(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本開示の塗布膜形成装置における第1の実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0021】
[装置構成]
まず、本実施形態の塗布膜形成装置の構成について
図1を参照して説明する。
図1に示される本実施形態の塗布膜形成装置10は、塗布液が切れ目なく液柱状に吐出されるノズルを基板ステージに対して相対的に移動させて塗布膜を形成する装置であって、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層となる塗布膜を形成する装置である。なお、切れ目のない状態とは、ノズルと基板との間の全体にわたり柱状の塗布液が連なる状態であって、塗布液を塗布する動作のなかで少なくともこうした状態が含まれればよい。
【0022】
図1に示されるように、1つの方向に延びる固定軸である2つのステージガイド11a,11bは、該ステージガイド11a,11bの延びる方向である主走査方向と直交する方向である副走査方向に並設されている。これらステージガイド11a,11bには、基板13の載置される基板ステージ12が、ステージガイド11a,11bに沿って主走査方向に往動及び復動可能に連結されている。
【0023】
基板13は、例えば、ガラス基板等の透光性の基板であって、複数のパネルが切り出されるマザー基板である。基板13は、その上面に、パネルとなる領域である複数のパネル領域14a〜14fを有している。パネル領域14a〜14fの各々には、副走査方向に延びる赤色用塗布領域と、副走査方向に延びる緑色用塗布領域と、副走査方向に延びる青色用塗布領域とが、この順に繰り返して形成されている。赤色用塗布領域とは、複数の赤色用画素が副走査方向に並べられて画素列を形成する領域であり、緑色用塗布領域とは、緑色用画素が副走査方向に並べられて画素列を形成する領域であり、青色用塗布領域とは、青色用画素が副走査方向に並べられて画素列を形成する領域である。
【0024】
基板13上において、主走査方向に並ぶ3つのパネル領域からなる1行分のパネル領域は、副走査方向に2つ並べられて、6つのパネル領域14a〜14fは、マトリクス状に配置されている。2行のパネル領域のうち、副走査方向の一方側の行であるパネル領域14a〜14cでは、パネル領域14a〜14cの各々の角部に、位置検出のためのアライメントマーク14Mが設けられている。
【0025】
基板ステージ12は、ステージモーターMsの駆動力を受けて、ステージガイド11a,11bに沿い、ステージガイド11a,11bの両端部の間を往動及び復動する。基板ステージ12が移動する位置のうち、ステージガイド11a,11bの一端側に設定される塗布準備位置は、塗布液の塗布前の基板13を基板ステージ12に載置する等、塗布液を塗布するための準備が行われる位置である。基板ステージ12が移動する位置のうち、ステージガイド11a,11bの長手方向の両端の中間に設定される塗布開始位置は、パネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が開始される位置である。基板ステージ12が移動する位置のうち、ステージガイド11a,11bの他端側に設定される塗布完了位置は、塗布液の塗布が終了した基板13が回収される等の後処理が行われる位置である。
【0026】
上記塗布準備位置と塗布開始位置との間の領域の上方には、基板13におけるパネル領域14a〜14fの位置を検出する位置検出部15が配設されている。位置検出部15は、例えば、CCDカメラ等から構成されて、位置検出部15の下方を通過するアライメントマーク14Mをパネル領域14a〜14fの位置として検出する。
【0027】
上記塗布開始位置の上方には、ノズル部16が配設されている。ノズル部16は、主走査方向に延びる固定軸である調整ガイド17と、調整ガイド17に連結された副走査方向に延びる可動軸である3つの副走査ガイド18a,18b,18cと、副走査ガイド18a,18b,18cの各々に連結された3つのノズル19a,19b,19cとから構成される。
【0028】
第1副走査ガイド18aは、第1調整モーターMa1の駆動力を受けて、調整ガイド17に沿って主走査方向に往動及び復動する。第2副走査ガイド18bは、第2調整モーターMa2の駆動力を受けて、調整ガイド17に沿って主走査方向に往動及び復動する。第3副走査ガイド18cは、第3調整モーターMa3の駆動力を受けて、調整ガイド17に沿って主走査方向に往動及び復動する。
【0029】
第1ノズル19aは、第1副走査モーターMb1の駆動力を受けて、第1副走査ガイド18aに沿って副走査方向に往動及び復動する。第2ノズル19bは、第2副走査モーターMb2の駆動力を受けて、第2副走査ガイド18bに沿って副走査方向に往動及び復動する。第3ノズル19cは、第3副走査モーターMb3の駆動力を受けて、第3副走査ガイド18cに沿って副走査方向に往動及び復動する。ノズル19a,19b,19cの各々は、これらのノズルが支持される副走査ガイド18a,18b,18cとともに、主走査方向の互いに異なる位置に配置される。ノズル19a,19b,19cの下面の各々には、塗布液を下方に向かって吐出する吐出口が形成されており、塗布液は吐出口から液柱状に切れ目なく吐出される。
