(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機感光体と、前記有機感光体の表面を帯電させる第1帯電手段と、当該有機感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記転写材にトナー像を転写した後に前記有機感光体の表面を帯電させる第2帯電手段と、前記有機感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備え、
前記有機感光体が請求項1または請求項2に記載の有機感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
〔有機感光体〕
本発明の感光体は、導電性支持体上に、電荷発生層および電荷輸送層よりなる有機感光層と、保護層とが順次積層された層構成を有するものである。また、本発明の感光体においては、導電性支持体と電荷発生層との間に中間層を有する構成とすることもできる。さらに、電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層の有機感光層としてもよい。
【0023】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物が有する電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光体など公知の有機感光体を含むものとする。
【0024】
〔保護層〕
本発明の感光体を構成する保護層は、有機感光層上に表面層として形成されるものである。この保護層は、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られる硬化樹脂成分と、
酸化錫と、特定の電荷輸送物質とが含有されてなるものであり、当該
酸化錫と当該特定の電荷輸送物質との混合比率(体積比)が関係式(1)および関係式(2)を満たす。
【0025】
以上のような保護層を有する本発明の感光体によれば、長期間の使用にわたっても、耐傷性を有し、転写メモリーの発生を抑制すると共に、ドットの再現性に優れた画像を形成することができる。このような効果が得られる理由を以下具体的に説明する。
従来、金属酸化物微粒子を含有する保護層は、保護層の電界強度が小さいものとなり、ホール移動時に拡散が生じるため、ドット再現性が低下していた。そして、電界強度が低下した保護層において電荷輸送物質の添加量を増量すると、ホールの拡散がさらに大きくなり、ドット再現性の低下が顕著となっていた。従って、要求される電界強度に応じた適正量の電荷輸送物質を添加する必要がある。また、電界強度は金属酸化物微粒子の添加量に依存し、増量すると電界強度が小さくなる傾向にある。すなわち、本発明において規定する関係式(1)および関係式(2)は、金属酸化物微粒子の適正量で決定される電界強度における電荷輸送物質の適正量を経験的に求めたものである。さらに、金属酸化物微粒子はフィラー効果により膜強度(耐傷性)を向上させる機能も有する。従って、本発明においては、金属酸化物微粒子
である酸化錫および特定の電荷輸送物質の体積比率の関係を規定することにより、長期間の使用にわたっても、耐傷性を有し、メモリー耐性およびドット再現性に優れたものとなる。
また、金属酸化物微粒子を含有する保護層は、放電生成物等の付着により表面抵抗が小さくなるため、転写メモリーの発生やドット再現性が低下しやすく、感光体表面を常にリフレッシュすることが必要となる。硬化樹脂成分よりなる保護層表面をリフレッシュするためには、適度な膜強度(耐摩耗性)を有する保護層を形成する必要があり、これにより減耗量を制御することができる。また、線速やトナー外添剤等が異なる場合であっても、精度よく減耗量を制御することで、高画質および長寿命が達成できる。そこで、本発明においては、重合性化合物の重合反応において、特定のラジカル捕捉剤を用いることにより、架橋反応を効率よく停止できるので、重合体の架橋密度(硬化膜の膜強度)を制御することができ、精度よく減耗量を調整することができるものとなる。
【0026】
(硬化樹脂成分)
保護層を構成する硬化樹脂成分は、特定のラジカル捕捉剤の存在下において、紫外線や電子線などの活性線の照射により、重合性化合物を重合させ、硬化されることにより得られるものである。重合性化合物としては、重合性官能基を2個以上有するモノマー(多官能重合性化合物)を用い、重合性官能基を1個有するモノマー(単官能重合性化合物)を併用することもできる。具体的には、重合性化合物としては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。
【0027】
重合性化合物としては、少ない光量あるいは短い時間での硬化が可能であることから、アクリロイル基(CH
2 =CHCO−)またはメタクリロイル基(CH
2 =CCH
3 CO−)を2個以上有するアクリル系モノマーまたはこれらのオリゴマーであることが特に好ましい。
【0028】
本発明においては、重合性化合物は単独で用いても、混合して用いてもよい。また、これらの重合性化合物は、モノマーを用いてもよいが、オリゴマー化して用いてもよい。
【0032】
ただし、上記の例示化合物(M1)〜(M14)を示す化学式において、Rはアクリロイル基(CH
2 =CHCO−)を示し、R’はメタクリロイル基(CH
2 =CCH
3 CO−)を示す。
【0033】
重合性化合物としては、重合性官能基を3個以上有するモノマーを用いることが好ましい。また、重合性化合物としては、2種以上の化合物を併用してもよいが、この場合においても、重合性官能基を3個以上有するモノマーを50質量%以上の割合で用いることが好ましい。
【0034】
上記の重合性化合物は、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合されるものである。この特定のラジカル捕捉剤は、架橋結合の封止剤として機能する。すなわち、特定のラジカル捕捉剤は、その添加割合等によって架橋密度(硬化膜の膜強度)を調整することができる。従って、本発明においては、硬化樹脂成分が、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られるものであることにより、保護層が適度な膜強度(耐摩耗性)を有するものとなり、ブレードなどのクリーニング手段によって感光体表面が適度に減耗されるものとなる。そのため、感光体表面に放電生成物などが付着しても、感光体表面が減耗されてリフレッシュされるので、メモリー耐性やドット再現性を維持することができる。
【0035】
特定のラジカル捕捉剤は、上記一般式(2)で表される化合物であり、上記一般式(2)中、R
5 およびR
6 は、各々、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R
7 は、水素原子またはメチル基を示す。R
5 およびR
6 は、捕捉したラジカルの安定性の観点から、tert−ブチル基、tert−ペンチル基であることが好ましい。また、R
7 は、メチル基であることが好ましい。
【0036】
(金属酸化物微粒子)
保護層を構成する金属酸化物微粒子としては、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ジルコニウム、酸化錫、チタニア(酸化チタン)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどを用いることができるが、なかでも、電気特性の観点から、酸化錫が好ましい。
【0037】
金属酸化物微粒子は、特に限定はなく、公知の製造方法で作製された粒子を用いることができる。
【0038】
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜40nmである。
【0039】
本発明において、金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」((株)ニレコ製)を使用して数平均一次粒径を算出した。
【0040】
金属酸化物微粒子は、反応性有機基を有する表面処理剤(以下、「反応性有機基含有表面処理剤」ともいう。)によって表面処理されたものであってもよい。具体的には、原料となる金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」ともいう。)が反応性有機基含有表面処理剤によって表面処理されることにより、未処理金属酸化物微粒子表面に反応性有機基が導入されたものである。
