(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホーゼルベースは、前記下部筒部と同軸上で前記カートリッジが挿入される断面が長円形の上部筒部と、前記上部筒部の上縁に設けられ前記ヘッド本体のホーゼルベース取り付け用孔の周縁に係合する鍔部を有し、
前記カートリッジは、前記シャフト挿入孔が設けられたカートリッジ本体を有し、
前記カートリッジ本体には、前記下部筒部の軸心の回りに180度旋回させた状態でそれぞれ前記ホーゼルベースの鍔部に係合するフランジが設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
前記ホーゼルベースは、断面が長円形に形成され前記カートリッジが挿入されるカートリッジ挿入孔と、前記カートリッジ挿入孔の底部をなし前記カートリッジと共に前記ヘッド本体に固定される環状の中間壁と、前記カートリッジ挿入孔の開口の周囲に位置し前記ヘッド本体のホーゼルベース取り付け用孔の周縁に係合する鍔部とを有し、
前記載置面は、前記カートリッジ挿入孔の開口の近傍に設けられている、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブヘッド。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ゴルフボールを打撃する際のゴルフクラブの打撃特性の一つとして、いわゆる、ボールの捕まり度合いが知られている。捕まり度合いとは、ゴルファがゴルフクラブを把持してゴルフボールを打撃する際に、インパクトの瞬間におけるゴルファが感じるフェース面の左右方向へのずれの程度をいう。
ゴルフスウィングとしては、インパクトの瞬間にフェース面をスクエアな状態にしてゴルフボールを打撃することが理想である。しかし、右利きのゴルファの場合において、ゴルファーを正面から見たときのゴルフクラブシャフトは、バックスウィングでは時計方向にねじれ、反対にダウンスウィングでは反時計方向にねじれる。そのため、ゴルファが、フェース面をスクエアな状態にしてゴルフフボールを打撃できるような位置に、ゴルフクラブヘッドを置いて構えたとしても、バックスウィングからダウンスウィングを経てインパクトの時点では、フェース面がスクエアな状態であるとは必ずしも限らない。
一般的に、ゴルファは、インパクト時のフェース面が閉じる(フェースアングルがスクエアからフック)な状態に近いほど、捕まり度合いが良いと感じる。逆に、フェース面が開く(フェースアングルがスクエアからスライス)な状態に近いほど、捕まり度合いが悪いと感じる。つまり、ゴルファが感じる捕まり度合いは、インパクト直前のフェース面の向きがクラブヘッドの返りの良さに対応していると言える。
【0003】
ゴルファがゴルフクラブを把持してゴルフボールを打撃するとき、インパクトの瞬間にフェース面が開いた状態であれば、ゴルフボールはスライス回転で打ち出され、右方向に曲がり、飛距離は伸びない。このときゴルファは、ゴルフボールを的確な状態(スクエアな状態)で捕まえることができなかったと感じる。
これに対して、ゴルファがゴルフボールを打撃するとき、インパクトの瞬間にフェース面がスクエアな状態であれば、ゴルフボールはストレートに打ち出され、飛距離は伸びる。
このときゴルファは、フェース面が的確な状態でゴルフボールを捕らえることができたとして、捕まり度合いが良かったと感じる。
また、インパクトの瞬間にフェース面が閉じた状態であれば、ゴルフボールはフック回転で打ち出され、左方向に曲がり、飛距離は伸びない。このときゴルファは、ゴルフボールを的確な状態(スクエアな状態)で捕まえることができなかったと感じる。
このような捕まり度合いの程度は、当然に各ゴルファのスウィングに影響されるが、ゴルフクラブの仕様にも影響される。
ゴルフボールの捕まり度合いに影響を及ぼすゴルフクラブの仕様として、ライ角と、ゴルフクラブヘッドのフェース面上の重心距離とが挙げられる。
そして、一般的に、ライ角が大きくなるほど、また、フェース面上の重心距離が小さくなるほど捕まえ度合いは高くなり、ライ角が小さくなるほど、また、フェース面上の重心距離が大きくなるほど捕まえ度合いは低くなることが知られている。
フェース面上の重心距離(FGL)とは、ゴルフクラブヘッドを規定のライ角かつフェースアングル0°の状態で基準となる水平面に設置した状態で、かつ、前記ゴルフクラブの前後方向と直交する投影面Vにフェース面上重心点とシャフトの中心軸とを投影した場合に、投影面V上におけるフェース面上重心点とシャフトの中心軸との最短距離をいう。
なお、捕まえ度合いは、高ければ高いほど良いものではなく、ゴルファーのスウィングの特徴などに合わせて最も使いやすい捕まえ度合いとすることが好ましい。
【0004】
一方、ライ角やロフト角の調整を可能としたゴルフクラブヘッドが提案されている。
例えば、シャフト先端が差し込まれるシャフト挿入穴を有しかつヘッド本体のホゼルカラム差込穴に装着されるホゼルカラムを設け、ホゼルカラムをホゼルカラムシャフト挿入穴の軸心がホゼルカラム差込穴の軸心に対して傾斜するように構成したものが提案されている(特許文献1、段落0046,
