(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1〜
図5は本発明に係る車両用電源装置の一実施形態を示す図である。
図1および
図2において、車両100は、フロントタイヤ101と、リアタイヤ102と、エンジン(内燃機関)103と、車両コントローラ105と、を備えて、走行可能に構築されている。また、車両100は、これらに加えて、電動モータ111と、バッテリパック(蓄電池)112と、インバータ113と、バッテリコントローラ11と、を備えるハイブリッド車として構築されている。なお、車両100は、電動モータ111の他に空調装置等の各種電気機器を車載している。
【0011】
車両100は、動力源となるエンジン103の駆動力でフロントタイヤ101を回転駆動させるとともにリアタイヤ102を連れ回り回転させて走行するようになっている。また、車両100は、電動モータ111も動力源として利用して、エンジン103と協働動作させることによりフロントタイヤ101を回転駆動させて走行することができるようになっている。エンジン103が不図示のタンク内のガソリンを燃焼させて駆動エネルギを得ているのに対して、電動モータ111はバッテリパック112内に蓄電する直流電気エネルギをインバータ113で利用可能な交流電力に変換して駆動エネルギとして受け取るようになっている。すなわち、バッテリパック112とインバータ113とで電源装置を構成している。
この車両100は、加速度Gセンサ(以下では、単にGセンサともいう)104などの各種センサ等の検出情報やドライバの操作情報に基づいて車両コントローラ105がエンジン103等を含めて全体を統括制御するようになっている。
【0012】
電動モータ111は、バッテリパック112やインバータ113内の後述の電気部品と共に車両コントローラ105により統括制御されてエンジン103と協働するようになっている。ここで、本実施形態では、特にバッテリパック112内の電気部品は、車両コントローラ105とCAN(Controller Area Network)通信線Cを介して情報をやり取りするバッテリコントローラ11が連携して統括制御するようになっている。
【0013】
バッテリパック112は、バッテリコントローラ11の他に、バッテリセル121と、メインリレー(ポジティブ)122と、メインリレー(ネガティブ)123と、プリチャージ抵抗(制限抵抗)124と、プリチャージリレー125と、メインフューズ126と、サービスプラグ127と、を備えて回路構成されている。
バッテリセル121は、繰り返し充電に対する耐久性等に優れるリチウムイオン電池などが選択採用されており、直列に接続して所望の電圧電力で蓄電出力することができるように構築されている。このバッテリセル121には、メインフューズ126が直列接続されており、このメインフューズ126は、バッテリセル121から過電流が流れ出て事故・故障の要因になることを未然に防止する。また、バッテリセル121には、サービスプラグ127も直列接続されており、このサービスプラグ127は、サービス作業時に回路から引き抜くなどすることによりバッテリセル121の導通を遮断する。
【0014】
メインリレー122、123は、バッテリコントローラ11が駆動制御するようになっている。メインリレー(ポジティブ)122は、バッテリパック112の外装ケース(筐体)に準備されているポジティブ側出力端子129Pとバッテリセル121のプラス(ポジティブ)側との間に介在して、出力回路の導通・遮断を切り換える。また、メインリレー(ネガティブ)123は、バッテリパック112の外装ケースのネガティブ側出力端子129Nとバッテリセル121のマイナス(ネガティブ)側との間に介在して、出力回路の導通・遮断を切り換える。
【0015】
プリチャージ抵抗124およびプリチャージリレー125は、ポジティブ側出力端子129Pとバッテリセル121のプラス側との間でメインリレー(ポジティブ)122と並列に接続されて迂回回路を形成している。プリチャージリレー125もバッテリコントローラ11が駆動制御するようになっている。バッテリコントローラ11は、起動(イグニッション・オン)時にはメインリレー122を遮断、メインリレー123を導通、プリチャージリレー125を導通として、迂回回路を形成する。
これにより、バッテリコントローラ11は、電力供給の開始時の回路途中にプリチャージ抵抗124を介在させてインバータ113などの下流側に過大な突入電流が流れないように供給電流を抑制する。
【0016】
