(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明にかかるディスク駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、ディスク11の搬送時のディスク駆動装置10を示す図である。本実施形態にかかるディスク駆動装置10は、ディスク状記録媒体(ディスク11)から光学的に情報の再生をする。ディスク駆動装置10は、スロットイン型と呼ばれ、ディスクトレイを用いずに、ディスク11が縁から直接挿入される。このようなディスク駆動装置10は、小型化が可能となり、例えば車載用に好適である。
【0010】
ディスク駆動装置10は、シャーシの一つの側面に挿入口21を有する。挿入口21は、ディスク11が縁から挿入される。
【0011】
ディスク駆動装置10は、挿入口21にディスク11が挿入されると、内部のローラ36を回転させてディスク11を内部に引き込む。そして、ディスク駆動装置10は、引き込んだディスク11を回転可能に保持する。これにより、ディスク駆動装置10は、以後、ディスク11を再生することができる。
【0012】
図2は、ディスク駆動装置10内における、ディスク11の搬送およびピックアップ34の移動のための部材群を示す平面図である。
図3は、これらの部材群を示す側面図である。
図4は、これらの部材群を示す斜視図である。なお、各図中におけるX、Y、Zは、それぞれ互いに直交する方向を示す。
【0013】
図2〜
図4に示されるように、ディスク駆動装置10は、ターンテーブル31と、スピンドルモータ32と、クランパ33と、ピックアップ34と、駆動モータ35と、ローラ36とを備える。
【0014】
ターンテーブル31は、再生するディスク11が載せ置かれる。スピンドルモータ32は、ターンテーブル31を回転させて、ターンテーブル31に載せ置かれたディスク11を回転させる。
【0015】
クランパ33は、ディスク11をターンテーブル31との間に挟んで、回転可能に保持する。クランパ33は、一例として、クランプ板37と、クランプ板支持部38とを有する。クランプ板37は、円板状であって、ターンテーブル31との間にディスク11を挟み込む。クランプ板支持部38は、クランプ板37をターンテーブル31に近づく方向およびターンテーブル31から離れる方向に移動自在に支持する。さらに、クランプ板支持部38は、クランプ板37を回転可能に保持する。
【0016】
このようなクランパ33は、ディスク11を保持する場合には、クランプ板37がターンテーブル31に近づく方向に移動してディスク11に接触する。これにより、クランパ33は、ターンテーブル31との間でディスク11を挟み込んで、ディスク11を回転可能に保持することができる。また、クランパ33は、ディスク11の搬送時には、クランプ板37がターンテーブル31から離れる方向に移動して、ディスク11と離間する。これにより、クランパ33は、ディスク11を搬送させることができる。
【0017】
ピックアップ34は、回転しているディスク11に対してレーザ光を照射して反射光を検出する。そして、ピックアップ34は、検出した反射光に基づきディスク11に記憶されているデータを検出する。
【0018】
また、ピックアップ34は、ターンテーブル31に載せ置かれたディスク11の半径方向に移動可能に設けられる。ピックアップ34には、ピックアップ用ラック39が一体的に設けられている。ピックアップ34は、ピックアップ用ラック39を介して駆動モータ35の駆動力を受けて、ディスク11の半径方向に移動する。
【0019】
駆動モータ35は、ディスク11の搬送およびピックアップ34の移動のために回転駆動する。
【0020】
ローラ36は、駆動モータ35の駆動力により回転してディスク11を搬送する。ローラ36は、一例として、略円柱状であって、ディスク11の主面に平行な方向且つディスク挿入方向に垂直な方向の軸を中心に回転する。そして、ローラ36は、天板(または底板)との間にディスク11を挟み込んで、天板(または底板)側にディスク11を押し付けながら回転する。これにより、ローラ36は、ディスク11を搬送することができる。
【0021】
また、
図2〜
図4に示されるように、ディスク駆動装置10は、トリガアーム41と、スライダ部42とをさらに備える。
【0022】
