特許第5928955号(P5928955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5928955磁性固形廃棄物の脱油方法および脱油装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928955
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】磁性固形廃棄物の脱油方法および脱油装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20160526BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20160526BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20160526BHJP
   B03C 1/02 20060101ALI20160526BHJP
   B03B 5/00 20060101ALI20160526BHJP
   B02C 19/06 20060101ALI20160526BHJP
   B02C 19/18 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   C02F11/00 K
   B09B3/00 304Z
   B09B3/00 ZZAB
   B03C1/00 A
   B03C1/02 C
   B03B5/00 Z
   B02C19/06 A
   B02C19/18 B
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-535447(P2012-535447)
(86)(22)【出願日】2010年10月25日
(65)【公表番号】特表2013-508146(P2013-508146A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】US2010053992
(87)【国際公開番号】WO2011050370
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年10月25日
(31)【優先権主張番号】61/254,266
(32)【優先日】2009年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313015007
【氏名又は名称】アミラン、モーセン シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(72)【発明者】
【氏名】アミラン、モーセン シー.
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−094170(JP,A)
【文献】 特開昭53−002383(JP,A)
【文献】 特開昭51−081781(JP,A)
【文献】 特開平04−227074(JP,A)
【文献】 米国特許第05125966(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0130611(US,A1)
【文献】 米国特許第06325079(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00−11/20
B09B1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分含有粒子処理方法であって、
粒子供給流に洗浄溶液を加えて洗浄済みスラリーを生成し、
前記洗浄済みスラリーを機械的粉砕機にかけて平均粒径を小さくし、
前記洗浄済みスラリーを磁性分離機にかけて鉄分スラリーを生成し、
前記鉄分スラリーを熱分離機にかけて炭化水素部分を抽出し、鉄分製造流を生成することを特徴とする油分含有粒子処理方法。
【請求項2】
前記油分含有粒子を分粒操作し、相対的に大きな粒子を前記粒子供給流から除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項3】
前記炭化水素部分の容積を濃縮する工程をさらに有することを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかの項に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項4】
