特許第5929314号(P5929314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツミ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5929314-フィルムアンテナ装置 図000002
  • 特許5929314-フィルムアンテナ装置 図000003
  • 特許5929314-フィルムアンテナ装置 図000004
  • 特許5929314-フィルムアンテナ装置 図000005
  • 特許5929314-フィルムアンテナ装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929314
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】フィルムアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20160519BHJP
【FI】
   H01Q1/22 C
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-42677(P2012-42677)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-179510(P2013-179510A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】今野 義明
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 謙一
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−033460(JP,A)
【文献】 特開2006−033559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け対象物に取り付けられるフィルムアンテナ装置であって、
片面に接着面を有するフィルムと、当該フィルムに形成されたアンテナ素子と、を有するフィルムアンテナ部と、
前記フィルムアンテナ部のアンテナ素子に電気的に接続される回路基板部と、
第1及び第2の接着面を有し、当該第1の接着面が前記回路基板部に接着され、当該第2の接着面が前記フィルムアンテナ部の端部に接着される接着部材と、
前記回路基板部、前記接着部材及び前記フィルムアンテナ部の端部を収納するケース部と、を備え、
前記ケース部は、
トップケースと、
前記トップケースに合わせられるボトムケースと、を備え、
前記ボトムケースは、
フィルムアンテナ支持部を有し、
前記フィルムアンテナ支持部は、
前記フィルムアンテナ部を前記接着部材に押し付ける平坦面部を有することを特徴とするフィルムアンテナ装置。
【請求項2】
前記ボトムケースのフィルムアンテナ支持部は、前記フィルムアンテナ部の端部の接着面と前記接着部材の第2の接着面とに接着されることを特徴とする請求項1に記載のフィルムアンテナ装置。
【請求項3】
前記ボトムケースは、前記フィルムアンテナ部を前記取り付け対象物側に案内するフィルムアンテナガイド部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムアンテナ装置。
【請求項4】
前記トップケースは、前記フィルムアンテナ部を前記取り付け対象物側に押し下げる突起部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、前記フィルムに接触されていない端部を有し、
前記回路基板部は、前記接着部材に接着されず、前記アンテナ素子が電気的に接続されるアンテナ素子接続部を有し、
前記アンテナ素子の端部と前記アンテナ素子接続部とがはんだ付けにより電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ素子は、金属線であることを特徴とする請求項5に記載のフィルムアンテナ装置。
【請求項7】
前記ボトムケースは、前記はんだ付けにより形成されたはんだ部が収まる凹部を有することを特徴とする請求項5又は6に記載のフィルムアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムにアンテナ素子が形成されたフィルムアンテナ部を有するフィルムアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に取り付けてDAB(Digital Audio Broadcast)等の電波を受信するフィルムアンテナが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフィルムアンテナは、フィルムの表面上に所定のパターンのストリップ形状のアンテナ素子が形成されており、アンテナ素子に給電端子が接続されている。このフィルムアンテナが、自動車の窓ガラスの内面に取り付けられて使用される。
【0003】
