(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929650
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】耐震性間仕切パネル
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
E04B2/74 511D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-198751(P2012-198751)
(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-51860(P2014-51860A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】松山 仙治
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−083910(JP,U)
【文献】
特開2000−170289(JP,A)
【文献】
特開2005−133462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で立設した支柱の表面側に形成した係止孔に係止具を係止するとともに、パネル板の両側裏板部に形成した係合孔を前記係止具に係合してなる間仕切パネルにおいて、前記係止具は、前記支柱の係止孔に挿入する第1係止片と、前記パネル板の係合孔に挿入する第2係止片とを備え、これら第1係止片と第2係止片との間に上向き開口溝と下向き開口溝とを形成して連結部を設け、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)より第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を大きく設定し、前記パネル板の係合孔の上下寸法(D)を前記第2係止片の上下寸法(L)より若干大きく設定するとともに、該係合孔の上下部の横幅を狭く設定してなることを特徴とする耐震性間仕切パネル。
【請求項2】
前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して、第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を2倍以上5倍以下に設定してなる請求項1記載の耐震性間仕切パネル。
【請求項3】
所定間隔で立設した支柱の表面側に形成した係止孔に係止具を係止するとともに、パネル板の両側裏板部に形成した係合孔を前記係止具に係合してなる間仕切パネルにおいて、前記係止具は、前記支柱の係止孔に挿入する第1係止片と、前記パネル板の係合孔に挿入する第2係止片とを備え、これら第1係止片と第2係止片との間に上向き開口溝と下向き開口溝とを形成して連結部を設けるとともに、前記第2係止片に下端にかけて前記支柱表面から遠ざかるように傾斜縁を形成し、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を同じか又は大きく設定し、前記パネル板の係合孔の上下寸法(D)を前記第2係止片の上下寸法(L)より若干大きく設定するとともに、該係合孔の上下部の横幅を狭く設定してなることを特徴とする耐震性間仕切パネル。
【請求項4】
前記パネル板の係合孔は、上下端部が端部に向かってテーパー状に横幅が狭まった形状である請求項1〜3何れか1項に記載の耐震性間仕切パネル。
【請求項5】
前記支柱の表面側の少なくとも上下部に前記係止孔を形成するとともに、前記パネル板の裏板部で前記係止孔に対応する位置に前記係合孔を形成し、少なくとも上部の係止孔と係合孔とに前記係止具を係止し、残りの係止孔と係合孔とには前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して、第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)が2倍未満の係止具を係止してなる請求項1〜4何れか1項に記載の耐震性間仕切パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震性間仕切パネルに係わり、更に詳しくは隣接する支柱間にパネル板を装着した耐震性間仕切パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地レールと天レール間に複数の支柱を所定間隔毎に立設し、隣接する支柱間にパネル板の両側縁を支持するために、該支柱の表面側とパネル板の両側裏板部に形成した係止孔に、共通の係止具を係止する構造の間仕切パネルは各種提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