(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
箔接着用トナーを用いて電子写真法によって画像支持体上に箔接着用トナー画像部を形成する工程、および、前記箔接着用トナー画像部上に、箔を接触させて加熱加圧することにより、前記箔接着用トナー画像部上に箔画像を形成する箔画像形成工程を有する画像形成方法において、
前記箔接着用トナーが、結着樹脂および当該結着樹脂の軟化点(Tsp)よりもR&B軟化点(Trb)が低い少なくともカルボキシ基または無水カルボキシ基を有するビニル単量体とカルボキシ基を有さないビニル単量体とからなるビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、変性オレフィン系重合体またはポリアミド系重合体からなる接着性樹脂を含有する箔接着用トナー粒子よりなり、
前記結着樹脂の軟化点(Tsp)と接着性樹脂のR&B軟化点(Trb)との差が5℃以上であり、
前記箔接着用トナー粒子における前記接着性樹脂の含有割合が、2〜10質量%であることを特徴とする画像形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0020】
本発明の箔接着用トナーは、電子写真法によって画像支持体上に箔接着用トナーを用いて形成された箔接着用トナー画像部に、箔を接触させて加熱することにより、この箔接着用トナー画像部上に箔を接着させて箔画像を形成させる工程を有する画像形成方法において使用されるものであり、画像支持体上に箔を接着するための接着剤としての作用が発現されるものである。
本発明の箔接着用トナーは、結着樹脂、および、当該結着樹脂の軟化点(Tsp)よりもR&B軟化点(Trb)が低い少なくともカルボキシ基または無水カルボキシ基を有するビニル単量体とカルボキシ基を有さないビニル単量体とからなるビニル共重合体、変性オレフィン系重合体またはポリアミド系重合体からなる接着性樹脂を含有する箔接着用トナー粒子からなる。
本発明の箔接着用トナーに含有される接着性樹脂は、加熱することによって接着効果を発揮するものであることから、いわゆるホットメルト接着剤と呼ばれるものである。以下においては、接着性樹脂を「ホットメルト接着剤」ともいう。
【0021】
〔ホットメルト接着剤〕
本発明の箔接着用トナーを構成する箔接着用トナー粒子に含有されるホットメルト接着剤は、当該箔接着用トナー粒子に含有される結着樹脂の軟化点(Tsp)よりもR&B軟化点(Trb)が低い少なくともカルボキシ基または無水カルボキシ基を有するビニル単量体とカルボキシ基を有さないビニル単量体とからなるビニル共重合体、変性オレフィン系重合体またはポリアミド系重合体からなる樹脂である。
少なくともカルボキシ基または無水カルボキシ基を有するビニル単量体とカルボキシ基を有さないビニル単量体とからなるビニル共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸重合体などが挙げられる。
変性オレフィン系重合体としては、例えばオレフィン系重合体からなる主鎖に無水マレイン酸やグリシジルメタクリレートなどをグラフト重合させたものが挙げられ、ポリアミド系重合体としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66などが挙げられる。
【0022】
箔接着用トナー粒子にホットメルト接着剤が含有されていることによって、低温で加熱した場合においても良好な箔の接着性が得られる。
具体的には、例えば結着樹脂の溶融を促進させることによって一般的にその接着力は高まるが、本発明の画像形成方法において箔接着用トナーの溶融を促進したとしても、溶融したトナーが画像支持体の内部まで浸透してしまうことによって箔接着用トナー画像部に所期の厚みが得られず、従って所期の箔の接着性が得られなかったり、トナーの貯蔵弾性率が低下することによって接着後の箔の保持力が低下し、箔の転写後に転写箔を剥離する際に本来箔接着用トナー画像部に転写されるべき箔が転写されずに剥離されて、転写抜けが生じてしまったりする。
然るに、本発明の箔接着用トナーには、ホットメルト接着剤が含有されていることによって、箔接着用トナーの溶融化によらず良好な接着性が得られる。
【0023】
箔接着用トナー粒子におけるホットメルト接着剤の含有割合は、有効成分として2〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは4.5〜8.5質量%である。
ホットメルト接着剤の含有割合が上記の範囲にあることにより、耐熱保管性および低温での箔の接着性が確実に両立して得られる。一方、ホットメルト接着剤の含有割合が過多である場合は、箔接着用トナーが耐熱保管性に劣るものとなるおそれがあり、また、ホットメルト接着剤の含有割合が過少である場合は、箔接着用トナーに十分な低温での箔の接着性が得られないおそれがある。
【0024】
ホットメルト接着剤のR&B軟化点(Trb)は、結着樹脂の種類によっても異なるが、例えば80〜120℃であることが好ましく、より好ましくは90〜100℃である。
また、ホットメルト接着剤のR&B軟化点(Trb)と結着樹脂の軟化点(Tsp)との差(Tsp−Trb)が5℃以上であることが好ましい。
【0025】
ホットメルト接着剤のR&B軟化点(Trb)は、JIS K6863−1994記載の環球法による軟化点試験方法によって測定されるものである。
【0026】
箔接着用トナーは、着色剤を含むカラートナーであってもよく、透明なクリアトナーであってもよいが、箔画像や可視画像の視認性に対する影響が小さいことから、クリアトナーであることが好ましい。
本発明において、クリアトナーとは、顔料、染料などの着色剤を含まないトナーをいう。ただし、加熱加圧処理して得られる定着層が光吸収や光散乱の作用により色が認識されないものとなるトナーであれば、例えば、顔料、染料などの着色剤を微量含むトナーや、結着樹脂やワックス、外添剤に色を有しているトナーもクリアトナーに含める。
【0027】
〔結着樹脂〕
本発明の箔接着用トナーを構成する箔接着用トナー粒子に含有される結着樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリスルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などの公知の種々の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
結着樹脂としては、接着性樹脂と異なる樹脂を用いることが好ましい。
【0028】
結着樹脂の軟化点は、90〜135℃であることが好ましく、より好ましくは95〜125℃である。
結着樹脂の軟化点が上記の範囲にあることにより、低温で箔を接着させることができて省エネルギー化を図ることができる。
【0029】
結着樹脂の軟化点は、フローテスター法によって測定されたものである。
具体的には、まず、温度20±1℃、相対湿度50±5%RHの環境下において、測定試料をシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、1.1gを測り取り、成型器「SSP−A」(島津製作所社製)によって3tの荷重を30秒間加えることにより、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成する。次いで、この成型サンプルを、温度24±5℃、相対湿度50±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度80℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度T
offsetを、軟化点とした。
【0030】
本発明に係る箔接着用トナー粒子は、コア−シェル構造を有するものであることが好ましく、中でもホットメルト接着剤を含有するコア粒子、および、当該コア粒子の表面を被覆する、ホットメルト接着剤を含有しないシェル層よりなるコア−シェル構造を有するものであることがより好ましく、特に好ましくは、コア粒子にホットメルト接着剤が含有されると共にシェル層にワックスが含有されたコア−シェル構造を有するものである。
上記のコア−シェル構造を有する箔接着用トナー粒子からなる箔接着用トナーによれば、ホットメルト接着剤が箔接着用トナー粒子の表面に露出することがないので耐熱保管性に優れ、さらに、後述する箔画像形成工程において、シェル層に含有されたワックスが先行して溶融するので、優れた定着分離性が得られる。
【0031】
