特許第5929610号(P5929610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929610
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/36 20060101AFI20160526BHJP
   H01G 11/00 20130101ALI20160526BHJP
【FI】
   H01M2/36 101D
   H01G11/00
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-176156(P2012-176156)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-35870(P2014-35870A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2014年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−056000(JP,A)
【文献】 特開2005−279791(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0107653(US,A1)
【文献】 特開2012−146587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/36
H01G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に電極組立体及び電解液が収容され、前記ケースに前記電解液の注液口が形成されるとともに、前記注液口を封止する密封構造を備える蓄電装置であって、
前記密封構造は、
前記注液口の外周縁よりも外側の位置で前記注液口を囲み、外径が前記注液口の径よりも大きいナットと、
頭部と前記ナットに螺合される雄ねじ部とを有し前記注液口を封止する栓ボルトと、
前記注液口の外周縁よりも外側の位置で前記注液口を囲み、前記ナットと前記ケースの間、及び前記栓ボルトの頭部と前記ケースの間の少なくとも一方に配置されるシール部材と、
前記ナットを支持するとともに、前記ケースに取り付けられる支持部材と、を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記ナットには、前記ケースに当接する面に挿入孔が形成されるとともに前記挿入孔の内周面には取付用雌ねじ部が形成され、前記支持部材は、前記ケースを貫通して前記取付用雌ねじ部に螺着される支持ボルトである請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記ナットは前記ケースの内面に当接した状態で配置され、前記支持部材は、前記ナットの外周面を囲む保持板と、前記ナットにおける前記ケースの内面に当接した面とは反対側の面を支持する支持板と、前記保持板から延設され前記ケースに形成された貫通孔を通り前記ケースの外面に係止する係止片と、を一体に有するホルダである請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記ナットは、前記注液口に挿入されるナット本体と、該ナット本体における前記ケースの外側に位置する部分から前記ナット本体の径方向外方に向かって延設され、前記注液口より外側で前記ケースの外面に係止される係止部と、前記ケース内に位置し前記ナット本体の外周面に形成されたナット外周雄ねじ部と、を有し、前記支持部材は、前記ナット外周雄ねじ部に螺着される雌ねじ部を有する支持ナットである請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記ナットには、前記ケースに当接する面に位置決め突起が形成され、前記ケースには前記位置決め突起の挿通孔が形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電装置は二次電池である請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に電極組立体及び電解液が収容され、ケースに電解液の注液口が形成されるとともに、注液口を封止する密封構造を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。一般に、容量の大きな二次電池(蓄電装置)は電極組立体を収容するケースを備え、そのケース内に電極組立体及び電解液が収容されている。二次電池の組立は、ケース本体内に電極組立体を収容した後、ケースの蓋をケース本体に溶接する。その後、蓋に形成されている注液口から電解液をケース内に注入した後、注液口から電解液が漏洩しないように注液口を封止する。