また、フィルムアンテナ部と、フィルムアンテナ部により受信した信号を増幅する電子回路を有する回路基板部と、を備えるフィルムアンテナ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この回路基板は、ケース部に収納される。ケース部は、回路基板部と別体であり、回路基板部に接続されたバネ性の金属の接点端子を有し、接点端子の周りの平面部に両面テープが貼り付けられている。そして、両面テープの剥離紙を剥がして、接点端子をフィルムアンテナ部のアンテナ素子の端子に接触するように、ケース部をフィルムアンテナ部に貼り付けることで、回路基板部がアンテナ素子に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−295023号公報
【特許文献2】特開2000−196327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のフィルムアンテナ装置は、ケース部をフィルムアンテナ部に接続して製造した後に、経時変化等で両面テープが剥がれることにより、フィルムアンテナ部のアンテナ素子と、回路基板部に接続された接点端子と、が電気的に接触不良となるおそれがあった。
【0006】
本発明の課題は、フィルムアンテナ部と回路基板部との電気的な接続不良を防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
取り付け対象物に取り付けられるフィルムアンテナ装置であって、
片面に接着面を有するフィルムと、当該フィルムに形成されたアンテナ素子と、を有するフィルムアンテナ部と、
前記フィルムアンテナ部のアンテナ素子に電気的に接続される回路基板部と、
第1及び第2の接着面を有し、当該第1の接着面が前記回路基板部に接着され、当該第2の接着面が前記フィルムアンテナ部の端部に接着される接着部材と、
前記回路基板部、前記接着部材及び前記フィルムアンテナ部の端部を収納するケース部と、を備え、
前記ケース部は、
トップケースと、
前記トップケースに合わせられるボトムケースと、を備え、
前記ボトムケースは、
フィルムアンテナ支持部を有し、
前記フィルムアンテナ支持部は、
前記フィルムアンテナ部を前記接着部材に押し付ける平坦面部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルムアンテナ装置において、
前記ボトムケースのフィルムアンテナ支持部は、前記フィルムアンテナ部の端部の接着面と前記接着部材の第2の接着面とに接着されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のフィルムアンテナ装置において、
前記ボトムケースは、前記フィルムアンテナ部を前記取り付け対象物側に案内するフィルムアンテナガイド部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ装置において、
前記トップケースは、前記フィルムアンテナ部を前記取り付け対象物側に押し下げる突起部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルムアンテナ装置において、
前記アンテナ素子は、前記フィルムに接触されていない端部を有し、
前記回路基板部は、前記接着部材に接着されず、前記アンテナ素子が電気的に接続されるアンテナ素子接続部を有し、
前記アンテナ素子の端部と前記アンテナ素子接続部とがはんだ付けにより電気的に接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のフィルムアンテナ装置において、
前記アンテナ素子は、金属線であることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のフィルムアンテナ装置において、
前記ボトムケースは、前記はんだ付けにより形成されたはんだ部が収まる凹部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フィルムアンテナ部と回路基板部との電気的な接続不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態のフィルムアンテナ装置の平面図である。
図2】上方から見たフィルムアンテナ装置の分解図である。
図3】下方から見たフィルムアンテナ装置の分解図である。
図4】フィルムアンテナ部が取り付けられた回路基板部の平面図である。
図5】フィルムアンテナ装置の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0017】
図1図3を参照して、本実施の形態のフィルムアンテナ装置1の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態のフィルムアンテナ装置1の平面図である。図2は、上方から見たフィルムアンテナ装置1の分解図である。図3は、下方から見たフィルムアンテナ装置1の分解図である。
【0018】
本実施の形態のフィルムアンテナ装置1は、自動車等の移動体の窓(窓ガラス)の内面に取り付けられるアンテナ装置である。フィルムアンテナ装置1は、DABの電波を受信するアンテナ装置とする。しかし、これに限定されるものではなく、フィルムアンテナ装置1が、他の通信方式の電波を受信/送信するアンテナ装置としてもよい。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態のフィルムアンテナ装置1は、フィルムアンテナ部10A,10Bと、ケース部20と、ケーブル50と、プルタブ60A,60Bと、を備える。
