(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の実施の形態は、コンデンサ素子側に接続される集電板と、封口側にある外部端子との間に接続板を備え、この接続板を媒介として集電板と外部端子とを接続した電気二重層コンデンサを示している。
【0021】
この電気二重層コンデンサについて、
図1及び
図2を参照する。
図1は電気二重層コンデンサの一例を示し、
図2は電気二重層コンデンサの各部材を示している。
【0022】
この電気二重層コンデンサ2は、本発明のコンデンサの一例であって、
図1に示すように、この電気二重層コンデンサ2には、コンデンサ素子4の同一の素子端面5に陽極部6と陰極部8が形成されている。陽極部6には陽極端子10が陽極集電板12及び接続板13を介して接続され、陰極部8には陰極端子14が陰極集電板16及び接続板17を介して接続されている。これらの接続には例えば、レーザ溶接や電子ビーム溶接が用いられ、溶接接続部18で溶接されている。また、陽極端子10及び陰極端子14は外部接続のための端子部材であって、陽極端子10は陽極側の外部端子の一例、陰極端子14は陰極側の外部端子の一例である。
【0023】
コンデンサ素子4は円筒体であって、一方の素子端面5より、陽極体60(
図4)を引き出して陽極部6が形成され、陰極体80(
図4)を引き出して陰極部8が形成されている。また、コンデンサ素子4の周囲には保持テープ19が巻回され、陽極体60や陰極体80の巻き戻りが防止されている。
【0024】
コンデンサ素子4の外装部材として外装ケース20及び封口板22が備えられ、外装ケース20は例えばアルミニウム等の成形性のある金属材料からなる成形体である。封口板22は外装ケース20の開口部30を閉止し、空間部24の気密性を保持する手段であるとともに、陽極端子10及び陰極端子14を固定する固定部材であり、コンデンサ素子4の支持部材を構成する。この実施の形態では、封口板22にベース部26と、封止部28とが備えられる。ベース部26は絶縁材料である例えば、合成樹脂で形成され、陽極端子10及び陰極端子14が固定されるとともに、絶縁されている。封止部28は密閉性の高い材料例えば、ゴム環で構成されている。
【0025】
この封口板22は、外装ケース20の開口部30(
図2)に挿入されるとともに、開口部30側の中途部に形成された加締め段部32に位置決めされている。外装ケース20の開口端部34は、カーリング処理により加締められ、封止部28に食い込ませられている。これにより、外装ケース20が強固に封止されている。そして、封口板22のベース部26には、透孔36が形成されるとともに、薄ゴムからなる圧力開放機構38が形成されている。
【0026】
そして、コンデンサ素子4と、封口板22の陽極端子10、陰極端子14との間には、陽極集電板12、陰極集電板16とともに、接続板13、17が備えられている。陽極集電板12、陰極集電板16は、コンデンサ素子4の陽極部6、陰極部8の形状に対応して屈曲させたほぼ半円形の集電板であって、陽極集電板12側には円弧状の接続部12A、12B、12C、陰極集電板16側には同様に、円弧状の接続部16A、16B、16Cが形成されている。接続部12Aは、他の接続部12B、12Cと段部39を設けて突出した平坦面であり、同様に、接続部16Aは、他の接続部16B、16Cと段部39を設けて突出した平坦面である。そして、各接続板13、17の間には、陽極部6と陰極部8との間に形成された絶縁間隔40に対応した間隔42が設定されている。陽極集電板12、陰極集電板16の側面には、対応する接続板13、17との溶接接続部18となる平坦な接続面部44が形成されている。
【0027】
また、接続板13、17は、封口板22と、陽極側集電板12及び陰極側集電板16との間に設置される接続部材又は端子部材であって、陽極側集電板12及び陰極側集電板16と同様に、ほぼ半円形である。接続板13の上面には陽極端子10の端面形状に対応する凹部46が形成され、同様に、接続板17の上面には陰極端子14の端面形状に対応する凹部46が形成されている。この実施の形態では、陽極端子10及び陰極端子14の端面形状が円形であることから、凹部46は、陽極端子10及び陰極端子14を挿入させて位置決めする円形凹部である。そして、接続板13、17の側面には、対応する陽極側集電板12、陰極側集電板16の接続面部44に一致する平坦な接続面部48が形成されている。
【0028】