〔箔接着用トナーの作製方法〕
本発明の箔接着用トナーを製造する方法としては、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法などが挙げられる。
これらの中でも、高画質化、高安定性に有利となる粒子径の均一性、形状の制御性、コア−シェル構造形成の容易性の観点より、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された、結着樹脂およびホットメルト接着剤からなる樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒子径となるまで凝集させ、その後または凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
ここで、樹脂微粒子を、任意に離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有したものとしてもよく、組成の異なる樹脂によりなる2層以上の構成とする複数層で形成された複合粒子とすることもできる。
また、凝集時に、異種の樹脂微粒子を添加し、コア−シェル構造のトナー粒子とすることもトナー構造設計の観点から好ましい。
樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法などにより製造、またはいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。樹脂微粒子に内添剤を含有させる場合には、中でもミニエマルション重合法を用いることが好ましい。
箔接着用トナーを、ホットメルト接着剤を含有させた樹脂微粒子を用いて乳化凝集法によって製造することにより、ホットメルト接着剤のトナー粒子の表面への露出を抑制することができるために耐熱保管性が得られる。
【0032】
〔ワックス〕
本発明の箔接着用トナー粒子中にワックスを含有させる場合に用いるワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックス、マイクロクリスタリンワックスなどを挙げることができる。
【0033】
ワックスの融点(Tm)は、ホットメルト接着剤のR&B軟化点(Trb)より低いことが好ましく、より好ましくはTrb−Tm≧5℃である。ワックスの融点(Tm)とホットメルト接着剤のR&B軟化点(Trb)との差が5℃未満である場合は、ワックスの滲みだしと同時にホットメルト接着剤の滲みだしが発生し、定着部材への巻き付きなどが生じて十分な定着分離性が得られないことがある。
【0034】
ワックスの融点(Tm)は吸熱ピークのピークトップの温度を示し、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。
具体的には、ワックス3mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。
【0035】
箔接着用トナー粒子中にワックスを含有させる方法としては、上述のように結着樹脂微粒子をワックスを含有するものとして構成する方法や、箔接着用トナー粒子を形成する会合工程において、水系媒体中にワックス微粒子が分散されてなる分散液を添加し、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とワックス微粒子とを塩析、凝集、融着させる方法などを挙げることができ、これらの方法を組み合わせてもよい。
【0036】
箔接着用トナー粒子中におけるワックスの含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜5質量部とされ、好ましくは1〜3質量部とされる。ワックスの含有割合が結着樹脂100質量部に対して0.5質量部未満であると、十分なオフセット防止効果が得られず、一方、結着樹脂100質量部に対して5質量部より大きいと、得られる箔接着用トナーが透光性や色再現性の低いものとなる。また、ワックスの滲みだしにより、箔80c(
図4参照)の接着が妨げられることがある。
【0037】
〔荷電制御剤〕
本発明の箔接着用トナー粒子中に荷電制御剤を含有させる場合に用いる荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ、無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
箔接着用トナー粒子中における荷電制御剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
箔接着用トナー粒子中に荷電制御剤を含有させる方法としては、上記に示したワックスを含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
【0038】
〔外添剤〕
上記の箔接着用トナー粒子は、そのままで本発明の箔接着用トナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該箔接着用トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明の箔接着用トナーを構成してもよい。
【0039】
外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
また、外添剤としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を用いることもできる。このような有機微粒子としては、具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体からなる微粒子を使用することができる。
【0040】
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、箔接着用トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0041】
〔トナー粒子の粒径〕
以上のような箔接着用トナーを構成する箔接着用トナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは6〜9μmとされる。
箔接着用トナーの体積基準のメジアン径は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。
測定手順としては、測定試料0.02gを、界面活性剤溶液20mL(測定試料の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作成する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5%〜10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャ−径を100μmにし、測定範囲である2.0〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メジアン径(体積D
50%径)とする。
【0042】
〔現像剤〕
本発明の箔接着用トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明の箔接着用トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0043】
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは20〜60μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0044】
〔箔〕
本発明において、「箔」とは、一般の印刷によっては表現が困難な金属感や光沢感を有する文字や絵柄を画像支持体上に付与するために使用されるものである。箔としては、用途に応じて例えば金色や銀色の画像を得るための金銀箔、金属光沢をもったカラー画像を得るためのカラー顔料箔、ホログラム画像を得るためのホログラム箔などの様々な種類のものがあるが、本発明においては用いられる箔の種類は特に限定されるものではない。
【0045】
箔は、転写箔として箔画像形成工程に供せられる。転写箔80は、具体的には、例えば、
図1に示すように、樹脂などからなるフィルム状の支持体80a上に、離型層80bを介して、箔80cが形成された層構造を有するものである。箔80cは、具体的には、離型層80b上に形成される着色剤や金属などを含有する箔層80dと、当該箔層80d上に形成され、接着性を発現する接着層80eとよりなる。
【0046】