前記洗浄溶液は、
石油系軟化剤と、
柔軟剤と、
可溶化剤と、
カップリング剤と、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項5】
前記洗浄溶液は、
20wt%乃至70wt%の石油系軟化剤と、
2wt%乃至50wt%の柔軟剤と、
5wt%乃至25wt%の可溶化剤と、
1wt%乃至10wt%のカップリング剤と、を含むことを特徴とする請求項4に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項6】
前記柔軟剤は、中性pH柔軟剤であることを特徴とする請求項4に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項7】
前記洗浄溶液は、pH調製剤および緩衝剤からなる群から選ばれる1種類の化合物をさらに有することを特徴とする請求項4に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項8】
前記柔軟剤は、中性pH柔軟剤であることを特徴とする請求項5に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項9】
前記洗浄溶液は、pH調整剤および緩衝剤からなる群から選ばれる1種類の化合物をさらに有することを特徴とする請求項5に記載する油分含有粒子処理方法
【請求項10】
前記石油系軟化剤は炭化水素燃料からなり、
前記柔軟剤はグリコールからなり、
前記可溶化剤は、エーテル類およびアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含み、
前記カップリング剤は有機酸を有することを特徴とする請求項4に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項11】
前記石油系軟化剤はディーゼル油を含み、
前記柔軟剤はポリプロピレングリコールを含み、
前記可溶化剤は、ポリオキシエチレンエーテル、およびポリオキシエチレンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含み、
前記カップリング剤はジカルボン酸を有することを特徴とする、請求項4に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項12】
前記機械的粉砕機は、前記洗浄済みスラリー内の凝集物および凝塊物を分解するのに十分な高圧液体ジェット噴射で前記洗浄済みスラリーに衝撃を与えることを特徴とする、請求項1に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項13】
前記機械的粉砕機は、前記洗浄済みスラリー内の凝集物および凝塊物を分解するのに十分強力な超音波エネルギで前記洗浄済みスラリーに衝撃を与えることを特徴とする、請求項1に記載する油分含有粒子処理方法。
【請求項14】
洗浄溶液を粒子供給流に加えて洗浄済みスラリーを生成する噴霧機と、
前記洗浄済みスラリーを入れて粉砕し、前記洗浄済みスラリー内の平均粒径を下げる機械的粉砕機と、
前記洗浄済みスラリーの磁性部分を移し、鉄分スラリーを生成する磁性分離機と、
前記鉄分スラリーから炭化水素成分を揮発させて除去するために十分な温度まで前記鉄分スラリーを加熱する熱分離機と、
を有することを特徴とする請求項1に記載した方法に係わる油分含有粒子処理装置。
【請求項15】
油分含有粒子の処理を行う装置であって、
前記油分含有粒子から相対的に大きな粒子を分離する分粒設備と、
洗浄溶液を粒子供給流に加えて洗浄済みスラリーを生成する噴霧機と、
前記洗浄済みスラリーを入れて粉砕し、前記洗浄済みスラリー内の平均粒径を小さくする機械的粉砕機と、
前記洗浄済みスラリーの磁性部分を移し、鉄分スラリーを生成する磁性分離機と、
前記鉄分スラリーから炭化水素成分を揮発させて除去するために十分な温度まで前記鉄分スラリーを加熱する熱分離機と、
を有することを特徴とする油分含有粒子処理装置。
【請求項16】
前記機械的粉砕機が洗浄溶液のジェット噴射を、前記洗浄済みスラリーに対して、5,000乃至10,000psi(344乃至689bar)の圧力で吹き付けることを特徴とする請求項14に記載した油分含有粒子処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示する本発明は、磁性固形廃棄物の脱油方法および脱油装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