また、バッテリパック112は、外装ケースの変形などに伴ってスイッチが入る衝突スイッチ(衝突検知部)12がバッテリコントローラ11に接続されて設置されており、この衝突スイッチ12は、その衝突時に変形し易い箇所に取り付けられている。
これにより、バッテリコントローラ11は、衝突スイッチ12の検知情報に応じてバッテリパック112の各種リレー122、123、125の接断などを実行して電力の供給または遮断を制御する。
【0017】
インバータ113は、インバータ回路群131と、平滑コンデンサ132と、アクティブ放電抵抗(制限抵抗)21と、アクティブ放電リレー22と、を備えて回路構成されている。
インバータ回路群131は、バッテリパック112が直流電流を出力する出力端子129P、129N間に、3相(UVW相)の各相毎の交流電流を出力するインバータ回路131aが配列されており、それぞれ3つの出力端子139U、139V、139Wが外装ケースに準備されている。
【0018】
平滑コンデンサ132は、バッテリパック112から出力される直流電流を蓄電して、インバータ回路群131からの出力電力が変動することを抑制するようになっている。
アクティブ放電抵抗21およびアクティブ放電リレー22は、バッテリパック112が直流電流を出力する出力端子129P、129N間でインバータ回路群131と並列に放電回路として接続されている。このアクティブ放電リレー22は車両コントローラ105が駆動制御するようになっている。
【0019】
車両コントローラ105は、停止(イグニッション・オフ)時にはメインリレー122を遮断、メインリレー123を導通、アクティブ放電リレー22を導通として、放電回路を形成する。
これにより、車両コントローラ105は、電力供給停止時に平滑コンデンサ132をアクティブ放電抵抗21を介してバッテリセル121のマイナス側に接続し(アース接続し)蓄電電力を放電させる。
【0020】
そして、本実施形態のバッテリパック112は、放電リレー(接断部)31が追加されている。放電リレー31は、プリチャージ抵抗124およびプリチャージリレー125間とバッテリセル121のマイナス側との間を接続するバイパス(導通回路)Bの途中に介在するように設置されている。この放電リレー31は、バッテリコントローラ11が駆動制御するようになっている。
これにより、バッテリコントローラ11は、放電リレー31の駆動を制御して、プリチャージ抵抗124およびプリチャージリレー125間とバッテリセル121のマイナス側との間のバイパスBを導通状態または遮断状態に切り換えることができる。このバッテリコントローラ11は、放電リレー31にそのバイパスBを導通状態にさせることによりバッテリセル121のプラス側をプリチャージ抵抗124を介してそのマイナス側に接続し(アース接続し)蓄電電力を放電させることができる。このとき、バッテリパック112内の蓄電電力は、プリチャージ抵抗124に通電されることにより発熱消費などされる。すなわち、バッテリコントローラ11が制御部を構成して、放電リレー31およびバイパスBを追加することにより本実施形態に係る電源装置が構築されている。
また、このとき、バッテリコントローラ11は、車両コントローラ105を介してアクティブ放電リレー22を導通状態にさせることにより、アクティブ放電抵抗21を介してバッテリセル121のプラス側をそのマイナス側に接続し(アース接続し)蓄電電力を放電させることができる。同様に、このときにも、バッテリパック112内の蓄電電力は、アクティブ放電抵抗21に通電されることにより発熱消費などされる。
【0021】
このプリチャージ抵抗124とアクティブ放電抵抗21は、定常時はメインリレー122、123、プリチャージリレー125、アクティブ放電リレー22の閉(導通)・開(遮断)により選択利用される。
例えば、車両100の操作待機時(READY時)には、メインリレー122、123が閉じて通電開始可能な状態で待機する。後述の衝突発生時などには、プリチャージ抵抗124を優先するようにメインリレー122、123を開いて導通状態を遮断するとともに、放電リレー31を閉じてバッテリパック112内の蓄電電力をプリチャージ抵抗124に通電して消費させる。
この衝突発生時に、メインリレー122、123が溶着などしていて開閉(遮断・導通)させることができない場合には、プリチャージリレー125とともにアクティブ放電リレー22も閉じてバッテリパック112内の蓄電電力を通電して消費させる。なお、このアクティブ放電抵抗21は、メインリレー122、123の溶着時などに限らず、例えば、過大な衝突が発生した場合などには、短時間でバッテリパック112内の蓄電電力を通電消費させるようにアクティブ放電リレー22を閉じて通電するようにしてもよい。
