特許第5929920号(P5929920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5929920表面処理酸化亜鉛粉体、抗菌剤及び抗菌性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5929920
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】表面処理酸化亜鉛粉体、抗菌剤及び抗菌性組成物
(51)【国際特許分類】
   C01G 9/02 20060101AFI20160526BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20160526BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20160526BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20160526BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20160526BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20160526BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20160526BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20160526BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20160526BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   C01G9/02 A
   A01N59/16 Z
   A01P3/00
   A61K8/27
   A61Q1/04
   A61Q1/08
   A61Q1/10
   A61Q1/12
   A61Q17/04
   A61Q19/00
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-544287(P2013-544287)
(86)(22)【出願日】2012年11月14日
(86)【国際出願番号】JP2012079471
(87)【国際公開番号】WO2013073555
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年8月25日
(31)【優先権主張番号】特願2011-251935(P2011-251935)
(32)【優先日】2011年11月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】橋本 充央
(72)【発明者】
【氏名】真柄 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 訓宰
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2000/042112(WO,A1)
【文献】 特開2001−220292(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/050139(WO,A1)
【文献】 特開2009−249226(JP,A)
【文献】 特開2008−254990(JP,A)
【文献】 特開2007−051188(JP,A)
【文献】 特開平05−000912(JP,A)
【文献】 特開2002−363018(JP,A)
【文献】 特表2000−503677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G1/00−23/08
A01N1/00−65/48
A01P1/00−23/00
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1.1μm以上であり、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物で表面処理された表面処理酸化亜鉛粉体からなることを特徴とする抗菌剤
【請求項2】
平均粒子径が1.1μm以上であり、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物で表面処理された表面処理酸化亜鉛粉体を抗菌性成分として含有することを特徴とする抗菌性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理酸化亜鉛粉体、抗菌剤及び抗菌性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛粉体は、樹脂、フィルム、化粧品等様々な用途において広く使用されている。その性質の一つとして抗菌性がある。このような酸化亜鉛粉体が有する抗菌性によって、樹脂やフィルム、化粧品等の製品に抗菌性を付与することが行われている。
【0003】
従来、各種用途に使用される酸化亜鉛粉体は、少なくとも平均粒子径が1.1μmより小さい酸化亜鉛粉体を使用するのが一般的であり、これらの粒子は好適な抗菌性を発揮するものであった。しかし、平均粒子径が1.1μm以下の微粒子の酸化亜鉛は分散が難しく、かさ比重が小さくハンドリング性にも問題があった。また化粧品用途においては使用感を悪くしてしまうという問題があった。また、樹脂への添加剤として使用する場合、1.1μm以上の粒子径のものは、放熱性フィラーとして使用することができる点で好ましいものである。このため、近年、1.1μm以上の粒子径を有する酸化亜鉛粉体が開発され、種々の用途への適用が検討されている(特許文献1,2等)。
【0004】
しかしながら抗菌性の効果は酸化亜鉛粉体の比表面積に比例するため、平均粒子径が1.1μm以上の大粒子の酸化亜鉛粉体には抗菌性の効果が全く見られない。このため、平均粒子径が1.1μm以上であるような酸化亜鉛粉体を抗菌性が必要とされる用途に使用することはできなかった。
【0005】
また、従来広く使用されていた平均粒子径が1.1μm未満であるような酸化亜鉛粉体に表面処理を施すことは公知である(特許文献3,4等)。しかし、このような表面処理は、主に亜鉛イオンの溶出の防止や化学的活性の抑制、分散性能の向上等を目的として行われたものであり、抗菌性能の改善を目的として行われたものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2011/043207号
【特許文献2】特開2009−249226号公報
【特許文献3】特開平11−302015号公報
【特許文献4】特開2007−16111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、平均粒子径が1.1μm以上であり、かつ、抗菌性を有する酸化亜鉛粉体、これからなる抗菌剤及びこれを含有する抗菌性組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平均粒子径が1.1μm以上であり、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物で表面処理された表面処理酸化亜鉛粉体からなることを特徴とする抗菌剤である