支持体80aは、樹脂などからなるフィルムまたはシートや紙からなるものである。支持体80aが樹脂からなるものである場合、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の樹脂材料が挙げられる。
また、支持体80aは、単層構造のものであってもよく、多層構造のものであってもよい。
【0047】
離型層80bは、箔層80dおよび接着層80eからなる箔80cの支持体80aからの良好な剥離性を確保するためのものであって、この離型層80bを構成する材料としては、例えば、メラミンまたはイソシアネートを硬化剤として用いた熱硬化性樹脂、アクリレートまたはエポキシ樹脂を含有した紫外線または電子線硬化性樹脂に例えば、フッ素系またはシリコン系のモノマーまたはポリマーなどの公知のワックスを添加したものなどが挙げられる。
【0048】
箔層80dは、着色剤や金属材料などを含有し、画像支持体上に転写された後は美的外観を発現するものである。
箔層80dは、具体的には、着色層やこれに金属層を積層させたものなどから構成されたものである。
着色層としては、離型層80bからの良好な剥離性や箔画像の形成後における耐久性などの所望の性能を有する公知の樹脂に、必要に応じて公知の染料や顔料などが添加されてなる塗布組成物を、例えば、グラビアコータ、マイクログラビアコータおよびロールコータなどによって支持体80a上の離型層80b上に塗布して乾燥することにより、形成したものなどを挙げることができる。箔層80dを形成するための樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
金属層は、メタリックな光沢を有する層であって、金属を用いて、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法によって形成することができる。金属層を形成するための金属材料としては、例えば、アルミニウム、スズ、銀、クロム、ニッケル、金などの単体の他に、ニッケル−クロム−鉄合金や青銅、アルミ青銅などの合金を用いることができる。金属層は、厚さ約10〜100nmとすることができる。また、金属層としては、例えば、水洗シーラント加工、エッチング加工、レーザ加工などの公知の加工方法を利用して規則的な模様を付与するパターニング処理を施したものとすることもできる。
【0049】
接着層80eは、例えば、加熱により結着性を発現させるいわゆるホットメルトタイプと呼ばれる感熱性の接着剤よりなるものとすることができる。感熱性の接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂およびエチレン−ビニルアルコール共重合体などのホットメルトタイプの接着剤に使用することができる公知の種々の熱可塑性樹脂が挙げられる。
接着層80eを構成する材料としては、より優れた箔の接着性が得られる観点から、箔接着用トナー粒子に含有されるホットメルト接着剤との相溶性の大きなものを用いることが好ましい。
接着層80eは、例えば、グラビアコータ、マイクログラビアコータおよびロールコータなどを用いて、感熱性の接着剤を形成する熱可塑性樹脂を箔層80d上に塗布することにより、形成することができる。
【0050】
〔画像支持体〕
本発明の箔接着用トナーを用いた画像形成方法に使用される画像支持体としては、箔画像および可視画像を保持することができるものであればよく、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、上記の箔接着用トナーを用いて電子写真法によって画像支持体上に箔接着用トナー画像部を形成する工程、前記箔接着用トナー画像部上に、箔を接触させて加熱することにより、前記箔接着用トナー画像部上に箔画像を形成する箔画像形成工程を有する画像形成方法である。
【0052】
本発明の画像形成方法においては、画像支持体上に少なくとも1種の可視画像用トナーを用いて電子写真法によって形成された可視トナー像を、加熱しながら加圧して定着することにより、可視画像を形成する可視画像形成工程を行うこともできる。
通常、この可視画像形成工程は、追い刷り工程とも呼ばれる通り、可視画像を形成した後に箔画像形成工程を行った場合には可視画像上にも箔が接着されてしまうおそれがあるために箔画像形成工程を行った後に行うことが望ましいとされているが、本発明においては、箔画像形成工程に上記のホットメルト接着剤を含有する箔接着用トナーが用いられるために、可視画像用トナーとの間の箔転写に係る加熱温度を大きく乖離させることができる。従って、可視画像を形成した後に箔画像形成工程を行ったとしても可視画像上に箔を接着させない加熱温度において箔の転写を行うことによって箔接着用トナー画像部のみに箔を転写させることができる。その結果、本発明の画像形成方法においては、箔画像形成工程および可視画像形成工程を行う順序は問わず、また、箔画像形成工程および可視画像形成工程を並行して進めることもできる。
以下においては、一般的な箔画像形成工程を行った後に可視画像形成工程を行う場合について説明する。
【0053】
〔画像形成装置〕
本発明の画像形成方法においては、箔画像形成工程および可視画像形成工程は、それぞれ別個の画像形成装置によって行ってもよく、一の画像形成装置によって連続的に行ってもよい。
図2は、本発明の画像形成方法を行うための画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、箔接着用トナーを用いた箔画像形成工程と可視画像用トナーを用いた可視画像形成工程とを連続的に実行することのできるタンデム型のカラー画像形成装置である。
【0054】
この画像形成装置は、箔画像を形成すべき箔接着用トナー像を形成する箔接着用トナー像形成部20Hと、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンまたは黒色のトナー像を形成する有色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkと、これらの箔接着用トナー像形成部20Hまたは有色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて形成されたトナー像を画像支持体P上に転写する中間転写部10と、画像支持体Pに対して加熱しながら加圧してトナー像を定着させる定着装置50と、画像支持体Pに対して転写箔80(
図3参照)を供給する箔転写装置70とを有する。
【0055】
有色トナー像形成部20Yにおいてはイエローのトナー像形成が行われ、有色トナー像形成部20Mにおいてはマゼンタ色のトナー像形成が行われ、有色トナー像形成部20Cにおいてはシアン色のトナー像形成が行われ、有色トナー像形成部20Bkにおいては黒色のトナー像形成が行われる。
【0056】
〔可視画像用トナー〕
本発明の画像形成方法に用いられる可視画像用トナーは、特に限定されずに、一般に公知の静電荷像現像用トナーを用いることができる。
この可視画像用トナーは、所望の画像を得ることができるものであれば特に限定されず、着色剤を含有するカラートナーであってもクリアトナーであってもよいが、着色剤を含有するカラートナーであることが好ましい。
【0057】
箔接着用トナー像形成部20Hは、静電潜像担持体である感光体11Hと、当該感光体11Hの表面に一様な電位を与える帯電手段23Hと、一様に帯電された感光体11H上に所望の形状の静電潜像を形成する露光手段22Hと、箔接着用トナーを感光体11H上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段21Hと、一次転写後に感光体11H上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段25Hとを備えるものである。
【0058】
また、有色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkは、静電潜像担持体である感光体11Y,11M,11C,11Bkと、当該感光体11Y,11M,11C,11Bkの表面に一様な電位を与える帯電手段23Y,23M,23C,23Bkと、一様に帯電された感光体11Y,11M,11C,11Bk上に所望の形状の静電潜像を形成する露光手段22Y,22M,22C,22Bkと、カラートナーを感光体11Y,11M,11C,11Bk上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段21Y,21M,21C,21Bkと、一次転写後に感光体11Y,11M,11C,11Bk上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段25Y,25M,25C,25Bkとを備えるものである。
