特許第5929791号(P5929791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929791
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】車輌制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/24 20130101AFI20160526BHJP
   B60R 25/40 20130101ALI20160526BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20160526BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20160526BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20160526BHJP
【FI】
   B60R25/24
   B60R25/40
   E05B49/00 J
   H04Q9/00 371Z
   H04B1/40
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-49407(P2013-49407)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-172578(P2014-172578A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡本 一志
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−227586(JP,A)
【文献】 特開2013−164726(JP,A)
【文献】 特開2011−012418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/24、40
E05B 49/00
H04B 1/40
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の無線通信機と、車輌に搭載され、前記無線通信機との通信結果に応じて前記車輌の動作に係る制御を行うとともに、前記車輌の走行中に、前記無線通信機を呼び出す呼出信号を送信し、該呼出信号に対して前記無線通信機から送信される応答信号を受信することにより前記無線通信機との通信を継続する制御装置とを備える車輌制御システムにおいて、
前記制御装置は、
前記車輌が走行中であるかを検知する検知部、及び
前記検知部が走行中であることを検知した場合に、前記無線通信機へ走行中である旨を示す信号を送信する制御を行う第1制御部を有し、
前記無線通信機は、
内蔵電池、
前記車輌の走行により発生する力を受けて発電する発電部、
前記応答信号を送信する送信部、
前記信号を受信する受信部、
該送信部に電力を供給する電源を前記内蔵電池及び発電部のいずれか一方に切替える電源切替部、並びに、
前記受信部が受信した前記信号に基づき、前記発電部から前記送信部に電力を供給するべく前記電源切替部へ指令する第2制御部を有する
ことを特徴とする車輌制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記応答信号を受信する第2受信部を有し、
前記第1制御部は、前記第2受信部が受信した応答信号の信号強度が所定値以下である場合に、前記無線通信機へ前記内蔵電池に切替えるべき旨を示す第2信号を送信する制御を行うようにしてあり、
前記無線通信機は、
前記第2制御部は、前記第2信号に基づき、前記内蔵電池から前記送信部に電力を供給するべく前記電源切替部へ指令するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の車輌制御システム。
【請求項3】
前記発電部は、対向して配置された2つの電極を有し、一方の電極が力を受けて他方の電極と相対変位することで発電するようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌制御システム。
【請求項4】
前記車輌のドアの施錠及び解錠を電気的に行う施錠装置を備え、
前記制御装置は、前記無線通信機との通信結果に応じて前記施錠装置により前記ドアを施錠及び解錠する制御を行うようにしてあることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の車輌制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の無線通信機と制御装置との間の通信結果に応じて、車輌の動作に係る制御を行う車輌制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばカード型又はキーホルダ型等の可搬型の無線通信機(以下、無線キーと表記する。)を車輌に搭乗する乗員が所持し、車輌のドア又はその近傍に設けられた操作部に対する接触操作又はプッシュ操作等を行った場合に、車輌のドアを自動的にロック/アンロックするドアロックシステムが実用化されている。このドアロックシステムは、旧来のように機械キーの差し込み及び回動操作を乗員が行う必要がないため利便性が高く、特に荷物を抱えて両手が塞がれている場合などに有効である。また、乗員が無線キーを所持して車輌に搭乗した後、ボタン等の押し操作でイグニッションスイッチ(以下、IGスイッチと表記する。)の位置を切替えられるスマートキーシステムも実用化されており、乗員による車輌の操作性向上に寄与している。
【0003】
