(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に関わる実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、バッテリからの電力供給により作動するモータを動力源とする車両、いわゆる電気自動車に適用した場合である。
【0015】
(第1の実施形態)
はじめに、車両が起動した際に、当該車両が有する態様として、電気自動車に搭載されたモータ駆動用バッテリの充電レベルを、パワーメータを利用して運転者等に知らせるようにした第1の実施形態について、
図1〜
図9を用いて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態の車両である電気自動車1の概略構成を示す模式図である。電気自動車1は、走行用のモータ11と、高圧のバッテリ12と、インバータ13と、充電器14と、コントロールボックス15とを備える。
【0017】
バッテリ12は、複数のセルを直列に接続するなどして百ボルト以上の高電圧を得るようにしたもので、このバッテリ12から出力される電力は、インバータ13を介してモータ11に供給される。また、バッテリ12は、充電器14の作用により充電される。充電器14は、図示しない充電用ケーブルを介して商用電源から供給される電力でバッテリ12を充電する。
【0018】
インバータ13は、バッテリ12から供給される電力をモータ11の駆動用電力に変換して、モータ11に供給する。駆動用電力が供給されたモータ11は、動力伝達機構21を介して駆動輪である前輪22を回転させる。この前輪22の回転に伴って後輪23が回転し、車両1は走行する。ここに、電気自動車1は、バッテリ12からの電力供給により作動するモータ11を動力源とする車両である。
【0019】
コントロールボックス15には、少なくとも始動スイッチ24、アクセルペダル25、ブレーキペダル26及び計器盤27が接続される。
図2は、コントロールボックス15の要部構成を示すブロック図である。図示するように、コントロールボックス15は、EV−ECU(Electric Vehicle ‐ Electric Control Unit)31、モータECU(Electric Control Unit)32、バッテリECU33及びメータECU34と、始動スイッチ24のポジションセンサ35、アクセルペダル25の踏力センサ36及びブレーキペダル26の踏力センサ37を備える。各ECU31、32、33、34は、マイクロコンピュータで構成される電子制御装置であり、マイクロプロセッサやメモリ等を集積したLSIデバイスとして提供される。
【0020】
ポジションセンサ35は、イグニッションキーにて回動可能な始動スイッチ24のポジションを検出する。そして、検出情報をEV−ECU31に出力する。始動スイッチ24のポジションには、ハンドルがロックされるLOCKポジションと、オーディオやアクセサリーソケット等を使用できるACCポジションと、動力源が作動中のONポジションと、動力源を起動するSTARTポジションとがある。なお、始動スイッチ24は、運転者がキーレスオペレーションキーを携帯するだけで回動可能となるキーレスオペレーションシステムに対応したものであってもよい。
【0021】
踏力センサ36は、アクセルペダル25の踏み込みの有無及び踏み込み力を検出する。そして、検出情報をEV−ECU31に出力する。踏力センサ37は、ブレーキペダル26の踏み込みの有無及び踏み込み力を検出する。そして、検出情報をEV−ECU31に出力する。
【0022】
モータECU32は、モータ11から回転数、温度等の情報を取り込み、解析して、当該モータ11の状態を監視する。バッテリECU33は、バッテリ12の充電レベルSOCを検出する演算機能や、バッテリ12の劣化状態を検出する演算機能を備える。メータECU34は、計器盤27に配置される種々の計器や表示灯の表示を制御する。
【0023】
前記メータECU34によって表示が制御される計器の1種に、パワーメータ41がある。パワーメータ41は、前記バッテリ12の放電時には放電量を、充電時には充電量を指針の動きで示す。
【0024】
電気自動車1に搭載されるパワーメータ41の一例を
図6に示す。このパワーメータ41は、車両の電力使用状況がPOWERゾーン42にあるかECOゾーン43にあるかCHGゾーン44にあるかを、指針45の動きで表わす。本実施例では、指針を備えるパワーメータについて説明するが、これに限られるものではなく、例えば、セグメントを変化させてPOWERゾーン42にあるかECOゾーン43にあるかCHGゾーン44にあるかを表わしてもよい。
【0025】
指針45は、
