(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたアンテナ昇降装置では、アンテナアームの長さ方向の中間部分に設けた回動軸を中心にして、アンテナアームが回動し、アンテナの仰角を調整する。このため、アンテナの仰角の調整によって、測定用アンテナの基準点が、測定距離方向(水平方向)および高さ方向に対して位置ずれを起こす。この位置ずれによる誤差がエミッション測定結果に影響を与えて、測定不確かさが増加するため、測定結果の修正が必要になるという問題がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、アンテナの基準点の位置を保持した状態でアンテナの仰角を調整することができるアンテナ昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、被測定物の電磁特性を測定するアンテナを備え、該アンテナの仰角が調整可能なアンテナ昇降装置において、上,下方向に延びて設けられたアンテナマストと、該アンテナマストに沿って上,下方向に昇降可能に設けられたアンテナベースと、該アンテナベースに設けられ被測定物に向けて延び先端側に前記アンテナが設けられたアンテナアームと、前記アンテナの基準点を中心として前記アンテナの仰角が変更可能となるように該アンテナアームの回動変位を案内する回動案内機構と、前記アンテナアームの回動角を設定する回動角設定機構と、を備え
、前記回動案内機構は、前記アンテナベースに設けられ前記アンテナの基準点を中心とした互いに異なる半径の円弧に沿って延びる複数の円弧状ガイドと、前記アンテナアームに設けられ前記複数の円弧状ガイドとそれぞれ係合して前記アンテナアームの回動変位を許す複数の回動キーとによって構成され、前記回動角設定機構は、上,下方向に延びて設けられたガイドマストと、該ガイドマストに沿って上,下方向に昇降可能に設けられたガイドベースと、前記アンテナアームに設けられ前記アンテナアームの長さ方向に沿って延びる直線状ガイドと、前記ガイドベースに設けられ該直線状ガイドと係合して前記ガイドベースの高さ位置に応じて前記アンテナアームの回動角を設定する直動キーとによって構成されたことを特徴としている。
【0009】
請求項
2の発明では、前記円弧状ガイドは、前記アンテナベースに設けられ前記アンテナの基準点を中心とした円弧に沿って配置された一側歯車によって構成し、前記回動キーは、前記アンテナアームに設けられ前記一側歯車に噛合する他側歯車によって構成している。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、回動案内機構によってアンテナの基準点を中心としてアンテナアームの回動変位を案内し、回動角設定機構によってアンテナアームの回動角を設定することができる。このため、アンテナアームの回動角に応じて、アンテナの仰角を調整することができる。また、回動案内機構はアンテナの基準点を中心としてアンテナアームの回動変位を案内するから、アンテナの基準点の位置を保持した状態でアンテナの仰角を調整することができる。このため、アンテナの仰角を変更しても、アンテナの基準点が位置ずれすることがないから、位置ずれに伴う測定誤差を低減することができる。
【0011】
また、回動案内機構は、アンテナベースに設けられアンテナの基準点を中心とした
互いに異なる半径の円弧に沿って延びる
複数の円弧状ガイドと、アンテナアームに設けられ
複数の円弧状ガイドと
それぞれ係合
してアンテナアームの回動変位を許す複数の回動キーとによって構成した。このため、回動案内機構は、
複数の回動キーが
複数の円弧状ガイドに沿って移動することによって、アンテナの基準点を中心としてアンテナアームを回動変位させることができる。
【0012】
さらに、回動角設定機構は、ガイドマストに沿って上,下方向に昇降可能に設けられたガイドベースを備えるから、ガイドマストに沿ってガイドベースを上,下方向に変位させることによって、ガイドベースをアンテナベースに対して上,下方向に相対変位させることができる。このとき、ガイドベースにはアンテナアームに設けられた直線状ガイドと係合する直動キーを設けたから、直動キーを介してアンテナアームの直線状ガイドを上,下方向に変位させることができる。この結果、回動案内機構によってアンテナの基準点を中心としてアンテナアームを回動させることができ、ガイドベースの上,下方向の位置に応じて、アンテナの仰角を設定することができる。
【0013】
請求項
