(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したOOBプロビジョニングは、作業対象の無線デバイスに対してプロビジョニングデバイスを接続又は近接させた状態で行われる。このため、作業対象の無線デバイスが、防爆の必要がある場所(防爆エリア)に設置されている場合には、防爆の観点からプロビジョニングデバイスを無線デバイスに接続又は近接させることが難しいという問題があった。また、作業対象の無線デバイスが防爆の必要がない場所(非防爆エリア)に設置されている場合であっても、無線デバイスの設置場所によってはプロビジョニングデバイスを無線デバイスに接続又は近接させることが困難なことがある。例えば、無線デバイスが高所に設置されている場合である。このような場合には、プロビジョニングの作業性が著しく低下してしまうという問題があった。
【0008】
また、上述したOOBプロビジョニングを行う場合には、プロビジョニングデバイスを用いて無線デバイスに設定した情報を、無線通信システムの管理装置にも設定する必要がある。プロビジョニングは、現場の作業員によって行われる作業であるが、管理装置に対する情報設定は、作業者とは異なる人間(例えば、プラントの運転員)によって行われる作業である。このため、無線デバイスに対するプロビジョニング作業が完了した場合には、現場の作業員がプラントの運転員に対して無線デバイスに設定した情報を引き渡す必要がある。しかしながら、現場の作業員とプラントの運転員との間の手違いによって、引き渡すべき情報が引き渡されず、混乱が生ずる可能性があるという問題があった。
【0009】
これに対し、上述したOTAプロビジョニングは、無線ネットワークを介した無線通信により行われるため、無線デバイスが防爆エリアに設置されているか否かに拘わらずプロビジョニングを行うことが可能である。しかしながら、OTAプロビジョニングを行う場合には、無線ネットワークで使用されている周波数帯と同じ周波数帯の無線信号を使用するため、無線ネットワークで行われている無線通信と干渉してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、無線ネットワークで行われている無線通信と干渉を生ずることなく、無線ネットワークに参加するために必要な情報の設定を容易に行うことが可能な無線中継装置、無線通信システム、及び情報設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1発明の無線中継装置は、第1無線ネットワーク(N1)を介するデータの中継を行う無線中継装置(12、13、RT)において、前記第1無線ネットワークを介するデータの中継を継続しながら、無線デバイス(11c)を前記第1無線ネットワークに参入させるために必要となる設定データを前記第1無線ネットワークとは異なる識別子が付された第2無線ネットワーク(NP)に中継する中継処理部(24)を備えることを特徴としている。
この発明によると、第1無線ネットワークを介するデータの中継が継続されつつ、無線デバイスを第1無線ネットワークに参入させるために必要となる設定データが第2無線ネットワークに中継される。
また、第2発明の無線中継装置は、第1発明の無線中継装置において、前記設定データの設定が行われた無線デバイスを前記第1無線ネットワークに通信可能に接続させるための情報を、第1広告(A1)として前記第1無線ネットワークに送信する第1広告送信部(25)と、前記設定データの設定を行う必要がある無線デバイスを前記第2無線ネットワークに通信可能に接続させるための情報を、第2広告(A2)として前記第2無線ネットワークに送信する第2広告送信部(26)とを備えることを特徴としている。
また、第3発明の無線中継装置は、第2発明の無線中継装置において、前記第2広告送信部が、前記第1無線ネットワークを介して送信されてくる制御信号に基づいて、前記第2広告を送信するか否かを切り替えることを特徴としている。
また、第4発明の無線中継装置は、第2又は第3発明の無線中継装置において、前記中継処理部が、前記第1広告に対する応答として、前記第1無線ネットワークへの参入要求を示すデータが前記第1無線ネットワークを介して送信されてきた場合には、該データを前記第1無線ネットワーク内で中継し、前記第2広告に対する応答として、前記第2無線ネットワークへの参入要求を示すデータが前記第2無線ネットワークを介して送信されてきた場合には、該データを前記第1無線ネットワークに中継することを特徴としている。
第1発明の無線通信システムは、第1無線ネットワーク(N1)を介した無線通信が可能な無線通信システム(1)において、前記第1無線ネットワークを介するデータの中継を行う上記第1から第4発明の何れかの無線中継装置(12、13、RT)と、前記第1無線ネットワーク及び前記第2無線ネットワークの管理を行う管理装置(14)とを備えることを特徴としている。
第2発明の無線通信システムは、第1無線ネットワーク(N1)を介した無線通信が可能な無線通信システム(1)において、前記第1無線ネットワークを介するデータの中継を行う第3発明の無線中継装置(12、13、RT)と、前記第1無線ネットワーク及び前記第2無線ネットワークの管理を行うとともに、前記第2広告の送信開始又は前記第2広告の送信停止を制御する前記制御信号を前記無線中継装置に向けて送信する管理装置(14)とを備えることを特徴としている。
第3発明の無線通信システムは、第2発明の無線通信システムにおいて、前記管理装置が、外部からの指示に基づいて、前記第2広告の送信開始を制御する前記制御信号、或いは前記第2広告の送信停止を制御する前記制御信号を送信することを特徴としている。
