(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929670
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】電池モジュール及び電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 2/12 20060101AFI20160526BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
H01M2/12 Z
H01M2/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-212719(P2012-212719)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-67620(P2014-67620A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】酒井 崇
(72)【発明者】
【氏名】杉本 貴久
(72)【発明者】
【氏名】渡▲辺▼ 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 英史
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】前田 和樹
【審査官】
渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−083579(JP,A)
【文献】
特開2007−012485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/12
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に電解液及び電極組立体が密閉され、前記ケースの内圧が規定圧力を超えた場合に開放する圧力開放弁を前記ケースの上部に有するとともに一方向に並設された複数の電池セルと、前記複数の電池セルの上部に跨って設けられ、開放された前記圧力開放弁から前記電解液が排出されるダクトと、を備えた電池モジュールであって、
前記ダクトは、少なくとも一端に排出口が設けられるとともに前記ダクトの内部における鉛直方向下方には、前記ダクトの長手方向の全体にわたって前記排出口に近づくにつれて下り傾斜する誘導部が形成されているか、もしくは、前記排出口に近づくにつれて下り傾斜する傾斜部と、傾斜が形成されていない平坦部とを有する誘導部が形成されていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記ダクトは、該ダクトの短手方向に沿って前記誘導部に近づくにつれて下り傾斜する第1の傾斜部を有し、
前記第1の傾斜部を厚み方向に貫通する貫通孔が前記ダクトの長手方向に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記ダクトは、前記電池セルの並設方向全体に延びる本体部と、前記本体部の軸方向一端から延設し前記本体部の軸方向に対して垂直の方向に延びる屈曲部とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記貫通孔の縁部において、前記電解液の流通方向の上流側には、前記第1の傾斜部から立設された壁部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第1の傾斜部は前記ダクトの短手方向に沿って形成され、前記誘導部は前記ダクトの長手方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の電池モジュールを複数有する電池パックであって、
隣り合う前記電池モジュールの前記ダクトは、前記排出口が設けられる前記一端が互いに離れるように延びていることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
ケース内に電解液及び電極組立体が密閉され、前記ケースの内圧が規定圧力を超えた場合に開放する圧力開放弁を前記ケースの上部に有するとともに一方向に並設された複数の電池セルと、前記複数の電池セルの上部に跨って設けられ、開放された前記圧力開放弁から前記電解液が排出されるダクトと、を備えた電池モジュールであって、
前記ダクトには、前記ダクトの底面を厚み方向に貫通する貫通孔が、前記圧力開放弁上の対向する位置に形成されており、
前記ダクトの内部における鉛直方向下方の前記貫通孔が形成された領域には、前記複数の電池セルの並設方向と略直交する方向に傾斜する傾斜部が形成されており、