【0059】
中間転写部10は、中間転写体16と、箔接着用トナー像形成部20Hによって形成された箔接着用トナー像を中間転写体16に転写するための一次転写ローラ13Hと、有色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkによって形成された有色トナー像を中間転写体16に転写するための一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkと、一次転写ローラ13Hによって中間転写体16上に転写された箔接着用トナー像、または、一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkによって中間転写体16上に転写された可視トナー像を箔画像が形成された画像支持体P上に転写する二次転写ローラ13Aと、中間転写体16上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段12とを有する。
中間転写体16は、複数の支持ローラ16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
【0060】
定着装置50は、一対の加熱加圧ローラ51,52が互いに圧接されてその圧接部にニップ部Nが形成された状態に設けられてなるものである。
【0061】
箔転写装置70は、
図3に示されるように、適宜の駆動手段により駆動されて時計方向に回転される箔転写ローラ73aおよび当該箔転写ローラ73aに従動して回転される箔転写ローラ73bが、画像支持体Pに対して供給されるべき箔80cを有する長尺なシート状の転写箔80を介して互いに圧接された状態に設けられていると共に、この転写箔80を走行させる搬送手段79が設けられてなるものである。
この箔転写装置70においては、箔転写ローラ73a,73bが、互いに離間した状態に変更する離間機構(図示せず)が備えられており、当該離間機構は、可視画像形成工程を経て定着装置50から排出された箔画像Sおよび可視画像が形成された画像支持体Pが当該箔転写装置70を通過するときに、箔転写ローラ73a,73bを互いに離間した状態に変更させる。
【0062】
転写箔80を走行させる搬送手段79は、転写箔80が巻きつけられ、転写箔80が弛むことを防止するために逆テンションがかけられた元巻きローラ71Aを有する元巻き部71と、駆動源によって反時計方向(
図4において矢印方向)に回転される巻き取りローラ72Aを有する巻き取り部72とよりなり、転写箔80の走行方向が箔転写ローラ73aの表面の移動方向と同方向となるよう配置されている。
搬送手段79の巻き取りローラ72Aの回転速度は、箔転写ローラ73a,73bの圧接部における転写箔80の搬送速度が、当該圧接部における画像支持体Pの搬送速度と同じとなる速度とされる。
【0063】
箔転写ローラ73a,73bは、加熱加圧ローラと同様の機能を有するものであり、箔転写ローラ73a,73bの少なくともいずれかに、図示しない加熱源が備えられている。
【0064】
〔箔画像形成工程〕
このような画像形成装置においては、まず、箔接着用トナー像形成部20Hにおいて、感光体11H上に帯電手段23Hより帯電され、露光手段22Hにより露光されることにより静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像手段21Hにおいて箔接着用トナーによって現像されることにより箔接着用トナー像が形成され、一次転写ローラ13Hにより中間転写体16上に箔接着用トナー像が転写される。一方、給紙カセット41内に収容された画像支持体Pが、給紙搬送手段42により給紙され、複数の給紙ローラ44a,44b,44c,44dおよびレジストローラ46によって搬送され、二次転写ローラ13Aにおいて当該画像支持体P上に中間転写体16上の箔接着用トナー像が転写される。その後、画像支持体P上に転写された箔接着用トナー像が定着装置50において加圧および加熱により定着されて箔接着用トナー画像部Hが形成される。
【0065】
箔画像形成工程における定着装置50の定着条件は、用いる箔接着用トナーの種類、および次の可視画像形成工程で用いる可視画像用トナーの種類によっても異なるが、例えば以下の通りにすることができる。
・加熱温度:150〜230℃
・ニップ時間:50〜500msec
なお、ニップ時間とは、加熱加圧ローラ51,52のニップ部の搬送方向長さ(mm)/線速(mm/sec)×1000から算出されるものである。
また、箔画像形成工程における加熱温度とは、画像支持体Pの箔接着用トナー像が転写された面に接触する加熱加圧ローラ51の表面温度をいう。
【0066】
箔接着用トナー画像部Hが形成された画像支持体Pは、箔転写装置70において、搬送手段79によって、元巻きローラ71Aに巻回されている状態の転写箔80が、巻き取りローラ72Aが駆動されて回転され、巻き取られることにより、搬送路に沿って箔転写ローラ73a,73bの圧接部を通過するよう搬送される。
箔転写ローラ73a,73bの圧接部においては、
図4に示されるように、箔接着用トナー画像部Hが形成された画像支持体P(
図4(a))上に、搬送された転写箔80が接触して積層され(
図4(b))、この状態において箔転写ローラ73a,73bにより加熱され(
図4(c))、箔転写ローラ73a,73bの圧接部の通過後に自然冷却されることによって箔80cが箔接着用トナー画像部H上に接着され、転写箔80の箔80cにおける箔接着用トナー画像部Hに接触されなかった部分が剥離されることによって(
図4(d))、当該箔接着用トナー画像部Hの形状と一致した形状の箔画像Sが形成される(
図4(e))。
転写箔80の箔80cにおける箔接着用トナー画像部Hに接触されなかった部分は、支持体80aおよび離型層80bと共に巻き取りローラ72Aに巻き取られる。
【0067】
箔転写装置70における定着条件は、用いる箔接着用トナーの種類によっても異なるが、例えば以下の通りにすることができる。
・加熱温度:100〜180℃
・ニップ時間:50〜500msec
なお、ニップ時間とは、箔転写ローラ73a,73bの圧接部の搬送方向長さ(mm)/線速(mm/sec)×1000から算出されるものである。
また、加熱温度とは、画像支持体Pの箔接着用トナー画像部Hが形成された面に接触する箔転写ローラ73aの表面温度をいう。加熱温度は、低温定着性を得る観点より、100〜140℃とされることが好ましい。
【0068】
〔可視画像形成工程〕
箔画像Sが形成された画像支持体Pは、一度排紙ローラ47を有する排紙搬送路に一旦搬送された後、逆方向に搬送されて分岐板49により排紙搬送路より分岐させて搬送路48a,48bを経由して二次転写ローラ13Aに搬送され、可視トナー像が転写される。
具体的には、有色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて、感光体11Y,11M,11C,11Bk上に帯電手段23Y,23M,23C,23Bkより帯電され、露光手段22Y,22M,22C,22Bkにより露光されることにより静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像手段21Y,21M,21C,21Bkにおいて可視画像用トナーによって現像されることにより各色の可視トナー像が形成され、一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkにより各色の可視トナー像が順次に重ね合わされて中間転写体16上に転写され、そして、二次転写ローラ13Aによって、中間転写体16上に転写された各色の可視トナー像が、箔画像Sが形成された画像支持体P上に一括して転写される。
箔画像Sが形成された画像支持体P上に転写された各色の可視トナー像は、定着装置50において加熱されながら加圧される加熱加圧処理により定着されて可視画像が形成され、その後、箔画像Sおよび可視画像が形成された画像支持体Pが、箔転写装置70の離間された状態とされた箔転写ローラ73a,73b間を通過し、さらに、排紙ローラ47によって機外に排出されて排紙トレイ60上に載置される。
可視画像形成工程において、可視画像は、画像支持体P上の箔画像Sが形成されていない領域に形成してもよく、画像支持体P上の箔画像S上に形成してもよい。
【0069】
