(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記荷役判定部は、荷を積載しているか否かを判定する積載判定処理を実行し、前記荷を積載している場合に前記荷役状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の産業用車両。
前記制御部は、前記後進判定部の判定結果が肯定の場合、前記所定時間よりも短い時間の間、前記電圧保持制御を実行することを特徴とする請求項4に記載の産業用車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フォークリフトなどの産業用車両は、一旦車両を始動させるとその状態が長時間に亘って維持されている訳ではなく、荷役作業の状況で、車両キースイッチのON/OFFが何度も繰り返される。このため、このような使用状況の車両に燃料電池を搭載した場合は、燃料電池の発電及び発電停止が繰り返されることになるので、燃料電池の性能劣化を抑制する必要がある。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、燃料電池の性能劣化を抑制することができる産業用車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料電池で発電した電力を車両の駆動力とする産業用車両において、車両キースイッチをONからOFFとする車両停止状態の直前に前記車両が荷役状態であったか否かを判定する荷役判定部と、前記荷役判定部の判定結果が肯定の場合に、前記燃料電池のセル電圧を保持する電圧保持制御を実行する制御部と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
産業用車両は、荷役状態のままで長時間(例えば、翌日の始業時刻まで)に亘って放置される可能性が極めて低く、むしろ車両停止状態になってから短時間で車両が再び始動する可能性が高い。すなわち、産業用車両では、何らかの要因で一旦荷役作業を中断するために車両停止状態とし、その後、短時間の間に荷役作業を再開させる可能性が高い。このため、本発明では、車両停止状態の直前に荷役状態である場合、燃料電池のセル電圧を保持する電圧保持制御を実行させる。これにより、燃料電池の発電及び発電停止の繰り返しが抑制されるので、その結果として燃料電池の性能劣化を抑制できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の産業用車両において、前記荷役判定部は、荷を積載しているか否かを判定する積載判定処理を実行し、前記荷を積載している場合に前記荷役状態であると判定することを要旨とする。これによれば、荷役状態であるか否かを、荷を積載しているか否かで判定するので、簡単な制御構成で電圧保持制御を実行させるか否かを正確に判断することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の産業用車両において、前記制御部は、前記荷を積載している場合、所定時間の間、前記電圧保持制御を実行することを要旨とする。これによれば、産業用車両は、荷を積載した状態で放置される可能性が極めて低いことから、このような場合に電圧保持制御を実行することによって燃料電池の性能劣化を確実に抑制できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の産業用車両において、前記車両はフォークリフトであり、前記荷役判定部が前記荷を積載していないと判定した場合に、
車両停止状態の直前に、前記フォークリフトがフォークに荷重が掛からない状態から後進走行を行ったか否かを判定する後進判定部を備え、前記制御部は、前記後進判定部の判定結果が否定の場合、前記所定時間の間、前記電圧保持制御を実行することを要旨とする。
【0013】
フォークリフトでは、荷を卸す際、荷を積んだパレットを荷置き場に着地させた後にパレットからフォークが抜かれる。そして、フォークは、フォークリフトの前方に配置されているため、車両を後進走行させることによってパレットから抜かれる。このため、フォークリフトにおいて荷を積載していない状態で後進走行を行っていない場合は、パレットを荷置き場に着地させたが、そのパレットからフォークを抜いていない可能性が高い。つまり、この場合は、例えば、一旦卸した荷を再度、掬い上げて荷役作業を再開させる可能性がある。したがって、このような場合に電圧保持制御を実行することによって燃料電池の性能劣化を確実に抑制できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の産業用車両において、前記制御部は、前記後進判定部の判定結果が肯定の場合、前記所定時間よりも短い時間の間、前記電圧保持制御を実行することを要旨とする。
【0015】