従って、コンデンサ素子4の素子端面5に陽極部6、陰極部8が引き出されて成形され、陽極部6と陽極端子10との間に陽極集電板12及び接続板13を介在させて接続され、陰極部8と陰極端子14との間に陰極集電板16及び接続板17を介在させて接続されている。接続には例えば、レーザ溶接が用いられ、接続板13、17と陽極端子10又は陰極端子14との溶接は接続板13、17の裏面側から行われ、また、コンデンサ素子4と陽極集電板12、陰極集電板16との溶接は陽極集電板12又は陰極集電板16の上面側から行われている。そして、陽極集電板12と接続板13、陰極集電板16と接続板17との溶接は接続面部44、48を用いて行われている。
【0029】
この実施の形態では、陽極集電板12と接続された陽極部6及び陰極集電板16と接続された陰極部8の外周面には、絶縁手段21(
図1)が設置されている。この絶縁手段21によってコンデンサ素子2と外装ケース20との絶縁が図られる。この絶縁手段21は例えば、絶縁紙や絶縁テープ等の絶縁材料を用いればよい。
【0030】
この電気二重層コンデンサ2の特徴事項及び利点を以下に列挙する。
【0031】
(1) コンデンサ素子4の素子端面5に陽極部6、陰極部8が引き出され、陽極部6と陽極端子10との間に陽極集電板12及び接続板13を介在させて接続し、陰極部8と陰極端子14との間に陰極集電板16及び接続板17を介在させて接続している。
【0032】
(2) このようにコンデンサ素子4側に陽極集電板12及び陰極集電板16を接続し、外部端子側に接続板13、17を接続し、これら陽極集電板12、陰極集電板16と、接続板13、17とを接続する構成では、コンデンサ素子4側の接続と、外部端子側の接続とを別個に行い、両者を接続してコンデンサ素子4に外部端子を接続するので、接続工程の独立化とともに、陽極集電板12及び陰極集電板16と、接続板13、17との接続により、コンデンサ素子4の低抵抗化を図ることができる。
【0033】
(3) コンデンサ素子4の素子端面5に引き出された陽極部6、陰極部8と、外部端子との間に陽極集電板12、陰極集電板16及び接続板13、17を備えた接続構造であるから、陽極端子部材と陽極部、陰極端子部材と陰極部との接続構造を堅牢化できる。
【0035】
第2の実施の形態は既述の電気二重層コンデンサ2の製造方法について開示する。
【0036】
この電気二重層コンデンサ2の製造方法について、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8及び
図9を参照する。
図3は電気二重層コンデンサの製造工程の一例、
図4はコンデンサ素子の巻回工程の一例、
図5は電極部の成形工程の一例、
図6は集電板の一例、
図7は接続工程の一例、
図8は接続板の一例及び外部端子と接続板の接続の一例、
図9は接続板と集電板の接続の一例を示している。
【0037】
この製造工程は、本発明のコンデンサの製造方法の一例であって、この製造工程には、
図3に示すように、コンデンサ素子4の形成工程(ステップS11)、電極部の成形工程(ステップS12)、第1の接続工程(ステップS13)、第2の接続工程(ステップS14)、第3の接続工程(ステップS15)、電解液含浸及び封入工程(ステップS16)が含まれる。
【0038】
(1) コンデンサ素子4の形成工程(ステップS11)
【0039】
このコンデンサ素子4の形成工程では、図示しない巻軸を用いることにより、
図4に示すように、陽極体60及び陰極体80が、これらの間にセパレータ50、52を介在させて巻回され、巻回素子であるコンデンサ素子4が形成される。陽極体60及び陰極体80にはベース材に例えば、アルミニウム箔が用いられ、このアルミニウム箔の両面に活性炭等の活物質及び結着剤等を含む分極性電極54が形成されている。
【0040】
このコンデンサ素子4の形成工程では、ベース材であるアルミニウム箔が同一幅の帯状態であって、分極性電極54の非形成部分(未塗工部)に電極張出し部である陽極部6又は陰極部8を形成する。これら陽極部6及び陰極部8はコンデンサ素子4の半周毎に突出する幅で形成される。
【0041】
このコンデンサ素子4では、同一端面側に形成された陽極部6と陰極部8との間には一定幅の絶縁間隔40が設けられている。陽極部6は例えば、陽極体60の基材で形成され、同様に陰極部8も陰極体80の基材で形成されている。陽極体60及び陰極体80がアルミニウムで形成される場合、陽極部6及び陰極部8は、分極性電極を形成していないアルミニウム面を露出させた基材部である。