トリガアーム41は、挿入口21とは反対の側面側に設けられる。トリガアーム41は、挿入口21から挿入されたディスク11が、クランパ33とターンテーブル31との間に挟み込まれる位置(クランプ位置)の近傍まで搬送されると、ディスク11の縁に接触する。そして、トリガアーム41は、縁が接触した状態からディスク11がさらに内部に進入すると、ディスク11から力を受けて回動する。
【0023】
スライダ部42は、ディスク挿入方向に平行な一方の側面側に設けられる。スライダ部42は、ディスク挿入方向に平行に移動自在に設けられる。
【0024】
スライダ部42は、小スライダ43と、大スライダ44とを有する。小スライダ43は、大スライダ44よりも小さい。小スライダ43は、大スライダ44上に、ディスク挿入方向に平行に移動可能に設けられる。大スライダ44は、ディスク駆動装置10のシャーシ上を、ディスク挿入方向に平行に移動可能に設けられる。
【0025】
小スライダ43には、スライダ用ラック45が一体的に設けられている。小スライダ43は、スライダ用ラック45を介して駆動モータ35の駆動力を受けて、ディスク挿入方向に平行に移動することができる。
【0026】
また、大スライダ44は、小スライダ43から力を受けて、ディスク挿入方向に平行に前後に移動することができる。具体的には、大スライダ44は、小スライダ43が大スライダ44上での移動可能範囲の限界位置まで移動した後に、小スライダ43に押されて、小スライダ43とともに一体的に移動する。
【0027】
また、小スライダ43および大スライダ44は、移動可能範囲のディスク挿入方向側の限界位置まで移動した場合には、スライダ用ラック45が対応するピニオンと噛み合いが外れる。従って、小スライダ43および大スライダ44は、移動可能範囲のディスク挿入方向側の限界位置に移動している場合には、駆動モータ35の駆動力を受けることができない。
【0028】
また、小スライダ43は、ディスク挿入方向にバネ等により付勢がされている。従って、スライダ用ラック45の噛み合いが外れた場合、小スライダ43および大スライダ44は、付勢力により移動可能範囲のディスク挿入方向の限界位置に移動する。
【0029】
さらに、小スライダ43は、トリガアーム41と連結されている。トリガアーム41は、小スライダ43および大スライダ44が、移動可能範囲のディスク挿入方向の限界位置に移動している場合には、ディスク11の縁との接触部分が最も挿入口21側に移動する。そして、トリガアーム41は、ディスク11の縁から力が加わると回動をし、小スライダ43をディスク進入方向とは反対方向に移動させる。小スライダ43は、トリガアーム41から力を受けてディスク進入方向とは反対方向に所定量移動すると、スライダ用ラック45が対応するピニオンと噛み合う。小スライダ43は、スライダ用ラック45が対応するピニオンと噛み合った後には、スライダ用ラック45を介して駆動モータ35からの駆動力を受けて移動する。
【0030】
また、
図2〜
図4に示されるように、ディスク駆動装置10は、モータウォーム51と、メインギア52と、可動ギア53と、スライダ駆動ギア部60と、伝達ギア68と、ローラ駆動ギア部70と、ピックアップ駆動ギア部80とをさらに備える。
【0031】
モータウォーム51は、駆動モータ35の回転軸に設けられる。メインギア52は、平歯車である第1メインギアおよび斜歯車である第2メインギアが同軸に一体的に回転する2段構成のギアである。メインギア52は、第2メインギアがモータウォーム51と噛み合って、モータウォーム51から回転力を受けて回転する。
【0032】
可動ギア53は、平歯車であって、駆動モータ35の回転力をメインギア52の第1メインギアから受けて回転する。そして、可動ギア53は、受けた回転力をスライダ駆動ギア部60またはピックアップ駆動ギア部80の何れか一方に伝達する。
【0033】
スライダ駆動ギア部60は、駆動モータ35の回転力を可動ギア53から受ける。そして、スライダ駆動ギア部60は、スライダ用ラック45と噛み合い、受けた回転力によりスライダ部42の小スライダ43を直線移動させる。
【0034】
スライダ駆動ギア部60は、一例として、第1スライダ用ギア61と、第2スライダ用ギア62と、第3スライダ用ギア63と、スライダ用ピニオン64とを有する。第1スライダ用ギア61は、平歯車であって、可動ギア53から回転力を受けて回転する。第2スライダ用ギア62は、平歯車であって、第1スライダ用ギア61と同軸に一体に設けられ、一体に回転する。
【0035】