特許文献1に開示された従来の車輌制御システムは、ドアロック装置、無線キー、制御装置を備え、制御装置からの呼出信号に対して、無線キーが応答信号を送信し、ドアのロック/アンロックを制御する。無線キーは、振動により発電する振動発電素子、及び該振動発電素子の出力電圧によりどのような振動が伝わっているかを判定する振動種別判定回路を有し、振動種別判定回路によって振動状態を判定することで、車輌が走行している状態、停止している状態等を推定し、無線キーにおける省電力化のための電源制御を行う。具体的には、無線キーは、振動種別判定回路によって車輌が走行している状態であると判断した場合に、内蔵する電池から走行時に処理不要な一部の回路に対する通電を停止する。また、従来の車輌制御システムでは、内蔵電池を充電池とし、該充電池へ振動発電素子から充電してもよいとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−227586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の車輌制御システムでは、無線キーにおける電源を制御するために、振動種別判定回路を備える必要があり、無線キーの外形寸法の増大、及びコスト高の原因になってしまうという問題点があった。また、振動種別を判定するアルゴリズムが複雑になり、無線キー内で処理される制御プログラムの大型化が懸念される。通常、無線キーの内蔵電池には、ボタン形電池等の低価格で市販されている電池が利用されているが、内蔵電池を充電可能な充電池とした場合、充電池自体が高価となってしまう。
【0006】
また、無線キーは車室内において乗員の衣服のポケットや、鞄等に所在する場合もあり、無線キーが置かれている姿勢も様々であることから、振動種別判定回路によって車輌が走行中であるかどうかを判断するためには、相当な実験の積み重ねが必要になると予想される。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、可搬型の無線通信機と制御装置との間の通信結果に応じて車輌の動作に係る制御を行い、簡易的に無線通信機の電池の消耗を抑えることができる車輌制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車輌制御システムは、可搬型の無線通信機と、車輌に搭載され、前記無線通信機との通信結果に応じて前記車輌の動作に係る制御を行うとともに、前記車輌の走行中に、前記無線通信機を呼び出す呼出信号を送信し、該呼出信号に対して前記無線通信機から送信される応答信号を受信することにより前記無線通信機との通信を継続する制御装置とを備える車輌制御システムにおいて、前記制御装置は、前記車輌が走行中であるかを検知する検知部、及び前記検知部が走行中であることを検知した場合に、前記無線通信機へ走行中である旨を示す信号を送信する制御を行う第1制御部を有し、前記無線通信機は、内蔵電池、前記車輌の走行により発生する力を受けて発電する発電部、前記応答信号を送信する送信部、前記信号を受信する受信部、該送信部に電力を供給する電源を前記内蔵電池及び発電部のいずれか一方に切替える電源切替部、並びに、前記受信部が受信した前記信号に基づき、前記発電部から前記送信部に電力を供給するべく前記電源切替部へ指令する第2制御部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、車輌に搭載されている制御装置が、可搬型の無線通信機との通信結果に応じて車輌の動作に係る制御を行う。制御装置は、車輌の走行中に、無線通信機を呼び出す呼出信号を送信し、呼出信号に対して無線通信機から送信される応答信号を受信することにより無線通信機との通信を継続する。制御装置は、検知部により車輌が走行中であるかを検知し、検知部が走行中であることを検知した場合に、無線通信機へ走行中である旨を示す信号を送信する制御を第1制御部により行う。無線通信機は内蔵電池及び発電部を有する。発電部は、車輌の走行により発生する力を受けて発電する。無線通信機は、送信部により応答信号を送信し、受信部により前記信号を受信し、送信部に電力を供給する電源を内蔵電池及び発電部のいずれか一方に電源切替部により切替える。無線通信機は、第2制御部により、受信部が受信した前記信号に基づき、発電部から送信部に電力を供給するべく電源切替部へ指令する。これにより、無線通信機は、走行中である旨を示す信号を受信することで、簡易的に電源を発電部に切替えることができ、無線通信機の電池の消耗を抑えることができる。
【0010】
本発明に係る車輌制御システムは、前記制御装置が、前記応答信号を受信する第2受信部を有し、前記第1制御部は、前記第2受信部が受信した応答信号の信号強度が所定値以下である場合に、前記無線通信機へ前記内蔵電池に切替えるべき旨を示す第2信号を送信する制御を行うようにしてあり、前記無線通信機は、前記第2制御部は、前記第2信号に基づき、前記内蔵電池から前記送信部に電力を供給するべく前記電源切替部へ指令するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、制御装置が、第2受信部により応答信号を受信し、第1制御部は、第2受信部が受信した応答信号の信号強度が所定値以下である場合に、無線通信機へ内蔵電池に切替えるべき旨を示す第2信号を送信する制御を行うようにしてある。無線通信機は、第2信号に基づいて、第2制御部により、内蔵電池から送信部に電力を供給するべく電源切替部へ指令するようにしてある。これにより、発電部での発電量が足りない場合に内蔵電池に切替え、無線通信機と制御装置との間の通信を継続することができる。
【0012】