可視画像形成工程における定着装置50の定着条件は、加熱温度が150〜230℃、好ましくは160〜190℃であり、かつ、ニップ時間が10〜300msec、より好ましくは20〜70msecである。
なお、可視画像形成工程における加熱温度とは、画像支持体Pの可視トナー像が転写された面に接触する加熱加圧ローラ51の表面温度をいう。
【0070】
箔接着用トナー像を中間転写体16に転写させた後の感光体11Hは、クリーニング手段25Hにより当該感光体11Hに残留したトナーを除去した後に、次の箔接着用トナー像の形成に供される。
また、各色の可視トナー像を中間転写体16に転写させた後の感光体11Y,11M,11C,11Bkは、それぞれクリーニング手段25Y,25M,25C,25Bkにより当該感光体11Y,11M,11C,11Bkに残留したトナーを除去した後に、次の各色の可視トナー像の形成に供される。
一方、二次転写ローラ13Aにより画像支持体P上に箔接着用トナー像または各色の可視トナー像を転写した後の中間転写体16は、クリーニング手段12により当該中間転写体16上に残留したトナーを除去した後に、次の箔接着用トナー像または各色の可視トナー像の中間転写に供される。
【0071】
以上のような箔接着用トナーおよびこれを用いた画像形成方法によれば、結着樹脂の軟化点(Tsp)よりもR&B軟化点(Trb)が低い特定の重合体からなる接着性樹脂を含有するので、温度に依存せず広い温度域で忠実な箔転写が可能であり、従って、低温で加熱した場合においても良好な箔80cの接着性が得られる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
【0073】
例えば、箔画像形成工程において箔接着用トナー画像部Hは、未定着の箔接着用トナー粉体よりなるものとして、定着装置50において加熱されず、箔転写装置70に搬送されて箔80cが転写されてもよい。
具体的には、定着装置50を、加熱加圧ローラ51,52が互いに離間した状態に変更する離間機構(図示せず)が備えられたものとして構成し、当該離間機構は、未定着の箔接着用トナー像が転写された画像支持体Pが当該定着装置50を通過するときに、加熱加圧ローラ51,52を互いに離間した状態に変更させるものとする。
このような構成を有することによって、ホットメルト接着剤が定着装置50の加熱加圧ローラ51,52に付着してこれらを汚染してしまうことを防止することができる。
【0074】
また例えば、本発明の画像形成方法においては、箔画像形成工程および可視画像形成工程を並行して行うことができる。
具体的には、まず、箔接着用トナー像形成部20Hおよび有色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて各々形成された箔接着用トナー像が一次転写ローラ13Hによって中間転写体16上に転写されると共に、各色の可視トナー像が一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkによって中間転写体16上に順次に重ね合わされて転写され、これらが画像支持体P上に一括して転写され、その後、画像支持体P上に転写された箔接着用トナー像および各色の可視トナー像が定着装置50において加圧および加熱により定着されて箔接着用トナー画像部Hおよび可視画像が形成され、さらに、箔転写装置70において、箔80cが箔接着用トナー画像部H上のみに接着され、転写箔80の箔80cにおける箔接着用トナー画像部Hに接触されなかった部分が、可視画像に接触された部分も含めて剥離されることによって、当該箔接着用トナー画像部Hの形状と一致した形状の箔画像Sが形成される。
【0075】
この場合の箔転写装置70における加熱温度は、用いる箔接着用トナーおよび可視画像用トナーの種類によっても異なるが、箔接着用トナーを構成する箔接着用トナー粒子に含有されるホットメルト接着剤の融点以上であり、かつ、可視画像用トナーの軟化点未満とすればよい。これにより、箔接着用トナー画像部Hのみに箔80cを転写させることができる。
【0076】
さらに例えば、本発明の画像形成方法においては、可視画像形成工程の後に箔画像形成工程を行うことができる。
この場合も、箔転写装置70における加熱温度を調整することにより、箔接着用トナー画像部Hのみに箔80cを転写させることができる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0078】
<樹脂粒子分散液A1の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1350mLに溶解させた溶液を仕込み、82℃に加熱後、スチレン130g、n−ブチルアクリレート47g、メタクリル酸12g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)86gを85℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)を用いて15分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム7gをイオン交換水125mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔a1〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔a1〕に過硫酸カリウム11gをイオン交換水210mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン400g、n−ブチルアクリレート146g、メタクリル酸38gおよびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート14gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔A1〕を得た。樹脂粒子分散液〔A1〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は120℃であった。
【0079】
<樹脂粒子分散液B1の調製>
樹脂粒子分散液A1の調製において、「HNP−0190」86gの代わりに「HNP−0190」43gとホットメルト接着剤「HM223」(セメダイン社製、主成分:エチレン−酢酸ビニル共重合体)43gとを用いたことの他は同様にして、樹脂粒子分散液〔B1〕を得た。樹脂粒子分散液〔B1〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は119℃であった。
【0080】
<樹脂粒子分散液B2の調製>
樹脂粒子分散液B1の調製において、ホットメルト接着剤「HM223」43gの代わりにホットメルト接着剤を「PPET1008」(東亜合成社製、主成分:変性オレフィン系重合体)43gを用いたことの他は同様にして、樹脂粒子分散液〔B2〕を得た。樹脂粒子分散液〔B2〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は119℃であった。
【0081】
<樹脂粒子分散液B3の調製>
樹脂粒子分散液B1の調製において、ホットメルト接着剤「HM223」43gの代わりにホットメルト接着剤を「マクロメルト6301」(ヘルケルジャパン社製、主成分:ポリアミド系重合体)43gを用いたことの他は同様にして、樹脂粒子分散液〔B3〕を得た。樹脂粒子分散液〔B3〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は119℃であった。
【0082】
<樹脂粒子分散液B4の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1246mLに溶解させた溶液を仕込み、82℃に加熱後、スチレン133g、n−ブチルアクリレート48.5g、メタクリル酸12.6g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)43g、ホットメルト接着剤「エバーグリップ290B」(東亜合成社製、主成分:エチレン−酢酸ビニル共重合体)15.4gを85℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)を用いて15分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム7gをイオン交換水126mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔b4〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔b4〕に過硫酸カリウム11gをイオン交換水215mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン415g、n−ブチルアクリレート152g、メタクリル酸39gおよびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート14gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔B4〕を得た。樹脂粒子分散液〔B4〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は120℃であった。
