(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
〔定着液〕
本発明の定着液は、湿式定着方式の画像形成方法において用いられ、トナー軟化させることにより、当該トナーにより構成されるトナー像を画像支持体に定着させるものであり、特定の水酸基含有エステル化合物を軟化剤として含有するものである。
本発明の定着液には、必要に応じて、水などの希釈剤や界面活性剤などの分散剤など他の成分が含有されていてもよい。
【0018】
〔一般式(1)で表わされる水酸基含有エステル化合物〕
本発明の定着液を構成する一般式(1)で表わされる水酸基含有エステル化合物は、トナーを構成する結着樹脂(以下、「トナー樹脂」ともいう。)の少なくとも一部を溶解または膨潤させて軟化させる軟化剤として作用するものである。
本発明の定着液において、特定の水酸基含有エステル化合物が含有されることにより、当該定着液がトナー像に供給されると、当該特定の水酸基含有エステル化合物の分子内のエステル結合(基)とトナー樹脂の樹脂分子とが分子間水素結合することによって親和し、トナーが軟化されると共に、当該特定の水酸基含有エステル化合物の分子内の水酸基と樹脂分子とにおいても分子間水素結合することによって、トナーの軟化が促進されると考えられる。また、当該特定の水酸基含有エステル化合物の分子内の水酸基と紙などの画像支持体の繊維セルロースとが分子間水素結合することによって軟化したトナーが紙繊維へ吸着し、高い接着性が得られると考えられる。すなわち、これらの水素結合が「トナーの軟化」および「紙との親和(接着)」に効果があると考えられることから、本発明の定着液によれば、定着液の供給量を低減しながら定着速度や乾燥速度の高速化が実現され、また、形成される画像においてべたつき感が低減されると共に高い定着強度を有することとなる。なお、水酸基によるトナーの軟化は、例えば低分子のアルコールやTHF(テトラヒドロフラン)がトナー樹脂を溶解することと同様の機構(溶媒和)であると考えられる。
また、トナーの軟化後、樹脂分子内の水酸基の水素結合により、画像全体の弾性が向上し、タック感(べたつき感)を抑制することができる。
【0019】
一般式(1)においては、R
1 は、炭素数6〜11の直鎖状または分岐状のアルキル基を示す。R
1 は、定着性の観点から、炭素数6〜9であることが特に好ましい。
R
1 は、炭素数が5以下である場合においては、臭気が発生するおそれがある。一方、炭素数が12以上である場合においては、高い定着強度が得られないおそれがある。
【0020】
R
2 は、少なくとも1つの水酸基を有する炭素数2〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基を示す。R
2 は、定着性の観点から、炭素数3であることが特に好ましい。
R
2 は、炭素数が5以上である場合においては、高い定着強度が得られないおそれがある。
R
1 およびR
2 ともにトナー樹脂への浸透性の観点から、直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0021】
一般式(1)で表わされる水酸基含有エステル化合物としては、具体的には、カプリル酸ヒドロキシプロピル、ラウリル酸ヒドロキシプロピル、エナント酸ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。特定の水酸基含有エステル化合物は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、特定の水酸基含有エステル化合物は、一般式(1)におけるR
2 において、1つの水酸基を有し、当該水酸基がオキシカルボニル基に対してβ位に有するものであることが好ましい。具体的には、カプリル酸2−ヒドロキシプロピル、ラウリン酸2−ヒドロキシプロピル、エナント酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。オキシカルボニル基に対してβ位に水酸基が位置することにより、分子骨格的(立体的)には、オキシカルボニル基と水酸基とが同一側(同一平面)に位置しやすくなるため、一般式(1)で表わされる水酸基含有エステル化合物一分子当たりのトナーや繊維セルロースとの水素結合形成数が多数確保されると考えられる。これは、β位に限らず、σ位も同様の傾向を示すと考えられる。一方、α位に水酸基が位置すると、カルボニル基と水酸基とが対面に位置しやすくなるため、トナーや繊維セルロースとの水素結合数はβ位のものより少なくなると考えられる。以上のことから、β位に水酸基が位置する構造の方が、定着液とトナーおよび画像支持体との親和性が高くなると考えられるため好ましい。
【0022】
特定の水酸基含有エステル化合物は、定着液に対して1〜30質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
特定の水酸基含有エステル化合物が上記範囲内の含有割合であることにより、トナー樹脂への高い親和性が得られ、高い定着強度および定着速度が得られると共に、得られる画像のべたつき感が抑制される。
特定の水酸基含有エステル化合物の含有割合が1質量%未満である場合においては、トナー樹脂への高い親和性が得られず、定着強度、定着速度が低下するおそれがある。一方、特定の水酸基含有エステル化合物の含有割合が30質量%を超える場合においては、得られる画像のべたつき感が残り、乾燥速度や得られる画像のべたつき感に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0023】
〔希釈剤〕
本発明の定着液には、特定の水酸基含有エステル化合物を希釈・分散させる希釈剤が含有されていてもよい。希釈剤としては、例えば水、具体的にはイオン交換水が挙げられる。また、特定の水酸基含有エステル化合物を溶解可能な溶媒、具体的には、イソパラフィン、シリコーンオイルなどを用いることもできる。
希釈剤は、定着液に対して50〜90質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは80〜90質量%である。
【0024】
〔分散剤〕
本発明の定着液には、必要に応じて、特定の水酸基含有エステル化合物の希釈剤への溶解性または分散性を向上させるものとして分散剤が含有されていてもよい。