、支柱に対して金属板製の係止金具を介して壁パネル(パネル板)等を着脱自在に係止する係止装置において、前記係止金具を、前記支柱の面板に穿設した縦長の係止孔に挿入して該面板内面に接当する縦長の第1係止爪と、前記支柱の外面に沿って延びる縦長の第2係止爪とを、当該両係止爪の中途高さ部位間を支持部にて繋いで、該両係止爪の間にて上下に開放する上下一対の開口溝が形成されるように構成し、この上向き開口溝に、第2係止爪に係止する壁パネル等における板状係止部を係脱自在に嵌挿し、前記支持部の下端から第1係止爪の上端までの高さ寸法を前記係止孔の上下寸法よりも大きくなるように設定し、前記第2係止爪の上端を第1係止爪の上端よりも低くすると共に、該第2係止爪における上部の内角部を切欠き形成する一方、前記下向き開口溝の溝巾寸法を、前記支柱における面板の肉厚寸法よりも大きい寸法に設定し、前記第2係止爪の下端を第1係止爪の下端よりも下方に位置させると共に、該第2係止爪の下端には、前記支柱の外面に接当する突起を一体的に造形した構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、壁パネルが係止具を介して支柱に係止される構造において、前記係止具には、前記支柱の面板に穿設された支柱係止孔に挿入される第1係止片と、前記壁パネルの裏板部に穿設された壁パネル係止孔に挿入される第2係止片とが備えられ、これら第1係止片と第2係止片との間に、上向き開口溝と下向き開口溝とが形成され、前記壁パネルの裏板部には、弾性変形可能な突部が少なくとも前記壁パネル係止孔の上方に設けられ、前記上下両開口溝内に、前記支柱の面板と前記壁パネルの裏板部とが重ねた状態で配置されるとき、前記突部が前記第2係止片により弾性変形可能に押圧されるように構成したことを特徴とする壁パネル係止構造が開示されている。
【0005】
しかし、何れの係止具(係止金具)を用いた壁パネルの係止構造でも、通常の状態においては不意に壁パネルが外れることはないが、地震振動、特に長周期の地震振動によって支柱に対して壁パネルが大きく上下にずれた場合、係止具の第2係止爪から壁パネルの係合孔が抜ける恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平7−40004号公報
【特許文献2】特開2005−48377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、立設した支柱に係止具を用いてパネル板を形成する通常構造の間仕切パネルにおいて、基本構造はそのままで必要最小限の変更を加えることで、一般的な地震振動は勿論、長周期の地震振動によってもパネル板が支柱から外れることがない耐震性間仕切パネルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、所定間隔で立設した支柱の表面側に形成した係止孔に係止具を係止するとともに、パネル板の両側裏板部に形成した係合孔を前記係止具に係合してなる間仕切パネルにおいて、前記係止具は、前記支柱の係止孔に挿入する第1係止片と、前記パネル板の係合孔に挿入する第2係止片とを備え、これら第1係止片と第2係止片との間に上向き開口溝と下向き開口溝とを形成して連結部を設け、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)より第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を大きく設定し、前記パネル板の係合孔の上下寸法(D)を前記第2係止片の上下寸法(L)より若干大きく設定するとともに、該係合孔の上下部の横幅を狭く設定してなることを特徴とする耐震性間仕切パネルを構成した(請求項1)。
【0009】
ここで、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して、第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を2倍以上5倍以下に設定してなることがより好ましい。
【0010】
また、本発明は、所定間隔で立設した支柱の表面側に形成した係止孔に係止具を係止するとともに、パネル板の両側裏板部に形成した係合孔を前記係止具に係合してなる間仕切パネルにおいて、前記係止具は、前記支柱の係止孔に挿入する第1係止片と、前記パネル板の係合孔に挿入する第2係止片とを備え、これら第1係止片と第2係止片との間に上向き開口溝と下向き開口溝とを形成して連結部を設けるとともに、前記第2係止片に下端にかけて前記支柱表面から遠ざかるように傾斜縁を形成し、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を同じか又は大きく設定し、前記パネル板の係合孔の上下寸法(D)を前記第2係止片の上下寸法(L)より若干大きく設定するとともに、該係合孔の上下部の横幅を狭く設定してなることを特徴とする耐震性間仕切パネルを構成した(請求項3)。