これによれば、短時間で荷役作業を再開させる可能性が低いとして、その可能性が高い場合に比して短い時間の間、電圧保持制御を実行させる。このため、短時間での車両始動を考慮して電圧保持制御を実行させるが、車両が始動しない可能性が高いことも考慮して短い時間の間、電圧保持制御を実行させるので、当該制御に伴う消費電力を抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の産業用車両において、前記車両はフォークリフトであり、前記荷役判定部は、フォークの揚高が予め定めた設定揚高を越えているか否かを判定する揚高判定処理、及び前記フォークが装着されるマストの傾動角度が予め定めた設定角度を超えているか否かを判定する角度判定処理の少なくとも何れか一方を実行するとともに、前記設定揚高を越えている場合、及び前記設定角度を超えている場合のそれぞれにおいて前記荷役状態であると判定し、前記制御部は、前記設定揚高を越えている場合、及び前記設定角度を超えている場合のそれぞれにおいて前記所定時間の間、前記電圧保持制御を実行することを要旨とする。
【0017】
これによれば、荷役状態であるか否かを、フォークの揚高やマストの傾動角度で判定するので、簡単な制御構成で電圧保持制御を実行させるか否かを正確に判断することができる。また、請求項2〜請求項5に記載の発明の構成を含む請求項6に記載の発明では、荷を積載しているか否かの判定に加えて、フォークの揚高やマストの傾動角度の判定も行うので、荷役状態であるか否かの判定の精度をより高めることができる。したがって、電圧保持制御により、燃料電池の性能劣化をより確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、燃料電池の性能劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。
図1に示すように、フォークリフト11の車体フレーム12の前部にはマスト13が立設されている。マスト13は、車体フレーム12に対して前後に傾動可能に支持された左右一対のアウタマスト131と、これにスライドして昇降するインナマスト132とからなる。各アウタマスト131の後部には油圧式のリフトシリンダ14が配設されている。リフトシリンダ14のピストンロッド141の先端は、インナマスト132の上部に連結されている。インナマスト132の上部に支承されたチェーンホイール15にはチェーン17が巻き掛けられている。チェーン17の一端は、リフトシリンダ14のボディ又はアウタマスト131の上部に一端を固定されており、チェーン17の他端は、リフトブラケット16に連結されている。フォーク18は、リフトシリンダ14の伸縮によりチェーン17に吊り下げられたリフトブラケット16と共に昇降するようになっている。
【0021】
マスト13は、油圧式の左右一対のティルトシリンダ19を介して車体フレーム12に対して傾動可能に連結支持されている。ティルトシリンダ19は、その基端側が車体フレーム12に対して回動可能に連結されているとともに、ピストンロッド191の先端でアウタマスト131に回動可能に連結されている。マスト13は、ティルトシリンダ19が伸縮駆動されることで前後に傾動する。マスト13は、予め定めた最後傾位置から最前傾位置の間で傾動可能とされている。
図1に実線で示すマスト13の位置を垂直位置とした場合、運転室20に接近する方向に傾動する動作が後傾動作となり、運転室20から離間する方向に傾動する動作が前傾動作(二点鎖線の状態)となる。本実施形態のフォークリフト11の構成では、ティルトシリンダ19が伸びる方向に動作した時にマスト13が前傾動作する一方で、ティルトシリンダ19が縮む方向に動作した時にマスト13が後傾動作する。リフトシリンダ14及びティルトシリンダ19は、荷役用モータ30から駆動力を得る。
【0022】
運転室20には運転座席201が設けられており、運転座席201の前方にはステアリングホイール21、リフトレバー22及びティルトレバー23が装備されている。また、運転座席201の前方には前後進レバー(ディレクションレバー)DLが設けられている。前後進レバーDLは、
図2に図示している。また、運転座席201の前側且つ下方にはアクセルペダル28が設けられている。
【0023】
ステアリングホイール21は、操舵輪24(後輪)の舵角を変更するためのものである。リフトレバー22は、フォーク18を昇降させるときに操作するものである。リフトレバー22は、その操作方向によって「上昇」及び「下降」を選択的に指示する。ティルトレバー23は、マスト13を傾動させるときに操作するものである。ティルトレバー23は、その操作方向によって「前傾」及び「後傾」を選択的に指示する。前後進レバーDLは、車両の走行方向(進行方向)を指示するときに操作するものである。前後進レバーDLは、その操作方向によって「前進」及び「後進」を選択的に指示する。アクセルペダル28は、フォークリフト11を走行させるものである。
【0024】
リフトレバー22の操作が行われると、この操作に応じた操作信号が車両コントローラ27へ送られ、車両コントローラ27は、該操作信号の入力に基づいて、フォーク18の昇降を制御する。ティルトレバー23の操作が行われると、この操作に応じた操作信号が車両コントローラ27へ送られ、車両コントローラ27は、該操作信号の入力に基づいて、マスト13の傾動を制御する。
【0025】