分散剤としては、例えば界面活性剤、具体的には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
活性剤としてのアニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などを挙げることができる。カチオン系界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを挙げることができる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマー、ショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステル類などが挙げられる。
【0025】
分散剤は、定着液に対して0〜10質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。
【0026】
〔定着液の供給量〕
本発明の定着液の供給量は、例えば、A4サイズの画像支持体当たり0.4g以下が好ましく、より好ましくは0.1g以下である。
【0027】
〔定着液の製造方法〕
本発明の定着液の製造方法としては、例えば、定着液供給用のタンクに、特定の水酸基含有エステル化合物、必要に応じて分散剤を順次投入後、希釈剤を投入し超音波ホモジナイザーを用い、室温下で5分間撹拌する方法が挙げられる。これにより、特定の水酸基含有エステル化合物の分散粒径が150〜250μmの定着液を調製することができる。
【0028】
〔定着液の供給方法〕
本発明の定着液の供給方法としては、定着液供給手段を用いて、例えば当該定着液を液状または泡状に噴射、噴霧または塗布する方法などが挙げられる。
定着液供給手段としては、例えば、インクジェットノズル、超音波振動子を用いた噴霧器、圧縮空気を用いた噴霧器、静電的に液滴にする噴霧器、ローラなどが挙げられる。
【0029】
以下、本発明の定着液の供給方法について具体的に説明する。
図1は、本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成の一例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Aは、ライン型インクジェットノズルよりなるものであり、トナー像担持体31の下流側に配置されている。
このような定着液供給手段50Aにおいては、液滴化された定着液Fが、画像支持体P上に転写されたトナー像Tの領域に従って、当該トナー像Tに供給される。
【0030】
このような定着液供給手段50Aを構成するライン型インクジェットは、解像度が300dpi以上であることが好ましい。また、インクジェットの液滴サイズは、0.5〜50plであることが好ましい。
なお、定着液供給手段50Aとしてインクジェットノズルを用いる場合においては、定着液には耐溶剤性が必要とされる。
また、定着液が室温以上の温度で液体ではない場合、または、定着液の粘度が高い場合においては、定着液供給手段50Aにヒーターを設ける構成とすることもできる。
【0031】
また、定着液を供給した後において、定着液Fが供給されたトナー像Tに圧力を付与すること、すなわち、後述する定着液供給工程と共に圧力付与工程を行うことが好ましい。具体的には、
図2に示すように、定着液Fを供給した後、一対の加圧ローラよりなる圧力付与手段70により、定着液Fが供給されたトナー像Tに圧力を付与することを行うことできる。
圧力付与手段としては、例えば、表面が離型性を有するローラなど用いることもできる。加圧力は、特に限定されないが、例えば50kPa〜1MPaであることが好ましい。
この圧力付与工程が行われることにより、形成される画像においてより高い定着強度が得られる。
【0032】
図3は、本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成の他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Bは、定着液塗布ローラ51と、この定着液塗布ローラ51に対向して設けられた加圧ローラ52とにより構成される。この定着液塗布ローラ51は、その一部が例えば液状の定着液Fに浸漬されている。また、トナー像T上に供給すべき定着液Fの量を制御するメタリングブレード53が、その先端部分が定着液塗布ローラ51の表面から離間した状態で設けられている。
このような定着液供給手段50Bにおいては、定着液Fが、定着液塗布ローラ51および加圧ローラ52の回転駆動により、定着液塗布ローラ51上の液状の定着液Fがその供給量がメタリングブレード53により規制されて、トナー像Tが転写された画像支持体P上の全面に液膜Mとして供給されると共に、加圧ローラ52において圧力が付与される。
液膜Mの膜厚は、特に限定されないが、例えば1〜100μmが好ましい。
また、加圧ローラ52の加圧力は、例えば150kPa〜250kPaが好ましい。
【0033】
図4は、本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Cは、定着液を泡状に噴射させる泡状発生装置54と、定着液塗布ローラ55と、この定着液塗布ローラ55に対向して設けられた加圧ローラ56とにより構成される。また、トナー像T上に供給すべき定着液Fの量を制御する規制ブレード57が、その先端部分が定着液塗布ローラ55の表面から離間した状態で設けられている。
このような定着液供給手段50Cにおいては、定着液Fが、定着液塗布ローラ55および加圧ローラ56の回転駆動により、定着液塗布ローラ55上の泡状の定着液Fがその供給量が規制ブレード57により規制されて、トナー像Tが転写された画像支持体P上の全面に泡状膜Bとして供給されると共に、加圧ローラ56において圧力が付与される。
泡状膜Bの膜厚は、特に限定されないが、例えば50〜80μmが好ましい。
また、加圧ローラ56の加圧力は、例えば150kPa〜250kPaが好ましい。
【0034】
図5は、本発明の定着液を供給する際に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Dは、圧縮空気を用いた噴霧器よりなるものでものであり、トナー像担持体31の下流側に配置されている。
このような定着液供給手段50Dにおいては、液状の定着液Fが噴霧され、画像支持体P上に転写されたトナー像Tに供給される。
【0035】