前記傾斜部の下方側に前記ダクトの排出口を有し、前記傾斜部は前記排出口に向けて下り傾斜していることを特徴とする電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースの内圧が規定圧力を超えた場合に開放する圧力開放弁を有するとともに一方向に並設された複数の電池セルと、複数の電池セルに跨って設けられるダクトとを備えた電池モジュール及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池には、ケースの内圧が規定圧力を超えた場合に開放されてケースの内圧を低下させる弁が設けられている。弁が開放されるときには、ケースの内部から気体とともに電解液が排出されることがあり、この電解液が二次電池に付着すると、短絡などの原因となる。排出された電解液が二次電池に付着することを防止した電池モジュールとしては、例えば、特許文献1に記載のバッテリモジュールが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のバッテリモジュールにおいて、バッテリセルは、内部で発生する気体の排出通路となるベンツを有している。ベンツの上部には、ディガシングカバーが設けられている。ディガシングカバーは、ベンツの上部に密着固定されて、ベンツから排出される気体を排出する気体通路を形成している。そして、ベンツから気体が排出されると、気体は気体通路を通ってバッテリモジュールの外部に排出される。また、気体とともに液体がベンツから排出されても、その液体は、気体通路を通ってバッテリモジュールの外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−89499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1においては、ベンツから排出された電解液が気体通路の内部で留まってしまうおそれがある。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ダクトに排出された電解液がダクトの内部で留まることを防止することができる電池モジュール及び電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ケース内に電解液及び電極組立体が密閉され、前記ケースの内圧が規定圧力を超えた場合に開放する圧力開放弁を前記ケースの上部に有するとともに一方向に並設された複数の電池セルと、前記複数の電池セルの上部に跨って設けられ、開放された前記圧力開放弁から前記電解液が排出されるダクトと、を備えた電池モジュールであって、前記ダクトは、少なくとも一端に排出口が設けられるとともに前記ダクトの内部における鉛直方向下方には、前記ダクトの
長手方向の全体にわたって前記排出口に近づくにつれて下り傾斜する誘導部が形成されているか、もしくは、前記排出口に近づくにつれて下り傾斜する傾斜部と、傾斜が形成されていない平
坦部とを有する誘導部が形成されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、電池セルの異常時などに、ケースの内圧が規定圧力を超えて、ダクトに電解液が排出されると、電解液は、誘導部の傾斜にしたがって排出口に向けて流れる。したがって、ダクトに排出された電解液が、ダクトの内部で留まることが防止されて、ダクトの外部に電解液を排出することができる。また、ダクトの内部に電解液以外の液体が排出された場合にも、この液体をダクトの外部に排出することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池モジュールにおいて、前記ダクトは、
該ダクトの短手方向に沿って前記誘導部に近づくにつれて下り傾斜する第1の傾斜部を有し、前記第1の傾斜部を厚み方向に貫通する貫通孔が前記ダクトの長手方向に複数形成されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電池モジュールにおいて、前記ダクトは、前記電池セルの並設方向全体に延びる本体部と、前記本体部の軸方向一端から延設し前記本体部の軸方向に対して垂直の方向に延びる屈曲部とからなることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電池モジュールにおいて、前記貫通孔の縁部において、前記電解液の流通方向の上流側には、前記第1の傾斜部から立設された壁部
が形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は請求項4に記載の電池モジュールにおいて、前記第1の傾斜部は前記ダクトの短手方向に沿って形成され、前記誘導部は前記ダクトの長手方向に沿って形成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項