本発明は、平均粒子径が1.1μm以上であり、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物で表面処理された表面処理酸化亜鉛粉体を抗菌性成分として含有することを特徴とする抗菌性組成物でもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、平均粒子径が1.1μm以上であり、かつ、好適な抗菌性を有する表面処理酸化亜鉛粉体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、平均粒子径が1.1μm以上であり、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物で表面処理された表面処理酸化亜鉛粉体である。平均粒子径1.1μmを超える酸化亜鉛粉体は、抗菌性能が著しく低下し、実質的には抗菌性を有さないものであるが、これに上記表面処理を施すと、抗菌性を有する酸化亜鉛が得られることを見出すことによって完成されたものである。
【0011】
酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物およびそれらを熱処理して得られるシリカや酸化チタンは、単独では抗菌性を有する化合物ではない。更に、酸化亜鉛を上記化合物で被覆することによって、抗菌性が向上することは、公知ではなく、また、このような点に関する知見は一切知られていない。本発明においては、上記被覆を形成することによって予想外の効果が得られることを見出すことによって完成されたものである。
【0012】
このような本発明によって、平均粒子径が1.1μm以上であり、かつ、優れた抗菌性能を有する酸化亜鉛を提供することができるものである。粒子径が大きいものでありながら、同時に優れた抗菌性能を有する酸化亜鉛粉体はこれまで知られていないものである。
【0013】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、平均粒子径が1.1μm以上である。なお、本明細書において平均粒子径は、レーザー回折法という測定方法によって測定して得られた値である。平均粒子径が1μm以上の表面処理を施していない酸化亜鉛粉体は、特に抗菌性能が低下することから、本発明の効果が特に有意なものとなる。上記平均粒子径は、1.2μm以上であることがより好ましく、1.3μm以上であることが更に好ましい。上記平均粒子径は、上限を特に限定するものではないが、100μm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選ばれる少なくとも1種類の化合物で表面処理して得られたものである。
上記酸化ケイ素としては、特に限定されず、水溶性ケイ酸塩を中和することで得られる酸化ケイ素を挙げることができる。
【0015】
シリコーンオイルとしては特に限定されず、例えば、トリエトキシカプリリルシラン(例えば信越化学工業(株)製AES−3083)メチルハイドロジェンポリシロキサン(例えば信越化学工業(株)製KF−99P、東レダウコーニング社(株)製SH1107C)、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体(例えば信越化学工業(株)製KF−9901)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(例えば信越化学工業(株)製KF−9908)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(例えば信越化学工業(株)製KF−9909)、アクリルシリコーン樹脂(例えば信越化学工業(株)製KP−574)等を挙げることができる。
【0016】
有機ケイ素化合物としてはシランカップリング剤、アルコキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシジル基含有シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等のビニル基含有シランカップリング剤;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤等を挙げることができる。アルコキシシランとしてはメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0017】
有機チタン化合物としては、ジ−i−イソプロポキシチタンビス(メチルアセトアセテート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(プロピルアセトアセテート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(ブチルアセトアセテート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジ−n−プロポキシチタンビス(メチルアセトアセテート)、ジ−n−プロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジ−n−プロポキシチタンビス(プロピルアセトアセテート)、ジ−n−プロポキシチタンビス(ブチルアセトアセテート)、ジ−n−プロポキシチタンビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(メチルアセトアセテート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(プロピルアセトアセテート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(ブチルアセトアセテート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(ヘキシルアセトアセテート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジ−n−プロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジ−n−ブトキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(ジエタノールアミネート)、ジブトキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、ジブトキシチタンビス(ジエタノールアミネート)、ジオクチロキシチタンビス(オクチレングリコレート)、ジヒドロキシチタンビスラクテート、トリイソステアロイルオキシ−イソプロポキシチタニウムなどが挙げられる。これらのなかでも、チタンカップリング剤がより好ましく、なかでも、特に好ましいものとしてはジ−i−プロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジ−i−プロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)、トリイソステアロイルオキシ−イソプロポキシチタニウム等を挙げることができる。
【0018】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体の原料となる未処理の酸化亜鉛粉体は、その形状、製造方法等を特に限定するものでなく、平均粒子径が1.1μm以上のものであればよい。
【0019】
また、本発明における表面処理方法としては特に限定されず、それぞれの表面処理に関して通常の処理方法によって行うことができる。
【0020】
また、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選択される化合物による処理を2回以上施すものであってもよい。この場合、異なる種類の処理を逐次行うものであってもよい。
【0021】