本発明の定着液によれば、定着液が特定の水酸基含有エステル化合物を含有することにより、定着液の供給量を低減しながら定着速度や乾燥速度の高速化が実現され、また、形成される画像においてべたつき感が低減されると共に高い定着強度が得られる。
【0036】
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、少なくとも、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、静電潜像を、少なくとも結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、画像支持体に転写されたトナー像に、定着液を供給する定着液供給工程とを有し、定着液として、本発明の定着液を用いる方法である。
【0037】
〔静電潜像形成工程〕
静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
静電潜像担持体としては、特に限定されるものではないが、例えばアモルファスシリコン、セレンなどの無機感光体、または、ポリシラン、フタロポリメチンなどの有機感光体よりなるドラム状のものが挙げられる。
静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させ、露光手段により静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行われる。
帯電手段および露光手段としては、特に限定されず、電子写真法において一般的に使用されているものを用いることができる。
【0038】
〔現像工程〕
現像工程は、静電潜像を、トナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。
トナー像の形成は、トナーを含む乾式現像剤を用いて、例えば、トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、回転可能なマグネットローラとよりなる現像手段を用いて行われる。具体的には、現像手段においては、例えば、トナーとキャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。
【0039】
<トナー>
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなるものである。トナー粒子には、必要に応じて、着色剤や離型剤、磁性粉および荷電制御剤などの内添剤が含有されていてもよく、また当該トナー粒子に対して、流動化剤などの外添剤が外部添加されていてもよい。
【0040】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、粒径が体積基準のメディアン径で3.5〜7.0μmであることが好ましく、より好ましくは5.0〜6.5μmである。
トナーの体積基準のメディアン径が上記範囲内にあることにより、トナーの比表面積が十分に確保され、従って、後述する定着液供給工程において、定着液との接触面積が十分に確保されることから、トナー像を画像支持体に確実に定着させることができ、これにより、形成される画像において十分な定着強度を得ることができる。
トナーの体積基準のメディアン径が3.5μm未満である場合においては、形成される画像ががさついたものとなるおそれがある。一方、トナーの体積基準のメディアン径が7.0μmを超える場合においては、トナーの比表面積が小さく、後述する定着液供給工程において、定着液との接触面積が十分に確保されず、トナー像を画像支持体に確実に定着させることができなくなるおそれがある。
【0041】
本発明において、トナーの体積基準のメディアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、分散液を調製し、この分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメディアン径とされる。
【0042】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、平均円形度が、転写効率の向上の観点から、0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
【0043】
本発明において、トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定される。
具体的には、試料(トナー)を界面活性剤含有水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
【0044】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、ガラス転移点が、耐熱保管性および耐ブロッキング性の観点から、30〜70℃であることが好ましく、より好ましくは35〜50℃である。
【0045】
本発明において、トナーのガラス転移点は、示差走査カロリメーター「DSC8500」(パーキンエルマー社製)を用いて測定される。
具体的には、試料(トナー)4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、DSC−7サンプルホルダーにセットする。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分にて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行う。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移点とする。
【0046】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、軟化点が、定着強度の観点から、90〜120℃であることが好ましく、より好ましくは100〜115℃である。
【0047】
本発明において、トナーの軟化点は以下のようにして測定される。
すなわち、温度20±1℃、湿度50±5%RHの環境下において、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm
2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、温度24±5℃、湿度50±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット温度T
