(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかるディスク駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(ディスク11の挿入および排出の動作)
図1は、ディスク11の挿入前のディスク駆動装置10を示す図である。本実施形態にかかるディスク駆動装置10は、ディスク状記録媒体(ディスク11)から光学的に情報を再生する。ディスク駆動装置10は、スロットイン型と呼ばれ、ディスクトレイを用いずに、ディスク11が縁から直接挿入される。このようなディスク駆動装置10は、小型化が可能となり、例えば車載用に好適である。
【0011】
ディスク駆動装置10は、例えば全体が略直方体のシャーシ20を備える。シャーシ20は、一つの側面に挿入口21を有する。挿入口21は、記録再生面を下側に向けた状態でディスク11が縁から挿入される。
【0012】
本例において、ディスク駆動装置10における下側とは、挿入されたディスク11の記録再生面(レーザ光が照射される面)に対応する側を表す。また、ディスク駆動装置10における上側とは、挿入されたディスク11の記録再生面とは反対面に対応する側を表す。なお、下側および上側は、ディスク駆動装置10とディスク11との相対的な位置関係に基づき定まる。従って、ディスク駆動装置10は、実際には、ディスク11が垂直となるように配置されたり、上下を逆に配置されたりしてもよい。
【0013】
ディスク駆動装置10は、挿入口21にディスク11が挿入されたことを検出するための機構として、2つのピン210を備える。2つのピン210は、ディスク11の進入を遮るように、挿入されるディスク11の主面に対して垂直な状態で、挿入口21の中心近傍に並んで配置される。
【0014】
2つのピン210は、互いに離れる方向および近づく方向(挿入されるディスク11の主面に平行であって且つ挿入方向に垂直な方向)に移動自在に設けられる。また、2つのピン210は、互いに近づく方向に付勢がされている。2つのピン210の間隔は、内部にディスク11が挿入されていない場合、予め定められた初期距離となっている。
【0015】
また、ディスク駆動装置10は、ディスク11の搬送用のローラレバー30を備える。ローラレバー30は、円柱状のローラ31を有する。ローラ31は、ディスク11の主面に平行であって且つディスク11の挿入方向に垂直な方向の軸を中心に回転する。
【0016】
図2は、ディスク11の挿入開始時のディスク駆動装置10を示す図である。挿入口21に挿入されたディスク11は、まず、
図2に示されるように縁が2つのピン210に接触する。この状態からディスク11が挿入口21の内部に押し込まれると、2つのピン210は、ディスク11の縁から加わった力により互いに離れるように左右に移動する。
【0017】
ローラレバー30は、ディスク11が挿入される前において、ローラ31をシャーシ20の天板20A側に押し付けた状態で待機している。なお、天板20Aは、シャーシ20の上側の面の板である。
【0018】
ディスク11は、挿入口21から内部に一定量挿入されると、縁がローラ31と接触する。そして、ディスク11は、さらに挿入されると、縁が天板20Aの下面側に設けられたディスクガイドと、ローラ31との間へと入り込む。
【0019】
ローラレバー30は、2つのピン210が一定距離離間したことに応じて、ローラ31の回転を開始する。このとき、ローラレバー30は、天板20Aとローラ31との間にディスク11を挟み込んでディスク11を天板20A側に押し付けながらローラ31を回転させる。これにより、ローラレバー30は、ディスク11を内部へと搬送することができる。
【0020】
図3は、ディスク11の搬送時のディスク駆動装置10を示す図である。ディスク11は、ローラ31の回転により、2つのピン210の間を通過して内部へと引き込まれる。このとき、2つのピン210は、互いに近づく方向に付勢されているので、ディスク11が間を通過することに応じてディスク11の縁に沿って左右に移動する。
【0021】