【0042】
陽極部6又は陰極部8は、絶縁手段であるセパレータ50、52の幅Wより突出する形態とし、各陽極部6又は陰極部8の円弧長に対応する長さLに形成されている。
【0043】
(2) 電極部の成形工程(ステップS12)
【0044】
この電極部の成形工程では、
図5のAに示すように、コンデンサ素子4の素子端面5に形成された陽極部6又は陰極部8を、陽極集電板12又は陰極集電板16との接続前に、
図5のBに示すように、加工してコンデンサ素子4の素子端面5に密着状態に成形加工する。
【0045】
コンデンサ素子4の素子端面5には
図5のAに示すように、電極張出し部を構成する陽極部6と陰極部8とが立設され、これら陽極部6と陰極部8との間には所定幅の絶縁間隔40が設定されている。絶縁間隔40の中心にY軸、このY軸と直交方向にX軸を取り、X軸を中心に左右に角度θ
1 、θ
2 (>θ
1 )を設定して区画する。角度θ
1 でコンデンサ素子4の巻回中心部(巻芯部)56を中心に放射状方向に複数の切込み58を入れ、各切込み58で区画された複数の区画部6A、6B、6Cが陽極部6側に形成されている。同様に
、陰極部8側にも複数の区画部8A、8B、8Cが形成されている。角度θ
1 を例えば、33〔°〕に設定すれば、区画部6A、8Aは2θ
1 =66〔°〕となり、区画部6Aを挟んで形成された区画部6B、6C又は区画部8Aを挟んで形成された区画部8B、8Cの角度θ
2 は、θ
2 =57〔°〕に設定されている。
【0046】
切込み58の深さは例えば、張出し長を陽極部6と陰極部8の高さh
1 に設定され、陽極部6の区画部6A、6B、6C、陰極部8の区画部8A、8B、8Cを中途部で屈曲させ、コンデンサ素子4の巻芯方向に押し倒して圧縮成形することにより、
図5のBに示すように、各区画部6A、6B、6C、陰極部8の区画部8A、8B、8Cに成形される。この実施の形態では、各区画部6B、6C及び区画部8B、8Cが溶接部分に設定されている。そこで、区画部6A、8Aの突出高さh
2 が各区画部6B、6C、8B、8Cの高さh
3 より高く設定され、区画部6A、6B、6C及び陰極部8の区画部8A、8B、8Cの高さを陽極集電板12及び陰極集電板16の屈曲形状に対応させている。
【0047】
なお、コンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8は、このように巻回中心部56に向かって陽極部6及び陰極部8全体を圧縮成形することで、高さ寸法を抑制できる。この実施の形態では、陽極部6の区画部6B、6Cを圧縮形成して、安定した平坦状の接続面を形成し、その後、非接続面である区画部6Aを圧縮成形し、各区画部間6A−6B、6A−6Cの重なりによって生じる境界部の高さ寸法を抑制している。この境界部の高さ寸法の抑制については陰極部8においても同様である。
【0048】
各陽極部6及び各陰極部8の成形工程において、
図4に示すように素子端面5に露出する陽極部6、陰極部8は、一定幅に折り目線81を付し、コンデンサ素子4の巻回後、巻回中心部56を中心にして対向方向に折り曲げられた状態で対向している。折り目線81は、素子端面から一定の幅(0.5mm以上)の位置に形成されており、これにより陽極部6又は陰極部8の折り曲げ時に素子端面位置のセパレータ部位に加わる機械的ストレスが減少し、陽極体60、陰極体80の接触によるショート等を防止可能となる。なお、この折り目線はキズではなくケガキ線であって、陽極部6及び陰極部8の折り曲げ時の座屈を防止することができる。この折り目線は溝であり、断面形状は三角、四角又は湾曲(R)であってもよい。この折り目線の形成には例えば、プレス、レーザ、切削等の方法を用いればよい。折り目線81は
図4に示すように1本であってもよいが、陽極部6又は陰極部8の幅に応じて複数本としてもよい。折り目線81の形成面部は、陽極部6又は陰極部8の片面でもよいが、両面であってもよい。一例としての折り目線81は、素子端面の巻回中心部56に対向する面が谷折りになるように形成されている。
【0049】
(3) 第1の接続工程(ステップS13)
この第1の接続工程では、コンデンサ素子4の素子端面5に形成された陽極部6に対する陽極集電板12、陰極部8に対して陰極集電板16の各接続が含まれる。
【0050】
陽極部6に接続される陽極集電板12、陰極部8に接続される陰極集電板16は、
