特許第5929188号(P5929188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929188
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】栓付き注出ノズル
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/12 20060101AFI20160519BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   B65D47/12
   B65D47/06 H
   B65D47/06 F
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-289487(P2011-289487)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-139264(P2013-139264A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英哉
(72)【発明者】
【氏名】麻生 雅晴
【審査官】 佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−091355(JP,U)
【文献】 実開昭63−075272(JP,U)
【文献】 特開平11−310262(JP,A)
【文献】 特開2005−137491(JP,A)
【文献】 米国特許第05060827(US,A)
【文献】 米国特許第02886203(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/12
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出ノズルと、注出ノズルに着脱自在に装着される栓を備えた栓付き注出ノズルであって、注出ノズルが、先端開口面が注出ノズルの中心軸に対して傾いている斜め注出ノズルであり、栓が、有底筒状の外筒部と該外筒部内に垂下している柱状部を有し、該柱状部は、その表面に、斜め注出ノズルの筒状部の内側面と液シール部を形成する環状凸部を有し、外筒部と柱状部との間隙に斜め注出ノズルの筒状部が嵌められることにより斜め注出ノズルが閉じられる栓付き注出ノズル。
【請求項2】
栓が、複数の環状凸部を有する請求項1記載の栓付き注出ノズル。
【請求項3】
栓が斜め注出ノズルに装着された状態で、斜め注出ノズルの筒状部の下部と上部にそれぞれ液シール部を形成する環状凸部を有する請求項2記載の栓付き注出ノズル。
【請求項4】
有底筒状の外筒部の内側面と斜め注出ノズルの外側面とが螺合する請求項1〜3のいずれかに記載の栓付き注出ノズル。
【請求項5】
斜め注出ノズルが、液状物を収容する詰替容器本体の口部に装着されるキャップ本体から起立している請求項1〜のいずれかに記載の栓付き注出ノズル。
【請求項6】
液状物を収容する詰替容器本体と、請求項記載の栓付き注出ノズルを備えた詰替容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液状物の詰替容器に好適な栓付きノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水、乳液、洗浄剤などの液状物を収容する本容器について、省資源化や製品の低価格化の点から、本容器を繰り返し使用可能とするために、内容物を詰替容器から本容器に詰め替えることが行われている。
【0003】
詰替容器としては、一般に、パウチや薄肉のボトルが使用される。詰替時には、詰替容器の吐出口が本容器の口部上に位置するように詰替容器を把持し、詰替容器の傾きを徐々に大きくすることにより内容物が本容器に移し替えられる。
【0004】
しかしながら、詰替容器がパウチの場合に、パウチから吐出させる内容物が本容器の口部から外れないようにするためには、パウチの把持に相当の注意が必要であり、煩雑となる。ボトルはパウチよりも詰替時の把持が容易であるが、空気置換が円滑に行われないために内容物が脈打つように吐出し、内容物が不用に泡立つなどの問題が引き起こされる場合がある。
【0005】
一方、詰替容器の吐出口を開封して詰替容器から本容器に適量の内容物を吐出させた後、なお、詰替容器に内容物が残り、詰替容器の吐出口を再度閉じたい場合がある。そこで、詰替容器の吐出口をリシールできるようにするため、先端が閉じた円筒状ノズルをパウチに設け、その円筒状ノズルの先端部を破断して分離することにより円筒状ノズルを開口して内容物の吐出を可能とし、かつ、分離した先端部を円筒状ノズルの栓として使用することが提案されている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、この円筒状ノズルにおいても、内容物が脈打つように吐出するという吐出状態の問題は解決されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4462475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、液状物を詰替容器から本容器に詰め替えるにあたり、液状物が吐出口から脈打つように吐出することを防止あるいは抑制し、かつ詰替容器の吐出口のリシールを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、詰替容器の吐出口として、先端開口面が注出ノズルの中心軸に対して傾いている斜め注出ノズルを用いると、詰替容器から液状物が脈打つように吐出することを防止あるいは抑制することができ、さらに斜め注出ノズルの筒状部内に挿入されて斜め注出ノズルの内側面と液シール部を形成する柱状物が斜め注出ノズルの栓として有効であることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、注出ノズルと、注出ノズルに着脱自在に装着される栓を備えた栓付き注出ノズルであって、注出ノズルが、先端開口面が注出ノズルの中心軸に対して傾いている斜め注出ノズルであり、栓が、斜め注出ノズルの筒状部内に挿入される柱状部を有し、該柱状部の表面に、斜め注出ノズルの筒状部の内側面と液シール部を形成する環状凸部を有する栓付き注出ノズルを提供する。