【0020】
フィルムアンテナ部10A,10Bは、帯状のフィルムアンテナである。フィルムアンテナ部10Aは、フィルム11Aと、アンテナ素子12Aと、を有する。フィルム11Aは、帯状のフィルム部材であり、例えば透明の色を有する。フィルム11Aが透明の色であることにより、自動車の窓ガラスにフィルムアンテナ部10Aを貼った場合にも、乗員の窓ガラスを介する外部の視認の妨げを低減する。また、フィルム11Aは、PET(PolyEthylene Terephthalate)材料からなる。また、フィルム11Aの窓ガラスへの貼り付け面には、接着剤(粘着剤)が塗布され、その接着剤上に剥離フィルム(図示略)が貼られている。フィルム11Aの接着剤の厚さは、例えば、0.03[mm]程度にされる。
【0021】
アンテナ素子12Aは、金属線として例えば銅線で構成されている。アンテナ素子12Aの銅線の直径は、例えば、0.1mmである。アンテナ素子12Aは、例えば、フィルム11Aの片方の表面に埋め込まれる状態で製造される。フィルム11Aからのアンテナ素子12Aの出っ張りは、例えば、0.03〜0.07[mm]とされる。アンテナ素子12Aが埋め込まれたフィルム11Aの面と逆の平坦な面が、窓ガラスへの貼り付け面へ貼り付けられる。というのは、窓ガラスへのフィルムアンテナ部10Aの貼り付け時に、アンテナ素子12Aの出っ張り部分による気泡を防ぐためである。また、アンテナ素子12Aは、フィルム11Aに接触されていない端部12A1を有する。また、アンテナ素子12Aは、端部12A1を除き、エナメル等の絶縁体でコーティングされている。
【0022】
フィルムアンテナ部10Bは、フィルム11Bと、アンテナ素子12Bと、を有する。また、アンテナ素子12Bは、端部12B1を有する。フィルムアンテナ部10Bの構成は、フィルムアンテナ部10Aと同様である。フィルムアンテナ部10A,10Bは、ケース部20を中心として、アンテナ素子12A,12Bの長手方向が一直線に並ぶように配置されている。
【0023】
ケース部20は、樹脂からなる成型品のケースであり、例えば角がR形状の略直方体の形状を有する。ケース部20は、フィルムアンテナ部10A,10Bの端部と、後述する回路基板部30及び接着部材40と、ケーブル50の一端と、を収納する。
【0024】
ケーブル50は、同軸ケーブルである。ケーブル50は、一端がケース部20内の回路基板部30に接続され、他端にコネクタ51が接続されている。ケーブル50は、コネクタ51を介して、DABの受信機等に接続される。
【0025】
プルタブ60A,60Bは、フィルムアンテナ部10A,10Bの接着面に貼られた剥離フィルム(図示略)を剥がすための部材であり、剥離フィルムに強く接着されている。
【0026】
次いで、図2及び図3を参照して、ケース部20の内部構成を説明する。図2及び図3に示すように、ケース部20は、回路基板部30、接着部材40、ケーブル50の一端と、フィルムアンテナ部10A,10Bの端部13A,13Bと、を収納する。フィルムアンテナ部10Aのうち、ケース部20に収納される端部分を端部13Aとする。また、フィルムアンテナ部10Bのうち、ケース部20に収納される端部分を端部13Bとする。
【0027】
ケース部20は、トップケース20aと、ボトムケース20bと、雄螺子20cと、を有する。
【0028】
トップケース20aは、ケース部20の上側(自動車の窓ガラス側と逆側)のケース(カバー)である。トップケース20aは、カバー本体部21aと、突起部22aと、雌螺子部23aと、ケーブル支持部24aと、リブ25aと、を有する。
【0029】
カバー本体部21aは、トップケース20aの本体であり、底部があけられた略直方体の形状を有する。突起部22aは、トップケース20aの対向する2つの側面部に設けられ、フィルムアンテナ部10A,10Bを下側に押え付ける機能を有する。雌螺子部23aは、トップケース20aの内側に設けられ、雄螺子20cが螺合される。
【0030】
ケーブル支持部24aは、トップケース20aの1つの側面部に設けられ、ケーブル支持部24bとともにケーブル50を挟み込んで支持する。リブ25aは、トップケース20aの内側に設けられ、回路基板部30の高さを位置決めして支持する。
【0031】
ボトムケース20bは、ケース部20の下側(自動車の窓ガラス側)のケース(カバー)であり、トップケース20aに合わせられる。ボトムケース20bは、カバー本体部21bと、フィルムアンテナガイド部22bと、孔部23bと、ケーブル支持部24bと、フィルムアンテナ支持部25bと、凹部26bと、を有する。
【0032】
カバー本体部21bは、ボトムケース20bの本体である。フィルムアンテナガイド部22bは、突起部22aに対応する位置に設けられ、フィルムアンテナ部10A,10Bをフィルムアンテナ支持部25bから緩やかに下側へ案内するカーブ形状を有する。孔部23bは、カバー本体部21bにあけられた雄螺子20c用の貫通孔である。
【0033】
