(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の可動部は、前記第1のマグネットの外周面側に配置される第1の外ヨーク又は前記第1のマグネットの内周面側に前記コイルを挟んで配置される第1の内ヨークを有し、
前記第2の可動部は、前記第2のマグネットの外周面側に配置される第2の外ヨーク又は前記第2のマグネットの内周面側に前記コイルを挟んで配置される第2の内ヨークを有することを特徴とする請求項2に記載のアクチュエーター。
前記コイルは、前記第1のマグネットに対応して巻回され、電流が第1の方向に流れる第1のコイルと、前記第2のマグネットに対応して巻回され、電流が前記第1の方向とは逆の第2の方向に流れる第2のコイルと、を有し、
前記第1のマグネットと、前記第2のマグネットの着磁方向が同じであることを特徴とする請求項2又は3に記載のアクチュエーター。
前記第1のマグネット及び前記第2のマグネットが、複数のセグメント型マグネットを組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のアクチュエーター。
前記第1の可動部及び前記第2の可動部が、それぞれ2つの付勢部材で軸方向に狭持されて弾性保持されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のアクチュエーター。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るアクチュエーター100の外観斜視図である。
図2は、アクチュエーター100の分解斜視図である。
図3は、アクチュエーター100の軸方向における縦断面図である。このアクチュエーター100は、例えば電気かみそり等の電動理美容器具に適用される。
【0013】
図1〜3に示すように、アクチュエーター100は、固定部110、第1の可動部120、第2の可動部130を備える。第1の可動部120及び第2の可動部130は、固定部110と同軸上に配置され、軸方向に往復運動を行う。
【0014】
固定部110は、支軸111、コイル112、及びボビン113等を備える。
ボビン113は、絶縁材料からなる筒状(図では円筒状)の部材であり、中空部の軸方向中央に仕切壁113aが形成される。仕切壁113aには貫通口113bが形成され、この貫通口113bに支軸111が挿通され、固定される。また、ボビン113の外周面には、全長にわたって同一方向にコイル112が巻回される。コイル112から引き出されたリード部114には、交流電源160が接続される。
【0015】
第1の可動部120は、第1のマグネット121、第1の外ヨーク122、第1の内ヨーク123、及び第1の軸受124等を備える。
【0016】
第1のマグネット121は、筒状(図では円筒状)の永久磁石であり、内外方向に着磁される。内外方向とは、筒状マグネットの内面から外面に向かう方向であり、円筒状マグネットの場合はラジアル方向(中心から放射状)である。
ここでは、第1のマグネット121は、内周側がS極、外周側がN極に着磁されているものとする。また、第1のマグネット121は、等方性マグネットに比較して強い磁力が得られる異方性マグネットであることが望ましい。
【0017】
第1の外ヨーク122は、磁性体からなる筒状(図では円筒状)の部材であり、第1のマグネット121の外周面側に配置される。第1のマグネット121は、第1の外ヨーク122の内周面に、例えば接着により固定される。第1の外ヨーク122の一端側には、第1の内ヨーク123を固定するための突出部122aが形成される。
また、第1の外ヨーク122には、電動理美容器具の可動部材(例えば電気かみそりの内刃等)を取り付けるための出力接続部125が取り付けられる。
【0018】
第1の内ヨーク123は、磁性体からなる筒状(図では円筒状)の部材であり、第1のマグネット121の内周面側に、コイル112を挟んで配置される。第1の内ヨーク123は、第1の外ヨーク122の突出部122aに、例えば接着により固定される。
【0019】
第1の軸受124、124は、所定距離だけ離間した状態で、第1の内ヨーク123の内周面に、例えば接着により固定される。第1の軸受124、124は、支軸111に沿って摺動可能となっている。
【0020】