第4発明の無線通信システムは、第1無線ネットワーク(N1)を介した無線通信が可能な無線通信システム(1)において、前記第1無線ネットワークを介するデータの中継を行う第4発明の無線中継装置(12、13、RT)と、前記設定データの設定が行われている状態で前記無線中継装置から送信される前記第1広告を受信した場合には、前記第1無線ネットワークへの参入要求を示すデータを前記無線中継装置に向けて送信し、前記設定データの設定が行われていない状態で前記無線中継装置から送信される前記第2広告を受信した場合には、前記第2無線ネットワークへの参入要求を示すデータを前記無線中継装置に向けて送信する無線デバイス(11c)とを備えることを特徴としている。
第1発明の情報設定方法は、無線デバイス(11c)を第1無線ネットワーク(N1)に参入させるために必要となる設定データの設定を行う情報設定方法において、前記設定データを前記第1無線ネットワークに向けて送信する第1ステップと、前記第1無線ネットワークを介するデータの中継を継続しながら、前記第1無線ネットワークを介する前記設定データを前記第2無線ネットワークに中継する第2ステップと、前記第2無線ネットワークに通信可能に接続された無線デバイスに前記設定データを設定する第3ステップとを有することを特徴としている。
第2発明の情報設定方法は、前記第1ステップから前記第3ステップの前に、前記無線デバイスを前記第2無線ネットワークに通信可能に接続させる第4ステップ(S2)を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1無線ネットワークを介するデータの中継を継続しながら、無線デバイスを第1無線ネットワークに参入させるために必要となる設定データを第2無線ネットワークに中継するようにしているため、第1無線ネットワークで行われている無線通信と干渉を生ずることなく、無線ネットワークに参加するために必要な情報を無線デバイスに容易に設定することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による無線中継装置、無線通信システム、及び情報設定方法について詳細に説明する。
【0015】
〈無線通信システム〉
図1は、本発明の一実施形態による無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態の無線通信システム1は、無線デバイス11、無線ルータ12(無線中継装置)、バックボーンルータ13(無線中継装置)、システムマネージャ14(管理装置)、端末装置15、ゲートウェイ16、及び監視制御装置17を備える。
【0016】
かかる構成の無線通信システム1は、ターゲットネットワークN1(第1無線ネットワーク)或いはプロビジョニングネットワークNP(第2無線ネットワーク)を介したTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)方式による無線通信が可能である。この無線通信システム1は、例えばプラントや工場等(以下、これらを総称する場合には、単に「プラント」という)に構築される。ここで、上記のプラントとしては、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等がある。
【0017】
上記のターゲットネットワークN1は、プラントの現場に設置された機器(無線デバイス11、無線ルータ12、及びバックボーンルータ13)によって実現されて、システムマネージャ14によって管理される現用の無線ネットワークである。尚、ターゲットネットワークN1を形成する無線デバイス、無線ルータ、及びバックボーンルータの数は任意である。
【0018】
上記のプロビジョニングネットワークNPは、無線デバイス11をターゲットネットワークN1に参入させるOTA(Over The Air)プロビジョニングを行うために設けられる補助的な無線ネットワークである。つまり、プロビジョニングネットワークNPは、無線デバイス11をターゲットネットワークN1に参入させるために必要となるプロビジョニング情報(機器情報:設定データ)を、ターゲットネットワークN1に参入させるべき無線デバイス11に設定するための補助的な無線ネットワークである。このプロビジョニングネットワークNPは、ターゲットネットワークN1と同様に、プラントの現場に設置された機器(無線デバイス11、無線ルータ12、及びバックボーンルータ13)によって実現され、システムマネージャ14によって管理される。
【0019】
上記のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPは何れも、無線通信システム1に設けられる無線ネットワークを構成する無線サブネットであり、互いに異なるサブネットID(識別子)が付されている。例えば、プロビジョニングネットワークNPには値が「1」のサブネットIDが付されており、ターゲットネットワークN1には値が「2」〜「65535(0xFFFF)」のうちの何れか1つのサブネットIDが付されている。
【0020】
ここで、無線通信システム1が構築されるプラントには、上記のターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPに加えて、バックボーンネットワークN2及び制御ネットワークN3が設けられている。バックボーンネットワークN2は、無線通信システム1の基幹となる有線ネットワークであり、バックボーンルータ13〜ゲートウェイ16が接続される。制御ネットワークN3は、バックボーンネットワークN2の上位に位置づけられる有線ネットワークであり、ゲートウェイ16及び監視制御装置17が接続される。尚、これらバックボーンネットワークN2及び制御ネットワークN3は、無線通信ネットワークで実現されていても良い。