駆動輪25(前輪)は、走行用モータ26によって回転駆動される。走行用モータ26は、車両コントローラ27の制御を受ける。前後進レバーDLの操作が行われると、この操作に応じた操作信号が車両コントローラ27へ送られる。また、アクセルペダル28の踏み込み操作が行われると、この操作に応じた操作信号が車両コントローラ27へ送られる。車両コントローラ27は、前後進レバーDLからの操作信号とアクセルペダル28からの操作信号の入力に基づいて、走行用モータ26の回転方向及び回転速度を制御する。これにより、フォークリフト11は、前後進レバーDLによって指示された走行方向に、アクセルペダル28の踏み込み操作量に応じた速度で走行する。
【0026】
また、
図2に示すように、車両コントローラ27には、荷重センサSE1と、揚高センサSE2と、ティルト角センサSE3とが、電気的に接続されている。荷重センサSE1は、リフトシリンダ14の下部付近の油圧回路内に配設されている。荷重センサSE1は、フォーク18の積載荷重(負荷荷重)を検出する。荷重センサSE1は、リフトシリンダ14の内部の油圧を検出し、フォーク18の積載荷重に応じた検出信号を車両コントローラ27に出力する。荷重センサSE1は、例えば圧力センサからなる。車両コントローラ27は、荷重センサSE1からの検出信号を入力することにより、フォーク18の積載荷重を認識する。
【0027】
揚高センサSE2は、マスト13に配設されている。揚高センサSE2は、フォーク18の揚高位置(高さ位置)を検出するとともに、その検出したフォーク18の揚高位置に応じた検出信号を車両コントローラ27に出力する。揚高センサSE2は、例えばリールセンサからなる。車両コントローラ27は、揚高センサSE2からの検出信号を入力することにより、フォーク18の揚高位置を認識する。ティルト角センサSE3は、ティルトシリンダ19の付近に配設されている。ティルト角センサSE3は、ティルト角を検出する。ティルト角センサSE3は、フォーク18が水平姿勢にあるときの角度(水平角)を基準とした傾斜角を検出し、傾斜角に応じた検出信号を車両コントローラ27に出力する。ティルト角センサSE3は、例えばポテンショメータからなる。車両コントローラ27は、ティルト角センサSE3からの検出信号を入力することにより、フォーク18のティルト角を認識する。
【0028】
運転室20のフロアの下側には収納室31が備えられている。収納室31には燃料電池システムFUが搭載されている。収納室31にはコネクタK(
図2に示す)が設けられている。
【0029】
図2に示すように、コネクタKは、燃料電池システムFU側の配線32と、フォークリフト11側の電力回路を構成する配線33とを電気的に接続している。車両側の配線33には走行用インバータ34、荷役用インバータ35及び電圧計36が接続されている。走行用インバータ34は、コネクタKを介して燃料電池システムFUから供給される直流を交流に変換する。走行用モータ26及び荷役用モータ30は、走行用インバータ34により変換された交流により駆動される。
【0030】
電圧計36、走行用インバータ34及び荷役用インバータ35は、車両コントローラ27に電気的に接続されている。車両コントローラ27は、走行用インバータ34の動作を制御して走行用モータ26に供給される交流の電圧を調節することによって走行用モータ26の回転数を制御する。同様に、車両コントローラ27は、荷役用インバータ35の動作を制御して荷役用モータ30に供給される交流の電圧を調節することによって荷役用モータ30の回転数を制御する。
【0031】
車両コントローラ27には車両キースイッチ29が電気的に接続されている。車両キースイッチ29は、フォークリフト11の電源をOFFする停止位置と、電源をONする始動位置との間で操作可能に構成されている。そして、車両キースイッチ29は、停止位置(OFF)から始動位置(ON)へ操作されると、車両キースイッチ29の操作位置が始動位置にあることを示す車両始動信号を車両コントローラ27に出力する。車両コントローラ27は、車両キースイッチ29が始動位置に操作されると、走行用インバータ34及び荷役用インバータ35の制御を開始して走行用モータ26及び荷役用モータ30への電力供給の制御を開始する。なお、車両キースイッチ29が始動位置(ON)から停止位置(OFF)へ操作されると、車両キースイッチ29からは車両始動信号の出力が停止する。このため、車両コントローラ27は、車両キースイッチ29からの車両始動信号を入力することにより、フォークリフト11の電源がONされているか、又はOFFされているかを認識する。フォークリフト11は、車両キースイッチ29をOFFの状態とすると、車両停止状態となる。
【0032】
次に、収納室31に搭載された燃料電池システムFUについて説明する。
図2に示すように、燃料電池システムFUは、燃料電池ユニット37を備えている。燃料電池ユニット37は、燃料電池FC、水素を貯蔵するとともに燃料電池FCに対して水素を供給する水素タンク38、及び燃料電池FCに対して空気を供給するコンプレッサ39を備えている。
【0033】
