特許第5929869号(P5929869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929869
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス用のプロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20160526BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160526BHJP
   F16L 57/00 20060101ALN20160526BHJP
【FI】
   H02G3/04
   B60R16/02 623V
   !F16L57/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-214801(P2013-214801)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-80293(P2015-80293A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 仁
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−176468(JP,A)
【文献】 米国特許第6126123(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスの電線群を挿通させて保護するワイヤーハーネス用のプロテクタであって、
前記電線群を収納する溝状の凹部を有するプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の開放端側を開閉可能に装着された蓋部材と、を備え、
前記プロテクタ本体と前記蓋部材とが、前記蓋部材の閉蓋時に互いに係合して前記蓋部材の閉蓋状態を保持する複数のロック部を有しており、
前記複数のロック部が、前記溝状の凹部の軸線方向における特定長さ領域にわたって前記プロテクタ本体と前記蓋部材とをロックする第1のロック部と、前記溝状の凹部の特定幅領域にわたって前記プロテクタ本体と前記蓋部材とをロックする第2のロック部と、によって構成され、
前記蓋部材の閉蓋状態で、前記第1のロック部と前記第2のロック部との間に前記電線群の分岐または支持にかかる他機能形状部が設定されていることを特徴とするワイヤーハーネス用のプロテクタ。
【請求項2】
前記第1のロック部が、先端側に鉤状の係止爪を有する第1の係止凸部と、該第1の係止凸部の係止爪が係止される第1の係止凹部と、によって構成されるとともに、
前記第2のロック部が、先端側に鉤状の係止爪を有する第2の係止凸部と、該第2の係止凸部の係止爪が係止される第2の係止凹部と、によって構成されており、
前記第1の係止凹部に対する前記第1の係止凸部の係止爪の係止方向と前記第2の係止凹部に対する前記第2の係止凸部の係止爪の係止方向とが、互いに略直交していることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス用のプロテクタ。
【請求項3】
前記第2の係止凹部には、前記第2のロック部の強度を確保する補強部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のワイヤーハーネス用のプロテクタ。
【請求項4】
前記第2の係止凹部には、その下方部に開口部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のワイヤーハーネス用のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌のパネルなどにワイヤーハーネスを配索する際に、該ワイヤーハーネスの電線群を保護するために取り付けられるワイヤーハーネス用のプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤーハーネスを車輌のパネルに配索する場合、該ワイヤーハーネスには、電線群の保護や経路規制のために、プラスチック外装部品である成形プロテクタが外装されるようになっている。一般に、成形プロテクタは、ワイヤーハーネスを収納するプロテクタ本体と、プロテクタ本体にロック結合される蓋と、を有している。
【0003】
図7に示すように、このような成形プロテクタとしては、プロテクタ本体11と蓋12とのロック部26を、対向する両側位置に設定できない場合におけるロック結合作業を容易に可能としたプロテクタ10が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−86171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のプロテクタ10は、先端17aから車体固定部27の一端側までの距離が短くなることに起因して、その一端側にロック部26を形成できない場合にも、蓋12のプロテクタ本体11に対する結合作業を容易に可能とするものではあるものの、一端側において蓋12を確実にロックさせるのが困難であった。
【0006】