offsetを軟化点として、測定されるものである。
【0048】
(結着樹脂)
本発明の画像形成方法に用いられるトナーにおいて、結着樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル・ポリオール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などの公知の種々の樹脂が挙げられる。これらの中でも、軟化剤との親和性の観点から、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0049】
結着樹脂として、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂を用いる場合においては、結着樹脂を形成すべき重合性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
また、結着樹脂を形成すべき重合性単量体として、上記の重合性単量体にイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
さらに、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
【0051】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合においては、ポリエステル樹脂は、公知の多価アルコールと、公知の多価カルボン酸とにより得ることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどの脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。また、3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどが挙げられる。不飽和基を有する多価アルコールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール、9−オクタデゼン−7,12ジオールなどの不飽和二重結合を有するもの;2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオールなどの不飽和三重結合を有するものなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸;これら脂肪族カルボン酸の低級アルキルエステルや酸無水物;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族カルボン酸;トリメット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸などが挙げられる。不飽和基を有する多価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの不飽和脂肪族カルボン酸;およびこれらの酸無水物または酸塩化物;コーヒー酸などの不飽和芳香族カルボン酸などが挙げられる。これらの多価カルボン酸は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
ポリエステル樹脂は、例えば上記多価アルコールと上記多価カルボン酸とを不活性ガス雰囲気中において、120〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。縮重合の際においては、必要に応じて公知のエステル化触媒を用いてもよい。
【0053】
結着樹脂は、ガラス転移点が20〜90℃であることが好ましく、より好ましくは35〜45℃である。
結着樹脂のガラス転移点が20℃未満である場合においては、耐熱保管性が得られないおそれがある。
【0054】
本発明において、結着樹脂のガラス転移点は、上述したトナーのガラス転移点を測定する方法において試料を結着樹脂とすることの他は同様にして測定される。
【0055】
結着樹脂は、重量平均分子量が3,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
結着樹脂の重量平均分子量が3,000未満である場合においては、トナー粒子の強度が低下したものとなり、トナー飛散の原因となる。一方、結着樹脂の重量平均分子量が100,000を超える場合においては、形成される画像において高い定着強度が得られないおそれがある。
【0056】
本発明において、結着樹脂の重量平均分子量の測定は、GPCにより測定される。
具体的には、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流し、試料(結着樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにTHFに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出される。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
【0057】
(着色剤)
本発明の画像形成方法に用いられるトナーにおいて、着色剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
黒の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられる。
マゼンタまたはレッドの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
オレンジまたはイエローの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104などが挙げられる。
グリーンまたはシアンの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
これらの着色剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
着色剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜9質量部である。
【0059】
(離型剤)