図6に示すように、電極材料と同一の例えば、アルミニウム板で形成され、既述の陽極部6の区画部6A、6B、6C(
図5)を覆い、区画部6B、6Cとのレーザ溶接面積を持ち、且つ陽極端子10とのレーザ溶接面積を持つ形状及び面積を備えている。この実施の形態では、コンデンサ素子4の素子端面5の2分の1の大きさであって、絶縁間隔40が確保される形状として、ほぼ半円形板である。
【0051】
陽極集電板12(又は陰極集電板16)には、
図6のAに示すように、弦側中心部にコンデンサ素子4の巻回中心部56に対応して円弧状切欠部62が形成され、その弧側には、X軸を中心にX軸と直交方向に直線状に切り落とされた接続面部44が形成されている。また、この陽極集電板12(又は陰極集電板16)には、
図6のBに示すように、円弧状切欠部62を中心即ち、X軸を中心に左右に角度θ
1 を持って直角に屈曲させた段部39を以て円弧状の接続部12A、12B、12C(又は16A、16B、16C)が形成されている。各接続部12A、12B、12C(又は16A、16B、16C)は、それぞれ平坦面に形成され、段部39を挟んで平行面を構成している。この実施の形態では、接続部12A(又は16A)の上面側に接続板13が接続され、接続部12B、12C(又は16B、16C)の裏面側に陽極部6の区画部6B、6Cが接続される。
【0052】
この陽極集電板12において、接続部12Aの高さをh
4 、陽極集電板12の厚さをt、接続部12Aの内側の高さをh
5 とすると、
h
5 =h
4 −t≧h
2 −h
3 ・・・(1)
に設定されている。従って、接続部12Aの内側の高
さh5 は、区画部6A、8Aの突出高さh
2 と各区画部6B、6C、8B、8Cの高さh
3 との差分Δh(
=h
2 −h
3 )を吸収し、陽極集電板12が各区画部6B、6Cに密着し、且つ区画部6Aを収納して設置される。なお、陽極集電板12の厚さtは、陽極集電板12の接続部12B、12Cと接続部12Aの部位で厚さを変更することもできる。例えば、接続部12Aの厚みを接続部12B、12Cに比べて厚く設定(1.2倍以上)することができ、これによると陽極部6とのレーザ溶接の際に接続部12B、12Cに生じる発熱が所定厚みを有する接続部12Aによって吸収され、レーザ溶接の接続精度が向上する。このような構成及び他の部との関係については、陰極集電板16についても同様である。
【0053】
次に、陽極集電板12及び陰極集電板16は
図7に示すように、コンデンサ素子4の一端面に巻回中心部56を中心にし、且つ巻回中心部56に円弧状切欠部62を合わせて配置され、陽極部6と陰極部8との間の絶縁間隔40に対応して間隔42が設定されている。陽極集電板12には、接続部12Aの下面側にコンデンサ素子4の陽極部6の区画部6A、陽極集電板12の接続部12B、12Cの下面側にコンデンサ素子4の陽極部6の区画部6B、6Cが位置決めされて密着させられる。そして、レーザ照射接続部64では、コンデンサ素子4の周縁方向から巻芯方向に向かうレーザ照射により、区画部6B、6C及び接続部12B、12Cを部分的又は全面的に溶融させ、接続している。このような接続は陰極集電板16側でも同様である。
【0054】
レーザ照射の部位は、この実施の形態では、
図7に示すように、陽極集電板12及び陰極集電板16の段部39で隔てた接続部12B、12C(接続部16B、16C)の各2箇所即ち、レーザ照射接続部64である。この場合、
図7のレーザ照射接続部64に付した矢印〔1〕、〔2〕、〔3〕及び〔4〕で示すように、レーザ照射を行う。このレーザ照射は、シールドガスにアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを用いてコンデンサ素子4をシールドし、コンデンサ素子4に対するレーザ熱やスパッタの影響を回避する。
【0055】
〔1〕このレーザ照射は、コンデンサ素子4の外周側より、素子中心方向に向かって直線状に一方の陽極集電板12の接続部12Bに照射する。
【0056】
〔2〕次に、巻回中心部56を隔てて対向する他方の陰極集電板16の接続部16Bに素子中心側より、素子外周方向に向かって直線上にレーザ照射することにより、一連の動作にて溶接される。
【0057】
〔3〕また、同じく、レーザ照射は、コンデンサ素子4の外周側より、素子中心方向に向かって直線状に一方の陽極集電板12の接続部12Cに照射する。
【0058】