図4は、ディスク11の装着後のディスク駆動装置10を示す図である。ローラレバー30は、内部の所定位置までディスク11を搬送すると、ローラ31の回転を停止する。これとともに、ローラレバー30は、ローラ31を天板20A側から離間させて、ディスク11の天板20A側への押し付けを開放する。
【0022】
そして、ディスク駆動装置10は、ターンテーブルとクランプ板との間にディスク11を挟んで保持する。これにより、ディスク駆動装置10は、以後、ディスク11を回転させて、情報を再生することができる。
【0023】
また、ディスク11の排出時においては、ディスク駆動装置10は、クランプ板をディスク11から離間させる。その後に、ローラレバー30は、シャーシ20の天板20Aとローラ31との間にディスク11を挟み込んでディスク11を天板20A側に押し付けながらローラ31を回転させる。このとき、ローラ31は、挿入時と逆回転をする。これにより、ローラレバー30は、ディスク11を外部へと排出することができる。そして、ローラレバー30は、ディスク11が挿入口21から一定量露出すると回転を停止する。これにより、ディスク駆動装置10は、ディスク11を取り出させることができる。
【0024】
(アーム部220等の構成および動作)
図5は、閉じた状態の2つのアーム部220および付勢部240等を上側から見た図である。
図6は、開いた状態の2つのアーム部220および付勢部240等を上側から見た図である。
【0025】
ディスク駆動装置10は、2つのピン210を移動させるための機構として、2つのアーム部220と、連結部230と、付勢部240とを備える。
【0026】
2つのアーム部220は、挿入されるディスク11の回転中心が通過すべき位置を挟んで、ほぼ対称な形状であり、且つ、ほぼ対称な位置に設けられる。なお、図中において、ディスク11の回転中心が通過すべき位置を表す線を中心通過線として示す。この中心通過線は、ディスク11の挿入方向の延長線を表す。
【0027】
さらに、2つのアーム部220のそれぞれは、ディスク11の主面に対して垂直な回動軸221を中心に回動する。このとき、2つのアーム部220は、挿入されるディスク11の回転中心が通過すべき位置を挟んで対称に回動する。
【0028】
2つのアーム部220のそれぞれは、ピン210を、挿入口21の近傍においてディスク11の主面に平行な方向に移動可能に保持する。この場合には、2つのアーム部220のそれぞれは、ピン210をディスク11の主面に対して垂直となるように保持する。例えば、2つのピン210のそれぞれは、2つのアーム部220のそれぞれに一体的に設けられる。
【0029】
2つのアーム部220は、挿入口21から見て互いに外側に開くように回動した場合に、即ち、中心通過線から離れる方向に回動した場合、互いに遠ざかる位置に2つのピン210が設けられる。より具体的には、ピン210は、2つのアーム部220における回動軸221よりも挿入口21側に配置される。
【0030】
例えば挿入口21から見て右側のアーム部220−Rには、右側の回動軸221−Rよりも挿入口21側に右側のピン210−Rが設けられている。従って、
図5に示されるように、右側のアーム部220−Rが外側に開く方向(矢印X1方向)に回動すると、右側のピン210−Rは、中心から遠ざかるように移動する。また、
図6に示されるように、右側のアーム部220−Rが内側に閉じる方向(矢印X2方向)に回動すると、右側のピン210−Rは、中心に近づくように移動することができる。
【0031】
また、例えば挿入口21から見て左側のアーム部220−Lには、左側の回動軸221−Lよりも挿入口21側に左側のピン210−Lが設けられている。従って、
図5に示されるように、左側のアーム部220−Lが外側に開く方向(矢印Y1方向)に回動すると、左側のピン210−Lは、中心から遠ざかるように移動する。また、
図6に示されるように、左側のアーム部220−Lが内側に閉じる方向(矢印Y2方向)に回動すると、左側のピン210−Lは、中心に近づくように移動する。
【0032】
連結部230は、2つのアーム部220と連結される。そして、連結部230は、ディスク11の挿入方向に平行に直線移動することにより、2つのアーム部220をディスク11の回転中心が通過すべき位置を挟んで対称に動作させる。連結部230は、一例として、2つのアーム部220の間に配置される。