2の発明によれば、円弧状ガイドは、アンテナベースに設けられ円弧に沿って配置された一側歯車によって構成し、回動キーは、アンテナアームに設けられ一側歯車に噛合する他側歯車によって構成したから、アンテナアームを回動させたときには、他側歯車が一側歯車に噛合しながら回転し、一側歯車の円弧に沿って移動する。また、円弧状ガイドとなる一側歯車に回動キーとなる他側歯車が噛合するから、これらの間の静止摩擦力を大きくすることができる。このため、意図しないアンテナアームの回動変位を抑えることができ、測定途中での不要なアンテナの仰角変化を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態によるアンテナ昇降装置を添付図面に従って詳細に説明する。
【0016】
図1ないし
図6は、第1の実施の形態によるアンテナ昇降装置を示している。ここで、電波無響室1は、前,後,左,右の壁面および天井面に電波吸収体2が設けられると共に、床面3には回転軸O−Oを中心に回転可能なターンテーブル4が設けられる。そして、ターンテーブル4には、電子機器等の被測定物5(EUT)が載置される。
【0017】
アンテナ昇降装置11は、ターンテーブル4と離間した位置で電波無響室1内に設けられる。このアンテナ昇降装置11は、後述のアンテナマスト13、アンテナベース14、アンテナアーム17、回動案内機構22、回動角設定機構25等によって構成される。
【0018】
アンテナ昇降装置11の基台12は、床面3に設けられ、その上部にアンテナマスト13とガイドマスト26が立設される。
【0019】
アンテナマスト13は、床面3に対して垂直に延びた状態で基台12に配設される。このアンテナマスト13は、断面略四角形状に形成され、床面3から天井に向けて上,下方向に伸長する。
【0020】
アンテナベース14は、アンテナマスト13に沿って上,下方向(
図2中の矢示A方向)に昇降可能に設けられる。このアンテナベース14は、アンテナマスト13を取囲む四角形の枠形状をなすベース本体15と、ベース本体15の前,後にそれぞれ取付けられたベース垂直板16とによって構成される。アンテナベース14は、例えばアンテナマスト13や基台12に設けられたプーリ、ベルト、モータ等の昇降機構(図示せず)によって上,下方向に移動する。
【0021】
ベース垂直板16は、左,右方向と上,下方向に広がる平板状に形成され、床面3に対して垂直方向に延びる。ベース垂直板16は、前,後方向でベース本体15を挟み、互いに平行な状態でベース本体15に2枚取付けられる。これらのベース垂直板16には、後述する円弧状ガイド23が形成される。
【0022】
アンテナアーム17は、左,右方向に延びた平面コ字状に形成され、アンテナベース14を前,後方向から挟んだ状態でアンテナベース14に取付けられる。このアンテナアーム17は、2本の腕部17Aと、これら2本の腕部17Aを被測定物5に近い先端側(
図3中の左側)で連結する連結部17Bとによって構成される。
【0023】
腕部17Aの長さ方向の途中位置には、ベース垂直板16の円弧状ガイド23に係合する後述の回動キー24が設けられる。腕部17Aの基端側(
図3中の右側)には、後述する直線状ガイド28が形成される。そして、アンテナアーム17は、円弧状ガイド23と回動キー24とからなる回動案内機構22によって、アンテナベース14に回動可能に取付けられる。
【0024】
アンテナ18は、被測定物5の電磁特性を測定する。このアンテナ18は、被測定物5から放射される例えば数百MHzや数GHzの信号を受信する。アンテナ18は、支持軸19を介してアンテナアーム17の連結部17Bに取付けられる。具体的には、アンテナ18は、支持軸19の先端部に設けられ、メインビームが支持軸19の延長線に沿うような指向性を有する。このとき、アンテナ18の基準点Pは、例えば支持軸19の先端部に配置される。
【0025】
また、支持軸19の基端側は、アンテナアーム17の連結部17Bに回転可能に軸支されると共に、ピニオン20を備える。このピニオン20は、連結部17Bの上部に設けられたラック21と噛合する。このため、ラック21が連結部17Bに対して前,後方向に平行移動すると、支持軸19を中心としてピニオン20とアンテナ18が回転し、アンテナ18の偏波(例えば、水平偏波、垂直偏波等)が切り換わる。
【0026】
回動案内機構22は、アンテナ18の基準点Pを中心としてアンテナ18の仰角θが変更可能となるようにアンテナアーム17の回動変位を案内する。この回動案内機構22は、アンテナベース14に設けられアンテナ18の基準点Pを中心とした円弧に沿って延びる円弧状ガイド23と、アンテナアーム17に設けられ円弧状ガイド23と係合してアンテナアーム17の回動変位を許す回動キー24とによって構成される。