図1〜
図7)。
この技術では、シャフトと共にホゼルカラムのホゼルカラム差込穴に対する位相(回転位置)を変えることでライ角やロフト角を調整するようにしている。
また、上記ホゼルカラムに相当するホーゼルスリーブを設け、上記と同様の手順でライ角などを調整するものが提案されている(特許文献2、段落0070、0071、
図18、
図20)。
また、シャフトスリーブと楔部材とを用いたゴルフクラブヘッドが提案されている(特許文献3,段落0105〜0110、
図38〜
図40)。このゴルフクラブヘッドでは、シャフトスリーブはシャフト先端が挿入されるシャフト穴を有している。シャフト穴はシャフトスリーブの本体と同軸でない長手軸を具備している。シャフトスリーブがシャフトの端部に結合されるときに、シャフトスリーブの長手軸がシャフトの長手軸に対してシャフト角αだけ角度付けられる。また、楔部材の両方の端面は相互に楔角度βだけ角度付けられ、楔部材がシャフトスリーブおよびホーゼルの間にはさまれたときに、シャフトのシャフトスリーブに対する方向が、楔部材のクラブヘッドに対する位置、およびシャフトスリーブのクラブヘッドに対する位置の組み合わせにより決定される。そして、シャフトスリーブおよび楔部材の位相(回転位置)を変えることでライ角やロフト角を調整するようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は第1の実施の形態におけるゴルフクラブヘッド10の分解斜視図である。
本実施の形態では、ゴルフクラブヘッド10がウッド型ゴルフクラブヘッドである場合について説明するが、本発明はアイアン型ゴルフクラブヘッドについても無論適用可能である。
ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体12と、カートリッジ14と、回転止め部材16と、ホーゼルベース18と、取り付けねじ20と、調整機構21とを含んで構成されている。
調整機構21は、カートリッジ14、回転止め部材16、ホーゼルベース18、取り付けねじ20で構成されている。
【0011】
ヘッド本体12は金属製で、フェース面22と、ソール面24と、クラウン面26と、ホーゼルベース取り付け用孔28とを備えている。
フェース面22は、上下の高さを有して左右に延在している。
ソール面24は、フェース面22の下部に接続され後方に延在している。
クラウン面26は、フェース面22の上部とソール面24の後部とを接続している。
ホーゼルベース取り付け用孔28は、クラウン面26のヒール寄りの箇所に上方に開放状に設けられ、後述するホーゼルベース18の上部筒部36の輪郭に対応した長円状を呈している。
本実施の形態では、ホーゼルベース取り付け用孔28の長手方向は、ヘッド本体12のトウ−ヒール方向とほぼ平行するように形成されている。
【0012】
図2(A)、(B)に示すように、カートリッジ14は、ホーゼルベース18に取り付けられるものである。
カートリッジ14は金属製で、カートリッジ本体30と、フランジ32と、取り付け部34とを備えている。
カートリッジ本体30は細長い円筒状を呈し、一端にシャフト挿入孔3002が開口され、他端に取り付け部34が設けられている。
シャフト挿入孔3002は円形で、シャフト2(
図1)の先端が挿入される寸法で形成され、シャフト挿入孔3002の底部はシャフト2の先端面が当接される底壁3003によって閉塞されている。
シャフト挿入孔3002は、このシャフト挿入孔3002にシャフト2の先端が挿入された状態でシャフト挿入孔3002の中心軸とシャフト2の中心軸とが合致するように構成され、この状態でカートリッジ本体30は、シャフト2の先端に接着剤により接着され取着される。
【0013】
カートリッジ本体30の外周面は円筒面状を呈している。
この円筒面状の外周面の中心軸、すなわちカートリッジ本体30の中心軸Lcは、シャフト挿入孔3002に取着されたシャフト2の中心軸Ls(以下シャフト中心軸Lsという)と一致する。
【0014】
フランジ32は、カートリッジ本体30の延在方向の中間部に設けられており、取り付け部34の中心軸Laと直交する平面上を延在し長円状の輪郭を有している。
図2(B)に示すように、取り付け部34側のフランジ32の外周縁は全周にわたって面取りがなされた係合部3204となっている。
【0015】
取り付け部34は、その先端面に取り付けねじ20が螺合されるねじ孔3402が形成されている。
取り付け部34の中心軸Laは、カートリッジ本体30の中心軸Lc(シャフト中心軸Ls)と一致していない。
さらに、取り付け部34の中心軸Laは、カートリッジ本体30の中心軸Lc(シャフト中心軸Ls)に対して所定の傾斜角αだけ傾斜して設けられている。
なお、図中、傾斜角αをわかりやすく示すためにカートリッジ本体30の中心軸Lcに対する取り付け部34の中心軸Laの傾斜は実際よりも誇張して描いている。