【0030】
次に、ノズル19a,19b,19cへ塗布液を供給する塗布液の供給系の構成について説明する。
ノズル19a,19b,19cの各々には、同一の加圧タンク20から、所定の色用の有機発光材料を含む塗布液が供給される。加圧タンク20では、タンク内に窒素等のガスが送り込まれることにより、タンク内の塗布液が供給口から圧送される。加圧タンク20の供給口には、脱気タンク21が接続されている。脱気タンク21では、塗布液がタンクに一旦溜められて、タンク底部から塗布液が流出される。これにより、タンク内に溜められた塗布液中の気体が液面上に排出されて、塗布液の脱気が行われる。その結果、ノズルに供給される塗布液に気泡が含まれることが抑えられるため、ノズルから吐出される塗布液の性状の安定性を高めることができる。
【0031】
脱気タンク21には、塗布液の流路を開閉する3つの制御弁22a,22b,22cが並列に接続されている。また、制御弁22a,22b,22cの各々には、流路を流れる塗布液の流量を計測する流量計23a,23b,23cがそれぞれ接続されている。これらのうち、第1制御弁22aには第1流量計23aが接続されており、第1流量計23aは第1ノズル19aに接続されている。すなわち、加圧タンク20から第1ノズル19aへ供給される塗布液の流量は、第1制御弁22aの開閉によって制御されるとともに第1流量計23aにて計測される。第1制御弁22aの開度は、第1流量計23aの計測値に応じて、該第1流量計23aの計測値が所定の値となるように制御される。
【0032】
同様に、第2制御弁22bには第2流量計23bが接続されており、第2流量計23bは第2ノズル19bに接続されている。すなわち、加圧タンク20から第2ノズル19bへ供給される塗布液の流量は、第2制御弁22bの開閉によって制御されるとともに第2流量計23bにて計測される。第2制御弁22bの開度は、第2流量計23bの計測値に応じて、該第2流量計23bの計測値が所定の値となるように制御される。
【0033】
同様に、第3制御弁22cには第3流量計23cが接続されており、第3流量計23cは第3ノズル19cに接続されている。すなわち、加圧タンク20から第3ノズル19cへ供給される塗布液の流量は、第3制御弁22cの開閉によって制御されるとともに第3流量計23cにて計測される。第3制御弁22cの開度は、第3流量計23cの計測値に応じて、該第3流量計23cの計測値が所定の値となるように制御される。
【0034】
このように、加圧タンク20から分岐点P1にて分岐してノズル19a,19b,19cへ塗布液を供給する流路の各々について、分岐点P1とノズル19a,19b,19cとの間に制御弁22a,22b,22cと流量計23a,23b,23cとが設けられている。
【0035】
こうした構成にあって、塗布膜が形成される場合には、まず、基板ステージ12が、塗布準備位置から塗布開始位置まで往動される。基板ステージ12が塗布開始位置まで移動すると、副走査ガイド18a,18b,18cが調整ガイド17に沿って主走査方向に移動して、ノズル19a,19b,19cが初期位置から補正位置に移動する。補正位置は、位置検出部15によって検出されたパネル領域14a〜14fの主走査方向の位置から算出される。具体的には、補正位置として、主走査方向に並ぶ3列のパネル領域の各々に塗布を開始するための3つの位置が塗布開始点として設定される。この場合に、補正位置に配置されたノズル19a,19b,19cの各々は、別々の塗布開始点に配置される。
【0036】
ノズル19a,19b,19cの各々が補正位置に配置されると、ノズル19a,19b,19cが副走査ガイド18a,18b,18cに沿って副走査方向へ動かされてパネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が開始される。そして、基板ステージ12が塗布開始位置から塗布完了位置に向けて主走査方向へ所定量動かされる主走査と、ノズル19a,19b,19cが副走査方向へ動かされる副走査とが交互に繰り返されて、パネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が行われる。
【0037】
このとき、パネル領域14a,14dにはノズル19aによって塗布液が塗布され、パネル領域14b,14eにはノズル19bによって塗布液が塗布され、パネル領域14c,14fにはノズル19cによって塗布液が塗布される。すなわち、主走査方向に並ぶパネル領域の各々に対しては各別のノズルにて塗布液が塗布され、副走査方向に並ぶパネル領域に対しては、同一のノズルにて塗布液が塗布される。
【0038】
各ノズル19a,19b,19cの下方をパネル領域14a,14d、パネル領域14b,14e、パネル領域14c,14fがそれぞれ通過して、パネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が終了すると、基板ステージ12が塗布完了位置まで移動される。そして、塗布完了位置にて上述の後処理が行われ、こうした後処理が終わると、基板ステージ12は塗布完了位置から塗布準備位置まで復動されて一連の塗布膜の形成工程が繰り返される。
【0039】
[電気的構成]