反応性有機基含有表面処理剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応するものが好ましく、このような反応性有機基含有表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、反応性有機基含有表面処理剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤が好ましい。ラジカル重合性反応基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。このようなラジカル重合性反応基は、本発明に係る重合性化合物とも反応して強固な保護層を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。
【0041】
以下、反応性有機基含有表面処理剤の具体例を以下に示す。
【0042】
S−1:CH
2 =CHSi(CH
3 )(OCH
3 )
2
S−2:CH
2 =CHSi(OCH
3 )
3
S−3:CH
2 =CHSiCl
3
S−4:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )(OCH
3 )
2
S−5:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(OCH
3 )
3
S−6:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(OC
2 H
5 )(OCH
3 )
2
S−7:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
3 Si(OCH
3 )
3
S−8:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )Cl
2
S−9:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 SiCl
3
S−10:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
3 Si(CH
3 )Cl
2
S−11:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
3 SiCl
3
S−12:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )(OCH
3 )
2
S−13:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
2 Si(OCH
3 )
3
S−14:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
3 Si(CH
3 )(OCH
3 )
2
S−15:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
3 Si(OCH
3 )
3
S−16:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )Cl
2
S−17:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
2 SiCl
3
S−18:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
3 Si(CH
3 )Cl
2
S−19:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
3 SiCl
3
S−20:CH
2 =CHSi(C
2 H
5 )(OCH
3 )
2
S−21:CH
2 =C(CH
3 )Si(OCH
3 )
3
S−22:CH
2 =C(CH
3 )Si(OC
2 H
5 )
3
S−23:CH
2 =CHSi(OCH
3 )
3
S−24:CH
2 =C(CH
3 )Si(CH
3 )(OCH
3 )
2
S−25:CH
2 =CHSi(CH
3 )Cl
2
S−26:CH
2 =CHCOOSi(OCH
3 )
3
S−27:CH
2 =CHCOOSi(OC
2 H
5 )
3
S−28:CH
2 =C(CH
3 )COOSi(OCH
3 )
3
S−29:CH
2 =C(CH
3 )COOSi(OC
2 H
5 )
3
S−30:CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
3 Si(OC
2 H
5 )
3
S−31:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )
2 (OCH
3 )
S−32:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )(OCOCH
3 )
2
S−33:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )(ONHCH
3 )
2
S−34:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(CH
3 )(OC
6 H
5 )
2
S−35:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(C
10H
21)(OCH
3 )
2
S−36:CH
2 =CHCOO(CH
2 )
2 Si(CH
2 C
6 H
5 )(OCH
3 )
2
【0043】
また、反応性有機基含有表面処理剤としては、上記例示化合物(S−1)〜(S−36)に示すもの以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。
【0044】
反応性有機基含有表面処理剤は1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
反応性有機基含有表面処理剤の使用量は、未処理金属酸化物微粒子100質量部に対して0.1〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは7〜70質量部である。
【0046】
反応性有機基含有表面処理剤の未処理金属酸化物微粒子に対する処理方法としては、例えば、未処理金属酸化物微粒子と反応性有機基含有表面処理剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式解砕する方法が挙げられる。この方法により、未処理金属酸化物微粒子の再凝集を防止すると同時に未処理金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化する。
【0047】
表面処理装置としては、例えば湿式メディア分散型装置が挙げられる。この湿式メディア分散型装置は、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、未処理金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、未処理金属酸化物微粒子に表面処理を行う際に未処理金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できる形式であれば限定されず、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、せん断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
【0048】
湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明においては0.1〜1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
【0049】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0050】
(電荷輸送物質)
保護層を構成する特定の電荷輸送物質は、上記一般式(1)で表わされる化合物である。
上記一般式(1)で表わされる化合物は、保護層中の電荷キャリアを輸送する電荷輸送性を有するものであり、短波長領域での吸収を示さず、かつ、分子量も450以下(好ましくは、320以上420以下)のものが多く、保護層の硬化樹脂成分の空隙に入り込むことが可能である。このため、保護層の耐傷性を低下させることなく、電荷輸送層からのスムーズな電荷キャリアの注入を可能とし、かつ、転写メモリーの発生を起こすことなく、保護層表面に電荷を輸送することができる。
【0051】
一般式(1)中、R
1 ,R
2 ,R
3 およびR