第1の可動部120は、ボビン113の一方(図では右側)の中空部に、第1の軸受124が固定された第1の内ヨーク123を、圧縮コイルばね141を介して挿嵌することにより、固定部110に取り付けられる。このとき、第1のマグネット121と第1の内ヨーク123との間にコイル112の一端側が介在し、第1の軸受124、124に支軸111が挿通される。
さらに、支軸111に圧縮コイルばね142を挿通させ、圧縮コイルばね141、142が圧縮された状態で、支軸111の一端部にばね抜け止め部材143を取り付けることにより、圧縮コイルばね141、142の復元力が釣り合った状態で第1の可動部120は保持される。すなわち、第1の可動部120は、2つの圧縮コイルばね141、142によって弾性保持される。
第1のマグネット121、第1の外ヨーク122、第1の内ヨーク123、及び第1の軸受124は一体化され、可動部120として往復運動を行う。
【0021】
第2の可動部130は、第1の可動部120と対称的に配置される。すなわち、第2の可動部130は、第2のマグネット131、第2の外ヨーク132、第2の内ヨーク133、及び第2の軸受134等を備える。
【0022】
第2のマグネット131は、筒状(図では円筒状)の永久磁石であり、内外方向(ラジアル方向)に着磁される。第2のマグネット131の着磁方向は、第1のマグネット121の着磁方向と逆である。つまり、第2のマグネット131は、内周側がN極、外周側がS極に着磁されている。また、第2のマグネット131は、等方性マグネットに比較して強い磁力が得られる異方性マグネットであることが望ましい。
【0023】
第2の外ヨーク132は、磁性体からなる筒状(図では円筒状)の部材であり、第2のマグネット131の外周面側に配置される。第2のマグネット131は、第2の外ヨーク132の内周面に、例えば接着により固定される。第2の外ヨーク132の一端側には、第2の内ヨーク133を固定するための突出部132aが形成される。
また、第2の外ヨーク132には、電動理美容器具の可動部材(例えば電気かみそりの内刃等)を取り付けるための出力接続部135が取り付けられる。
【0024】
第2の内ヨーク133は、磁性体からなる筒状(図では円筒状)の部材であり、第2のマグネット131の内周面側に、コイル112を挟んで配置される。第2の内ヨーク133は、第2の外ヨーク132の突出部132aに、例えば接着により固定される。
【0025】
第2の軸受134、134は、所定距離だけ離間した状態で、第2の内ヨーク133の内周面に、例えば接着により固定される。第2の軸受134、134は、支軸111に沿って摺動可能となっている。
【0026】
第2の可動部130は、ボビン113の他方(図では左側)の中空部に、第2の軸受134が固定された第2の内ヨーク133を、圧縮コイルばね151を介して挿嵌することにより、固定部110に取り付けられる。このとき、第2のマグネット131と第2の内ヨーク133との間にコイル112の他端側が介在し、第2の軸受134、134に支軸111が挿通される。
さらに、支軸111に圧縮コイルばね152を挿通させ、圧縮コイルばね151、152が圧縮された状態で、支軸111の他端部にばね抜け止め部材153を取り付けることにより、圧縮コイルばね151、152の復元力が釣り合った状態で第2の可動部130は保持される。すなわち、第2の可動部130は、2つの圧縮コイルばね151、152によって弾性保持される。
第2のマグネット131、第2の外ヨーク132、第2の内ヨーク133、及び第2の軸受134は一体化され、第2の可動部130として往復運動を行う。
【0027】
図4は、コイル112に電流を流したときに第1の可動部120及び第2の可動部130に生じる推力を示す図である。
【0028】
図4に示すように、第1のマグネット121のN極から出た磁力線は、第1の外ヨーク122、第1の内ヨーク123を通り、コイル112を横切ってS極に戻る。すなわち、コイル112の第1のマグネット121に対応する部分には、内側から外側に向かって垂直に横切る磁界が生じる。
【0029】
第1の可動部120は、第1のマグネット121の外周面側に配置される第1の外ヨーク122及び第1のマグネット121の内周面側にコイル112を挟んで配置される第1の内ヨーク123を有するので、所望の磁界を容易に生じさせることができる。なお、第1の外ヨーク122又は第1の内ヨーク123のいずれか一方を配置するだけでも、第1のマグネット121を単体で配置するより効果的である。