【0021】
無線デバイス11は、プラントの現場に設置されて監視制御装置17の制御の下でプロセス制御に必要な測定や操作を行うフィールド機器(無線フィールド機器)である。具体的に、無線デバイス11は、例えば流量計や温度センサ等のセンサ機器、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、プラント内の状況や対象物を撮影するカメラやビデオ等の撮像機器、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイクやスピーカ等の音響機器、各機器の位置情報を出力する位置検出機器、その他の機器である。この無線デバイス11は、電池を電源として省電力動作(例えば、間欠動作)を行い、ISA100.11aに準拠したTDMA方式による無線通信が可能である。
【0022】
ここで、本実施形態では、理解を容易にするために、制御すべきプロセスにおける状態量が流体の流量である場合を例に挙げて説明する。このため、
図1においては、流量の測定を行う無線デバイス11であるセンサ機器11aと、流量の操作を行う無線デバイス11であるバルブ機器11bとを1つずつ図示している。また、理解を容易にするために、センサ機器11a及びバルブ機器11bは、既にターゲットネットワークN1に参入しているものとし、無線デバイス11cは、プロビジョニングが行われておらず、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPの何れにも参入していないものとする。但し、無線デバイス11cは、OTAプロビジョニングが行われるときにプロビジョニングネットワークNPに参入し、OTAプロビジョニングが行われた後にシステムマネージャ14の制御の下でターゲットネットワークN1に参入するものとする。
【0023】
具体的に、無線デバイス11cは、プロビジョニング情報の設定が行われていない状態で無線ルータ12又はバックボーンルータ13からの広告A2(詳細は後述する)を受信した場合に、プロビジョニングネットワークNPへの参入要求を示すデータを送信することによりプロビジョニングネットワークNPへの参入を試みる。また、無線デバイス11cは、プロビジョニング情報の設定が行われた状態で無線ルータ12又はバックボーンルータ13からの広告A1(詳細は後述する)を受信した場合に、ターゲットネットワークN1への参入要求を示すデータを送信することによりターゲットネットワークN1への参入を試みる。
【0024】
ここで、上記のプロビジョニング情報は、「EUI64」、「ジョインキー」、「ネットワークID」、及び「タグ情報」等からなる。上記「EUI64」は、無線デバイス11を一意に識別するために無線デバイス11の各々に予め割り当てられている64ビットの情報(識別情報)である。上記「ジョインキー」は、ターゲットネットワークN1への参入時に必要となるパスワードに相当する情報である。上記「ネットワークID」は、ターゲットネットワークN1を識別するためにターゲットネットワークN1に予め割り当てられている識別子である。
【0025】
上記「タグ情報」は、無線デバイス11を識別するためのIDであり、監視制御装置17を操作する操作者が無線デバイス11の識別を容易にするために無線デバイスの各々に設定される情報である。例えば、無線デバイス11の交換が行われた場合には、交換前後において無線デバイス11の「EUI64」が異なることとなるが、交換後の無線デバイス11に対して交換前の無線デバイス11の「タグ情報」を設定すれば、交換後の無線デバイス11を交換前の無線デバイス11と同様に識別することができる。尚、無線デバイス11cに設定されたプロビジョニング情報と同じ情報がシステムマネージャ14に格納され、無線デバイス11cをターゲットネットワークN1に参入させるための参入処理で用いられる。
【0026】
無線ルータ12は、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信が可能であり、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPに通信可能に接続され、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を行う。ここで、無線ルータ12は、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、無線デバイス11(11c)のプロビジョニングに必要な情報の中継を行う。つまり、無線ルータ12は、ターゲットネットワークN1を介して行われるデータの中継処理に影響(干渉)を与えることなく、無線デバイス11(11c)のプロビジョニングに必要な情報の中継処理を行うことが可能である。
【0027】
具体的に、無線ルータ12は、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、ターゲットネットワークN1を介して送信されてくるプロビジョニング情報(無線デバイス11(11c)に設定すべき設定データ)を、プロビジョニングネットワークNPに中継する。また、無線ルータ12は、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、プロビジョニングネットワークNPを介して送信されてくるデータ(例えば、プロビジョニングネットワークNPへの参入要求を示すデータ)をターゲットネットワークN1に中継する。尚、無線ルータ12は、ターゲットネットワークN1への参入要求を示すデータがターゲットネットワークN1を介して送信されてきた場合には、そのデータをターゲットネットワークN1内で中継する。