本実施形態の燃料電池FCは、固体高分子型燃料電池であり、高分子電解質膜で区画された燃料極及び空気極からなる複数のセルを内蔵する。燃料電池FCでは、燃料極に供給される水素と、空気極に供給される空気中の酸素との電解質膜を介した起電反応により発電が行われる。
【0034】
図3に示すように、燃料電池FCを構成する各セル50は、一対のリブ付きセパレータ51と、両セパレータ51間に挟まれる一対の電極52,53と、両電極52,53間に挟まれる電解質膜54とを有する。一対の電極52,53は、多孔質支持層にアノード触媒層が形成されたアノード電極52、多孔質支持層にカソード触媒層が形成されたカソード電極53とからなる。燃料(水素)はセパレータ51のアノード電極側面上の溝を通って一方向へ流れ、空気はセパレータ51のカソード電極側面上の溝を通って燃料の流れ経路と直交する方向へ流れる。アノード側が燃料極となり、カソード側が空気極となる。また、各電極52,53の触媒層には、白金又は白金を含む合金が用いられる。
【0035】
燃料電池ユニット37は、燃料電池システムFU側の配線32に電気的に接続されている。配線32には電気二重層キャパシタ40(以下、キャパシタ40と示す)が燃料電池FCに対して並列となるようにDC/DCコンバータ41を介して電気的に接続されている。蓄電装置としてのキャパシタ40は、燃料電池ユニット37からDC/DCコンバータ41を介して電力供給を受けて充電する。DC/DCコンバータ41は、燃料電池ユニット37で発電された所定の電圧(例えば100ボルト)の電力を所定の電圧(例えば48ボルト)に変換する。
【0036】
配線32には電圧計42(ユニット用電圧計)がキャパシタ40に対して並列となるように接続されている。電圧計42は、キャパシタ40の電圧(以下、「キャパシタ電圧」と示す)を検出する。
【0037】
DC/DCコンバータ41、電圧計42及び燃料電池ユニット37は、燃料電池システムコントローラ44に電気的に接続されている。燃料電池システムコントローラ44は、燃料電池ユニット37による発電の開始及び停止や、その発電量を制御する。燃料電池システムコントローラ44は、燃料電池ユニット37が発電する電力の電圧をキャパシタ40の充電に適した所定の電圧に変換するように、DC/DCコンバータ41を制御する。
【0038】
燃料電池システムコントローラ44は、車両コントローラ27と電気的に接続されている。車両キースイッチ29がONに操作されると、車両コントローラ27は、燃料電池システムコントローラ44へユニット起動信号を出力する。燃料電池システムコントローラ44は、ユニット起動信号の入力に基づいて、燃料電池ユニット37における発電の制御を開始する。
【0039】
本実施形態のフォークリフト11の運転室20には、非常停止ボタンBTが設けられている。非常停止ボタンBTは、
図2に示している。非常停止ボタンBTは、車両コントローラ27に電気的に接続されている。車両コントローラ27は、非常停止ボタンBTが押下操作されると、その押下操作信号を入力する。
図2に示すように、水素タンク38と燃料電池FCは、配管接続されており、その配管60には当該配管60を開閉させる電気式のバルブ61が設けられている。そして、車両コントローラ27は、非常停止ボタンBTから押下操作信号を入力すると、バルブ61を閉状態に動作させて水素タンク38と燃料電池FCの間の配管60を閉じる。すなわち、車両コントローラ27は、バルブ61を閉状態とすることにより、燃料電池FCに対して水素を供給不能な状態とする。
【0040】
燃料電池FCのセル電圧は、
図4に示すように変遷する。
なお、
図4における電圧[V1(おおよそ1V)]は、燃料電池FCを構成する一組のセル50で得られる電圧の最大値を示し、電圧[V2(おおよそ0.75V]、[V3(おおよそ0.65V)]は、電圧[V1]よりも低い電圧とされている。そして、これらの電圧[V1]〜[V3]は、セル50を構成する触媒(白金)に化学的変化が起こり、燃料電池FCの性能劣化に影響を及ぼす電圧でもある。
【0041】
燃料電池FCのセル電圧は、車両キースイッチ29がOFFの状態となる車両停止状態において[0V]とされる。そして、燃料電池システムコントローラ44は、車両キースイッチ29がOFFからONに操作されると燃料電池FCに水素と空気を投入する。これにより、燃料電池FCは、発電を開始する。すると、燃料電池FCのセル電圧は、図中に実線で示すように時間の経過とともに上昇する。そして、燃料電池システムコントローラ44は、車両キースイッチ29がONの状態を維持している間、セル電圧が、電圧[V1]〜[V2]の領域内を維持するように、燃料電池FCの発電量を制御する。
【0042】
一方、燃料電池FCのセル電圧は、車両キースイッチ29がONからOFFに操作されて車両停止状態になることによって発電を停止してしまうと、図中に二点鎖線で示すように[0V]に向かって降下する。このため、車両キースイッチ29のON/OFFを繰り返し、それに伴って発電及び発電停止を繰り返し行った場合、セル電圧は、触媒に化学的変化が生じ得る電圧[V2],[V3]の値を繰り返し取り得ることになる。その結果、燃料電池FCの性能劣化を招くことになる。