本発明の画像形成方法に用いられるトナーにおいて、離型剤としては、例えばワックスが挙げられ、具体的には、以下に示すようなものが挙げられる。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックスなど
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトンなど
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどである。
【0060】
離型剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して0〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量部である。
【0061】
(磁性粉)
本発明の画像形成方法に用いられるトナーにおいて、磁性粉としては、例えば、マグネタイト、γ−ヘマタイト、各種フェライトなどが挙げられる。
磁性粉の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量部である。
【0062】
(荷電制御剤)
本発明の画像形成方法に用いられるトナーにおいて、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤および負帯電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0063】
(外添剤)
本発明の画像形成方法に用いられるトナーにおいては、当該トナーはそのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加した状態で用いることができる。
流動化剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウムなどよりなる無機微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、トナー粒子の表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
クリーニング助剤としては、例えば、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子などが挙げられる。
外添剤としては種々のものを組み合わせて用いることができる。
外添剤は、数平均一次粒径が30nm以下であることが好ましい。
外添剤の添加割合は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。
【0064】
以上のようなトナーを製造する方法としては、例えば、粉砕法などの乾式方法や、乳化会合法、溶解脱溶法、溶解懸濁法などの湿式方法など公知の方法を挙げることができる。
【0065】
〔乾式現像剤〕
本発明の画像形成方法に用いられる現像剤は、乾式のものとされ、磁性または非磁性のトナーのみよりなる一成分現像剤であっても、トナーとキャリアとが混合されてなる二成分現像剤であってもよい。
二成分現像剤である場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、これらとアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆した樹脂被覆型キャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
【0066】
キャリアは、粒径が体積基準のメディアン径で15〜100μmであることが好ましく、より好ましくは20〜80μmである。
本発明において、キャリアの体積基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0067】
〔転写工程〕
転写工程は、トナー像を画像支持体に転写する工程である。
トナー像の画像支持体への転写は、トナー像を画像支持体に剥離帯電することにより行われる。
転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラなどを用いることができる。
また、転写工程は、例えば、中間転写体を用い、中間転写体上にトナー像を一次転写した後、このトナー像を画像支持体上に二次転写する態様の他、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を直接画像支持体に転写する態様などによって行うこともできる。
【0068】
画像支持体としては、特に限定されず、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができる。
【0069】
〔定着液供給工程〕
定着液供給工程は、画像支持体に転写されたトナー像に定着液を供給する工程であり、用いられる定着液が本発明の定着液とされる。
この定着液供給工程においては、上述した定着液供給手段により、本発明の定着液を液状または泡状に噴射、噴霧または塗布して供給する。
本発明の画像形成方法においては、定着液供給手段として上述したライン型インクジェットノズルを用いて液滴サイズを0.5〜50plの範囲として供給することが好ましい。
【0070】
本発明の画像形成方法は、例えば、以下の画像形成装置により実行することができる。
図6は、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
この画像形成装置10は、タンデム型のフルカラー画像形成装置であって、ベルト状の中間転写体20に沿って設けられた複数の画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kと、中間転写体20上に各画像形成ユニットにより形成されたトナー像を画像支持体Pに転写する二次転写手段40と、画像支持体P上に転写されたトナー像に定着液を供給する定着液供給手段50とが設けられている。
【0071】
画像形成ユニット30Yは、イエローのトナー像を形成するものであって、静電潜像担持体であるドラム状の感光体31Yを備え、この感光体31Yの周囲に帯電手段32Y、露光手段33Y、現像手段34Y、一次転写手段35Y、クリーニング手段36Yが配置されて構成されている。
【0072】
画像形成ユニット30M,30C,30Kは、各々、イエローのトナー像を形成する代わりにマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する他は、画像形成ユニット30Yと同様の構成を有する。