【0028】
また、無線ルータ12は、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1に向けて広告A1(第1広告)を定期的に送信するとともに、プロビジョニングネットワークNPに向けて広告A2(第2広告)を定期的に送信する。ここで、無線ルータ12が、ターゲットネットワークN1に向けて送信する広告A1は、プロビジョニングが完了した無線デバイス11(11c)をターゲットネットワークN1に接続させるための情報である。これに対し、無線ルータ12が、プロビジョニングネットワークNPに向けて送信する広告A2は、プロビジョニングが行われていない無線デバイス11(11c)をプロビジョニングネットワークNPに接続せるための情報である。尚、無線ルータ12の内部構成については後述する。
【0029】
バックボーンルータ13は、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPとバックボーンネットワークN2とを接続し、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPとバックボーンネットワークN2との間で送受信されるデータの中継を行う。尚、バックボーンルータ13も、上記の無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信を行う。
【0030】
このバックボーンルータ13は、無線ルータ12と同様に、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、無線デバイス11(11c)のプロビジョニングに必要な情報の中継を行う。また、バックボーンルータ13は、システムマネージャ14の制御の下で、ターゲットネットワークN1に向けて広告A1を定期的に送信するとともに、プロビジョニングネットワークNPに向けて広告A2を定期的に送信する。
【0031】
システムマネージャ14は、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPを介して行われる無線通信の制御を行う。具体的には、無線デバイス11、無線ルータ12、バックボーンルータ13、及びゲートウェイ16に対する通信リソース(タイムスロット及び通信チャネル)の割り当て制御を行って、ターゲットネットワークN1を介したTDMAによる無線通信を実現する。ここで、システムマネージャ14は、ターゲットネットワークN1を介するデータ、及びプロビジョニングネットワークNPを介するデータの干渉が生じないように通信リソースの割り当てを行う。
【0032】
また、システムマネージャ14は、無線デバイス11(11c)をターゲットネットワークN1又はプロビジョニングネットワークNPに参入させるか否かの処理(参入処理)を行う。加えて、システムマネージャ14は、プロビジョニングネットワークNPに参入した無線デバイス11(11c)に対して、プロビジョニングネットワークNPを介してプロビジョニング情報を設定する処理(OTAプロビジョニング)を行う。
【0033】
また、システムマネージャ14は、無線ルータ12及びバックボーンルータ13に対して前述した広告A1,A2に関する通信リソースの割り当てを行う。具体的には、無線ルータ12及びバックボーンルータ13がターゲットネットワークN1に向けた広告A1及びプロビジョニングネットワークNPに向けた広告A2の各々を送信するための通信リソースと、各広告A1,A2を受信した無線デバイス11(11c)からの接続要求を無線ルータ12及びバックボーンルータ13が受信するための通信リソースとの割り当てを行う。尚、広告に関する通信リソースの割り当ての詳細については後述する。
【0034】
更に、システムマネージャ14は、端末装置15からの指示に基づいて、プロビジョニングネットワークNPに向けた広告A2の送信開始、又はプロビジョニングネットワークNPに向けて送信している広告A2の送信停止を制御する。具体的に、システムマネージャ14は、広告A2の送信開始を制御する制御信号、或いは広告A2の送信停止を制御する制御信号を、無線ルータ12及びバックボーンルータ13に向けて送信することによって、広告A2の送信開始又は送信停止を制御する。
【0035】
端末装置15は、例えばプラントの運転員によって操作され、無線通信システム1の監視及び制御を行うために用いられる。具体的に、端末装置15は、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置、液晶表示装置等の表示装置を備えており、システムマネージャ14の管理情報を表示装置に表示して運転員に提供するとともに、運転員が入力装置を操作して入力した指示をシステムマネージャ14に出力して、その指示に基づいた制御をシステムマネージャ14に行わせる。尚、この端末装置15には、例えば広告A2の送信開始又は送信停止の指示が入力される。
【0036】
ゲートウェイ16は、バックボーンネットワークN2と制御ネットワークN3とを接続し、無線デバイス11及びシステムマネージャ14等と、監視制御装置17との間で送受信される各種データの中継を行う。このゲートウェイ16を設けることで、セキュリティを維持しつつ、バックボーンネットワークN2と制御ネットワークN3とを相互に接続することができる。
【0037】