【0043】
そこで、本実施形態のフォークリフト11では、車両キースイッチ29がOFFに操作された場合に、その時の荷役状態に応じてセル電圧を大きく変動させないための電圧保持制御を実行する。具体的に言えば、車両キースイッチ29のOFF操作後、短時間の間に荷役作業が再開(車両キースイッチ29がON操作)される可能性が高いか否かを推定し、その推定結果をもとに発電を継続させてセル電圧の維持を図る。
【0044】
以下、電圧保持制御の具体的な制御内容について、
図5にしたがって説明する。
車両コントローラ27は、荷役作業が再開される可能性が高いか否かを判定するために、車両キースイッチ29の車両始動信号、前後進レバーDL及びアクセルペダル28の各操作信号、及び荷重センサSE1、揚高センサSE2並びにティルト角センサSE3の各検出信号を入力する。車両コントローラ27は、入力したこれらの信号を記憶保持する。そして、車両コントローラ27は、記憶保持している上記各信号をもとに電圧保持制御を実行させるための
図5に示す実行判定処理を、所定の制御周期毎(例えば、数ミリ秒毎)に実行する。
【0045】
実行判定処理において車両コントローラ27は、車両キースイッチ29からの車両始動信号をもとに、車両キースイッチ29がOFFに操作されたか否かを判定する(ステップS10)。この判定結果が否定の場合、すなわち車両キースイッチ29がONの場合、車両コントローラ27は実行判定処理を終了し、次の制御周期の到来に伴って再び実行判定処理のステップS10からの判定を行う。
【0046】
一方、ステップS10の判定結果が肯定の場合、車両コントローラ27は、車両キースイッチ29がOFFに操作されて車両停止状態となるので、車両停止状態の直前にフォークリフト11が荷役状態であったか否かをステップS11からの処理で判定する。具体的に言えば、車両コントローラ27は、車両停止状態の直前における荷重センサSE1の検出結果である荷重計測値KKをもとに荷を積載しているか否かの積載判定処理を実行する(ステップS11)。この積載判定処理において車両コントローラ27は、荷重計測値KKと、予め定めた荷重判定値HKを比較する。荷重判定値HKは、荷を積載していない時に荷重センサSE1が検出する値に設定されている。
【0047】
そして、車両コントローラ27は、ステップS11の積載判定処理の判定結果が、荷役状態であるか否かを判定する(ステップS12)。車両コントローラ27は、荷重計測値KKが荷重判定値HKよりも大きい場合、荷を積載しており、荷役状態であるからステップS12を肯定判定する。一方、車両コントローラ27は、荷重計測値KKが荷重判定値HKよりも小さい場合、すなわち荷重計測値KKが荷を積載していないことを示す値である場合、ステップS12を否定判定する。
【0048】
ステップS12を肯定判定した車両コントローラ27は、ステップS13に移行して、燃料電池システムコントローラ44に時間Xの間、電圧保持制御を実行させるための制御信号を出力する。本実施形態の電圧保持制御では、燃料電池FCの発電量を微小発電量として、セル電圧を電圧[V1]〜[V2]の領域内に維持させる。電圧保持制御における燃料電池FCの発電量は、車両キースイッチ29がONのときよりも少なく設定される。そして、燃料電池システムコントローラ44は、微小発電による電圧保持制御を時間Xの間、実行する。これにより、燃料電池FCのセル電圧は、
図4に示すように、時間T1の時点で車両キースイッチ29がOFFに操作されたとしても、発電が継続されることによって[0V]に向かって降下せずに、所定の値を維持する。したがって、時間Xの経過前に車両キースイッチ29が再びONに操作された場合、燃料電池FCのセル電圧が[0V]から立ち上がることなく、電圧[V2]、[V3]を取り得ることが抑制される。
【0049】
そして、燃料電池システムコントローラ44は、時間Xを経過した場合、電圧保持制御を終了する。これにより、燃料電池FCのセル電圧は、車両キースイッチ29がOFFに操作されてから時間Xの経過後に[0V]に降下する。なお、時間Xを定めている理由は、荷役状態であると判定された場合であっても、必ず、車両キースイッチ29がONに操作、すなわち荷役作業が短時間の間に再開されるとは限らない。そして、燃料電池FCで発電するためには、燃料電池ユニット37を動作させなければならないので、キャパシタ40に蓄電されている電力を使用することになる。このため、荷役状態であると判定されて短時間の間に車両キースイッチ29がONに操作される可能性が高いと推定できる状況であっても、期間を設定せずに電圧保持制御を継続させることはキャパシタ40に蓄電されている電力を無駄に消費することに繋がる。したがって、本実施形態では、電圧保持制御を時間Xの間、実行させるように構成している。時間Xは、例えば5〜10分の時間とされる。時間Xの経過後、車両コントローラ27及び燃料電池システムコントローラ44は、待機状態となる。なお、時間Xの間は燃料電池システムコントローラ44による発電の制御が行われており、例えば、アクセルペダル28やリフトレバー22などが操作されても、車両コントローラ27は走行や荷役に関する制御を行わない。これらの走行や荷役に関する制御は、車両キースイッチ29がONのときに行われる。
