特許第5929560号(P5929560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929560
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20160526BHJP
   G01R 15/20 20060101ALI20160526BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   H05K7/12 D
   G01R15/20 Z
   H05K1/18 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-147171(P2012-147171)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-11319(P2014-11319A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2014年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】東川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 一善
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−116284(JP,A)
【文献】 実開昭63−039922(JP,U)
【文献】 実開平01−071490(JP,U)
【文献】 実開平02−042472(JP,U)
【文献】 実開昭53−108867(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18,3/30,5/00−5/06,7/12
G01R 15/00−17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられ支持部を有する支持部材と、
前記支持部に支持される基板と、
信号端子を介して前記基板と信号接続される電流センサと、を有する電子機器であって、
前記電流センサは前記支持部を介して前記基板に吊下げ支持されるとともに、前記電流センサは締結部材によって前記支持部及び前記基板と共締めされており、
前記支持部には前記基板に向けて突出する支持用ボスが形成されるとともに、前記電流センサには前記支持用ボス内に挿入される取付用ボスが形成され、前記基板を貫通した前記締結部材が前記支持用ボスを貫通して前記取付用ボスに螺合されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記支持用ボスは、前記支持部に一体形成されている請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電流センサは、検出対象が挿通される挿通孔を複数有するとともに、隣り合う前記挿通孔の間に前記取付用ボス、及び前記信号端子が配設されている請求項又は請求項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号端子を介して基板と信号接続される電流センサを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、特許文献1の電動機の駆動回路80において、駆動素子81は、樹脂モールドにより素子を収容したマウントベース部82と、回路基板83への接続端子部84と、回路基板83への取付部85を備えている。また、回路基板83上には合成樹脂によって棒状に形成されたスペーサ86が取付けられている。そして、駆動素子81の取付部85と、回路基板83との間にスペーサ86を介装させた状態で、取付部85と接続端子部84とが回路基板83に固定されている。また、このような電動機の駆動回路80においては、駆動素子81によって電力変換された電流値を検出するために電流センサがねじ止め等によって取り付けられるとともに、電流センサの信号端子は回路基板83に半田付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−86970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電流センサは、素子等と比べると大型の機器であり、電流センサを回路基板83上に取り付けると、回路基板83における素子等の実装面積が減ってしまう。また、駆動回路80が振動し、電流センサが振動すると、電流センサが取り付けられた回路基板83も振動する。すると、電流センサと回路基板83の共振点のずれによって信号端子の半田接合部が損傷を受けてしまう。
【0005】