本発明に係る車輌制御システムは、前記発電部は、対向して配置された2つの電極を有し、一方の電極が力を受けて他方の電極と相対変位することで発電するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、発電部が対向して配置された2つの電極を有する。一方の電極が力を受けて他方の電極と相対変位することで発電するので、発電された電力を用いて送信部から応答信号が送信される。
【0014】
本発明に係る車輌制御システムは、前記車輌のドアの施錠及び解錠を電気的に行う施錠装置を備え、前記制御装置は、前記無線通信機との通信結果に応じて前記施錠装置により前記ドアを施錠及び解錠する制御を行うようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、車輌のドアの施錠及び解錠を電気的に行う施錠装置を備えており、制御装置は無線通信機との通信結果に応じて施錠装置によりドアを施錠及び解錠する制御を行う。これにより、車輌のドアを施錠及び解錠する車輌制御システムについて、簡易的に無線通信機の電池の消耗を抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車輌に搭載されている制御装置が、可搬型の無線通信機との通信結果に応じて車輌の動作に係る制御を行う。制御装置は、車輌の走行中に、無線通信機を呼び出す呼出信号を送信し、呼出信号に対して無線通信機から送信される応答信号を受信することにより無線通信機との通信を継続する。制御装置は、検知部により車輌が走行中であるかを検知し、検知部が走行中であることを検知した場合に、無線通信機へ走行中である旨を示す信号を送信する制御を第1制御部により行う。無線通信機は内蔵電池及び発電部を有する。発電部は、車輌の走行により発生する力を受けて発電する。無線通信機は、送信部により応答信号を送信し、受信部により前記信号を受信し、送信部に電力を供給する電源を内蔵電池及び発電部のいずれか一方に電源切替部により切替える。無線通信機は、第2制御部により、受信部が受信した前記信号に基づき、発電部から送信部に電力を供給するべく電源切替部へ指令する。このため、無線通信機は、走行中である旨を示す信号を受信することで、簡易的に電源を発電部に切替えることができ、無線通信機の電池の消耗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係る車輌制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】無線キーの構成を示すブロック図である。
図3】振動発電素子の一構成例を示す模式図である。
図4】無線キー制御装置における無線キーの電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。
図5】無線キーにおける電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態2に係る車輌制御システムの構成を示すブロック図である。
図7】無線キー制御装置における無線キーの電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。
図8】無線キーにおける電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る車輌制御システム1の構成を示すブロック図である。車輌制御システム1は、ドアロック機構42、IGスイッチ制御装置44、無線キー制御装置2、無線キー3を備え、無線キー制御装置2及び無線キー3間での通信結果に応じて、車輌100のドアをドアロック機構42によりロック及びアンロックする制御、並びにIGスイッチ制御装置44によりIGスイッチ44aの切替制御を行う。また、車輌制御システム1は、車輌100が走行中の場合を含みIGスイッチ44aがオン状態である場合に、車輌100から無線キー3が持ち出されたときに乗員の注意を喚起すべく報知する制御、無線キー3の電源切替え制御等を行う。尚、無線キー制御装置2は本発明における制御装置として機能し、無線キー3は本発明における無線通信機として機能する。
【0019】
無線キー制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)20と、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性メモリを利用したROM21と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等のメモリを利用したRAM22と、ドアロックスイッチ40等の入力を受け付ける入力部23と、ドアロック機構42等へ制御信号を出力する出力部24と、無線キー3との間で無線通信を行うための無線通信部25と、計時部27とを備える。CPU20、ROM21、RAM22、入力部23、出力部24、無線通信部25及び計時部27はバスMで接続されており、相互に信号の入出力を行うことができる。CPU20、ROM21、RAM22、入力部23、出力部24、無線通信部25、計時部27及びバスMでマイクロコンピュータを構成してもよい。尚、CPU20は本発明における第1制御部として機能する。
【0020】
ROM21には、CPU20が読み出して実行する制御プログラム21a、及び無線キー3との間で相互に識別するための識別情報21bが記憶されている。識別情報21bは、例えば無線キー3のID(IDentifier)情報、無線キー制御装置2自身のID情報、及び、暗号処理に用いる鍵情報等である。RAM22には、CPU20の処理の過程で発生する情報が一時的に記憶される。計時部27は、例えばクロック信号をカウントアップするカウンター回路を有し、時間を計測する。