なお、このメインリレー122、123の溶着は、平滑コンデンサ132の電圧をそのメインリレー122、123を挟むようにして反対側で計測することにより、オフ時にも拘わらずに電圧検出時に溶着発生と判定することができる。
【0022】
ここで、本実施形態におけるバッテリパック112は、メインリレー122、123を開いて、放電リレー31を導通状態にすると、
図3に示す放電傾向(特性)を示した。なお、この
図3に示す放電特性を測定したバッテリパック112は、テストをするためのモデルケースの一例に過ぎず、下記の各種値もそのモデルケースに適用されるものに過ぎない。
このときの各種値は、プリチャージ抵抗124が10Ωであるとともに、バッテリセル121は、内部インピーダンスが0.2Ω、その両端間の電圧がDC210V、蓄電50%で電流容量5Ahであった。このプリチャージ抵抗124は、放電リレー31を閉じた直後には約27Aでの放電(通電)があって、70分程度でバッテリセル121の両端部間の電圧がほぼ0Vとなった。なお、バッテリセル121内の蓄電残量(SOC)が0%になっても100V程度の電圧が残留していることから、それが0V程度にまで降下するまで十分に時間を掛ける必要がある。例えば、このバッテリセル121内の蓄電残量が100%の場合には、70分の倍の140分よりも長めの180分が経過すれば十分に両端部間の電圧は0V程度まで降下している。また、このプリチャージ抵抗124やアクティブ放電抵抗21は、通電される電流容量を考慮して容量設定すればよく、また、適宜、放熱体を備えさせてもよい。
【0023】
そして、バッテリコントローラ11は、この
図3に示す放電特性に基づいて各種パラメータを設定されており、予め不図示のメモリ内に格納準備されている制御プログラムを所定のタイミングに実行することにより、バッテリパック112に不具合が起こるのを防ぐ。
具体的には、バッテリコントローラ11は、車両100に搭載のGセンサ104などのセンサ情報等に基づいて
図4のフローチャートに示す制御処理(方法)を実行することにより、バッテリセル121内の蓄電電力を放電させて不具合が起こるのを防ぐ。ここで、バッテリコントローラ11は、漏電センサ14が内蔵されており、バッテリパック112内における漏電の有無を検知することができるようになっている。なお、この漏電センサ14は汎用品で十分であり、例えば、高抵抗素子間の電圧測定などをして漏電の有無を検知する。
【0024】
詳細には、バッテリコントローラ11は、イグニッションがオンされたときに、
図4のフローチャートに示す上記制御プログラムの制御処理を開始し、
図5のタイムチャートに示す放電制御を実行する。なお、以下の説明では、Yesの判断は(Y)、Noの判断は(N)として簡単に示しておく。
まず、ステップS11では、車両100の走行開始後に衝突の有無を検知するためのGセンサ104が計測状態にあるか否かを繰り返し確認して、計測状態にあることが確認されたときに(Y)、次のステップS12に進むことを許可する。ステップS12では、Gセンサ104が衝突発生と判定する50G以上の加速度の変化があったか否かを確認して、50G以上の衝突判定が確認された場合(Y)には次のステップS12に進み、確認できない場合(N)にはステップS31に進む。ここで、Gセンサ104は、車両100の前後方向と左右方向のいずれでも加速度(G)を計測するように設置されて、不図示のエアバックの作動の要否を判断するために衝突検知部を構成しており、車両コントローラ105で衝突に伴う加速度変化を受けた場合に衝突発生と判定するようになっている。バッテリコントローラ11は、車両コントローラ105より送られてくる、この判定結果から衝突発生の有無を受け取るようになっている。
【0025】
ステップS13では、Gセンサ104が衝突発生と判定する100G以上の加速度の変化があったか否かを確認して、100G以上の衝突判定が確認された場合(Y)には次のステップS14に進み、確認できない場合(N)にはステップS21に進む。
ステップS14では、メインリレー122、123を開けるとともに、放電リレー31を閉じて、バッテリパック112のバッテリセル121内の蓄電電力の放電を開始した後に次のステップS15に進む。そのステップS15では、その放電開始時からの経過時間の計時を開始した後に次のステップS16に進む。そのステップS16では、バッテリセル121の両端部間の電圧測定を開始した後に次のステップS17に進む。