【0003】
注液口を封止する構造として、例えば、特許文献1が挙げられる。図9に示すように、蓋体81には注液口81aが形成され、蓋体81の裏面には注液口81aを囲む位置にナット82が溶接されている。また、蓋体81の表面には、注液口81aを囲む金属製ワッシャ83が配設されるとともに、金属製ワッシャ83の内側には弾性体シール84が配設されている。
【0004】
そして、注液口81aには栓ボルト85が挿通されるとともに、栓ボルト85は蓋体81の裏側でナット82に螺合されている。ナット82と、栓ボルト85の頭部によって蓋体81、金属製ワッシャ83、及び弾性体シール84が挟持されている。そして、弾性体シール84によって蓋体81と栓ボルト85との間がシールされ、注液口81aが封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−23586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1においては、ナット82を蓋体81に溶接するときの高温の熱によって蓋体81が変形してしまう虞がある。蓋体81が変形すると、ナット82と、頭部によって弾性体シール84が全体に亘って挟持されない虞があり、この場合には弾性体シール84によるシール機能が発揮されず、電解液が漏洩してしまう。
【0007】
本発明は、ナットを用いながらも密封構造からの電解液の漏洩を防止することができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ケース内に電極組立体及び電解液が収容され、前記ケースに前記電解液の注液口が形成されるとともに、前記注液口を封止する密封構造を備える蓄電装置であって、前記密封構造は、前記注液口の外周縁よりも外側の位置で前記注液口を囲み、外径が前記注液口の径よりも大きいナットと、頭部と前記ナットに螺合される雄ねじ部とを有し前記注液口を封止する栓ボルトと、前記注液口の外周縁よりも外側の位置で前記注液口を囲み、前記ナットと前記ケースの間、及び前記栓ボルトの頭部と前記ケースの間の少なくとも一方に配置されるシール部材と、前記ナットを支持するとともに、前記ケースに取り付けられる支持部材と、を有することを要旨とする。
【0009】
これによれば、注液口を封止する栓ボルトは、液口の外周縁よりも外側で注液口を囲み、外径がその注液口の径よりも大きいナットに螺合され、このナットは支持部材によってケースに支持されている。すなわち、ナットは、ケースとは別部材を用いてケースに機械的に支持されており、ナットはケースに対し溶接されることなく支持されている。したがって、ナットをケースに支持させるために、ケースが高温に曝されることはなく、ケースが凹凸状に変形することもない。その結果、ナットを用いた密封構造としても、ケースは平坦面状のままでシール部材を全周に亘ってナットとケース、栓ボルトの頭部とナットに圧接させることができる。
【0010】
また、前記ナットには、前記ケースに当接する面に挿入孔が形成されるとともに前記挿入孔の内周面には取付用雌ねじ部が形成され、前記支持部材は、前記ケースを貫通して前記取付用雌ねじ部に螺着される支持ボルトであってもよい。
【0011】
これによれば、ナットは、挿入孔から支持ボルトの取付用雌ねじ部への螺合によってケースに支持されており、簡単な方法でナットを簡単かつ正確にケースに支持させることができる。
【0012】
また、前記ナットは前記ケースの内面に当接した状態で配置され、前記支持部材は、前記ナットの外周面を囲む保持板と、前記ナットにおける前記ケースの内面に当接した面とは反対側の面を支持する支持板と、前記保持板から延設され前記ケースに形成された貫通孔を通り前記ケースの外面に係止する係止片と、を一体に有するホルダであってもよい。
【0013】
これによれば、ホルダの保持板にはナットが保持されているため、係止片をケースの外面に係止させるだけでホルダを簡単にケースに支持させることができる。
また、前記ナットは、前記注液口に挿入されるナット本体と、該ナット本体における前記ケースの外側に位置する部分から前記ナット本体の径方向外方に向かって延設され、前記注液口より外側で前記ケースの外面に係止される係止部と、前記ケース内に位置し前記ナット本体の外周面に形成されたナット外周雄ねじ部と、を有し、前記支持部材は、前記ナット外周雄ねじ部に螺着される雌ねじ部を有する支持ナットであってもよい。
【0014】
これによれば、ナットの位置決めを、そのナットが備えるナット外周雄ねじ部と支持ナットの螺合という簡単な方法で行うことができる。
また、前記ナットには、前記ケースに当接する面に位置決め突起が形成され、前記ケースには前記位置決め突起の挿通孔が形成されていてもよい。
【0015】