4 は、各々、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基を示し、k,lおよびnは1〜5の整数、mは1〜4の整数を示す。ただし、k,l,nまたはmが2以上である場合においては、複数存在するR
1 ,R
2 ,R
3 またはR
4 は、互いに同一のものであっても、異なるものであってもよい。
【0052】
炭素数1〜7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基などが挙げられる。このうち、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基がさらに好ましい。
【0053】
炭素数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−へキシルオキシ基、3−メチルペンタン−2−イルオキシ基、3−メチルペンタン−3−イルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンタン−2−イルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブタン−2−イルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘキシルオキシ基、4−メチルヘキシルオキシ基、5−メチルヘキシルオキシ基、1−エチルペンチルオキシ基、1−(n−プロピル)ブチルオキシ基、1,1−ジメチルペンチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、1,1−ジエチルプロピルオキシ基、1,3,3−トリメチルブチルオキシ基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピルオキシ基などが挙げられる。このうち、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
【0054】
特に、R
1 、R
2 、R
3 およびR
4 の少なくとも1つに、プロピル基、ブチル基、ペンチル基を有することが好ましい。
【0055】
また、特に、R
1 およびR
2 が、それぞれ水素原子またはメチル基であることがより好ましい。また、R
3 が水素原子であり、R
4 が炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。また、k、l、mおよびnがそれぞれ1であることがより好ましい。
【0056】
以下、上記一般式(1)で表わされる化合物の具体例を示す。
【0062】
ただし、上記例示化合物(CTM−9)〜(CTM−11)を示す化学式において、Meはメチル基を示す。
【0063】
一般式(1)で表わされる化合物は、公知の合成方法、例えば、特開2006−143720号公報など開示されている方法で合成することができる。
【0064】
本発明においては、保護層中の
酸化錫の体積比率(体積%)をAとし、保護層中の特定の電荷輸送物質の体積比率(体積%)をBとしたとき、下記関係式(1)および関係式(2)を満たす。
関係式(1):80/A≦B≦160/A
関係式(2):12≦A≦25
保護層において、
酸化錫および特定の電荷輸送物質の体積比率が上記関係式を満たすことにより、長期間の使用にわたっても、耐傷性を有し、転写メモリーの発生が抑制され、ドット再現性に優れた画像を形成することができる。具体的には、
酸化錫の体積比率Aが12体積%以上25体積%以下の範囲において、特定の電荷輸送物質の体積比率Bが80/A体積%以上であることにより、保護層の耐傷性を有しながら、転写メモリーの発生を抑制し、ドットの再現性を得ることができる。また、
酸化錫の体積比率Aが12体積%以上25体積%以下の範囲において、特定の電荷輸送物質の体積比率Bが160/A体積%以下であることにより、特定の電荷輸送物質が可塑剤としての機能を発現せず保護層の耐傷性を保持しながら、ドットの再現性を得ることができる。
【0065】
本発明において、保護層中の
酸化錫の体積比率Aと、保護層中の特定の電荷輸送物質の体積比率Bとは、保護層の形成工程において、金属酸化物微粒子および電荷輸送物質の添加量(質量部)から換算することができる。例えば、有機物(電荷輸送物質など)の比重を1.1、金属酸化物微粒子として例えば酸化錫の比重を6.9、シリカの比重を2.2、酸化亜鉛の比重を5.6、アルミナの比重を4.0、酸化チタンの比重を4.0として換算することができる。
【0066】
保護層には、硬化樹脂成分、金属酸化物微粒子および特定の電荷輸送物質の他に他の成分が含有されていてもよく、例えば各種の酸化防止剤を含有させることができ、各種の滑剤粒子を加えることもできる。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、およびこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択することが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
【0067】
保護層の層厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜6μmである。
【0068】
以下、保護層以外の感光体の構成を記載する。
【0069】
〔導電性支持体〕
本発明の感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
【0070】
〔中間層〕
本発明の感光体においては、導電性支持体と有機感光層の間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けるのが好ましい。
【0071】
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)および必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
【0072】
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらのなかでもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
【0073】
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの各種金属酸化物粒子を用いることができる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
このような金属酸化物粒子の数一次平均粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
【0074】
これら金属酸化物粒子は1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。
【0075】
導電性粒子または金属酸化物粒子の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜350質量部である。
【0076】
中間層の層厚は、0.1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。
【0077】
〔電荷発生層〕
本発明の感光体を構成する有機感光層における電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
【0078】
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。これらの電荷発生物質は1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0079】
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
【0080】
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。
【0081】
電荷発生層の層厚は、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合などにより異なるが、0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmである。
【0082】
〔電荷輸送層〕
本発明の感光体を構成する有機感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
【0083】
電荷輸送層の電荷輸送物質としては、電荷(正孔)を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。