【0033】
例えば、
図5に示されるように、2つのアーム部220が外側に開く方向(矢印X1方向および矢印Y1方向)に回動することにより、連結部230は、挿入口21に近づく方向(矢印Z1方向)に直線移動する。また、
図6に示されるように、2つのアーム部220が内側に閉じる方向(矢印X2方向および矢印Y2方向)に回動することにより、連結部230は、挿入口21から遠ざかる方向(矢印Z2方向)に直線移動する。
【0034】
付勢部240は、例えばコイルバネである。付勢部240は、2つのピン210のそれぞれが互いに近づくように2つのアーム部220を付勢する。本例においては、付勢部240は、連結部230を挿入口21から遠ざかる方向(即ち、Z2方向,ディスク挿入方向)に付勢することにより、2つのアーム部220を内側に閉じる方向(X2方向,Y2方向)に付勢する。即ち、付勢部240は、2つのアーム部220を中心通過線に近づく方向に付勢する。なお、付勢部240による付勢の位置については詳細を後述する。
【0035】
(スイッチの切り替えおよびアーム部220の付勢)
図7は、閉じた状態の2つのアーム部220および付勢部240等を下側から見た図である。
図8は、開いた状態の2つのアーム部220および付勢部240等を下側から見た図である。
【0036】
ディスク駆動装置10は、第1スイッチ250および第2スイッチ260を備える。第1スイッチ250は、ディスク11の挿入を検出し、ローラ31の回転の開始のタイミングを決定することを目的として設けられている。第2スイッチ260は、2つのピン210が最も開いた状態を検出し、排出時のローラ31の停止のタイミングを決定することを目的として設けられている。
【0037】
第1スイッチ250および第2スイッチ260は、2つのアーム部220のうち一方が接触してオンまたはオフが切り替えられる。本例においては、第1スイッチ250および第2スイッチ260は、左側のアーム部220−Lが接触してオフからオンに切り替えられる。
【0038】
具体的には、第1スイッチ250および第2スイッチ260は、
図7および
図8に示されるように、左側のアーム部220−Lの下側に配置される。そして、第1スイッチ250および第2スイッチ260は、左側のアーム部220−Lが回動することによって、左側のアーム部220−Lの下面に形成された円弧状の突起部222に押し下されて、オフからオンに切り替わる。
【0039】
さらに、第1スイッチ250および第2スイッチ260は、2つのピン210の間隔が予め定められた距離以上となっている場合にオンまたはオフが維持される。
【0040】
本例においては、第1スイッチ250は、内部にディスク11が装着されておらず、2つのアーム部220が挿入口21から見て最も内側に回動している場合には、アーム部220と接触せずにオフとなる。第1スイッチ250は、アーム部220が挿入口21から見て外側に回動することにより、2つのピン210の間隔が、ディスク11が挿入口21内に所定量(例えば直径の1/4程度)進入したときの距離以上となっている場合、アーム部220と接触してオンとなる。
【0041】
また、本例においては、第2スイッチ260は、アーム部220が挿入口21から見て外側に回動することにより、2つのピン210の間隔が、第1スイッチ250がオンとなる距離より長い所定間隔(例えば、ほぼディスク11の直径の距離)以上となっている場合、アーム部220と接触してオンとなる。第2スイッチ260は、2つのピン210の間隔が、その所定間隔より小さい場合には、アーム部220と接触せずにオフとなる。
【0042】
第1スイッチ250および第2スイッチ260は、オンおよびオフの状態を表す信号を駆動制御回路に通知する。駆動制御回路は、ディスク11を内部に装着していない状態において、第1スイッチ250がオフからオンに切り替わったことに応じて、ローラ31の回転を開始させる。このとき、駆動制御回路は、ディスク11を内部へと引き込む方向にローラ31を回転させる。また、駆動制御回路は、ディスク11が内部に装着されている状態において、第2スイッチ260がオンからオフに切り替わったことに応じて、ディスク11を外部へと排出する方向に回転しているローラ31を停止させる。