【0016】
回転止め部材16は金属製で、
図1、
図2(B)に示すように、矩形の筒状を呈し、矩形状の係合孔1602を有している。
この係合孔1602に取り付け部34が回転不能に嵌合されている。
【0017】
ホーゼルベース18は金属製で、
図1、
図3に示すように、ホーゼルベース取り付け用孔28に挿入され、ヘッド本体12に取着されるものである。
ホーゼルベース18は、カートリッジ14を収容保持するものであり、言い換えると、ホーゼルベース18は、カートリッジ14を介してシャフト2が取着されるものである。
ホーゼルベース18は、同軸上で共に断面が長円の上部筒部36と下部筒部38とを有している。
図中符号Lhは、ホーゼルベース18の中心軸、すなわち、上部筒部36および下部筒部38の軸心を示す。
【0018】
上部筒部36は、カートリッジ14が挿入される断面が長円状のカートリッジ挿入孔3602を有し、上部筒部36の先端に、外側に広げられた長円状の鍔部3604が形成されている。
この鍔部3604は、鍔部3604の長手方向にフランジ32の長手方向を一致させて鍔部3604にフランジ32を係合させた状態で、それらを隙間なく係合させるものであり、この状態でカートリッジ挿入孔3602に、カートリッジ本体30のうちフランジ32よりも取り付け部34側の部分が収容される。
上部筒部36は、フランジ32の位相が180度異なる2つの回転位置でフランジ32の係合部3204が鍔部3604の内縁部に係合されることで2つの回転位置でフランジ32、すなわちカートリッジ14を保持する。
言い換えると、フランジ32は、下部筒部38の軸心Lhの回りに180度旋回させた状態でそれぞれホーゼルベース18の鍔部3604に係合する。
上部筒部36は、鍔部3604がホーゼルベース取り付け用孔28の縁部(周縁)に係合した状態で接着あるいは溶接により取着されている。
【0019】
下部筒部38は、回転止め部材16を回転不能に保持しており、詳細には、フランジ32の位相が180度異なる毎に異なった位置となる回転止め部材16を回転不能に保持している。
下部筒部38の延在方向の中間部には、回転止め部材16を収容する空間を仕切る中間壁3802が長円状に形成されている。
中間壁3802上に、取り付け部34の先端と中間壁3802との接触を阻止するゴムリング40が配置される。ゴムリング40は、ねじ20の脱落防止とゆるみ防止が主な役割である。
中間壁3802の内側は、取り付けねじ20を挿通可能なねじ挿通孔3804として形成されている。
下部筒部38の下端は、ソール面24の形状に沿った傾斜部3810をなし、この傾斜部3810がソール面24に形成されたねじ挿通孔2402(
図3)の縁部に接着あるいは溶接により取着される。
取り付けねじ20は、ソール面24のねじ挿通孔2402を挿通し、中間壁3802のねじ挿通孔3804、回り止め部材16を介してカートリッジ14のねじ孔3402に螺合し、取り付けねじ20の頭部が中間壁3802に当接することで、ゴムリング40を圧縮した状態で、シャフト2およびカートリッジ14がホーゼルベース18を介してヘッド本体12に締結されている。なお、ねじ緩み防止のために、
図9に示すように、取り付けねじ20の頭部と中間壁3802との間にワッシャー19を介設しても良い。
したがって、取り付け部34は、下部筒部38の軸心の回りに180度旋回させた状態でそれぞれ下部筒部34に着脱可能に結合され、該結合された状態で下部筒部38と共にヘッド本体12に固定されることになる。
図9に、カートリッジ14が取り付けねじ20、ワッシャ19を介してヘッド本体12に締結された状態を示す。なお、
図9において、回転止め部材16、ホーゼルベース18の図示は省略している。
【0020】
次に、
図3、
図4を参照して、ライ角θおよびフェース面上重心距離FGLの調整について説明する。なお、
図3、
図4において、シャフト2、取り付けねじ20、ゴムリング40は図示を省略する。
フェース面上重心距離FGLは以下のように定義される。
図10〜
図12に示すように、ゴルフクラブヘッド10を規定のライ角かつフェースアングル0°の状態で基準となる水平面Hに設置する。
この状態で、ゴルフクラブヘッド10の前後方向と直交する投影面Vにフェース面上重心点Gとシャフト中心軸Lsとを投影した場合に、投影面V上におけるフェース面上重心点Gとシャフト中心軸Lsとの最短距離をフェース面上重心距離FGLとする。図中FCはフェース面22の中心点を示す。
なお、フェースアングルが0度とは、
図10に示すように、ゴルフクラブヘッド10を規定のライ角度通りに設置し、かつ、その時のシャフト中心軸Lsとゴルフクラブヘッド10のフェース面22のリーディングエッジLegとが基準となる水平面Hの垂直上方から見て互いに平行となる状態をいう。
本例では、
図2(B)に示すように、取り付け部34の中心軸Laとカートリッジ本体30の中心軸Lcとがなす傾斜角αが1度であり、取り付け部34の中心軸Laとカートリッジ本体30の中心軸Lcとの偏心量Δdは約2mmである。