【0084】
保護層の下層に形成される電荷輸送層には、移動度が高く、分子量が大きい電荷輸送物質を含有させることが好ましく、このような電荷輸送物質としては、上記一般式(1)で表わされる化合物とは異なるものが好ましく用いられる。
【0085】
電荷輸送層用バインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらにはBPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA−ジメチルBPA共重合体型のポリカーボネート樹脂などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
【0086】
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜250質量部である。
【0087】
電荷輸送層の層厚は、電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性および含有割合などによって異なるが、5〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。
【0088】
電荷輸送層中には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどを添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号公報、電子導電剤は特開昭50−137543号公報、同58−76483号公報などに開示されているものが好ましい。
【0089】
〔有機感光体の製造方法〕
本発明の感光体の製造方法は、具体的には、下記工程を有する。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程。
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、保護層形成用の塗布液を塗布し、重合し、硬化させることにより保護層を形成する工程。
【0090】
〔工程(1):中間層の形成〕
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0091】
中間層の形成工程において使用する溶媒としては、導電性微粒子や金属酸化物微粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂、特にポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数1〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0092】
中間層形成用塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
【0093】
導電性粒子や金属酸化物粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
〔工程(2):電荷発生層の形成〕
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0095】
電荷発生層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
電荷発生物質の分散手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
〔工程(3):電荷輸送層の形成〕
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0098】
電荷輸送層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
〔工程(4):保護層の形成〕
保護層は、重合性化合物、特定のラジカル捕捉剤、
酸化錫、特定の電荷輸送物質、重合開始剤および必要に応じて他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物成分を重合させ、硬化されることにより保護層を形成することができる。
【0100】
保護層形成用塗布液においては、特定のラジカル捕捉剤は、硬化樹脂成分を形成するための全モノマー(重合性化合物)100質量部に対して1〜30質量部の割合で添加されることが好ましく、より好ましくは3〜20質量部である。
特定のラジカル捕捉剤の添加割合が、上記範囲内であることにより、形成される保護層が適度な膜強度を有するものとなり、ブレードなどのクリーニング手段によって感光体表面が適度に減耗されるものとなる。
【0101】
表面層形成用塗布液中に金属酸化物微粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
保護層の形成に用いられる溶媒としては、重合性化合物、金属酸化物微粒子、および特定の電荷輸送物質を溶解または分散させることができればいずれのものも使用でき、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
保護層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
【0104】
保護層形成用塗布液は、円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布することが好ましい。
以下、円形スライドホッパー塗布装置を用いて保護層形成用塗布液を塗布する方法について具体的に説明する。
【0105】
図1に示すように、円形スライドホッパー塗布装置は、円筒状の基材251と、その周囲を取り囲むように設けられた環状の塗布ヘッド260と、塗布液Lを貯留する貯留タンク254とから構成される。
【0106】
ここでいう基材251は、保護層形成用塗布液が塗布されるべき基材であり、例えば導電性支持体上に中間層および有機感光層が形成された状態のもの(保護層が形成されていないもの)である。
【0107】
塗布ヘッド260には、基材251側に開口する塗布液流出口261を有する幅狭の塗布液分配スリット262が基材251の長手方向に垂直な方向に沿って環状の塗布ヘッド260の全周にわたって形成されている。この塗布液分配スリット262は、環状の塗布液分配室263に連通し、この塗布液分配室263は、貯留タンク254内の塗布液Lが圧送ポンプ255により供給管264を介して供給されるよう形成されている。
塗布液分配スリット262の塗布液流出口261の下側には、連続して下方に傾斜し基材251の外寸よりやや大なる寸法で終端をなすように形成されたスライド面265が形成されており、さらに、このスライド面265終端より下方に延びる唇状部(ビード;液溜まり部)266が形成されている。
【0108】
このような円形スライドホッパー塗布装置においては、基材251を矢印方向に移動させる過程で、塗布液Lを塗布液分配スリット262から押し出し、スライド面265に沿って流下させると、スライド面265終端に至った塗布液Lは、そのスライド面265終端と、基材251の外周面との間にビードを形成した後、基材251表面に塗布されて塗布膜Fが形成され、過剰な塗布液Lは排出口267から排出される。
【0109】
このような円形スライドホッパー塗布装置を用いる塗布方法では、スライド面終端と基材は、ある間隙(約2μm〜2mm)を持って配置されているため基材を傷つけることなく、また性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。さらに性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬コーティング方法と比べて溶媒中に存在する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へ殆ど溶出せず、塗布槽にも溶出することなく塗布できるので、例えば金属酸化物微粒子の分散性を劣化させずに塗布することができる。
【0110】
塗膜は、乾燥しないで硬化処理を行ってもよいが、自然乾燥または熱乾燥を行った後、硬化処理を行うことが好ましい。
【0111】
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などのよって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温〜180℃であり、特に好ましくは80〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは1分間〜200分間であり、特に好ましくは5分間〜100分間である。