【0050】
図5の説明に戻り、車両コントローラ27は、ステップS12を否定判定した場合、ステップS14に移行して、フォークリフト11が後進したか否かを判定する。フォークリフト11では、
図1に示すようにフォーク18が車両前方に配設されており、荷を搬送する場合には荷を積載したパレットPをフォーク18で掬い上げる。そして、フォークリフト11では、荷を卸す場合、荷を積んだパレットPを荷置き場に着地させた後にパレットPからフォーク18を抜く。このとき、フォークリフト11では、後進させることによってフォーク18をパレットPから抜く。このような荷役作業を行うフォークリフト11では、荷を積んだパレットPを荷置き場に着地させた段階で、フォーク18には荷重が掛からなくなる。つまり、荷重センサSE1の検出結果は、荷を積載していないことを示す値を取り得る。しかし、荷重センサSE1の検出結果が荷を積載していないことを示す値であっても、パレットPからフォーク18が抜かれていない状況においては、一旦着地させたパレットPを再び掬い上げて搬送する可能性が残されている。したがって、本実施形態では、ステップS12とステップS14の処理において、荷を積載していない状態から後進したか否か(フォーク18を抜いたか否か)を判定することで、荷役作業が再開される可能性が高いか否かを判定する。
【0051】
そして、車両コントローラ27は、ステップS14を否定判定した場合、フォーク18がパレットPから抜かれていないので荷役状態であると判定して、ステップS13に移行する。これにより、時間Xの間、電圧保持制御が実行される。
【0052】
一方、ステップS14の判定結果が肯定の場合、車両コントローラ27は、車両停止状態の直前における揚高センサSE2の検出結果である揚高計測値KHをもとにフォーク18の揚高を判定する揚高判定処理を実行する(ステップS15)。この揚高判定処理において車両コントローラ27は、揚高計測値KHと、予め定めた揚高判定値HHを比較する。揚高判定値HHは、荷役状態ではない時にフォーク18を配置させておく揚高に設定されている。例えば、揚高判定値HHは、フォークリフト11の走行路面から100mm程度の高さ位置となるように設定される。
【0053】
そして、車両コントローラ27は、ステップS15の揚高判定処理の判定結果が、荷役状態であるか否かを判定する(ステップS16)。車両コントローラ27は、揚高計測値KHが揚高判定値HHよりも大きい場合、荷役状態であるからステップS16を肯定判定してステップS13に移行する。これにより、時間Xの間、電圧保持制御が実行される。一方、車両コントローラ27は、揚高計測値KHが揚高判定値HHよりも小さい場合、ステップS16を否定判定してステップS17に移行する。
【0054】
ステップS17に移行した車両コントローラ27は、車両停止状態の直前におけるティルト角センサSE3の検出結果であるティルト角計測値KTをもとにフォーク18の傾動角度を判定する角度判定処理を実行する(ステップS17)。この角度判定処理において車両コントローラ27は、ティルト角計測値KTと、予め定めたティルト角判定値HTを比較する。ティルト角判定値HTは、荷役状態ではない時にマストを配置させておく角度に設定されている。例えば、ティルト角判定値HTは、マスト13が垂直位置となる場合に示す値に設定される。
【0055】
そして、車両コントローラ27は、ステップS18の角度判定処理の判定結果が、荷役状態であるか否かを判定する(ステップS18)。車両コントローラ27は、ティルト角計測値KTがティルト角判定値HTよりも大きい場合、荷役状態であるからステップS18を肯定判定してステップS13に移行する。これにより、時間Xの間、電圧保持制御が実行される。一方、車両コントローラ27は、ティルト角計測値KTがティルト角判定値HTよりも小さい場合、すなわちティルト角計測値KTが垂直位置を示す値である場合、ステップS18を否定判定してステップS19に移行する。
【0056】
ステップS19に移行した車両コントローラ27は、フォークリフト11が荷役状態ではないが、燃料電池システムコントローラ44に時間Yの間、電圧保持制御を実行させるための制御信号を出力する。時間Yは、時間Xよりも短い時間に設定されている。本実施形態では、荷役状態でないことを判定した場合であっても、短時間の間に車両キースイッチ29がONに操作される可能性が少なからず存在することを考慮して電圧保持制御を実行させる。しかし、荷役状態である場合に比してその可能性は低いので、電圧保持制御を実行させる時間を短くすることで、当該制御に伴う消費電力を抑制させている。時間Yは、例えば1〜2分の時間とされる。時間Yの間も燃料電池システムコントローラ44による発電の制御が行われており、車両コントローラ27による走行や荷役に関する制御は行われない。
【0057】