【0030】
第2のマグネット131のN極から出た磁力線は、コイル112を横切った後、第2の内ヨーク133、第2の外ヨーク132を通ってS極に戻る。すなわち、コイル112の第2のマグネット131に対応する部分には、外側から内側に向かって垂直に横切る磁界が生じる。
【0031】
第1の可動部120は、第1のマグネット121の外周面側に配置される第1の外ヨーク122及び第1のマグネット121の内周面側にコイル112を挟んで配置される第1の内ヨーク123を有するので、所望の磁界を容易に生じさせることができる。なお、第1の外ヨーク122又は第1の内ヨーク123のいずれか一方を配置するだけでも、第1のマグネット121を単体で配置するより効果的である。第2の可動部130についても同様のことがいえる。
【0032】
ここで、
図4のA矢視で時計回りの電流をコイル112に流すと、フレミング左手の法則により、コイル112の第1のマグネット121に対応する部分には軸方向外側(
図4では右側)に向かう電磁力F
e1が作用する。しかし、コイル112が固定されているため、作用・反作用の法則に従って、第1の可動部120に軸方向内側(
図4では左側)に向かう推力F
t1が作用する。
この推力F
t1により、第1の可動部120は圧縮コイルばね141を圧縮させながら、軸方向内側に移動することとなる(
図5参照)。
【0033】
同様に、コイル112の第2のマグネット131に対応する部分には軸方向外側(
図4では左側)に向かう電磁力F
e2が作用する。しかし、コイル112が固定されているため、作用・反作用の法則に従って、第2の可動部130に軸方向内側(
図4では右側)に向かう推力F
t2が作用する。
この推力F
t2により、第2の可動部130は圧縮コイルばね151を圧縮させながら、軸方向内側(第1の可動部120と逆)に移動することとなる(
図5参照)。
【0034】
また、
図4のA矢視で反時計回りの電流をコイル112に流すと、第1の可動部120は圧縮コイルばね142を圧縮させながら軸方向外側に移動し、第2の可動部130は圧縮コイルばね152を圧縮させながら軸方向外側(第1の可動部120と逆)に移動する(
図6参照)。
【0035】
したがって、コイル112に交流を流すと、第1の可動部120及び第2の可動部130は、互いに逆方向に往復運動する。
なお、アクチュエーター100における動作原理を示す運動方程式は下式(1)で表され、回路方程式は下式(2)で表される。すなわち、第1の可動部120及び第2の可動部130は、式(1)、(2)に基づいて往復運動を行う。
【0038】
また、アクチュエーター100の共振周波数は、下式(3)に示すように、第1の可動部120及び第2の可動部130の質量と圧縮コイルばね141、142、151、152のばね定数により決まる。共振周波数f
rと略等しい周波数の交流でアクチュエーター100を駆動することにより、効率的に大きな出力を得ることが可能となる。すなわち、定常状態において低消費電力での駆動が可能となるので、アクチュエーター100のエネルギー効率が向上する。
【0040】
このように、第1の実施の形態に係るアクチュエーター100は、支軸111と、支軸111にボビン113を介して固定されたコイル112を有する固定部110と、ラジアル方向に着磁され、固定部110の軸方向一端側の外周面を覆うように配置される第1のマグネット121を有し、弾性保持された状態で支軸111に取り付けられ、軸方向に移動可能となっている第1の可動部120と、ラジアル方向に着磁され、固定部110の軸方向他端側の外周面を覆うように配置される第2のマグネット131を有し、弾性保持された状態で支軸111に取り付けられ、軸方向に移動可能となっている第2の可動部130と、を備える。
そして、コイル112に電流を流したときに、第1の可動部120と第2の可動部130が逆方向に移動する。
【0041】
具体的には、第1のマグネット121及び第2のマグネット131は、コイル112に流れる電流を垂直に横切る磁界を発生させ、コイル112に電流を流したときに、フレミング左手の法則に従って第1の可動部120に生じる推力F