【0083】
<樹脂粒子分散液B5の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1284mLに溶解させた溶液を仕込み、82℃に加熱後、スチレン131g、n−ブチルアクリレート48g、メタクリル酸12g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)43g、ホットメルト接着剤85℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)を用いて「エバーグリップ290B」(東亜合成社製)26gを15分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム7gをイオン交換水126mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔b5〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔b5〕に過硫酸カリウム11gをイオン交換水215mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン410g、n−ブチルアクリレート150g、メタクリル酸39gおよびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート14gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔B5〕を得た。樹脂粒子分散液〔B5〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は120℃であった。
【0084】
<樹脂粒子分散液B6の調製>
樹脂粒子分散液B1の調製において、ホットメルト接着剤「HM223」43gの代わりにホットメルト接着剤「エバーグリップ290B」(東亜合成社製)43gを用いたことの他は同様にして、樹脂粒子分散液〔B6〕を得た。樹脂粒子分散液〔B6〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は120℃であった。
【0085】
<樹脂粒子分散液B7の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1450mLに溶解させた溶液を仕込み、82℃に加熱後、スチレン125g、n−ブチルアクリレート45g、メタクリル酸12g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)43g、ホットメルト接着剤「エバーグリップ290B」(東亜合成社製)69gを88℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)により30分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水119mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔b7〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔b7〕に過硫酸カリウム11gをイオン交換水200mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン388g、n−ブチルアクリレート142g、メタクリル酸37およびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート13gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔B7〕を得た。樹脂粒子分散液〔B7〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は120℃であった。
【0086】
<樹脂粒子分散液B8の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1510mLに溶解させた溶液を仕込み、85℃に加熱後、スチレン121g、n−ブチルアクリレート44g、メタクリル酸12g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)43g、ホットメルト接着剤「エバーグリップ290B」(東亜合成社製)86gを88℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)を用いて15分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水116mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔b8〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔b8〕に過硫酸カリウム10gをイオン交換水198mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン379g、n−ブチルアクリレート138g、メタクリル酸36gおよびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート13gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔B8〕を得た。樹脂粒子分散液〔B8〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は121℃であった。
【0087】
<樹脂粒子分散液B9の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1284mLに溶解させた溶液を仕込み、85℃に加熱後、スチレン121g、n−ブチルアクリレート44g、メタクリル酸11g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)43g、ホットメルト接着剤「エバーグリップ290B」(東亜合成社製)90gを88℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)を用いて15分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水116mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔b9〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔b9〕に過硫酸カリウム10gをイオン交換水197mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン377g、n−ブチルアクリレート137g、メタクリル酸36gおよびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート13gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔B9〕を得た。樹脂粒子分散液〔B9〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は121℃であった。
【0088】