ステップS17では、バッテリセル121の両端部間の電圧が3V以下まで降下してか否かを確認して、降下したことを確認できた場合(Y)にはこの制御処理を終了し、また、確認できない場合(N)にはステップS18に進む。そのステップS18では、バッテリセル121内の蓄電電力の放電開始後の経過時間が180分を超えたか否かを確認して、超えていることを確認できた場合(Y)にはこの制御処理を終了し、また、確認できない場合(N)にはステップS14に戻って同様の処理を繰り返す。
【0026】
また、ステップS21では、バッテリパック112内の衝突スイッチ12がオンされているか否かを確認して、衝突スイッチ12のオン状態が確認された場合(Y)にはステップS14に進んで同様の処理を繰り返し、確認できない場合(N)にはステップS22に進む。
ステップS22では、バッテリコントローラ11内の漏電センサ14が漏電を検知しているか否かを確認して、漏電が確認された場合(Y)にはステップS14に進んで同様の処理を繰り返し、確認できない場合(N)にはステップS23に進む。
【0027】
ステップS23では、メインリレー122、123を開けて、バッテリパック112(バッテリセル121)からの電力供給を停止する電源遮断処理を実行するとともにイグニッションを一旦オフした後に次のステップS24に進む。このステップS24では、イグニッションのオンの有無を繰り返し確認して、再度のイグニッションのオンが確認されたときに(Y)、次のステップS25に進むことを許可する。そのステップS25では、異常がない正常処理がなされたときに継続可能なものとして復帰してステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。なお、このステップS25で異常処理がなされたときには、その異常処理に応じた警告処理等の既存の制御処理が実行されることになる。
【0028】
また、ステップS31では、バッテリパック112内の衝突スイッチ12がオンされているか否かを確認して、衝突スイッチ12のオン状態が確認された場合(Y)にはステップS14に進んで同様の処理を繰り返し、確認できない場合(N)にはステップS32に進む。
【0029】
ステップS32では、バッテリコントローラ11内の漏電センサ14が漏電を検知しているか否かを確認して、漏電が確認された場合(Y)にはステップS23に進んで同様の処理を実行し、確認できない場合(N)には異常がないものとしてステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。
【0030】
このように、バッテリコントローラ11は、イグニッションがオンされて、車両100の衝突の有無を検知するGセンサ104が計測状態にあることを確認した後に(ステップS11)、バッテリパック112内の蓄電電力の放電の要否を判断して実行する処理を開始することができる。
例えば、
図5のタイムチャートの定常時には、イグニッションキーがオンされると、まずは、メインリレー(N)123とプリチャージリレー125が導通されて平滑コンデンサ132の蓄電(プリチャージ)が開始される。この平滑コンデンサ132の充電後には、メインリレー(P)122が導通された後に、プリチャージリレー125が遮断され、走行等の操作可能な待機(READY)状態になる。
この後に、イグニッションキーが手動オフされると、メインリレー122、123が遮断されるとともに、アクティブ放電リレー22が導通されて平滑コンデンサ132内の蓄電電力が放電される。
【0031】
そして、Gセンサ104の検出情報が100G以上となる
図5のタイムチャートの衝突Bのときには、そのまま衝突判定をして(ステップS12、S13)、イグニッションキーを自動オフするとともに、放電リレー31を導通させてバッテリパック112(バッテリセル121)内の蓄電電力の放電を開始する(ステップS14)。このとき、メインリレー122、123は遮断されており、アクティブ放電リレー22も導通させて平滑コンデンサ132内の蓄電電力を放電する。
この後に、バッテリセル121の両端部間の電圧が3V以下まで降下して放電完了が確認できた場合に(ステップS16、S17)、あるいは、その放電開始から180分経過して十分な放電時間が経過したことを確認できた場合に(ステップS15、S18)、このバッテリパック112の衝突時における放電処置を終了する。
【0032】
これにより、バッテリコントローラ11は、Gセンサ104の検出情報が100G以上で明らかに衝突発生と判断できる場合には、衝突スイッチ12や漏電センサ14からの情報の有無に関係なく、直ちに、バッテリパック112の放電処理を開始することができる。