製鋼工場の汚泥は、製鋼工程中に生成する酸化鉄を含有する物質である。製鋼工場の汚泥は単に「磨砕汚泥」」とも呼ばれるが、汚泥のより細かな粒子サイズ及びより高い油分含有率によって、通常、酸化皮膜物とは区別される。製鋼工程において、特に、溶鉱炉後の加工中に出る廃棄流は、一般に汚水、酸化鉄系固形物、油分およびその他の炭化水素化合物を含んでいる。こうした廃棄流は、普通、備え付け立抗に集めると、その中で3つの相に分離する。つまり、より軽い遊離炭化水素を有する上部油分相または層、前記油分相の下にある水溶液相または層および磨砕汚泥や酸化皮膜物を含む低部相または層に分離する。
磨砕汚泥中に存在する油分汚染物は、普通、最終スチール製品を製造する間、高温に暴露される加工設備から出る潤滑油とともに、最終スチール製品を製造するときに使用する潤滑油および冷媒に由来するものである。磨砕汚泥に遍く含まれる油分汚染物のために、汚泥含有酸化鉄を再利用して製鋼工程に戻せる潜在的可能性が限られてくる。また、製鋼工程に必要な熱を用いて、含油物質から炭化水素および炭化水素の種々酸化物を遊離すると、大気汚染を引き起こし、環境基準を満たすことを困難にしている。さらに、(溶鉱炉に供給する原材料を製造する)焼結プラントに再利用する原材料が、多量の油分を含有する場合、大量な炭化水素の排出問題に加えて、ファン翼を汚染する、ろ過バッグを詰まらせる等の作業上の問題が生じる。
【0003】
多くの製造業と同様、鋼鉄製造で発生する廃棄物管理は、これまで以上に厳しくなった環境規制のために、今や重要な課題となっている。歴史的に見れば、鋼鉄製造で発生する鉱滓、塵灰、および汚泥は「廃棄物」と見なされ、単にごみ処理地、立抗、および他の処分場に運び込むだけであった。しかし、排出物を減らし生産効率を高める必要から、一度単なる「廃棄物」とされていた前記物質だが、集中的に改質して再利用の対象である「副生成物」に現在はなっている。一般的に、鋼鉄プラントでは、製造する鋼鉄1トン当たり約900ポンド(約409kg)の固形廃棄物が生成し、この固形廃棄物は主に鉱滓、塵灰、および汚泥から構成される。こうした廃棄物の大部分は、焼結プラントで再利用する。しかし、炭化水素含有量が高い廃棄物では、排出物および炭素汚染物の問題を解消するために、再生利用する鉄分含有物を回収する以前に、脱油しなければならない。
【0004】
数多くの特許および特許出願が、汚泥の脱油について多様な態様を扱うため、種々の技術、組成物および工程を開示している。こうした特許が教示する内容を組み込んだ脱油工程は、一部しか有効ではなかった。つまり、当時の環境基準に適合するのに十分な量の油分は除去できたが、こうした先行技術では、今日要求される高い環境基準を達成することが、一般的に言って不可能である。従来の「脱油した」原料が10wt%相当の油分(百万重量部当たり十万重量部)を含む一方で、現在の環境基準を満たすためには、再生利用する脱油固形物は、百万重量部当たり二千重量部未満の油分、つまり、0.2wt%未満の油分しか含まれてはいけない。このように、より厳しくなった環境規制の結果、従来工程は現在ではあまり用いられなくなったため、処理されるのをただ待っている、あるいは高価な廃棄物として埋立地に保管する数十万トンの汚泥を、主要鋼鉄会社は備蓄することとなった。なお、前記汚泥は50乾燥wt%(dwt%)以上の鉄分を含有するために、上記備蓄物は価値ある資源に相当する。
【0005】
従来技術では、最新の環境規則が求める非常に低い脱油水準を達成できない、または達成するのが困難な理由として、一つには、前記磨砕汚泥自身の性質に起因する。特に、
前記磨砕汚泥固形物は極めて小さい粒径をもつ粒子であるという特徴をもち、通常、微細な沈泥および粘土の粒径並のオーダーの粒径を有する。よって、前記微小粒子は、油性分子が固形粒子に、および/または、こうした粒子の凝集体内部に、極めて強く結合できる。従来工程では、表面活性剤、せん断力、脱水装置などを用いることで固形物を再利用する。しかし、こうした工程によって汚泥を繰り返し処理しても、通常、磨砕汚泥の油分量を百万重量部当たり二千重量部未満の規制水準にまで減らすことはできない。
【0006】