これによれば、位置決め突起が挿通孔に挿通されているため、ナットが径方向及び回転方向に移動しようとしても、位置決め突起が挿通孔の内面に当接して、ナットの径方向及び回転方向への移動を確実に防止することができる。
【0016】
また、前記蓄電装置は二次電池である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ナットを用いながらも密封構造からの電解液の漏洩を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態の二次電池を示す概略断面図。
図2】(a)は密封構造を示す分解斜視図、(b)は栓ボルトの底面図。
図3】第1の実施形態の密封構造を示す断面図。
図4】第2の実施形態の密封構造を示す分解斜視図。
図5】第2の実施形態の密封構造を示す断面図。
図6】第3の実施形態の密封構造を示す断面図。
図7】密封構造の別例を示す断面図。
図8】密封構造の別例を示す断面図。
図9】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース本体11及び蓋体12で構成されたケース13内に、積層型の電極組立体14及び電解液15が収容されている。ケース本体11及び蓋体12は、金属板、例えば、アルミニウム合金板により形成されている。
【0020】
電極組立体14は、複数の正極シート16及び複数の負極シート17が、正極シート16と負極シート17との間にシート状のセパレータ18が存在する状態で交互に積層されて構成されている。正極シート16及び負極シート17は、金属箔に図示しない活物質が塗布された活物質層を有する部分が矩形状に形成され、活物質層が形成された部分からタブ16a,17aが突出形成されている。
【0021】
正極シート16のタブ16aに正極用集電端子19が溶接で接続され、負極シート17のタブ17aに負極用集電端子20が溶接で接続されている。正極用集電端子19は、蓋体12を貫通する二次電池10の正極端子21と一体に形成されている。負極用集電端子20は、蓋体12を貫通する二次電池10の負極端子22と一体に形成されている。蓋体12には、電解液15をケース13に注入するための注液口23が円孔状に形成され、注液口23は密封構造30によって密封されている。
【0022】
次に、密封構造30について詳細に説明する。
図2(a)及び図3に示すように、蓋体12の裏側には、円筒状に形成されたナット31が配設されている。ナット31は、軸方向の一面の当接面31fが蓋体12の裏面に当接している。また、ナット31の内周面には、雌ねじ31aが形成されている。また、ナット31の当接面31fにおいて、雌ねじ31aを挟む位置には挿入孔31gが形成されるとともに、この挿入孔31gの内周面には、取付用雌ねじ部31bが形成されている。
【0023】
蓋体12において、注液口23を挟む位置には、通孔12aが形成されている。各通孔12aには、支持部材としての支持ボルト32が挿通されている。支持ボルト32は、頭部32aと、この頭部32aの中央から延設された軸部32bとから形成されている。各支持ボルト32は、軸部32bがナット31の取付用雌ねじ部31bに螺合されている。支持ボルト32の取付用雌ねじ部31bへの螺合により、ナット31は、注液口23の外周縁よりも外側の位置で注液口23を囲む位置に支持されるとともに、蓋体12の裏側に配設されている。また、支持ボルト32の頭部32aは、蓋体12の外面において通孔12aを囲む位置に圧接している。そして、支持ボルト32によってナット31は、蓋体12側に引寄せられるとともに、当接面31fが蓋体12の裏面に当接している。また、ナット31は、支持ボルト32によって軸方向及び径方向のいずれにも移動が規制された状態に支持されるとともに、ナット31の雌ねじ31aは、注液口23と同軸上に位置決めされている。さらに、支持ボルト32が、ナット31に螺合されることで、支持ボルト32も蓋体12に取り付けられている。
【0024】
蓋体12の外面には、シール部材としてのゴム製のOリング33が配設されている。Oリング33は、注液口23及び両支持ボルト32を囲んでいる。注液口23は、栓ボルト34によって封止されている。
【0025】
図2(b)に示すように、栓ボルト34は、六角形状をなす頭部35と、この頭部35の中央から延設された軸部36とから形成されている。頭部35は、六角形状の天板35aと、この天板35aの外縁から軸部36に向けて延設されたリブ35bを一体に備えている。
【0026】
図3に示すように、栓ボルト34の軸方向に沿った、天板35aの内底面からリブ35bの先端までの長さL1は、Oリング33の厚み(直径)より短くなっている。リブ35bの内面と、天板35aの内底面と、軸部36の外面とで囲まれる環状の空間には、収容部38が形成されている。この収容部38は、注液口23と同心円状に蓋体12の外面に配置されたOリング33全体を囲むことができる大きさに形成されている。