【0112】
重合性化合物を反応させる方法としては、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤を添加して、光、熱で反応する方法などが挙げられる。ラジカル重合開始剤は光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光重合開始剤および熱重合開始剤を併用することもできる。
【0113】
ラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、中でも、アルキルフェノン系化合物、またはフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。特に、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、または、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましい。
【0114】
以下、光重合開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例を示す。
【0116】
重合開始剤は1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0117】
重合開始剤の添加割合は、硬化樹脂成分を形成するための全モノマー(重合性化合物)100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。
【0118】
硬化樹脂成分は、硬化処理として塗膜に活性線を照射し、ラジカルを発生させて重合し、かつ分子間および分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化することにより、生成される。活性線としては紫外線や電子線がより好ましく、紫外線が使用しやすく特に好ましい。
【0119】
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンなどを用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm
2 、好ましくは5〜100mJ/cm
2 である。
ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
【0120】
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量は、0.5〜10Mradであることが好ましい。
【0121】
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
【0122】
保護層の形成の工程においては、活性線を照射する前後、および活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
【0123】
以上のような感光体によれば、保護層が、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られる硬化樹脂成分と、
酸化錫と、特定の電荷輸送物質とを含有し、当該
酸化錫と当該特定の電荷輸送物質との混合比率(体積比)が関係式(1)および関係式(2)を満たすことにより、長期間の使用にわたっても、耐傷性を有し、転写メモリーの発生を抑制すると共に、ドットの再現性に優れた画像を形成することができる。
【0124】
〔画像形成装置〕
本発明の画像形成装置は、有機感光体と、有機感光体の表面を帯電させる第1帯電手段と、当該有機感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材にトナー像を転写した後に有機感光体の表面を帯電させる第2帯電手段と、有機感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備え、有機感光体として本発明の有機感光体が用いられてなるものである。
【0125】
図3は、本発明の画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21および定着手段24とからなる。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0126】
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、第2帯電手段9Yおよびクリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、第2帯電手段9Mおよびクリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、第2帯電手段9Cおよびクリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、第2帯電手段9Bkおよびクリーニング手段6Bkを有する。本発明の画像形成装置は、感光体1Y、1M、1C、1Bkとして、上記の本発明の感光体を用いる。
【0127】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0128】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラ5Y、第2帯電手段9Yおよびクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、第1帯電手段2Y、現像手段4Y、第2帯電手段9Yおよびクリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
【0129】
第1帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、コロナ放電型の帯電器が用いられている。
【0130】
露光手段3Yは、第1帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいは、レーザー光学系などが用いられる。
【0131】
現像手段4Yは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブおよび感光体とこの現像スリーブとの間に直流および/または交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
【0132】
一次転写ローラ5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段である。一次転写ローラ5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
【0133】
第2帯電手段9Yは、中間転写体70にトナー像を転写した後に感光体1Yの表面を帯電(除電)させる除電手段である。本実施の形態においては、コロナ放電型の帯電器が用いられている。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の有機感光体を備えることに加え、除電手段が設けられていることにより、転写メモリーの発生を確実に抑制することができる。
【0134】
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
【0135】
具体的には、
図4に示すように、クリーニング手段6は、先端が感光体1表面に当接するよう設けられたクリーニングブレード66Aと、このクリーニングブレードより上流側に設けられた、感光体1表面に接触するブラシローラー66Cとにより構成される。
【0136】
クリーニングブレード66Aは、感光体1に付着した残留トナーを除去する機能と共に、感光体1表面を減耗する機能を有する。
【0137】
クリーニングブレード66Aは、支持部材66Bによって支持されている。クリーニングブレード66Aの材質としては、ゴム弾性体が用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴムなどが知られているが、これらのうち、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。
【0138】
支持部材66Bは、板状の金属部材やプラスチック部材により構成されている。金属部材としては、ステンレス鋼板、アルミ板、制震鋼板等が挙げられる。
【0139】
本発明において、感光体1表面に当接するクリーニングブレード66Aの先端部は、感光体1の回転方向と反対方向(カウンター方向)に向けて負荷をかけた状態で当接することが好ましい。