【0073】
中間転写体20は、複数の支持ローラ21A,21B,21Cに張架され、循環移動可能に支持されている。
【0074】
二次転写手段40は、トナー像を画像支持体Pに剥離帯電して転写する転写器よりなるものである。
【0075】
定着液供給手段50は、トナー像に対して定着液を液滴にて供給するものであり、例えばライン型インクジェットノズルよりなるものである。
【0076】
この画像形成装置10においては、以下のような画像形成処理が行われる。
画像形成ユニット30Yにおいて、感光体31Yが回転駆動されると、帯電手段32Yにより、トナーと同極性のコロナ放電によって当該感光体31Yの表面に一様な電位が与えられる。一様に帯電された感光体31Yの表面上に画像データに基づいて、露光手段33Yにより、感光体31Yの回転方向に対して平行に走査し、露光を行うことによって静電潜像が形成される。次に、現像手段34Yにより、感光体31Yの表面電位と同極性に帯電されたトナーが感光体31Yの静電潜像に付着して反転現像が行われることによって、トナー像が形成され、循環移動する中間転写体20上に一次転写手段35Yにより転写される。これらの処理が、画像形成ユニット30M,30C,30Kにおいても行われ、各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kより形成された各色のトナー像が、中間転写体20上に重畳されてカラートナー像が形成される。このカラートナー像が、所定のタイミングで搬送される画像支持体P上に二次転写手段40によりに二次転写される。次いで、定着液装置50により画像データに基づいて定着液が、画像支持体Pに二次転写されたトナー像に対して供給される。定着液が供給されたトナー像は画像支持体Pに定着し画像が形成される。
一方、二次転写手段40により画像支持体Pにカラートナー像を転写した後、クリーニング手段60においては、画像支持体Pを曲率分離した中間転写体20上に残留する未転写トナーが除去される。また、クリーニング手段36Y,36M,36C,36Kにおいては、感光体31Y,31M,31C,31K上にそれぞれ残留する未転写トナーが除去される。
【0077】
本発明の画像形成方法によれば、湿式定着方式において、本発明の定着液を用いることにより、定着液の供給量を低減しながら定着速度や乾燥速度の高速化が実現され、また、形成される画像においてべたつき感が低減されると共に高い定着強度を有する画像を形成することができる。
【実施例】
【0078】
〔トナーの作製例1〕
(1)結着樹脂粒子分散液の調製
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を備えた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3040質量部と共に投入し、界面活性剤水溶液を調製し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤水溶液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、スチレン479質量部、n−ブチルアクリレート144質量部、メタクリル酸77質量部およびn−オクチルメルカプタン9質量部よりなる単量体溶液を1時間かけて反応容器中に滴下した。滴下後、75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合を行い、スチレン−アクリル系樹脂よりなる結着樹脂粒子が分散された結着樹脂粒子分散液〔1〕を調製した。作製した結着樹脂粒子のガラス転移点は56℃、重量平均分子量は23,000であった。
【0079】
(2)着色剤粒子分散液の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)400質量部を徐々に添加し、撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理を行って、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液〔1〕を調製した。この着色剤粒子は、電気泳動光散乱計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、粒径が体積基準のメディアン径で110nmであった。
【0080】
(3)トナー粒子の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を備えた反応容器に、結着樹脂粒子分散液〔1〕420質量部(固形分換算)、イオン交換水900質量部および着色剤粒子分散液〔1〕200質量部を投入し、撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温させ、結着樹脂粒子と着色剤粒子との会合を行った。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)を用いて、会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメディアン径が6.3μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加し、会合を停止した。
その後、熟成処理として液温を70℃とし、1時間にわたって加熱、撹拌を行うことにより、融着を継続させた。このときの粒子の平均円形度は、「FPIA2100」(シスメックス社製)にて測定したところ0.960であった。さらに、8℃/分の速度で30℃に冷却して、濾別し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することによりトナー粒子〔1〕を得た。トナー粒子〔1〕の粒径は、体積基準のメディアン径で6.5μmであった。
得られたトナー粒子〔1〕100質量部に対し疎水性シリカ1質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。回転翼の周速24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩を通過させてトナー〔1〕を得た。
【0081】