本発明は、電流センサを備えながらも基板での実装面積を増やすことができるとともに、電流センサの振動を低減することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、被取付部に取り付けられ支持部を有する支持部材と、前記支持部に支持される基板と、信号端子を介して前記基板と信号接続される電流センサと、を有する電子機器であって、前記電流センサは前記支持部を介して前記基板に吊下げ支持されるとともに、前記電流センサは締結部材によって前記支持部及び前記基板と共締めされており、前記支持部には前記基板に向けて突出する支持用ボスが形成されるとともに、前記電流センサには前記支持用ボス内に挿入される取付用ボスが形成され、前記基板を貫通した前記締結部材が前記支持用ボスを貫通して前記取付用ボスに螺合されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、電流センサは基板の下側に配設され、基板上には電流センサの配置スペースが不要となる。したがって、基板上に電流センサを配置する場合と比べると基板での電子部品等の実装面積を増やすことができる。また、締結部材を用いて電流センサと支持部と基板を共締めし、電流センサと、支持部と、基板とを互いに当接させた状態で一体化した。このため、基板においては支持部との当接部が補強され、基板の剛性が高められる。よって、電子機器が振動し、電流センサに振動が伝播しても、その振動は支持部と基板に分散され、基板の振動が低減される結果、電流センサの振動が低減される。
【0009】
また、締結部材の取付用ボスへの螺合により、支持用ボスの先端が基板の下面に当接した状態で、締結部材の頭部と電流センサの取付用ボスの先端との間に、基板と支持用ボスの先端が挟持される。すると、基板の下面と支持部の上面との間には、支持用ボスの支持部上面からの立設高さ分だけのスペースが形成される。このスペースを利用して基板の下面に電子部品を実装することができ、基板での実装面積をさらに増やすことができる。また、締結部材の頭部と電流センサの取付用ボスの先端との間に、基板と支持用ボスの先端が挟持される。このため、締結部材の周囲を局所的に挟持して電流センサを強く一体化することができる。
【0010】
また、前記支持用ボスは、前記支持部に一体形成されていてもよい。これによれば、支持用ボスを簡単に形成することができる。
また、前記電流センサは、検出対象が挿通される挿通孔を複数有するとともに、隣り合う前記挿通孔の間に前記取付用ボス、及び前記信号端子が配設されていてもよい。
【0011】
これによれば、電流センサが共締めされた状態では、電流センサにおいて取付用ボス付近は振動が最も抑えられる場所である。そして、この取付用ボスに近接して信号端子が配設されるため、信号端子の振動も抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電流センサを備えながらも基板での実装面積を増やすことができるとともに、電流センサの振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の半導体装置を示す分解斜視図。
図2】実施形態の半導体装置を示す側面図。
図3】電流センサの取付構造を示す部分断面図。
図4】電流センサの取付構造を示す部分平面図。
図5】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の電子機器を産業車両に搭載される半導体装置に具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
図1に示すように、電子機器としての半導体装置10のヒートシンク11は、アルミニウム系金属や銅等で矩形板状に形成されるとともに、このヒートシンク11の上面には、半導体モジュール12が支持されている。半導体モジュール12は、主回路基板22に複数の半導体素子23が実装されてなる。主回路基板22は矩形板状をなす。ここで、主回路基板22の長辺方向を長さ方向とし、長さ方向に直交する方向を幅方向とする。
【0015】
主回路基板22は、金属基板の上面に絶縁コーティングを施し、その絶縁コーティングの上に銅又はアルミ製の導体パターン(図示せず)が形成されて構成されている。そして、複数の半導体素子23は半田付けにて主回路基板22の導体パターンと接合されている。複数の半導体素子23は、主回路基板22の幅方向に沿って1列に延びるように並設された半導体素子群G1〜G6が、主回路基板22の長さ方向に複数列(6列)並ぶように配設されている。そして、主回路基板22上には、U相を構成する1組の第1の半導体素子群G1と第2の半導体素子群G2、V相を構成する1組の第3の半導体素子群G3と第4の半導体素子群G4、及びW相を構成する1組の第5の半導体素子群G5と第6の半導体素子群G6の、3組が配置されている。各半導体素子群G1〜G6は、それぞれ個別の導体パターンに電気的に接続されるとともに、各半導体素子群G1〜G6の複数の半導体素子23それぞれは導体パターンに並列に接続されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、主回路基板22の長さ方向の一端側には、アルミニウムにより略棒状に形成された正極側入力電極27が配置されるとともに、長さ方向の他端側には、アルミニウムにより略棒状に形成された負極側入力電極28が配置されている。正極側入力電極27及び負極側入力電極28は、主回路基板22の導体パターン上に配置されるパターン接続用電極部27a,28aを備える。正極側入力電極27及び負極側入力電極28において、パターン接続用電極部27a,28aの長さ方向の中央には丸棒状をなす外部接続用電極部27c,28cが立設されている。さらに、外部接続用電極部27c,28cにおいて、パターン接続用電極部27a,28aより上側の周面からは、制御回路基板40を支持する制御回路基板用支持部27g,28gが突設されている。