t1と、第2の可動部130に生じる推力F
t2が逆方向となる。
【0042】
アクチュエーター100によれば、第1の可動部120と第2の可動部130が、それぞれ逆方向に往復運動することにより振動が相殺されるので、利用者に振動が伝達されるのを効果的に防止できる。また、支軸機構を用いたことにより、第1の可動部120と第2の可動部130の重心を同一軸上に設計することができるため、振動発生方向にずれがないため、効果的に振動が抑制される。
また、動吸振器や動力変換機構を設ける必要がないので、省スペース化、小型化を図ることができ、実装される製品の設計自由度、デザイン性が向上する。
したがって、アクチュエーター100を適用することにより、デザイン性に優れるとともに、低振動、低騒音で、利用者にとって使い心地のよい電動理美容器具が実現される。
【0043】
また、アクチュエーター100において、コイル112は固定部110の全長にわたって同一方向に巻回され、第1のマグネット121の着磁方向と、第2のマグネット122の着磁方向が逆となっている。
【0044】
これにより、簡単な構成で、第1の可動部120と第2の可動部130を、それぞれ逆方向に往復運動させることができる。また、アクチュエーター100を簡単に組み立てることができる。
【0045】
[第2の実施の形態]
図7は、第2の実施の形態に係るアクチュエーター200の外観斜視図である。
図8は、アクチュエーター200の分解斜視図である。
図9は、アクチュエーター200の軸方向における縦断面図である。このアクチュエーター200は、例えば電気かみそり等の電動理美容器具に適用される。
なお、第1の実施の形態のアクチュエーター100と同一又は対応する構成要素については200番台の符号で示し、重複する説明は省略する。
【0046】
図7〜9に示すように、アクチュエーター200は、固定部210、第1の可動部220、第2の可動部230を備える。第1の可動部220及び第2の可動部230は、固定部210と同軸上に配置され、軸方向に往復運動を行う。
【0047】
固定部210は、支軸211、第1のコイル212A、第2のコイル212B、及びボビン213等を備える。
ボビン213には、軸方向中央から両側に、逆方向に電流が流れる第1のコイル212A、第2のコイル212Bが巻回される。第1のコイル212A、第2のコイル212Bのそれぞれから引き出されたリード部214には、交流電源260が接続される。
なお、
図9では、交流電源260に対して第1のコイル212Aと第2のコイル212Bが直列に接続されているが、第2のコイル212Aと第2のコイル212Bが並列に接続されていてもよい。
【0048】
第1の可動部220は、第1のマグネット221、第1の外ヨーク222、第1の内ヨーク223、及び第1の軸受224等を備える。
第1のマグネット221は、リング状の永久磁石であり、ラジアル方向(中心から放射状)に着磁される。ここでは、第1のマグネット221は、内周側がN極、外周側がS極に着磁されているものとする。
【0049】
第2の可動部230は、第1の可動部220と対称的に配置される。すなわち、第2の可動部230は、第2のマグネット231、第2の外ヨーク232、第2の内ヨーク233、及び第2の軸受234等を備える。
第2のマグネット231は、リング状の永久磁石であり、ラジアル方向(中心から放射状)に着磁される。第2のマグネット231の着磁方向は、第1のマグネット221の着磁方向と同じである。つまり、第2のマグネット231は、内周側がN極、外周側がS極に着磁されている。
【0050】
図10は、コイル212に電流を流したときに第1の可動部220及び第2の可動部230に生じる推力を示す図である。
【0051】
図10に示すように、第1のマグネット221のN極から出た磁力線は、第1のコイル212Aを横切った後、第1の内ヨーク223、第1の外ヨーク222を通ってS極に戻る。すなわち、第1のコイル212Aには、外側から内側に向かって垂直に横切る磁界が生じる。
【0052】
同様に、第2のマグネット231のN極から出た磁力線は、第2のコイル212Bを横切った後、第2の内ヨーク233、第2の外ヨーク232を通ってS極に戻る。すなわち、第2のコイル212Bには、外側から内側に向かって垂直に横切る磁界が生じる。
【0053】
ここで、