【0011】
更に、前記パネル板の係合孔は、上下端部が端部に向かってテーパー状に横幅が狭まった形状であることも好ましい(請求項4)。
【0012】
そして、前記支柱の表面側の少なくとも上下部に前記係止孔を形成するとともに、前記パネル板の裏板部で前記係止孔に対応する位置に前記係合孔を形成し、少なくとも上部の係止孔と係合孔とに前記係止具を係止し、残りの係止孔と係合孔とには前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して、第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)が2倍未満の係止具を係止してなることがより好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる請求項1に係る発明の耐震性間仕切パネルは、所定間隔で立設した支柱の表面側に形成した係止孔に係止具を係止するとともに、パネル板の両側裏板部に形成した係合孔を前記係止具に係合してなる間仕切パネルにおいて、前記係止具は、前記支柱の係止孔に挿入する第1係止片と、前記パネル板の係合孔に挿入する第2係止片とを備え、これら第1係止片と第2係止片との間に上向き開口溝と下向き開口溝とを形成して連結部を設け、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)より第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を大きく設定し、前記パネル板の係合孔の上下寸法(D)を前記第2係止片の上下寸法(L)より若干大きく設定するとともに、該係合孔の上下部の横幅を狭く設定してなるので、一般的な地震振動や長周期の地震振動等によってパネル板が支柱に対して上方へ変位して、該パネル板の係合孔の上端が係止具の第2係止片の上端位置まで持ち上がっても、通常は支柱に対してパネル板はねじれて変位するので、係合孔の下部の横幅が狭くなっていることにより、第2係止片の下端部が係合孔の下部の横幅が狭くなっている部分に係止し、それより更にパネル板が支柱に対して持ち上がった場合には、前記係止具の第2係止片の下部がパネル板の係合孔の下方に係止し、パネル板が支柱から外れることを防止できる。
【0014】
請求項2によれば、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して、第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を2倍以上5倍以下に設定してなることにより、支柱に対するパネル板のねじれが小さくても、係止具の第2係止片の下端とパネル板の係合孔の下部の横方向の相対変位が十分大きくなり、該第2係止片の下端部が係合孔の下部の横幅が狭くなっている部分に確実に係止するようになる。
【0015】
請求項3に係る発明の耐震性間仕切パネルは、所定間隔で立設した支柱の表面側に形成した係止孔に係止具を係止するとともに、パネル板の両側裏板部に形成した係合孔を前記係止具に係合してなる間仕切パネルにおいて、前記係止具は、前記支柱の係止孔に挿入する第1係止片と、前記パネル板の係合孔に挿入する第2係止片とを備え、これら第1係止片と第2係止片との間に上向き開口溝と下向き開口溝とを形成して連結部を設けるとともに、前記第2係止片に下端にかけて前記支柱表面から遠ざかるように傾斜縁を形成し、前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)を同じか又は大きく設定し、前記パネル板の係合孔の上下寸法(D)を前記第2係止片の上下寸法(L)より若干大きく設定するとともに、該係合孔の上下部の横幅を狭く設定してなるので、請求項1の効果に加えて支柱に対してパネル板が上方へ変位し、パネル板の係合孔の上端が係止具の第2係止片の上端より上へ持ち上がった場合に、係止具の第2係止片の下部がパネル板の係合孔の下方に係止し易くなる。
【0016】
請求項4によれば、前記パネル板の係合孔は、上下端部が端部に向かってテーパー状に横幅が狭まった形状であるので、係止具の第2係止片にパネル板の係合孔を正面から挿入する際に、係合孔の横幅の広い中央部に第2係止片を位置させれば良く、横方向の位置決めが楽になり、また挿入時には上下部のテーパー部分で第2係止片を誘い込むので作業が容易になり、更に係止具の連結部にパネル板の係合孔の上端が当止している通常の状態では、該連結部が係合孔の上端の最も横幅が狭くなっている部分に位置するので、横方向に対するガタツキが規制され、また一般的な地震振動はもとより長周期の地震振動等によってパネル板が支柱に対して持ち上がった場合にも、係止具の第2係止片の下端部が係合孔の下部の横幅が狭くなっている部分に係止し易くなるのである。