表面処理においては、表面処理酸化亜鉛粉体の全量に対して、0.1〜20重量%の割合で上記表面処理剤による表面処理層を有するものであることが好ましい。0.1重量%未満であると、充分な抗菌性能が得られなくなるおそれがある点で好ましくない、20重量%を超えると、酸化亜鉛の本来の性能が損なわれるおそれがある点で好ましくない。
【0022】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体に対して、更に、上記酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選択される化合物による処理とは異なった表面処理を施してもよい。また、上記酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選択される化合物による処理とは異なった表面処理を行った酸化亜鉛粉体に対して上記酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物から選択される化合物による処理を行うものであってもよい。
【0023】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、抗菌剤としての性能を有するものである。よって、化粧料、樹脂組成物、塗料組成物等の各種組成物への抗菌剤として添加することができる。また、酸化亜鉛が有する抗菌性以外の性能を利用した用途、例えば、放熱材、紫外線遮蔽剤等として使用する場合にも、抗菌性能を付与することができる点で好ましいものである。このような抗菌剤及びこのような酸化亜鉛粉体を含有する抗菌性組成物も本発明の一つである。このような抗菌性組成物は、例えば、化粧料組成物、樹脂組成物等として使用することができる。
【0024】
このような本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、化粧料の配合成分として使用することができる。本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、酸化亜鉛粉体が有する紫外線防御性能等の性能を有しつつ、抗菌性能においても優れたものであることから、化粧料において好適に使用することができる。本発明の化粧料としては、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、サンスクリーン剤、乳液、クリーム、ローション等の皮膚化粧料等を挙げることができる。本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができる。
【0025】
本発明の化粧料は、上記表面処理酸化亜鉛粉体以外に、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0026】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。
【0027】
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α´−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0028】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POE−グリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE 脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POE ノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0029】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0030】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0031】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0032】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0033】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0034】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0035】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0036】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0037】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3− カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5− メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0038】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0039】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる
【0040】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用される。また、本発明に該当しない他の酸化亜鉛粉体を混合して使用するものであってもよい。
【0041】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、放熱性フィラーとして使用することもできる。
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体を放熱性フィラーとして使用する場合、単独での使用、他の放熱性フィラーとの併用のいずれの方法とすることもできる。単独での使用、他の放熱性フィラーとの併用使用に関わらず、本発明の放熱性フィラーを樹脂組成物、グリース組成物等の放熱性組成物の全量に対して、10〜90体積%の割合で使用することが好ましい。
【0042】
また、本発明の表面処理酸化亜鉛粉体を放熱性フィラーとして使用する場合、粒子径が異なる放熱性フィラーと組み合わせて使用することもできる。組み合わせて使用することができる放熱性フィラーとしては特に限定されず、例えば、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属シリコン、ダイヤモンド等を挙げることができる。更に、上述した表面処理酸化亜鉛粉体以外の酸化亜鉛と組み合わせて使用することもできる。組み合わせて使用する放熱性フィラーは、球状、針状、棒状、板状等の任意の形状を有するものであってよい。
【0043】
上記表面処理酸化亜鉛粉体を放熱性フィラーとして使用する場合、樹脂と混合した放熱性樹脂組成物として使用することができる。この場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良く、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、液晶樹脂(LCP)、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を挙げることができる。
【0044】