【0043】
(付勢部240による付勢の位置)
つぎに、付勢部240による付勢の位置について説明する。付勢部240は、2つのアーム部220のうち、第1スイッチ250に接触する一方のアーム部220を他方のアーム部220より強い力で付勢する。
【0044】
本例においては、付勢部240は、左側のアーム部220−Lを右側のアーム部220−Rよりも強い力で付勢する。付勢部240は、一例として、コイルバネである。
【0045】
コイルバネである付勢部240は、シャーシ20と連結部230との間を、ディスク挿入方向に平行に付勢する。このとき、付勢部240は、ディスク11の回転中心が通過すべき位置より第1スイッチ250の側を付勢する。
【0046】
2つのアーム部220は、ディスク11の挿入および排出時に、一方が第1スイッチ250に接触しながら回動し、他方が第1スイッチ250に接触せずに回動する。従って、2つのアーム部220は、第1スイッチ250が接触する側の一方のアーム部220の方が、第1スイッチ250が接触しない側の他方のアーム部220よりも、回動させるために必要な力が大きい。
【0047】
このため、2つのアーム部220は、もし互いに均等な力で付勢がされた場合には、ディスク11の挿入および排出時において、2つのピン210が左右対称に移動しなくなりディスク11の回転中心が左右にずれる。よって、この場合には、ディスク11は、正しい位置に搬送されない。また、2つのアーム部220の回動が左右非対称になるため、2つのアーム部220および連結部230が動作しにくくなったり、がたつきが発生したりする場合もある。さらに、ディスク11を搬送させるためのモータの負荷が大きくなり、モータの動作音が大きくなる場合もある。
【0048】
これに対して、本実施形態においては、付勢部240は、第1スイッチ250に接触する一方のアーム部220を他方のアーム部220より強い力で付勢する。これにより、ディスク駆動装置10は、ディスク11の挿入および排出時において、第1スイッチ250が接触していない側のアーム部220と、第1スイッチ250が接触している側のアーム部220とを均等に同期して回動させることができる。この結果、ディスク11の挿入および排出時において2つのピン210が同期して左右対称に開くので、ディスク駆動装置10は、ディスク11を正しい位置に搬送することができる。また、2つのアーム部220が左右対称に回動するので、2つのアーム部220および連結部230ががたつき無く動作でき、さらに、ディスク11を搬送させるためのモータへの負荷の増加を小さくすることができる。
【0049】
(付勢部240の変形例)
図9は、2つの付勢部240が設けられた2つのアーム部220等を上側から見た図である。付勢部240は、シャーシ20と連結部230との間の複数の箇所を付勢する構成であってもよい。この場合、ディスク駆動装置10は、付勢部240の一例として、それぞれがコイルバネである第1のバネ部241および第2のバネ部242を備える。
【0050】
第1のバネ部241は、シャーシ20と連結部230との間を、ディスク挿入方向に平行に付勢する。第1のバネ部241は、挿入されるディスク11の回転中心が通過すべき位置より第1スイッチ250の側を付勢する。
【0051】
また、第2のバネ部242も、シャーシ20と連結部230との間を、ディスク挿入方向に平行に付勢する。第2のバネ部242は、挿入されるディスク11の回転中心が通過すべき位置より第1スイッチ250とは反対側の位置を付勢する。
【0052】
ここで、第1のバネ部241の付勢力は、第2のバネ部242の付勢力より大きい。このような第1のバネ部241および第2のバネ部242は、第1スイッチ250に接触する一方のアーム部220を他方のアーム部220より強い力で付勢することができる。これにより、ディスク駆動装置10は、ディスク11の挿入時において、2つのアーム部220のそれぞれを同期して均等に回動させることができる。
【0053】