図3は、カートリッジ本体30のフランジ32をトウ側に位置させてカートリッジ14をヘッド本体12に取り付けた場合を示す。
この場合、ライ角θは59度、フェース面上重心距離FGLは32mmである。
図4は、カートリッジ本体30のフランジ32をヒール側に位置させてカートリッジ14をヘッド本体12に取り付けた場合を示す。
この場合、ライ角θは57度、フェース面上重心距離FGLは36mmである。
すなわち、カートリッジ14を180度異なる2つの角度位置に位置させることで、ライ角θは、傾斜角α=1度の2倍である2度変化し、フェース面重心距離FGLは、偏心量Δd=約2mmの約2倍の4mm変化している。
【0021】
したがって、本実施の形態では、カートリッジ14と、回転止め部材16と、ホーゼルベース18と、取り付けねじ20とによって、ヘッド本体12に対するシャフト中心軸Lsの位置と角度を変えることにより、ライ角θとフェース面上重心距離FGLとを調整する調整機構21が構成されている。
言い換えると、シャフト挿入孔3002の軸心(シャフト中心軸Ls)は、下部筒部38の軸心Lhに対してヘッド本体12の下方において傾斜角αをもって交差している。
そして、ヘッド本体12に対するシャフト中心軸Lsの位置と角度の変化は、カートリッジ14を、下部筒部38に対して下部筒部38の軸心Lhの回りに180度旋回させることでなされる。
そして、調整機構21は、
図3に示すようにライ角θが最大のときにフェース面22上の重心距離FGLが最小となる第1の調整位置と、
図4に示すようにライ角θが最小のときにフェース面22上の重心距離FGLが最大となる第2の調整位置とを形成している。このような第1、第2の調整位置を実現するためにはフェース面22上の重心Gの位置が予め定められた条件を満たす必要があり、この条件については後述する。
【0022】
ここで、
図5に示すように、第1の調整位置におけるシャフト中心軸Lsの延長線と、第2の調整位置におけるシャフト中心軸Lsの延長線との交点を第1の交点P1とする。
また、投影面V上における前記最短距離を結ぶ直線とシャフト中心軸Lsとの交点を第2の交点P2とする。
このとき、第1の交点P1は第2の交点P2よりも下方に位置している。これは、角度調整位置毎のシャフト中心軸Lsの第1の交点P1、すなわち支点の位置がヘッド本体12よりも下方に位置していることを意味する。
このように第1、第2の交点P1、P2が配置されることで、ライ角θが大きくなるときにフェース面上重心距離FGLをより小さくし、ライ角θが小さくなるときにフェース面上重心距離FGLをより大きくすることができ、言い換えると、ライ角θおよびフェース面上重心距離FGLをゴルフボールの捕まえ度合いを確実に調整することができる。
【0023】
また、第1の交点P1と第2の交点P2との間隔を大きくするほど、ライ角θおよびフェース面上重心距離FGLの変化量を大きくすることができる。
本実施の形態では、第1の交点P1は、ヘッド本体12のソール面24よりも下方に位置している。このようにすると、第1の交点P1と第2の交点P2との間隔をより大きく確保することができるため、ゴルフボールの捕まえ度合いを確実に調整する上でより一層有利となる。
ここで、具体例を示すと、
図6は、
図5における偏心量Δd=2mmを半分の1mmに設定した場合を示している。
この場合は、第1の交点P1の位置が第2の交点P2に近づくことになり、したがって、フェース面上重心距離FGLの変化量も半分の2mmとなっている。
【0024】
次に、調整機構21が、ライ角θが最大のときにフェース面22上の重心距離FGLが最小となる第1の調整位置と、ライ角θが最小のときにフェース面22上の重心距離FGLが最大となる第2の調整位置とを形成するために必要なフェース面22上の重心Gの位置の条件について説明する。
図7はフェース面22上の重心Gの位置の条件を説明する図である。
図7においてX軸およびY軸は、投影面Vに規定された直交座標であり、X軸はソール面24が載置される水平面Hと平行し、Y軸はX軸と直交する。
ライ角θが最大のときのシャフト中心軸Lsを投影面Vに投影した直線を直線Aとし、直線AとX軸とがなす角度を角度θAとする。
ライ角θが最小のときのシャフト中心軸Lsを投影面Vに投影した直線を直線Bとし、直線AとX軸とがなす角度を角度θBとする。
直線A、Bの交点を原点O(0,0)とする。原点は、前記支点P1である。
フェース面22上の重心Gを投影面Vに投影した点を重心投影点gとする。
このとき、第1の調整位置と第2の調整位置とを形成するためには、重心投影点gが以下に定義される領域Ag内に位置する必要がある。
領域Agは、以下の式(1)、式(2)で定義される第1の直線L1と第2の直線L2との間の図中ハッチングで示す領域となる。第1の直線L1、第2の直線L2は、原点Oを通る。
第1の直線L1:y>tan((θA+θB)/2)x (1)
第2の直線L2:y>−tan(90°−(θA+θB)/2)x (2)
(ただし、y>0)