すなわち、上記した従来のプロテクタ10は、ロック部26に代わる、突出片28と、この突出片28の下端を当接する幅狭なL形状のストッパー部29と、を一端側に設けた構造であったため、プロテクタ本体11と蓋12とを確実にロックできないという問題があった。
【0007】
このようなプロテクタ10においては、電線群を保護するために、プロテクタ本体11と蓋12とを確実にロックできることが望ましいが、確実にロックできるようにするには、プロテクタ10の対向する両側位置にロック部26を設けなければならない。
【0008】
ロック部26は、ロック爪26aをロック爪係止枠部26bに押し込む際に多少の撓みが必要なので、ロック部26としては所定の幅を設けて形成しなければならない。そのため、ロック部26を設けるには、保護すべき電線群の軸線方向の長さ以上にプロテクタ本体11を長くする必要がある。
【0009】
ところが、従来のプロテクタ10は、先端17aの近傍に車体固定部27を設ける場合や、先端17aから車体固定部27までの距離を短くしなければならない場合、プロテクタ本体11を無駄に長くできない。そのため、従来は、プロテクタ本体11と蓋12とを確実にロックできるようにするのが難しいという問題があった。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、プロテクタ本体の軸線方向の長さを短縮化できるとともに、プロテクタ本体と蓋とを確実にロックできるようにすることが可能なワイヤーハーネス用のプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタは、ワイヤーハーネスの電線群を挿通させて保護するものであって、前記電線群を収納する溝状の凹部を有するプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体の開放端側を開閉可能に装着された蓋部材と、を備え、前記プロテクタ本体と前記蓋部材とが、前記蓋部材の閉蓋時に互いに係合して前記蓋部材の閉蓋状態を保持する複数のロック部を有しており、前記複数のロック部が、前記溝状の凹部の軸線方向における特定長さ領域にわたって前記プロテクタ本体と前記蓋部材とをロックする第1のロック部と、前記溝状の凹部の特定幅領域にわたって前記プロテクタ本体と前記蓋部材とをロックする第2のロック部と、によって構成され、前記蓋部材の閉蓋状態で、前記第1のロック部と前記第2のロック部との間に前記電線群の分岐または支持にかかる他機能形状部が設定されている構成を有する。
【0012】
この構成により、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタは、電線群を収納する溝状の凹部の特定幅領域において、プロテクタ本体と蓋部材とを第2のロック部によってロックできるようになる。したがって、他機能形状部が設定されている場合にも、プロテクタ本体と蓋部材との閉蓋状態を確実に保持しつつ、プロテクタ本体の軸線方向の長さを十分に短縮化できる。
【0013】
なお、上記の他機能形状部とは、電線群の一部を分岐するための分岐出口部または電線群を車体に支持するための車体固定部を含んでいる。
【0014】
また、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタにおいては、前記第1のロック部が、先端側に鉤状の係止爪を有する第1の係止凸部と、該第1の係止凸部の係止爪が係止される第1の係止凹部と、によって構成されるとともに、前記第2のロック部が、先端側に鉤状の係止爪を有する第2の係止凸部と、該第2の係止凸部の係止爪が係止される第2の係止凹部と、によって構成されており、前記第1の係止凹部に対する前記第1の係止凸部の係止爪の係止方向と前記第2の係止凹部に対する前記第2の係止凸部の係止爪の係止方向とが、互いに略直交している構成とされている。
【0015】
この構成により、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタは、電線群を収納する溝状の凹部の軸線方向において、プロテクタ本体と蓋部材とをロック結合する第2のロック部の長さを、第2の係止凸部および第2の係止凹部の厚さと同程度に短縮化することができる。このため、プロテクタ本体と蓋部材とを確実にロックできるとともに、他機能形状部をプロテクタ本体の端部の近傍に配置できる。
【0016】
また、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタにおいて、前記第2の係止凹部には、前記第2のロック部の強度を確保する補強部材が設けられている構成を有する。
【0017】
この構成により、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタは、閉蓋時などに加えられる負荷に対する第2のロック部の強度を高めることができる。
【0018】
また、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタにおいて、前記第2の係止凹部には、その下方部に開口部が形成されている構成を有する。
【0019】
