(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
まずは、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる便器洗浄装置を例示する模式図である。
図2は、第1の実施形態にかかる便器洗浄装置を例示するブロック図である。
【0017】
本実施形態にかかる便器洗浄装置100は、便器600と便器600に洗浄水を供給する通水路700と、通水路700の一部を覆うようにして設けられた本体ケース190と、本体ケース190の内部に収納された、便器600へ洗浄水の供給・停止を行う電磁弁400と、電磁弁400の開動作・閉動作を制御する便器洗浄手段260を有する本体制御部200と、本体ケース190に取り付けられた投受光ユニット300と、を備えている。
本体制御部200は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを動作させるプログラム等(以上図示せず)により構成することができ、便器洗浄装置100の動作を制御する。
【0018】
また、本体制御部200には、便器600に人が着座しているか、離座しているかを判別するための人体検出手段240が備わっている。投受光ユニット300が有する投光素子320は伝播波として赤外光を送信し、その光は便器600に着座した使用者の背中等によって反射され、この反射光を受光素子340が受光する。人体検出手段240は、投受光ユニット300が有する受光素子340が受光した反射レベルを、予め設定されたしきい値と比較して、しきい値以上であれば物体有りと判断し、しきい値未満であれば物体無しと判断して、その検知結果を電気信号として配線を通して便器洗浄手段260に出力する。
便器洗浄手段260は、人体検出手段240から受け取った検出結果に応じて電磁弁400の駆動を制御し、給水源500より通水路700を通じて、便器600へ洗浄水を供給する。
【0019】
また、本体制御部200には、壁に備え付けられたリモコン800からの無線信号を受信する受信手段220が備わっている。受信手段220は無線信号を受信した結果を、電気信号として配線を通して便器洗浄手段260に出力する。
便器洗浄手段260は、受信手段220から受け取った受信結果に基づいて電磁弁400の駆動を制御し、給水源500より通水路700を通じて、便器600へ洗浄水を供給する。
【0020】
図3は、第1の実施形態にかかるリモコンを例示するブロック図である。
本実施形態にかかるリモコン800は、使用者が便器洗浄するために操作するスイッチ980と、このスイッチ980への操作を検出する操作検出手段940と、この操作検出手段940で検出した結果を、前述した便器洗浄装置100の有する受信手段220へ無線信号として送信する送信手段920と、本リモコン800の駆動電源である電池960と、を備えている。
操作検出手段940と送信手段920は、リモコン制御部900が備えており、リモコン制御部900は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを動作させるプログラム等(以上図示せず)により構成することができ、リモコン800の動作を制御する。
なお、スイッチ980は、例えば、押しボタン式のスイッチや、赤外線方式で非接触操作が可能な近接スイッチが使われる。但し、スイッチ980の設置位置や方式は、これに限られるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0021】
以下、本実施形態の具体的な洗浄動作について図面を参照しつつ説明する。
図4は、第1の実施形態においてリモコンが非設置時の便器洗浄装置の動作を例示するタイムチャートである。
図4に示すタイムチャートでは、人体検出手段240の駆動周期と人体検出信号、本体制御部200の便器洗浄判定、受信手段220への無線信号、便器洗浄手段260の駆動を示している。
【0022】
図4において、人体検出手段240は駆動周期F1にて、間欠的に検出動作を繰り返す。このF1は、例えば2秒周期とする。使用者が、便器600に着座すると、人体検出手段240の人体検出信号が検出しきい値を超え検出となる(時刻t1)。人体検出手段240が、検出になってから所定時間T0が経過すると、本体制御部200は便器洗浄を確定する(時刻t2)。このT0は、例えば6秒と設定する。その後、使用者が排泄を終了し、離座すると、人体検出手段240の人体検出信号が検出しきい値を下回り非検出となる(時刻t3)。使用者の離座で、人体検出手段240が非検出になってから、所定時間T1が経過すると、便器洗浄手段260は電磁弁400を開駆動して、便器600を洗浄開始する(時刻t7)。このT1は、例えば10秒と設定する。