特許文献11には、例えば、炭化水素、固形粒子、および水から構成される油分混合物の処理工程を開示している。前記工程は、先ず、油分混合物を反応チャンバーに投入し、不活性気体で前記反応チャンバーを浄化し、反応チャンバーに充填した不活性気体内に蒸気バスを作成し、蒸気渦巻流によって炭水化物成分を前記固形粒子から遊離することを特徴とする。前記工程はさらに、油分混合物中の炭化水素の沸点に相当する温度に反応チャンバーを昇温し、昇温によって不活性雰囲気内で炭化水素を蒸発させる。次に、反応チャンバーを開口し、脱油固形粒子を、原財料または廃棄物として反応チャンバーから排出する間、反応チャンバーに通気し、気体廃棄物を炭化水素生成物に処理する。
【0007】
また、特許文献10は、例えば、油分混合物の処理工程を開示しているが、前記工程は、十分な水と界面活性剤とを磨砕汚泥と混合し、少なくとも25wt%固形物および前期固形物に基づく少なくとも4,000ppmの界面活性剤を有するスラリーを作成し、前記スラリーをハイシェア撹拌機にかけて油水エマルジョンを形成し、前記油水エマルジョンから少なくとも40wt%の固形物を分離することを特徴とする。こうした変数の最少例として、25wt%固形物(25重量部固形物)を含む100重量部スラリーから、少なくとも10重量部固形物(40wt%固形物)を前記油水エマルジョンから分離する工程例がある。こうした開示のように、磨砕汚泥を脱油する工程は、前記磨砕汚泥をさらに処理する工程を必要とし、次に、回収した固形物の油分量が所望の程度にまで減少するまで、前記油水エマルジョンから固形物を回収する工程を繰り返すことを考えた方法であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,844,943号明細書
【特許文献2】米国特許第4,091,826号明細書
【特許文献3】米国特許第4,177,062号明細書
【特許文献4】米国特許第4,288,329号明細書
【特許文献5】米国特許第4,326,883号明細書
【特許文献6】米国特許第4,585,475号明細書
【特許文献7】米国特許4,738,785号明細書
【特許文献8】米国特許第4,995,912号明細書
【特許文献9】米国特許第5,047,083号明細書
【特許文献10】米国特許第5,125,966号明細書
【特許文献11】米国特許第7,531,046号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記課題に鑑みて、本発明は、磨砕汚泥などの油分含有粒子の処理方法を提供する。前記処理方法は、平均粒径を小さくする粒子供給流に洗浄溶液を添加して洗浄済みスラリーを生成し、機械的撹拌機を用いて洗浄済みスラリーの平均粒径を小さくし、洗浄済みスラリーから磁性分離機を用いて鉄分スラリーを生成し、および鉄分スラリーから熱分離機を用いて炭化水素分を抽出し、鉄主成分流を製造することを特徴とする。この方法は、多様な変形例を有してもよく、例えば、油分含有粒子を分粒して相対的に大きな粒子を粒子供給流から除去したり、炭化水素分の容積を濃縮したり、または磁性強度を変化できる磁性分離機を用いて鉄分含有量を変えた種々の鉄含有量の鉄分スラリーを製造する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下理解可能なように、例えば、石油系軟化剤、柔軟剤、可溶化剤、およびカップリング剤から成る溶液は、ある範囲の洗浄溶液として利用可能である。こうした成分は、20wt%または70wt%の石油系軟化剤、2wt%または50wt%の柔軟剤、5wt%乃至25wt%の可溶化剤、および1wt%または10wt%のカップリング剤を含む洗浄溶液を包含する様々な含有量で存在する。柔軟剤は、中性pH柔軟剤でよいが、しかし、洗浄溶液の他の実施形態では、非中性柔軟剤および/またはpH調整剤や緩衝剤でもよい。
【0011】
石油系軟化剤は1種類以上の炭化水素燃料組成物を含み、柔軟剤は1種類以上のグリコール類を含み、可溶化剤は1種類以上のエーテル類及びアルコール類を含み、カップリング剤は1種類以上の有機酸類を含んでよい。洗浄溶液の一例としては、石油系軟化剤がディーゼル燃料を含み、柔軟剤がポリプロピレングリコールを含み、可溶化剤がポリエチレンエーテルおよびポリエチレンアルコールから成る群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含み、カップリング剤がジカルボン酸を含んでいる洗浄溶液が挙げられる。
【0012】