【0027】
軸部36は、天板35aの中央から延設された規制部36aと、この規制部36aから延設された雄ねじ部36bとから形成されている。規制部36aの直径は、注液口23の口径より大きく設定され、雄ねじ部36bの直径は注液口23の口径より小さく設定されている。また、栓ボルト34の軸方向に沿った、天板35aの内底面から規制部36aの先端までの長さL2は、Oリング33の厚み(直径)より短くなっている。
【0028】
栓ボルト34は、注液口23を貫通した雄ねじ部36bが、ナット31の雌ねじ31aに螺合されている。リブ35b及び規制部36aは、蓋体12の外面に当接し、栓ボルト34の螺入を規制している。この螺入が規制された状態では、天板35aとナット31によって蓋体12及びOリング33が挟持されている。Oリング33は、天板35aの内底面によって蓋体12の外面に向けて押圧され、Oリング33が押し潰されている。Oリング33は、ケース13における蓋体12の外面と、ナット31における天板35aの内底面の間に配置され、該外面と内底面に圧接している。また、Oリング33は、リブ35bによって収容部38からの抜け出しが防止されるとともに、注液口23及び通孔12aを取り囲んでいる。
【0029】
そして、栓ボルト34がナット31に螺合されるとともに、Oリング33が栓ボルト34の天板35aによって押し潰されることで、蓋体12には注液口23の密封構造30が形成されている。この密封構造30では、万一、注液口23の内周面と栓ボルト34の雄ねじ部36bとの間や、通孔12aから電解液15が漏れても、Oリング33によって、密封構造30外に電解液15が漏洩することが防止される。
【0030】
次に、密封構造30の作用について記載する。
図3に示すように、蓋体12の裏側に支持されたナット31は、支持ボルト32をナット31の取付用雌ねじ部31bに螺合することによって蓋体12に支持されている。このため、ナット31は、蓋体12とは別体の支持ボルト32により、蓋体12に対し機械的に支持されている。
【0031】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)注液口23は栓ボルト34によって封止され、その栓ボルト34は蓋体12の裏側に支持されたナット31に螺合されている。このナット31は、蓋体12の外側から蓋体12を貫通してナット31の取付用雌ねじ部31bに螺合された支持ボルト32によって蓋体12に支持されている。よって、ナット31は蓋体12に対し溶接されておらず、ナット31を蓋体12に支持させるために、蓋体12が高温に曝されることはなく、凹凸状に変形することもない。その結果、ナット31を用いた密封構造30としても、蓋体12は平坦面状のままでOリング33を全周に亘って蓋体12に圧接させることができる。したがって、Oリング33によって電解液15が密封構造30から漏洩することを防止することができる。
【0032】
(2)注液口23は、その注液口23に挿通された栓ボルト34を、蓋体12の裏側に配設したナット31に螺合して封止されている。よって、ナット31から栓ボルト34を螺退させることにより、注液口23を開放させることができる。したがって、注液口23からの電解液15の排出、及び再注入が可能になり、二次電池10を再利用することができる。
【0033】
(3)ナット31は、取付用雌ねじ部31bへの支持ボルト32の螺合によって蓋体12の裏側に支持されており、螺合といった簡単な方法でナット31を簡単かつ正確に蓋体12に支持させることができる。
【0034】
(4)栓ボルト34の頭部35には、Oリング33を収容する収容部38が形成されるとともに、収容部38を囲むリブ35bが形成されている。また、栓ボルト34の軸部36には規制部36aが形成されている。そして、栓ボルト34がナット31に螺合されると、リブ35b及び規制部36aが蓋体12の外面に当接して、栓ボルト34のナット31への螺入を規制することができる。このため、栓ボルト34の過剰な螺入によりOリング33が過度に押し潰されることが防止でき、Oリング33の割れを防止することができる。さらに、リブ35b及び規制部36aの長さL1,L2を設定することで、Oリング33を適度に押し潰すことができ、Oリング33によるシール機能を好適に発揮させることができる。
【0035】
(5)ナット31は、取付用雌ねじ部31bへの支持ボルト32の螺合によって蓋体12の裏側に支持されている。そして、蓋体12の裏側のナット31に支持ボルト32を螺合するため、蓋体12には通孔12aが形成されるが、支持ボルト32の頭部32aによって通孔12aを閉塞して通孔12aからの電解液15の漏洩を抑制することができる。