図6に示す位置、すなわちECOゾーン43とCHGゾーン44との境界を指示する位置を基準位置とする。この状態から、アクセルペダル25を踏み込むことで電力消費が増加し、バッテリ12の放電量が増加するに伴い、指針45はECOゾーン43あるいはPOWERゾーン42を指示する。指針45がECOゾーン43を指示するときには、電力消費を抑えたECOモードでの走行となっている。このECOモードを維持することで、電気自動車1は、長い距離を走行可能となる。一方、アクセルペダル25を離したり、ブレーキペダル26を踏み込んだりして減速し、回生ブレーキで発生した充電電力でバッテリ12が充電されると、指針45はCHGゾーンを指示する。
【0026】
EV−ECU31は、ポジションセンサ35及び踏力センサ36,37等から入力される検出信号を基に、実装された制御プログラムに従いモータECU32、バッテリECU33及びメータECU34を統括的に管理して、電気自動車1をコントロールする。因みに、制御プログラムは、電気自動車1の仕向け地によって仕様が異なっている。
【0027】
EV−ECU31は、不揮発性のメモリ50を有している。このメモリ50には、
図3に示すように、初期表示モードフラグ51としての領域と、ステータスメモリ52としての領域と、ステータス別の初期表示パターンテーブル53としての領域と、車両態様区分別のステータステーブル54としての領域とが形成されている。
【0028】
初期表示モードフラグ51は、車両が走行可能状態となる際に計器を利用して車両が有する所定の態様を運転者に知らせるモード、いわゆる初期表示モードを有効とするときセットされる。
【0029】
本実施形態の電気自動車1は、初期表示モードを有効とするか無効とするかを選択するためのモードスイッチを有する。モードスイッチは、ソフト式のスイッチであってもよいし、機械式のスイッチであってもよい。ユーザは、電気自動車1の起動時にバッテリ12の充電レベルをパワーメータ41を利用して運転者に知らせる機能を有効とするか無効とするかを決定する。そして、有効とする場合には初期表示モードを有効とする旨を選択し、無効とする場合には初期表示モードを無効とする旨を選択するように、モードスイッチを設定する。EV−ECU31は、モードスイッチによって初期表示モードを有効とする旨が選択された場合には、初期表示モードフラグ51をセットする。逆に、初期表示モードを無効とする旨が選択された場合には、初期表示モードフラグ51をリセットする。
【0030】
ステータスメモリ52は、車両が有する態様を数値化したステータスを記憶する。本実施形態では、2進数の2桁の数値をステータスとする。初期表示パターンテーブル53は、前記ステータス毎に設定されるパワーメータ41の初期表示パターンを、ステータス別に記憶する。ステータステーブル54は、車両態様の区分毎に設定されるステータスを、区分別に記憶する。
【0031】
前述したように本実施形態は、初期表示モードが有効なとき、電気自動車1が有する態様としてバッテリ12の充電レベルを、パワーメータ41を利用して運転者等に知らせるものである。そこで本実施形態では、バッテリ12の充電レベルSOCを、2種類のしきい値Clo,Chi(Clo:ローレベルしきい値<Chi:ハイレベルしきい値)で3段階に区分する。そして、充電レベルSOCがハイレベルしきい値Chi以上のときのステータスを“01”と設定し、ハイレベルしきい値Chi未満でローレベルしきい値Clo以上のときのステータスを“10”と設定し、ローレベルのしきい値Clo未満のときのステータスを“11”と設定する。
【0032】
また、ステータスが“01”のときの初期表示パターンをPOWERゾーンから基準位置に戻るパターン“P→S”とし、ステータスが“10”のときの初期表示パターンをECOゾーンから基準位置に戻るパターン“E→S”とし、ステータスが“11”のときの初期表示パターンをCHGゾーンから基準位置に戻るパターン“C→S”とする。なお、ステータスはデフォルト値が“00”であり、このときの初期表示パターンは、基準位置を示すパターン“S”である。
【0033】
ここに、初期表示パターンテーブル53とステータステーブル54とは、電気自動車1の態様であるバッテリ12の充電レベル別に設定されるパワーメータ41の指針動作パターンを示すデータを記憶する記憶手段を構成する。
【0034】
しかして、LOCKポジションにあった始動スイッチ24がONポジションに切り替えられると、コントロールボックス15に電源が供給されて、EV−ECU31等が立ち上がる。そうすると、予め実装された起動プログラムにより、EV−ECU31は、
図4の流れ図に示す手順の処理を実行する。
【0035】
先ず、EV−ECU31は、ステップST1としてステータスメモリ52にステータスのデフォルト値“00”を格納する。次に、EV−ECU31は、ステップST2として初期表示モードフラグ51をチェックして、初期表示モードが有効であるか無効であるかを判別する。