第3スライダ用ギア63は、平歯車であって、第2スライダ用ギア62から回転力を受けて回転する。スライダ用ピニオン64は、平歯車であって、第3スライダ用ギア63と同軸に一体に設けられ、一体に回転する。そして、スライダ用ピニオン64は、スライダ用ラック45と噛み合う。これにより、スライダ駆動ギア部60は、駆動モータ35の駆動力を受けて、スライダ部42の小スライダ43を直線移動させることができる。
【0036】
伝達ギア68は、平歯車であって、駆動モータ35の回転力をスライダ駆動ギア部60を介して受ける。伝達ギア68は、一例として、スライダ駆動ギア部60の第3スライダ用ギア63と噛み合って、回転力を受ける。そして、伝達ギア68は、受けた回転力をローラ駆動ギア部70に伝達する。
【0037】
ローラ駆動ギア部70は、駆動モータ35の回転力を伝達ギア68から受ける。そして、ローラ駆動ギア部70は、受けた回転力によりローラ36を回転させる。
【0038】
ローラ駆動ギア部70は、一例として、第1ローラ用ギア71と、ローラ用ウォーム72と、第2ローラ用ギア73と、第3ローラ用ギア74と、第4ローラ用ギア75と、第5ローラ用ギア76とを有する。第1ローラ用ギア71は、平歯車であって、伝達ギア68から回転力を受けて回転する。ローラ用ウォーム72は、第1ローラ用ギア71と同軸に一体に設けられ、一体に回転する。
【0039】
第2ローラ用ギア73は、平歯車であって、ローラ用ウォーム72から回転力を受けて回転する。第3ローラ用ギア74は、平歯車であって、第2ローラ用ギア73と同軸に一体に設けられ、一体に回転する。第4ローラ用ギア75は、平歯車であって、第3ローラ用ギア74から回転力を受けて回転する。第5ローラ用ギア76は、平歯車であって、第4ローラ用ギア75から回転力を受けて回転する。そして、第5ローラ用ギア76は、ローラ36と同軸に一体に設けられ、一体に回転する。これにより、ローラ駆動ギア部70は、駆動モータ35の駆動力を伝達ギア68から受けて、ローラ36を回転させることができる。
【0040】
ピックアップ駆動ギア部80は、駆動モータ35の回転力を可動ギア53から受ける。そして、ピックアップ駆動ギア部80は、ピックアップ用ラック39と噛み合い、受けた回転力によりピックアップ34をディスク11の半径方向に直線移動させる。
【0041】
ピックアップ駆動ギア部80は、一例として、第1ピックアップ用ギア81と、第2ピックアップ用ギア82と、ピックアップ用ピニオン83とを有する。第1ピックアップ用ギア81は、平歯車であって、可動ギア53から回転力を受けて回転する。第2ピックアップ用ギア82は、平歯車であって、第1ピックアップ用ギア81と同軸に一体に設けられ、一体に回転する。ピックアップ用ピニオン83は、平歯車であって、第2ピックアップ用ギア82から回転力を受けて回転する。そして、ピックアップ用ピニオン83は、ピックアップ用ラック39と噛み合う。これにより、ピックアップ駆動ギア部80は、駆動モータ35の駆動力を受けて、ピックアップ34を直線移動させることができる。
【0042】
また、
図2〜
図4に示されるように、ディスク駆動装置10は、伝達ギア支持板91と、ロックカム92と、ラッチ部93と、直動カム94と、可動ギア支持板95と、ピックアップストッパ96とをさらに備える。
【0043】
伝達ギア支持板91は、伝達ギア68を移動可能に支持する。より具体的には、伝達ギア支持板91は、伝達ギア68がローラ駆動ギア部70の第1ローラ用ギア71と噛み合った状態と、伝達ギア68がローラ駆動ギア部70の第1ローラ用ギア71から離間した状態との間で移動するように、伝達ギア68を支持する。
【0044】
ロックカム92は、スライダ部42の小スライダ43の移動位置に応じて、伝達ギア支持板91の位置を移動させる。より具体的には、ロックカム92は、小スライダ43が移動可能範囲におけるディスク挿入方向の限界位置から、予め定められた遮断位置に達する前までの間に位置する場合には、伝達ギア68がローラ駆動ギア部70の第1ローラ用ギア71に噛み合う状態となるように、伝達ギア支持板91の位置をロックする。
【0045】
そして、ロックカム92は、小スライダ43が予め定められた遮断位置よりもディスク挿入方向と反対方向に位置する場合には、伝達ギア68がローラ駆動ギア部70の第1ローラ用ギア71から離間した状態となるように、伝達ギア支持板91の位置のロックを外す。
【0046】