【0011】
また、液状物を収容する詰替容器本体と、上述の栓付き注出ノズルを備えた詰替容器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の栓付き注出ノズルによれば、注出ノズルが、先端開口面が注出ノズルの中心軸に対して傾いた斜め注出ノズルであるため、詰替時に液状物が脈打つように吐出することを抑制し、滑らかな吐出状態を得ることができる。
【0013】
また、本発明の栓付き注出ノズルによれば、斜め注出ノズルに着脱自在に装着される栓を備え、その栓の柱状部は、斜め注出ノズルの筒状部内に挿入され、斜め注出ノズルの筒状部の内側面と液シール部を形成するので、注出ノズルが斜め注出ノズルであっても良好にリシールすることが可能となる。
【0014】
したがって、本発明の栓付き注出ノズルを備えた詰替容器によれば、内容物を滑らかな吐出状態で本容器に移し、かつ、本容器に移しきれなかった内容物を詰替容器にそのまま密封保管することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、実施例の栓付き注出ノズルを備えた詰替容器の斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aの栓付き注出ノズルの断面図である。
図2図2は、実施例の栓付き注出ノズルの変形例の断面図である。
図3図3は、実施例の栓付き注出ノズルの変形例の断面図である。
図4A図4Aは、さらに異なる実施例の栓付き注出ノズルの斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aの栓付き注出ノズルの断面図である。
図5図5は、さらに異なる栓付き注出ノズルの断面図である。
図6A図6Aは、詰替容器の使用方法の説明図である。
図6B図6Bは、詰替容器の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0017】
図1Aは、本発明の一実施例の詰替容器1の斜視図である。この詰替容器1は、詰替容器本体2が有底筒状のブロー成形ボトルからなる。詰替容器本体2の上部の口部には、本発明の一実施例の栓付き注出ノズル10Aが装着されている。図1Bは、この栓付き注出ノズルの断面図である。
【0018】
栓付き注出ノズル10Aは、詰替容器本体2の口部に螺合するキャップ本体11と、キャップ本体11の天面から起立した斜め注出ノズル12を備えている。斜め注出ノズル12は、先端開口面13が注出ノズルの中心軸L0に対して傾いている。この先端開口面13の傾きとしては、注出液の脈打ちを抑制する点から、図1Bに示すように、先端開口面13の中央部と注出ノズルの中心軸L0とがなす角θを30〜60°とすることが好ましい。
【0019】
また、斜め注出ノズル12の内側面の下端部には、栓20Aが過度に斜め注出ノズル12内に押し込まれることを防止するリブ15が突出している。
【0020】
斜め注出ノズル12には栓20Aが着脱自在に装着される。この栓20Aは、斜め注出ノズル12の先端開口面13よりも基部側の筒状部14に挿入される柱状部21と、柱状部21の上面に延設された引っ張り部24を有する。柱状部21は、該柱状部21が斜め注出ノズル12の筒状部13に挿入された状態で斜め注出ノズル12の筒状部13の上部と下部にそれぞれ液シール部Sa、Sbを形成する環状凸部22a、22bを有する。この環状凸部22a、22bは、その間に縮径部23を設けることにより形成されており、縮径部23は、断面V字型の溝が柱状部21の周方向に形成されたものとなっている。
【0021】
このように、柱状部21に縮径部23を挟んで環状凸部22a、22bを設けることにより、斜め注出ノズル12の筒状部14が上下2段の液シール部Sa、Sbで密封されるようにすると、栓20Aを、斜め注出ノズル12に装着して内部を密閉している状態から引き抜くにあたり、液シールが段階的に解除されるので、栓20Aへの引っ張り力を強めていったときに或る時点で急激に栓20Aが抜けることを防止でき、滑らかに栓20Aを抜けるようになる。なお、図1Aにおいて二点鎖線は引き抜いた栓20Aの斜視図である。
【0022】
本発明においては、栓20Aの着脱時に環状凸部22a、22bが筒状部14内を滑らかに移動するように、環状凸部22a、22bとしては、縮径部23の最小径の部分から柱状部21の径を滑らかに増大させたものが好ましい。従って、環状凸部22a、22bの間に位置する縮径部23としては、上述した断面V字型の溝に限らず、例えば、図2に示す栓付き注出ノズル10Bの栓20Bのように、断面U字型の溝を柱状部21の周方向に形成したものでもよい。
【0023】