監視制御装置17は、無線デバイス11等の監視及び管理を行う。具体的に、監視制御装置17は、ゲートウェイ16を介して無線デバイス11から測定データ(例えば、センサ機器11aで測定された流量値)を収集することによって無線デバイス11等の監視を行う。また、監視制御装置17は、収集した測定データに基づいて無線デバイス11の制御量(例えば、バルブ機器11bの弁開度)を求め、この制御量を示す制御データを、ゲートウェイ16を介して一定の時間間隔で送信することによって無線デバイス11(例えば、バルブ機器11b)を制御する。
【0038】
〈無線ルータ〉
図2は、本発明の一実施形態による無線中継装置としての無線ルータの要部構成を示すブロック図である。
図2に示す通り、無線ルータ12は、アンテナAT、切替部21、無線受信部22、無線送信部23、無線中継部24(中継処理部)、広告送信部25(第1広告送信部)、広告送信部26(第2広告送信部)、タイミング生成部27、及び制御部28を備えており、アンテナATを介した無線信号の送受信を行って、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継等を行う。
【0039】
切替部21は、アナログスイッチ等のスイッチを備えており、制御部28の制御の下で、アンテナATに無線受信部22を接続するのか、或いはアンテナATに無線送信部23を接続するのかを切り替える。具体的に、切替部21は、無線信号の受信時にはアンテナATに無線受信部22が接続されるように切り替え、無線信号の送信時にはアンテナATに無線送信部23が接続されるように切り替える。
【0040】
無線受信部22は、アンテナATで受信されて切替部21を介した受信信号に対する受信処理を行い、受信信号に含まれる情報(受信情報)を無線中継部24に出力する。無線送信部23は、アンテナATから無線信号として送信すべき信号に対する送信処理を行う。具体的に、無線送信部23は、無線中継部24から出力される情報、広告送信部25,26から出力される情報に対する送信処理を行って切替部21に出力する。
【0041】
無線中継部24は、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPを介するデータの中継処理を行う。具体的に、無線中継部24は、無線受信部22から出力される受信情報に含まれる送信先に応じて送信経路を決定し、送信経路を決定した受信情報を無線送信部23に出力する処理を行う。この無線中継部24は、ターゲットネットワークN1を介してプロビジョニング情報が送信されてきた場合には、制御部28の制御の下で、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、プロビジョニング情報をプロビジョニングネットワークNPに中継する処理を行う。即ち、ターゲットネットワークN1を介するデータを、通信スケジュール(タイミング)に従って中継しながら、プロビジョニング情報をプロビジョニングネットワークNPに中継する。
【0042】
また、無線中継部24は、プロビジョニングネットワークNPを介してデータ(例えば、プロビジョニングネットワークNPへの参入要求を示すデータ)が送信されてきた場合にも、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、このデータをターゲットネットワークN1に中継する。尚、無線中継部24は、ターゲットネットワークN1への参入要求を示すデータがターゲットネットワークN1を介して送信されてきた場合には、そのデータをターゲットネットワークN1内で中継する。
【0043】
広告送信部25は、制御部28の制御の下で、ターゲットネットワークN1に向けて送信すべき広告A1の情報を無線送信部23に出力することによって、広告A1をターゲットネットワークN1に送信する。広告送信部26は、制御部28の制御の下で、プロビジョニングネットワークNPに向けて送信すべき広告A2の情報を無線送信部23に出力することによって、広告A2をプロビジョニングネットワークNPに送信する。ここで、広告送信部26は、制御部28の制御によって広告A2を送信するか否かを切り替える。
【0044】
タイミング生成部27は、無線ルータ12の動作タイミングを規定するタイミング信号を生成する。制御部28は、タイミング生成部27で生成されるタイミング信号に同期して動作し、無線ルータ12の動作を統括して制御する。具体的に、制御部28は、システムマネージャ14で予め規定された無線信号の送受信タイミングに基づいて切替部21の切り替え制御や無線中継部24の制御を行う。また、システムマネージャ14からの制御信号に基づいて広告送信部26を制御し、広告A2の送信を開始させ、或いは広告A2の送信を停止させる。
【0045】
尚、バックボーンルータ13は、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPとバックボーンネットワークN2との間でデータの中継が可能な点を除けば、無線ルータ12とおおむね同様のものである。このため、バックボーンルータ13は、いわばターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットワークNPとバックボーンネットワークN2との間でデータの中継を行う構成を、
図2に示す構成に付け加えた構成であるということができる。
【0046】
ここで、システムマネージャ14によって割り当てられる広告に関する通信リソースについて説明する。
図3は、本発明の一実施形態において割り当てられる広告に関する通信リソースを説明するための図である。尚、
図3に示す図は、横軸に時間をとり、縦軸に通信チャネルをとっている。