このように、伝達ギア支持板91およびロックカム92は、ディスク11の挿入時に、駆動モータ35からローラ36への駆動力の伝播を遮断するためのローラ遮断機構として機能する。より具体的には、伝達ギア支持板91およびロックカム92は、ディスク11の挿入時に、スライダ部42の小スライダ43が予め定められた遮断位置まで移動したことに応じて駆動モータ35からローラ36への駆動力の伝播を遮断する。
【0047】
ラッチ部93は、ディスク11の挿入時に、スライダ部42の小スライダ43が遮断位置の後の予め定められたラッチ位置まで移動したことに応じて、ローラ36の回転を固定する。ここで、ローラ36の回転を固定するとは、回転自在な状態であるローラ36を、回転しないように固定して保持することをいう。
【0048】
より具体的には、ラッチ部93は、スライダ部42の大スライダ44における、ディスク挿入方向とは反対側の先端部分に設けられる。そして、ラッチ部93は、小スライダ43が予め定められたラッチ位置まで移動したことに応じて、ローラ駆動ギア部70に含まれる何れかのギアを回転しないように固定する。
【0049】
なお、ラッチ位置は、遮断位置から可能な範囲で近いことが好ましい。例えば、遮断位置からラッチ位置までの小スライダ43の移動距離は、ラッチ部93が回転を固定するギアのギア溝の深さ程度の距離であってもよい。このようにラッチ位置が遮断位置から近いことにより、ラッチ部93は、駆動モータ35からローラ36への駆動力の伝播が遮断されてから、ローラ36の回転が固定されるまでの間における、ローラ36が回動自在である時間を短くすることができる。これにより、ラッチ部93は、想定外のディスク11の移動を回避することができる。
【0050】
直動カム94は、大スライダ44に一体的に形成される。直動カム94は、大スライダ44がディスク挿入方向とは反対方向に移動するに従い、クランパ33のクランプ板37をターンテーブル31に近づける方向に移動させる。そして、直動カム94は、小スライダ43が、ラッチ位置の後の予め定められたクランプ位置に到達したタイミングに、クランパ33をディスク11に接触させる。これにより、直動カム94は、小スライダ43がクランプ位置に達したタイミングに、ディスク11をターンテーブル31とクランパ33とにより挟み込ませることができる。
【0051】
即ち、直動カム94は、クランパ33にディスク11を保持させるクランプ取付機構として機能する。より具体的には、直動カム94は、ディスク11の挿入時に、スライダ部42の小スライダ43がラッチ位置の後における予め定められたクランプ位置まで移動したことに応じて、クランパ33にディスク11を保持させる。
【0052】
可動ギア支持板95は、可動ギア53を移動可能に支持する。より具体的には、可動ギア53がスライダ駆動ギア部60の第1スライダ用ギア61と噛み合った状態と、可動ギア53がピックアップ駆動ギア部80の第1ピックアップ用ギア81と噛み合った状態との間で移動するように、可動ギア53を支持する。なお、可動ギア支持板95は、可動ギア53がメインギア52に噛み合った状態は、常時維持する。
【0053】
このような、可動ギア支持板95は、クランパ33がターンテーブル31から離間している場合には可動ギア53をスライダ駆動ギア部60の第1スライダ用ギア61に噛み合った状態に移動させる。また、可動ギア支持板95は、クランパ33がディスク11に接触している場合には可動ギア53をピックアップ駆動ギア部80の第1ピックアップ用ギア81に噛み合った状態に移動させる。
【0054】
即ち、可動ギア支持板95は、可動ギア53を移動可能に保持する切替機構として機能する。より具体的には、可動ギア支持板95は、クランパ33がディスク11を保持していない場合には可動ギア53をスライダ駆動ギア部60に噛み合せ、クランパ33がディスク11を保持したことに応じて可動ギア53をスライダ駆動ギア部60から離間させてピックアップ駆動ギア部80に噛み合せる。
【0055】
ピックアップストッパ96は、一例として、クランパ33の移動に応じて回動する板である。例えば、ピックアップストッパ96は、クランパ33がターンテーブル31から離間している場合には、ロック用の爪をピックアップ34に引っ掛けてピックアップ34の移動を禁止し、クランパ33がディスク11に接触している場合にはロック用の爪をピックアップ34から離間させる。
【0056】