【0017】
そして、正極側入力電極27及び負極側入力電極28のパターン接続用電極部27a,28aは、その下面が、導体パターンに面接触するとともに、主回路基板22を介してヒートシンク11に面接触し、パターン接続用電極部27a,28aとヒートシンク11とは熱的に結合されている。
【0018】
半導体モジュール12は、産業車両の車載走行モータに接続されるU相出力端子U、V相出力端子V及びW相出力端子Wを備える。U相の上アーム半導体素子群(第1の半導体素子群G1)と下アーム半導体素子群(第2の半導体素子群G2)との間にU相出力端子Uが配置されるとともに、V相の上アーム半導体素子群(第4の半導体素子群G4)と下アーム半導体素子群(第3の半導体素子群G3)との間にV相出力端子Vが配置されている。さらに、W相の上アーム半導体素子群(第5の半導体素子群G5)と下アーム半導体素子群(第6の半導体素子群G6)との間にW相出力端子Wが配置されている。
【0019】
U相出力端子U、V相出力端子V、及びW相出力端子Wは、主回路基板22の導体パターン上に配置される基部Ua,Va,Waをそれぞれ備え、各基部Ua,Va,Waは矩形板状(帯状)に形成されている。U相出力端子U、V相出力端子V、及びW相出力端子Wにおいて、各基部Ua,Va,Waの長さ方向の中央には丸棒状をなす外部接続用端子部Ub,Vb,Wbが立設されている。そして、U相出力端子U、V相出力端子V及びW相出力端子Wの各外部接続用端子部Ub,Vb,Wbが車載走行モータに接続されている。
【0020】
主回路基板22の長さ方向に隣り合う第2の半導体素子群G2と第3の半導体素子群G3の間には、負極側中継端子25が配設されるとともに、第4の半導体素子群G4と第5の半導体素子群G5の間には、正極側中継端子26が配設されている。
【0021】
そして、第1の半導体素子群G1のドレイン用の導体パターンは、正極側入力電極27のパターン接続用電極部27aに電気的に接続されている。第4及び第5の半導体素子群G4,G5のドレイン用の導体パターンは、正極側中継端子26を介して正極側入力電極27に電気的に接続されている。また、第2及び第3の半導体素子群G2,G3のソース用の導体パターンは、負極側中継端子25を介して負極側入力電極28と電気的に接続されている。さらに、第6の半導体素子群G6のソース用の導体パターンは、負極側入力電極28のパターン接続用電極部28aと電気的に接続されている。
【0022】
さらに、第1の半導体素子群G1のソース電極は、U相出力端子Uの基部Uaに電気的に接続され、第2の半導体素子群G2のドレイン電極はU相出力端子Uの基部Uaに電気的に接続されている。第4の半導体素子群G4のソース電極は、V相出力端子Vの基部Vaに電気的に接続され、第3の半導体素子群G3のドレイン電極はV相出力端子Vの基部Vaに電気的に接続されている。さらに、第5の半導体素子群G5のソース電極は、W相出力端子Wの基部Waに電気的に接続され、第6の半導体素子群G6のドレイン電極はW相出力端子Wの基部Waに電気的に接続されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、正極側入力電極27及び負極側入力電極28のパターン接続用電極部27a,28a上には、コンデンサモジュール30が支持され、主回路基板22の上方にコンデンサモジュール30が配置されている。このコンデンサモジュール30は、コンデンサ基板31とコンデンサ32とから構成されている。コンデンサ基板31は、主回路基板22とほぼ同じ矩形状に形成されるとともに、主回路基板22の上方に配置されている。
【0024】
コンデンサ32は、第1の半導体素子群G1(U相の上アーム半導体素子群)に対応して複数設けられるとともに、第2の半導体素子群G2(U相の下アーム半導体素子群)に対応して複数設けられている。また、コンデンサ32は、第4の半導体素子群G4(V相の上アーム半導体素子群)に対応して複数設けられるとともに、第3の半導体素子群G3(V相の下アーム半導体素子群)に対応して複数設けられている。さらに、コンデンサ32は、第5の半導体素子群G5(W相の上アーム半導体素子群)に対応して複数設けられるとともに、第6の半導体素子群G6(W相の下アーム半導体素子群)に対応して複数設けられている。
【0025】