次に、本実施形態の塗布膜形成装置の電気的な構成について、
図2を参照して説明する。塗布膜形成装置は、中央処理装置(CPU)、不揮発性メモリー(ROM)、及び揮発性メモリー(RAM)を有するマイクロコンピューターを中心に構成される制御部30を備えている。
【0040】
図2に示されるように、制御部30は、制御部30に入力される各種の入力信号の入力処理や各駆動部への制御信号の出力処理を行う入出力部30aと、塗布を行うための塗布プログラムを解釈して実行する実行部30bと、制御部30の制御信号に基づいて各種の演算を実行する算出部30cとを備えている。また、制御部30は、算出部30cの演算結果等を記憶する記憶部30dと、ノズル19a,19b,19cに供給される塗布液の流量を制御する流量制御部32と、基板ステージ12及びノズル部16の動作を制御するモーター駆動部33とを備えている。
【0041】
入出力部30aには、各種のボタンやタッチパネル等から構成される操作部40が接続されている。操作部40は、基板13に関する情報である基板情報や塗布条件に関する情報である塗布情報を入出力部30aに出力する。
【0042】
基板情報は、基板13におけるパネル領域14a〜14fの配置、画素列の幅や数、各ノズル19a,19b,19cの塗布前の位置である初期位置等である。塗布情報は、基板ステージ12の走査量や走査速度、各ノズル19a,19b,19cの走査量や走査速度に関する情報、各ノズル19a,19b,19cから吐出される塗布液の流量に関する情報等である。
【0043】
また、入出力部30aには、位置検出部15が接続されている。位置検出部15は、アライメントマーク14Mを検出したか否かを示す検出情報を入出力部30aに出力する。
算出部30cは、流量算出部31aと、走査量算出部31bと、位置算出部31cとして機能する。流量算出部31aとしての機能と、走査量算出部31bとしての機能と、位置算出部31cとしての機能とは、算出部30cにてハードウェアで構成されるが、ソフトウェアで構成することも可能である。
【0044】
流量算出部31aは、入出力部30aが入力する塗布情報に基づいて、第1制御弁22a,第2制御弁22b,第3制御弁22cの各々の供給流量の目標値を算出する。
走査量算出部31bは、入出力部30aが入力する基板情報と塗布情報とに基づいて、主走査における基板ステージ12の移動量と、副走査におけるノズル部16の移動量とを算出する。
【0045】
位置算出部31cは、入出力部30aが入力する検出情報とステージモーターMsの駆動量とに基づいて、各ノズル19a,19b,19cの主走査方向における補正位置を算出する。
【0046】
流量制御部32は、第1ノズル19aに供給される塗布液の流量を制御する第1ノズル流量制御部32aと、第2ノズル19bに供給される塗布液の流量を制御する第2ノズル流量制御部32bと、第3ノズル19cに供給される塗布液の流量を制御する第3ノズル流量制御部32cとを有している。
【0047】
第1ノズル流量制御部32aには、第1制御弁22aと第1流量計23aとが接続されている。第1ノズル流量制御部32aは、実行部30bの制御信号に応じて、流量算出部31aの算出する目標値と第1流量計23aから入力される計測値とに基づいて、計測値が目標値となるように、第1制御弁22aの駆動量を算出する。第1ノズル流量制御部32aは、算出された駆動量に応じた駆動信号を生成してその駆動信号を第1制御弁22aへ出力する。第1制御弁22aは、駆動信号に応じた開度で弁体を駆動して、第1ノズル19aに供給される塗布液の流量を制御する。
【0048】
第2ノズル流量制御部32bには、第2制御弁22bと第2流量計23bとが接続されている。第2ノズル流量制御部32bは、実行部30bの制御信号に応じて、流量算出部31aの算出する目標値と第2流量計23bから入力される計測値とに基づいて、計測値が目標値となるように、第2制御弁22bの駆動量を算出する。第2ノズル流量制御部32bは、算出された駆動量に応じた駆動信号を生成してその駆動信号を第2制御弁22bへ出力する。第2制御弁22bは、駆動信号に応じた開度で弁体を駆動して、第2ノズル19bに供給される塗布液の流量を制御する。
【0049】
第3ノズル流量制御部32cには、第3制御弁22cと第3流量計23cとが接続されている。第3ノズル流量制御部32cは、実行部30bの制御信号に応じて、流量算出部31aの算出する目標値と第3流量計23cから入力される計測値とに基づいて、計測値が目標値となるように、第3制御弁22cの駆動量を算出する。第3ノズル流量制御部32cは、算出された駆動量に応じた駆動信号を生成してその駆動信号を第3制御弁22cへ出力する。第3制御弁22cは、駆動信号に応じた開度で弁体を駆動して、第3ノズル19cに供給される塗布液の流量を制御する。
【0050】
このように、第1ノズル19a,第2ノズル19b,第3ノズル19cの各々に供給される塗布液の流量は各々が独立して制御される。
モーター駆動部33は、ステージ駆動部33aと、第1ノズル駆動部33bと、第2ノズル駆動部33cと、第3ノズル駆動部33dとを有している。
【0051】
ステージ駆動部33aは、実行部30bの制御信号に応じて、走査量算出部31bの算出した移動量に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流をステージモーターMsに出力する。ステージモーターMsは、ステージ駆動部33aから入力される駆動電流によって駆動されて基板ステージ12の主走査を行う。