【0036】
(6)Oリング33は、注液口23及び両支持ボルト32を取り囲む位置に配設されている。よって、注液口23、及び支持ボルト32が通される通孔12aから電解液15が漏洩しても、Oリング33によって電解液15が密封構造30外へ漏洩することを防止できる。
【0037】
(7)栓ボルト34の頭部35にはリブ35bが形成され、Oリング33は、リブ35bに囲まれた収容部38に収容されている。このため、Oリング33が外部に露出することがなく、Oリング33を保護することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図4図5にしたがって説明する。また、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0039】
図4及び図5に示すように、蓋体12の裏側には樹脂製のホルダ40が取り付けられるとともに、このホルダ40によってナット31が蓋体12の裏側に支持されている。ホルダ40は、矩形板状の支持板42を備え、この支持板42の長さ方向両端には矩形板状の保持板43が立ち上がっている。支持板42の長さ方向の中央、及び長さ方向に直交する幅方向の中央となる位置には孔41aが形成されている。孔41aの孔径は、ナット31の雌ねじ31aの孔径より僅かに大きく設定されている。一対の保持板43の内面同士の間隔は、ナット31の外径と同じ又は僅かに小さく設定されている。また、各保持板43の長さ方向に沿った先端外面には、係止片43aが突設されている。各係止片43aは、各保持板43の幅方向全体に亘って形成されている。また、各係止片43aは、保持板43の先端に向かうに従い、保持板43に近付く状態に傾斜している。
【0040】
蓋体12において、注液口23を囲む位置には、挿通孔12bが4箇所形成されている。また、蓋体12において、一対の挿通孔12bを挟む位置には、平面視矩形状の貫通孔12dが形成されている。
【0041】
蓋体12の裏面側から両係止片43aが貫通孔12dに挿通されるとともに、各係止片43aが貫通孔12dより外側で蓋体12の外面に係止され、ホルダ40は蓋体12の裏側に支持されている。そして、ホルダ40の支持板42には、ナット31の当接面31fとは反対側の面が支持されるとともに、一対の保持板43によってナット31の外周面が囲まれた状態で径方向外側から保持されている。よって、ナット31は、ホルダ40によって軸方向への移動が規制された状態に位置決めされている。ナット31の当接面31fには、複数の位置決め突起31cが雌ねじ31aを囲む位置に形成されている。そして、ナット31がホルダ40に保持された状態では、ナット31の位置決め突起31cが蓋体12の挿通孔12bに挿通されている。
【0042】
栓ボルト34は、注液口23を貫通した雄ねじ部36bが、ナット31の雌ねじ31aに螺合されるとともに、天板35aとナット31によって蓋体12及びOリング33が挟持されている。Oリング33は、注液口23、挿通孔12b及び貫通孔12dを取り囲んでいる。そして、栓ボルト34がナット31に螺合されるとともに、Oリング33が栓ボルト34の天板35aによって押し潰されることで、蓋体12には注液口23の密封構造30が形成されている。
【0043】
この密封構造30では、万一、注液口23の内周面と雄ねじ部36bの外周面との間や、貫通孔12dから電解液15が漏れても、Oリング33によって密封構造30外へ電解液15が漏洩することが防止される。
【0044】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(4)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(8)ナット31の支持部材として、蓋体12の裏側に取り付けた樹脂製のホルダ40を用いた。ホルダ40は、ナット31を保持する保持板43と、保持板43に一体形成された係止片43aを備える。そして、係止片43aを蓋体12の外面に係止させるだけでホルダ40を蓋体12に取り付けることができ、ナット31を蓋体12の裏側に簡単に配設することができる。
【0045】
(9)ホルダ40は、一対の保持板43によってナット31を径方向に位置決めした状態に保持する。また、ホルダ40が蓋体12に取り付けられると、ナット31は支持板42によって当接面31fとは反対側の面が支持されるとともに、ナット31の当接面31fは蓋体12の裏面に当接する。このため、ホルダ40によって、ナット31の軸方向及び径方向への移動を規制することができる。
【0046】
