すことができる。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、積出現場においてカメラ及び画像処理装置を用いて積載体WWにおける各荷物Wの検知を行わなくても、ロボット110Bにより積載体WWから荷物Wを保持しつつ積み出すことができる。これにより、積出現場の作業設備100Bの構成を簡素化することができると共に、作業設備100Bに対するコストを低減することができ、利便性を向上することができる。
【0053】
また、本実施形態では特に、積込情報データベースは、積込現場のロボット110Aにより積み込まれた各荷物Wの積込情報として、各荷物Wの保持態様情報及び積込位置情報を記憶する。積込現場のロボットコントローラ120Bは、積込情報データベースに記憶された各荷物Wの保持態様情報及び積込位置情報に基づいて、ロボット110Bの動作態様として、積載体WWにおける各荷物Wの保持態様及び積込体WWからの各荷物Wの積出順序を決定する。これにより、ロボット110Bにより積載体WWから荷物Wを円滑かつ確実に保持しつつ積み出すことができる。
【0054】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0055】
また、前述の図6及び図7に示すフローは実施の形態を図示する手順に限定するものではなく、趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0056】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態等による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
【0057】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態等は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 ロボットシステム
110A ロボット(第1ロボット、第3ロボット)
110B ロボット(第2ロボット、第4ロボット)
120A ロボットコントローラ(第1ロボット制御装置、ロボット制御装置)
120B ロボットコントローラ(第2ロボット制御装置、ロボット制御装置)
121A 制御部
121B 制御部
202 大容量記憶装置(積込情報記憶装置)
W 荷物(被対象物)
WW 積込体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7