ケーブル支持部24bは、ボトムケース20bの1つの側面部に設けられ、ケーブル支持部24aとともにケーブル50を挟み込んで支持する。フィルムアンテナ支持部25bは、接着部材40に対応する位置に配置された平坦面部であり、フィルムアンテナ部10A,10Bの端部13A,13Bを接着部材40に押し付ける機能を有する。つまり、フィルムアンテナ部10A,10Bの端部13A,13Bが、接着部材40及びフィルムアンテナ支持部25bに挟み込まれて固定される。フィルムアンテナ支持部25bは、平坦面部25d,25eを有する。平坦面部25dは、接着部材40が接着される平坦面部である。平坦面部25eは、フィルムアンテナ部10A,10Bの端部13A又は13Bが接着される平坦面部であり、端部13A,13Bを接着部材40に押し付ける。
【0034】
凹部26bは、フィルムアンテナ部10A,10Bのアンテナ素子12A,12Bの端部12A1,12B1を回路基板部30にはんだ付けした後述するはんだ部60の凸部が収まる凹部である。
【0035】
回路基板部30は、フィルムアンテナ部10A,10Bのアンテナ素子12A,12Bに電気的に接続される回路基板であり、フィルムアンテナ部10A,10Bで受信した信号を増幅してケーブル50に出力する増幅回路等の電子回路を有する基板である。回路基板部30は、基板本体31と、孔部32と、接着部材実装部33と、アンテナ素子接続部34と、を有する。
【0036】
基板本体31は、電子回路部品及び線路パターンを有するPWB(Printed Wiring Board)である。孔部32は、基板本体31にあけられた雄螺子20c用の貫通孔である。接着部材実装部33は、接着部材40を接着により実装する平坦面部である。接着部材実装部33は、平坦面部33a,33bを有する。平坦面部33aは、接着部材40が接着され、平坦面部25dに対応する位置に配置されている。平坦面部33bは、接着部材40が接着され、平坦面部25eに対応する位置に配置されている。アンテナ素子接続部34は、基板本体31の回路素子に接続された導電部を有し、接着部材40が接着されず、端部12A1,12B1がはんだ付けされることによりアンテナ素子12A,12Bと基板本体31とを電気的に接続する。
【0037】
接着部材40は、フィルムアンテナ部10A,10Bの端部を回路基板部30に接着する両面テープ等の接着部材である。接着部材40は、フィルムアンテナ接着部41と、孔部42と、を有する。フィルムアンテナ接着部41は、接着部材40の本体であり、基体の両面に接着剤(粘着剤)が塗布された両面テープ等の接着部材である。この基体は、例えば、縦横強度差が少ない不織布からなる。この基体の厚さは、例えば、0.1〜0.15[mm]にされる。接着部材40は、片方の接着面が接着部材実装部33に接着され、もう片方の接着面がフィルムアンテナ部10A,10Bの端部13A,13B及びフィルムアンテナ支持部25bに接着される。
【0038】
孔部42は、フィルムアンテナ接着部41にあけられ、フィルムアンテナ部10A,10Bのアンテナ素子12A,12Bの端部12A1,12B1を回路基板部30のアンテナ素子接続部34にはんだ付けするための孔部である。孔部42は、アンテナ素子接続部34に対応する位置に配置されている。接着部材40は、あまり弾力が無い方が好ましい。また、接着部材40の接着力は、例えば、10N/20mm以上とされる。
【0039】
次に、図4及び図5を参照して、フィルムアンテナ装置1の製造方法を説明する。図4は、フィルムアンテナ部10A,10Bが取り付けられた回路基板部30の平面図である。図5は、フィルムアンテナ装置1の一部断面図である。
【0040】
図4に示すように、ケーブル50の内部導体及び外部導体がはんだ付けされて電気的に接続された回路基板部30において、接着部材実装部33に接着部材40の片方の接着面が接着される。そして、フィルムアンテナ部10A,10Bは、アンテナ素子12A,12Bの端部12A1,12B1が2つの孔部42に位置するように配置されて、端部13A,13Bが接着部材40のもう片方の接着面に接着される。そして、アンテナ素子12A,12Bの端部12A1,12B1が孔部42を介して、アンテナ素子接続部34にはんだ付けされ凸状のはんだ部60が形成される。
【0041】
なお、従来のフィルムアンテナ装置において、ケース部の接点端子とフィルムアンテナ部のアンテナ素子の端子とをはんだ付けすることができなかった。というのは、フィルムが、PET材料からなり、アンテナ素子が、銀ペーストからなるため、ケース部の接点端子とアンテナ素子の端子とをはんだ付けしようとすると、フィルムが溶けてしまうからである。フィルムアンテナ装置1では、端部12A1,12B1がフィルム11A,11Bに接触していないため、はんだ付けが可能である。
【0042】
そして、はんだ部60が凹部26bに配置され、フィルムアンテナ部10A,10Bの端部13A,13Bがフィルムアンテナガイド部22b及びフィルムアンテナ支持部25bに配置される。接着部材40のうち、平坦面部33aに対応する位置で露出した接着面40aが平坦面部25dに接着され、フィルムアンテナ部10A,10Bのフィルム11A,11Bの端部13A,13Bの接着面が、平坦面部25e及びフィルムアンテナガイド部22bに接着されることにより、フィルムアンテナ部10A,10Bが取り付けられた回路基板部30がボトムケース20bに接着される。
【0043】