即ち、ピックアップストッパ96は、ピックアップ34が移動しないように固定する固定機構として機能する。より具体的には、ピックアップストッパ96は、クランパ33がディスク11を保持していない場合にはピックアップ34が移動しないように固定し、クランパ33がディスク11を保持したことに応じてピックアップ34の固定を解除する。
【0057】
図5は、ディスク11が挿入された場合の処理を示すフローチャートである。ディスク駆動装置10は、ディスク11が挿入口21に挿入された場合、
図5に示される処理を順次に実行する。
【0058】
まず、ディスク駆動装置10は、ディスク11が挿入口21に挿入されたかを判断する(ステップS11)。ディスク11が挿入口21に挿入された場合(ステップS11のYes)、ディスク駆動装置10は、ローラ36の回転を開始する(ステップS12)。ローラ36の回転が開始されると、ディスク駆動装置10は、ディスク11を搬送して内部に引き込む(ステップS13)。
【0059】
ディスク駆動装置10は、ディスク11がクランプ位置の近傍の予め定められた停止位置まで引き込まれた場合(ステップS14のYes)、ディスク駆動装置10は、ローラ36の回転を停止する(ステップS15)。この場合、ディスク駆動装置10は、駆動モータ35の駆動を停止せずに、ローラ36への駆動力の伝達を機械的に遮断してローラ36を停止する。
【0060】
続いて、ディスク駆動装置10は、ローラ駆動ギア部70の回転を機械的に固定することにより、ローラ36を回転しないように固定する(ステップS16)。続いて、ディスク駆動装置10は、ディスク11をクランプする(ステップS17)。即ち、ディスク駆動装置10は、ターンテーブル31とクランパ33との間に挟みこんで回転可能に保持する。
【0061】
続いて、ディスク駆動装置10は、駆動モータ35の駆動力の伝達先を切り替える。具体的には、ディスク駆動装置10は、駆動モータ35の駆動力をローラ36およびスライダ部42等のディスク搬送のための機構へと伝達している状態から、駆動モータ35の駆動力をピックアップ34の移動のための機構へと伝達する状態に切り替える(ステップS18)。
【0062】
以下、ディスク11の挿入時における、ディスク駆動装置10の内部の部材群の動作について、
図6から
図24を参照しながら説明する。
【0063】
図6、
図7および
図8は、ディスク11の搬送開始時の、ディスク駆動装置10内の部材群の位置および動作を示す平面図、側面図および斜視図である。
【0064】
ディスク11の挿入前には、クランパ33のクランプ板37は、ターンテーブル31から離間している。これにより、ディスク11は、ターンテーブル31とクランパ33との間に進入することができる。
【0065】
また、クランプ板37がターンテーブル31から離間している場合、可動ギア支持板95は、可動ギア53をスライダ駆動ギア部60側に移動させている。従って、可動ギア53は、スライダ駆動ギア部60に噛み合っている。これにより、ディスク11の挿入前には、スライダ駆動ギア部60は、駆動モータ35の回転力が伝達される状態となっている。
【0066】
また、ディスク11の挿入前には、小スライダ43および大スライダ44は、移動可能範囲におけるディスク挿入方向の限界位置に移動している。従って、
図6の矢印Aの先端部分に示されるように、スライダ用ラック45は、スライダ用ピニオン64に噛み合っていない。これにより、ディスク11の挿入前には、小スライダ43は、駆動モータ35の回転力が伝達される状態とはなっていない。
【0067】
また、小スライダ43が移動可能範囲におけるディスク挿入方向の限界位置に移動している場合、ロックカム92は、伝達ギア68がローラ駆動ギア部70に噛み合うように、伝達ギア支持板91をロックしている。従って、
図6の矢印Bの先端部分に示されるように、伝達ギア68は、ローラ駆動ギア部70の第1ローラ用ギア71に噛み合っている。これにより、ディスク11の挿入前には、ローラ駆動ギア部70は、駆動モータ35の回転力が伝達される状態となっている。
【0068】
また、クランプ板37がターンテーブル31から離間している場合、ピックアップストッパ96は、ピックアップ34を固定している。従って、ディスク11の挿入前には、ピックアップ34は、ディスク11の半径方向への移動はできない。
【0069】