重心投影点Agが領域内に位置している限り、ライ角θを大きくするほどフェース面22上の重心距離FGLが小さくなり、ライ角θを小さくするほどフェース面22上の重心距離FGLが大きくなる関係を満たすことができる。
【0025】
次に、従来技術のように、第1の交点P1が第2の交点P2の上方に位置する場合と比較して説明する。
図8は、従来技術を示す説明図であり、第1の交点P1が第2の交点P2の上方に位置している。
そのため、ライ角θが大きくなるほどフェース面22上の重心距離FGLも大きくなり、ライ角θが小さくなるほどフェース面22上の重心距離FGLも小さくなる。
したがって、ライ角θおよびフェース面上重心距離FGLがゴルフボールの捕まえ度合いの傾向を相殺するように変化することになる。そのため、ゴルファーが自らのスウィングの特徴などに合わせてゴルフボールの捕まえ度合いを自由に調整することは困難である。
これに対して本実施の形態では、第1の交点P1は第2の交点P2よりも下方に位置しているので、ライ角θが大きくなるときにフェース面上重心距離FGLをより小さくし、ライ角θが小さくなるときにフェース面上重心距離FGLをより大きくすることができ、言い換えると、ライ角θおよびフェース面上重心距離FGLをゴルフボールの捕まえ度合いを確実に調整することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ヘッド本体12に対するシャフト中心軸Lsの位置と角度を変えることにより、ライ角θとフェース面上重心距離FGLとを調整する調整機構21を設けた。
したがって、調整機構21によりライ角θおよびフェース面上重心距離FGLがゴルフボールの捕まえ度合いの傾向を高める方向にあるいは低める方向に助長するように変化することになる。そのため、調整機構21を用いてゴルフボールの捕まえ度合いをゴルファーの好みに応じて自由に調整することができ、使い勝手のよいゴルフクラブヘッド10を提供することができる。
【0027】
なお、第1の調整位置と第2の調整位置とでライ角θの差が小さ過ぎると、ゴルファーがゴルフボールの捕まえ度合いの変化を実感しづらい。
そこで、ゴルフボールの捕まえ度合いの変化をはっきりと実感するために以下のように設定することが好ましい。
すなわち、第1の調整位置と第2の調整位置とでライ角θとフェース面上重心距離FGLとの関係を崩さずに、すなわち、ライ角大はフェース面上重心距離FGLが短く、ライ角小はフェース面上重心距離FGLが長いという関係を崩さずに、ライ角θの差を0.5°以上、フェース面上重心距離FGLの差を0.5mm以上とする。
このようにすると、ゴルフボールの捕まえ度合いをゴルファーの好みに応じて自由に調整する上でより有利となり、使い勝手のよいゴルフクラブヘッド10を提供する上でより一層有利となる。
【0028】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、シャフト2の先端に取着されたカートリッジ14を180度異なる2つの角度位置に位置させることでライ角θおよびフェース面上重心距離FGLを調整するようにした。
したがって、ゴルフクラブのグリップにバックラインが形成されている場合、カートリッジ14を180度異なる2つの角度位置に位置させると、グリップのバックラインの位置も180度異なる位置に変化してしまう不都合が生じる。
そこで、第2の実施の形態では、カートリッジの角度位置を変えることなく、後述するリング44の角度位置を変えることで第1の調整位置と第2の調整位置とを形成するようにした。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同一あるいは同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略しあるいは簡単に説明する。
【0029】
図13に示すように、調整機構21は、カートリッジ42、リング44、ホーゼルベース46、取り付けねじ20で構成されている。
【0030】
ヘッド本体12は、第1の実施の形態と同様に構成され、ホーゼルベース46が挿入されるホーゼルベース取り付け用孔28を備えている。
【0031】
図14に示すように、カートリッジ42は、リング44を挿通してホーゼルベース46の内部に挿入されホーゼルベース46に取り付けられるものである。
カートリッジ42は、金属製のカートリッジ本体48を備え、カートリッジ本体48にはシャフト挿入孔5202が形成されている。
カートリッジ本体48は、細長い円筒状を呈し、大径部52と、大径部52と同軸上に設けられた小径部54とを有している。
大径部52の先端にシャフト挿入孔5202が開口され、小径部54の先端に取り付け部50が設けられている。
シャフト挿入孔5202は円形で、シャフト2(
図13)の先端が挿入される寸法で形成され、シャフト挿入孔5202の底部はシャフト2の先端面が当接される底壁5204によって閉塞されている。