図3において、横軸方向の1マスは1つのタイムスロットを示しており、縦軸方向の1マスは1つの通信チャネルを示している。但し、図示の簡単化のために、
図3においては通信チャネルを10チャネルのみ図示している。
【0047】
図3において、符号Q11を付したマス(斜線及び黒字の文字「T」が付されたマス)は、広告A1に基づいて割り当てられる送信用の通信リソースを示しており、符号Q12を付したマス(斜線及び黒字の文字「R」が付されたマス)は、広告A1に基づいて割り当てられる受信用の通信リソースを示している。これに対し、符号Q21を付したマス(斜線及び白抜きの文字「T」が付されたマス)は、広告A2に基づいて割り当てられる送信用の通信リソースを示しており、符号Q22を付したマス(斜線及び白抜きの文字「R」が付されたマス)は、広告A2に基づいて割り当てられる受信用の通信リソースを示している。
【0048】
図3に示す例では、広告A2に基づいて割り当てられる通信リソースは、広告A1に基づいて割り当てられる通信リソースと、タイムスロットと通信チャネルとの双方が異なるように割り当てられている。本実施形態では、ターゲットネットワークN1に参入している無線デバイス11(11a,11b)の無線通信と、ターゲットネットワークN1或いはプロビジョニングネットワークNPに参入しようとしている無線デバイス11(11c)の無線通信が干渉しないように無線リソースの割り当てが行われる。
【0049】
〈無線通信システムへの参入動作〉
次に、以上説明した無線通信システム1に対して無線デバイス11cを参入させる場合の動作について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による無線通信システムへの参入手順を示すフローチャートである。尚、説明を簡単にするために、無線通信システム1に参入させようとしている無線デバイス11cは、
図1に示す通り、ターゲットネットワークN1及びプロビジョニングネットNP内に設置されているものとする。
【0050】
ここで、無線デバイス11cは、プロビジョニングが行われていない初期状態のため、プロビジョニング情報のうちの「EUI64」のみが割り当てられていて、残りのプロビジョニング情報(「ジョインキー」、「ネットワークID」、及び「タグ情報」)は設定されていない。但し、無線デバイス11cには、プロビジョニングによって設定される上記の「ジョインキー」とは別に、プロビジョニングネットワークNPに参入するために用いられるジョインキー(以下、「初期ジョインキー」という)が設定されている。
【0051】
また、説明を簡単にするために、システムマネージャ14には、無線デバイス11cに設定すべきプロビジョニング情報として、「タグ情報」及び「ネットワークID」が予め設定されているものとする。尚、システムマネージャ14に設定された「ネットワークID」は、無線デバイス11cを参入させようとしているターゲットネットワークN1を特定するものである。
【0052】
無線デバイス11cを無線通信システム1に参入させるためには、まず無線通信システム1のプロビジョニング機能を有効化する処理が行われる(ステップS1)。この処理は、プラントの運転員からの指示に基づいて行われる。
図5は、本発明の一実施形態による無線通信システムのプロビジョニング機能を有効化・無効化する処理を示すタイミングチャートである。尚、
図5においては、
図1に示した無線ルータ12及びバックボーンルータ13をまとめて「ルータRT」として示している。
【0053】
プラントの運転員が端末装置15を操作して、無線通信システム1のプロビジョニング機能を有効化する指示を行うと、
図5に示す通り、端末装置15からシステムマネージャ14に対して、プロビジョニング有効化信号が送信される(ステップS11)。このプロビジョニング有効化信号がシステムマネージャ14で受信されると、システムマネージャ14からルータRT(無線ルータ12及びバックボーンルータ13)に対して、広告A2の送信開始を指示する制御信号が送信される(ステップS12)。
【0054】
システムマネージャ14からの制御信号を受信すると、ルータRTからは、プロビジョニングネットワークNPに向けた広告A2の送信が開始され、これにより無線通信システム1のプロビジョニング機能が有効化される。尚、システムマネージャ14からの制御信号を受信する前においても、ルータRTからは、ターゲットネットワークN1に向けた広告A1の送信が一定間隔で行われている。このため、システムマネージャ14からの制御信号を受信した後は、ターゲットネットワークN1に向けた広告A1の送信と、プロビジョニングネットワークNPに向けた広告A2の送信とが互いに干渉することなく並行して行われる。
【0055】
次に、
図4に示す通り、無線デバイス11cをプロビジョニングネットワークNPに参入させる処理が行われる(ステップS2:第4ステップ)。この処理は、例えばプラントの作業員によって、無線デバイス11cの電源投入が行われることによって開始される。
図6は、本発明の一実施形態による無線通信システムで行われるプロビジョニングに係る処理を示すタイミングチャートである。尚、
図6においても、
図1に示した無線ルータ12及びバックボーンルータ13をまとめて「ルータRT」として示している。
【0056】
電源が投入されると、無線デバイス11cは、ルータRTから送信される広告A2の受信待ち状態になる。ルータRTからの広告A2を受信すると、無線デバイス11cからルータRT(無線デバイス11cが受信した広告A2を送信したルータRT)に向けて、プロビジョニングネットワークNPへの参入要求を示すジョイン要求が送信される(ステップS21)。尚、このジョイン要求には、無線デバイス11cに割り当てられている「EUI64」と、前述した「初期ジョインキー」とが含まれている。
