(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、防水コネクタによってコネクタ接続部分の防水を図る構成では、防水コネクタ自体高価であるため、ワイヤーハーネスが高コストになってしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に開示の技術によると、コネクタボックスと本体部との嵌合部、本体部とカバーとの嵌合部、ワイヤーハーネスの導入部の全ての箇所において防水構造を採用する必要があり、構成の複雑化を招き、高コスト化を招くという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、ワイヤーハーネスのうちコネクタ接続部分を収容するプロテクタを、なるべく低コストでコネクタ接続部分に対する防水を図れるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様は、ワイヤーハーネスのうちコネクタとそのコネクタに接続されたコネクタ接続ワイヤーハーネス部分とを含むコネクタ接続部分を収容するプロテクタであって、前記コネクタ接続ワイヤーハーネス部分を収容可能な主収容空間を有するプロテクタ本体部と、一方側に開口が設けられると共に内部に前記コネクタを収容可能な容器形状に形成され、前記開口を下方に向けた姿勢で前記プロテクタ本体部と一体化されるコネクタ収容部と、を備え、前記プロテクタ本体部に、前記コネクタ接続ワイヤーハーネス部分を前記主収容空間から前記コネクタ収容部の開口に向けて配設する副収容空間が設けられているものである。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るプロテクタであって、前記プロテクタ本体部には、前記コネクタ収容部の開口に対向する底部が設けられているものである。
【0011】
第3の態様は、第2の態様に係るプロテクタであって、前記コネクタ収容部の開口と前記底部とは間隔をあけて対向している。
【0012】
第4の態様は、第2又は第3の態様に係るプロテクタであって、前記底部に水抜き孔が形成されている。
【0013】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係るプロテクタであって、前記副収容空間は、前記コネクタ接続ワイヤーハーネス部分が前記主収容空間から前記コネクタ収容部の開口に至る途中で、前記開口よりも下方を通る経路を経るように、前記コネクタ接続ワイヤーハーネス部分を配設可能な形状に形成されているものである。
【0014】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るプロテクタであって、前記コネクタ収容部の前記開口の少なくとも一部と前記プロテクタ本体部とが、前記コネクタ収容部の内外方向において上下位置を変えた段差を介して突合うものである。
【0015】
第7の態様に係るプロテクタ付ワイヤーハーネスは、第1〜第6のいずれか1つの態様に係るプロテクタと、コネクタとそのコネクタに接続されたコネクタ接続ワイヤーハーネス部分とを含むコネクタ接続部分とを含み、前記コネクタ接続ワイヤーハーネス部分が前記主収容空間及び前記副収容空間に配設されると共に、前記コネクタが前記コネクタ収容部内に収容された、ワイヤーハーネスと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
第1〜第7の態様によると、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分を、主収容空間及び副収容空間に配設すると共に、コネクタをコネクタ収容部内に収容することができる。コネクタ接続ワイヤーハーネス部分については、主収容空間及び副収容空間に配設することで、経路規制及び保護を図ることができる。また、コネクタはコネクタ収容部によって上方及び周囲を囲まれた状態となるため、上方及び側方からの被水に対して十分に防水を図ることができる。これにより、ワイヤーハーネスのうちコネクタ接続部分を収容するプロテクタを、なるべく低コストでコネクタに対する防水を図れるようにすることができる。
【0017】
第2の態様によると、底部によってコネクタ収容部の開口からの被水を抑制することができる。
【0018】
第3の態様によると、前記コネクタ収容部の開口と前記底部とは間隔をあけて対向しているため、底部に水が進入しても、当該水はコネクタには達し難く、コネクタをより確実に防水することができる。
【0019】
第4の態様によると、底部に溜った水を水抜き孔から排水することができる。
【0020】
第5の態様によると、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分は、前記開口よりも下方を通る経路を経てコネクタ収容部内に導かれるため、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分を伝った水がコネクタに達し難くなり、コネクタをより確実に防水することができる。