図10のA矢視で反時計回りの電流を第1のコイル212Aに流すと、フレミング左手の法則により、第1のコイル212Aには軸方向外側(
図10では右側)に向かう電磁力F
e1が作用する。しかし、第1のコイル212Aが固定されているため、作用・反作用の法則に従って、第1の可動部220に軸方向内側(
図10では左側)に向かう推力F
t1が作用する。この推力F
t1により、第1の可動部220は圧縮コイルばね241を圧縮させながら、軸方向内側に移動することとなる。
【0054】
このとき、第2のコイル212Bには、第1のコイル212Aとは逆方向、すなわち
図10のA矢視で時計回りの電流が流れる。したがって、フレミング左手の法則により、第2のコイル212Bには軸方向外側(
図10では左側)に向かう電磁力F
e2が作用する。しかし、第2のコイル212Bが固定されているため、作用・反作用の法則に従って、第2の可動部230に軸方向内側(
図10では右側)に向かう推力F
t2が作用する。この推力F
t2により、第2の可動部230は圧縮コイルばね251を圧縮させながら、軸方向内側(第1の可動部220と逆)に移動することとなる。
【0055】
また、
図10のA矢視で時計回りの電流を第1のコイル212Aに流し、反時計回りの電流を第2のコイル212Bに流すと、第1の可動部220は圧縮コイルばね242を圧縮させながら軸方向外側に移動し、第2の可動部230は圧縮コイルばね252を圧縮させながら軸方向外側(第1の可動部220と逆)に移動する。
したがって、第1のコイル212A及び第2のコイル212Bに交流を流すと、第1の可動部220及び第2の可動部230は、互いに逆方向に往復運動する。
【0056】
このように、第2の実施の形態に係るアクチュエーター200は、支軸211と、支軸211にボビン213を介して固定されたコイル212(第1のコイル212A、第2のコイル212B)を有する固定部210と、ラジアル方向に着磁され、固定部210の軸方向一端側の外周面を覆うように配置される第1のマグネット221を有し、弾性保持された状態で支軸211に取り付けられ、軸方向に移動可能となっている第1の可動部220と、ラジアル方向に着磁され、固定部210の軸方向他端側の外周面を覆うように配置される第2のマグネット231を有し、弾性保持された状態で支軸211に取り付けられ、軸方向に移動可能となっている第2の可動部230と、を備える。
そして、コイル212に電流を流したときに、第1の可動部220と第2の可動部230が逆方向に移動する。
【0057】
具体的には、第1のマグネット221及び第2のマグネット231は、コイル212に流れる電流を垂直に横切る磁界を発生させ、コイル212に電流を流したときに、フレミング左手の法則に従って第1の可動部220に生じる推力F
t1と、第2の可動部230に生じる推力F
t2が逆方向となる。
【0058】
アクチュエーター200によれば、第1の可動部220と第2の可動部230が、それぞれ逆方向に往復運動することにより振動が相殺されるので、利用者に振動が伝達されるのを効果的に防止できる。また、支軸機構を用いたことにより、第1の可動部220と第2の可動部230の重心を同一軸上に設計することができるため、振動発生方向にずれがないため、効果的に振動が抑制される。
また、動吸振器や動力変換機構を設ける必要がないので、省スペース化、小型化を図ることができ、実装される製品の設計自由度、デザイン性が向上する。
したがって、アクチュエーター200を適用することにより、デザイン性に優れるとともに、低振動、低騒音で、利用者にとって使い心地のよい電動理美容器具が実現される。
【0059】
また、アクチュエーター200において、コイル212は、第1のマグネット221に対応して巻回され、電流が第1の方向に流れる第1のコイル212Aと、第2のマグネット231に対応して巻回され、電流が第1の方向とは逆の第2の方向に流れる第2のコイル212Bと、を有する。また、第1のマグネット221と、第2のマグネット231の着磁方向が同じとなっている。
【0060】
これにより、簡単な構成で、第1の可動部220と第2の可動部230を、それぞれ逆方向に往復運動させることができる。また、アクチュエーター200を簡単に組み立てることができる。