【0036】
初期表示モードフラグ51がリセットされており、初期表示モードが無効な場合(ST2においてNO)、EV−ECU31は、ステップST3として走行可能状態になるのを待機する。始動スイッチ24がSTARTポジションに切り替えられ、バッテリ12からの電力がインバータ13を介してモータ11に供給されて、電気自動車1が走行可能状態になると(ST3においてYES)、EV−ECU31は、ステップST6としてステータスに応じた初期表示パターンを実施する。
【0037】
すなわちこの場合は、ステータスメモリ52に格納されているステータスが“00”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“S”を読み出す。このパターンは、基準位置を示す。すなわちEV−ECU31は、
図6に示すように、パワーメータ41の指針45を基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0038】
一方、初期表示モードフラグ51がセットされており、初期表示モードが有効な場合(ST2においてYES)、EV−ECU31は、ステップST4として走行可能状態になるのを待機する。始動スイッチ24がSTARTポジションに切り替えられ、バッテリ12からの電力がインバータ13を介してモータ11に供給されて、電気自動車1が走行可能状態になると(ST4においてYES)、EV−ECU31は、ステップST5として
図5の流れ図により具体的に手順が示される車両態様区分判定処理を実行する。
【0039】
すなわちEV−ECU31は、ステップST11としてバッテリECU33で演算されているバッテリ12の充電レベルSOCを取得する。そして、ステップST12として充電レベルSOCがハイレベルしきい値Chi以上であるか否かを判定する。充電レベルSOCがハイレベルしきい値Chi以上であるとき(ST12においてYES)、EV−ECU31は、ステップST14としてステータスメモリ52のステータスを“01”に書き換える。
【0040】
これに対し、充電レベルSOCがハイレベルしきい値Chi未満であるときには(ST12においてNO)、EV−ECU31は、ステップST13として充電レベルSOCがローレベルしきい値Chiより高いか否かを判定する。充電レベルSOCがローレベルしきい値Chiより高いとき(ST13においてYES)、EV−ECU31は、ステップST15としてステータスメモリ52のステータスを“10”に書き換える。これに対し、充電レベルSOCがローレベルしきい値Chi以下のときには(ST13においてNO)、EV−ECU31は、ステップST16としてステータスメモリ52のステータスを“11”に書き換える。以上で、車両態様区分判定処理は終了する。
【0041】
車両態様区分判定処理が終了すると、EV−ECU31は、ステップST6としてステータスに応じた初期表示パターンを実施する。すなわち、バッテリ12の充電レベルSOCがハイレベルしきい値Chi以上のときには、ステータスメモリ52のステータスが“01”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“P→S”を読み出す。このパターンは、POWERゾーンから基準位置に戻るパターンである。すなわちEV−ECU31は、
図7に示すように、パワーメータ41の指針45を一旦POWERゾーン42まで移動させた後、基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0042】
一方、バッテリ12の充電レベルSOCがハイレベルしきい値Chi未満であるもののローレベルしきい値Cloよりも高い場合には、ステータスメモリ52のステータスが“10”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“E→S”を読み出す。このパターンは、ECOゾーンから基準位置に戻るパターンである。すなわちEV−ECU31は、
図8に示すように、パワーメータ41の指針45を一旦ECOゾーン43まで移動させた後、基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0043】
また、バッテリ12の充電レベルSOCがローレベルしきい値Clo以下の場合には、ステータスメモリ52のステータスが“11”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“C→S”を読み出す。このパターンは、CHGゾーンから基準位置に戻るパターンである。すなわちEV−ECU31は、