図10は、アーム部220を付勢する場合の、2つのアーム部220等を上側から見た図である。付勢部240は、連結部230とシャーシ20との間を付勢することに加えて、または、これに代えて、シャーシ20と2つのアーム部220のそれぞれとの間を付勢する構成であってもよい。この場合、ディスク駆動装置10は、付勢部240の一例として、それぞれがコイルバネである第1のバネ部241、第3のバネ部243および第4のバネ部244を備える。
【0054】
第1のバネ部241は、シャーシ20と、連結部230との間を、ディスク挿入方向に平行に付勢する。第1のバネ部241は、挿入されるディスク11の回転中心が通過すべき位置より第1スイッチ250の側を付勢する。
【0055】
第3のバネ部243は、シャーシ20と左側のアーム部220−Lとの間を、挿入口21の方向から見て左側のアーム部220−Lが内側に閉じるように付勢する。第4のバネ部244は、シャーシ20と右側のアーム部220−Rとの間を、挿入口21の方向から見て右側のアーム部220−Rが内側に閉じるように付勢する。
【0056】
第1のバネ部241、第3のバネ部243および第4のバネ部244の付勢力は、ほぼ同一である。これにより、第1のバネ部241、第3のバネ部243および第4のバネ部244は、第1スイッチ250に接触する一方のアーム部220を他方のアーム部220より強い力で付勢することができる。これにより、ディスク駆動装置10は、ディスク11の挿入時において、2つのアーム部220のそれぞれを同期して均等に回動させることができる。
【0057】
また、ディスク駆動装置10は、第1のバネ部241を備えずに、第3のバネ部243および第4のバネ部244を備える構成であってもよい。この場合、第3のバネ部243の付勢力は、第4のバネ部244の付勢力より大きい。このような第3のバネ部243および第4のバネ部244は、第1スイッチ250に接触する一方のアーム部220を他方のアーム部220より強い力で付勢することができる。
【0058】
図11は、斜めに配置された付勢部240が設けられた、2つのアーム部220等を上側から見た図である。付勢部240は、ディスク挿入方向に対して傾けて配置された第5のバネ部245であってもよい。
【0059】
第5のバネ部245は、シャーシ20における挿入されるディスク11の回転中心が通過すべき位置と、連結部230における挿入されるディスク11の回転中心が通過すべき位置より第1スイッチ250側の位置との間に、ディスク挿入方向に対して傾けて配置される。このように配置された第5のバネ部245は、第1スイッチ250に接触する一方のアーム部220を他方のアーム部220より強い力で付勢することができる。これにより、ディスク駆動装置10は、ディスク11の挿入時において、2つのアーム部220のそれぞれを同期して均等に回動させることができる。
【0060】
(ディスク11の装着時において2本のピン210の間隔)
図12は、ディスク11の装着後の2つのピン210の位置を、初期位置と比較して示す図である。2本のピン210は、上述したように内側に閉じるように、バネ力で付勢がされている。
【0061】
2本のピン210は、ディスク11が内部に装着されていない状態においては、初期位置に配置され、その間隔が予め定められた初期距離となっている。2本のピン210は、ディスク11が挿入口21に挿入されたことに応じて、ディスク11の縁から加わる力により押し広げられて、ディスク11の縁に沿って外側に開くように移動する。そして、2本のピン210は、ディスク11が1/2以上挿入された後には、ディスク11の縁に沿って内側に閉じるように移動する。
【0062】
このような2本のピン210は、ディスク11が内部に装着された後には、その間隔が、予め定められたスイッチング距離となる。このスイッチング距離は、ディスク11が内部に装着されていない状態での2本のピン210の間隔(初期距離)より長い。
【0063】
そして、スイッチング距離は、少なくとも、ディスク11の挿入を検知してローラ31の回転を開始するタイミングを決定する第1スイッチ250がオンとなる距離である。即ち、ディスク11が内部に装着されている場合、第1スイッチ250は、常時、オンとなる。これにより、ディスク駆動装置10は、例えば電源異常等が生じた場合であっても、第1スイッチ250のスイッチング状態を検出することにより、内部にディスク11が装着されているか否かを確実に検出することができる。