また、第1の可動部220と第2の可動部230が同じ構成となり、製造工程を統一することができるので、製造コストを低減することができる。さらに、第1のコイル212Aと第2のコイル212Bを並列に接続した場合には、コイル抵抗が減少するので、動作時の銅損を低減することができる。
【0061】
[第3の実施の形態]
図11は、第3の実施の形態に係るアクチュエーター300の外観斜視図である。
図12は、アクチュエーター300の分解斜視図である。
図13は、アクチュエーター300の軸方向における縦断面図である。このアクチュエーター300は、例えば電気かみそり等の電動理美容器具に適用される。
なお、第1の実施の形態のアクチュエーター100と同一又は対応する構成要素については300番台の符号で示し、重複する説明は省略する。
【0062】
図11〜13に示すように、アクチュエーター300は、固定部310、第1の可動部320、第2の可動部330を備える。第1の可動部320及び第2の可動部330は、固定部310と同軸上に配置され、軸方向に往復運動を行う。
【0063】
固定部310は、支軸311、コイル312、ボビン313、及びコア315等を備える。
コア315は、磁性体からなる筒状(図では円筒状)の部材であり、中空部の軸方向中央に仕切壁315aが形成される。仕切壁315aには貫通口315bが形成され、この貫通口315bに支軸311が挿通され、固定される。コア315の外周面の軸方向中央には凹部315cが形成され、この凹部315cに絶縁性のボビン313を介してコイル312が巻回される。コイル312から引き出されたリード部314には、交流電源360が接続される。固定部310は、コイル312に電流を流したときだけコア315が磁化される電磁石である。
【0064】
第1の可動部320は、第1のマグネット321、第1の外ヨーク322、第1の内ヨーク323、及び第1の軸受324等を備える。
【0065】
第1のマグネット321は、固定部310との間で吸引力又は反発力を発生させるために配置されるもので、ここでは逆方向に着磁された2つのマグネット321A、321Bで構成される。第1のマグネット321の数は限定されず、隣接するマグネットの着磁方向が逆となるように配置されていればよい。
第1のマグネット321A、321Bは、筒状(図では円筒状)の永久磁石であり、内外方向(ラジアル方向)に着磁される。ここでは、内側に配置された第1のマグネット321Aは、内周側がN極、外周側がS極に着磁されているものとし、外側に配置された第1のマグネット321Bは、内周側がS極、外周側がN極に着磁されているものとする。
【0066】
第2の可動部330は、第1の可動部320と対称的に配置される。すなわち、第2の可動部330は、第2のマグネット331、第2の外ヨーク332、第2の内ヨーク333、及び第2の軸受334等を備える。
【0067】
第2のマグネット331は、固定部310との間で吸引力又は反発力を発生させるために配置されるもので、ここでは逆方向に着磁された2つのマグネット331A、331Bで構成される。第2のマグネット331の数は限定されず、隣接するマグネットの着磁方向が逆となるように配置されていればよい。
第2のマグネット331A、331Bは、筒状(図では円筒状)の永久磁石であり、内外方向(ラジアル方向)に着磁される。第2のマグネット331の着磁方向は、第1のマグネット321の着磁方向と逆である。つまり、内側に配置された第2のマグネット331Aは、内周側がS極、外周側がN極に着磁され、外側に配置された第2のマグネット331Bは、内周側がN極、外周側がS極に着磁されている。
【0068】
図14は、コイル312に電流を流したときに第1の可動部320及び第2の可動部330に生じる推力を示す図である。
【0069】
図14に示すように、A矢視で反時計回りの電流をコイル312に流すと、コア315の第1のマグネット321に対応する部分がN極に磁化される。そして、内側に配置された第1のマグネット321Aとコア315の間には反発力が生じ、外側に配置された第1のマグネット321Bとコア315の間には吸引力が生じる。したがって、第1の可動部320は圧縮コイルばね341を圧縮させながら、軸方向内側に移動することとなる。
【0070】