【0052】
第1ノズル駆動部33bは、実行部30bの制御信号に応じて、位置算出部31cの算出した第1ノズル19aの補正位置に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第1調整モーターMa1に出力する。第1調整モーターMa1は、第1ノズル駆動部33bから入力される駆動電流によって駆動されて、副走査ガイド18aを主走査方向に移動させることにより、第1ノズル19aの位置を初期位置から補正位置へ変える。また、第1ノズル駆動部33bは、実行部30bの制御信号に応じて、走査量算出部31bの算出した第1ノズル19aの副走査における移動量に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第1副走査モーターMb1に出力する。第1副走査モーターMb1は、第1ノズル駆動部33bから入力される駆動電流によって駆動されて、第1ノズル19aの副走査を行う。
【0053】
第2ノズル駆動部33cは、実行部30bの制御信号に応じて、位置算出部31cの算出した第2ノズル19bの補正位置に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第2調整モーターMa2に出力する。第2調整モーターMa2は、第2ノズル駆動部33cから入力される駆動電流によって駆動されて、副走査ガイド18bを主走査方向に移動させることにより、第2ノズル19bの位置を初期位置から補正位置へ変える。また、第2ノズル駆動部33cは、実行部30bの制御信号に応じて、走査量算出部31bの算出した第2ノズル19bの副走査における移動量に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第2副走査モーターMb2に出力する。第2副走査モーターMb2は、第2ノズル駆動部33cから入力される駆動電流によって駆動されて、第2ノズル19bの副走査を行う。
【0054】
第3ノズル駆動部33dは、実行部30bの制御信号に応じて、位置算出部31cの算出した第3ノズル19cの補正位置に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第3調整モーターMa3に出力する。第3調整モーターMa3は、第3ノズル駆動部33dから入力される駆動電流によって駆動されて、副走査ガイド18cを主走査方向に移動させることにより、第3ノズル19cの位置を初期位置から補正位置へ変える。また、第3ノズル駆動部33dは、実行部30bの制御信号に応じて、走査量算出部31bの算出した第3ノズル19cの副走査における移動量に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第3副走査モーターMb3に出力する。第3副走査モーターMb3は、第3ノズル駆動部33dから入力される駆動電流によって駆動されて、第3ノズル19cの副走査を行う。
【0055】
実行部30bは、塗布プログラムに従って、各ノズル駆動部33b〜33dによる各副走査モーターMb1〜Mb3の駆動に先駆けて、各ノズル駆動部33b〜33dによる各調整モーターMa1〜Ma3の駆動を実行する。また、実行部30bは、ステージ駆動部33aと各ノズル駆動部33b〜33dとに交互に制御信号を出力し、ステージ駆動部33aによる主走査と各ノズル駆動部33b〜33dによる副走査とを交互に実行する。
【0056】
このように、各ノズル19a,19b,19cにおける補正位置への位置変更、及び、各ノズル19a,19b,19cにおける副走査は、ノズルごとに独立して制御される。
なお、本実施形態では、ステージガイド11a,11bとステージモーターMsとによって主走査部が構成されている。また、副走査ガイド18a,18b,18cと各副走査モーターMb1,Mb2,Mb3とによって副走査部が構成されている。また、調整ガイド17と各調整モーターMa1,Ma2,Ma3とによって位置変更部が構成されている。
【0057】
[動作態様]
次に、上記の塗布膜形成装置の動作の態様を
図3,
図4を参照して説明する。なお、以下では、各パネル領域14a〜14fには、互いに異なる3色の画素列14Lが主走査方向に順番に繰り返されて形成されている。互いに異なる3色の画素列14Lは同一の幅を有しており、副走査方向に並ぶパネル領域では、同色の画素列14Lが副走査方向に一直線上に並んでいる。
【0058】
なお、
図3(a)では、初期位置に配置される各ノズル19a,19b,19cが実線で示され、補正位置に配置される第3ノズル19cが二点鎖線で示されている。また、
図3(b)では、各ノズル19a,19b,19cが塗布液の吐出を開始する状態が示され、主走査方向における3列のパネル領域間の隙間の大きさが誇張されている。
【0059】
まず、