【0021】
入力部23にはドアロックスイッチ40及び車速センサ41が接続されている。ドアロックスイッチ40は、車輌100のドアの外側及び内側に夫々設けられた接触式又は機械式等のスイッチであり、ドアのロック/アンロックの操作を受け付けて無線キー制御装置2へ通知する。ドアの外側(例えばドアノブ等)に設けられたスイッチの操作により、乗員は車輌100の外からドアのロック/アンロック操作を行うことができ、ドアの内側(例えばドアの車室内側の側面等)に設けられたスイッチの操作により、ユーザは車室内でドアのロック/アンロック操作を行うことができる。
【0022】
車速センサ41は、例えば車輪の回転軸と共に回転する被検知体及び該被検知体の回転を検知するセンサを有し(図示略)、車輪の回転数に基づいて車速を計測する。無線キー制御装置2は、車速センサ41から車速を取得することにより、車輌100が停止中であるか走行中であるかを判定することができる。車速センサ41は、例えばナビゲーション装置等で代替えし、ナビゲーション装置による位置情報により車輌100が走行しているかを検知するようにしてもよい。尚、車速センサ41は本発明における検知部として機能する。
【0023】
出力部24にはドアロック機構42、音声出力装置43及びIGスイッチ制御装置44が接続されている。ドアロック機構42は車輌100の各ドアをロック/アンロックするための機械機構、及び該機械機構を電気的に動作させるためのアクチュエータ等を有する。ドアロック機構42は、無線キー制御装置2から出力されるロック/アンロックを示す2値の制御信号に応じてアクチュエータを動作させることにより、ドアのロック/アンロックを行う。尚、ドアロック機構42は本発明における施錠装置として機能する。
【0024】
音声出力装置43は、無線キー制御装置2及び他の車載機器(例えば、ラジオや音楽プレーヤなど)から音声信号を取得し、音声信号をスピーカ43aから出力する。また、音声出力装置43は、所定のチャイム音やブザー音を音声番号とともにプリセットとして記憶しており、報知指令に付加されている音声番号に従って、アナログの音声信号をスピーカ43aに出力する。尚、音声出力装置43は、報知指令とともに音声データを取得し、取得した音声データをアナログの音声信号に変換してスピーカ43aに出力するようにしてあってもよい。
【0025】
IGスイッチ制御装置44は、無線キー制御装置2からの切替許可信号を受けてIGスイッチ44aのスイッチ位置を切替える制御を行う。後述するように無線キー制御装置2は無線キー3との間で行われる識別情報に基づく認証処理により無線キー3が正規であるとされた場合に、切替許可信号をIGスイッチ制御装置44へ出力する。IGスイッチ44aは、運転者がボタンを押下することによってエンジンを始動させる押しボタン式のスイッチ等である。IGスイッチ44aは、乗員による押し操作(長押し操作を含む)によって、オフ位置、アクセサリ位置(以下、ACC位置と表記する。)、オン位置、及びエンジン始動位置に段階的に切り替えられる。なお、ここでの位置とは物理的な位置ではなく、機能的な状態を示す。
【0026】
一般的にオフ位置ではヘッドライト等の照明装置(図示略)が動作可能であり、ACC位置ではナビゲーション装置等(図示略)が動作可能となる。このように、オフ位置及びACC位置では電力消費量の小さい一部の車載機器のみが動作可能である。一方、オン位置では窓開閉装置、空気調和装置、ターンランプ、ワイパー、メータ機器等の多くの車輌装備品(図示略)が動作可能となる。さらにエンジン始動位置では点火プラグに点火してエンジンが始動し、エンジン始動後はオン位置に戻る。無線キー制御装置2の入力部23にはIGスイッチ44aの位置が入力されている。無線キー制御装置2は、IGスイッチ44aがオフ位置以外にある場合に、無線キー3が車輌100の外部へ持ち出された場合などに乗員の注意を喚起するべく報知する制御を行う。
【0027】
無線通信部25は、LF(Low Frequency)送信部25a、UHF(Ultra-High Frequency)送受信部25bを備え、車輌100の内外にて乗員が所持する無線キー3との間で無線通信を行う。車輌100には、LF送信アンテナ26a及びUHF送受信アンテナ26bがそれぞれ適所に設けられており、無線通信部25はこれらのアンテナを利用して無線通信を行う。LF送信アンテナ26aは、例えば、車内に向けて送信する車内送信アンテナと、車外に向けて送信する車外送信アンテナとで構成されている。UHF送受信アンテナ26bは、車輌100の内外に関わらず、無線キー3へ無線信号を送信し、無線キー3から送信された無線信号を受信する。尚、UHF送受信部25bは本発明における第2受信部として機能する。
【0028】
LF送信部25aは無線キー3を呼び出す呼出信号をLF帯(例えば125kHz)で送信する。呼出信号には、無線キー制御装置2自身のID情報及び鍵情報等の情報等が付加されている。UHF送受信部25bは、車輌100が走行中である旨を示す走行通知信号を無線キー3へ送信するとともに、無線キー3からの応答信号をUHF帯(例えば315MHz)で受信する。UHF送受信部25bは、時分割、又は周波数分割等により送受を分けることで、無線信号の受信及び送信が可能となるようにすればよい。後述するように、応答信号には無線キー3のID情報及び鍵情報等の情報等が付加されている。LF送信部25aは、CPU20から与えられる呼出信号をLF送信アンテナ26aから無線キー3へ送信する。UHF送受信部25bは、CPU20から与えられる走行通知信号をUHF送受信アンテナ26bから送信し、無線キー3から送信された応答信号をUHF送受信アンテナ26bにて受信し、CPU20へ与える。