図9に示すように、パワーメータ41の指針45を一旦CHGゾーン44まで移動させた後、基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0044】
ここに、EV−ECU31は、ステップST4〜ST5の処理によって、電気自動車1の起動に応じて当該車両の態様であるバッテリ12の充電レベルを認識する認識手段を構成する。また、ステップST6の処理によって、認識手段により認識された態様と記憶手段(初期表示パターンテーブル53,ステータステーブル54)により記憶されるデータとからパワーメータ41の指針動作パターンを決定し、その指針動作パターンに従ってパワーメータ41の指針45を動作させる制御手段を構成する。
【0045】
このように、本実施形態の電気自動車1においては、例えば運転者が始動スイッチ24をSTARTポジションまで切り替えたことでバッテリ12からの電力がモータ11に供給され、車両が走行可能状態になると、現時点におけるバッテリ12の充電レベルに応じて、パワーメータ41の指針45が動作する。すなわち、充電レベルがハイレベルしきい値Chi以上のときには、
図7に示すように指針45がPOWERゾーン42まで振れた後、基準位置に戻る。充電レベルがハイレベルしきい値Chiよりも少ないがローレベルしきい値Cloより高い場合には、
図8に示すように指針45がECOゾーン43まで振れた後、基準位置に戻る。これに対し、充電レベルがローレベルしきい値Clo以下の場合には、
図9に示すように指針45がCHGゾーン44まで振れた後、基準位置に戻る。
【0046】
このように、例えば運転者は、電気自動車1が起動した際に、パワーメータ41の指針45の動きによって、バッテリ12の充電レベルを知ることができる。つまり、指針45が、走行時にはバッテリ12の放電状態を示すPOWERゾーン42またはECOゾーン43の側に振れた場合には、バッテリ12は充電の必要がないが、バッテリ12の充電状態を示すCHGゾーン44の側に振れた場合には、バッテリ12は充電の必要があると知ることができる。このように、バッテリ12の充電レベルを確認するための専用のツールがなくても、例えば運転者は、バッテリ12の充電レベルを知ることができるので、専用のツールを搭載するのに必要なコストを低減することができる。
【0047】
なお、本実施例では、表示パターンを表示させるものとしてパワーメータを用いて説明したが、これに限られるものではなく、例えば、表示灯をパターンに従って点滅させたりすることも考えられる。
【0048】
(第2の実施形態)
電気自動車1に実装される制御プログラムは、気候や地域性等を考慮して仕向け地別に仕様が異なる。そこで次に、車両が有する態様として、仕向け地別に異なる制御プログラムの種類を、パワーメータを利用して運転者等に知らせるようにした第2の実施形態について、
図10〜
図11を用いて説明する。なお、
図1,
図2,
図4及び
図6〜
図9で示される構成は、第2の実施形態においても共通なので、同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
図10は、EV−ECU31のメモリ50に形成されるステータス別の初期表示パターンテーブル61と車両態様区分別のステータステーブル62を示す。メモリ50に、初期表示モードフラグ51としての領域と、ステータスメモリ52としての領域がさらに形成されている点は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
第2の実施形態では、ステータスを2進数の3桁の数値とする。そして、ステータス“000”と“100”とについては、初期表示パターンを、基準位置を示すパターン“S”とし、ステータス“001”については、初期表示パターンをPOWERゾーンから基準位置に戻るパターン“P→S”とし、ステータスが“010”については、初期表示パターンをECOゾーンから基準位置に戻るパターン“E→S”とし、ステータスが“011”については、初期表示パターンをCHGゾーンから基準位置に戻るパターン“C→S”とする。
【0051】
また、第1の仕向け地に対応した制御プログラムのプログラムID=111に対してはステータス“001”を設定し、第2の仕向け地に対応した制御プログラムのプログラムID=222に対してはステータス“010”を設定し、第3の仕向け地に対応した制御プログラムのプログラムID=333に対してはステータス“011”を設定する。さらに、その他の仕向け地に対応した制御プログラムのプログラムID=nnn(nnnは111,222,333以外の任意)に対してはステータス“100”を設定する。
【0052】
図11は、EV−ECU31が実行する車両態様区分判定処理の手順を具体的に示す流れ図である。第2の実施形態においても、EV−ECU31が立ち上がると、予め実装された起動プログラムにより、EV−ECU31は、