この構成により、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタは、該開口部によってプロテクタ本体110の一方の端部110aにおける開口面積をより拡大できるため、プロテクタ本体110に挿通するワイヤーハーネスWの電線群の量が増加した場合にも容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プロテクタ本体の軸線方向の長さを短縮化できるとともに、プロテクタ本体と蓋とを確実にロックできるようにすることが可能なワイヤーハーネス用のプロテクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかるプロテクタの外観斜視図である。
図2図1に示したプロテクタの一部を切り欠いて示す要部の拡大図である。
図3】本発明の第2の実施の形態にかかるプロテクタの要部を示す斜視図である。
図4図3に示したプロテクタの一部を切り欠いて示す要部の拡大図である。
図5】本発明の第3の実施の形態にかかるプロテクタの要部を示す斜視図である。
図6図5に示したプロテクタの一部を切り欠いて示す要部の拡大図である。
図7】従来のプロテクタを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明にかかる実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各実施の形態においては、本発明を、いずれも自動車などの車輌のパネルに配索されるワイヤーハーネス用のプロテクタに適用した場合について説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるプロテクタ100を示すものである。
【0024】
プロテクタ100は、ワイヤーハーネスWの電線群を挿通する上面開口のプロテクタ本体110と、該プロテクタ本体110の上面開口に被せてロック結合する蓋120と、を備えている。プロテクタ本体110は、その長さ方向に沿って、ワイヤーハーネスWの電線群を収納するための溝状の凹部を有している。このプロテクタ本体110に対し、蓋120は、プロテクタ本体110の開放端x側を開閉可能に装着されている。
【0025】
なお、本実施の形態において、蓋120は、本発明にかかる蓋部材を構成している。また、上記において、長さ方向とは、プロテクタ本体110における溝状の凹部の軸線方向に対応している。
【0026】
プロテクタ100は、プラスチック外装部品、例えば、樹脂成形品としての成形プロテクタであって、車輌のパネルなどにワイヤーハーネスWを配索する際に、該ワイヤーハーネスWの電線群の保護や経路規制のために取り付けられる。
【0027】
ワイヤーハーネスWは、例えば、プロテクタ100の後述する電線挿通部115の前後の領域にコルゲートチューブTが外装され、プロテクタ100の電線挿通部115にはコルゲートチューブTを外装せずに電線群のみが挿通されている。
【0028】
なお、プロテクタ100に挿通する領域のワイヤーハーネスWにも連続してコルゲートチューブTを外装してもよいし、コルゲートチューブTの外装は省略することもできる。
【0029】
コルゲートチューブTには、図示していない円環状の谷部と山部とが軸線方向に対して交互に設けられており、屈曲性が付与されている。
【0030】
本実施の形態において、ワイヤーハーネスWには、分岐枝線としての分岐部Waが設けられている。この分岐部Waは、ワイヤーハーネスWの電線群の一部を分岐させて、軸線方向とは別の方向、例えば直交方向に引き出すためのものである。
【0031】
プロテクタ本体110は、底壁113と両側壁114a,114bとを備えた樋形状よりなる電線挿通部115と、該電線挿通部115の軸線方向における一方の端部110aおよび他方の端部110bに連続して形成された平板形状のチューブ固定部116a,116bと、を備えている。これらチューブ固定部116a,116bの内周面には、コルゲートチューブTの谷部と嵌合する複数のリブを突設してもよい。
【0032】
また、プロテクタ本体110は、軸線方向と直交する方向に分岐部Waを引き出すために、その一方の端部110aに近接する一方の側壁114aに開口された分岐出口部117、および、分岐出口部117に対応する部位の電線挿通部115に連続して形成された平板形状の分岐固定部118、を備えている。なお、分岐出口部117は、本発明にかかる電線群を分岐するための他機能形状部を構成している。
【0033】
また、分岐部Waにおいて、プロテクタ100より引き出す領域にコルゲートチューブTを外装するようにした場合には、分岐固定部118の内周面に、コルゲートチューブTの谷部と嵌合する複数のリブを突設してもよい。
【0034】
チューブ固定部116a,116bには、テープ119によってワイヤーハーネスWが固定され、分岐固定部118には、テープ119によって分岐部Waが固定されている。
【0035】
蓋120は、プロテクタ本体110の電線挿通部115の形状に対応させて、略平板形状を有して形成されている。
【0036】
蓋120およびプロテクタ本体110には、その開放端x側に、該蓋120の閉蓋時に互いに係合し、該蓋120の閉蓋状態を保持するための第1のロック部130と第2のロック部140とが配設されている。
【0037】
分岐出口部117は、蓋120の閉蓋状態において、第1のロック部130と第2のロック部140との間に設定されている。
【0038】