【0029】
CPU20は、ROM21に記憶されている制御プログラム21aを実行することにより無線キー制御装置2の各部を機能させて、ドアのロック/アンロック、IGスイッチ44aの切替許可、無線キー3の持ち出しに対する報知、走行中の無線キー3の電源切替等の制御処理を行う。
【0030】
CPU20は、ドアロックスイッチ40に対する乗員の操作を入力部23により取得し、無線キー3へ呼出信号を送信するようにLF送信部25aに指令する。CPU20は、呼出信号に対する無線キー3からの応答信号をUHF送受信部25bで受信すると、受信した応答信号に含まれる情報に基づく認証処理を行う。認証に成功した場合、CPU20は、ドアロック機構42を動作させて、車輌100のドアのロック/アンロックを行う。
【0031】
また、CPU20は、IGスイッチ44aに対する操作を入力部23により取得し、無線キー3へ呼出信号を送信するようにLF送信部25aに指令する。CPU20は、呼出信号に対する無線キー3からの応答信号をUHF送受信部25bで受信すると、受信した応答信号に含まれる情報に基づく認証処理を行う。認証に成功した場合、CPU20は、IGスイッチ制御装置44へ切替許可信号を出力する。
【0032】
また、CPU20は、IGスイッチ44aがオフ位置以外の位置になっているオン状態(ACC位置、オン位置及びエンジン始動位置にある状態)で、反復的に無線キー3へ呼出信号を送信するようにLF送信部25aに指令する。CPU20は、呼出信号に対する無線キー3からの応答信号をUHF送受信部25bで受信すると、受信した応答信号に含まれる情報に基づく認証処理を行う。CPU20は、応答信号をUHF送受信部25bで受信できない場合に、及び認証に失敗した場合に、無線キー3が車輌100の外部へ持ち出されたと判断して、音声出力装置43へ報知指令を出力する。音声出力装置43は報知指令に基づいて、スピーカ43aから報知音を出力する。
【0033】
また、CPU20は、IGスイッチ44aがオフ位置以外の位置になっているオン状態で、車速センサ41から入力される信号に基づき車輌100が走行中であるか否かを判定する。走行中である場合、CPU20は、無線キー3へ走行通知信号を送信するようにUHF送受信部25bに指令する。尚、走行通知信号は、無線キー3で判読可能であればどのような信号でもよいが、例えば、特定のコード(例えば4ビット長の「1010」など)が付加された信号とすればよい。更に同期、識別等のための信号、及び無線通信インタフェースに準拠するべく付加する信号等を含むものであってもよい。無線キー3は走行通知信号を受信すると、該信号に基づき電源の切替えを行う。
【0034】
CPU20は、LF送信部25aにより上述の車内送信アンテナから無線キー3へ呼出信号を送信した場合に、無線キー3から送信される応答信号をUHF送受信アンテナ26bを介してUHF送受信部25bにて受信したか否かに応じて、無線キー3が車内に存在するか否かを判定することができる。同様にCPU20は、LF送信部25aにより上述の車外送信アンテナから無線キー3へ呼出信号を送信した場合に、無線キー3からの応答信号をUHF送受信アンテナ26bを介してUHF送受信部25bにて受信したか否かに応じて、無線キー3が車外の所定範囲内、例えば数mの範囲内に存在するか否かを判定することができる。
【0035】
次に無線キー3について説明する。図2は無線キー3の構成を示すブロック図である。無線キー3は、制御部30、無線通信部31、操作部33、内蔵電池34、発電部35、電源切替器36を備える。制御部30は、CPU、ROM及びRAM等を有し、ROMに記憶してある制御プログラムをCPUが実行することにより無線キー3の各部を機能させる。またROMには、無線キー制御装置2との間で相互に識別するための識別情報が記憶されている。識別情報は、例えば無線キー3自身のID情報、無線キー制御装置2のID情報、及び暗号処理に用いる鍵情報等である。RAMには、CPUの処理の過程で発生する情報が一時的に記憶される。
【0036】
無線通信部31は、LF受信部31a及びUHF送受信部31bを有する。LF受信部31aは、無線キー制御装置2から送信される呼出信号をLF受信アンテナ32aにより受信する。LF受信部31aは、呼出信号に含まれる情報(無線キー制御装置2のID情報及び鍵情報等)を読み出して制御部30へ出力する。UHF送受信部31bは、無線キー制御装置2から送信される走行通知信号をUHF送受信アンテナ32bにより受信し、走行通知信号に含まれるコードを読み出して制御部30へ出力する。また、UHF送受信部31bは、制御部30からの制御信号に基づき、無線キー3のID情報及び鍵情報等の情報を含む応答信号をUHF送受信アンテナ32bから送信する。UHF送受信部31bは、時分割、又は周波数分割等により送受を分けることで、無線信号の受信及び送信が可能となるようにすればよい。操作部33は、ロックボタン33a、アンロックボタン33bを有し、これらの操作ボタンに対する乗員の操作を受け付け、各操作ボタンに対応する操作信号を制御部30へ出力する。尚、UHF送受信部31bは本発明における送信部及び受信部として機能する。
【0037】
制御部30は、無線キー制御装置2からの呼出信号を無線通信部31にて受信した場合に、識別情報に基づく認証処理を行う(なお認証処理の詳細な手順については説明を省略する)。認証に成功した場合、制御部30は、応答信号の送信を指令する制御信号を無線通信部31へ出力する。また制御部30は、ロックボタン33a/アンロックボタン33bに対応する操作信号が入力された場合、ロック信号/アンロック信号の送信を指令する制御信号を無線通信部31へ出力する。この制御信号に対して、無線通信部31のUHF送受信部31bは、ロック又はアンロックを示す情報及び識別情報(無線キー3のID番号及び鍵情報等)を含む無線信号をUHF送受信アンテナ32bから送信し、該無線信号を無線キー制御装置2が受信することにより、車輌100のドアのロック/アンロックが行われる。尚、制御部30は本発明における第2制御部として機能する。