以下に述べるように、且つ添付の図面に示すように、前記方法を実施するために必要な一連の操作を実行するために配置した分粒、運搬、噴霧、粉砕、分離、加熱および濃縮機器の集合機器類を有する開示方法を実行するのに適した装置を、本開示は含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下に述べる実施形態例は、詳細な説明を添付した図面と合わせて考慮することにより、より一層明確に理解できよう。なお、以下の図は実施形態で使用する方法、構造体および/または材料の一般的な特徴を示すために、且つ以下に述べる記載を補うために用いることを意図している。しかし、これらの図面はスケールを示したものではなく、如何なる実施形態の構造的特徴または機能的特徴を厳密に反映したものではない。よって、実施形態が記載する数値または特性の範囲を規定または限定するものとして解釈するべきではない。
図1】汚泥生成過程の一例および相当する汚泥生成装置の一例を示す。
図2】分離および回収過程の一例および相当する分離および回収装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この明細書に開示する工程および関連する装置は、製鋼産業の廃棄物および他の油分汚染廃棄物を2,000ppm未満の油分含有量に脱油するために使用する一体型の工業工程を提供する。前記工程および装置により、50dwt%(乾燥重量パーセント)を超える汚泥中の鉄分含有量の割合を増やすことで、製鋼工程での再生利用回収および再資源化を可能にする。前記工程は、安定化していない汚泥、および、例えば、10wt%乃至20wt%の石灰および/または他の化合物を添加して従来処理していたおよび/または安定化した汚泥、の両方の汚泥に適用できる。
【0015】
工程および装置の一例を、図1および図2に示す。図1は、装置100aについて汚泥生成装置とその使用方法について示す。図2は、装置100bについて分離および回収装置およびその使用方法を示す。図示したように、磨砕汚泥または安定化した磨砕汚泥102は、貯留池、貯水槽、タンク、またはその他の保管施設101および供給装置102aから1個以上の洗浄用篩104またはその他の好適な分離装置に導入する。なお、前記分離装置は、大きすぎる破片104b、例えば、直径4インチ(10.2cm)を超える破片を除去する。また、以下理解可能なように、特定の大きさを分類し区分する技術は、多数の因子、例えば、磨砕汚泥中の平均粒径、粒径分布および下流での分離工程の性能により、その選択が左右される。
【0016】
篩104を通過した汚泥供給流104aの一部は、粉砕機または細粉機106に供給し、さらに加工して粒径を小さくする。粉砕した汚泥流106aは、次にコンベア108により第2篩またはその他の分離機110に運ばれ、残存する粒子を好適な目標サイズ、例えば、0.5インチ(1.3cm)以下になるように処理する。さらに加工が必要な、目標サイズを超える粉砕汚泥流106a内の粒子は、再生利用流110bを介して粉砕機に戻すか、または廃棄できる。
【0017】
洗浄システムは、一般にポンプ118、湿潤剤、柔軟剤、可溶化剤、およびカップリング剤用の洗浄用化学的貯留槽120、水源116、および流量調節ポンプ122を有する。なお、流量調節ポンプ122は、例えば、2.0%以上の濃度まで計測できる。前記洗浄システムによって、処理する化学物質122aを給水機118aに注入し、洗浄溶液118bを製造することができる。次に、汚泥が篩110を通過するように、および/またはスラリー混合タンク112に注入されるように、前記洗浄溶液を汚泥に噴霧124する。前記スラリー混合タンクには、篩分けた汚泥および洗浄液を混合および撹拌し、例えば、35wt%固形物を含有するスラリー114を生成する。
【0018】
次に、スラリー流112aを物理的分離機126に送り込み、さらに加工する。物理的分離機126は、例えば、5,000から10,000psi(344から689bar)の高圧液体128を用いるベンチュリ効果に基づき操作できる。なお、前記高圧液体128aは、高圧ポンプ128で供給し、高速噴射水または高速噴射流を生成する。および/または、当業者に公知の他の機械的および/また超音波加工方法(図示なし)は、小汚泥粒子に残存する凝集物を細かくして一層小さな凝集物や個々の粒子にし、さらに、加工スラリー流126aを生成するのに十分な方法である。また、当業者に以下理解可能なように、特定の分離技術の選択は、多数の因子、例えば、磨砕汚泥中の平均粒径、粒径分布、凝集の程度、および前記スラリー流内の凝集程度の分布によって左右されるだろう。