<樹脂粒子分散液B10の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1350mLに溶解させた溶液を仕込み、85℃に加熱後、スチレン123g、n−ブチルアクリレート47g、メタクリル酸9.8g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、マイクロクリスタリンワックス「HNP−0190」(日本精蝋社製)43g、ホットメルト接着剤「エバーグリップ290B」(東亜合成社製)43gを82℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)により30分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6.5gをイオン交換水123mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔b10〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔b10〕に過硫酸カリウム11gをイオン交換水209mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン409g、n−ブチルアクリレート146.4g、メタクリル酸30gおよびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート14gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔B10〕を得た。樹脂粒子分散液〔B10〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は117℃であった。
【0089】
<樹脂粒子分散液C1の調製>
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1.0gをイオン交換水1120mLに溶解させた溶液を仕込み、82℃に加熱後、スチレン136g、n−ブチルアクリレート49g、メタクリル酸13g、n−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート0.5g、ホットメルト接着剤「HM223」(セメダイン社製)43gを85℃にて溶解させた重合性単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CREARMIX)」(エム・テクニック社製)により20分間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム7gをイオン交換水130mL溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子分散液〔c1〕を調製した。
(第2段重合)
上記の樹脂粒子分散液〔c1〕に過硫酸カリウム12gをイオン交換水220mLに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、スチレン423g、n−ブチルアクリレート155g、メタクリル酸40gおよびn−オクチル−3−メルカプト−プロピオネート14gからなる重合性単量体溶液を2.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂粒子分散液〔C1〕を得た。樹脂粒子分散液〔C1〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)は121℃であった。
【0090】
以下に、樹脂粒子分散液〔A1〕、〔B1〕〜〔B8〕、〔C1〕中の樹脂粒子の軟化点(Tsp)およびホットメルト接着剤のR&B軟化点(Trb)を表1に示した。
【0091】
【表1】
【0092】
<トナー粒子の作製例1:実施例1>
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、樹脂粒子分散液〔B1〕400g(固形分換算)と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gとイオン交換水1030gとを仕込み、液温を25℃に調整した後、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム65gをイオン交換水65mLに溶解した水溶液を、撹拌下、30分間かけて添加し、3分間保持した後に昇温を開始し、この系を粒径が3μmに達する温度まで昇温し、その温度を保持したまま回転数を下げて粒子成長反応を継続させた。
この状態で、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム180gをイオン交換水740mLに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、熟成工程として液温度84℃にて加熱撹拌することにより、「FPIA−2100」(シスメックス社製)による測定で平均円形度0.920になるまで、粒子間の融着を進行させつつ、トナー粒子を形成させ、その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。
上記の工程にて生成したトナー粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が1.0質量%となるまで乾燥してトナー粒子〔1〕を得た。
このトナー粒子〔1〕100質量部に、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)1.0質量部と、n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm)0.3質量部とからなる外添剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)を用いて外添剤処理を行うことにより箔接着用トナー〔1〕を作製した。
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件の下で行った。
【0093】
<トナー粒子の作製例2:実施例2>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B2〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔2〕を得た。
【0094】
<トナー粒子の作製例3:実施例3>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B3〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔3〕を得た。
【0095】
<トナー粒子の作製例4:
参照例1>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B4〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔4〕を得た。
【0096】
<トナー粒子の作製例5:実施例
4>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B5〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔5〕を得た。
【0097】
<トナー粒子の作製例6:実施例
5>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B6〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔6〕を得た。
【0098】
<トナー粒子の作製例7:実施例
6>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B7〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔7〕を得た。
【0099】
<トナー粒子の作製例8:実施例
7>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B8〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔8〕を得た。
【0100】
<トナー粒子の作製例9:
参照例2>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B9〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔9〕を得た。
【0101】
<トナー粒子の作製例10:実施例
8>