上記放熱性樹脂組成物は、(1)熱可塑性樹脂と上記表面処理酸化亜鉛粉体とを溶融状態で混練することによって得られた熱成型用の樹脂組成物、(2)熱硬化性樹脂と上記表面処理酸化亜鉛粉体とを混練後、加熱硬化させることによって得られた樹脂組成物、(3)樹脂溶液又は分散液中に上記表面処理酸化亜鉛粉体を分散させた塗料用の樹脂組成物であっても良い。
【0045】
上記放熱性樹脂組成物が熱成型用の樹脂組成物である場合、用途によって樹脂成分を自由に選択することができる。例えば、熱源と放熱板に接着し密着させる場合には、シリコーン樹脂やアクリル樹脂のような接着性が高く硬度の低い樹脂を選択すれば良い。
【0046】
本発明の放熱性樹脂組成物が塗料用の樹脂組成物である場合、樹脂は硬化性を有するものであっても、硬化性を有さないものであっても良い。塗料は、有機溶媒を含有する溶剤系のものであっても、水中に樹脂が溶解又は分散した水系のものであっても良い。
【0047】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体を放熱性フィラーとして使用する場合、鉱油又は合成油を含有する基油と混合した放熱性グリースとして使用することもできる。このような放熱性グリースとして使用する場合は、合成油としてα−オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、トリメリット酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル等が使用できる。また、シリコーンオイルと混合した放熱性グリースとして使用することもできる。
【0048】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、放熱性フィラーとして使用する場合、その他の成分を併用して使用することもできる。併用して使用することができるその他の成分としては、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属シリコン、ダイヤモンド等の酸化亜鉛以外の放熱性フィラー、樹脂、界面活性剤等を挙げることができる。
【0049】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、上述した化粧料や放熱性フィラーの他に、ゴムの加硫促進剤、塗料・インキ用顔料、フェライトやバリスタ等の電子部品、医薬品等の分野においても使用することができる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
抗菌性試験用テストピースの作成
2本ロールを115℃に加熱し、ポリエチレン樹脂(住友化学製スミカセンF−412−1)100gおよび試料20gを5分間混練した。この時2本ロールのクリアランスは0.2mmとした。
混練後の組成物を蒸気プレスで100℃、10分間プレス後、60度に冷却しフィルム状組成物を得た。厚みが1mmになるようにプレスし、プレス後のフィルム状組成物を100mm角にカットし抗菌性試験用テストピースとした。
【0052】
実施例1
大粒子酸化亜鉛LPZINC−2(堺化学工業製、平均粒子径2μm)100gとシリコーンオイル(信越化学製KF−9901)1gを300mlマヨネーズビンにとり、ペイントコンディショナーで20分間振とうし均一にコーティングした後、105℃で12時間熱処理し表面処理酸化亜鉛粒子を得た。得られた表面処理酸化亜鉛粒子を前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0053】
実施例2
大粒子酸化亜鉛LPZINC−2(堺化学工業製、平均粒子径2μm)100gとデシルトリメトキシシラン(信越化学製KBM−3103C)1gを300mlマヨネーズビンにとり、ペイントコンディショナーで20分間振とうし均一にコーティングした後、105℃で12時間熱処理し表面処理酸化亜鉛粒子を得た。得られた表面処理酸化亜鉛粒子を前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0054】
実施例3
大粒子酸化亜鉛LPZINC−2(堺化学工業製、平均粒子径2μm)100gとチタンカップリング剤(味の素ファインテクノ製KR−TTS)1gを300mlマヨネーズビンにとり、ペイントコンディショナーで20分間振とうし均一にコーティングした後、105℃で12時間熱処理し表面処理酸化亜鉛粒子を得た。得られた表面処理酸化亜鉛粒子を前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0055】
実施例4
大粒子酸化亜鉛LPZINC−11(堺化学工業製、平均粒子径11μm)を1Lの純水に分散し、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiOとして29%)3.5gを加えた後、0.1%硫酸をpHが7.0になるまで加え粒子表面にSiOを析出させた後、ろ過、乾燥することで表面処理酸化亜鉛粒子を得た。得られた表面処理酸化亜鉛粒子を前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0056】
実施例5
大粒子酸化亜鉛LPZINC−11(堺化学工業製、平均粒子径11μm)100gとシリコーンオイル(信越化学製KF−9901)1gを300mlマヨネーズビンにとり、ペイントコンディショナーで20分間振とうし均一にコーティングした後、105℃で12時間熱処理し表面処理酸化亜鉛粒子を得た。得られた表面処理酸化亜鉛粒子を前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0057】
比較例1
大粒子酸化亜鉛LPZINC−2(堺化学工業製、平均粒子径2μm)を表面処理せず前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0058】
比較例2
大粒子酸化亜鉛LPZINC−11(堺化学工業製、平均粒子径11μm)を表面処理せず前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0059】
比較例3
球状SiO(堺化学工業製、平均粒子径0.7μm)を表面処理せず前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0060】
比較例4
球状SiO(堺化学工業製、平均粒子径0.7μm)100gとシリコーンオイル(信越化学製KF−9901)1gを300mlマヨネーズビンにとり、ペイントコンディショナーで20分間振とうし均一にコーティングした後、105℃で12時間熱処理し表面処理酸化亜鉛粒子を得た。得られた表面処理酸化亜鉛粒子を前述の手順に従って抗菌性試験用テストピースを作成した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1の結果から、表面処理を施していない粒子径1.1μm以上の酸化亜鉛粉体は抗菌性能を有さないものであるのに対し、本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、いずれも好適な抗菌性能を有することが明らかである。更に、シリカ粒子に対して同様の表面処理を施しても、抗菌性能が得られていないことも明らかである。このような結果から、シリカ被覆単独で抗菌性能が発現しているわけではなく、酸化亜鉛粉体に表面被覆を施したことによる相互作用によって抗菌性能が発現していることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の表面処理酸化亜鉛粉体は、化粧料、樹脂等の配合成分として使用することができる。