【0027】
円弧状ガイド23は、ベース垂直板16に設けられた円弧状溝によって構成される。この円弧状ガイド23は、前,後のベース垂直板16にそれぞれ設けられると共に、各ベース垂直板16に基準点Pを中心とした互いに異なる半径の円弧に沿って例えば2本ずつ設けられる。
【0028】
回動キー24は、アンテナアーム17の腕部17Aのうちベース垂直板16と対向した内面側に設けられ、腕部17Aからベース垂直板16に向けて突出した円柱状の突起によって構成される。この回動キー24は、円弧状ガイド23に対応して前,後の腕部17Aに2個ずつ設けられる。これらの回動キー24は、円弧状ガイド23に対応した位置に配置され、円弧溝からなる円弧状ガイド23内に挿入される。
【0029】
アンテナアーム17が回動するときには、回動キー24が円弧状ガイド23に沿って移動する。これにより、アンテナアーム17は、アンテナ18の基準点Pを中心として回動変位する。
【0030】
なお、回動案内機構22は、4組の円弧状ガイド23および回動キー24によって構成したが、1組の円弧状ガイド23および回動キー24によって構成してもよく、2組、3組または5組以上の円弧状ガイド23および回動キー24によって構成してもよい。回動動作に伴うアンテナ18の基準点Pの変位等を抑制するためには、回動案内機構22は、複数組の円弧状ガイド23および回動キー24によって構成するのが好ましい。
【0031】
回動角設定機構25は、アンテナアーム17の回動角を設定する。この回動角設定機構25は、上,下方向に延びて設けられたガイドマスト26と、ガイドマスト26に沿って上,下方向に昇降可能に設けられたガイドベース27と、アンテナアーム17に設けられアンテナアーム17の長さ方向に沿って直線状に延びる直線状ガイド28と、ガイドベース27に設けられ直線状ガイド28と係合してアンテナアーム17の回動角を設定する直動キー29とによって構成される。
【0032】
ガイドマスト26は、アンテナマスト13の近傍に位置して基台12に立設される。このガイドマスト26は、断面略四角形状に形成され、床面3から天井に向けて上,下方向に伸長する。
【0033】
ガイドベース27は、ガイドマスト26を取囲む四角形の枠形状に形成される。このガイドベース27は、アンテナベース14に対して上,下方向に相対変位可能に設けられる。ガイドベース27は、例えばガイドマスト26や基台12に設けられたプーリ、ベルト、モータ等の昇降機構(図示せず)によって上,下方向に移動する。
【0034】
直線状ガイド28は、腕部17Aに設けられた直線状溝によって構成される。この直線状ガイド28は、前,後の腕部17Aにそれぞれ設けられ、アンテナアーム17の長さ方向に沿って直線状に延びる。
【0035】
直動キー29は、アンテナアーム17の腕部17Aに向けて突出した円柱状の突起によって構成される。この直動キー29は、ガイドベース27の前面および後面にそれぞれ設けられる。これらの直動キー29は、直線状ガイド28と対応した位置に配置され、直線状溝からなる直線状ガイド28内に挿入される。
【0036】
ガイドベース27をアンテナベース14に対して上,下方向に相対変位させると、直動キー29によってアンテナアーム17の直線状ガイド28が上,下方向に移動する。これにより、アンテナアーム17は回動変位する。
【0037】
ここで、アンテナアーム17が回動変位するのに対して、直動キー29は上,下方向に直線状に変位するから、アンテナアーム17の回動変位に伴って、アンテナアーム17と直動キー29との相対位置が変化する。このとき、直動キー29は直線状ガイド28に係合しているから、アンテナアーム17が回動するときには、直動キー29が直線状ガイド28に沿って移動する。これにより、アンテナアーム17と直動キー29との相対位置の変化を許容し、直動キー29が基準点Pを中心とした半径方向に変動するのを調整することができる。
【0038】
また、アンテナベース14に対するガイドベース27の位置に応じて、アンテナアーム17の回動角が設定される。このとき、アンテナアーム17の回動角はアンテナ18の仰角θと一致するから、アンテナアーム17の回動角に応じてアンテナ18の仰角θを設定することができる。
【0039】
本実施の形態によるアンテナ昇降装置11は上述のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