〔4〕そして、巻回中心部56を隔てて対向する他方の陰極集電板16の接続部16Cに素子中心側より素子外周側に向かって直線上にレーザを照射する一連の動作にて溶接される。
【0059】
このように、巻回中心部56を隔てて直線状にレーザ照射する一連の動作にて、陽極部6と陽極集電板12、陰極部8と陰極集電板16とが接続される。つまり、陽極部6及び陰極部8と各集電板12、16とを巻回中心部56を隔ててコンデンサ素子4の直径方向に向かう溶接ライン(レーザ照射接続部64)を設定して溶接するので、陽極部6及び陰極部8と各集電板12、16との接続のための溶接の時間短縮を図ることができ、製造工程の簡略化を図ることができる。なお、レーザ照射の〔1〕及び〔2〕の一連の動作を2回繰り返す。又は、レーザ照射の〔1〕ないし〔4〕の一連の動作を2回繰り返し、近傍に溶接部を配することで接続抵抗を更に低減することも可能である。レーザ照射の〔1〕及び〔2〕の一連の動作にて接続することも可能であるが、陽極集電板12、陰極集電板16の各接続部12B、12C、16B、16Cを、それぞれ素子中心側より素子外周側に向かって直線上に照射する等、個別に接続することもできる。
【0060】
また、レーザ照射の〔1〕ないし〔4〕の連続動作について、同一箇所を連続してレーザ照射するのではなく、レーザ溶接を〔1〕から〔4〕で行い、その後、再び(1) から〔4〕にレーザ照射すれば、同一箇所のレーザ照射に時間間隔を設けることができ、この結果、レーザ照射箇所の冷却化を図ることができ、レーザ溶接による接続の安定化が図られる。また、同一箇所に時間間隔を設けて複数回のレーザ照射を行うことも可能であるが、1回目のレーザ溶接を〔1〕から〔4〕で行い、再びレーザ溶接を〔1〕から〔4〕で行うので、冷却間隔を取りながら、レーザ照射を連続的に行うことができ、レーザ照射による溶接時間の短縮化を図ることができる。
【0061】
なお、
図5に示すように、陽極部6及び陰極部8は、所定の絶縁間隔40を設けてコンデンサ素子4の端面から導出している。陽極部6及び陰極部8には、中心方向に向かって圧縮成形した際に、陽極部6及び陰極部8が接触しない絶縁間隔40を設定しており、このため、コンデンサ素子4の巻回中心部56近傍(巻回中心部から2mm以内)では、陽極部6及び陰極部8が形成されていない。また、陽極部6及び陰極部8は、その形成部位が多いほど(又は面積が大きいほど)、抵抗の低減につながるため、陽極部6及び陰極部8が接触せず、また、低抵抗化が図れる絶縁間隔40として、例えば、3〔mm〕〜15〔mm〕を設定している。また、コンデンサ素子4の最外周では、陽極部6及び陰極部8の圧縮成形時にずれ等が生じても陽極部6及び陰極部8が外装ケース20に接触しないように、陽極集電板12と接続された陽極部6及び陰極集電板16と接続された陰極部8の外周面に絶縁紙や絶縁テープ等の絶縁手段21を設置するとよい。この絶縁手段21を、該陽極部6及び陰極部8に加え、陽極端子10、陰極端子14、陽極集電板12、陰極集電板16を覆うように外周に沿って設置すれば、外装ケース20との絶縁が図られる。
【0062】
(4) 第2の接続工程(ステップS14)
【0063】
この第2の接続工程は、接続板13、17と、封口板22の外部端子である陽極端子10、陰極端子14との接続である。
【0064】
図8は封口板22の下面側から示している。
図8のAに示すように、接続板13の凹部46には陽極端子10、接続板17の凹部46には陰極端子14を対応させ、
図8のBに示すように、陽極端子10に接続板13、陰極端子14に接続板17を乗せ、各接続板13、17の間に絶縁間隔40に対応する所定の間隔42を確保して平行に位置決めする。この状態で接続板13、17側からレーザ照射70をし、接続板13と陽極端子10、接続板17と陰極端子14を接続する。これにより、封口板22にある陽極端子10には接続板13、陰極端子14には接続板17が一体化される。
【0065】
(5) 第3の接続工程(ステップS15)
【0066】
この第3の接続工程では、封口板22の陽極端子10上の接続板13とコンデンサ素子4側の陽極集電板12との接続、封口板22の陰極端子14上の接続板17とコンデンサ素子4側の陰極集電板16との接続である。
【0067】
図9に示すように、コンデンサ素子4側の陽極集電板12及び陰極集電板16の上面に封口板22にある接続板13、17を重ね、各接続面部44、48を一致して位置決めし、レーザ照射72をすることにより、レーザ溶接により接続板13と陽極集電板12、接続板17と陰極集電板16を接続する。これにより、コンデンサ素子4の陽極部6に封口板22の陽極端子10、コンデンサ素子4の陰極部8に封口板22の陰極端子14が接続され、コンデンサ素子4の各電極が外部端子に接続される。