図4に示すように、クリーニングブレード66Aの先端部は感光体1と当接するときに、当接面を形成することが好ましい。
【0140】
クリーニングブレード66Aの感光体1への当接荷重P、当接角θの好ましい値としては、P=5〜40N/m、θ=5〜35°である。
【0141】
当接荷重Pはクリーニングブレード66Aをドラム状の感光体1に当接させたときの当接力P′の法線方向ベクトル値である。
また、当接角θは感光体1の当接点Aにおける接線Xと変形前のブレードとのなす角を表す。
【0142】
66Eは支持部材66Bを回転可能にする回転軸であり、66Gは荷重バネである。
【0143】
自由長Lは、6〜15mmであることが好ましい。
クリーニングブレード66Aの自由長Lとは、
図4に示すように、支持部材66Bの端部Bの位置から変形前のクリーニングブレード66Aの先端点の長さをいう。
【0144】
クリーニングブレード66Aの厚さtは、0.5〜10mmであることが好ましい。
ここで、クリーニングブレード66Aの厚さtとは、
図4に示すように、支持部材66Bの接着面に対して垂直な方向の長さをいう。
【0145】
ブラシローラー66Cは、感光体1に付着した残留トナーの除去、クリーニングブレード66Aで除去された残留トナーの回収機能と共に、感光体1表面を減耗する機能を有する。すなわち、ブラシローラー66Cは、感光体1表面と接触し、その接触部においては、感光体1と進行方向が同方向に回転し、感光体1上の残留トナーや紙粉を除去すると共に、クリーニングブレード66Aで除去された残留トナーを搬送し、搬送スクリュー66Jに回収する。そして、感光体1表面を削り取り、リフレッシュさせる。
【0146】
ブラシローラー66Cに除去手段としてのフリッカ66Iを当接させることにより、感光体1からブラシローラー66Cに転移した残留トナーなどの除去物を除去することが好ましい。更にこのフリッカ66Iに付着したトナーをスクレーパ66Dで除去し、トナーを搬送スクリュー66Jに回収する。回収されたトナーは廃棄物として外部に取り出されるか、またはトナーリサイクル用のリサイクルパイプ(図示せず)を経由して現像器に搬送され再利用される。
【0147】
フリッカ66Iは、ステンレス、アルミニウムなどの金属管が好ましく用いられる。
スクレーパ66Dは、リン青銅板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板などの弾性板が用いられ、先端がフリッカ66Iの回転方向に対し鋭角を形成するカウンター方式で当接させることが好ましい。
【0148】
酸化防止剤の固形材料(酸化防止剤とステアリン酸亜鉛などとの固形剤量)66Kはブラシローラー66Cに荷重バネ66Sで押圧されて取り付けられており、ブラシローラー66Cは回転しながら、酸化防止剤の固形材料66Kを擦過して、感光体1表面に酸化防止剤を供給する。
【0149】
ブラシローラー66Cとしては、導電性または半導電性体のブラシローラーが用いられる。ブラシローラー66Cのブラシ構成素材は、任意のものを用いることができるが、疎水性で、かつ誘電率が高い繊維形成性高分子重合体を用いることが好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、レーヨン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル酸樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリビニルアセタール(例えばポリビニルブチラール)などが挙げられる。これらの樹脂は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。特に、好ましくはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレンである。
【0150】
ブラシローラー66Cは、導電性または反導電性のものを用いることもでき、構成素材にカーボンなどの低抵抗物質を含有させ、任意の比抵抗に調整したものを使用することができる。
【0151】
ブラシローラー66Cに用いるブラシ毛1本の太さは、5〜20デニールが好ましい。5デニール未満であると、十分な擦過力が無いため表面付着物を除去することができない。一方、20デニールより大きいと、ブラシが剛直になるため感光体1の表面を傷つける上に摩耗を進行させ、感光体1の寿命を低下させる。
「デニール」とは、ブラシローラー66Cを構成するブラシ毛(繊維)の長さ9000mの質量をg(グラム)単位で測定した数値である。
【0152】
ブラシローラー66Cのブラシ毛密度は、4.5×10
2 /cm
2 〜2.0×10
4 /cm
2 (1平方センチあたりのブラシ毛数)である。
ブラシ毛密度が4.5×10
2 /cm
2 未満であると、剛直度が低く擦過力が弱い上に、擦過にムラができ、付着物を均一に除去することができない。2.0×10
4 /cm
2 より大きいと、剛直になって擦過力が強くなるために感光体1を過度に摩耗させ、感度低下によるカブリや傷による黒スジなどの不良画像が発生する。
【0153】
ブラシローラー66Cの感光体1に対する食い込み量は0.4〜1.5mmに設定されることが好ましい。
この食い込み量は、感光体1ドラムとブラシローラー66Cの相対運動によって発生するブラシローラー66Cにかかる負荷を意味する。この負荷は、感光体1ドラムから見れば、ブラシローラー66Cから受ける擦過力に相当し、その範囲を規定することは、感光体1が適度な力で擦過されることが必要であることを意味する。
また、食い込み量とは、ブラシローラー66Cを感光体1に当接させたとき、ブラシ毛が感光体1表面で曲がらずに、直線的に内部に進入したと仮定した時の内部への食い込み長さをいう。
【0154】
ブラシローラー66Cに用いられるローラー部の芯材としては、主としてステンレス、アルミニウムなどの金属、紙、プラスチックなどが用いられるが、これらにより限定されるものではない。
【0155】
ブラシローラー66Cは、その当接部分が感光体1の表面と同方向に移動するように回転するのが好ましい。当接部分が逆方向に移動すると、感光体1の表面に過剰なトナーが存在した場合に、ブラシローラー66Cにより除去されたトナーがこぼれて記録紙や装置を汚す場合がある。
感光体1とブラシローラー66Cとが、同方向に移動する場合に、両者の表面速度比は1対1.1〜1対2の範囲内の値であることが好ましい。
【0156】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像手段、クリーニング手段などの構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。また、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、およびクリーニング手段の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0157】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラ71、72、73、74により巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状の中間転写体70を有する。無端ベルト状中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
【0158】
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラと、この加熱ローラに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラとにより構成されてなる熱ローラ定着方式のものが挙げられる。
【0159】
このように構成された画像形成装置は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkによりトナー像を形成する。具体的には、まず、第1帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に放電して負に帯電させる。次いで、露光手段3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。次いで、現像手段4Y、4M、4C、4Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する。
【0160】