【0021】
第6の態様によると、前記コネクタ収容部の前記開口の少なくとも一部と前記プロテクタ本体部とが、段差を介して突合うため、コネクタ収容部の開口とプロテクタ本体部との間でより確実な防水を図ることができ、コネクタをより確実に防水することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に係るプロテクタ及びプロテクタ付ワイヤーハーネスについて説明する。
【0024】
図1はプロテクタ付ワイヤーハーネス10を示す概略斜視図であり、
図2は同プロテクタ付ワイヤーハーネス10における内部レイアウトを示す説明図であり、
図3は同プロテクタ付ワイヤーハーネス10の分解斜視図である。
【0025】
このプロテクタ付ワイヤーハーネス10は、ワイヤーハーネス20と、プロテクタ30とを備える。
【0026】
ワイヤーハーネス20は、複数の電線22を含む。ここでは、ワイヤーハーネス20は、2本の電線22により構成されているが、より多数の電線が含まれていてもよい。なお、電線22は、芯線の周囲に樹脂被覆が押出被覆された構成とされている。ワイヤーハーネス20の長手方向中間部において、当該ワイヤーハーネス20に含まれる電線22の一部又は全部にコネクタ26が接続されている。コネクタ26としては、ワイヤーハーネス20の長手方向中間部において電線22同士を中継接続するコネクタ(ジョイントコネクタ等と呼ばれるもの)等が想定されている。コネクタ26として、防水構造が組込まれていない非防水仕様のコネクタ、つまり、比較的簡易な構成のものを用いることができる。ワイヤーハーネス20のうちコネクタ26に接続され、かつ、本プロテクタ30内に収容される部分は、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24である。コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24のうち、コネクタ26に近い側の部分が第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aであり、コネクタ26から遠い側の部分が第2コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24bである。
【0027】
プロテクタ30は、プロテクタ本体部32と、コネクタ収容部60とを備える。
【0028】
プロテクタ本体部32には、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24のうち第2コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24bを収容可能な主収容空間34と、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24のうち第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aを収容可能な副収容空間36と、コネクタ収容部セット部38とを備える。
【0029】
そして、ワイヤーハーネス20のうちコネクタ接続ワイヤーハーネス部分24が主収容空間34及び副収容空間36に収容されると共に、コネクタ26がコネクタ収容部セット部38にセットされたコネクタ収容部60に収容固定されるようになっている。
【0030】
より具体的には、プロテクタ本体部32は、第1プロテクタ本体部40と、第2プロテクタ本体部50との合体により構成されている。第1プロテクタ本体部40及び第2プロテクタ本体部50は、それぞれ樹脂によって一体的に金型成型された部品である。なお、プロテクタ本体部は、全体が1つの部品として樹脂によって一体的に金型成型された構成であってもよいし、より多数の部品が組合わされた構成であってもよい。
【0031】
第1プロテクタ本体部40は、方形状の主板部41と、天井部42と、底部43と、一方の側壁部44と、他方の側壁部45と、仕切部46とを備える。
【0032】
天井部42は、主板部41の上辺に沿って当該主板部41の一主面側に突出するように形成された細長板状に形成されている。
【0033】
底部43は、主板部41の下辺に沿って当該主板部41の一主面側に突出するように形成された細長板状に形成されている。この底部43には、水抜き孔43hが形成されている。ここでは、底部43の延在方向中間部に水抜き孔43hが形成されている。
【0034】
一方の側壁部44は、主板部41の一側辺に沿って、底部43の一端部から天井部42の一端部の途中に至るように形成された細長板状に形成されている。一方の側壁部44の上端部と天井部42の一端部との間には内外に貫通するワイヤーハーネス導入口47aが形成されている。