シャフト挿入孔5202は、このシャフト挿入孔5202にシャフト2の先端が挿入された状態でシャフト挿入孔5202の中心軸とシャフト中心軸Lsとが合致するように構成され、この状態でカートリッジ本体48は、シャフト2の先端に接着剤により接着され取着される。
大径部52および小径部54の外周面は円筒面状を呈しており、これら円筒面状の外周面の中心軸とシャフト挿入孔5202の中心軸とは一致している。
すなわち、カートリッジ本体48がシャフト2の先端に取着された状態で、カートリッジ本体48の中心軸Lcとシャフト中心軸Lsは一致している。
大径部52と小径部54との境に環状の当接面5210が形成され、当接面5210はカートリッジ本体48の中心軸Lcと直交する平面上を延在している。
図13に示すように、大径部52の小径部54寄りの端部に係合凹部5212が周方向に180度の間隔をおいて形成され、それら係合凹部5212は大径部52の外周面と当接面5210に開口している。
取り付け部50には、取り付けねじ20が螺合されるねじ孔5002が形成され、ねじ孔5002の中心軸はカートリッジ本体48の中心軸Lcと合致している。
【0032】
リング44は金属製で、
図15(A)、(B)、(C)に示すように、平面視長円状を呈し、カートリッジ挿通孔4410が形成されている。
リング44は、後述するホーゼルベース46の内部に配置されるものである。
リング44は、リング44の中心軸(軸心)Lr回りに180度旋回した状態でそれぞれ旋回不能にホーゼルベース46の載置面4606に載置される下面4402と、下面4402に対して傾斜角αをもって延在する上面4404とを有している。
すなわち、上面4404は、リング44がなす長円状の長手方向の一方から他方に至るにつれて上面4404と下面4402との間隔が大きくなるように傾斜角αをもって傾斜して設けられている。
リング44の外周面4406は下面4402と直交している。
カートリッジ挿通孔4410は、カートリッジ本体48の小径部54が挿通される円形を呈し、リング44がなす長円状の長手方向に延在するリング44の中心線Cr上に形成されている。
カートリッジ挿通孔4410の中心軸4408は、リング44の中心軸Lrと平行し、かつ、リング44がなす長円状の長手方向に延在するリング44の中心線Cr上で、中心線Crの中心よりも上面4404が低位となる側に偏位した箇所に設けられている。
したがって、カートリッジ挿通孔4410の中心軸4408は下面4402と直交している。
リング44の上面4404の2箇所に2つの係合凹部5212とそれぞれ係合する2つの係合凸部4412(特許請求の範囲の係合部に相当)が突設されている。
したがって、カートリッジ挿通孔4410に小径部54が挿通され、上面4404に当接面5210が当接され、2つの係合凸部4412が2つの係合凹部5212にそれぞれ係合することで、リング44はカートリッジ本体48に装着される。
この場合、リング44のカートリッジ本体48に対する位相を180度異ならせた2つの回転位置で2つの係合凸部4412が2つの係合凹部5212にそれぞれ係合する。
リング44がカートリッジ本体48に装着された状態で、カートリッジ挿通孔4410の中心軸4408とカートリッジ本体48の中心軸Lc(シャフト中心軸Ls)とは傾斜角αをなして交差する。すなわち、リング44の中心軸Lrとカートリッジ本体48の中心軸Lc(シャフト中心軸Ls)とは傾斜角αをなして交差する。
【0033】
ホーゼルベース46は金属製で、
図13、
図14に示すように、ホーゼルベース取り付け用孔28に挿入され、ヘッド本体12に取着されるものである。
ホーゼルベース46は、リング44が装着されたカートリッジ42を収容保持するものであり、言い換えると、ホーゼルベース46は、カートリッジ42およびリング44を介してシャフト2が取着されるものである。
ホーゼルベース46は、断面が長円の筒状を呈している。
【0034】
ホーゼルベース46は、カートリッジ42が挿入される断面が長円状のカートリッジ挿入孔4602を有し、ホーゼルベース46の先端に、外側に広げられた長円状の鍔部4604が形成されている。すなわち、鍔部4604は、カートリッジ挿入孔4602の開口の周囲に位置している。
この鍔部4604は、鍔部4604の長手方向にリング44の長手方向を一致させて鍔部4604にリング44を係合させた状態で、それらを隙間なく係合させるものであり、この状態でカートリッジ挿入孔4602に、カートリッジ本体48の小径部54のうちリング44よりも取り付け部50側の部分が収容される。
すなわち、鍔部4604の内周には、リング44の下面4402に係合される環状の平坦面からなる載置面4606が形成され、すなわち、載置面4606はホーゼルベース46の内部に設けられている。載置面4606の軸心は、ホーゼルベース46の中心軸Lhと合致している。
ホーゼルベース46は、
図19(A)、(B)に示すように、リング44の位相が180度異なる2つの回転位置でリング44の外周縁が鍔部4604の内縁部に係合されることで2つの回転位置でリング44を介してカートリッジ42を保持する。
図19(A)は第1の調整位置を示し、