そして、駆動モータ35は、ディスク11が挿入口21から挿入されたことに応じて回転を開始する。駆動モータ35が回転すると、その回転力は、モータウォーム51、メインギア52、可動ギア53、スライダ駆動ギア部60、伝達ギア68、および、ローラ駆動ギア部70を介して、ローラ36に伝達される。
【0070】
これにより、
図7および
図8の矢印Cの方向に示されるように、ローラ36は回転を開始することができる。ローラ36が回転を開始すると、挿入されたディスク11は、ローラ36により内部へと搬送される。なお、搬送開始時には、小スライダ43および大スライダ44は、駆動モータ35の回転力が伝達されないので、移動は開始せずに、移動可能範囲におけるディスク挿入方向の限界位置で停止している。
【0071】
図9、
図10および
図11は、ディスク11がクランプ位置の近傍まで搬送された時の、ディスク駆動装置10内の部材群の位置および動作を示す平面図、側面図および斜視図である。
【0072】
ディスク11がクランプ位置の近傍まで搬送されると、ディスク11の縁がトリガアーム41に接触する。そして、さらにディスク11が内部へと搬送されると、
図9の矢印Dの方向に示されるように、トリガアーム41は、ディスク11の縁から力が加わり回動する。
【0073】
トリガアーム41が回動すると、小スライダ43は、トリガアーム41から力が加わり、
図9の矢印Eの方向に示されるように、ディスク挿入方向とは反対方向に直線移動をする。この結果、
図9の矢印Fの先端部分に示されるように、スライダ用ラック45とスライダ用ピニオン64とが噛み合う。
【0074】
スライダ用ラック45とスライダ用ピニオン64とが噛み合うと、駆動モータ35の回転力が小スライダ43に伝達される。これにより、小スライダ43は、駆動モータ35の駆動力により、ディスク挿入方向とは反対方向に移動を開始することができる。なお、このとき、小スライダ43のみが移動をしており、大スライダ44は、停止している。
【0075】
図12、
図13および
図14は、スライダ部42が移動中の、ディスク駆動装置10内の部材群の位置および動作を示す平面図、側面図および斜視図である。
【0076】
小スライダ43は、駆動モータ35の駆動力によりディスク挿入方向とは反対方向に移動をすると、
図12の矢印Hの先端部分に示されるように、大スライダ44の一部分に突き当たり、大スライダ44上での移動が規制される。その後、小スライダ43および大スライダ44は、一体となって、
図12、
図13および
図14の矢印Gの方向に、駆動モータ35の駆動力により移動を開始する。
【0077】
このように、まず小スライダ43を移動させてから大スライダ44を移動させるので、トリガアーム41は、比較的に小さい力で小スライダ43を移動させることができる。
【0078】
図15、
図16および
図17は、ローラ36が停止した時の、ディスク駆動装置10内の部材群の位置および動作を示す平面図、側面図および斜視図である。
【0079】
一体となった小スライダ43および大スライダ44は、
図15、
図16および
図17の矢印Iの方向に示されるように、ディスク挿入方向とは反対方向に移動する。そして、小スライダ43が予め定められた遮断位置まで移動したことに応じて、ロックカム92は、
図15の矢印Jの先端部分に示されるように、伝達ギア支持板91に対するロック状態を外す。この結果、
図15の矢印Kの方向に示すように、伝達ギア支持板91は、伝達ギア68をローラ駆動ギア部70から離間する方向に移動する。
【0080】
これにより、
図15の矢印Lの先端部分に示されるように、伝達ギア68とローラ駆動ギア部70の第1ローラ用ギア71との間の噛み合いが外れる。この結果、ローラ36は、回転を停止する。このように、ロックカム92は、小スライダ43が遮断位置まで移動したことに応じて駆動モータ35からローラ36への駆動力の伝播を遮断することができる。
【0081】
図18、
図19および
図20は、ローラ36を回転しないように固定した時の、ディスク駆動装置10内の部材群の位置および動作を示す平面図、側面図および斜視図である。
図21は、ラッチ部93およびローラ駆動ギア部70の側面図である。
【0082】
一体となった小スライダ43および大スライダ44は、
図18の矢印Mの方向に示されるように、遮断位置からさらにディスク挿入方向とは反対方向に移動する。そして、小スライダ43が遮断位置の後の予め定められたラッチ位置まで移動したことに応じて、ラッチ部93は、ローラ駆動ギア部70の何れかのギアに突き当たり、ローラ駆動ギア部70の各ギアの回転を停止する。