図4の流れ図に示す手順の処理を実行する。そして、EV−ECU31は、ステップST4として走行可能状態になるのを待機する。始動スイッチ24がSTARTポジションに切り替えられ、バッテリ12からの電力がインバータ13を介してモータ11に供給されて、電気自動車1が走行可能状態になると(ST4においてYES)、EV−ECU31は、ステップST5として
図11の流れ図により具体的に手順が示される車両態様区分判定処理を実行する。
【0053】
すなわちEV−ECU31は、ステップST21として制御プログラムのプログラムIDを認識する。そして、ステップST22として、そのプログラムIDが、第1の仕向け地に対応した制御プログラムのプログラムID=111と一致するか否かを判定する。プログラムIDが111であるとき(ST22においてYES)、EV−ECU31は、ステップST25としてステータスメモリ52のステータスを“001”に書き換える。
【0054】
これに対し、プログラムIDが111でないときには(ST22においてNO)、EV−ECU31は、ステップST23として、そのプログラムIDが、第2の仕向け地に対応した制御プログラムのプログラムID=222と一致するか否かを判定する。プログラムIDが222であるとき(ST23においてYES)、EV−ECU31は、ステップST26としてステータスメモリ52のステータスを“010”に書き換える。
【0055】
プログラムIDが222でもないときには(ST23においてNO)、EV−ECU31は、ステップST24として、そのプログラムIDが、第3の仕向け地に対応した制御プログラムのプログラムID=333と一致するか否かを判定する。プログラムIDが333であるとき(ST24においてYES)、EV−ECU31は、ステップST27としてステータスメモリ52のステータスを“011”に書き換える。
【0056】
プログラムIDが333でもないときには(ST24においてNO)、EV−ECU31は、ステップST28としてステータスメモリ52のステータスを“100”に書き換える。以上で、車両態様区分判定処理は終了する。
【0057】
車両態様区分判定処理が終了すると、EV−ECU31は、ステップST6としてステータスに応じた初期表示パターンを実施する。
【0058】
すなわち、プログラムIDが111の制御プログラムが実装された電気自動車1においては、ステータスメモリ52のステータスが“001”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“C→S”を読み出す。このパターンは、CHGゾーンから基準位置に戻るパターンである。すなわちEV−ECU31は、
図9に示すように、パワーメータ41の指針45を一旦CHGゾーン44まで移動させた後、基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0059】
同様に、プログラムIDが222の制御プログラムが実装された電気自動車1においては、ステータスメモリ52のステータスが“010”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“E→S”を読み出す。このパターンは、ECOゾーンから基準位置に戻るパターンである。すなわちEV−ECU31は、
図8に示すように、パワーメータ41の指針45を一旦ECOゾーン43まで移動させた後、基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0060】
また、プログラムIDが333の制御プログラムが実装された電気自動車1においては、ステータスメモリ52のステータスが“011”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“P→S”を読み出す。このパターンは、POWERゾーンから基準位置に戻るパターンである。すなわちEV−ECU31は、
図7に示すように、パワーメータ41の指針45を一旦POWERゾーン42まで移動させた後、基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0061】
その他の制御プログラムが実装された電気自動車1においては、ステータスメモリ52のステータスが“100”であるので、EV−ECU31は、初期表示パターンテーブル53から初期表示パターン“S”を読み出す。このパターンは、基準位置を示す。すなわちEV−ECU31は、
図6に示すように、パワーメータ41の指針45を基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0062】