【0068】
ここで、コンデンサ素子4と封口板22との間隔(距離)を長く取ると、その分抵抗が増えてしまうとともに、電気二重層コンデンサ2の高さ寸法が大きくなってしまうため、コンデンサ素子4と封口板22との間隔(距離)を極力短くしている。このような小スペースにおいて、陽極端子10(及び接続板13)及び陰極端子14(及び接続板17)と、陽極集電板12及び陰極集電板16とを接続するために、既述の通り、接続面部44,48とで共通の同一面を形成し、この部位に局所的に溶接可能なレーザ照射にて溶接することで溶接の簡易化及び強化が図られている。ここで、陽極集電板12及び陰極集電板16、接続板13、17の厚み(各接続面部44、48の高さ寸法)は、それぞれ0.5〔mm〕〜5〔mm〕の範囲で設定されており、これによると、レーザ溶接が可能な寸法で且つ内部抵抗が増大され難く、また、電気二重層コンデンサ2の高さ寸法を短くすることができる。
【0069】
なお、陽極集電板12、陰極集電板16において、コンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8との接続領域と、陽極側の接続板13と陰極側の接続板17との接続領域とが異なる位置に設定されているので、各電極部と集電板、各接続板と集電板との接続を安定化させることができ、コンデンサ素子の低抵抗化、接続の強化等、電気的特性を高めることができる。
【0070】
(6) 電解液含浸及び封入工程(ステップS16)
【0071】
この工程では、コンデンサ素子4に電解液を含浸させ、そのコンデンサ素子4を外装ケース20に収容し、外装ケース20を封口板22で封口する。
【0072】
外装ケース20の封口では、開口端部34のカーリング処理により封止し、製品である電気二重層コンデンサ2(
図1)が完成する。
【0073】
このような製造工程によれば、既述の電気二重層コンデンサ2を容易に製造でき、端子接続工程の簡略化を図ることができ、第1の実施の形態で述べた通りの効果を有するコンデンサを実現できる。
【0074】
以上説明した第2の実施の形態の電気二重層コンデンサ2の特徴事項や利点を列挙すれば以下の通りである。
【0075】
(1) コンデンサ素子4の一端面側に陽極体60の基材で陽極部6、陰極体80の基材で陰極部8が形成され、陽極部6と陽極端子10とが陽極集電板12及び接続板13を介して接続され、陰極部8と陰極端子14とが陰極集電板16及び接続板17を介して接続されるので、端子接続のシンプル化が図られている。しかも、接続を容易化することができる。
【0076】
(2) 外装ケース20の空間部24内に接続部の占める空間専有率が極めて低い。即ち、封口板22の陽極端子10、陰極端子14に接続板13、17を接続し、各接続板13、17を用いて陽極部6と陽極端子10、陰極部8と陰極端子14との接続をするので、各陽極端子10及び陰極端子14の接続に必要な長さを短くすることができ、接続空間を狭小化できるとともに、コンデンサ素子4の低抵抗化に寄与する。また、接続のための専有空間を小さくできるので、外装ケース20内のコンデンサ素子4の占める割合を大きくできる等、同一の静電容量であれば、電気二重層コンデンサ2の小型化や、軽量化を図ることができる。
【0077】
(3) 外装部材である封口板22には、コンデンサ素子4が強固に支持されている。即ち、陽極端子10及び陰極端子14に陽極集電板12、陰極集電板16を介してコンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8のレーザ溶接により、強固に固定されるので、コンデンサ素子4の支持強度が高められている。この結果、機械的に堅牢な支持構造が構成され、製品の耐震性を高めることができる。
【0078】
(4) 巻回素子であるコンデンサ素子4に巻回されている陽極体60から複数の側縁部を集合させて陽極部6が形成され、この陽極部6を陽極集電板12にレーザ溶接し、同様に、陰極体80から複数の側縁部を集合させて陰極部8が形成され、この陰極部8を陰極集電板16にレーザ溶接しているので、コンデンサ素子4及び電気二重層コンデンサ2の低抵抗化を図ることができ、等価直列抵抗の低い製品を提供できる。
【0079】