【0083】
例えば、ラッチ部93は、大スライダ44の先端に設けられた突起である。ラッチ部93は、大スライダ44の移動に応じて、
図21の矢印Nの先端部分に示されるように、ローラ駆動ギア部70の第3ローラ用ギア74のギア溝の中に挿入される。第3ローラ用ギア74内に突起が挿入されると、ローラ駆動ギア部70は、各ギアの回転が停止して固定される。この結果、ローラ36は、回転が固定され、回転しないように保持される。このように、ラッチ部93は、小スライダ43がラッチ位置まで移動したことに応じてローラ36の回転を固定することができる。
【0084】
なお、この場合、ラッチ部93は、
図20および
図21の矢印Oの方向に示されるように、ローラ36を、ディスク11を内部へと搬送させる方向の回転とは逆方向に回転させながら、ローラ36の回転を固定してもよい。
【0085】
例えば、ラッチ部93は、平歯車の側面方向から、中心に向けて垂直に突起を挿入するのではなく、中心からずらした位置から突起を挿入する。これにより、ローラ駆動ギア部70は、ラッチ部93の挿入に応じて少し回転してから、回転が固定される。この結果、ローラ36は、逆方向に少し回転してから、回転が固定される。このようにローラ36が逆方向に少し回転した後に回転が固定されると、ディスク11をトリガアーム41に接触した状態から少し離間させた後に、ディスク11を固定することができる。
【0086】
なお、直動カム94は、大スライダ44のディスク挿入方向の反対方向への移動に応じて、
図19および
図20の矢印Pの方向に示されるように、クランパ33をターンテーブル31に近づく方向に徐々に移動させている。もっとも、小スライダ43がラッチ位置に達する前には、クランパ33は、ディスク11に接触しない。
【0087】
図22、
図23および
図24は、駆動モータ35の駆動力がピックアップ駆動ギア部80に切り替わった時の、ディスク駆動装置10内の部材群の位置および動作を示す平面図、側面図および斜視図である。
【0088】
一体となった小スライダ43および大スライダ44は、
図22、
図23および
図24の矢印Qの方向に示されるように、ラッチ位置からさらにディスク挿入方向とは反対方向に移動する。直動カム94は、大スライダ44のディスク挿入方向の反対方向への移動に応じて、
図23の矢印Rの方向に示されるように、クランパ33をターンテーブル31に近づく方向に移動させる。
【0089】
そして、小スライダ43がラッチ位置の後の予め定められたクランプ位置まで移動したことに応じて、直動カム94は、
図23および
図24の矢印Sの先端部分に示されるように、クランパ33を完全に閉じる。すなわち、直動カム94は、クランパ33のクランプ板37をディスク11に接触させる。これにより、直動カム94は、クランパ33にディスク11を保持させることができる。
【0090】
また、クランパ33が閉じたことに応じて、ピックアップストッパ96は、ピックアップ34の固定を解除する。これにより、ピックアップ34は、ディスク11の半径方向への移動が可能となる。
【0091】
また、クランパ33が閉じたことに応じて、可動ギア支持板95は、
図22の矢印Tの方向に示されるように、可動ギア53をスライダ駆動ギア部60側からピックアップ駆動ギア部80側へと移動させる。この結果、可動ギア53は、ピックアップ駆動ギア部80の第1ピックアップ用ギア81と噛み合う。
【0092】
可動ギア53とピックアップ駆動ギア部80の第1ピックアップ用ギア81とが噛み合うと、駆動モータ35の回転力がピックアップ34に伝達される。これにより、ピックアップ34は、駆動モータ35の駆動力により、
図22の矢印Uの方向に示されるように、ディスク11の半径方向に移動をすることができる。
【0093】
そして、以後、ディスク駆動装置10は、ディスク11を回転させて情報を再生することができる。
【0094】
以上のように、本実施形態にかかるディスク駆動装置10は、ローラ36の回転を停止して回転を固定してからディスク11をクランプするので、クランプ時の駆動モータ35の負荷を軽減するとともに、ディスク11を適切な位置にクランプすることができる。また、本実施形態にかかるディスク駆動装置10は、一つの駆動モータ35を切り替えてディスク11の搬送およびピックアップ34の移動に利用する。これにより、ディスク駆動装置10は、構成を簡易にして低コスト化を図ることができる。