図4ではリモコン800が設置されていない場合の洗浄動作であり、受信手段220は無線信号を受信しない。なお、詳細は
図7を用いて後述で説明するが、リモコン800が設置されている場合では、所定時間T1の時間を短くするように制御を変更する。
【0023】
このように、人体検出手段240が使用者を検出した状態から非検出の状態になって所定時間T1が経過すると便器洗浄を開始するが、これ以降の説明では、この洗浄を自動洗浄と呼び、
図4で説明した自動洗浄を実行するための成立条件を第一条件と呼ぶ。
【0024】
図5は、第1の実施形態においてリモコンが設置時の便器洗浄装置の動作を例示するタイムチャートである。
図5に示すタイムチャートの各項目と時刻t2までの諸動作は、
図4で説明した内容と同一であるため、省略する。
図4の形態と異なる点を以下に説明する。
使用者が着座している状態で、使用者がリモコン800のスイッチ980を操作すると、リモコン800の送信手段920から無線信号が発信される。受信手段220がこの無線信号を受信すると、便器洗浄手段260は電磁弁400を開駆動して、便器600の洗浄を開始する(時刻t4)。この場合、使用者が離座してから所定時間T1が経過しても、洗浄動作は行わない。つまり、リモコン800の操作による洗浄動作が行われた場合、人体検出手段240によって確定した第一条件に起因する自動洗浄はキャンセルされる(時刻t7)。
図5のタイムチャートでは、使用者が着座中にリモコン800を操作した場合を表しているが、離座中にリモコン800を操作した場合も同様である。
【0025】
このように、使用者のリモコン操作で送信された無線信号によって便器洗浄を開始するが、これ以降の説明では、この洗浄を意思洗浄と呼び、
図5で説明した意思洗浄を実行するための成立条件を第二条件と呼ぶ。
【0026】
ここで、送信手段920が送信する無線信号のデータ内容を説明しておく。
図6は、第1の実施形態にかかる無線信号のデータフォーマットを例示する模式図である。
無線信号のデータはスタートコード、IDコード、洗浄コード、電池電圧値状態、エンドコードで構成される。
スタートコードはここからデータが開始されることを示すコードであり、固定の値にすることが望ましい。
【0027】
IDコードは本体制御部200とリモコン制御部900とが個別に記憶している値である。本体制御部200は受信した無線信号に含まれるIDコードが、記憶している値と一致したときのみ、その受信した無線信号に応じて制御を行うものとする。これは便器洗浄装置100とリモコン800とが複数連立されている場合に、ペアとなっているリモコン800を区別して、ペアとなっていないリモコンの操作を受け付けないようにするためである。
洗浄コードは洗浄の種類を示すコードであり、この値に応じて本体制御部200は洗浄時間の切り替え、或いは洗浄自体を行うか否かの判定を行う。勿論、洗浄時間の設定は複数ではなくて1種類のみでも良いし、必ず洗浄を行うよう指示するコードを送信するようにしても良い。
【0028】
電池電圧値状態は電池960の電池電圧を表すコードである。これは電池960の電圧値をA/D変換した値でも良いし、電池電圧が低下している状態か否かの1ビットの情報でも良い。電池電圧値状態の具体的活用方法については後述する第2の実施形態にて説明する。
エンドコードはここでデータが終了することを示すコードであり、固定の値でも良いし、前述した4つのコードに関係する値でも良い。例えば4つのコードの合計値や、4つのコードの合計値に加算することによってある固定値になるような値とすれば、データの信頼性が向上する。
【0029】
図7は、第1の実施形態においてリモコンが設置時の便器洗浄装置の動作を例示するタイムチャートである。
前述の
図6では、リモコン操作による意思洗浄のタイムチャートであったが、
図7は、人体検出手段240による自動洗浄のタイムチャートである。
図7に示すタイムチャートでは、
図4で説明したタイムチャートの各項目、同一の時刻における処理については前述と同様であるため、その説明は省略する。
図4の形態と異なる点について以下に説明する。
【0030】
本体制御部200は、使用者が着座する時刻t1の前に、リモコン800からの無線信号を受信する(時刻t9)。受信する無線信号は、
図6で説明したデータフォーマットと同様でよい。ここでは、本体制御部200が、IDコードの一致するリモコン800が同じ空間内に存在していることを認識できればよく、洗浄コードや電池電圧値状態の設定内容は任意でよい。送信タイミングについては、リモコン800が定期的に送信してもよいし、前の使用者のリモコン操作による信号を用いてもよい。この時点で、本体制御部200は、リモコン800が設置されていることを認識する。