そして、コンデンサ32の正極端子が、正極側の導体パターンを介して正極側入力電極27のパターン接続用電極部27aに接続され、コンデンサ32の負極端子が、負極側の導体パターンを介して負極側入力電極28のパターン接続用電極部28aに接続されている。主回路基板22上には、合成樹脂製の支持部材50が支持されている。この支持部材50は、主回路基板22の長さ方向に延びる矩形板状の支持部51と、支持部51の長さ方向の両側に形成された一対の脚部52とからなる。そして、一対の脚部52が、被取付部としての主回路基板22の長さ方向の両端に取り付けられるとともに、支持部51が、正極側入力電極27及び負極側入力電極28の制御回路基板用支持部27g,28g上に支持されている。
【0026】
支持部51上には、基板としての制御回路基板40が支持されるとともに、制御回路基板用支持部27g,28gには、支持部51を介して制御回路基板40が支持されている。制御回路基板40は、支持部51とほぼ同じ矩形状に形成されるとともに、制御回路基板40は、コンデンサ基板31、及び主回路基板22とほぼ同じ形状に形成されている。したがって、半導体装置10においては、ヒートシンク11から上に向かって、主回路基板22、コンデンサ基板31、及び制御回路基板40が段積みされている。
【0027】
正極側入力電極27及び負極側入力電極28において、制御回路基板用支持部27g,28gには、支持部51を介して導電カラー53が支持されるとともに、導電カラー53は制御回路基板40の導電パターン(図示せず)と電気的に接続されている。そして、この導電カラー53を介して、正極側入力電極27及び負極側入力電極28と制御回路基板40が電気的に接続されている。制御回路基板40の上面には、複数の電子部品41から構成される制御回路が設けられるとともに、この制御回路により各半導体素子23がスイッチング制御されて車載走行モータに電力を供給することができるようになっている。
【0028】
次に、半導体装置10における電流センサ33の取付構造について詳細に説明する。
まず、電流センサ33について説明する。
図1に示すように、電流センサ33は、略直方体状のケース34を備えるとともに、このケース34の長さ方向両側には挿通孔33aがケース34を貫通して形成されている。ケース34内には、各挿通孔33aを取り囲むようにコア(図示せず)が設けられるとともに、コアのギャップ内にはホール素子が配設されている。また、ケース34には、検出された電流値の電圧信号を出力する信号端子35が複数本立設されている。信号端子35は、ケース34の長さ方向の中央に配置されている。さらに、ケース34において、長さ方向中央であり、信号端子35の近接位置には、取付用ボス36が立設されている。よって、本実施形態では、取付用ボス36及び信号端子35は、一対の挿通孔33aに挟まれる位置に配設されている。図3に示すように、取付用ボス36は、先端ほど縮径する円錐筒状に形成されるとともに、取付用ボス36の先端は平坦面状に形成されている。また、取付用ボス36の内周面には雌ねじ36aが形成され、雌ねじ36aは取付用ボス36の先端中央に開口している。
【0029】
図2に示すように、電流センサ33は、支持部材50の支持部51を介して制御回路基板40に吊下げ支持されている。また、支持部材50において、U相出力端子UとV相出力端子Vに挟まれる位置には、円錐筒状の支持用ボス51aが立設されている。図3に示すように、支持用ボス51aの先端中央には、貫通孔51bが形成されている。支持用ボス51aの支持部51上面からの立設高さは、導電カラー53の軸方向への長さと同じになっている。このため、導電カラー53を介して支持部51上に制御回路基板40が支持された状態では、支持部51と制御回路基板40の間に導電カラー53及び支持用ボス51aが介装され、導電カラー53及び支持用ボス51aによって支持部51と制御回路基板40の間にスペース54が区画される。また、図1に示すように、支持部51において、支持用ボス51aの近接位置には、信号端子用挿通孔51dが複数形成されている。
【0030】
制御回路基板40において、U相出力端子UとV相出力端子Vに挟まれる位置には、ねじ挿通孔40aが形成されている。また、制御回路基板40において、ねじ挿通孔40aの近接位置には、端子接合孔40bが複数形成されている。
【0031】
図3に示すように、電流センサ33の取付構造においては、電流センサ33は、取付用ボス36の一部を除いては支持部51の下側に配設されるとともに、取付用ボス36が支持用ボス51a内に挿入されている。また、電流センサ33の信号端子35は、支持部51の信号端子用挿通孔51dに挿通されるとともに、制御回路基板40の端子接合孔40bに挿通されている。そして、電流センサ33は、制御回路基板40のねじ挿通孔40aに挿通された締結部材としてのねじ38が、貫通孔51bを貫通して取付用ボス36の雌ねじ36aに螺合されている。このねじ38の雌ねじ36aへの螺合により、制御回路基板40と支持部51(支持用ボス51a)と、電流センサ33(取付用ボス36)とが共締めされて一体化されている。すなわち、ねじ38の頭部38aと、取付用ボス36の先端との間に、制御回路基板40におけるねじ挿通孔40aの周縁、及び支持用ボス51aの先端が挟持されている。