【0040】
被測定物5の放射エミッション測定を行うときには、まずターンテーブル4に被測定物5を載置すると共に、回転軸O−Oとアンテナ18の基準点Pとの距離寸法Lを予め定められた値に設定する。
【0041】
次に、ラック21によってアンテナ18の偏波面を水平偏波または垂直偏波のいずれか(例えば水平偏波)に固定する。その後、アンテナベース14とガイドベース27を用いてアンテナ18を上,下方向に移動させ、アンテナ18を最も低い位置に固定する。このとき、アンテナ18の高さ寸法Hは、例えば床面3から1m程度に設定される。また、ガイドベース27はアンテナベース14の右下近傍に配置し、アンテナアーム17を水平状態にし、アンテナ18の仰角θは例えば0度に設定する(
図3参照)。この状態で、アンテナ18に接続されたネットワークアナライザ(図示せず)等を用いて、被測定物5からの最大放射ノイズを測定する。
【0042】
このようにして、1つの高さ位置で放射エミッション測定が終了したら、アンテナ18の高さ寸法Hを最も低い位置よりも高くする。アンテナ18の高さを固定したら、アンテナベース14に対してガイドベース27を上側に変位させる。これにより、連結部17Bに比べて直線状ガイド28が上側に位置するから、アンテナアーム17は回動変位して傾斜状態になる(
図4参照)。そこで、アンテナ18のメインビームが被測定物5の中心位置に向かうように、アンテナ18の仰角θを設定する。
【0043】
このとき、アンテナアーム17は、アンテナ18の基準点Pを中心として回動するから、アンテナ18の仰角θを変化させても、アンテナ18の基準点Pと被測定物5との間の距離寸法Lおよび床面3からの高さ寸法Hは変化せず、ほぼ一定の値に保持される。そして、アンテナ18の仰角θが所望の値になると、仰角θを保持した状態で、前述と同様に、被測定物5からの最大放射ノイズを測定する。
【0044】
以上の測定動作を最も高い位置(例えば4m)まで繰り返す。このとき、アンテナ18が高くなるに従って、アンテナ18の仰角θも大きくする。
【0045】
そして、最も高い位置での測定が終了したら、ターンテーブル4を回転させて、被測定物5とアンテナ18との向きを変更し、再びアンテナ18を上,下方向に走査させて放射エミッション測定を行う。なお、垂直偏波に対する測定も同様の手順で行うことができる。
【0046】
然るに、本実施の形態では、回動案内機構22によってアンテナ18の基準点Pを中心としてアンテナアーム17の回動変位を案内し、回動角設定機構25によってアンテナアーム17の回動角を設定することができる。このため、アンテナアーム17の回動角に応じて、アンテナ18の仰角θを調整することができる。また、回動案内機構22はアンテナ18の基準点Pを中心としてアンテナアーム17の回動変位を案内するから、アンテナ18の基準点Pの位置を保持した状態でアンテナ18の仰角θを調整することができる。このため、アンテナ18の仰角θを変更しても、アンテナ18の基準点Pが位置ずれすることがなく、位置ずれに伴う測定誤差を低減することができる。
【0047】
また、回動案内機構22は、アンテナベース14に設けられアンテナ18の基準点Pを中心とした円弧に沿って延びる円弧状ガイド23と、アンテナアーム17に設けられ円弧状ガイド23と係合する回動キー24とによって構成した。このため、回動案内機構22は、回動キー24が円弧状ガイド23に沿って移動することによって、アンテナ18の基準点Pを中心としてアンテナアーム17を回動変位させることができる。
【0048】
この場合、回動案内機構22は円弧状ガイド23と回動キー24によって構成したから、アンテナベース14に設けた円弧状ガイド23とアンテナアーム17に設けた回動キー24とによって、アンテナアーム17の回動変位を案内することができ、例えばアンテナ18の基準点Pに直接的に回動を支持する回動軸等を設ける必要がない。このため、アンテナ18の周囲に回動軸等を設けた場合に比べて、回動案内機構22による測定結果への影響を低減することができる。
【0049】
さらに、回動角設定機構25は、ガイドマスト26に沿って上,下方向に昇降可能に設けられたガイドベース27を備えるから、ガイドマスト26に沿ってガイドベース27を上,下方向に変位させることによって、ガイドベース27をアンテナベース14に対して上,下方向に相対変位させることができる。このとき、ガイドベース27にはアンテナアーム17に設けられた直線状ガイド28と係合する直動キー29を設けたから、直動キー29を介してアンテナアーム17の直線状ガイド28を上,下方向に変位させることができる。この結果、回動案内機構22によってアンテナ18の基準点Pを中心としてアンテナアーム17を回動させることができ、ガイドベース27の上,下方向の位置に応じて、アンテナ18の仰角θを設定することができる。