図19(B)は第2の調整位置を示す。
カートリッジ42がリング44と共にホーゼルベース46に保持された状態で、リング44のカートリッジ挿通孔4410の中心軸4408、すなわち、カートリッジ本体48の中心軸Lcおよびシャフト中心軸Lsはリング44の中心軸Lrに対して傾斜角αをなして交差する。
【0035】
ホーゼルベース46の延在方向の中間部には、カートリッジ挿入孔4602の底部をなしカートリッジ42と共にヘッド本体12に固定される環状の中間壁4608が長円状に形成されている。
中間壁4608上に、取り付け部50の先端と中間壁4608との接触を阻止するゴムリング40が配置される。ゴムリング40は、ねじ20の脱落防止とゆるみ防止が主な役割である。
中間壁4608の内側は、取り付けねじ20を挿通可能なねじ挿通孔4610として形成されている。
【0036】
ホーゼルベース46は、鍔部4604がホーゼルベース取り付け用孔28の縁部(周縁)に係合した状態で接着あるいは溶接により取着されている。
また、ホーゼルベース46の下端は、ソール面24の形状に沿った傾斜部4612をなし、この傾斜部4612がソール面24に形成されたねじ挿通孔2402(
図16)の縁部に接着あるいは溶接により取着される。
取り付けねじ20は、ソール面24のねじ挿通孔2402を挿通し、中間壁4608のねじ挿通孔4610を介して取り付け部50のねじ孔5002に螺合し、取り付けねじ20の頭部が中間壁4608に当接することで、ゴムリング40を圧縮した状態で、シャフト2およびカートリッジ42がホーゼルベース46を介してヘッド本体12に締結されている。
したがって、取り付け部50は、リング44の中心軸Lrの回りに180度旋回させた状態でそれぞれリング44の上面4404に係合凸部4412(係合部)を介して着脱可能に結合され、該結合された状態でホーゼルベース46と共にヘッド本体12に固定される。
図18に、カートリッジ42およびリング44が取り付けねじ20、ワッシャ19を介してヘッド本体12に締結された状態を示す。なお、
図18において、ホーゼルベース46の図示は省略している。
【0037】
次に、
図16、
図17を参照して、ライ角θおよびフェース面上重心距離FGLの調整について説明する。なお、
図16、
図17において、シャフト2、取り付けねじ20、ゴムリング40は図示を省略する。
本例では、カートリッジ42がリング44と共にホーゼルベース46に保持された状態で、カートリッジ本体48の中心軸Lc(シャフト中心軸Ls)と、リング44の中心軸Lrとがなす傾斜角αが1度であり、リング44の箇所において、リング44の中心軸Lrに対するシャフト中心軸Lsの偏心量Δdは1mmである。
図16は、第1の調整位置を示すもので、リング44をヒール側に位置させて(カートリッジ挿通孔4410をトウ側に位置させて)カートリッジ42をヘッド本体12に取り付けた場合を示す。
この場合、ライ角θは59度、フェース面上重心距離FGLは32mmである。
図17は、第2の調整位置を示すもので、リング44をトウ側に位置させて(カートリッジ挿通孔4410をヒール側に位置させて)カートリッジ42をヘッド本体12に取り付けた場合を示す。
この場合、ライ角θは57度、フェース面上重心距離FGLは34mmである。
すなわち、リング44を180度異なる2つの角度位置に位置させることで、ライ角θは、傾斜角α=1度の2倍である2度変化し、フェース面重心距離FGLは、1mmの2倍の2mm変化している。
したがって、本実施の形態では、カートリッジ42と、リング44と、ホーゼルベース46と、取り付けねじ20とによって、ヘッド本体12に対するシャフト中心軸Lsの位置と角度を変えることにより、ライ角θとフェース面上重心距離FGLとを調整する調整機構21が構成されている。
そして、ヘッド本体12に対するシャフト中心軸Lsの位置と角度の変化は、リング44を、ホーゼルベース46の載置面4606の軸心Lhの回りに180度旋回させることでなされる。
【0038】
そして、第1の実施の形態と同様に、調整機構21は、ライ角θが最大のときにフェース面22上の重心距離FGLが最小となる第1の調整位置と、ライ角θが最小のときにフェース面22上の重心距離FGLが最大となる第2の調整位置とを形成している。このような第1、第2の調整位置を実現するためのフェース面22上の重心Gの位置の条件は第1の実施の形態で説明した通りである。
また、第1の交点P1が第2の交点P2よりも下方に位置していることも第1の実施の形態と同様であり、このように第1、第2の交点P1、P2が配置されることで、ライ角θが大きくなるときにフェース面上重心距離FGLをより小さくし、ライ角θが小さくなるときにフェース面上重心距離FGLをより大きくすることができ、言い換えると、ライ角θおよびフェース面上重心距離FGLをゴルフボールの捕まえ度合いを確実に調整することができる。