【0032】
このため、電流センサ33の取付状態では、制御回路基板40の下面に支持用ボス51aの先端が面接触して圧接するとともに、支持用ボス51aの内面に取付用ボス36の先端が面接触して圧接している。よって、制御回路基板40の下面と支持部51の上面との間には、支持用ボス51aの支持部51上面からの立設高さ分だけのスペース54が形成されている。また、電流センサ33の取付状態では、電流センサ33は、支持部51を介して制御回路基板40に吊下げ支持されている。そして、電流センサ33は、ねじ38一本だけで制御回路基板40に取り付けられている。また、電流センサ33の重量は、支持部51及び制御回路基板40によって受承される。
【0033】
図3及び図4に示すように、電流センサ33の信号端子35は、支持部51の信号端子用挿通孔51dに挿通されるとともに、制御回路基板40の端子接合孔40bに挿通されている。そして、各信号端子35は、端子接合孔40bの周囲で制御回路基板40に半田接合部Sによって接合されている。また、図4に示すように、電流センサ33の一方の挿通孔33aには、検出対象としてU相出力端子Uが挿通されるとともに、他方の挿通孔33aには検出対象としてV相出力端子Vが挿通されている。そして、電流センサ33によって、U相出力端子U及びV相出力端子Vを流れる電流の値が検出されるとともに、検出された電流値は信号端子35を介して制御回路基板40に出力される。
【0034】
次に、上記構成の半導体装置10の作用について説明する。
半導体装置10において、電流センサ33は、制御回路基板40の上面ではなく、支持部51を介して制御回路基板40の下面に吊下げ支持されている。そして、電流センサ33は、制御回路基板40のねじ挿通孔40aに挿通したねじ38を、支持部51を貫通させて電流センサ33の取付用ボス36の雌ねじ36aに螺合することで制御回路基板40に取り付けられている。制御回路基板40上では電流センサ33の配置スペースは不要であり、さらに、ねじ挿通孔40aも一箇所だけで済む。したがって、制御回路基板40上に、電流センサ33の配置スペースを確保し、複数のねじ38で電流センサ33を制御回路基板40に取り付ける場合と比べると、制御回路基板40での電子部品等の実装面積を増やすことができる。加えて、制御回路基板40の下面と支持部51の上面との間には、支持用ボス51aの支持部51上面からの立設高さ分だけのスペース54が形成されている。このため、スペース54を利用して制御回路基板40の下面にも、電子部品を実装することが可能になり、制御回路基板40での電子部品等の実装面積を増やすことができる。
【0035】
また、産業車両の走行に伴い半導体装置10が振動すると、その振動が電流センサ33に伝播する。このとき、電流センサ33の雌ねじ36aとねじ38によって制御回路基板40及び支持部51が共締めされ、制御回路基板40において電流センサ33が吊り下げられる位置は、支持用ボス51aが当接(面接触)して制御回路基板40と支持部51が一体化されている。すなわち、制御回路基板40において電流センサ33が吊り下げられる位置は支持部51の支持用ボス51aによって剛性が高められている。そして、電流センサ33に振動が伝播しても、その振動は支持部51だけでなく制御回路基板40にも伝わり、電流センサ33の振動が支持部51及び制御回路基板40に分散される。このため、電流センサ33の振動は低減され、制御回路基板40及び支持部51の振動も低減される。
【0036】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)制御回路基板40に挿通したねじ38を支持部51を貫通させて電流センサ33の雌ねじ36aに螺合して、電流センサ33を支持部51を介して制御回路基板40に吊下げ支持した。このため、制御回路基板40上には電流センサ33の配置スペースが不要である。したがって、電流センサ33を制御回路基板40上に取り付ける場合と比べると、制御回路基板40での電子部品等の実装面積を増やすことができる。
【0037】
(2)また、ねじ38を用いて電流センサ33と支持部51と制御回路基板40を共締めした。このため、制御回路基板40において、電流センサ33が吊り下げられる部位は支持部51の支持用ボス51aの当接によって補強される。このため、電流センサ33に振動が伝播しても、その振動が支持部51(支持用ボス51a)と制御回路基板40に分散され、電流センサ33の振動が低減される。その結果として、電流センサ33の信号端子35の半田接合部Sが振動の影響を受けにくくなり、半田接合部Sが損傷を受けることを防止することができる。
【0038】
(3)電流センサ33は、支持部51を介して制御回路基板40に取り付けられる。このため、電流センサ33を制御回路基板40に直接吊下げる場合と比べると、制御回路基板40そのものの振動や撓みが抑えられる。
【0039】