【0019】
次に、物理的分離機126で加工したスラリー流126aは、1個以上の湿式ドラム磁性分離機130、130’に輸送する。なお、前記磁性分離機は、十分に高濃度の鉄分および/またはその他の磁性金属を有する粒子を前記加工スラリーから除外する。除外した粒子130aは、つまり「固形」相は、次に、分離した固形物を脱油するために、さらに処理する。一方、磁性分離機130bから出てくる「液体」相は、通常、前記分離機類で除去できなかった水、油、および非磁性化合物を含む。なお、このような非磁性化合物には、例えば、従来の排水処理設備134を用いて処理できる黒鉛が挙げられる。
【0020】
また、磁性分離機から出てくる固形相130aは、通常、鉄および、ある量の油分をなお含有する他の金属類を含む磁性汚泥から構成される。前記磁性汚泥は、600−800F(316−427℃)で操作する低温抽出機132に運搬する。磁性汚泥が抽出機132を通過するに従い、磁性汚泥に残留した一部の油分は抽出され、2,000ppm(mg/kg)未満の油分含有量を示す脱油汚泥132aを生成する。前記脱油汚泥132aは、回収機146に好適であり、および鉄含有物を回収し再利用するのに好適である。
【0021】
前記低温抽出機132から伸びるガス排気管132bには、分離した油分、軽量の有機化合物および一緒に含有される水分が含まれる。前記ガス排気物は濃縮機138を介してガス排気物を移動させる送風機136によって、抽出機132から回収できる。
【0022】
濃縮機138では、排気物から油分を分離する。排気物と油分は還水タンク140に流入する。還水タンク140から油分140bを抽出し、回収設備144に輸送し、排気物140aを好適な気体廃棄物処理設備142に輸送する。
【0023】
本発明は、前記設備が機能する限り、別の方法で構成することができる。例えば、複数の湿式ドラム磁性分離機130、130’を汚泥中の鉄分粒子の特性に応じて使用しても良い。ガウス強度を変えたり、よって異なる湿式ドラム分離機を用いることは、様々な粒径の鉄分粒子を取り除くために必要になる。当業者に以下理解可能なように、種々の粉砕および分別設備およびそれらを使った工程は、好適なスラリー流を生成するのに適するが、本開示は本明細書に記載し図示した特定の実施形態例に限定されるものではない。
【0024】
噴霧機124で注入に適した洗浄溶液の一例として、石油系軟化剤、例えば、20乃至70wt%含有ディーゼル燃料;柔軟剤、好ましくは中性柔軟剤、例えば、2乃至50wt%含有ポリプロピレングリコール、;可溶化剤、例えば、5乃至25wt%含有ポリエチレンエーテルおよび/またはポリエチレンアルコール;カップリング剤、例えば、1乃至10wt%含有ジカルボン酸が挙げられる。当然分かることであるが、選択した柔軟剤が中性pHではない場合、洗浄溶液にpH調節剤および/または溶液のpHを調節する緩衝剤を含ませても良い。多くの場合、通常、中性pHでは不十分であるが、供給するスラリーの特性と組成に応じて、油分遊離を行うために、および/または下流の処理に供給する洗浄済みスラリー溶液のpHを調節するために、洗浄溶液のpHを調節しても良い。
【0025】
当然分かることであるが、多様な成分の洗浄溶液を別々に扱ったり、および/または1種類以上の組成物、例えば、親練り処方を扱うことによって、幅広い種類の組成物を供給したり、および/または工程制御をそれぞれ単純化することが可能になる。洗浄溶液の複数の成分は、油分と固形粒子との化学的結合を弱める効果と、物理的分離機126中の汚泥粒子を離解するために油分を動態化する補助効果を併せ持つ。
【0026】
なお、汚泥の種類、炭化水素の負荷程度や組成、処理した汚泥の用途などの要素を考慮して、当業者は、汚泥生成工程および分離回収工程とこれらの装置類、例えば、全工程の最初および最後の工程に対応する装置類を、特定の用途のためにさらに変更可能なことを当然分かることであろう。また、前記設備や処理液体が、特定の需要や特定の用途の要求に合わせて変更可能なことを理解するだろう。
【0027】
本発明は、ある実施形態類を参照しながら特定の例を示し、説明してきたが、形状や詳細な点において種々変更可能であることを、当業者は理解するであろう。また、次に記載する請求項に規定する本発明の精神および範囲を逸脱することなく、先に述べた変更を行えることを当然分かることであろう。
図1
図2