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5リットルの反応容器に、樹脂粒子分散液〔C1〕320g(固形分換算)と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gとイオン交換水1500gとを仕込み、液温を25℃に調整した後、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム41gをイオン交換水41mLに溶解した水溶液を、撹拌下、30分間かけて添加し、3分間保持した後に昇温を開始し、この系を粒径が3μmに達する温度まで昇温し、その温度を保持したまま回転数を下げて粒子成長反応を継続させた。
この状態で、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、所望の粒子径になった時点で回転数を上げて粒子成長を停止させた。
次いで、樹脂粒子分散液〔A1〕80g(固形分換算)と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム1gとイオン交換水110gとを仕込み、系に40分間かけて添加した。得られた分散液を少量サンプリングして遠心分離機にかけ、上澄みが透明になっていることを確認後、回転数を上げ、塩化ナトリウム180gをイオン交換水740mLに溶解した水溶液を添加してシェル化を完了させ、さらに、熟成工程として円形度が連続的に増加する温度まで加熱し、その温度を保持することにより、「FPIA−2100」(シスメックス社製)による測定で平均円形度0.920になるまで、粒子間の融着を進行させつつ、トナー粒子を形成させ、その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。
上記の工程にて生成したトナー粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が1.0質量%となるまで乾燥してトナー粒子〔10〕を得た。
このトナー粒子〔10〕100質量部に、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)1.0質量部と、n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm)0.3質量部とからなる外添剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)を用いて外添剤処理を行うことにより箔接着用トナー〔10〕を作製した。
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件の下で行った。
【0102】
<トナー粒子の作製例11:比較例1>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔A1〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔11〕を得た。
【0103】
<トナー粒子の作製例12:比較例2>
トナー粒子の作製例1において、樹脂粒子分散液〔B1〕の代わりに樹脂粒子分散液〔B10〕を用いたことの他は同様にして、トナー粒子〔12〕を得た。
【0104】
〔現像剤の調製例1〜
12〕
製造された箔接着用トナー〔1〕〜〔
12〕について、アクリル共重合体樹脂を被覆した体積基準のメジアン径が50μmのフェライトキャリアを、V型混合機を用いて、前記箔接着用トナーの濃度が6質量%になるよう混合し、箔接着用現像剤〔1〕〜〔
12〕を調製した。
【0105】
<評価>
(1)耐熱保管性
上記のトナー〔1〕〜〔
12〕について、それぞれ、トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めてタップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業社製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(日開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないよう注意しながら載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存した残存トナー量を測定し、下記式(1)によりトナー凝集率を算出し、これにより評価した。結果を表2に示す。
式(1):トナー凝集率(質量%)={残存トナー量(g)/0.5(g)}×100
なお、トナー凝集率が15質量%未満である場合が優良(◎)、15質量%以上20質量%以下である場合が良好(○)として判断され、20質量%を超える場合は、実用上使用不可であり、不合格と判断される。
【0106】
(2)箔の接着性
箔接着用トナー〔1〕〜〔
12〕による箔接着用現像剤〔1〕〜〔
12〕を用いて、
図5(a)に示す意匠の箔画像Saおよび
図5(b)に示す意匠の箔画像Sbを有するテスト画像が形成されたプリント〔1〕〜〔11〕を作製し、当該プリントについて評価した。なお、
図5(a)、(b)における黒塗り部分が箔接着用トナーによって箔が接着される部分を示す。
なお、箔接着用トナー〔12〕による箔接着用現像剤〔12〕を用いた場合、上加熱加圧ローラへの巻き付きが発生したためにプリント〔12〕を作製することはできなかった。
プリントは、具体的には、
図2に示す画像形成装置を用いて箔接着用トナー像形成部のみを用いて形成した。
画像支持体(P)としては、市販のA3サイズの画像支持体「OKトップコート+」(王子製紙社製、坪量:157g/m
2 、紙厚:131μm)を用いた。
箔接着用トナー像形成部における箔接着用トナーの供給量を4g/m
2 に設定した。
転写箔としては、(株)村田金箔製の「BL 2号金2.8」を使用した。
箔転写装置は、外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上に厚さ3mmのシリコーンゴム層およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)よりなる被覆層がこの順に配置されてなる箔転写ローラ(上)と、外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上に厚さ3mmのシリコーンゴム層が配置されてなる箔転写ローラ(下)とを備え、各箔転写ローラの内部に、加熱源としてハロゲンランプが各々配置され、サーミスタにより温度制御されるものである。
【0107】
箔画像形成工程の定着装置における条件は以下の通りである。
・上加熱加圧ローラの表面温度:箔転写ローラ(上)の表面温度と同じに設定
・下加熱加圧ローラの表面温度:100℃に設定
・ニップ幅(ニップ部の搬送方向長さ):7mm
・画像支持体の搬送速度(線速):230mm/sec
・ニップ時間:30.4msec
・画像支持体の搬送方向:縦方向
・環境:常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)
【0108】
箔画像形成工程の箔転写装置における条件は以下の通りである。
・箔転写ローラ(上)の表面温度:表1に従って設定
・箔転写ローラ(下)の表面温度:100℃に設定
・ニップ幅(ニップ部の搬送方向長さ):7mm
・画像支持体の搬送速度(線速):230mm/sec
・ニップ時間:30.4msec
・画像支持体の搬送方向:縦方向
・環境:常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)
【0109】
得られたプリント〔1〕〜〔11〕について、テスト画像の箔画像Sa、Sbを、肉眼および倍率10倍のルーペで観察し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。なお、「◎」または「○」である場合は実用上問題ないと判断され、「△」、「×」または「*」である場合は実用に耐えないと判断される。「◎」または「○」となる箔転写ローラ(上)の温度幅が30℃以上ある場合を合格レベルとする。
−評価基準−
◎:ルーペ観察でも箔の欠落が認められない。
○:箔画像(a)、(b)のいずれかに、肉眼観察では認められなかったが、ルーペ観察により1箇所または2箇所の箔の欠落が認められる。
△:肉眼観察で1箇所ないし2箇所の箔の欠落が認められる。
×:肉眼観察で3箇所以上の箔の欠落が認められる。
*:箔転写ローラ(上)に巻き付きが発生した。
【0110】
上記トナー〔1〕〜〔
12〕の構成および評価結果について、下記表2に示す。
【0111】
【表2】