一方、コイル312の第2のマグネット331に対応する部分はS極に磁化される。そして、内側に配置された第2のマグネット331Aとコア315の間には反発力が生じ、外側に配置された第2のマグネット331Bの間には吸引力が生じる。したがって、第2の可動部330は圧縮コイルばね351を圧縮させながら、軸方向内側に移動することとなる。
【0071】
また、
図14のA矢視で反時計回りの電流をコイル312に流すと、コア315は逆方向に磁化されるので、第1の可動部320は圧縮コイルばね342を圧縮させながら軸方向外側に移動し、第2の可動部330は圧縮コイルばね352を圧縮させながら軸方向外側(第1の可動部320と逆)に移動する。
したがって、コイル312に交流を流すと、第1の可動部320及び第2の可動部330は、互いに逆方向に往復運動する。
【0072】
このように、第3の実施の形態に係るアクチュエーター300は、支軸311と、支軸311にコア315及びボビン313を介して固定されたコイル312を有する固定部310と、ラジアル方向に着磁され、固定部310の軸方向一端側の外周面を覆うように配置される第1のマグネット321を有し、弾性保持された状態で支軸311に取り付けられ、軸方向に移動可能となっている第1の可動部320と、ラジアル方向に着磁され、固定部310の軸方向他端側の外周面を覆うように配置される第2のマグネット331を有し、弾性保持された状態で支軸311に取り付けられ、軸方向に移動可能となっている第2の可動部330と、を備える。
そして、コイル312に電流を流したときに、第1の可動部320と第2の可動部330が逆方向に移動する。
【0073】
具体的には、固定部310が、磁性体からなるコア315の外周面にコイル312が巻回された電磁石で構成され、第1のマグネット321の着磁方向と第2のマグネット331の着磁方向が逆となっている。そして、コイル312に電流を流し、コア315の両端部が逆極性に磁化されたときに、第1のマグネット321とコア315間に働く吸引力又は反発力と、第2のマグネット331とコア315間に働く吸引力又は反発力が逆方向になる。
【0074】
アクチュエーター300によれば、第1の可動部320と第2の可動部330が、それぞれ逆方向に往復運動することにより振動が相殺されるので、利用者に振動が伝達されるのを効果的に防止できる。また、支軸機構を用いたことにより、第1の可動部320と第2の可動部330の重心を同一軸上に設計することができるため、振動発生方向にずれがないため、効果的に振動が抑制される。
また、動吸振器や動力変換機構を設ける必要がないので、省スペース化、小型化を図ることができ、実装される製品の設計自由度、デザイン性が向上する。
したがって、アクチュエーター300を適用することにより、デザイン性に優れるとともに、低振動、低騒音で、利用者にとって使い心地のよい電動理美容器具が実現される。
【0075】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0076】
例えば、第1の実施の形態において、第1のマグネット121及び第2のマグネット131に代えて、
図15に示す2分割のマグネットM2や、
図16に示す4分割のマグネットM3に代表される複数分割のセグメント型マグネットを適用することができる。第2の実施の形態及び第3の実施の形態においても同様である。
セグメント型マグネットM2、M3は、異方配向させやすく、内外方向(ラジアル方向)に容易に着磁させることができるので、安定した製造が可能となり、安価で入手することができる。したがって、セグメント型マグネットM2、M3を適用することにより、アクチュエーター100の製造コストを低減することができる。
【0077】
また、第1の実施の形態において、第1のマグネット121及び第2のマグネット131に代えて、複数の角型マグネットを組み合わせて全体として角筒状にしたマグネットを適用することもできる。第2の実施の形態及び第3の実施の形態においても同様である。この場合、角形マグネットは厚み方向(内外方向)に着磁される。
【0078】
また例えば、第1の実施の形態において、圧縮コイルばね141、142、151、152に代えて、板ばね等の弾性部材や磁気ばねを適用することができる。第2の実施の形態及び第3の実施の形態においても同様である。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。