(10)ナット31には複数の位置決め突起31cが形成され、蓋体12には位置決め突起31cが挿通される挿通孔12bが形成されている。そして、ホルダ40によってナット31が保持された状態で、位置決め突起31cが挿通孔12bに挿通されている。よって、ナット31が径方向及び回転方向に移動しようとしても、位置決め突起31cが挿通孔12bの内面に当接して、ナット31の径方向及び回転方向への移動を確実に防止することができる。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図6にしたがって説明する。また、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0048】
図6に示すように、蓋体12には、蓋体12を厚み方向に貫通し、かつ注液口23より大径の注液口形成孔12gが形成されている。そして、本実施形態のナット50は、円筒状のナット本体51を有する。このナット本体51は、注液口形成孔12gに挿通されている。ナット本体51の内周面には雌ねじ51aが形成されている。ナット本体51の軸方向一端側の外周面には、円板状の係止部52がナット本体51の径方向に延設されている。係止部52の外縁からは環状のリブ52aがナット本体51の軸方向に延設されている。ナット本体51の軸方向に沿った、係止部52からリブ52aの先端までの長さは、Oリング33の厚み(直径)より短くなっている。そして、リブ52aとナット本体51との間には、Oリング33を収容する収容部59が形成されている。さらに、係止部52の上面にはシール部材としてのOリング55が装着されている。また、ナット本体51の軸方向他端側の外周面であり、ケース13内に位置する部位にはナット外周雄ねじ部54が形成されている。
【0049】
ナット50は、リブ52aの内側にOリング33を装着した状態で、ナット本体51が注液口形成孔12g(注液口23)に挿入されるとともに、係止部52におけるリブ52aの先端が、注液口形成孔12gの外側で蓋体12の外面に係止している。よって、係止部52は、ナット本体51における蓋体12の外側に位置する部分であり、ナット本体51の径方向外側に向かって延設されている。また、蓋体12の裏側では、蓋体12を貫通したナット本体51のナット外周雄ねじ部54に支持部材としての支持ナット56の雌ねじ部56aが螺合されている。蓋体12の外面には、ナット50の係止部52を囲む係止筒部12fが突設されている。
【0050】
ナット本体51に対し支持ナット56が螺合されることにより、係止部52と支持ナット56によって蓋体12が挟持され、ナット50は軸方向及び径方向への移動が規制された状態で支持されている。そして、ナット本体51の内側によって注液口が形成され、雌ねじ51aによって注液口(軸孔51a)が囲まれている。
【0051】
また、ナット50が蓋体12に支持された状態では、係止部52と支持ナット56によって蓋体12及びOリング33が挟持されている。Oリング33は、係止部52によって蓋体12の外面に向けて押圧され、Oリング33が押し潰されている。
【0052】
本実施形態の栓ボルト57は、円板状に形成された頭部57aと、この頭部57aの中央から延設された雄ねじ部57bとから形成されている。そして、栓ボルト57の雄ねじ部57bが、ナット本体51の雌ねじ51aに螺合されることで、注液口が封止されるとともに、栓ボルト57の頭部57aは、Oリング55に押し付けられている。
【0053】
本実施形態の密封構造30では、支持ナット56の内周面とナット本体51の外周面との間から電解液15が漏れると、Oリング33によって密封構造30外へ電解液15が漏洩することが防止される。また、ナット本体51の内周面(注液口)と栓ボルト57の雄ねじ部57bとの間から電解液15が漏れても、Oリング55によって密封構造30外へ電解液15が漏れることが防止される。
【0054】
したがって、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(4)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(11)ナット50を形成するナット本体51において、蓋体12より外側の部位に係止部52を設けるとともに、ケース13内に位置する軸方向他端にナット外周雄ねじ部54を設けた。そして、蓋体12を貫通したナット本体51のナット外周雄ねじ部54に支持ナット56を螺合して、係止部52と支持ナット56で蓋体12を挟持してナット50を蓋体12に取り付けた。よって、ナット50のケース13への取り付けを、ナット外周雄ねじ部54と支持ナット56の螺合という簡単な方法で行うことができる。
【0055】
(12)ナット50の係止部52に収容部59を形成し、収容部59にOリング33を収容した。そして、ナット50の蓋体12への取り付けと同時にOリング33を注液口23を囲む位置に位置決めすることができる。よって、ナット50に対し栓ボルト57の螺合及び螺退が行われても、Oリング33は位置決め状態が維持される。よって、Oリング33の位置を意識せずにナット50に対する栓ボルト57の螺合及び螺退を行うことができる。