その後、人体検出手段240が人体を検出してから非検出となる(時刻t1から時刻t3)。
使用者の離座で、人体検出手段240が非検出になってから、所定時間T11が経過すると、自動洗浄を開始するための第一条件が成立して、便器洗浄手段260は電磁弁400を開駆動して、便器600を洗浄開始する(時刻t17)。但し、T11は、
図4で説明した所定時間T1よりも短く、例えば4秒と設定されている。
【0031】
このように、
図7のタイムチャートでは、
図4のタイムチャートの場合よりも、自動洗浄を開始するための第一条件の成立タイミングが早くなっている。
離座後の洗浄動作については、基本的には
図4で説明したような自動洗浄による便器洗浄でよく、リモコン操作による意思洗浄は必要ではない。また、着座中にリモコン操作による意思洗浄をされた場合は、その操作タイミングで必要な便器洗浄が実行されたと判断できるので、
図5で説明したように、離座後の自動洗浄は必要でない。
しかしながら、リモコン800が設置されていると、離座後の使用者は自動洗浄の実行を待たずして、リモコン800による意思洗浄をしようとする意識が働いてしまい、意思洗浄をされる回数が増えてしまう。
そこで、
図7で説明したように、リモコン800が設置されていると本体制御部200が判断したときは、離座後の自動洗浄を開始するタイミングを早くすることで、自動洗浄を優先的に実行できるように制御を変えている。ここでは、そのタイミングを早くする具体的な手段として、第一条件が成立するための所定時間をT1(10秒)からT11(4秒)に短くしている。
【0032】
ここで、以降の説明を分かりやすくするため、
図4と
図7における本体制御部200の動作モードを以下のように区別して呼ぶ。
図4のように、リモコン800が設置されていない場合、本体制御部200は、自動洗浄を開始するための第一条件の成立タイミングは比較的長い時間であり、この動作モードを通常洗浄モードと呼ぶ。
一方、
図7のように、リモコン800が設置されている場合、本体制御部200は、自動洗浄を開始するための第一条件の成立タイミングは比較的短い時間であり、この動作モードを早期洗浄モードと呼ぶ。
【0033】
図8は、第1の実施形態にかかる便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
リモコン800の設置状態に応じた動作モード切り替えの流れをまとめると
図8のようなフローチャートになる。
図8の流れを以下に説明する。
まず、過去にリモコン800からの無線信号を受信したことがあるかを判定する(S100)。これは過去に一度でも無線信号を受信したことがあるかの判定でも良いし、複数回受信したことがあるかの判定でも良い。無線信号を受信したことが無ければ(S100でNo)、リモコン800が設置されていない状態なので通常洗浄モードに設定する(S101)。無線信号を受信したことがあるならば(S100でYes)、リモコン800が設置されている状態なので早期洗浄モードに設定する(S102)。
【0034】
このようにリモコン800が設置されている場合と、設置されていない場合とで本体制御部200の動作モードを切り替えている。具体的には、リモコン800が設置されている場合は、自動洗浄を開始するための第一条件の成立タイミングを早めて、使用者がリモコン操作をする前に自動洗浄を開始するように動作モードを切り替えている。こうすることで、使用者が離座後にリモコン操作をされる頻度が少なくなる。
これにより、特別な部品や機構を追加することなく、リモコン操作を適切な使用頻度に抑えることができ、リモコンの電池を長寿命化することができる。
【0035】
(第2の実施形態)
ここからは、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態による便器洗浄装置100とリモコン800の基本構成や制御内容については、第1の実施形態で説明した内容と同様でよいため、その説明は省略する。
第1の実施形態と異なる点は、リモコン800が電池960の電池電圧を測定する手段を備えていることと、無線信号のデータフォーマットの中で電池電圧値状態コードの内容に基づいて本体制御部200が動作モードを切り替えている点であり、その内容を以下に説明する。
【0036】
図9は、第2の実施形態にかかるリモコンを例示するブロック図である。
第1の実施形態で説明した