本実施形態では、前述のように車両コントローラ27により、荷役状態であるか否かが判定される。このため、本実施形態では、車両コントローラ27が、荷役判定部として機能する。また、本実施形態では、荷役状態であるか否かの判定結果をもとに、車両コントローラ27及び燃料電池システムコントローラ44が電圧保持制御を実行する。このため、本実施形態では、車両コントローラ27及び燃料電池システムコントローラ44が、制御部として機能する。また、本実施形態では、車両コントローラ27により、後進走行を行ったか否かが判定される。このため、本実施形態では、車両コントローラ27が、後進判定部として機能する。
【0058】
以下、本実施形態のフォークリフト11の作用を説明する。
フォークリフト11は、車両キースイッチ29がONの場合、燃料電池FCで発電した電力を駆動力として走行用モータ26及び荷役用モータ30を動作させる。これにより、フォークリフト11は、走行用モータ26によって所望速度で走行する。また、フォーク18及びマスト13は、荷役用モータ30によってリフトシリンダ14及びティルトシリンダ19への作動油の給排が制御されて昇降動作、及び傾動動作を行う。
【0059】
そして、フォークリフト11は、車両キースイッチ29がONからOFFへ操作されると、車両停止状態となる。このとき、本実施形態では、車両停止状態の直前にフォークリフト11が荷役状態であったか否かが判定される。そして、この判定結果をもとに、予め定めた時間X又は時間Yの間、燃料電池FCを微小発電させてセル電圧を保持する電圧保持制御が実行される。すなわち、フォークリフト11は、車両停止状態においても、セル電圧が保持されている。このため、車両停止状態から短時間の間に車両キースイッチ29がONに操作された場合であっても、セル電圧が大きく変動することがない。つまり、車両キースイッチ29のON/OFFが頻繁に繰り返されるフォークリフト11において、燃料電池FCが発電及び発電停止を頻繁に繰り返すことが抑制される。その結果、燃料電池FCの性能劣化が抑制される。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)フォークリフト11は、荷役状態のままで長時間(例えば、翌日の始業時刻まで)に亘って放置される可能性が極めて低く、むしろ車両停止状態になってから短時間で車両が再び始動する可能性が高い。すなわち、フォークリフト11では、何らかの要因で一旦荷役作業を中断するために車両停止状態とし、その後、短時間の間に荷役作業を再開させる可能性が高い。このため、車両停止状態の直前に荷役状態である場合、燃料電池FCのセル電圧を保持する電圧保持制御を実行させることで、燃料電池FCの発電及び発電停止の繰り返しを抑制できる。したがって、燃料電池FCの性能劣化を抑制できる。
【0061】
(2)荷を積載している状態のフォークリフト11において車両キースイッチ29をOFFに操作する場合は、荷役作業を終了させる目的よりも、荷役作業を中断させている可能性が高い。このため、荷役状態であるか否かを判定するために積載判定処理(
図5のステップS11)を行うことで、簡単な制御構成で電圧保持制御を実行させるか否かを正確に判断することができる。
【0062】
(3)また、荷を積載していない場合には、後進判定(
図5のステップS14)を行うことで、フォーク18がパレットPから抜かれた状態であるか否かも判定している。そして、荷を積載していない状態で、後進走行を行っていない場合は、電圧保持制御を実行させることにより、燃料電池の性能劣化を確実に抑制できる。
【0063】
(4)また、フォークリフト11では、フォーク18を高い位置に配置した状態や、マスト13を前傾又は後傾させた状態で、荷役作業を終了させるとは考え難い。このため、荷役状態であるか否かを判定するために揚高判定処理(
図5のステップS15)や角度判定処理(
図5のステップS17)を行うことで、簡単な制御構成で電圧保持制御を実行させるか否かを正確に判断することができる。
【0064】
(5)そして、
図5に示す実行判定処理では、積載判定処理、揚高判定処理、及び角度判定処理を備え、これらの判定結果によって電圧保持制御を実行させるか否かを判定するので、荷役状態であるか否かの判定の精度をより高めることができる。したがって、電圧保持制御により、燃料電池の性能劣化をより確実に抑制できる。
【0065】
(6)積載判定処理、揚高判定処理及び角度判定処理の判定結果に応じて、異なる時間で電圧保持制御を実行する。すなわち、上記判定において荷役状態であると判定した時には時間Xの間、電圧保持制御を実行させる。一方、上記判定において荷役状態ではないと判定した時は、時間Xよりも短い時間Yの間、電圧保持制御を実行させる。荷役状態の場合は、車両キースイッチ29が再びONに操作される可能性が高いので、長い時間の間、電圧保持制御を実行させることで、燃料電池の性能劣化を抑制できる。その一方で、荷役状態ではない場合は、短時間の間に車両キースイッチ29が再びONに操作される可能性も考慮して電圧保持制御を実行させるが、ONに操作されない可能性が高いことも考慮して短い時間の間、電圧保持制御を実行させる。したがって、電圧保持制御に伴う消費電力を抑制することができる。すなわち、消費電力を抑制することで、フォークリフト11の走行性能(燃費など)への影響を抑えることができる。