また、第2の実施の形態でも、第1の交点P1は、ヘッド本体12のソール面24よりも下方に位置していることから、第1の交点P1と第2の交点P2との間隔をより大きく確保することができるため、ゴルフボールの捕まえ度合いを確実に調整する上でより一層有利となる。
【0039】
以上説明したように、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、調整機構21によりライ角θおよびフェース面上重心距離FGLがゴルフボールの捕まえ度合いの傾向を助長するように変化することになる。したがって、調整機構21を用いてゴルフボールの捕まえ度合いをゴルファーの好みに応じて自由に調整することができ、使い勝手のよいゴルフクラブヘッド10を提供することができる。
また、
図16、
図17、
図19(A)、(B)に示すように、リング44の位相を180度変更することで第1の調整位置と第2の調整位置とを形成することができ、カートリッジ42およびシャフト2を回転する必要はない。
したがって、ゴルフクラブのグリップにバックラインが形成されている場合に、調整機構21によるライ角θとフェース面上重心距離FGLとの調整に際してグリップのバックラインの位置が180度異なる位置に変化してしまうことがなく使い勝手の向上を図る上で有利となる。
【0040】
以下、本発明の実験例について説明する。
図20〜
図25は本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
試料となるゴルフクラブヘッドを各実験例毎に作成し、1本のゴルフクラブヘッドについて5人のゴルファーがゴルフボールを実際に10打ずつ打撃して以下に示す2種類の評価項目を測定しその平均値を求めた。なお、試料となるゴルフクラブヘッドのロフト角は同一とした。
実験結果は、トータルでのつかまり具合として算出されている。
そして、トータルでのつかまり具合を分解して示したものが、各実験例のライ角θでの捕まり度合い、フェース面上重心距離FGLでの捕まり度合いである。
数値は、実験例1(従来例)のゴルフクラブヘッドの測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど評価が良いことを示す。
実験データを分解できる理由は、ライ角だけ異なるクラブでの捕まり度合いの実験値からほぼ、y(ライ角での捕まり度合い指数) = 16.709x(ライ角) - 861.54となることが既知であるためである。
同様に、フェース面上重心距離FGLだけ異なるクラブでの捕まり度合いの実験値からほぼ、y (FGLでの捕まり度合い指数) = -23.345x (FGL )+ 904.61となることが既知であるためである。
また、ライ角θでの捕まり度合い、フェース面上重心距離FGLでの捕まり度合いの指数の合計を求めた。
また、第1の調整位置と第2の調整位置とにおける捕まり度合いの合計の差分を、捕まり具合の調整代として求めた。
【0041】
実験例2〜6は、ライ角θが最大のときにフェース面上の重心距離FGLが最小となる第1の調整位置と、ライ角θが最小のときにフェース面上の重心距離FGLが最大となる第2の調整位置とを形成する調整機構21を備え、本発明に相当するものである。
なお、実験例2〜6の調整機構21は、第1の実施の形態における調整機構21と同一の構造とした。
実験例1は、従来例に相当するものであり、ライ角θおよびフェース面上の重心距離FGLの調整機構を備えるものであるが、ライ角θが最大のときにフェース面上の重心距離FGLが最大となり、ライ角θが最小のときにフェース面上の重心距離FGLが最小となるものである。
【0042】
実験例2〜6は、捕まり具合の調整代が12〜60点であり、実験例1の10点に比較して捕まり具合の調整代が大きく、捕まり具合を幅広く調整することができ、ゴルフボールの捕まえ度合いが相殺されずに、調整範囲が広くゴルファーの好みに応じて自由に調整する上で有利である。
また、実験例5は、第1の調整位置と第2の調整位置とのライ角θの差が0.4度で0.5度未満であり、捕まり具合の調整代が12点であり、従来例より捕まえ具合が良くなることは間違いないが、効果は小さくなっている。
実験例2,3,4,6は、第1の調整位置と第2の調整位置とのライ角θの差が0.5度以上であり、捕まり具合の調整代が18〜60点である。
したがって、第1の調整位置と第2の調整位置とのライ角θの差が0.5度以上であることが、捕まり具合の調整代を大きく確保する上でより有利であり、ゴルフボールの捕まえ度合いをゴルファーの好みに応じて自由に調整する上でより一層有利である。
【0043】
なお、本発明において調整機構21は、ヘッド本体12に対するシャフトの中心軸Lcの傾きを変えることによってライ角θが最大のときにフェース面上の重心距離FGLが最小となる第1の調整位置と、ライ角θが最小のときにフェース面上の重心距離FGLが最大となる第2の調整位置とを形成することができればよいのであって、調整機構21は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、従来公知のさまざまな機構が採用可能である。