図3(a)に示されるように、実行部30bが塗布プログラムを読み出して実行すると、基板ステージ12が塗布準備位置から塗布開始位置への移動を開始する。この際に、位置検出部15は、アライメントマーク14Mを検出するたびに、アライメントマーク14Mを検出したことを示す検出情報を制御部30に出力する。実行部30bは、位置検出部15がアライメントマーク14Mを検出するたびに、ステージモーターMsの駆動量をモーター駆動部33から取得する。そして、実行部30bは、基板ステージ12が塗布開始位置に配置される状態で、パネル領域14a〜14cの各々における最も主走査方向の塗布領域上に各ノズル19a,19b,19cが配置されるように、各ノズル19a,19b,19cの位置を補正する。すなわち、補正位置では、第1ノズル19aがパネル領域14a,14dに対応する塗布開始点の上方に配置され、第2ノズル19bがパネル領域14b,14eに対応する塗布開始点の上方に配置され、第3ノズル19cがパネル領域14c,14fに対応する塗布開始点の上方に配置される。
【0060】
例えば、基板情報では、基板13における走査方向の端が原点として設定され、パネル領域14cの設計上の配置位置が、各アライメントマーク14Mの走査方向における設計位置X0として設定される。また、塗布情報では、基板ステージ12が塗布開始位置に配置される状態で第3ノズル19cが設計位置X0上となる位置が、第3ノズル19cの初期位置X1として設定される。また、位置検出部15が基板13の端部を検出するように設定される。
【0061】
この際に、実行部30bは、基板13の端部が検出されたときのステージモーターMsの駆動量と、パネル領域14cのアライメントマーク14Mが検出されたときのステージモーターMsの駆動量とを取得する。次いで、実行部30bは、基板13の端部からアライメントマーク14Mまでの距離である検出位置XmをステージモーターMsの駆動量として算出する。そして、実行部30bは、検出位置と設計位置との差分Xdだけ第3調整モーターMa3を駆動させて第3ノズル19cの位置を補正する。
【0062】
次いで、
図3(b)に示されるように、副走査ガイド18a,18b,18cが主走査方向に移動されてノズル19a,19b,19cが補正位置に配置されると、基板ステージ12が塗布開始位置に配置される。結果として、主走査方向における3列のパネル領域14a,14d、パネル領域14b,14e、パネル領域14c,14fの間の間隔が互いに異なっていたとしても、それぞれのパネル領域の組に対応した塗布開始点の上方に、各別のノズルが配置される。
【0063】
これにより、主走査方向に並ぶ3列のパネル領域に対しては各別のノズルにて塗布液が塗布され、副走査方向に並ぶ2列のパネル領域に対しては、同一のノズルにて塗布液が塗布される。すなわち、複数のパネル領域に対して複数のノズルで塗布液の塗布を行いながらも、1つのパネル領域に対しては1つのノズルで塗布液の塗布が行われることとなる。したがって、塗布膜の形成にかかる時間が短縮されるとともに、1つのパネル領域内において塗布される塗布液の量にばらつきが生じることが抑えられる。その結果、塗布膜の形成にかかる時間を短縮しつつ、パネル領域に形成される塗布膜の膜厚の均一性が低下することを抑えることが可能となる。
【0064】
なお、
図4に示されるように、各ノズル19a,19b,19cが補正位置Xに位置変更されると、まず、実行部30bは、上述の副走査によって、最も主走査方向の画素列14Lに対する塗布を行う。次いで、実行部30bは、基板情報に含まれる画素幅に基づいて、上述の主走査によって、各ノズル19a,19b,19cを次に配列されている同色の画素列14L上に配置する。これらの走査が繰り返されることにより、パネル領域14c,14fへの塗布液の塗布が行われる。そして、各ノズル19a,19b,19cが1つのパネル領域に対する塗布を終了すると、基板13上の全てのパネル領域14a〜14fでは、同色の画素列14Lに対する塗布が終了する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の塗布膜形成装置によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)主走査方向に並ぶ3列のパネル領域の各々に対して各別のノズルによる塗布が行われる。したがって、複数のノズルを備えつつも、1つのパネル領域に対しては1つのノズルで塗布液の塗布が行われるため、基板上の複数のパネル領域に対して塗布膜を形成する場合であれ、塗布膜の形成にかかる時間を短縮しつつ、塗布膜の膜厚の均一性が低下することを抑えることができる。
【0066】
(2)補正位置の算出と補正位置への移動が、3つのノズル19a,19b,19cに対して別々の駆動機構で行われ、且つ、3つの駆動機構が個別に駆動される。したがって、主走査方向に並ぶパネル領域間の間隔が互いに異なる場合であっても、各々のパネル領域の列に対応する塗布開始点の上方に各別のノズルを配置することができる。
【0067】
(3)3つのノズル19a,19b,19cの各々が、3つの副走査ガイド18a,18b,18cのそれぞれに連結され、各ノズル19a,19b,19cの各副走査ガイド18a,18b,18cに沿った副走査が独立して制御される。このように、各ノズル19a,19b,19cの副走査が独立して行われることにより、各ノズル間で副走査の移動量や移動速度を異ならせることが可能となる。したがって、例えば、大きさの異なるパネル領域が主走査方向に並ぶ場合にも対応して塗布液の塗布を行うことができる。また、副走査を行うための機構が各ノズル19a,19b,19cのそれぞれに対応して設けられるため、複数のノズルに対して副走査を行うための機構が1つにまとめられる場合と比較して、こうした機構単体が軽量となる。その結果、副走査の移動速度を向上させることが可能となるため、塗布膜の生産効率が向上される。