図3と異なる点は、リモコン制御部900が電池電圧測定手段970を備えている点である。リモコン制御部900は、電池電圧測定手段970によって、電池960の電圧を測定することが可能であり、測定した結果を電池電圧値状態コードとして送信することができる。送信するデータ内容は、A/D変換した複数ビット値でもよいし、電池電圧が低下している状態か否かを示す1ビットの情報だけでもよい。
【0037】
図10は、第2の実施形態にかかる便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
リモコン800の電池電圧値に応じた本体制御部200の動作モード切り替えの流れをまとめると
図10のようなフローチャートになる。
図10の流れを説明する。
なお、第1の実施形態で説明した
図8と同じ処理内容のステップについては、同じステップ番号を付している。
【0038】
まず、過去にリモコン800からの無線信号を受信したことがあるかを判定する(S100)。これは過去に一度でも無線信号を受信したことがあるかの判定でも良いし、複数回受信したことがあるかの判定でも良い。無線信号を受信したことが無ければ(S100でNo)、リモコン800が設置されていないと判断して、通常洗浄モードに設定する(S101)。無線信号を受信したことがあるならば(S100でYes)、現在のタイミングでリモコン800から無線信号を受信したかの判定を行う(S200)。無線信号を受信していなければ(S200でNo)、特に処理はせず動作モードは現在の設定維持とする。無線信号を受信していれば(S200でYes)、受信信号の内、電池電圧値状態コードの判定を行う(S201)。
【0039】
この時、電池電圧値状態コードが電池電圧のA/D値であれば所定電圧との比較で良いし、電池電圧低下か否かの1ビット情報であればそのデータの判定で良い。電池電圧値状態のコードの判定をした結果、電池電圧が低下していなければ(S201でNo)、電池残量は十分にあるため通常洗浄モードに設定する(S101)。電池電圧が低下していれば(S201でYes)、電池残量が少なくなっているとして早期洗浄モードに設定する(S102)。
【0040】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、リモコン800が設置されているだけでなく、更にリモコン800の電池960の電池残量が少なくなったときだけ、早期洗浄モードに設定している点である。
つまり、電池残量が少なくなったときは、できるだけ速やかに電池交換をすべきであるが、公共施設などのパブリック空間では即日交換が期待できない場合もある。そこで、電池残量が少なくなったときだけ、一時的に自動洗浄を開始するための第一条件の成立タイミングを早くして、リモコン操作の回数を抑える。
【0041】
これにより、電池残量が十分にあるときは、使用者は便器洗浄をリモコン操作による意思洗浄とするか、人体検出状況による自動洗浄とするか、を選択する時間猶予ができるため、使い勝手を良好に保つことができつつも、リモコンの電池寿命を著しく損なうことがない。
【0042】
(第3の実施形態)
ここからは、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態による便器洗浄装置100とリモコン800の基本構成や制御内容については、第1の実施形態で説明した内容と同様でよいため、その説明は省略する。
第1の実施形態と異なる点は、本体制御部200の制御内容を一部変更することで、動作モードの切り替えをある一定条件の元でしか実行しない点であり、その内容を以下に説明する。
【0043】
図11は、第3の実施形態にかかる便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
なお、第1の実施形態で説明した
図8、及び第2の実施形態で説明した
図10と同じ処理内容のステップについては、同じステップ番号を付している。
まず、過去にリモコン800からの無線信号を受信したことがあるかを判定する(S100)。これは過去に一度でも無線信号を受信したことがあるかの判定でも良いし、複数回受信したことがあるかの判定でも良い。無線信号を受信したことが無ければ(S100でNo)、リモコン800が設置されていないと判断して、通常洗浄モードに設定する(S101)。無線信号を受信したことがあるならば(S100でYes)、現在のタイミングでリモコン800から無線信号を受信したかの判定を行う(S200)。
【0044】