また、柱20Aの柱状部21に設ける環状凸部は上下2段に限らず、1段のみ設けても良く、3段以上を設けても良いが、栓20Aを滑らかに引き抜けるようにする点からは、複数段設けることが好ましい。例えば、図3に示す栓付き注出ノズル10Cの栓20Cのように、柱状部21の周方向に延びた断面U字型の溝23a、23bを、柱状部21に2段設けることにより、3段の環状凸部22a、22b、22cを形成し、これらの3段の環状凸部22a、22b、22cにより三重に液シール部Sa、Sb、Scが形成されるようにしてもよい。
【0024】
引っ張り部24は、指を掛けることのできるリング部25と、該リング部25と柱状部21の上面とを連結する連結部26からなる。リング部25の上端面の位置は、栓20AAを斜め注出ノズル12に装着した状態で、斜め注出ノズル12の先端部以下とすることが好ましい。これにより、栓20Aを装着した詰替容器1が落下し、斜め注出ノズル12の先端部側から床面に衝突しても、栓20Aの引っ張り部24が損傷したり、栓20Aが斜め注出ノズル12内に過度に押し込まれて液シールが破れることを防止できる。
【0025】
また、栓20Aは、栓20Aを斜め注出ノズル12に装着した状態で、液シール部Sa、Sbで確実に液シールをすることができ、また、栓20Aの装着時の押し込みと、脱着時の引き抜きが滑らかに行える材料から形成することが好ましい。
【0026】
栓付き注出ノズル10Aを備えた図1Aの詰替容器1は、図6A図6Bに示すように内容物の詰替に使用される。ここで、図6A中、符号40は、詰替容器1から内容物を移される本容器の容器本体である。この容器本体40の口部には、所定の吐出装置を備えた本容器のキャップ(図示せず)が装着される。また、詰替容器1には、本容器の容器本体40に詰め替える内容液Aが充填されている。
【0027】
内容物の詰替に際しては、まず、詰替容器1の栓20Aのリング部25に指を掛け、栓20Aを栓付き注出ノズル10Aから引き抜き、斜め注出ノズル12を開口する。次いで、図6Aに示すように、本容器の容器本体40の口部41に斜め注出ノズル12を差し掛け、さらに図6Bに示すように、斜め注出ノズル12を口部41に挿入し、詰替容器1を倒立させ、詰替容器1と本容器の容器本体40とを自立させる。詰替容器1や本容器の容器本体40が自立可能な柱状容器であると、このような詰替作業の間に詰替容器1や本容器の容器本体40を格別把持する必要がなく、詰替作業の手間を大いに軽減することができる。さらに、詰替容器の吐出口が斜め注出ノズル12であるため、注出時に空気置換が円滑に行われる。このため、注出時に内容液Aが脈打つことを抑え、詰替容器1から本容器の容器本体40へ内容液Aを滑らかに詰め替えることができる。したがって、内容液Aがこぼれたり、本容器の容器本体40内で不用に泡立ったりすることを抑えることができる。この脈打ち抑制効果は、例えば、内容液Aの粘度が500mPas〜10000mPasの場合に、斜め注出ノズル12の内径を12〜30mmとし、斜め注出ノズル12の先端開口面13の中央部とその中心軸L0とがなす角θを40〜50°とした場合に顕著となる。
【0028】
本発明の栓付き注出ノズルは、さらに種々の態様をとることができる。例えば、図4Aに示す栓付き注出ノズル10Dは、栓20Dの柱状部21にリブ状の環状凸部22a、22bを二段有し、この二段のリブ状の環状凸部22a、22bと、注出ノズル10Dの筒状部14とで液シール部Sa、Sbが形成されるようにしたものである。
【0029】
二段の環状凸部22a、22bの間に前述の栓20Aのような縮径部23(図1B)は設けられておらず、全体として略円柱状となっている。
【0030】
また、栓20Dは、有底筒状の外筒部27を有し、外筒部27の天板部28から外筒部27内に柱状部21が垂下している。
【0031】
この栓20Dによれば、外筒部27と柱状部21との間の環状溝部に斜め注出ノズル12を嵌め、外筒部27の天板部28を押し込むことにより、容易に栓20Dを斜め注出ノズル12に装着し、斜め注出ノズル12を閉じることができる。また、外筒部27を把持して引き上げることにより、容易に栓20Dを斜め注出ノズル12から脱着させることができる。
【0032】
図5はさらに異なる栓付き注出ノズル10Eの断面図である。この栓付き注出ノズル10Eにおいては、外筒部27の内側面と、斜め注出ノズル12の外側面とが着脱自在に螺合するものとなっている。また、栓20Eの柱状部21には、一段の環状凸部22が設けられ、この環状凸部22と注出ノズル10Eの筒状部13とで液シール部Sが形成されている。
【0033】
本発明の栓付き注出ノズルを設ける詰替容器は、ボトル容器に限られず、パウチとしてもよい。この場合にも、斜め注出ノズルから内容液を吐出させることによる脈打ち抑制効果と、斜め注出ノズル内に挿入される栓によるリシール効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の栓付き注出ノズルは、化粧水、乳液等の化粧料、ドレッシング等の食品、食器用洗剤等の洗浄剤などの詰替容器の注出ノズルとして有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 詰替容器
2 詰替容器本体
10A、10B、10C、10D、10E 栓付き注出ノズル
11 キャップ本体
12 斜め注出ノズル
13 先端開口面
14 筒状部
15 リブ
20A、20B、20C、20D、20E 栓
21 柱状部
22、22a、22b、22c 環状凸部
23、23a、23b 縮径部
24 引っ張り部
25 リング部
26 連結部
27 外筒部
28 天板部
40 本容器の容器本体
41 口部
L0 注出ノズルの中心軸
S、Sa、Sb、Sc 液シール部
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B