【0068】
(4)副走査ガイド18a,18b,18cの各々が調整ガイド17に沿って移動されることにより、各ノズル19a,19b,19cの主走査方向への位置の変更が行われる。したがって、副走査ガイド18a,18b,18cを主走査方向に移動させるためのガイド部材が1つにまとめられているため、ノズル19a,19b,19cの主走査方向への位置の変更を可能とする構成が簡易に実現できる。
【0069】
(第2の実施形態)
以下、本開示の塗布膜形成装置における第2の実施形態について、
図5〜
図6を参照して説明する。なお、第2の実施形態の塗布膜形成装置は、第1の実施形態とは位置変更部の構成が異なり、その他の基本的な構成は第1の実施形態と同様である。そのため、
図5〜
図6では、位置変更部の構成を詳細に説明し、第1の実施形態と実質的に同一の構成要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、重複する説明は割愛する。
【0070】
[装置構成]
まず、本実施形態の塗布膜形成装置の構成について
図5を参照して説明する。
図5に示されるように、ノズル部26は、副走査方向に延びる固定軸である副走査ガイド27と、副走査ガイド27に連結された主走査方向に延びる可動軸である調整ガイド28と、調整ガイド28に連結された3つのノズル19a,19b,19cとから構成される。
【0071】
調整ガイド28は、副走査モーターMbの駆動力を受けて、副走査ガイド27に沿って副走査方向に往動及び復動する。第1ノズル19aは、第1調整モーターMa1の駆動力を受けて、調整ガイド28に沿って主走査方向に往動及び復動する。第2ノズル19bは、第2調整モーターMa2の駆動力を受けて、調整ガイド28に沿って主走査方向に往動及び復動する。第3ノズル19cは、第3調整モーターMa3の駆動力を受けて、調整ガイド28に沿って主走査方向に往動及び復動する。ノズル19a,19b,19cの各々は、ノズル19a,19b,19cが支持される調整ガイド28に沿って、主走査方向の互いに異なる位置に配置される。
【0072】
第1の実施形態と同様、ノズル19a,19b,19cの下面の各々には、塗布液を下方に向かって吐出する吐出口が形成されており、塗布液は吐出口から液柱状に切れ目なく吐出される。また、ノズル19a,19b,19cには、加圧タンク20から分岐点P1にて分岐してノズル19a,19b,19cへ連結される流路を通じて塗布液が供給される。分岐点P1とノズル19a,19b,19cとの間の流路の各々には、制御弁22a,22b,22cと流量計23a,23b,23cとが設けられている。そして、流量計23a,23b,23cの計測値が所定の値となるように各々の制御弁22a,22b,22cの開度が制御されることにより、各ノズル19a,19b,19cへ供給される塗布液の流量が制御される。
【0073】
こうした構成にあって、塗布膜が形成される場合には、まず、基板ステージ12が、塗布準備位置から塗布開始位置まで、所定量ずつ往動される。基板ステージ12が塗布開始位置まで移動されると、ノズル19a,19b,19cの主走査方向における位置が初期位置から補正位置に変えられる。補正位置への位置変更によって、ノズル19a,19b,19cの各々が、主走査方向に並ぶ3列のパネル領域14a,14d、パネル領域14b,14e、パネル領域14c,14fの各々に対応した塗布開始点の上方に配置される。この位置の変更は、ノズル19a,19b,19cが調整ガイド28に沿って主走査方向に移動されることにより行われる。
【0074】
ノズル19a,19b,19cが補正位置に配置されると、調整ガイド28が副走査ガイド27に沿って副走査方向へ動かされることによりノズル19a,19b,19cが一体に副走査方向へ動かされて、パネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が開始される。そして、基板ステージ12が塗布開始位置から塗布完了位置に向けて主走査方向へ所定量動かされる主走査と調整ガイド28が副走査方向へ動かされる副走査とが交互に繰り返されてパネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が行われる。
【0075】
このとき、パネル領域14a,14dにはノズル19aによって塗布液が塗布され、パネル領域14b,14eにはノズル19bによって塗布液が塗布され、パネル領域14c,14fにはノズル19cによって塗布液が塗布される。
【0076】
各ノズル19a,19b,19cの下方をパネル領域14a,14d、パネル領域14b,14e、パネル領域14c,14fがそれぞれ通過して、パネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が終了すると、基板ステージ12が塗布完了位置まで移動される。そして、塗布完了位置にて上述の後処理が行われ、こうした後処理が終わると、基板ステージ12は塗布完了位置から塗布準備位置まで復動されて一連の塗布膜の形成工程が繰り返される。