【0064】
以下、
図13〜
図21を参照しながら、内部にディスク11が装着されている場合に、2本のピン210の間隔をスイッチング距離以上とするための機構について説明する。
【0065】
ディスク駆動装置10は、ロック部310を備える。ロック部310は、ディスク11がシャーシ20の内部に装着されている場合は、2つのピン210の間隔がスイッチング距離以下とならないように、2つのピン210の互いに近づく方向への移動を規制する。
【0066】
より具体的には、ロック部310は、例えば
図15、
図18および
図21に示されるように、板部311と、爪部312と、軸部313とを有する。
【0067】
板部311は、縦長の主面を有する薄板である。板部311は、主面がディスク11とほぼ平行となり、且つ、長辺方向がディスク挿入方向となるように配置される。さらに、板部311は、第1スイッチ250と接触する側の一方のアーム部220の外周に沿って配置される。
【0068】
爪部312は、板部311と一体に形成される。爪部312は、板部311におけるディスク挿入方向の一端から、アーム部220側に突き出すように形成される。
【0069】
ここで、第1スイッチ250と接触する側の一方のアーム部220の外周部分には、溝部320が形成されている。爪部312および溝部320は、アーム部220が内側に回動したときに、互いに機械的に干渉する形状および位置に形成される。そして、爪部312と溝部320とが機械的に干渉した場合には、アーム部220は内側への回動が規制される。ただし、爪部312と溝部320とが機械的に干渉していても、アーム部220は、外側への回動は可能である。
【0070】
軸部313は、板部311のディスク挿入方向の略中心を軸として、板部311を比較的に小さい可動範囲で回動させる。具体的には、軸部313は、爪部312と溝部320とが機械的に干渉する位置と、爪部312と溝部320とが機械的に干渉しない位置との間で移動するように、板部311を回動させる。
【0071】
また、軸部313は、板部311に外部から力が加わっていない場合に、爪部312と溝部320とが機械的に干渉する位置に移動するように、板部311をバネにより付勢する。
【0072】
(ディスク11が装着されていない場合のロック部310の状態)
図13に示されるように、ディスク11が内部に装着されていない場合、ローラレバー30は、ローラ31を天板20A側へと押し付けている。この場合、ロック部310は、
図13の矢印A1に示されるように、ローラレバー30におけるローラ31とは反対側の端部が、板部311における爪部312とは反対側の端部に押されて回動する。これにより、ロック部310の爪部312は、
図13の矢印A2に示されるように、アーム部220の溝部320に機械的に干渉しない位置に移動する。
【0073】
従って、ディスク11が内部に装着されていない場合、
図14および
図15に示されるように、爪部312は、溝部320に引っかからない。このため、アーム部220は、ロック部310による内側への回動の規制が解除された状態となる。
【0074】
なお、ここで、アーム部220は、内側に付勢がされている。このため、2つのピン210の間の距離は最も近づいた状態となる。この状態における2つのピン210の間の距離は、
図14に示されるように、初期距離である。そして、2つのピン210の間が初期距離である場合、第1スイッチ250は、
図15に示されるように、アーム部220の突起部222と接触せずにオフとなっている。
【0075】
(ディスク11の搬送中の場合のロック部310の状態)
図16に示されるように、ディスク11の搬送中の場合、ローラレバー30は、ディスク11をローラ31と天板20Aとの間に挟みこんだ状態で、ローラ31を天板20A側に押し付けている。この場合、ロック部310は、ローラレバー30におけるローラ31とは反対側の端部が、板部311における爪部312とは反対側の端部に力を加えない。これにより、ロック部310の爪部312は、