【0038】
また、制御部30は、無線キー制御装置2からの走行通知信号を無線通信部31にて受信した場合に、該走行通知信号に含まれるコードを取得し、車輌100が走行中であることを認識し、電源切替器36へ電源を発電部35に切替えるように指令する制御信号を出力する。
【0039】
内蔵電池34は、例えば小型のボタン電池であり、電池に蓄えられた電力が消耗されると交換する必要がある。これに対して、発電部35は蓄電部35a及び振動発電素子35bを有し、振動によって振動発電素子35bが発電した電力を蓄電部35aに蓄える。図3は振動発電素子35bの一構成例を示す模式図である。振動発電素子35bは、対向して配置された電極51及び52、該電極間に接続した抵抗53を有する。振動発電素子35bは、一方の電極51が摺動可能に支持されており、該一方の電極51が、固定された他方の電極52に対して相対変位するように構成されている。
【0040】
一方の電極51が他方の電極52に対して相対変位することによって、電極に蓄えられた電荷が移動して抵抗53に電流が流れ、抵抗53の両端間に電圧が生じることで発電する。車輌100が走行することにより、車輌100で発生した振動が車輌100内に置かれた無線キー3に伝わり、電極間の相対変位が発生する。また、車輌100が加減速することによっても電極が力を受け、電極間の相対変位が生じる。振動発電素子35bは、発生させた電力を蓄電部35aへ供給する。尚、振動発電素子35bは、上述の構成に限られず車輌100の走行により力を受けて振動することで発電する素子であればよく、公知の振動発電素子を用いることができるが、無線キー3に組み込むためには小型のものが好適である。
【0041】
蓄電部35aは、ダイオード等による整流回路、コンデンサ等による平滑化回路を有し、振動発電素子35bから供給される電力を整流及び平滑化して蓄積する。また、蓄電部35aにツェナーダイオード等による定電圧回路を設けて定電圧を出力するようにしてもよい。
【0042】
電源切替器36は、内蔵電池34、発電部35、無線キー3の各部へ電力を供給する電力供給線Bに接続されており、該電力供給線Bに接続する電源を内蔵電池34又は発電部35のいずれかに切替える。電源切替器36は、制御部30からの制御信号に基づき電源を発電部35に切替える。尚、電源切替器36は本発明における電源切替部として機能する。
【0043】
次に車輌制御システム1における無線キー3の電源切替に関する動作について説明する。図4は無線キー制御装置2における無線キー3の電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。上述のとおり、無線キー制御装置2は、IGスイッチ制御装置44から入力されるIGスイッチ44aの位置がオン状態である場合に、無線キー3へ呼出信号を送信して無線キー3が車輌100の外部への持ち出されないかを監視している。無線キー制御装置2のCPU20は、ステップS1において車輌100が走行中であるか否かを車速センサ41からの信号に基づいて判定する。走行中であると判定された場合(S1:YES)、CPU20は、ステップS2により走行通知信号を送信するようにUHF送受信部25bに指令する。走行中ではないと判定した場合(S1:NO)、及びステップS2により走行通知信号を送信した後、CPU20は、ステップS3により無線キー3を呼び出す呼出信号を送信するようにLF送信部25aに指令する。LF送信部25aはCPU20からの指令に基づき呼出信号をLF送信アンテナ26a(上述の車内送信アンテナ)から送信する。
【0044】
CPU20は、呼出信号の送信後、ステップS4により計時部27に対してタイマリセット及びスタートを指令する。この後、CPU20は、ステップS5により応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号を受信していないと判定した場合(S5:NO)、CPU20は、ステップS6において、計時部27がスタートさせたタイマが所定時間を経過したか否かを判定する。所定時間は例えば数十秒から数分程度とする。所定時間を経過していない場合(S6:NO)、CPU20は、ステップS5に戻って応答信号を受信したか否かを判定する。所定時間を経過した場合(S6:YES)、CPU20は無線キー3が車輌100の外部へ持ち出されたと判断して報知指令を音声出力装置43へ出力(ステップS9)する。音声出力装置43は、報知指令を受けてスピーカ43aから報知音を出力する。
【0045】
一方、ステップS5において応答信号を受信したと判定した場合(S5:YES)、CPU20は、ステップS7により、応答信号に付加されている無線キー3のID情報及び鍵情報等に基づく認証処理を行う。CPU20は、ステップS8により認証に成功したか否かを判定する。認証に成功した場合(S8:YES)、CPU20は処理を終了する。認証に失敗した場合(S8:NO)、CPU20は処理をステップS5へ戻す。
【0046】