【0056】
(13)蓋体12の外面に係止筒部12fを設けた。そして、ナット50のナット本体51を注液口形成孔12gに挿入した状態では、係止筒部12fによって係止部52を囲むようにした。よって、支持ナット56をナット外周雄ねじ部54に螺合する際、係止筒部12fによってナット50が連れ周りすることが防止される。
【0057】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図7に示すように、第1の実施形態において、栓ボルト34の雄ねじ部36bから円柱状の突部36dを形成する。また、ナット31の当接面31fに、Oリング33を装着するとともに、ナット31において、雌ねじ31aよりも軸方向他端側の内周面にOリング60を装着する。そして、支持ボルト32によってナット31を蓋体12に支持した状態で、Oリング33を蓋体12の裏面に圧接させる。また、栓ボルト34の突部36dにOリング60を圧接させる。
【0058】
このように構成すると、電解液15がナット31の内側に浸入しても、Oリング60より先に電解液15が浸入することが防止される。また、ナット31の外周側から注液口23に向けて電解液15が浸入してもOリング33より内側に電解液15が浸入することが防止される。よって、Oリング33及びOリング60によって電解液15が、密封構造30外へ漏洩することが防止される。
【0059】
図8に示すように、第2の実施形態において、ナット31の雌ねじ31aを挟む位置に透孔31dを形成するとともに、各透孔31dにホルダ40の保持板43を貫通させ、その保持板43の係止片43aを蓋体12の外面に係止させてもよい。また、ナット31の当接面31fには、Oリング61が透孔31dを囲む位置に装着されている。この場合、位置決め突起31cは無くてもよい。なお、Oリング61を省略することも可能である。
【0060】
○ 第1の実施形態では、ナット31を蓋体12の裏側に配設し、蓋体12の外側から通孔12aに挿通した支持ボルト32でナット31を位置決めしたが、これに限らない。ナット31を蓋体12の外側に配設し、蓋体12の裏側から通孔12aに挿通した支持ボルト32でナット31を支持してもよい。この場合、ナット31の軸方向一端面及び他端面それぞれにOリング33が装着される。
【0061】
○ 第3の実施形態において、係止筒部12fは無くてもよい。
○ 第2の実施形態において、保持板43の形状、及び保持板43の数はナット31が保持できるのであれば、適宜変更してもよい。
【0062】
○ 第2の実施形態において、支持板42から突起を形成し、この突起をナット31の軸方向他端面に形成された凹部に挿入し、支持板42上でのナット31の径方向への移動を規制するようにしてもよい。
【0063】
○ 第1及び第3の実施形態において、ナット31又は支持ナット56に位置決め突起31cを形成し、蓋体12に挿通孔12bを形成してもよい。
○ 各実施形態では、栓ボルト34の頭部35を六角形状にしたが、頭部35は円盤状でもよく、六角形状に限定されない。
【0064】
○ 実施形態では、シール部材としてOリング33,55,61に具体化したが、シール部材は、Oリングでなくてもよく、ガスケット等でもよい。
○ 実施形態では、注液口23を蓋体12に形成したが、注液口23をケース本体11に形成し、密封構造30をケース本体11に設けてもよい。
【0065】
○ 電極組立体14は積層型に限らず、巻回型であってもよい。また、巻回型の場合、電極組立体14は、長円柱状に限らず、例えば、円柱状や楕円柱であってもよい。
○ 蓄電装置は、二次電池10に限らず、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のようなキャパシタであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…蓄電装置としての二次電池、12b…挿通孔、12d…貫通孔、13…ケース、14…電極組立体、15…電解液、23…注液口、30…密封構造、31,50…ナット、31b…取付用雌ねじ部、31c…位置決め突起、31g…挿入孔、32…支持部材としての支持ボルト、33,55…シール部材としてのOリング、34,57…栓ボルト、35,57a…頭部、36b,57b…雄ねじ部、40…支持部材としてのホルダ、42…支持板、43…保持板、43a…係止片、51…ナット本体、52…係止部、54…ナット外周雄ねじ部、56…支持ナット、56a…雌ねじ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9