なお、初期表示モードが無効な場合もステータスが“000”であり、このステータス“000”に対応した初期表示パターンは“S”なので、EV−ECU31は、
図6に示すように、パワーメータ41の指針45を基準位置に位置決めするようにメータECU34を制御する。
【0063】
このように第2の実施形態によれば、電気自動車1が起動した際のパワーメータ41の指針45の動きによって、当該電気自動車1に実装されている制御プログラムの種類を識別することができる。
【0064】
上記制御プログラムは、通常、電気自動車1のメーカにおいて、車両の仕向け地別にインストールされる。ただし、インストールされたプログラムがどの仕向け地に対応したものなのかは、テスタなどの専用のツールがないと従来は確認する術がなかった。
【0065】
これに対して、第2の実施形態の表示装置を搭載した電気自動車1は、専用のツールがなくても当該電気自動車1に実装されている制御プログラムの種類を識別できるので、製造工程において誤ったプログラムをインストールしてしまっても、直ぐにミスを発見して正しいプログラムに修正することができる。
【0066】
なお、電気自動車1に実装されている制御プログラムがどの仕向け地に対応したものかは、製造工程においては必要な情報であるものの、ユーザの実用上は必要のない情報である。そこで、製造工程において、制御プログラムの種類を確認したならば、モードスイッチを切り替えて初期表示モードを無効とする。こうすることにより、電気自動車1が起動した際に、パワーメータ41の指針45が基準位置から大きく動くことがないので、ユーザがパワーメータ41の異常であると御認識してしまうおそれがなくなる。
【0067】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0068】
例えば前記実施形態では、始動スイッチ24をSTARTポジションまで切り替えて車両が走行可能な状態になったことを車両の起動と定義したが、起動の定義はこれに限定されるものではない。始動スイッチ24をLOCKポジションからONポジションまで切り替えたことでコントロールボックス15等に給電はされるものの、走行可能状態となっていない状態を車両の起動と定義しても良い。この場合、
図4のステップST3及びST4の車両起動状態の判断処理は、始動スイッチ24がONポジションに切り替えられたか否かを判断する処理とすれば良い。
【0069】
また、前記実施形態では、車両が有する態様として、バッテリ12の充電レベルと制御プログラムの種類を例示したが、態様はこれに限定されるものではない。電気自動車1の場合、運転者の走行履歴を蓄積して、その運転者に適した運転モード(例えばECOモード運転、POWERモード運転等)を提示することが可能である。そこで、車両が起動した際に、パワーメータ41を利用して、運転者に適した運転モードを知らせるような実施形態も、本発明は含むものである。
【0070】
また、前記実施形態では、車両が有する所定の態様を運転者などに知らせるための計器としてパワーメータ41を例示したが、計器の種類はパワーメータ41に限定されるものではない。例えば、スピードメータを利用して、バッテリ12の充電レベルなどの態様を知らせるようにしてもよい。あるいは、運転者が目視可能な位置に設けられた表示灯を利用して、車両の態様を知らせるようにすることも可能である。
【0071】
また、車両は、
図1に示した電気自動車1に限定されるものではない。例えば、バッテリ12からの電力供給により作動するモータと、燃料の燃料エネルギーで作動するエンジンとを動力源とするハイブリット車両であっても、本発明を同様に適用できるものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(1)バッテリからの電力供給により作動するモータを動力源とする車両の表示装置であって、前記車両の態様別に設定される前記表示装置の表示パターンを記憶する記憶手段と、前記車両の起動に応じて当該車両における前記態様を認識し、該認識された前記態様に基づいて前記表示パターンを決定し、該決定された表示パターンを前記表示装置に表示させる制御手段と、を具備したことを特徴とする車両の表示装置。
(2)前記車両の態様は、前記バッテリの充電レベルであることを特徴とする(1)記載の車両の表示装置。
(3)前記車両の態様は、前記車両に搭載されるコンピュータの動作を規定するプログラムの種類であることを特徴とする請求項(1)記載の車両の表示装置。
(4)前記車両の走行時における状況を指針の動きで示す計器を備え、前記表示パターンは前記計器の指針を動作させて表示することを特徴とする(1)乃至(3)のうちいずれか1記載の車両の表示装置。
(5)前記計器は、前記バッテリの放電時には放電量を、充電時には充電量を指針の動きで示すパワーメータであることを特徴とする(4)記載の車両の表示装置。