ここで、第1のロック部130は、プロテクタ本体110の軸線方向に一定の間隔をあけて複数個、例えば3個配設され、軸線方向における特定長さ領域にわたってプロテクタ本体110と蓋120とをロックする。前記の特定長さ領域とは、第1のロック部130の軸線方向に対する所定の幅を指す。
【0039】
第1のロック部130は、蓋120の開放端x側の先端外面に突設され、先端側に鉤状の係止爪を有するロック爪130aと、プロテクタ本体110の開放端x側の側壁114aの上端外面に突設され、該ロック爪130aの係止爪が係止されるロック爪係止枠部130bと、によって構成されている。なお、ロック爪130aは、本発明にかかる第1の係止凸部を構成し、ロック爪係止枠部130bは、本発明にかかる第1の係止凹部を構成する。
【0040】
一方、第2のロック部140は、プロテクタ本体110の軸線方向における一方の端部110aに、プロテクタ本体110の幅方向に少なくとも1つ配設されて、軸線方向に対する特定幅領域にわたってプロテクタ本体110と蓋120とをロックする。前記の特定幅領域とは、第2のロック部140の軸線方向と直交する方向に対する所定の幅を指す。
【0041】
第2のロック部140は、蓋120の開放端x側の端部外面に突設され、先端側に鉤状の係止爪を有するロック爪140aと、プロテクタ本体110の開放端x側の端部外面に突設され、該ロック爪140aの係止爪が係止されるロック爪係止枠部140bと、によって構成されている。なお、ロック爪140aは、本発明にかかる第2の係止凸部を構成し、ロック爪係止枠部140bは、本発明にかかる第2の係止凹部を構成している。
【0042】
本実施の形態において、第2のロック部140は、その配設の方向が、第1のロック部130に対して90°程回転されている。具体的には、ロック爪係止枠部130bに対するロック爪130aの係止爪の係止方向と、ロック爪係止枠部140bに対するロック爪140aの係止爪の係止方向とが、互いに略直交するように構成されている。
【0043】
すなわち、第2のロック部140は、一方の端部110aにおいて、プロテクタ本体110の幅方向に沿って配設されている。これにより、第2のロック部140を配設するために必要な軸線方向の長さを小さく抑えることが可能となる。したがって、プロテクタ本体110の軸線方向における一方の端部110aの近傍に分岐部Waおよび分岐出口部117を設ける場合にも、プロテクタ本体110の一方の端部110aから分岐出口部117までの距離を短くすることが可能になるとともに、蓋120を確実にプロテクタ本体110にロックできる。
【0044】
図2は、図1に示したプロテクタ100の一部を切り欠いて示す要部の拡大図である。
【0045】
図2に示すように、プロテクタ本体110の軸線方向における一方の端部110aには、蓋120の開放端x側の端部外面121に下方向に向かって突設するように、先端側に鉤状の係止爪140cを有するロック爪140aが設けられている。
【0046】
これに対し、プロテクタ本体110の開放端x側の端部外面111には、軸線方向に突設するようにして、ロック爪係止枠部140bが設けられている。
【0047】
すなわち、第2のロック部140は、蓋120の閉蓋時に、ロック爪140aの係止爪140cがロック爪係止枠部140bに係止されるように構成されている。
【0048】
このような構成において、第2のロック部140は、その軸線方向の長さが、ロック爪140aの部材の厚さAとロック爪係止枠部140bの部材の厚さBとを合計した分の寸法と略等価となる。これによって、プロテクタ100は、プロテクタ本体110の軸線方向に対する第2のロック部140の長さを、従来よりも短縮できる。
【0049】
上記したように、本実施の形態にかかるプロテクタ100は、分岐出口部117を端部110aの近傍に配置した場合にも、その端部110aにおいて、プロテクタ本体110と蓋120とを確実にロックできるとともに、軸線方向の長さをより短縮できる。
【0050】
すなわち、プロテクタ100においては、第2のロック部140をプロテクタ本体110の幅方向に沿って配設したことにより、プロテクタ本体110の軸線方向における一方の端部110aから分岐出口部117までの距離を、蓋120の端部外面121の部材の厚さCまで短縮できる。しかも、該プロテクタ100は、上記したように、その距離を短縮化した場合にも、蓋120の閉蓋状態を十分に保持できる。
【0051】
したがって、プロテクタ100によれば、車輌におけるバッテリーなどのレイアウトによって、プロテクタ100の長さを短縮化する場合や、レイアウトの都合上、分岐出口部117を一方の端部110aの近傍に配設する場合にも、閉蓋時に蓋120が浮き上がるなどの不具合を解消できる。
【0052】
(第2の実施の形態)
図3および図4は、本発明の第2の実施の形態にかかるプロテクタ101を示すものである。なお、上述した第1の実施の形態にかかるプロテクタ100と同一部分には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0053】
図3に示すように、本実施の形態にかかるプロテクタ101は、第2のロック部140を構成するロック爪係止枠部140bにリブ141を設けたものであって、第2のロック部140の強度をより向上できるようにした場合の例である。
【0054】