6に記載の発明は、請求項1
〜請求項5のうち何れか一項に記載の電池モジュールを複数有する電池パックであって、隣り合う前記電池モジュールの前記ダクトは、前記排出口が設けられる前記一端が互いに離れるように延びていることを要旨とする。
【0009】
これによれば、隣り合う電池モジュールのダクトから排出される電解液は、それぞれ、隣り合う電池モジュールから離れる方向に排出される。このため、それぞれのダクトから排出された電解液が、各電池モジュールに付着することが抑制される。
上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明は、ケース内に電解液及び電極組立体が密閉され、前記ケースの内圧が規定圧力を超えた場合に開放する圧力開放弁を前記ケースの上部に有するとともに一方向に並設された複数の電池セルと、前記複数の電池セルの上部に跨って設けられ、開放された前記圧力開放弁から前記電解液が排出されるダクトと、を備えた電池モジュールであって、前記ダクトには、前記ダクトの底面を厚み方向に貫通する貫通孔が、前記圧力開放弁上の対向する位置に形成されており、前記ダクトの内部における鉛直方向下方の前記貫通孔が形成された領域には、前記複数の電池セルの並設方向と略直交する方向に傾斜する傾斜部が形成されて
おり、前記傾斜部の下方側に前記ダクトの排出口を有し、前記傾斜部は前記排出口に向けて下り傾斜していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ダクトに排出された電解液がダクトの内部で留まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施形態の第1の電池モジュールの一部を破断して示す斜視図。
【
図3】実施形態の第1の電池モジュールを示す
図2の3−3線断面図。
【
図4】実施形態の第1の電池モジュールを示す
図2の4−4線断面図。
【
図5】実施形態の第1の電池モジュールを示す
図2の5−5線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、電池パック10において、第1の電池モジュール11と第2の電池モジュール31は、例えば、図示しない筐体の内部に隣り合うように設けられている。
図2に示すように、第1の電池モジュール11は、電池セルとしての第1の角型電池12(例えば、リチウムイオン二次電池や、ニッケル・水素蓄電池)を保持した第1の電池ホルダ13を第1の角型電池12の厚み方向に並設するとともに、並設方向の両端に第1のエンドプレート14を設けて構成されている。
【0013】
図3に示すように、第1の角型電池12において、四角箱状のケース15の内部には、電極組立体16及び電解液17が収容されている。ケース15は、有底筒状で上方が開口するケース本体15aと、ケース本体15aの開口を覆う蓋部材15bとからなる。
【0014】
蓋部材15bには、正極端子18及び負極端子19が貫通して突設されている。正極端子18及び負極端子19は、正極導電部材18a及び負極導電部材19aを介して電極組立体16に電気的に接続されている。ケース15の蓋部材15bおいて、正極端子18と、負極端子19との間には、開口部15cが蓋部材15bの厚み方向に貫通して設けられるとともに、この開口部15cは、圧力開放弁20により閉塞されている。この圧力開放弁20は、ケース15の内圧が規定圧力を超えたときに破断され、ケース15の圧力を開放する。
【0015】
図2に示すように、第1の電池モジュール11には、全ての第1の角型電池12に跨って設けられる四角筒状をなす第1のダクト21が配設されている。第1のダクト21は、第1の電池モジュール11上で該第1の電池モジュール11における第1の角型電池12の並設方向全体に延びる本体部22と、本体部22の軸方向一端から延設し本体部22の軸方向に対して垂直の方向に延びる屈曲部23とからなる。
【0016】
本体部22の軸方向一端は開口し、軸方向他端は閉塞されている。
屈曲部23の軸方向両端は開口している。屈曲部23の軸方向一端は、本体部22の軸方向一端と接続されており、本体部22の内部と屈曲部23の内部とが連通している。屈曲部23の軸方向他端は、該軸方向他端から排出される電解液17が第1の電池モジュール11の第1の角型電池12と接触しない方向に開口しており、電解液17を第1のダクト21の外部に排出する排出口24となる。ここで、第1のダクト21において、軸方向を長手方向とし、軸方向に直交し、かつ、蓋部材15bの面に沿う方向を短手方向とする。
