【実施例】
【0030】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0031】
実施例1
以上の各成分を3Lニーダおよび10インチロールで混練し、混練物を180℃、10分間の条件下で圧縮成形し、シート状ゴム(厚さ2mm)を成形した。
【0032】
混練物およびシート状ゴムについて、次の各項目の試験が行われた。
耐LLC性:有機酸系LLC 30容積%水溶液中に、120℃、大気圧(自然昇圧)
、2000時間浸漬し、膨潤度および軟化度を評価した
(膨潤度) 浸漬前後の体積変化率(ASTM D471に対応するJIS K6258準
拠)が、+10%未満のものを◎、+10〜+20%のものを○、
+20%を超えるものを×として評価した
(◎および○のものは使用可能であり、×は使用不可能で
ある)
(軟化度) 浸漬前後の硬度(IRHD;ASTM D1415に対応するJIS K6253準
拠)変化が、-15ポイント未満のものを◎、-15〜-25ポイン
トのものを○、-25ポイントを超えるものを×として評価
した
(◎および○のものは使用可能であり、×は使用不可能で
ある)
ロール作業性:ロール作業時にバギング(ロール機による混練り作業に
おいて、ロール間隙を通過したゴムがロールから浮き上
がる現象)などの問題が発生していないものを○、ロー
ル作業ができないものを×として評価した
【0033】
実施例2〜3
実施例1において、MTカーボンブラック量が30重量部または300重量部に変更されて用いられた。
【0034】
実施例4
実施例1において、MTカーボンブラックの代わりに、同量のSRFカーボンブラック(旭カーボン製品旭#55;粒子径66nm)が用いられた。
【0035】
実施例5〜6
実施例4において、SRFカーボンブラック量が30重量部または300重量部に変更されて用いられた。
【0036】
実施例7
実施例1において、MTカーボンブラックの代わりに、同量のシリカ(中央シリカ製品シリカ100F;粒子径8μm)が用いられた。
【0037】
実施例8〜9
実施例7において、シリカ(シリカ100F)が30重量部または300重量部に変更されて用いられた。
【0038】
実施例10
実施例7において、シリカ(シリカ100F)と共にシランカップリング剤(信越シリコーン製品KBM-602;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン)5重量部が用いられた。
【0039】
実施例11〜12
実施例10において、シリカ(シリカ100F)が30重量部または300重量部に変更されて用いられた。
【0040】
実施例13
実施例1において、MTカーボンブラックの代わりに、同量のグラファイト(中越黒鉛工業製品グラファイトG-30;粒子径210μm)が用いられた。
【0041】
実施例14
実施例1において、MTカーボンブラックの代わりに、同量のクレー(白石カルシウム製品KAOCAL;粒子径0.9μm)が用いられた。
【0042】
実施例15
実施例1において、MTカーボンブラック量を75重量部に変更し、またシリカ(シリカ100F)75重量部が用いられた。
【0043】
実施例16
実施例1において、MTカーボンブラック量を15重量部に変更し、またシリカ(シリカ100F)15重量部が用いられた。
【0044】
実施例17
実施例1において、
シリカ(シリカ100F)150重量部が用いられた。
【0045】
実施例18
実施例15において、それぞれ同量のMTカーボンブラック、シリカ(シリカ100F)と共に、シランカップリング剤(KBM-602)5重量部が用いられた。
【0046】
実施例19
実施例16において、それぞれ同量のMTカーボンブラック、シリカ(シリカ100F)と共に、シランカップリング剤(KBM-602)5重量部が用いられた。
【0047】
実施例20
実施例17において、それぞれ同量のMTカーボンブラック、シリカ(シリカ100F)と共に、シランカップリング剤(KBM-602)5重量部が用いられた。
【0048】
実施例21
実施例1において、水素化ニトリルゴムが同量の日本ゼオン製品Zetpol 0020(結合AN含量49.2%、ヨウ素価23mg/100mg)〔HNBR-B〕に変更されて用いられた。
【0049】
実施例22
実施例1において、水素化ニトリルゴムが同量の日本ゼオン製品Zetpol 2020(結合AN含量36%、ヨウ素価28mg/100mg)〔HNBR-C〕に変更されて用いられた。
【0050】
実施例23
実施例1において、共架橋剤量が1重量部に変更されて用いられた。
【0051】
実施例24
実施例1において、共架橋剤量が30重量部に変更されて用いられた。
【0052】
比較例1
実施例1において、MTカーボンブラックの代わりに、同量のFEFカーボンブラック(旭カーボン製品#60;粒子径45nm)が用いられた。
【0053】
比較例2〜3
比較例1において、FEFカーボンブラック量が30重量部または300重量部に変更されて用いられた。
【0054】
比較例4〜5
実施例1において、MTカーボンブラック量が20重量部または310重量部に変更されて用いられた。
【0055】
比較例6〜7
実施例7おいて、シリカ(シリカ100F)が20重量部または310重量部に変更されて用いられた。
【0056】
比較例8
実施例15において、MTカーボンブラック量が10重量部に、またシリカ(シリカ100F)量が10重量部にそれぞれ変更して用いられた。
【0057】
比較例9
実施例15において、MTカーボンブラック量が160重量部に、またシリカ(シリカ100F)量が160重量部にそれぞれ変更して用いられた。
【0058】
比較例10
実施例1において、共架橋剤が用いられなかった。
【0059】
比較例11
実施例1において、共架橋剤が35重量部に変更されて用いられた。
【0060】
比較例12
実施例1において、水素化ニトリルゴムが同量の日本ゼオン製品Zetpol 3110(結合AN含量25%、ヨウ素価15mg/100mg)〔HNBR-D〕に変更されて用いられた。
【0061】
比較例13
実施例1において、水素化ニトリルゴムが同量の日本ゼオン製品Zetpol 2030L(結合AN含量36%、ヨウ素価57mg/100mg)〔HNBR-E〕に変更されて用いられた。
【0062】
以上の各実施例および比較例で得られた結果は、共通成分である老化防止剤および有機過酸化物以外の組成物各成分量(単位:重量部)と共に、次の表1〜4に示される。
【0063】
以上の結果から、次のようなことがいえる。
(1) 結合AN含量が31〜50%、ヨウ素価が30mg/100mg以下の水素化ニトリルゴム100重量部に対し、MTカーボンまたはSRFカーボンを30〜300重量部および共架橋剤1〜30重量部を用いた場合、耐LLC性が良好でしかもロール作業性に問題はみられない。
また、シリカ30〜300重量部およびシランカップリング剤0〜5重量部を用いた場合やMTカーボン、シリカを合計して30〜300重量部およびシランカップリング剤0〜5重量部を用いた場合にも、同様の効果が奏せられる。
(2) 水素化ニトリルゴムの結合AN含量が規定された値より
小さい場合、またはヨウ素価が規定された値より大きい場合には、十分なる耐LLC性が得られない。
(3) MTカーボンおよび/またはシリカ量が規定された値より小さい場合には、十分なる耐LLC性が得られず、一方規定された値より大きい場合には、
ロール作業性に問題が発生し、ゴム材料として成立し得ない。
(4) 共架橋剤量が規定された値より小さい場合には、耐LLC性
に問題が発生し、一方規定された値より大きい場合には、ロール作業性
に問題が発生した。