この放電処理の開始後には、バッテリセル121の実測電圧で確認するだけでなく、衝突に起因して電圧測定不能な場合にも
図3に図示する実測結果に基づいて、放電するのに十分に時間経過したことを確認したときに不具合を起こす可能性がないとすることができる。なお、このときの放電処理が開始できないときには、確認不可として処理を進めることは言うまでもない。
【0033】
このバッテリコントローラ11は、Gセンサ104の検出情報が100G以上に達しないでも50G以上の場合には(ステップS12S、S13)、念のため、衝突スイッチ12や漏電センサ14から情報を確認する(ステップS21、S22)。
このときに、バッテリパック112の損傷(衝突スイッチ12がオン)や漏電(漏電センサ14がオン)が確認されたときには、
図5のタイムチャートの衝突Bと同様に、バッテリパック112の蓄電電力の放電処理を開始して放電完了を確認する(ステップS14〜S18)。
また、このときに、
図5のタイムチャートの衝突Aに示すように、損傷や漏電のいずれも確認されないときには(ステップS21、S22)、念のために、電源遮断とイグニッションオフを一旦実行して再度イグニッションオンにし、一連のチェック処理を実行して問題ないときに正常復帰とする(ステップS23〜S25)。なお、このときにも、アクティブ放電リレー22をオンして平滑コンデンサ132内の蓄電電力を放電する。
【0034】
これにより、車両100は、Gセンサ104の検出情報が100G以上に達しないが50G以上の衝突判定の場合には、衝突や漏電の発生の有無を確認して各種処理を実行することができる。衝突や漏電のいずれかが発生している場合にはバッテリパック112の蓄電電力の放電による放電処置を実行する一方、発生していない場合にも念のために一旦リセットして問題ないことを確認することができ、バッテリパック112が不具合を起こす可能性がないことを確認することができる。
【0035】
また、バッテリコントローラ11は、Gセンサ104の検出情報が50G以上に達しない場合にも(ステップS12)、念のため、衝突スイッチ12や漏電センサ14からの情報を確認する(ステップS31、S32)。
このときには、バッテリパック112の損傷(衝突スイッチ12がオン)が確認されたときに(ステップS31)、同様に、バッテリパック112の蓄電電力の放電処理を開始して放電完了を確認する(ステップS14〜S18)。
また、漏電(漏電センサ14がオン)のみが確認されたときには(ステップS31、S32)、ステップS21、S22とは異なって、念のために、電源遮断とイグニッションオフを一旦実行して再度イグニッションオンすることにより一連のチェック処理を実行して問題ないときに正常復帰とする(ステップS23〜S25)。
【0036】
これにより、車両100は、Gセンサ104の検出情報が50G以上に達しない場合にも、衝突や漏電の発生の有無を確認して各種処理を実行することができる。
衝突が発生している場合には、バッテリパック112の蓄電電力の放電処置を実行することができる。
また、漏電のみが発生している場合には、念のために一旦リセットして問題ないことを確認することができ、バッテリパック112が不具合を起こす可能性がないことを確認することができる。この衝突もなく漏電検知だけであるときには、何らかの要因で漏電センサ14が反応してしまった場合もある。このような誤検知などの場合にまでバッテリパック112の放電処理を実行してしまうことを回避しつつ、一旦リセットすることにより通常のチェック処理により漏電の有無などを再度確認することができる。このときに、現実に漏電が発生していて再度検知された場合には、通常のメンテナンス処理を確実に行わせてバッテリパック112に不具合が起こるのを防ぐ。
【0037】
このように本実施形態においては、車両100が衝突事故を起こしたものと判断(検知)できる場合には、既存の電気部品のプリチャージ抵抗124やアクティブ放電抵抗21を介してバッテリセル121の両端部(正極・負極)を導通接続する閉回路(バイパスB)を形成する。このため、バッテリパック112に不用意に触れるなどして漏電に起因する不具合を起こす前に、その蓄電電力を放電させて熱として放出(消費)させることができる。したがって、特別な抵抗体を追加などすることなく、衝突後にバッテリパック112の漏電に起因する不具合が発生しないように未然に処置することができる。
【0038】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。