【0017】
本体部22の内部の底部22a(本体部22の内部における鉛直方向下方の部分)には、第1のダクト21の短手方向に隣り合うように第1の傾斜部25と、第2の傾斜部26が形成されている。第1の傾斜部25と第2の傾斜部26は、ともに第1のダクト21の長手方向の全体にわたって延びている。第1の傾斜部25は、第2の傾斜部26よりも鉛直方向上方に形成されている。第1の傾斜部25は、第1のダクト21の短手方向に沿って第2の傾斜部26に近づくにつれて、下り傾斜している。第1の傾斜部25には、その厚み方向に貫通する貫通孔27が本体部22の長手方向に所定の間隔をあけて形成されている。この貫通孔27は、第1の角型電池12に形成された圧力開放弁20上の対向する位置に形成されている。
【0018】
図4に示すように、第2の傾斜部26は、第1のダクト21の長手方向他端から一端に向けて下り傾斜している(排出口24に向けて下り傾斜している)。
図5に示すように、屈曲部23の底部23a(屈曲部23の内部における鉛直方向下方の部分)には、第3の傾斜部28が形成されている。第3の傾斜部28は、第1のダクト21の長手方向(屈曲部23の軸方向)に沿って排出口24に近づくにつれて下り傾斜している。したがって、本実施形態において、第2の傾斜部26及び第3の傾斜部28から、誘導部が形成されている。なお、第3の傾斜部28及び第2の傾斜部26は、排出口24から離れるにつれて上り傾斜していると捉えることもできる。
【0019】
次に、第2の電池モジュール31について説明する。
図1に示すように、第2の電池モジュール31は、第1のダクト21を除いて、第1の電池モジュール11と同一の構成を有する。具体的にいえば、第2の電池モジュール31は、第1の角型電池12と同一の第2の角型電池32と、第1の電池ホルダ13と同一の第2の電池ホルダ33と、第1のエンドプレート14と同一の第2のエンドプレート34と、第2のダクト35と、からなる。
【0020】
第2のダクト35は、第1のダクト21と同様に、第2の角型電池32の並設方向全体に延びる本体部36と、本体部36の軸方向一端から延設し本体部36の軸方向に対して垂直の方向に延びる屈曲部37とからなる。第2のダクト35の屈曲部37は、第1のダクト21の屈曲部23とは反対方向に屈曲している。
【0021】
本体部36の軸方向一端は開口し、軸方向他端は閉塞されている。
屈曲部37の両端は開口している。屈曲部37の軸方向一端は本体部36の軸方向一端と接続されており、本体部36の内部と屈曲部37の内部とが連通している。屈曲部37の軸方向他端は、該軸方向他端から排出される電解液17が第2の電池モジュール31と接触しない方向に開口しており、電解液17を第2のダクト35の外部に排出する排出口38となる。したがって、第1のダクト21と第2のダクト35は、それぞれの排出口24,38が設けられる屈曲部23,37の軸方向一端が互いに離れるように延びている。
【0022】
なお、第2のダクト35の本体部36及び屈曲部37の内部には、第1のダクト21と同様に、排出口38に近づくにつれて下り傾斜している第2の傾斜部26と第3の傾斜部28(誘導部)及び電解液17を第2の傾斜部26に流す第1の傾斜部25が形成されている。
【0023】
次に、本実施形態の電池パック10の作用について説明する。
第1の角型電池12の異常時など、第1の角型電池12のケース15の内圧が規定圧力を超えると、第1の角型電池12に設けられた圧力開放弁20が開放される。そして、圧力開放弁20の開放に伴い、ケース15内の気体がケース15の外部に放出されるとともに、電解液17がケース15の外部に放出されると、この電解液17は、貫通孔27を通り、第1のダクト21の内部に排出される。第1のダクト21に排出された電解液17は、重力にしたがって、第1の傾斜部25を第2の傾斜部26に向けて流れ、第1のダクト21に排出された電解液17が、隣り合う貫通孔27に流入することが防止されている。
【0024】
第2の傾斜部26に流れた電解液17は、重力にしたがって、第2の傾斜部26を第3の傾斜部28に向けて流れる。第2の傾斜部26から第3の傾斜部28に流れた電解液17は、重力にしたがって、第3の傾斜部28を流れて排出口24から第1のダクト21の外部に排出される。第1のダクト21の外部に排出された電解液17は、第1のダクト21の外部に設けられた図示しない貯留部に貯留される。
【0025】
第2の角型電池32の内圧が規定圧力を超えたときには、同様に、第2のダクト35の内部に排出された電解液17が、第2のダクト35の排出口38から第2のダクト35の外部に排出され、貯留部に貯留される。