【0057】
無線デバイス11cからのジョイン要求を受信したルータRTは、そのジョイン要求をシステムマネージャ14に向けて送信する(ステップS22)。このとき、ルータRTは、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、プロビジョニングネットワークNPを介して送信されてくるジョイン要求をターゲットネットワークN1に中継する。
【0058】
無線デバイス11cからのジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、受信したジョイン要求に含まれる「EUI64」をデバイスリストに記録した上で、デバイスリストが更新された旨を示す更新通知を端末装置15に送信する(ステップS23)。尚、上記のデバイスリストは、ターゲットネットワークN1又はプロビジョニングネットワークNPに参入している(或いは、参入しようとしている)無線デバイス11の一覧を示すリストである。
【0059】
ここで、システムマネージャ14は、無線デバイス11cの「EUI64」をデバイスリストに記録しただけではジョイン要求には応答しない(ジョイン要求を無視又は拒絶する)。これは、無線デバイス11cの「EUI64」と「タグ情報」との対応付け(マッピング)がなされておらず、しかも「ジョインキー」の作成が行われていないため、無線デバイス11cに設定すべきプロビジョニング情報がシステムマネージャ14に登録されていないからである。このため、無線デバイス11cでは、ルータRTからの広告A2を受信する度に、ジョイン要求(プロビジョニングネットワークNPへの参入要求)を送信する処理が繰り返される。
【0060】
システムマネージャ14からの更新通知が端末装置15に表示されると、プラントの運転員は、デバイスリストの変更があったことを知ることができる。そして、プラントの運転員が、端末装置15を操作して、デバイスリストに記録された無線デバイス11cの「EUI64」と予めシステムマネージャ14に設定されている「タグ情報」との対応付けを行うと、その対応付けの内容が端末装置15からシステムマネージャ14に送信される(ステップS24)。
【0061】
また、無線デバイス11cの「EUI64」と「タグ情報」との対応付けが行われると、端末装置15において、「ジョインキー」を生成してシステムマネージャ14に送信する処理が行われる(ステップS25)。以上の処理により、デバイスリストに記録された「EUI64」と、「ジョインキー」、「ネットワークID」、及び「タグ情報」との対応付けが行われ、プロビジョニング情報としてシステムマネージャ14に登録される。尚、ここでは「ジョインキー」が端末装置15で生成されるとしているが、「ジョインキー」の生成はシステムマネージャ14で行っても良い。
【0062】
プロビジョニング情報がシステムマネージャ14に登録された後に、ルータRTからの広告A2が無線デバイス11cで受信されると、ステップS21と同様に、無線デバイス11cからルータRTに向けて、プロビジョニングネットワークNPへの参入要求を示すジョイン要求が送信される(ステップS26)。無線デバイス11cからのジョイン要求を受信したルータRTは、そのジョイン要求をシステムマネージャ14に向けて送信する(ステップS27)。
【0063】
ここで、システムマネージャ14には、上述した処理によって無線デバイス11cに設定すべきプロビジョニング情報が登録されている。このため、システムマネージャ14は、無線デバイス11cからのジョイン要求を受け入れ、プロビジョニングネットワークNPへの参入許可を無線デバイス11cに向けて送信する(ステップS28)。このとき、ルータRTは、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、システムマネージャ14からの参入許可をプロビジョニングネットワークNPに中継する。以上の処理によって、無線デバイス11cは、プロビジョニングネットワークNPに参入することが可能になる。
【0064】
続いて、
図4に示す通り、無線デバイス11cに対するプロビジョニングが実施される(ステップS3)。具体的には、
図6に示す通り、システムマネージャ14が、無線デバイス11cに設定すべきプロビジョニング情報を読み出して、プロビジョニングネットワークNPに参入している無線デバイス11cに向けて送信する処理が行われる(ステップS29)。具体的に、システムマネージャ14からのプロビジョニング情報は、まずバックボーンネットワークN2及びバックボーンルータ13を順に介してターゲットネットワークN1に向けて送信される(第1ステップ)。このプロビジョニング情報は、ターゲットネットワークN1内において、無線ルータ12に向けて中継(転送)される。
【0065】
そして、ステップS26において無線デバイス11cからのジョイン要求を受信した無線ルータ12まで上記のプロビジョニング情報が転送されると、その無線ルータ12は、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、送信されてくるプロビジョニング情報をプロビジョニングネットワークNPに中継する(第2ステップ)。システムマネージャ14からのプロビジョニング情報が無線デバイス11cで受信されると、無線デバイス11cにおいてプロビジョニング情報の設定が行われる(第3ステップ)。以上の処理により、無線デバイス11cに対するプロビジョニングが完了する。
【0066】