【0035】
他方の側壁部45は、主板部41の他側辺に沿って、底部43の他端部から天井部42の他端部の途中に至るように形成された板状に形成されている。他方の側壁部45の上端部は、一方の側壁部44の上端部よりも下方位置にある。この他方の側壁部45の上端部には、その上端部の延在方向に沿って延びる凸部45aが形成されている。凸部45aは、側壁部45の厚み方向中央部において、その両側よりも突出している。従って、側壁部45の上端部には、隣合うもの間で高さが異なる段差面45a1、45a2、45b3が形成されている。
【0036】
仕切部46は、横仕切部46aと、縦仕切部46bとを備える。
【0037】
横仕切部46aは、他方の側壁部45の上端部と主板部41の上辺との間の高さ位置において、主板部41の他側辺から一側辺の途中に至るように、主板部41の一主面側に突出形成された板状部材に形成されている。天井部42の他端部と横仕切部46aの他端部との間には、内外に貫通するワイヤーハーネス導入口47bが形成されている。この横仕切部46aと天井部42との間に、ワイヤー導入口47a、47b間において、直線状に続く主収容空間34が形成され、この主収容空間34に第2コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24bが収容される。なお、主収容空間は、途中で曲る形状に形成されていてもよい。また、主収容空間の途中にワイヤーハーネスの分岐部分を外部に引出す開口が形成されていてもよい。
【0038】
縦仕切部46bは、横仕切部46aの一端部から底部43の途中に至るように、主収容空間34の一主面側に突出する板状形状に形成されている。縦仕切部46bと一方の側壁部44との間には、上下方向に延在する収容空間が形成され、縦仕切部46bの下方には、一方の側壁部44の下側部分、底部43及び他方の側壁部45とで囲まれる収容空間が形成され、これらの収容空間によって副収容空間36が形成されている。この副収容空間36に、第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aが収容される。第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aが副収容空間36に収容されると、当該第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aは、主収容空間34からコネクタ収容部60の開口に向かうように配設される。特に、ここでは、副収容空間36の下方部分は、コネクタ収容部セット部38にセットされるコネクタ収容部60の開口62よりも下方に位置しており、従って、第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aは、主収容空間34からコネクタ収容部60の開口62に至る途中で、前記開口62よりも下方を通る経路を経て配設される。換言すれば、第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aは、コネクタ収容部60の開口62の下方で、下向きに凸となる湾曲状態を経てコネクタ収容部60内に導かれる。
【0039】
また、仕切部46の横仕切部46aと縦仕切部46bとで囲まれる部分に、コネクタ収容部セット部38が形成され、このコネクタ収容部セット部38にコネクタ収容部60がセットされる。
【0040】
第2プロテクタ本体部50は、第1蓋部52と、第2蓋部54と、第3蓋部56とを備えており、上記主板部41の反対側で主収容空間34及び副収容空間36の開口を閉塞可能な形状に形成されている。
【0041】
より具体的には、第1蓋部52は、主板部41の反対側で、主収容空間34の開口を閉塞可能な細長板状に形成されている。
【0042】
第2蓋部54は、第1蓋部52の下側縁部の一端部から下方に向けて延出し、主板部41の反対側で、副収容空間36のうち一方の側壁部44と縦仕切部46bとの間の部分の開口を閉塞可能な板状に形成されている。なお、第2蓋部54は、第1蓋部52よりも主板部41の反対側に突出(ここでは僅かに突出)している。
【0043】
第3蓋部56は、第2蓋部54の下端部から、主板部41の反対側に向けて突出しつつ第1蓋部52が延出する側と同方向に延出する形状に形成されており、副収容空間36のうち一方の側壁部44の下方部分と底部43と他方の側壁部45とで囲まれる部分を閉塞可能な形状に形成されている。
【0044】
第3蓋部56には、コネクタ収容部セット部38の下方前側部分で、当該コネクタ収容部セット部38にセットされるコネクタ収容部60の開口62の一部に沿って配設される嵌合縁部57が形成されている。嵌合縁部57は、1つの直線状縁部分の両側に一対の縁部分が延在する形状に形成されている。そして、コネクタ収容部セット部38にセットされるコネクタ収容部60の開口62の1つの辺及び当該辺に隣接する一対の辺の一部が、当該嵌合縁部57に突合わされる。この嵌合縁部57には、その上端部の延在方向に沿って延びる凸部57aが形成されている。凸部57aは、嵌合縁部57の厚み方向(内外方向)中央部において、その両側よりも突出している。従って、嵌合縁部57の上端部には、隣合うもの間で高さが異なる段差面57a1、57a2、57b3が形成されている。なお、第3蓋部56の下縁部には、底部43と連なる底部が形成されている。