図16の矢印A3に示されるように、軸部313の付勢力により、アーム部220の溝部320に機械的に干渉する位置に移動する。
【0076】
従って、ディスク11の搬送中の場合、
図17および
図18に示されるように、爪部312は、溝部320に干渉する。このため、アーム部220は、2本のピン210間の距離がスイッチング距離以下とならないように、ロック部310により内側への回動が規制された状態となる。
【0077】
もっとも、ディスク11の搬送中においては、
図17に示されるように、2つのピン210は、その間隔が、ディスク11の縁から力が加わりスイッチング距離より広がっている。このため、
図18に示されるように、爪部312は、溝部320に引っかかっていない状態となっている。また、ディスク11の搬送中においては、第1スイッチ250は、
図18に示されるように、アーム部220の突起部222と接触してオンとなっている。
【0078】
(ディスク11が内部に装着されている場合のロック部310の状態)
図19に示されるように、ディスク11が内部に装着されている場合、ローラレバー30は、ローラ31を天板20A側に押し付けていない。この場合、ロック部310は、ローラレバー30におけるローラ31とは反対側の端部が、板部311における爪部312とは反対側の端部に力を加えない。これにより、ロック部310の爪部312は、
図19の矢印A4に示されるように、軸部313の付勢力により、アーム部220の溝部320と機械的に干渉する位置に移動する。
【0079】
従って、ディスク11が内部に装着されている場合、
図20および
図21に示されるように、爪部312は、溝部320に引っかかる。このため、アーム部220は、ロック部310により、2本のピン210間の距離がスイッチング距離以下とならないように内側への回動が規制された状態となる。
【0080】
ここで、2つのピン210間の距離がスイッチング距離である場合、第1スイッチ250は、
図21に示されるように、アーム部220の突起部222と接触してオンとなっている。これにより、ロック部310は、ディスク11が内部に装着されている場合、第1スイッチ250を常時オンとすることができる。
【0081】
以上のように、ディスク駆動装置10は、ディスク11が内部に装着されている場合、ディスク11の挿入を検出するための第1スイッチ250が常時オンとなる。これにより、ディスク駆動装置10は、例えば電源異常等が生じた場合であっても、第1スイッチ250のスイッチング状態を検出することにより、内部にディスク11が装着されているか否かを確実に検出することができる。
【0082】
(誤挿入の防止)
図22は、内部にディスク11が装着された状態において、別個のディスク11が誤挿入された場合のディスク駆動装置10を示す図である。上述したように、ディスク駆動装置10は、ディスク11の挿入を検出するための2本のピン210を備える。2本のピン210は、挿入口21へのディスク11の進入を遮るように、ディスク11の主面に対して垂直に立てて設けられる。
【0083】
ディスク11が内部に装着されていない場合、2本のピン210は、ディスク11が挿入されると、ディスク11の縁から加えられた力により押し広げられて、互いに遠ざかる方向へ移動する。これにより、ディスク11は、2本のピン210の間を通過して内部へと進入することができる。
【0084】
ここで、本実施形態において、2本のピン210は、ディスク11が内部に装着されている場合には、その間隔が予め定められた距離以上とならないように、互いに遠ざかる方向への移動が禁止されている。従って、ディスク11が内部に装着されている場合に、別個のディスク11が挿入口21に挿入されたときに、2本のピン210は、その間隔が広がらない。よって、別個のディスク11は、挿入口21の内部へと進入することができない。このように、ディスク駆動装置10は、ディスク11が内部に装着されている場合は、別個のディスク11が挿入口21から内部に進入することを防止している。
【0085】
以下、
図23〜
図26を参照しながら、内部にディスク11が装着されている場合に、2本のピン210の間隔が予め定められた距離以上となることを禁止するための機構について説明する。
【0086】