【0017】
請求項5によれば、前記支柱の表面側の少なくとも上下部に前記係止孔を形成するとともに、前記パネル板の裏板部で前記係止孔に対応する位置に前記係合孔を形成し、少なくとも上部の係止孔と係合孔とに前記係止具を係止し、残りの係止孔と係合孔とには前記第2係止片の上端から前記連結部までの長さ(L1)に対して、第2係止片の下端から前記連結部までの長さ(L2)が2倍未満の係止具を係止してなるので、パネル板の上部が支柱から外れ難くなり、より耐震性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る耐震性間仕切パネルの部分正面図である。
【
図2】地レールと天レール間に立設した支柱を示す省略正面図である。
【
図3】支柱にパネル板を係止した状態の省略縦断側面図である。
【
図4】同じく支柱にパネル板を係止した状態の省略横断平面図である。
【
図6】支柱に係止具を係止した状態の部分側面図である。
【
図7】支柱に係止具を用いてパネル板を係止した状態を示し、(a)は本発明の係止具を用いた部分縦断正面図、(b)は従来の係止具を用いた部分縦断正面図である。
【
図8】支柱とパネル板の相対位置が通常状態である場合を示し、(a)は説明用正面図、(b)は係止具の第2係止片とパネル板の係合孔の相対位置を示す部分説明図である。
【
図9】ねじれる方向に外力が作用して右側の支柱に対してパネル板が持ち上がった状態を示し、(a)は説明用正面図、(b)は係止具の第2係止片とパネル板の係合孔の相対位置を示す部分説明図である。
【
図10】
図9の状態よりも更にパネル板が持ち上がった状態を示し、(a)は説明用正面図、(b)は係止具の第2係止片とパネル板の係合孔の相対位置を示す部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
図1〜
図4は本発明に係る耐震性間仕切パネルの全体構造を示し、
図5〜
図10はその詳細を示し、図中符号1は地レール、2は天レール、3は支柱、4はパネル板、5は係止具をそれぞれ示している。
【0020】
本実施形態の耐震性間仕切パネルの基本構造は、従来のものと同じであるので、
図3〜
図4に基づいて簡単に説明する。耐震性間仕切パネルは、床面に固定した地レール1と天井に固定した天レール2との間に所定間隔毎に支柱3,…を立設し、隣接する両支柱3,3の表裏両面にパネル板4,4を係止具5,…を用いて装着した構造となっている。
【0021】
更に具体的には、前記地レール1は、上方へ開放した断面略コ字形部材であり、下端部にアジャスター6を装着した前記支柱3を内挿する。前記天レール2は、下方へ開放した断面略コ字形部材であり、前記支柱3の上端部に装着した天固定金具7とともに内挿して立起状態に保持する。そして、前記アジャスター6の両側面に突設した突片8に下方へ開放した断面略コ字形の連結部材9の端部を支持して連結するとともに、該連結部材9を前記地レール1に外挿する。前記連結部材9を支柱3,3間に渡設することにより、隣接する支柱3,3の間隔は正確に規定される。また、前記連結部材9は、前記パネル板4の下端を支持する機能も備えている。
【0022】
前記支柱3は、
図2、
図4及び
図5に示すように、断面略C字形で側面板10と前面板11及び後面板12を有するとともに、前面板11と後面板12の端部を互いに接近する方向に折曲した折曲板13,13を有し、両折曲片13,13の間は開口部となっている。そして、前記支柱3の前面板11及び後面板12には、所定高さ位置に対となった縦長の係止孔14,14を形成している。本実施形態では、前記係止孔14,14は、前記支柱3の上下部と中間部の4箇所に形成しているが、少なくとも上下部に設けるものとする。
【0023】
前記パネル板4は、
図4及び
図5に示すように、スチール製の表面板15の周囲を背面側に折曲して縁板部16を形成し、両側部においては前記縁板部16の後縁から表面板15に平行に内向きに裏板部17を形成し、前記縁板部16で囲まれる表面板15の背面に石膏ボード18を貼着した構造となっているが、前記裏板部17が存在すればその他はどのような構造でも良い。そして、前記パネル板4の裏板部17には、前記支柱3の係止孔14の高さに合せて縦長の係合孔19,…を形成している。前記係合孔19は、上下端部が端部に向かってテーパー状に横幅が狭まった形状である。
【0024】
前記係止具5は、
図5及び