【0066】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 荷役状態であるか否かを判定する場合に、フォーク18を左右動作、傾動動作又は回転動作させる各種アタッチメントの状態を考慮しても良い。すなわち、車両停止状態の直前における上記アタッチメントの状態が、荷役作業を終了させる場合の状態に適合しない場合には、電圧保持制御を実行させても良い。
【0067】
○ 荷役状態であるか否かの判定において、その判定結果が否定の場合は、電圧保持制御を実行させないようにしても良い。具体的に言えば、
図5のステップS18を否定判定した場合、ステップS19を実行させない。
【0068】
○ 産業用車両として、燃料電池を搭載した他の産業用車両に具体化しても良い。例えば、牽引車に具体化しても良い。牽引車に具体化する場合、荷役状態であるか否かの判定は、荷を牽引しているか否かの判定とする。具体的に言えば、
図5のステップS10の処理を実行し、引き続きステップS11の処理に代えて「牽引しているか否かの判定」のステップを実行し、続いてステップS12の処理を実行し、ステップS12を肯定判定した場合にはステップS13に移行する。そして、ステップS12を否定判定した場合にはステップS19へ移行するか、又は電圧保持制御を実行させない。
【0069】
○ 荷役状態であるか否かの判定を、荷を積載しているか否かの積載判定処理で構成しても良い。具体的に言えば、
図5のステップS10,S11,S12の処理を実行し、ステップ12を肯定判定した場合にはステップS13に移行し、ステップS12を否定判定した場合にはステップS14に移行する。そして、ステップS14を否定判定した場合にはステップS13へ移行し、ステップS14を肯定判定した場合にはステップS19へ移行するか、又は電圧保持制御を実行させない。
【0070】
○ また、荷役状態であるか否かの判定を、揚高判定処理、又は角度判定処理で構成しても良い。具体的に言えば、揚高判定処理で構成する場合は、
図5のステップS10を肯定判定したらステップS15へ移行し、ステップS16を肯定判定するとステップS13へ移行する。一方、ステップS16を否定判定した場合には、ステップS19へ移行するか、又は電圧保持制御を実行させない。また、角度判定処理で構成する場合は、
図5のステップS10を肯定判定したらステップS17へ移行し、ステップS18を肯定判定するとステップS13へ移行する。一方、ステップS18を否定判定した場合には、ステップS19へ移行するか、又は電圧保持制御を実行させない。
【0071】
○ 実施形態は、積載判定処理、揚高判定処理、及び角度判定処理の3つの処理を組み合わせたが、積載判定処理と揚高判定処理の組み合わせ、積載判定処理と角度判定処理の組み合わせ、又は揚高判定処理と角度判定処理の組み合わせにより、荷役状態であるか否かを判定しても良い。
【0072】
○ 揚高センサSE2は、リミットスイッチなどによって構成しても良い。この場合は、揚高判定値HHに対応する揚高位置にリミットスイッチを配置しておき、そのスイッチのON/OFFによって揚高を検出し、判定する。
【0073】
○ ステップS14の後進判定では、フォーク18がパレットPから抜かれたか否かを判定するために後進走行の距離を判定要素に加えても良い。
○ 電圧保持制御は、微小発電制御に代えて他の制御を行っても良い。例えば、キャパシタ40に蓄電されている電力を燃料電池FCに供給することによってセル50に電圧を印加し、セル電圧を保持させても良い。この場合、燃料電池FCは、発電停止状態とされている。また、他の方法として、セル電圧を計測又は推定し、その電圧値が所定値に到達したら燃料電池FCに発電を行わせて良い。この場合は、実施形態で説明した微小発電とは異なり、燃料電池FCの発電が間欠的に行われる。
【0074】
○ 実施形態の微小発電制御では、電圧[V1]〜[V2]の領域内を維持するように制御しているが、当該制御時のセル電圧を検出して、その検出結果に応じて制御を行っても良い。例えば、検出したセル電圧が電圧[V2]〜[V3]の領域に存在する場合には、セル電圧を電圧[V2]〜[V3]の領域内を維持するように微小発電制御を行っても良い。
【0075】
○ 荷重判定値HK、揚高判定値HH、及びティルト角判定値HTは、固定値として車両コントローラ27に設定されていても良いし、任意に変更可能な変動値として車両コントローラ27に設定されても良い。
【0076】
○ 非常停止ボタンBTを、燃料電池システムコントローラ44に電気的に接続しても良い。燃料電池システムコントローラ44は、非常停止ボタンBTが押下操作されると、バルブ61を閉状態とする。
【0077】
○
図5の実行判定処理を、燃料電池システムコントローラ44で行っても良い。この場合、荷重センサSE1などの検出結果を車両コントローラ27が燃料電池システムコントローラ44に出力しても良いし、検出結果を直接、燃料電池システムコントローラ44に出力するようにしても良い。実行判定処理を燃料電池システムコントローラ44で行う場合、燃料電池システムコントローラ44が、荷役判定部及び制御部として機能する。