そして、ボトムケース20bにトップケース20aが合わせられ、雄螺子20cが孔部23b,32を介して雌螺子部23aに螺合される。この螺合に応じて、フィルムアンテナ部10A,10Bは、はんだ部60によるはんだ付けと、接着部材40による接着と、フィルムアンテナ支持部25bによる接着部材40への押し付けとにより、回路基板部30及びケース部20に強く固定される。このため、フィルムアンテナ部10A,10Bは、貼り付け、取り扱い等による引っ張り機械的ストレスが発生しても、回路基板部30及びケース部20から抜けない構造となる。
【0044】
そして、図5に示すように、ボトムケース20bのカバー本体部21bの下側に接着部材70が貼り付けられる。接着部材70は、両面テープ等の接着部材である。
【0045】
フィルムアンテナ装置1を取り付け対象物としての自動車の窓ガラス80に取り付ける場合には、接着部材70が窓ガラス80に接着されるとともに、フィルムアンテナ部10A,10Bの剥離フィルムが剥がされてその接着面が窓ガラス80に接着される。
【0046】
フィルムアンテナ部10A,10Bは、フィルムアンテナガイド部22bにより窓ガラス80側(下側)に案内され、さらに突起部22aにより、窓ガラス80側に強制的に押し下げられる。
【0047】
以上、本実施の形態によれば、フィルムアンテナ装置1において、接着部材40の片方の接着面が回路基板部30に接着され、もう一方の接着面がフィルムアンテナ部10A,10Bの端部13A,13Bに接着され、ボトムケース20bが、フィルムアンテナ部10A,10Bの接着面と接着部材40の窓ガラス80側の接着面とに接着され、フィルムアンテナ部10A,10Bを接着部材40に押し付けるフィルムアンテナ支持部25bを有する。このため、フィルムアンテナ部10A,10Bが、接着部材40による接着と、フィルムアンテナ支持部25bによる押し付けとにより、回路基板部30及びケース部20に強く固定され、フィルムアンテナ部10A,10Bと回路基板部30との電気的な接続不良を防ぐことができる。さらに、フィルムアンテナ部10A,10Bと回路基板部30とを一体型にでき、フィルムアンテナ部10A,10Bの給電部分を注意して合わせる作業の必要が無いので、フィルムアンテナ装置1を窓ガラス80に容易に取り付けることができる。
【0048】
また、ボトムケース20bのフィルムアンテナ支持部25bは、平坦面部25eでフィルムアンテナ部10A,10Bの接着面に接着され、平坦面部25dで接着部材40の窓ガラス80側の接着面に接着される。このため、フィルムアンテナ部10A,10Bをボトムケース20b及び接着部材40に強く固定できる。
【0049】
また、ボトムケース20bは、フィルムアンテナ部10A,10Bを窓ガラス80側に案内するフィルムアンテナガイド部22bを有する。このため、フィルムアンテナ部10A,10Bを容易に窓ガラス80側に案内でき、窓ガラス80からのフィルムアンテナ部10A,10Bの浮きが発生してその狭間にごみ等がたまることを防ぐことができ、フィルムアンテナ部10A,10Bが窓ガラス80から剥離されることを防ぐことができる。
【0050】
また、トップケース20aは、フィルムアンテナ部10A,10Bを窓ガラス80側に押し下げる突起部22aを有する。このため、フィルムアンテナ部10A,10Bを容易に窓ガラス80側に押し下げることができ、窓ガラス80からのフィルムアンテナ部10A,10Bの浮きが発生してその狭間にごみ等がたまることを防ぐことができ、フィルムアンテナ部10A,10Bが窓ガラス80から剥離されることを防ぐことができる。
【0051】
また、アンテナ素子12A,12Bが、フィルム11A,11Bに接触されていない端部12A1,12B1を有し、端部12A1,12B1と回路基板部30のアンテナ素子接続部34とがはんだ付けにより電気的に接続されている。このため、フィルムアンテナ部10A,10Bと回路基板部30との電気的な接続不良をさらに防ぐことができる。
【0052】
また、アンテナ素子12A,12Bは、銅線である。このため、アンテナ素子12A,12Bフィルム11A,11Bに接触されていない端部12A1,12B1を容易に露出してはんだ付けできる。
【0053】
また、ボトムケース20bは、はんだ部60が収まる凹部26bを有する。このため、フィルムアンテナ部10A,10Bをはんだ付けした回路基板部30をケース部20のフィルムアンテナ支持部25bに強く接着できる。
【0054】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 フィルムアンテナ装置
10A、10B フィルムアンテナ部
11A,11B フィルム
12A,12B アンテナ素子
12A1,12B1 端部
13A,13B 端部
20 ケース部
20a トップケース
21a カバー本体部
22a 突起部
23a 雌螺子部
24a ケーブル支持部
25a リブ
20b ボトムケース
21b カバー本体部
22b フィルムアンテナガイド部
23b 孔部
24b ケーブル支持部
25b フィルムアンテナ支持部
25d,25e 平坦面部
26b 凹部
20c 雄螺子
30 回路基板部
31 基板本体
32 孔部
33 接着部材実装部
33a,33b 平坦面部
34 アンテナ素子接続部
40 接着部材
40a 接着面
41 フィルムアンテナ接着部
42 孔部
50 ケーブル
51 コネクタ
60A,60B プルタブ
70 接着部材
80 窓ガラス
図1
図2
図3
図4
図5