【0077】
[電気的構成]
次に、本実施形態の塗布膜形成装置の電気的な構成について、
図6を参照して説明する。
【0078】
図6に示されるように、本実施形態は、第1の実施形態に対してモーター駆動部34の構成が異なっている。したがって、以下ではモーター駆動部34の構成を中心に説明する。
【0079】
モーター駆動部34は、ステージ駆動部34aと、ノズル位置変更部34bと、第1ノズル駆動部34cと第2ノズル駆動部34dと第3ノズル駆動部34eとを有している。
ステージ駆動部34aは、実行部30bの制御信号に応じて、走査量算出部31bの算出した移動量に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流をステージモーターMsに出力する。ステージモーターMsは、ステージ駆動部34aから入力される駆動電流によって駆動されて基板ステージ12の主走査を行う。
【0080】
ノズル位置変更部34bは、実行部30bの制御信号に応じて、走査量算出部31bの算出した移動量に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を副走査モーターMbに出力する。副走査モーターMbは、ノズル位置変更部34bから入力される駆動電流によって駆動されて、調整ガイド28を副走査方向に移動させる。これにより、調整ガイド28に支持されるノズル19a,19b,19cが調整ガイド28とともに副走査方向に動かされて副走査が行われる。
【0081】
第1ノズル駆動部34cは、実行部30bの制御信号に応じて、位置算出部31cの算出した第1ノズル19aの補正位置に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第1調整モーターMa1に出力する。第1調整モーターMa1は、第1ノズル駆動部34cから入力される駆動電流によって駆動されて、第1ノズル19aを主走査方向に移動させることにより、第1ノズル19aの位置を初期位置から補正位置へ変える。
【0082】
第2ノズル駆動部34dは、実行部30bの制御信号に応じて、位置算出部31cの算出した第2ノズル19bの補正位置に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第2調整モーターMa2に出力する。第2調整モーターMa2は、第2ノズル駆動部34dから入力される駆動電流によって駆動されて、第2ノズル19bを主走査方向に移動させることにより、第2ノズル19bの位置を初期位置から補正位置へ変える。
【0083】
第3ノズル駆動部34eは、実行部30bの制御信号に応じて、位置算出部31cの算出した第3ノズル19cの補正位置に基づく駆動電流を生成し、その駆動電流を第3調整モーターMa3に出力する。第3調整モーターMa3は、第3ノズル駆動部34eから入力される駆動電流によって駆動されて、第3ノズル19cを主走査方向に移動させることにより、第3ノズル19cの位置を初期位置から補正位置へ変える。
【0084】
実行部30bは、ステージ駆動部34aとノズル位置変更部34bとに交互に制御信号を出力し、ステージ駆動部34aによる主走査とノズル位置変更部34bによる副走査とを交互に実行する。
【0085】
このように、第1ノズル19a,第2ノズル19b,第3ノズル19cの副走査は一体に制御される。一方、各ノズル19a,19b,19cにおける補正位置への位置変更はノズルごとに独立して制御される。
【0086】
なお、本実施形態では、ステージガイド11a,11bとステージモーターMsとによって主走査部が構成されている。また、副走査ガイド27と副走査モーターMbとによって副走査部が構成されている。また、調整ガイド28と各調整モーターMa1,Ma2,Ma3とによって位置変更部が構成されている。
【0087】
また、本実施形態の塗布膜形成装置も、先の
図3にて説明した第1の実施形態の塗布膜形成装置と同様の動作態様によって、各ノズル19a,19b,19cの主走査方向における位置が初期位置から補正位置に変更される。
【0088】
このように、本実施形態の塗布膜形成装置においても、主走査方向に並ぶ3列のパネル領域に対しては各別のノズルにて塗布液が塗布され、副走査方向に並ぶ2列のパネル領域に対しては、同一のノズルにて塗布液が塗布される。すなわち、複数のパネル領域に対して複数のノズルで塗布液の塗布を行いながらも、1つのパネル領域に対しては1つのノズルで塗布液の塗布が行われることとなる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の塗布膜形成装置によれば、第1の実施形態の(1),(2)の効果に加えて、以下に列挙する効果を得ることができる。
(5)3つのノズル19a,19b,19cが、1つの調整ガイド28に連結され、調整ガイド28が副走査方向に動かされることにより、ノズル19a,19b,19cを一体として副走査が行われる。すなわち、3つのノズル19a,19b,19cに対して副走査を行うための機構が1つにまとめられている。したがって、副走査を行うための機構が3つのノズル19a,19b,19cの各々に対して設けられる構成と比べて、副走査を行うための構成が簡易となる。また、ノズル19a,19b,19cが主走査方向に延びる調整ガイド28に直接に連結されているため、各々のノズル19a,19b,19cが副走査のためのガイドを介して調整ガイド28に連結される構成と比べて、ノズル間の間隔についての自由度も高められる。したがって、塗布液の塗布が可能なパネル領域の大きさやパネル領域間の間隔についての自由度が高められる。