【0045】
なお、第1プロテクタ本体部40と第2プロテクタ本体部50との合体状態の維持は、係止構造、ネジ止、接着剤等を用いた各種構成により行われる。
図1では、第1プロテクタ本体部40の外面に、第2プロテクタ本体部50に向けて延びるU字状の係止片40aが延設され、第2プロテクタ本体部50の外面に当該係止片40aに係止可能な突起部50aが形成され、係止片40aが突起部50aに係止されることで、第1プロテクタ本体部40と第2プロテクタ本体部50との合体状態の維持が行われる例を示している。
【0046】
図4及び
図5はコネクタ収容部60を示す斜視図である。
図1〜
図5に示すように、コネクタ収容部60は、一方側に開口62が設けられると共に内部にコネクタ26を収容可能な容器形状に形成されている。コネクタ収容部60には、開口62以外には外部から内部に至る隙間は形成されていない。かかるコネクタ収容部60は、樹脂によって一体的に金型成型された部品として構成できる。
【0047】
ここでは、コネクタ収容部60は、一方側に開口62が形成された直方体箱状に形成されている。コネクタ収容部60内の空間の大きさは、コネクタ26の全体を収容できる程度の大きさに設定されている。即ち、コネクタ収容部60内の空間は、平面視においてコネクタ26の平面視の大きさよりも大きい。また、コネクタ収容部60内の深さは、コネクタ26の長さ(ここでは、コネクタ26に対する第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aの導入方向に沿った長さ)よりも大きい。そして、コネクタ26をコネクタ収容部60内に収容した状態で、コネクタ収容部60を正面から視ると、当該コネクタ26がコネクタ収容部60外にはみ出ることなく、当該コネクタ収容部60内に完全に収容できるようになっている。
【0048】
また、コネクタ収容部60の幅は、他方の側壁部45の外面と縦仕切部46bのうちコネクタ収容部セット部38側の面との間の寸法と同程度に設定されており、コネクタ収容部60の高さは、横仕切部46aのうちコネクタ収容部セット部38側の面と他方の側壁部45の上端部との距離と同程度に設定されている。そして、コネクタ収容部60の上面を横仕切部46aのうちコネクタ収容部セット部38側の面に対向させると共に、コネクタ収容部60の一方側の側面を縦仕切部46bのうちコネクタ収容部セット部38側の面に接触させるようにして、コネクタ収容部60をコネクタ収容部セット部38にセットできるようになっている。
【0049】
コネクタ収容部60をコネクタ収容部セット部38に収容し、第1プロテクタ本体部40と第2プロテクタ本体部50とを合体させた状態では、コネクタ収容部60の開口62のうち1つの辺に沿った縁部、その縁部の隣の辺に沿った一方の縁部及び他方の縁部の一部は、受側嵌合縁部63として、一方の側壁部44の上端部及び第2プロテクタ本体部50の嵌合縁部57に突合わされる。この受側嵌合縁部63には、その延在方向に沿って延びる溝部63aが形成されている。溝部63aは、コネクタ収容部60の開口62の厚み方向(内外方向)中央部で凹む溝であり、従って、受側嵌合縁部63には、隣合うものの間で高さが異なる段差面63a1,63a2,63a3が形成されている。
【0050】
また、上記コネクタ収容部60内には、コネクタ26を固定可能なコネクタ固定部64が設けられている。
【0051】
ここで、
図3、
図4及び
図6に示すように、コネクタ26には、前記コネクタ固定部64に対して固定可能なコネクタ側固定部27が設けられている。コネクタ側固定部27は、コネクタ26の外周りの一側面に突出形成された部分である。コネクタ側固定部27は、偏平な直方体形状の外形状を呈している。コネクタ側固定部27には、一方向(第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aが引出される側)に向けて開口する固定用収容部27aが形成されると共に、コネクタ側固定部27の外向き部分の幅方向中央部にスリット27bが形成されている。スリット27bは、固定用収容部27aと連続している。
【0052】
また、コネクタ収容部60の1つの内面に、コネクタ固定部64が設けられている。コネクタ固定部64は、直方体状の支持部64aの先端部にその両側方向に延出する延出部64bが形成された構成とされ、平面視略T状の部材に形成されている。
【0053】