無線デバイス11cに対するプロビジョニングが完了すると、システムマネージャ14から端末装置15に対してプロビジョニング完了通知がなされる(ステップS30)。システムマネージャ14からのプロビジョニング更新通知が端末装置15に表示されると、プラントの運転員は、無線デバイス11cに対するプロビジョニングが完了したことを知ることができる。
【0067】
無線デバイス11cのプロビジョニングが完了すると、
図4に示す通り、無線通信システム1のプロビジョニング機能を無効化する処理が行われる(ステップS4)。この処理は、プロビジョニング機能を有効化する場合と同様に、プラントの運転員からの指示に基づいて行われる。プラントの運転員が端末装置15を操作して、無線通信システム1のプロビジョニング機能を無効化する指示を行うと、
図5に示す通り、端末装置15からシステムマネージャ14に対して、プロビジョニング無効化信号が送信される(ステップS13)。このプロビジョニング無効化信号がシステムマネージャ14で受信されると、システムマネージャ14からルータRT(無線ルータ12及びバックボーンルータ13)に対して、広告A2の送信停止を指示する制御信号が送信される(ステップS14)。
【0068】
システムマネージャ14からの制御信号を受信すると、ルータRTからプロビジョニングネットワークNPに向けた広告A2の送信が停止され、これにより無線通信システム1のプロビジョニング機能が無効化される。尚、無線通信システム1のプロビジョニング機能が無効化された後においても、ルータRTからは、ターゲットネットワークN1に向けた広告A1の送信が一定間隔で行われる。
【0069】
以上の処理が終了すると、
図4に示す通り、無線デバイス11cをターゲットネットワークN1に参入させる処理が行われる(ステップS5)。具体的に、プロビジョニングが完了すると、例えば無線デバイス11cは、ルータRTから送信される広告A1の受信待ち状態になる。ルータRTからの広告A1を受信すると、無線デバイス11cからルータRT(無線デバイス11cで受信された広告A1を送信したルータRT)に向けて、ターゲットネットワークN1への参入要求を示すジョイン要求が送信される。尚、このジョイン要求には、上述したステップS3の処理によって設定されたプロビジョニング情報(「EUI64」と、「ジョインキー」、「ネットワークID」、及び「タグ情報」)が含まれている。
【0070】
無線デバイス11cからのジョイン要求を受信したルータRTは、そのジョイン要求をシステムマネージャ14に向けて送信する。無線デバイス11cからのジョイン要求を受信すると、システムマネージャ14は、受信したジョイン要求に含まれるプロビジョニング情報と、自機に登録されているプロビジョニング情報とを照合して無線デバイス11cの認証処理を行う。そして、システムマネージャ14は、認証に成功した場合にはジョイン要求を送信した無線デバイス11cの参入を許可し、認証に失敗した場合には無線デバイス11cの参入を拒否する。このようにして、ターゲットネットワークN1への参入処理が行われる。
【0071】
以上の通り、本実施形態では、ルータRT(無線ルータ12及びバックボーンルータ13)が、ターゲットネットワークN1を介するデータの中継を継続しながら、無線デバイス11cをターゲットネットワークN1に参入させるために必要となるプロビジョニングデータを、プロビジョニングネットワークNPに中継するようにしている。このため、ターゲットネットワークN1で行われている無線通信と干渉を生ずることなく、プロビジョニング(OTAプロビジョニング)を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態では、いわば運用中の無線通信システム1そのものを使用してプロビジョニングを行うことができる。このため、OOBプロビジョニングを行う場合のように、プロビジョニングデバイスを無線デバイス11cの設置場所に持ち込む必要がない。このため、無線デバイス11cが防爆エリアに設置されているか、或いは非防爆エリアに設置されているかに拘わらず容易にプロビジョニングを行うことが可能である。
【0073】
また、本実施形態では、無線デバイス11cの「EUI64」がプロビジョニングネットワークNP等を介してシステムマネージャ14に取り込まれるとともに、「EUI64」と「タグ情報」との対応付けの内容、及び「ジョインキー」が、プラントの運転員が操作する端末装置15からシステムマネージャ14に取り込まれる。このため、本実施形態では、従来のように現場の作業員がプラントの運転員に対して無線デバイスに設定した情報を引き渡す必要がないことから、現場の作業員とプラントの運転員との間の手違いによって、引き渡すべき情報が引き渡されずに混乱が生ずるといった事態を防止することができる。
【0074】
以上、本発明の一実施形態による無線中継装置、無線通信システム、及び情報設定方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ISA100.11aに準拠した無線通信を行う無線通信システムを例に挙げて説明したが、本発明はWirelessHART(登録商標)に準拠した無線通信を行う無線通信システムにも適用することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、バックボーンルータ13、システムマネージャ14、及びゲートウェイ16がそれぞれ別々の装置として実現されている例について説明した。しかしながら、これらのうちの任意の2つ以上の装置を1つの装置として実現することも可能である。また、信頼性を高めるために、システムマネージャ14は、現用系のものと待機系のものとに二重化されていても良い。