すなわち、ロック爪係止枠部140bには、第2のロック部140の強度を確保するために、補強部材としてのリブ141が設けられている。
【0055】
図4に示すように、リブ141は、ロック爪係止枠部140bの一端を下方向に延在させてなり、かつ、チューブ固定部116aに達する長さを有して形成されている。これにより、プロテクタ101は、プロテクタ本体110の軸線方向における一方の端部110aから分岐出口部117までの距離を短縮化した場合にも、蓋120の閉蓋状態を十分に保持できるとともに、閉蓋時などに加えられる負荷に対する第2のロック部140の強度を高めることができる。
【0056】
ただし、本実施の形態にかかるプロテクタ101は、チューブ固定部116aにワイヤーハーネスWを固定する際に、リブ141の軸線方向の長さの分だけ逃がした状態でテープ119を巻き付ける必要がある。そのため、上述した第1の実施の形態に示したプロテクタ100に比べ、短縮化の妨げになるものの、その影響は極めて小さい。
【0057】
(第3の実施の形態)
図5および図6は、本発明の第3の実施の形態にかかるプロテクタ102を示すものである。なお、上述した第1の実施の形態にかかるプロテクタ100と同一部分には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0058】
図5に示すように、本実施の形態にかかるプロテクタ102は、第2のロック部140を構成するロック爪係止枠部140bの下方に開口部142を設けたものであって、プロテクタ本体110の一方の端部110aにおける開口面積をより拡大できるようにした場合の例である。
【0059】
図6に示すように、開口部142は、ロック爪係止枠部140bの下方部に位置し、プロテクタ本体110の一方の端部110aにおける開口に接続されている。これにより、プロテクタ102は、プロテクタ本体110の軸線方向における一方の端部110aから分岐出口部117までの距離を短縮化した場合にも、蓋120の閉蓋状態を十分に保持できるとともに、挿通するワイヤーハーネスWの電線群の量が増加した場合にも容易に対応することができる。
【0060】
以上のように、第1〜第3の実施の形態にかかるプロテクタ100,101,102は、いずれにおいても、ワイヤーハーネスWの電線群を収納するプロテクタ本体110の特定幅領域において、プロテクタ本体110と蓋120とを第2のロック部140によってロックできるようになる。
【0061】
すなわち、上記した各実施の形態においては、第2のロック部140を、第1のロック部130に対する角度が略90°となるように、プロテクタ本体110の軸線方向における一方の端部110aに、プロテクタ本体110の幅方向に沿って配設するようにしている。これにより、該端部110aにおいて、プロテクタ本体110と蓋120とを確実にロックできるようになる。したがって、該端部110aの近傍に分岐部Waおよびその分岐出口部117が設定されている場合にも、プロテクタ本体110と蓋120との閉蓋状態を保持しつつ、プロテクタ100の軸線方向の長さを十分に短縮化できる。
【0062】
なお、実施の形態としては、端部110aの近傍に分岐部Waおよび分岐出口部117を設ける場合に限らず、例えば、車輌におけるバッテリーなどの部品側のワイヤーハーネスWの位置を後退させる必要が生じた場合にも、同様に、プロテクタ本体110と蓋120との閉蓋状態を保持しつつ、プロテクタ100の軸線方向の長さを十分に短縮化できる。
【0063】
また、上記した各実施の形態においては、端部110aの近傍に分岐部Waおよび分岐出口部117を設ける場合について説明したが、これに限らず、例えばプロテクタ100,101,102を固定させるための車体固定部などを端部110aの近傍に配設する場合にも同様の効果が期待できる。
【0064】
この場合、車体固定部は、ボルトが挿入される穴を有しており、車輌のパネルに配索されるワイヤーハーネスの電線群を支持するための他機能形状部として機能するようになっている。
【0065】
また、上記した各実施の形態によらず、例えば、プロテクタ本体110と蓋120とを別体として備える構造のプロテクタであってもよい。
【0066】
さらに、上記した各実施の形態においては、車輌のパネルに配索されるワイヤーハーネス用のプロテクタを例に説明したが、これに限定されるものではない。
【0067】
以上説明したように、本発明にかかるワイヤーハーネス用のプロテクタは、軸線方向の長さを短縮化できるとともに、短縮化した場合にも蓋とプロテクタ本体とを確実にロックできるという効果を有し、電線群の保護や経路規制のためのワイヤーハーネス用のプロテクタ全般に有用である。
【符号の説明】
【0068】
100,101,102 プロテクタ
110 プロテクタ本体
110a 端部
117 分岐出口部(他機能形状部)
120 蓋(蓋部材)
130 第1のロック部
130a ロック爪(第1の係止凸部)
130b ロック爪係止枠部(第1の係止凹部)
140 第2のロック部
140a ロック爪(第2の係止凸部)
140b ロック爪係止枠部(第2の係止凹部)
141 リブ(補強部材)
142 開口部
W ワイヤーハーネス
Wa 分岐部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7