そして、コネクタ26をコネクタ収容部60の奥に向けて収容し、支持部64aをスリット27b内に、延出部64bを固定用収容部27aに差込むようにして、コネクタ26をコネクタ収容部60の開口側に引戻すと、支持部64aがスリット27b内に収容されると共に、延出部64bが固定用収容部27aに収容されて固定用収容部27aの奥部に当接する。これにより、コネクタ26がコネクタ収容部60内で一定位置に支持されるようになる。なお、この状態で、コネクタ26は、コネクタ収容部60の開口より外方に突出していない。
【0054】
なお、コネクタ収容部内でのコネクタの固定は他の構成、例えば、ネジ止、接着剤固定等によって行われてもよい。
【0055】
以上のように構成されたプロテクタ30にワイヤーハーネス20を組込んで、プロテクタ付ワイヤーハーネス10を製造する手順について説明する。
【0056】
まず、長手方向中間部において、コネクタ26と当該コネクタ26に接続されたコネクタ接続ワイヤーハーネス部分24とを含むワイヤーハーネス20を準備する。
【0057】
そして、コネクタ26をコネクタ収容部60内に収容し、上記コネクタ固定部64とコネクタ側固定部27とを係止させて、コネクタ26をコネクタ収容部60内に固定する(
図4及び
図5参照)。
【0058】
次に、
図7(b)及び
図9に示すように、コネクタ収容部60を第1プロテクタ本体部40のコネクタ収容部セット部38に向けて押込む。そして、
図7(a)及び
図8に示すように、コネクタ収容部60の開口62の一部を側壁部45の上端部に対向させ、コネクタ収容部60を下方に移動させて、側壁部45の上端部の凸部45aがコネクタ収容部60の受側嵌合縁部63の溝部63a内に嵌り込むようにする。
【0059】
この前後において、第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aを副収容空間36内にU字状に配索して収容すると共に、第2コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24bを主収容空間34に沿って直線状に配索して収容する。そして、ワイヤーハーネス20のその他の部分を、主収容空間34の両端のワイヤーハーネス導入口47a、47bから外方に引出す(
図8参照)。
【0060】
この後、第2コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24bを第1コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24aに合体させる(
図1及び
図3参照)。この際、コネクタ収容部60の開口62の一部を第2プロテクタ本体部50の嵌合縁部57に対向させると共に、嵌合縁部57の凸部57aがコネクタ収容部60の受側嵌合縁部63の溝部63a内に嵌り込むようにする。
【0061】
これにより、コネクタ収容部60がその開口62を下方に向けた姿勢でプロテクタ本体部32と一体化され、プロテクタ付ワイヤーハーネスが完成する。
【0062】
以上のように構成されたプロテクタ30及びプロテクタ付ワイヤーハーネス10によると、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24を、主収容空間34及び副収容空間36に配設すると共に、コネクタ26をコネクタ収容部60に収容することができる。そして、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24については、主収容空間34及び副収容空間36に配設することで、その経路規制及び保護を図ることができる。また、コネクタ26については、コネクタ収容部60によって上方及び周囲四方を囲まれた状態となるため、上方及び側方からの被水に対して十分に防水を図ることができる。これにより、ワイヤーハーネス20のうちコネクタ接続部分を収容するプロテクタ30を、なるべく低コストでコネクタ26に対する防水を図れるようにすることができる。
【0063】
すなわち、上記コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24は、電線22によって構成されているところ、電線22自体は芯線に対して樹脂被覆が押出成型された構成とされている。このため、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24に対しては特段の防水構造を施さなくてもよい。このため、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24を収容するプロテクタ本体部32に対しては防水構造を省略し、或は、簡易化することができる。例えば、第1プロテクタ本体部40と第2プロテクタ本体部50との合せ目に、パッキング等を利用した高価な防水構造を組込まなくてもよい。また、ワイヤーハーネス導入口47a、47bにおいて、ワイヤーハーネス導入口47a、47bとワイヤーハーネス20との間に特別な防水構造を組込まなくてもよい。このため、プロテクタ30全体として視ると、防水構造を簡素化することができ、なるべく低コストでコネクタ26に対する防水を図れるようにすることができる。