(5) 陽極集電板12及び陰極集電板16とともに、接続板13、17を用いたので、コンデンサ素子4にタブを接続する必要がない。
【0080】
(6) 陽極集電板12又は陰極集電板16と、外部端子(陽極端子10又は陰極端子14)側の接続板13、17との側面の同一面化しているので、両者に対するレーザ照射を安定でき、接続の完全化及び信頼性を高めることができる。
【0081】
(7) レーザ照射時にシールドガスを用いれば、レーザ熱や、飛翔するスパッタからコンデンサ素子4を防護でき、コンデンサ素子4及び製品であるコンデンサ2の特性劣化を防止でき、信頼性を向上させることができる。
【0083】
第3の実施の形態は集電板と接続板とを同一周面に形成し、共通接続面とした構成である。
【0084】
この実施の形態について、
図10を参照する。
図10は第3の実施の形態に係る接続部を示す図である。
【0085】
第1及び第2の実施の形態では、陽極集電板12、陰極集電板16及び接続板13、17の側面にフラット面を成す接続面部44、48を形成しているが、これに限定されない。この第3の実施の形態では、陽極集電板12、陰極集電板16及び接続板13、17を半円形状に形成し、接続面部44、48を各側面部の周面部に設定したものである。係る構成とすれば、円周面であるが故に同一半径の周面部が形成され、各溶接面部を共通化でき、位置決めによって接続精度が低下するのを抑制することができる。即ち、位置決め精度に無関係に接続精度を高めることができる。
【0087】
第4の実施の形態は、封口板、外部端子又は集電板の何れかに位置決め手段を設け、位置決め手段で外部端子と集電板及び接続板との接続位置を決定することを開示している。
【0088】
第4の実施の形態について、
図11を参照する。
図11は第4の実施の形態に係る封口板を示し、Aは背面側から見た封口板、Bは封口板で位置決めされた陽極集電板及び陰極集電板を示している。
【0089】
この実施の形態の封口板22の背面側には、
図11のAに示すように、陽極端子10及び陰極端子14との間にある空間部に絶縁材料からなる位置決め凸部71が形成されている。この位置決め凸部71は、接続板13、17を位置決めする手段であって、コンデンサ素子4(
図1)の巻回中心部56に向けて突出させている。この位置決め凸部71は、円柱状部73と、一対の平板状立壁部75とを備えている。円柱状部73は、陽極集電板12と陰極集電板16のそれぞれの円弧状切欠部62(
図6)の円弧に対応する柱体部である。平板状立壁部75は、円柱状部73を備え、この円柱状部73を中心に陽極集電板12及び陰極集電板16の間隔42を維持する平板状立壁部75を左右に備えている。
【0090】
この位置決め凸部71に対応するため、接続板13、17には、対向面側の中心部に陽極集電板12及び陰極集電板16と同様の円弧状切欠部63を備えている。この円弧状切欠部63の内径は、円柱状部73の外周径と一致している。従って、円弧状切欠部63を位置決め凸部71の円弧状切欠部63に一致させることにより、各接続板13、17を所定位置に位置決めすることができる。
【0091】
このような位置決め凸部71を備えた封口板22を備えれば、
図11のBに示すように、位置決め凸部71で陽極集電板12及び陰極集電板16を所定位置に位置決めするとともに、陽極集電板12及び陰極集電板16を通過して突出する位置決め凸部71により、陽極集電板12及び陰極集電板16上に重ねられた接続板13、17を位置決めし、同様に、間隔42を所定幅wに維持することができる。即ち、位置決め凸部71の円柱状部73では陽極集電板12及び陰極集電板16の円弧状切欠部62を嵌合させ、各平板状立壁部75の側面に各陽極集電板12及び陰極集電板16を接することにより、陽極集電板12及び陰極集電板16が所定位置に位置決めされる。この位置決めにより、接続板13、17の接続面部48と、集電板12、16側の接続面部44とをそれぞれ一致させることができ、レーザ照射による接続の安定化を図り、接続精度を高めることができるとともに、位置決め凸部71によって、陽極部6及び陰極部8が確実に絶縁隔離される。
【0092】
なお、この実施の形態では、封口板22側に位置決め凸部71を形成したが、外部端子(陽極端子10、陰極端子14)又は集電板(陽極集電板12及び陰極集電板16)の何れかに位置決め手段を設けてもよい。斯かる構成によっても、位置決め手段で外部端子と集電板との接続位置を決めることができ、レーザ照射面を画一的に同一化でき、接続の安定化を図り、信頼性の高い接続を実現できる。