図5は無線キー3における電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。無線キー3の制御部30は、ステップS10において、走行通知信号をUHF送受信部31bにより受信したか否かを判定する。走行通知信号を受信した場合(S10:YES)、制御部30は、ステップS11により、電源を発電部35に切替えるように電源切替器36へ指令し、電源切替器36は指令に基づいて電源を発電部35に切替える。走行通知信号を受信していない場合(S10:NO)、制御部30は、ステップS12により、電源を内蔵電池34に切替えるように電源切替器36へ指令し、電源切替器36は指令に基づいて電源を内蔵電池34に切替える。
【0047】
ステップS11及びS12の後、制御部30は、ステップS13により呼出信号をLF受信部31aにより受信したか否かを判定する。呼出信号を受信していない場合(S13:NO)、制御部30はステップS13を繰り返す。呼出信号を受信した場合(S13:YES)、制御部30は、ステップS14により、呼出信号に付加されている無線キー制御装置2のID情報及び鍵情報等に基づく認証処理を行う。制御部30は、ステップS15により認証に成功したか否かを判定する。認証に成功した場合(S15:YES)、制御部30は、ステップS16において応答信号を送信するようにUHF送受信部31bに指令する。UHF送受信部31bは制御部30からの指令に基づき応答信号を送信する。制御部30は、ステップS16による送信の後、処理を終了する。また、認証に失敗した場合(S15:NO)、制御部30は処理をステップS13へ戻す。
【0048】
以上より、本実施形態によれば、車輌100に搭載されている無線キー制御装置2が、可搬型の無線キー3との通信結果に応じて車輌100の動作に係る制御を行う。具体的には、無線キー制御装置2は、ドアのロック/アンロック制御、IGスイッチ44aの位置切替えに対する許可制御、無線キー3の持ち出し監視制御などを行う。無線キー制御装置2は、車輌100の走行中に、無線キー3を呼び出す呼出信号を送信し、呼出信号に対して無線キー3から送信される応答信号を受信することにより無線キー3との通信を継続する。無線キー制御装置2は、車速センサ41により車輌100が走行中であるかを検知し、車速センサ41が走行中であることを検知した場合に、無線キー3へ走行中である旨を示す走行通知信号を送信する制御をCPU20により行う。無線キー3は内蔵電池34及び発電部35を有する。発電部35は、車輌100の走行により発生する力を受けて発電する。無線キー3は、UHF送受信部31bにより応答信号を送信し、走行通知信号を受信する。無線キー3は、UHF送受信部31bに電力を供給する電源を内蔵電池34及び発電部35のいずれか一方に電源切替器36により切替える。無線キー3の制御部30は、UHF送受信部31bが受信した走行通知信号に基づき、発電部35からUHF送受信部31bに電力を供給するべく電源切替器36へ指令する。これにより、無線キー3は、走行通知信号を受信することで、簡易的に電源を発電部35に切替えることができ、無線キー3の内蔵電池34の消耗を抑えることができる。
【0049】
また本実施形態によれば、発電部35は、対向して配置された2つの電極51及び52を有する。一方の電極51が力を受けて他方の電極52と相対変位することで発電するので、発電された電力を用いてUHF送受信部31bから応答信号が送信される。
【0050】
また本実施形態によれば、車輌100のドアのロック及びアンロックを電気的に行うドアロック機構42を備えており、無線キー制御装置2は無線キー3との通信結果に応じてドアロック機構42によりドアをロック及びアンロックする制御を行う。これにより、車輌100のドアをロック及びアンロックする車輌制御システムについて、簡易的に無線キー3の電池の消耗を抑えることができる。
【0051】
また本実施形態では、無線キー3の発電部35は蓄電部35aに電力を蓄積するが、例えば、車輌100が低速で走行することで、発電部35に与えられる振動や加速度が小さく、応答信号を送信するために必要な発電量を得ることができない状態になる可能性がある。この場合、無線キー3は蓄電部35aの蓄電量を検知し、蓄電量が応答信号を送信するために必要な電力に満たないと判断されるときには、電源切替器36により、電源を発電部35から内蔵電池34に切替えるようにすればよい。
【0052】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2においては、無線キー制御装置2が、無線キー3からの応答信号の信号強度に基づいて無線キー3の電源を切替える制御を行うようにする。図6は本発明の実施の形態2に係る車輌制御システムの構成を示すブロック図である。図6において、無線通信部25は、受信した応答信号の信号強度を測定する信号強度測定部25cを有する。図6に示す車輌制御システム1は、信号強度測定部25c以外の構成について図1に示す車輌制御システム1の構成と同等である。また、無線キー3の構成は、実施の形態1において説明した図2に示す構成と同等である。実施の形態2では、信号強度測定部25cによる応答信号の信号強度測定に関して説明し、簡潔のため、その他の構成に関する説明は省略する。
【0053】
信号強度測定部25cは、UHF送受信部25bによって受信した無線キー3からの応答信号の信号強度を測定する。信号強度測定部25c、例えば公知のRSSI(Received Signal Strength Indicator)であり、UHF送受信部25bにて受信した応答信号を整流するなどして信号強度を測定する。信号強度測定部25cで測定した信号強度をCPU20に与える。CPU20は信号強度が応答信号の受信に必要な所定値より小さい場合に、無線キー3での発電量が足りないと判断する。このとき、CPU20は、無線キー3が内蔵電池34を電源とする制御を行うように指令する電源切替信号をUHF送受信部25bから送信させる。
【0054】