図7(a)に示すように、前記支柱3の係止孔14に挿入する第1係止片20と、前記パネル板4の係合孔19に挿入する第2係止片21とを備え、これら第1係止片20と第2係止片21との間に上向き開口溝と下向き開口溝とを形成して連結部22を設け、前記第2係止片21の上端から前記連結部22までの長さ(L1)より第2係止片21の下端から前記連結部22までの長さ(L2)を大きく設定し、前記パネル板4の係合孔19の上下寸法(D)を前記第2係止片21の上下寸法(L)より若干大きく設定している。
【0025】
更に具体的には、前記第2係止片21の上端から前記連結部22までの長さ(L1)に対して、第2係止片21の下端から前記連結部22までの長さ(L2)を2倍以上5倍以下に設定している。ここで、L2/L1が2倍より小さいと、その効果に乏しくなり、5倍を超えると、前記パネル板4の裏板部17に形成する係合孔19の長さが長くなり過ぎて、裏板部17の強度の低下及び係合孔19の形状安定性に欠けるので好ましくない。そして、前記第2係止片21の下部には、前記支柱3の表面に当接する当接部23を形成するとともに、該当接部23から下端にかけて該支柱表面から遠ざかるように傾斜縁24を形成している。
図7(a)に示した係止具5は、本発明品であり、
図7(b)に示した係止具5Aは、前記第2係止片21の上端から前記連結部22までの長さ(L1)に対して、第2係止片21の下端から前記連結部22までの長さ(L2)が2倍未満の従来タイプのものである。ここで、前記第2係止片21の上端から前記連結部22までの長さ(L1)に対して、第2係止片21の下端から前記連結部22までの長さ(L2)が同じであっても、前記第2係止片21に傾斜縁24を設けることにより、外れ防止の効果を奏する。
【0026】
そして、
図6に示すように、前記支柱3の上部の係止孔14に前記係止具5を係止し、残りの下方の係止孔14,…には従来タイプの係止具5A,…を係止し、それから正面側から前記パネル板4を接近させ、前記係止具5及び係止具5A,…の各第2係止片21,…を両側裏板部17,17に形成した対応する係合孔19,…に同時に挿入して係止する。前記パネル板4を係止した状態では、前記係止具5及び係止具5A,…の連結部22にパネル板4の係合孔19の上端が当止している。この際に、前記係合孔19の上下部は端部に向けて横幅がテーパー状に狭まっているので、該係合孔19と連結部22はガタツキなく係合する。ここで、図中符号25は、前記係合孔19のテーパー部を示している。尚、前記係止具5は、上部のみならず下部若しくはその他の高さ位置に設けても良い。
【0027】
最後に、本発明の耐震性が高まる理由を
図8〜
図10に基づいて説明する。先ず、
図8は、両側の支柱3,3に対して係止具5,5A,…でパネル板4が正確な位置に係止されている状態を示している。係止具5の連結部22に係合孔19の上端が当止した状態である。次に、一般的な地震振動や長周期の地震振動等によって間仕切パネルの上部が左側へ下部が右側へ変位した場合、右側の支柱3に対してパネル板4の右側部分が上方へ持ち上がるような変位が生じる。
【0028】
図9は、支柱3に対してパネル板4が上方へ変位し、係止具5の第2係止片21の上端位置までパネル板4の係合孔19の上端が変位した状態を示している。この際に、支柱3とパネル板4は相対的にねじれが生じ、そのため係止具5の第2係止片21の下端に対してパネル板4の係合孔19の下端が横方向に若干変位する。前記第2係止片21の下端が、係合孔19の下端より若干上方の挿脱可能な位置にあっても、ねじれのため前記第2係止片21の下端が係合孔19の下端部のテーバー部25に係止するので、第2係止片21から係合孔19が抜けることはなく、つまりパネル板4が支柱3から外れることがないのである。
【0029】
図10は、
図9の状態から支柱3に対してパネル板4が更に大きく変位した状態を示している。この状態では、前記係止具5の第2係止片21の下端よりもパネル板4の係合孔19の下端が高い位置になるが、
図5及び
図7に示すように、第2係止片21に形成された傾斜縁24に前記係合孔19の下端部が当接するので、第2係止片21から係合孔19が抜けることはなく、つまりパネル板4が支柱3から外れることがないのである。
【0030】
そして、地震振動等によって逆方向に外力が作用した際には、前記パネル板4の係合孔19の上端が前記係止具5の連結部22に当止した正常な係止状態に復帰する。
【符号の説明】
【0031】
1 地レール、 2 天レール、
3 支柱、 4 パネル板、
5,5A 係止具、 6 アジャスター、
7 天固定金具、 8 突片、
9 連結部材、 10 側面板、
11 前面板、 12 後面板、
13 折曲板、 14 係止孔、
15 表面板、 16 縁板部、
17 裏板部、 18 石膏ボード、
19 係合孔、 20 第1係止片、
21 第2係止片、 22 連結部、
23 当接部、 24 傾斜縁、
25 テーバー部。