次いで、一次転写ローラ(一次転写手段)5Y、5M、5C、5Bkを、回動する中間転写体70と当接させる。それにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写させて、カラー画像を転写する(一次転写する)。画像形成処理中、一次転写ローラ70Bkは、常時、感光体1Bkに当接する。一方、他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cは、カラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
【0161】
そして、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkと中間転写体70とを分離させた後、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を第2帯電手段9Y、9M、9C、9Bkによって除電する。その後、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkで除去する。そして、次の画像形成プロセスに備えて、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより負に帯電させる。
【0162】
一方、給紙カセット20内に収容された転写材P(例えば普通紙、透明シートなどの最終画像を担持する支持体)を、給紙手段21で給紙し、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て二次転写ローラ(二次転写手段)5bに搬送する。そして、二次転写ローラ5bを回動する中間転写体70と当接させて、転写材P上にカラー画像を一括して転写する(二次転写する)。二次転写ローラ5bは、転写材P上に二次転写を行うときのみ、中間転写体70と当接する。その後、カラー画像が一括転写された転写材Pを、中間転写体70の曲率が高い部位で分離する。
【0163】
このようにしてカラー画像が一括して転写された転写材Pを、定着手段24で定着処理した後、排紙ローラ25で挟持して装置外の排紙トレイ26上に載置する。また、カラー画像が一括転写された転写材Pを中間転写体70から分離した後、クリーニング手段6bで中間転写体70上の残存トナーを除去する。
【0164】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0165】
筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0166】
なお、
図3に示す画像形成装置では、カラーのレーザプリンタを示したが、モノクローのレーザプリンタやコピーにも同様に適用可能である。また、露光光源もレーザー以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
【0167】
上記のような画像形成装置によれば、耐傷性を有し、メモリー耐性やドット再現性に優れる感光体が備えられ、また、第2帯電手段(除電手段)が設けられていることにより、長期間の使用にわたっても、転写メモリーの発生を確実に抑制すると共に、ドットの再現性に優れた画像を形成することができる。
【0168】
〔トナー〕
本発明の画像形成装置において使用されるトナーとしては、特に限定されないが、結着樹脂および着色剤が含有されるトナー粒子よりなり、当該トナー粒子には、所望により離型剤などの他の成分が含有されていてもよい。
トナーを構成するトナー粒子は、高画質化を企図する観点からすれば、その体積平均粒径が2〜8μmであることが好ましい。
【0169】
上記のトナーを製造する方法としては、特に制約されないが、例えば、通常の粉砕法や、分散媒中で作成する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法などが挙げられる。
【0170】
また、トナー粒子には、外添剤として、平均粒径10〜300nm程度のシリカおよびチタニア等の無機微粒子、0.2〜3μm程度の研磨剤を適宜量、外部添加することができる。
【0171】
トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
【0172】
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置を用いて画像形成を行う。本発明の画像形成方法によれば、本発明の画像形成装置を用いて画像形成を行うことにより、長期間の使用にわたっても、転写メモリーの発生を確実に抑制すると共に、ドットの再現性に優れた画像を形成することができる。
【実施例】
【0173】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、下記中「部」とは「質量部」を示す。
【0174】
〔感光体の作製例1〕
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
【0175】
(中間層の形成)
(1)表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕の作製
数平均一次粒径が35nmのシリカ処理およびアルミナ処理済みのルチル型酸化チタン粒子「MT−500SA」(テイカ社製)500部と、メチルハイドロジェンポリシロキサン(MHPS)「KF−99」(信越化学工業社製)25部と、トルエン1500部とを混合撹拌した後、セラミックビーズミルによりミル滞留時間25分間で解砕処理を行い、得られたスラリーを撹拌しながら減圧下で徐々に昇温することにより溶媒を留去し、引き続き120℃で2時間保持してMHPSの焼き付けを行った。その後、粉砕と分級を行うことにより、表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕を得た。
【0176】
(2)表面処理済み金属酸化物粒子〔2〕の作製
数平均一次粒径が15nmのルチル型酸化チタン粒子「MT−150A」(テイカ社製)500部と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン粒子「KBM−503」(信越化学工業社製)60部と、トルエン2000部とを混合撹拌した後、セラミックビーズミルによりミル滞留時間40分間で解砕処理を行い、得られたスラリーを撹拌しながら減圧下で徐々に昇温することにより溶媒を留去し、引き続き120℃で2時間保持して「KBM−503」の焼き付けを行った。その後、粉砕と分級を行うことにより、表面処理済み金属酸化物粒子〔2〕を得た。
【0177】
(3)中間層の形成
バインダー樹脂として下記ポリアミド樹脂(N−1)100部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比60/20/20)の混合溶媒1700部に加えて撹拌混合して溶解させた。この溶液に、表面処理済み金属酸化物粒子〔1〕120部および表面処理済み金属酸化物粒子〔2〕160部添加し、セラミックビーズミルにより、ミル滞留時間3時間として分散させた。この溶液を一昼夜静置した後、濾過することにより、中間層形成用塗布液を調製した。濾過は、濾過フィルターとして、公称濾過精度が10μmのポリプロピレン製フィルター(ロキテクノ社製)を用い行った。得られた中間層形成用塗布液を、導電性支持体〔1〕を洗浄した後の外周に浸漬塗布法で塗布し、120℃で乾燥して、乾燥膜厚1.5μmの中間層〔1〕を形成した。
【0178】
【化11】
【0179】
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質:下記顔料(CG−1)20部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)10部、溶媒:酢酸t−ブチル700部、溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
【0180】
<顔料(CG−1)の合成>
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2部をo−ジクロロベンゼン200部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250部中で1時間撹拌して溶解し、これを20℃の水5000部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225部を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8部(収率86%)を得た。
【0181】
(2)(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン(CG−1)の合成