【0090】
(6)3つのノズル19a,19b,19cが調整ガイド28に沿って移動されることにより、各ノズル19a,19b,19cの主走査方向への位置の変更が行われる。したがって、各ノズル19a,19b,19cを主走査方向に移動させるための軸が1つにまとめられているため、ノズル19a,19b,19cの主走査方向への位置の変更を可能とする構成が簡易に実現できる。
【0091】
(他の実施の形態)
なお、上記の各実施形態は、例えば以下のような形態にて実施することもできる。
・1つの基板13に形成される複数のパネル領域の各々では、主走査方向における画素列の数が互いに異なってもよい。この際に、第1の実施形態であれば、画素列の数が他のパネル領域より少ないパネル領域に対し、副走査が停止されて、同パネル領域用のノズルが基板外で塗布液を流し続けることが好ましい。また、第2の実施形態であれば、こうしたパネル領域の画素列に対して複数回の副走査が行われることが好ましい。
【0092】
画素列の数が他のパネル領域より少ない特定のパネル領域では、その特定のパネル領域上での副走査の機会が他のパネル領域よりも少なくなる。こうした場合には、特定のパネル領域用のノズルに対して塗布液の供給が停止されることで、全てのパネル領域への塗布が可能にもなる。しかしながら、塗布液の供給が一旦停止されたノズルでは、吐出される塗布液の流量を安定させる等の時間が、別途必要になってしまう。この点で、上述の副走査の態様であれば、全てのノズルにおける塗布液の吐出機会の均一化が図られるから、各ノズルにおける吐出の安定性を確保することが容易にもなる。
【0093】
・上記各実施形態では、ノズル19a〜19cの主走査方向における位置変更が、パネル領域14a〜14fへの塗布液の塗布が開始される前にのみ行われるものとした。これに加えて、画素列14Lの幅情報に応じて、副走査ごとにノズル19a〜19cの各々の主走査方向における位置が算出され、1回の副走査が終わるごとに、ノズル19a〜19cの主走査方向における位置変更が行われるようにしてもよい。
【0094】
すなわち、副走査間において、基板ステージ12の主走査とノズル19a〜19cの主走査方向における位置変更により、ノズル19a〜19cの各々が基板ステージ12に対して互いに異なる量だけ相対的に移動される。こうした構成によれば、主走査方向に並ぶパネル領域14a,14dとパネル領域14b,14eとパネル領域14c,14fとが、それぞれの組ごとに互いに異なる幅の画素列14Lを有している場合にも、全ての画素列14Lに塗布液の塗布が可能となる。このとき、ノズル19a〜19cに供給される塗布液の流量が、ノズルごとに独立して制御されるため、各ノズルにおける塗布液の吐出量を互いに異ならせることができる。
【0095】
・上記各実施形態では、塗布膜形成装置に3つのノズル19a〜19cが備えられ、基板13には主走査方向に3列のパネル領域が配置されるものとしたが、ノズルの数と主走査方向に並べられるパネル領域の数は、2以上であればよく、互いに異なっていてもよい。要するに、位置検出部15の検出結果に基づく位置変更部の駆動を通じて、少なくとも2つのパネル領域の各々の上に相互に異なるノズルを配置し、主走査部と副走査部とを交互に駆動する構成であればよい。
【0096】
・上記各実施形態では、基板13には副走査方向に2列のパネル領域が配置されるものとしたが、副走査方向に並べられるパネル領域は
、3列以上であってもよい。
【0097】
・上記各実施形態では、副走査方向に並ぶパネル領域は同一のノズルによって塗布液の塗布が行われるものとしたが、ノズルが副走査方向にも複数配置され、副走査方向に並ぶパネル領域に対する塗布液の塗布が各別のノズルによって行われるようにしてもよい。
【0098】
・上記各実施形態では、ノズル19a〜19cに同一の加圧タンク20から塗布液が供給されるものとしたが、複数の加圧タンクから塗布液が供給されるようにしてもよい。例えば、ノズル19a〜19cに、各別の加圧タンクから互いに異なる色の発光層用の塗布液が供給されてもよい。
【0099】
・脱気タンク21は、流量計23a,23b,23cとノズル19a,19b,19cとの間の各々に設けるようしてもよい。また、ノズル19a〜19cから吐出される塗布液に含まれる気泡が塗布液の性状に影響を与えない程度であれば、脱気タンク21を設けなくてもよい。
【0100】
・基板ステージ12が固定され、ノズル19a〜19cによる副走査と主走査方向への位置変更によって塗布液の塗布が行われるようにしてもよい。
・主走査方向と副走査方向のなす角は、0°以外であれば、90°でなくてもよい。
【0101】
・上記各実施形態では、有機EL素子の発光層となる塗布膜を形成したが、これに代えて、有機EL素子における正孔輸送層等の他の機能層や色変換層等を形成するようにしてもよい。また、有機EL素子に限らず、例えば、カラーフィルタやTFT基板の配線等を形成するようにしてもよい。