【0064】
また、非防水構造のコネクタ26を用いることで、当該コネクタ26の小型化ひいてはプロテクタ30の小型化も可能となる。
【0065】
また、上記プロテクタ本体部32には、コネクタ収容部60の開口62に対向する底部43が設けられている。このため、プロテクタ30の下方からの被水も、当該底部43によって遮られ、コネクタ収容部60内への水の進入が抑制される。これにより、より確実にコネクタ26を防水することができる。
【0066】
しかも、コネクタ収容部60の開口62と底部43とは間隔をあけて対向している。このため、仮に底部43に水が浸入し、底部43に幾分かの水が溜ったとしても、その水はコネクタ収容部60内には進入しがたい。これにより、コネクタ26をより確実に防水することができる。
【0067】
また、底部43には、水抜き孔43hが形成されているため、底部43に水が溜った場合には、水抜き孔43hを通って外部に排水することができる。
【0068】
また、第2コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24bは、主収容空間34からコネクタ収容部60の開口62に至る途中で、開口62よりも下方を通る経路を経て、前記開口62に導かれている。このため、水がコネクタ接続ワイヤーハーネス部分24を伝ってプロテクタ本体部32内に進入したとしても、当該水が、第2コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24bの最も下方に位置する部分に達すると、そこから上方のコネクタ26側へ伝わり難い。このため、コネクタ接続ワイヤーハーネス部分24を伝った水がコネクタ26に達することが抑制され、この点からも、コネクタ26をより確実に防水することができる。
【0069】
また、コネクタ収容部60の開口62の受側嵌合縁部63と、第1プロテクタ本体部40の側壁部44の上端部及び第2プロテクタ本体部50の嵌合縁部57との突き合せ部分では、凸部45a、凸部57aが、溝部63aに嵌り込み、段差面45a1、45a2、45b3、段差面57a1、57a2、57b3と、段差面63a1,63a2,63a3とが、コネクタ収容部60の内外方向において上下位置を変えて当接している。すなわち、コネクタ収容部60の開口62の少なくとも一部とプロテクタ本体部32とが、コネクタ収容部60の内外方向において上下位置を変えた段差を介して突合っている。このため、コネクタ収容部60の開口62とプロテクタ本体部32との境界に水が被さったとしても、それらの境界を通って水が浸入し難い。このため、コネクタ収容部60の開口62に向けた水の浸入が抑制され、コネクタ26をより確実に防水することができる。
【0070】
図10は水抜き孔100の変形例を示す説明図である。
図10では、底部43に外方に向かう筒状の水抜き筒部102が一体形成されている。水抜き筒部102は、円筒状であっても角筒状であってもよく、ここでは、角筒状に形成されている例で説明する。
【0071】
水抜き筒部102の一側部103は、これに対向する他側部104よりも大きく突出している。また、他側部104の先端部から一側部103に向けて部分仕切壁部104wが突設されている。部分仕切壁部104wは、一側部103には達せず、従って、部分仕切壁部104wの先端部と一側部103との間には隙間が設けられている。また、一側部103の先端部から他側部104に向けて部分仕切壁部103wが突設されている。部分仕切壁部103wは、水抜き筒部102をその軸方向に沿って視た場合において、上記部分仕切壁部104wに部分的に重複している。そして、水抜き筒部102をその開口側の各種方向から観察すると、視線が部分仕切壁部103w及び部分仕切壁部104wの少なくとも一方によって遮られ、底部43の内側を観察できないようになっている。この構成では、水抜き孔100は、筒部102内において部分仕切壁部103w、104w間を通るジグザグな通路形状に形成されている。なお、筒部102内に進入した水は、重力に従って、ジグザグな通路である水抜き孔100を通って容易に外方に排出される。
【0072】
なお、上記実施形態では、1つのコネクタ26がコネクタ収容部60に収容される例で説明したが、複数のコネクタがコネクタ収容部に収容されてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、コネクタ収容部60の開口62が、重力方向に対して垂直な水平面に沿って配設される例で説明したが、当該水平面に対して斜めになっていてもよい。
【0074】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。