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトクロロベンゼン(ODB)200部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3部を得た。顔料(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm
-1付近のTi=O、630cm
-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
得られた顔料(CG−1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m
2 /gであった。
【0182】
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送物質:下記化合物A225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600部、溶媒:トルエン400部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
【0183】
【化12】
【0184】
(保護層の形成)
(1)金属酸化物微粒子の作製
未処理金属酸化物微粒子として下記酸化錫〔1〕を用い、表面処理剤として上記例示化合物(S−15)を用い、以下に示すように表面処理を行い、金属酸化物微粒子〔1〕を作製した。
酸化錫〔1〕は、CIKナノテック社製の数平均一次粒子径が20nmのものである。
【0185】
まず、酸化錫〔1〕100部、表面処理剤(例示化合物(S−15):CH
2 =C(CH
3 )COO(CH
2 )
3 Si(OCH
3 )
3 )30部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌することにより表面処理を行った。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって表面処理を終了し、表面処理済み酸化錫微粒子〔1〕を作製した。
【0186】
(2)保護層の形成
金属酸化物微粒子:酸化錫微粒子〔1〕110部、重合性化合物:上記例示化合物(M1)100部、電荷輸送物質:上記例示化合物(CTM−13)15部、重合開始剤:上記例示化合物(P2)5部、ラジカル捕捉剤:「スミライザーGS(一般式(2)においてR
5 がtert−ペンチル基、R
6 がtert−ペンチル基、R
7 がメチル基)」(住友化学工業社製)5部、溶媒:2−ブタノール320部、溶媒:テトラヒドロフラン80部を混合撹拌し、十分に溶解、分散し、保護層形成用塗布液〔3〕を調製した。この保護層形成用塗布液〔3〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚3.0μmの保護層を形成し、感光体〔1〕を作製した。
【0187】
〔感光体の作製例2〜15〕
感光体の作製例1における保護層の形成において、用いる重合性化合物、ラジカル捕捉剤、金属酸化物微粒子および電荷輸送物質の添加量を表1に従って変更したことの他は同様にして、感光体〔2〕〜〔15〕を作製した。
【0188】
【表1】
【0189】
以下、表2については、表1に示す各成分の添加量を体積部で示すものである。また、表2に、保護層中の金属酸化物微粒子の体積比率A(体積%)、および保護層中の電荷輸送物質の体積比率B(体積%)を示す。
なお、有機物の比重は1.1、金属酸化物微粒子(酸化錫)の比重は6.9で換算した。また、表2に示す値は、小数点以下を四捨五入している。
【0190】
【表2】
【0191】
〔実施例1〜5および比較例1〜10〕
評価機として、基本的に
図3に示す構成を有するコニカミノルタ社製「bizhub PRESS C8000」を用い、当該評価機に感光体〔1〕〜〔15〕をそれぞれ搭載して評価を行った。
画像比率6%の文字画像をA4横送りにおいて各300,000枚両面連続でプリントを行う耐久試験を実施した。耐久試験後に、感光体の画像特性の評価を行った。
【0192】
(1)耐傷性
耐久試験後に、温度10℃、湿度20%RHの環境下で、内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット上に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3サイズの「PODグロスコート紙(100g/m
2 )」(王子製紙社製)に濃度指示値100で印刷し、感光体表面傷によるハーフトーン画像上の白スジの発生状況を目視にて観察した。
−評価基準−
A:白スジ発生なし(OK)
B:軽微に白スジ発生(NG)
C:白スジ発生(NG)
【0193】
(2)転写メモリー
耐久試験後に、温度30℃、湿度80%RHの環境下で、感光体1回転目にベタ画像、感光体2回転目にハーフトーン画像が存在する画像をA3サイズの「PODグロスコート紙(100g/m
2 )」(王子製紙社製)に印刷し、2回転目のハーフトーン画像に1回転目のベタ画像パターンがメモリーとして現れるかを目視にて観察した。また、メモリーの評価は、「bizhub PRESS C8000」に搭載される第2帯電手段(除電手段)を作動させる場合と、作動させない場合とで行った。
−評価基準−
A:メモリー発生なし(OK)
B:軽微なメモリーが確認される(OK)
C:メモリーが確認される(NG)
D:はっきりしたメモリーが確認される(NG)
【0194】
(3)ドット再現性
耐久試験後に、温度30℃、湿度80%RHの環境下で、内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット上に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3サイズの「PODグロスコート紙(100g/m
2 )」(王子製紙社製)に濃度指示値100で印刷し、ドットの形成状態を目視にて拡大観察した。
−評価基準−
A:正常にドットが形成されている(OK)
B:ドットが細っている(NG)
C:ドットが形成されていない(NG)
【0195】
【表3】
【0196】
表3の結果より、本発明に係る実施例1〜5によれば、保護層が、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られる硬化樹脂成分と、
酸化錫と、特定の電荷輸送物質とを含有し、当該
酸化錫と特定の電荷輸送物質との混合比率(体積比)が関係式(1)および関係式(2)を満たすことにより、長期間の使用にわたっても、耐傷性を有し、転写メモリーの発生を抑制すると共に、ドットの再現性に優れた画像を形成することができることが確認された。また、除電手段を作動させた場合の方が、転写メモリーの発生をより確実に抑制できることが確認された。
一方、比較例1〜3では、
酸化錫の体積比率Aが過小である(関係式(2)を満たさない)ため、保護層に十分な耐傷性が得られないことが確認された。
比較例4では、
酸化錫の体積比率Aが過大である(関係式(2)を満たさない)ため、ドット再現性が低下することが確認された。これは、過剰な量の
酸化錫により保護層の電界強度が低下したからであると考えられる。また、電荷輸送物質の体積比率Bが過小である(関係式(1)を満たさない)ため、転写メモリーの発生を確実に抑制できないことが確認された。
比較例5では、電荷輸送物質の体積比率Bが過小である(関係式(1)を満たさない)ため、転写メモリーの発生を確実に抑制できず、ドット再現性が低下することが確認された。
比較例6および7では、電荷輸送物質の体積比率Bが過大である(関係式(1)を満たさない)ため、ドット再現性が低下し、耐傷性が十分に得られないことが確認された。なお、比較例6および7では、電荷輸送物質の体積比率Bが過大であるため、電荷輸送物質が可塑剤としての機能を発現してしまい、保護層の膜強度が十分に得られず、耐傷性が低下したものと考えられる。
比較例8では、ラジカル捕捉剤が添加されていないため、ドット再現性が低下したことが確認された。比較例8では、ラジカル捕捉剤が添加されていないため、保護層が過度に耐摩耗性を有するものとなり、クリーニング手段によって適度に減耗されず、放電生成物などの付着により、ドット再現性が低下したものと考えられる。
比較例9では、電荷輸送物質の体積比率Bが過小である(関係式(1)を満たさない)ため、転写メモリーの発生を確実に抑制できず、ドット再現性が低下することが確認された。
比較例10では、電荷輸送物質の体積比率Bが過大である(関係式(1)を満たさない)ため、ドット再現性が低下し、耐傷性が十分に得られないことが確認された。