ディスク駆動装置10は、ディスクガイド410を備える。ディスクガイド410は、例えば樹脂により形成された略平板状の部材である。ディスクガイド410は、シャーシ20の天板20Aに、ディスク11に対して略平行に配置される。さらに、ディスクガイド410は、天板20Aの内側における挿入口21の近傍に設けられる。
【0087】
ディスクガイド410は、ディスク11側の表面に凸部411を有する。ディスク11は、搬送中において、ローラ31により天板20Aに押し付けられた場合、その表面がディスクガイド410における凸部411に接触して、他の部分には接触しない。これにより、ディスクガイド410は、ディスク11の搬送中において、ディスク11が天板20Aに直接接触して傷ついてしまうことを防止することができる。
【0088】
また、凸部411は、ディスク挿入方向に対して略垂直な方向に細長い形状となっている。そして、凸部411は、ディスク11の中央側が低く、端側が高くなるように傾斜が設けられている。これにより、ディスクガイド410は、ディスク11の搬送時において、ディスク11が端側にずれずに中央に位置するようにガイドすることができる。
【0089】
また、ディスクガイド410は、
図24に示されるように、ローラ31により天板20A側に押し付けられている場合には、天板20Aに密着する。これに対して、ディスクガイド410は、
図26に示されるように、ローラ31による天板20A側への押し付けが開放された場合には、少なくとも挿入口21側の辺が天板20Aから離間する。
【0090】
さらに、ディスクガイド410は、2つのピン210の移動を規制する規制部420を有する。規制部420は、一例として、ディスクガイド410の挿入口21側の辺の外側の2つの箇所から、挿入口21側に突き出した形状である。
【0091】
規制部420は、
図23および
図24に示されるように、ディスクガイド410が天板20A側に押し付けられている場合、2つのピン210の天板20A側の先端部分との間にすき間を形成する。従って、規制部420は、ディスクガイド410が天板20A側に押し付けられている場合には、2つのピン210がどのように移動しても、2つのピン210と機械的に干渉せず、2つのピン210の移動を規制しない。
【0092】
これに対して、規制部420は、
図25および
図26に示されるように、ディスクガイド410が天板20A側から離間している場合、機械的に干渉して、2つのピン210の外側に開く方向への移動を規制する。すなわち、規制部420は、ディスクガイド410が天板20A側から離間している場合、2つのピン210の間隔が予め定められた距離以上とならないように、2つのピン210の互いに遠ざかる方向への移動を規制する。
【0093】
ここで、ローラレバー30は、ディスク11が内部に装着されていない場合およびディスク11の搬送時には、ローラ31を天板20A側に押し付ける。従って、規制部420は、ディスク11が装着されていない場合およびディスク11の搬送時においては、2つのピン210の移動をなんら規制しない。
【0094】
また、ローラレバー30は、ディスク11が内部に装着されている場合、ローラ31による天板20A側への押し付けを開放する。従って、規制部420は、ディスク11が内部に装着されている場合、2つのピン210の間隔が予め定められた距離以上とならないように、2つのピン210の互いに遠ざかる方向への移動を規制する。
【0095】
以上のように、ディスク駆動装置10は、ディスク11が内部に装着されている場合、挿入口21へのディスク11の進入を遮るように垂直に立てられた2本のピン210が外側に開くように移動することを規制する。これにより、ディスク駆動装置10によれば、ディスク11が内部に装着されている場合は、別個のディスク11が誤挿入されてしまうことを防止できる。
【0096】
なお、ディスクガイド410は、挿入口21側の辺が天板20Aから離間するようにバネ等により付勢がされていてもよい。これにより、ディスクガイド410は、ローラ31による天板20A側への押し付けが開放されたときに、挿入口21の辺が天板20Aから確実に離間して、規制部420に2つのピン210の移動を規制させることができる。