【0050】
なお、前記第1の実施の形態では、回動案内機構22の円弧状ガイド23は円弧状溝によって構成し、回動キー24は円弧状溝に挿入される突起によって構成した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばベース垂直板からアンテナアームに向けて突出した円弧状レールによって円弧状ガイドを構成すると共に、回動キーとして円弧状レールに係合する溝部をアンテナアームに設ける構成としてもよい。
【0051】
次に、
図7は第2の実施の形態によるアンテナ昇降装置を示している。本実施の形態の特徴は、円弧状ガイドは、円弧に沿って設けた一側歯車によって構成し、回動キーは、一側歯車に噛合する他側歯車によって構成したことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0052】
第2の実施の形態によるアンテナ昇降装置31は、第1の実施の形態によるアンテナ昇降装置11とほぼ同様に、アンテナマスト13、アンテナベース14、アンテナアーム17、回動案内機構32、回動角設定機構25等によって構成される。
【0053】
回動案内機構32は、第1の実施の形態による回動案内機構22とほぼ同様に、アンテナベース14に設けられアンテナ18の基準点Pを中心とした円弧に沿って延びる円弧状ガイド33と、アンテナアーム17に設けられ円弧状ガイド33と係合してアンテナアーム17の回動変位を許す回動キー34とによって構成される。
【0054】
但し、円弧状ガイド33は、アンテナベース14に設けられアンテナ18の基準点Pを中心とした円弧に沿った一側歯車33Aによって構成される。このとき、一側歯車33Aは、ベース垂直板16に設けられた円弧状溝の内径側に配置され、円弧状溝は基準点Pを中心とした円弧に沿って形成される。また、回動キー34は、アンテナアーム17に設けられ一側歯車33Aの外径側に位置して一側歯車33Aに噛合する他側歯車34Aによって構成している。
【0055】
このため、アンテナアーム17が回動変位するときには、他側歯車34Aが円弧状ガイド33の一側歯車33Aに噛み合いながら回転し、円弧状ガイド33に沿って回動キー34が移動する。
【0056】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、円弧状ガイド33は、アンテナベース14に設けられ円弧に沿って配置された一側歯車33Aによって構成し、回動キー34は、アンテナアーム17に設けられ一側歯車33Aに噛合する他側歯車34Aによって構成した。このため、アンテナアーム17を回動させたときには、他側歯車34Aが一側歯車33Aに噛合しながら回転し、他側歯車34Aは一側歯車33Aの円弧に沿って移動する。また、円弧状ガイド33となる一側歯車33Aに回動キー34となる他側歯車34Aが噛合するから、これらの間の静止摩擦力を大きくすることができる。このため、アンテナアーム17の自重による降下を抑制して、意図しないアンテナアーム17の回動変位を低減することができ、測定途中での不要なアンテナ18の仰角θの変化を防止することができる。
【0057】
なお、前記第2の実施の形態では、円弧状ガイド33の一側歯車33Aは円弧状溝内に設ける構成としたが、必ずしも円弧状溝に設ける必要はなく、アンテナベースからアンテナアームに向けて突出したレールの側面に一側歯車を形成してもよい。
【0058】
また、前記各実施の形態では、回動角設定機構25はガイドマスト26に沿って上,下方向に昇降可能に設けられたガイドベース27を備える構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、アンテナベースに対してガイドベースが上,下方向に相対変位すればよく、例えばアンテナベースにガイドベースを取付ける構成としてもよい。また、アンテナアームの回動変位と回動角の固定ができれば、上,下方向に変位するガイドベースに限らず、ベルト、ワイヤ、リンク、歯車等を用いた各種機構を用いて回動角設定機構を構成することができる。
【0059】
また、前記各実施の形態では、アンテナマスト13およびガイドマスト26を断面四角形状に形成するものとしたが、断面円形状、断面楕円形状等に形成してもよい。