(4)電流センサ33において、長さ方向の両側に挿通孔33aが形成されるとともに、挿通孔33aに挟まれる位置に取付用ボス36及び信号端子35が設けられ、信号端子35は取付用ボス36に近接配置されている。そして、取付用ボス36を用いて電流センサ33をねじ38で制御回路基板40と支持部51に共締めした。このため、制御回路基板40及び電流センサ33において、ねじ38による共締めを行う取付用ボス36付近が最も振動が抑えられる場所である。この取付用ボス36に近接して信号端子35が設けられることで、信号端子35の振動も抑えられ、半田接合部Sが損傷を受けることを防止することができる。
【0040】
(5)電流センサ33の長さ方向の中央に取付用ボス36を設けた。このため、電流センサ33をバランスよく吊下げ支持することができるとともに、共締めするために必要な取付用ボス36が一箇所だけで済む。制御回路基板40において、ねじ挿通孔40a周縁は、パターンが設けられないため、ねじ挿通孔40aが一箇所であれば、制御回路基板40での実装面積を増やすことができることになる。
【0041】
(6)電流センサ33は、一本のねじ38だけで制御回路基板40に取り付けられている。よって、複数本のねじ38で電流センサ33を制御回路基板40に取り付ける場合と比べると、電流センサ33の取付を簡単に行うことができる。
【0042】
(7)支持部51を合成樹脂製とするとともに、支持部51に支持用ボス51aを一体成形した。このため、例えば、支持用ボス51aを支持部51とは別体とする場合と比べると、ねじ38で電流センサ33を共締めする作業を簡単に行うことができる。
【0043】
(8)支持部材50の支持部51に支持用ボス51aを立設するとともに、電流センサ33に取付用ボス36を立設し、支持用ボス51a内に取付用ボス36を挿入した状態で、制御回路基板40と、支持用ボス51aと、取付用ボス36を共締めした。そして、支持用ボス51aによって制御回路基板40の下面と支持部51の上面とを離間させた。よって、支持用ボス51aが無く、制御回路基板40の下面全体が支持部51の上面全体に当接して支持部51に支持されているのとは異なり、制御回路基板40の下面と支持部51の上面との間にスペース54を形成して、このスペース54を電子部品等の配設用に利用することができる。その結果、制御回路基板40の下面にも電子部品等を実装することができ、制御回路基板40での電子部品等の実装面積を増やすことができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、電流センサ33において、挿通孔33aに挟まれる位置に取付用ボス36及び信号端子35を設けたが、取付用ボス36及び信号端子35の位置は適宜変更してもよい。
【0045】
○ 実施形態では、電流センサ33において、挿通孔33aを二つとし、信号端子35の本数を三本としたが、挿通孔33a及び信号端子35の数は、検出対象に合わせて適宜変更してもよい。
【0046】
○ 実施形態では、支持部51に支持用ボス51aを突設し、支持用ボス51aを制御回路基板40と電流センサ33の間に介装させたが、支持用ボス51aは無くてもよい。
○ 実施形態では、電流センサ33に取付用ボス36を形成し、その取付用ボス36の雌ねじ36aにねじ38を螺合する構成としたが、これに限らない。例えば、電流センサ33の取付用ボス36の先端に雄ねじ部を突設し、その雄ねじ部を支持用ボス51aを貫通させるとともに、制御回路基板40のねじ挿通孔40aに挿通し、雄ねじ部に締結部材としてナット、袋ナット等を螺合して共締めしてもよい。
【0047】
○ 実施形態では、支持用ボス51aを円錐筒状に形成するとともに、取付用ボス36を円錐筒状に形成したが、四角錐状、三角錐状、円柱状等、適宜変更してもよい。
○ 半導体装置10の用途は、産業車両に搭載されるものに限らず、自動車や家電製品や産業機械に適用してもよい。
【0048】
○ 半導体素子23の数及びコンデンサ32の数は任意に変更してもよく、数の変更に合わせて主回路基板22及びコンデンサ基板31の大きさを変更してもよい。
○ 半導体装置10は、インバータ回路に限らず、例えば、DC−DCコンバータに適用してもよい。
【0049】
○ 実施形態では、支持部材50の被取付部として主回路基板22に具体化したが、支持部材50が取付けられる箇所は適宜変更してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0050】
(イ)半導体素子を備え、前記基板は前記半導体素子を制御する制御回路基板である請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0051】
U…検出対象としてのU相出力端子、V…検出対象としてのV相出力端子V、10…電子機器としての半導体装置、22…被取付部としての主回路基板、33…電流センサ、33a…挿通孔、35…信号端子、36…取付用ボス、38…締結部材としてのねじ、40…基板としての制御回路基板、50…支持部材、51…支持部、51a…支持用ボス。
図1
図2
図3
図4
図5