電源切替信号は無線キー3で判読可能であればどのような信号でもよいが、例えば、特定のコード(例えば4ビット長の「1011」など)が付加された信号とすればよい。更に同期、識別等のための信号、及び無線通信インタフェースに準拠するべく付加する信号等を含むものであってもよい。無線キー3は電源切替信号を受信すると、該信号に基づき電源の切替えを行う。
【0055】
図7は無線キー制御装置2における無線キー3の電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。図7に示すステップS21からS26までの処理は、図4に示すステップS1からS6までの処理と同等であるので、簡潔のため説明を省略する。無線キー制御装置2のCPU20は、図7に示すステップS27において、受信した応答信号の信号強度が所定値以上であるか否かを信号強度測定部25cによる測定結果に基づいて判定する。信号強度が所定値未満と判定された場合(S27:NO)、CPU20は、ステップS28により、UHF送受信部25bに電源切替信号を送信するよう指令し、該指令に基づいてUHF送受信部25bは電源切替信号を送信する。CPU20は、ステップS28により電源切替信号を送信した後、ステップS23に処理を戻し、再度呼出信号を送信する。また、信号強度が所定値以上と判定された場合(S27:YES)、CPU20は、ステップS29により、応答信号に付加されている無線キー3のID情報及び鍵情報等に基づく認証処理を行う。図7に示すステップS29からS31までの処理は、図4に示すステップS7からS9までの処理と同等であるので、簡潔のため説明を省略する。
【0056】
図8は無線キー3における電源切替に関する処理手順を示すフローチャートである。図8に示すステップS40の処理は、図5に示すステップS10の処理と同等であるので、簡潔のため説明を省略する。無線キー3の制御部30は、ステップ41により、電源切替信号をUHF送受信部31bにより受信したか否かを判定する。電源切替信号を受信した場合(S41:YES)、制御部30は、ステップS43により、電源を内蔵電池34に切替えるように電源切替器36へ指令し、電源切替器36は指令に基づいて電源を内蔵電池34に切替える。電源切替信号を受信していない場合(S41:NO)、制御部30は、ステップS42により、電源を発電部35に切替えるように電源切替器36へ指令し、電源切替器36は指令に基づいて電源を発電部35に切替える。図8に示すステップS44からS47までの処理は、図5に示すステップS13からS16までの処理と同等であるので、簡潔のため説明を省略する。
【0057】
以上より、本実施形態によれば、無線キー制御装置2が、UHF送受信部25bにより応答信号を受信し、CPU20は、UHF送受信部25bが受信した応答信号の信号強度が所定値以下である場合に、無線キー3へ内蔵電池に切替えるべき旨を示す電源切替信号を送信する制御を行うようにしてある。無線キー3は電源切替信号に基づいて、制御部30により、内蔵電池34からUHF送受信部31bに電力を供給するべく電源切替器36へ指令するようにしてある。これにより、発電部35での発電量が足りない場合に内蔵電池34に切替え、無線キー3と無線キー制御装置2との間の通信を継続することができる。
【0058】
上述の実施の形態1及び2では、無線キー制御装置2におけるLF送信アンテナ26aに関し、LF送信アンテナ26aを車内送信アンテナ及び車外送信アンテナで構成する例につき説明したが、本発明はこの構成に限られるものではない。例えば、3つ以上の送信アンテナを車輌100の適所(運転席のドア部、助手席のドア部、後部座席後方位置等)に設けて順次呼出信号を送信し、無線キー3にて各呼出信号の受信強度を測定し、応答信号に測定した各受信強度の情報を付加する。無線キー制御装置2は、応答信号から各受信強度の情報を読み出し、三点測量の原理を用いて無線キー3の位置を割り出し、無線キー3が車内にあるか車外にあるかを判定するようにしてもよい。この判定を図4に示すステップS5とステップS7との間(図7では、ステップS25とステップS27との間)に挿入し、CPU20は、無線キー3が車内に有ると判定した場合にステップS7(図7では、ステップS27)に移行し、無線キー3が車外に有ると判定した場合にステップS9(図7では、ステップS31)へ移行するようにすればよい。
【0059】
また、上述の実施の形態1及び2では、無線キー3の電源切替器36は、制御部30、無線通信部31、操作部33等へ電力を供給する電源を内蔵電池34及び発電部35のいずれかとする切替えを行っているが、制御部30、無線通信部31、操作部33の一部について電源を切替えるようにしても良いし、更には、無線通信部31内のLF受信部31a及びUHF送受信部31bのいずれかについて、電源を切替えるようにしてもよい。即ち、従来、内蔵電池34のみで無線キー3の各部を動作させていたことに比較し、無線キー3の一部を発電部35からの電力で動作させるようにすることで、無線キー3の内蔵電池34の電力消耗を抑えることが可能である。
【0060】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
100 車輌
1 車輌制御システム
2 無線キー制御装置(制御装置)
20 CPU(第1制御部)
25b UHF送受信部(第2受信部)
3 無線キー(無線通信機)
30 制御部(第2制御部)
31b UHF送受信部(送信部、受信部)
34 内蔵電池
35 発電部
36 電源切替器(電源切替部)
41 車速センサ(検知部)
42 ドアロック機構(施錠装置)
51、52 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8