無線信号を受信していなければ(S200でNo)、次の処理(S301)へ進む。無線信号を受信していれば(S200でYes)、タイマの設定(S300)を行う。ここでは一定期間(例えば5分)を計時するためのタイマをスタートする。また5分を計時するためのカウント値もセットする。なお、このタイマはカウントダウン方式でカウント値が0になった時に5分が経過したと判断するものとする。続いてタイマのカウント値を判定する(S301)。この時タイマのカウント値が0である時は(S301でYes)、使用者がリモコン操作をしてから5分が経過したということになるため通常洗浄モードを設定する(S101)。タイマのカウント値が0でない時は(S301でNo)、まだ5分が経過していないことになるので早期洗浄モードを設定する(S102)。
【0045】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、リモコン800が設置されているだけでなく、更にリモコン800を操作されてから一定時間の期間だけ、早期洗浄モードに設定している点である。
つまり、使用者がリモコン操作をしたとき、その使用者は引き続きリモコン操作をする意識が高くなり、離座後の洗浄も自動洗浄の開始を待たずして、リモコンによる意思洗浄をしようとする可能性が高くなる。そこで、以前にリモコン操作をされたときだけ、一時的に自動洗浄を開始するための第一条件の成立タイミングを早くして、リモコン操作の回数を抑える。
【0046】
これにより、リモコン操作をされるまでは、使用者は便器洗浄をリモコン操作による意思洗浄とするか、人体検出状況による自動洗浄とするか、を選択する時間猶予ができるため、使い勝手を良好に保つことができつつも、リモコンの電池寿命を著しく損なうことがない。
【0047】
(第4の実施形態)
ここからは、第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態による便器洗浄装置100とリモコン800の基本構成や制御内容については、第1の実施形態で説明した内容と同様でよいため、その説明は省略する。
第1の実施形態と異なる点は、本体制御部200の制御内容を一部変更することで、動作モードの切り替えをある一定条件の元でしか実行しない点であり、その内容を以下に説明する。
【0048】
具体的には便器600の使用頻度に基づいて制御内容を変更しており、最初に、その使用頻度の学習について説明する。
本体制御部200は、1日を所定の数の時間枠に分割し、それぞれの時間枠の中で便器600が使用された回数を記憶して使用頻度を算出する。
図12は、第4の実施形態にかかる使用頻度のテーブルを例示する模式図である。
この例では、1日を32個の時間枠に分割している。つまり、それぞれの時間枠は45分間となる。そして、それぞれの時間枠において、便器600の使用回数を積算する。便器600の使用回数としては、第一条件による自動洗浄、又は第二条件による意思洗浄を実行した回数を用いることができる。
例えば、時間枠1の時には使用回数が0回であり、時間枠6の時には使用回数が7回となっている。
【0049】
この使用回数の履歴は1日ごとに上書きされていき、常に最新の使用頻度の情報が記憶されている。このようにすると、各時間枠の使用回数に応じて、ある一定値を境にして使用頻度が高い時間枠と低い時間枠とに分別することができる。
例えば、その一定値を5とすると、使用回数が5回以上であれば、その時間枠を使用頻度が高いと判定し、5回未満であれば使用頻度が低いと判定する。
【0050】
図13は、第4の実施形態にかかる便器洗浄装置の動作を示すフローチャートである。
使用頻度に応じた動作モードの切り替えの流れをまとめると
図13のようなフローチャートになる。
図13の流れを以下に説明する。
なお、第1の実施形態で説明した
図8と同じ処理内容のステップについては、同じステップ番号を付している。
【0051】
まず、過去にリモコン800からの無線信号を受信したことがあるかを判定する(S100)。これは過去に一度でも無線信号を受信したことがあるかの判定でも良いし、複数回受信したことがあるかの判定でも良い。無線信号を受信したことが無ければ(S100でNo)、リモコン800が設置されていないと判断して、通常洗浄モードに設定する(S101)。無線信号を受信したことがあるならば(S100でYes)、現在の時間枠の使用回数の判定を行う(S400)。判定の結果、使用回数が5回以上であれば(S400でYes)、早期洗浄モードに設定する(S102)。5回未満であれば(S400でNo)、通常洗浄モードに設定する(S101)。
【0052】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、リモコン800が設置されているだけでなく、更に便器600の使用頻度が高い時間枠だけ、早期洗浄モードに設定している点である。