【0093】
また、位置決め凸部71で接続板13、17が位置決めされると、各接続面部48は陽極端子10又は陰極端子14の側面部に形成された平坦接続面部74に一致させることができ、連続した平坦面を形成する。これにより、レーザ溶接が容易化し、接続強度を高めることができる。
【0095】
第5の実施の形態は外装部材にある外部端子と接続板との位置決め精度を高める構成である。
【0096】
この実施の形態について、
図12を参照する。
図12は第5の実施の形態に係る外部端子及び接続板を示している。
【0097】
上記実施の形態では、陽極端子10、陰極端子14を円柱状に形成し、接続板13、17にはその端面形状に合わせて円形の凹部46を形成しているが、これに限定されない。この第5の実施の形態においても、既述した通り、陽極端子10、陰極端子14の周面部に平坦状に切欠いた平坦側面部74を形成し、この平坦側面部74に対応した凹部76を接続板13、17に形成してもよい。凹部76は、平坦側面部74を弦とする円弧状凹部とすればよい。係る構成では、凹部76に陽極端子10又は陰極端子14が挿入される際に平坦側面部74で容易に位置決めすることができ、封口板22に高精度に位置決めされた接続板13、17を取り付けることができる。これにより、接続板13、17の接続面部48と、集電板12、16側の接続面部44とを高精度に位置決めすることができ、溶接による接続精度を高めることができる。
【0099】
(1) 上記実施の形態では、接続板13、17に陽極端子10、陰極端子14の端面形状に合致する凹部46(
図2)を形成したが、これに限定されない。凹部46を形成せず、各接続板13、17の上面を平坦面としてもよい。斯かる構成とすれば、凹部76等を形成しない分だけ接続板13、17の単純化できるとともに、陽極端子10、陰極端子14の端子長を短くでき、接続構造の単純化を図ることができる。
【0100】
(2) 上記実施の形態では、コンデンサ素子として巻回素子を例示したが、巻回素子に限定されない。積層型素子や固体素子であってもよい。
【0101】
(3) 上記実施の形態では、コンデンサ素子の素子端面の一方(同一面)に陽極部6及び陰極部8を 備えて外部端子に接続する構成を開示しているが、一方の素子端面に陽極部、他方の素子端面に陰極部を備える構成としてもよい。
【0102】
(4) 上記実施の形態では、電気二重層コンデンサ2を例示したが、本発明はこれに限定されない。同一の構造及び方法は、電解コンデンサにも同様に適用でき、同様の効果が得られる。
【0103】
(5) 上記実施の形態では、陽極部と陰極部との間に絶縁間隔を設置しているが、この絶縁間隔に絶縁部材を設置してもよい。
【0104】
(6) 上記実施の形態では、集電板12、16及び接続板13、17の各接続面部44、48、フラット面としたが、本発明はこれに限定されない。各接続面部44、48が共通する共通の同一面を形成すればよいため、曲面であってもよい。この接続面部44,48の位置についても、コンデンサ素子4の外周縁近傍であればよい。
【0105】
(7) 上記実施の形態では、陽極部6及び陰極部8を半円形状に形成したが、本発明はこれに限定されない。実施の形態で示した陽極部6の区画部6A、6B、6C、陰極部8の区画部8A、8B、8Cのうち、陽極集電板12と陰極集電板16と接続する区画部6B、6C及び8B、8Cのみ張り出して形成し、陽極部
6の
区画部6A及び陰極部
8の
区画部8Aは張り出さなくてもよい。
【0106】
(8) 上記実施の形態では、集電板の異なる位置として3分割された区分により、陽極部6及び陰極部
8との素子接続領域である
接続部12B、12C又は16
B、16C
と、接続板接続領域である
接続部12A又は16Aとが集電板の表裏面に設定され、水平方向に異なる位置に設定しているが、これに限定されない。集電板の一部に素子接続領域(レーザ照射接続部64)を設定し、その他の部位に接続板接続領域(溶接接続部18)を設定してもよい。即ち、集電板の表裏面で溶接位置が異なれば、素子接続領域と接続板接続領域が近接していてもよい。つまり、素子接続領域である
接続部12Bにおいてレーザ照射接続部64と集電板の表裏面で溶接位置が重ならない部位に溶接接続部18を設定してもよい。
【0107】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。