〔トナーの作製例2〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物675質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物88質量部、テレフタル酸281質量部、無水トリメリット酸31質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応し、ポリエステル樹脂〔1〕を得た。
このポリエステル樹脂〔1〕は、ガラス転移点が54℃、重量平均分子量が10,000であった。
ポリエステル樹脂〔1〕370質量部およびカーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)45質量部に、酢酸エチル1500質量部を加え、撹拌しながら75℃まで昇温した。その後75℃で3時間撹拌し、固形分濃度25質量%の樹脂溶液〔1〕を得た。
分散剤としてリン酸三カルシウム5質量部、分散安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05質量部を純水580質量部に溶解・分散させた溶液を、「TKホモミキサー」(特殊機化工業(株)社製)を用いて5000rpmにて15分間撹拌し、乳白色の水系媒体〔1〕を得た。
この水系媒体〔1〕に対して、樹脂溶液〔1〕を600質量部添加し、「TKホモミキサー」により12000rpmにて30分間撹拌することにより油滴粒子分散液〔1〕を調製した。
この油滴粒子分散液〔1〕を減圧蒸留装置に移し、非水溶性有機溶媒であるメチルエチルケトンを減圧下で除去した。得られたスラリーに対し、1mol/lの塩酸を当該スラリーのpHが1になるまで加え、30分間放置して、樹脂粒子表面からリン酸三カルシウムを除去した。その後、濾過、水洗および乾燥を行い、体積基準のメディアン径が5.2μmのトナー粒子〔2〕を得た。
得られたトナー粒子〔2〕100質量部に対し疎水性シリカ1質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。回転翼の周速24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩を通過させてトナー〔2〕を得た。
【0082】
<乾式現像剤の作製例1〜2>
トナー〔1〕〜〔2〕の各々に対し、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60nmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6質量%である乾式現像剤〔1〕〜〔2〕を作製した。
【0083】
<定着液の調製例1>
軟化剤としてカプリル酸ヒドロキシプロピル15質量部を、界面活性剤(ミリスチン酸ナトリウム)1質量部を溶解したイオン交換水84質量部に添加し、超音波ホモジナイザーにより5分間撹拌して定着液〔1〕を調製した。
【0084】
<定着液の調製例2>
軟化剤としてカプリル酸ヒドロキシプロピル40質量部を、界面活性剤(ミリスチン酸ナトリウム)4質量部を溶解したイオン交換水56質量部に添加し、超音波ホモジナイザーにより5分間撹拌して定着液〔2〕を調製した。
【0085】
<定着液の調製例3〜8>
定着液の調製例1において、軟化剤として表1に示すものに変更したことの他は同様にして定着液〔3〕〜〔8〕を調製した。
【0086】
<定着液の調製例9>
軟化剤としてカプリル酸ヒドロキシプロピル15質量部を、希釈剤としてイソパラフィン85質量部に添加し、スターラーで5分間撹拌して定着液〔9〕を調製した。
【0087】
<定着液の調製例10>
希釈剤および界面活性剤を用いず、軟化剤としてカプリル酸ヒドロキシプロピル100質量部からなる定着液〔10〕を調製した。
【0088】
【表1】
【0089】
<実施例1〜16および比較例1〜4>
画像形成装置「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の加熱定着器を取り外して、下記に示す定着器〔1〕を搭載し、また、乾式現像剤および定着液の種類を表2に示す組み合わせに従って搭載し、画像支持体「Jペーパー」(コニカミノルタ社製)上に、トナー付着量を4g/m
2 としてベタ画像を形成した。得られたベタ画像について下記評価を行った。結果を表2に示す。この画像形成においては、非加熱の状態で定着が行われた。
・定着器〔1〕
定着器〔1〕は、
図2に示すようなライン型インクジェットノズルよりなる定着液供給手段および加圧ローラよりなる圧力付与手段から構成されるものである。
定着液供給手段を構成するライン型インクジェットは、解像度が600dpiであり、液滴サイズが10〜15plである。
定着液の設定供給量は、0.1g/A4である。
圧力付与手段の加圧力は200kPaである。
【0090】
<経時放置におけるべたつき>
形成したベタ画像部と、非画像部およびベタ画像部とが重なるように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm
2 相当になるように重りを載せ、温度25℃湿度30%の恒温恒湿槽で30分間放置した。放置後、重ねた2枚の定着像の画像欠損度合いを以下に示す「G1」〜「G5」の5段階でグレード付けした。なお、G3以上は実用上問題ないレベルである。
G1:互いの画像部が接着した為、画像が定着されている紙ごと剥がれて、画像欠損が激しく、また非画像部へ明らかな画像の移行が見られる。
G2:画像同士が接着していた為、画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像のあれやグロス低下は発生するが、画像欠損は殆どなく許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、パリッと音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
【0091】
<擦過定着率>
定着後5秒後に、ベタ画像の表面を1cmφの綿布で擦過し、擦過前後の反射濃度を「RD−918」(マクベス社製)により測定した。下記式(1)により擦過定着率を算出し、下記評価基準により評価した。なお、擦過定着率が70%以上であれば実用上問題ないレベルである。
式(1):擦過定着率(%)={擦過後の反射濃度/擦過前の反射濃度(1.40)}×100
【0092】
【表2】