結果、使用頻度の高い時間枠では、リモコン操作による意思洗浄よりも、人体検出手段240による自動洗浄の方が優先的に実行されやすくなり、リモコン操作をされる回数が減る。
【0053】
これにより、使用頻度の高いときは、人体検出状況に基づく自動洗浄を優先的に実行することでリモコン800の電池寿命を延命でき、使用頻度の低いときは、使用者は便器洗浄をリモコン操作による意思洗浄とするか、人体検出状況に基づく自動洗浄とするか、を選択する時間猶予ができるため、使用者の使い勝手とリモコン800の電池寿命の延命をバランス良く保つことができる。
【0054】
(第5の実施形態)
ここからは、第5の実施形態について説明する。
第1の実施形態の
図4、
図7で説明したように、リモコン800が設置されている場合は第一条件が成立するための所定時間T1(T11)を短くして、第一条件の成立タイミングを早くしている。
しかしながら、使用者が離座してから直ぐにリモコン操作による意思洗浄を実施された場合は、自動洗浄のための第一条件が成立される前にリモコン操作されたことになり、リモコン800の使用頻度を適切に抑えることができない。
より具体的には、第1の実施形態では、リモコン800が設置されている場合の所定時間T11が離座後から4秒となっているが、使用者が4秒以内にリモコン操作をした場合である。
【0055】
これを回避するためには、所定時間T11として設定している4秒を更に短くすればよいが、この時間は人体検出手段240の駆動周期F1(2秒)より短くすることはできない。これは、人体検出手段240は駆動周期F1のタイミングでしか使用者の検出状況を更新することができないためである。
そこで、第5の実施形態では、この駆動周期F1を変更することによって、第一条件の成立タイミングをより早くしている。
【0056】
図14は、第5の実施形態においてリモコンが設置時の便器洗浄装置の動作を例示するタイムチャートである。
図14に示すタイムチャートでは、第1の実施形態における
図7で説明したタイムチャートの各項目、同一の時刻における処理については前述と同様であるため、その説明は省略する。
図7の形態と異なる点について以下に説明する。
本体制御部200は、時刻t9でリモコン800からの無線信号を受信することでリモコン800の存在を認識する。
その後、時刻t1のタイミングで使用者の着座を検出するが、この時点で、人体検出手段240の駆動周期をF1よりも短い期間であるF2に変更する。F2の周期は、例えば1秒と設定できる。
【0057】
その後、時刻t3で使用者が離座し、時刻t27の時点で第一条件が成立して、自動洗浄を開始する。その後、人体検出手段240の駆動周期はF1(2秒)に戻る。
つまり、使用者の着座を検出している期間のみ、人体検出手段240の駆動周期を早くしている。こうすることで、第一条件の成立タイミングを早めることができる。
第1の実施形態では、第一条件の成立タイミングを人体検出手段240の駆動周期F1よりも短くすることはできなかったが、第5の実施形態では、F1よりも駆動周期の短いF2を用いることで、第一条件の成立タイミングをより早めることが可能となる。本実施形態では、F2の駆動周期を1秒としているが、更により短い周期にすることも可能であり、それによって、離座後にリモコン操作をされる回数を更に少なくすることができる。
【0058】
なお、駆動周期を人体の検出状況によらず一律に周期F2とすることも可能ではあるが、そうすると、本体制御部200の消費電力が定常的に増えてしまう。
便器洗浄装置100が、電池での駆動タイプであった場合や、洗浄水を利用した水力発電機構を備えているタイプであった場合は、便器洗浄装置100自体の低消費電力駆動も必須となり、定常的に消費電力が増えることは望ましくない。
そこで、本実施形態のように、人体検出中のみ人体検出手段240の駆動周期を早くすれば、便器洗浄装置100の消費電力を最小限に抑えつつも、リモコン800の使用頻度を適正に抑えて、リモコン800の電池960を長寿命化することができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、便器洗浄装置100やリモコン800が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0060】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
例えば、第3の実施形態と第4の実施形態を組み合わせた制御も本発明の特徴から容易に発明可能である。