【0026】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1のダクト21の底部22a,23aには、排出口24に近づくにつれて下り傾斜する誘導部(第2の傾斜部26及び第3の傾斜部28)が形成されている。このため、第1のダクト21に電解液17が排出されると、電解液17は第2の傾斜部26及び第3の傾斜部28の傾斜にしたがって排出口24に向けて流れる。したがって、第1のダクト21に排出された電解液17が、第1のダクト21の内部で留まることが防止されて、第1のダクト21の外部に電解液17を排出することができる。また、第1のダクト21の内部に電解液17以外の液体が排出された場合にも、この液体を第1のダクト21の外部に排出することができる。
【0027】
(2)第1のダクト21と第2のダクト35は、屈曲部23,37の軸方向一端が互いに離れるように延びている。このため、第1のダクト21から排出される電解液17が第2の電池モジュール31に付着することが抑制され、第2のダクト35から排出される電解液17が、第1の電池モジュール11に付着することが抑制される。したがって、電解液17が付着することによる第1の電池モジュール11及び第2の電池モジュール31の異常を抑制することができる。
【0028】
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
○
図6に示すように、第1のダクト21及び第2のダクト35に第1の傾斜部25を形成しなくてもよい。ダクト41の内部において、鉛直方向での下部(底部22a)には、傾斜部42が形成されている。この傾斜部42には、ダクト41の長手方向に所定の間隔をおいて貫通孔27が形成されている。貫通孔27の縁部において、電解液17の流通方向の上流側の半周には、傾斜部42から立設された壁部43が形成されている。この壁部43によって、上流側から流れる電解液17が、下流側の貫通孔27に流入することが防止されている。
【0029】
○ 実施形態において、第2の傾斜部26は、第1のダクト21の長手方向の全体にわたって形成されているが、これに限られない。例えば、傾斜部と、傾斜が形成されない平坦部を交互に形成してもよい。この場合、電解液17が、傾斜部によって付勢された勢いで平坦部を流れるように形成することで、第1のダクト21の長手方向全体にわたって傾斜部を形成しなくても、電解液17を第1のダクト21の外部に排出することができる。なお、第3の傾斜部28を同様な構成としてもよい。
【0030】
○ 実施形態において、第1のダクト21及び第2のダクト35の形状を四角筒状以外にしてもよい。例えば、円筒形状のダクトなどを用いてもよい。この場合であっても、円筒形状のダクトの内部に、排出口に近づくにつれて下り傾斜する傾斜する傾斜部を形成する。
【0031】
○ 実施形態において、電池セルとして、円筒型電池や、ラミネート型の電池など、ケースの内圧が規定圧力を超えたときに、ケースの内部から電解液を排出する弁を有する電池であれば、どのような電池を採用してもよい。
【0032】
○ 実施形態において、第1のダクト21及び第2のダクト35に屈曲部23,37を形成しなくてもよい。
○ 実施形態において、電池モジュールの数を変更してもよい。
【0033】
○ 実施形態では、第1の電池モジュール11と第2の電池モジュール31を水平方向に並べたが、第1の電池モジュール11と第2の電池モジュール31を鉛直方向に並べてもよい。
【0034】
○ 実施形態では、屈曲部23の軸方向他端を開口させて第1のダクト21の一端に排出口24を形成したが、本体部22の軸方向他端を開口させて第1のダクト21の両端に排出口を形成してもよい。
【0035】
○ 実施形態において、並設方向に隣り合う第1の角型電池12の正極端子18及び負極端子19を接続するバスバーを第1のダクト21に一体化してもよい。これによれば、第1の角型電池12を直列接続し、かつ、モジュール化する際に第1の角型電池12の正極端子18と負極端子19をバスバーで接続するのと同時に第1のダクト21を第1の電池モジュール11に取り付けるこいとができる。よって、第1のダクト21とバスバーの取り付けに要する工程と部品点数を削減することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…電池パック、11…第1の電池モジュール、12…電池セルとしての第1の角型電池、15…ケース、16…電極組立体、17…電解液、20…圧力開放弁、21…第1のダクト、24,38…排出口、26…誘導部の一部を形成する第2の傾斜部、28…誘導部の一部を形成する第3の傾斜部、31…第2の電池モジュール、32…電池セルとしての第2の角型電池、35…第2のダクト、41…ダクト。