特許第5930141号(P5930141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930141
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】継手用キャップ及びキャップ付き継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   F16L57/00 C
   F16L57/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-6826(P2016-6826)
(22)【出願日】2016年1月18日
(62)【分割の表示】特願2012-31884(P2012-31884)の分割
【原出願日】2012年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-95032(P2016-95032A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年1月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】上野 晃
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−25660(JP,A)
【文献】 実開昭62−62659(JP,U)
【文献】 実公昭64−5188(JP,Y2)
【文献】 実用新案登録第2542875(JP,Y2)
【文献】 実開昭62−92393(JP,U)
【文献】 実開昭56−119095(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/018985(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00 − 57/06
F16L 55/00
F16L 55/10 − 55/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプが差し込まれる差込空間を形成するための内筒部と外筒部とを有した継手に用いられ、当該継手の開口を覆うキャップ部を備えた継手用キャップであって、
前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内へ延びて、前記キャップ部の前記開口からの抜け落ちを係合規制する規制突起を備え、
前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内への前記パイプの差込量を示すゲージ部を前記内筒部の内側に挿入可能に突設し、
前記ゲージ部は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外周面に沿うように構成されており、
前記規制突起は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外側に位置するように構成されている
ことを特徴とする継手用キャップ。
【請求項2】
パイプが差し込まれる差込空間を形成するための内筒部と外筒部とを有し、前記外筒部には蓋体が装着された継手の開口を覆うキャップ部を備えた継手用キャップであって、
前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内へ延び、前記蓋体の内面に係合して前記キャップ部の抜け落ちを規制する規制突起を備え、
前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内への前記パイプの差込量を示すゲージ部を前記内筒部の内側に挿入可能に突設し、
前記ゲージ部は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外周面に沿うように構成されており、
前記規制突起は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外側に位置するように構成されている
ことを特徴とする継手用キャップ。
【請求項3】
パイプが差し込まれる差込空間を形成するための内筒部と外筒部とを有した継手と、
請求項1又は請求項2に記載の継手用キャップとを備えたことを特徴とするキャップ付き継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給水系や給湯系の配管システムにおいて、継手の不使用時にその継手の端部に取付けられ、継手内に塵埃等が入り込むことを防止するための継手用キャップ及びその継手用キャップが取付けられたキャップ付き継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給水系や給湯系の配管システムで使用される継手において、継手本体にはその軸線方向に延出された内筒部と外筒部との間にパイプの差込空間が形成され、外筒部には蓋体が外嵌されている。外筒部と蓋体との間には、差込空間に差し込まれたパイプを抜け止めする抜け止め機構が設けられ、パイプに引抜き力が作用したときにパイプの抜け止めを図るようになっている。この種の継手の不使用時には、継手内に塵埃等が入り込まないように継手の端部に防塵キャップが装着される場合がある。
【0003】
本願出願人は、そのような継手用防塵キャップの提案を既に行った(特許文献1を参照)。該防塵キャップは、継手の開口を覆うキャップ部と、該キャップ部から内筒部の内側に挿入されて内筒部に保持されるゲージ部とにより構成されている。そして、継手の不使用時には防塵キャップが継手の端部に装着され、継手内に塵埃等が侵入しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−25660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来構成の防塵キャップにおいては、キャップ部から継手の内筒部の内側空間にゲージ部が真直ぐに延びて内筒部に係止されているだけであることから、内筒部に対するゲージ部の係止力が弱い。そのため、継手の運搬時や継手の設置現場での移動時に防塵キャップが継手から外れる場合があった。防塵キャップが継手から外れた場合には、継手の端部開口から継手内に塵埃が入り込み、継手内に設けられているシール部材に塵埃が付着してシール性能が十分に発現されず、継手とパイプとの間から水漏れが発生するおそれがあるという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、継手からの抜け落ちを抑制することができ、継手内に塵埃等が入り込むことを抑えることができる継手用キャップ及びキャップ付き継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の継手用キャップは、パイプが差し込まれる差込空間を形成するための内筒部と外筒部とを有した継手に用いられ、当該継手の開口を覆うキャップ部を備えた継手用キャップであって、前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内へ延びて、前記キャップ部の前記開口からの抜け落ちを係合規制する規制突起を備え、前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内への前記パイプの差込量を示すゲージ部を前記内筒部の内側に挿入可能に突設し、前記ゲージ部は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外周面に沿うように構成されており、前記規制突起は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外側に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明の継手用キャップは、パイプが差し込まれる差込空間を形成するための内筒部と外筒部とを有し、前記外筒部には蓋体が装着された継手の開口を覆うキャップ部を備えた継手用キャップであって、前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内へ延び、前記蓋体の内面に係合して前記キャップ部の抜け落ちを規制する規制突起を備え、前記キャップ部の一側面には、前記差込空間内への前記パイプの差込量を示すゲージ部を前記内筒部の内側に挿入可能に突設し、前記ゲージ部は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外周面に沿うように構成されており、前記規制突起は、前記キャップ部の一側面を前記パイプの端部に宛がったときに当該パイプの外側に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明のキャップ付き継手は、パイプが差し込まれる差込空間を形成するための内筒部と外筒部とを有した継手と、請求項1又は請求項2に記載の継手用キャップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の継手用キャップにおいて、キャップ部には差込空間内へ延び、継手の蓋体内面に係合する規制突起が設けられている。このため、継手の不使用時に継手の端部に継手用キャップを装着すると、キャップ部の内面が継手の端面に密着するとともに、規制突起が継手の差込空間内に挿入されて蓋体の内面に係合する。従って、継手の運搬時等において継手に加わる振動等で継手用キャップに引抜き方向の力が作用したとき、規制突起と蓋体の内面との係合力により継手用キャップの抜け落ちが規制される。
【0011】
よって、本発明の継手用キャップによれば、継手からの抜け落ちを抑制することができ、継手内に塵埃等が入り込むことを抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態における継手に継手用キャップを装着した状態を示す半断面図。
図2】継手用キャップを示す斜視図。
図3】継手用キャップを示す右側面図。
図4】継手用キャップを示す正面図。
図5】継手用キャップの規制突起の先端部分を示す部分拡大正面図。
図6図5の6−6線における断面図。
図7】継手用キャップの作用を示す図であって、(a)は継手用キャップを継手内に挿入し始めた状態を示す断面図、(b)は継手用キャップを継手内に挿入する途中の状態を示す断面図、(c)は継手用キャップを継手内に挿入完了した状態を示す断面図。
図8】継手の差込空間内に樹脂パイプを差し込んだ状態を示す半断面図。
図9】継手用キャップのゲージ部の作用を示す図であって、(a)はゲージ部を樹脂パイプの端部に沿わせた状態を示す斜視図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)の正面図。
図10】外周に保温材を巻いた継手に継手用キャップを装着した状態を示す半断面図。
図11】継手用キャップの別例を示す図であって、(a)はその継手用キャップを示す右側面図、(b)は継手用キャップを示す正面図。
図12】継手用キャップのさらなる別例を示す図であって、(a)はその継手用キャップを示す右側面図、(b)は継手用キャップを示す正面図、(c)は継手用キャップを継手内に挿入した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図9に基づいて詳細に説明する。
図8に示すように、継手10は、樹脂パイプ11が接続される円筒状の継手本体12が二方に設けられて構成されている。この継手本体12はポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の合成樹脂により形成されている。樹脂パイプ11は、ポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブテン等)等の合成樹脂により形成されている。継手本体12は左右対称に構成されていることから、一方の継手本体12について説明する。
【0014】
継手本体12には、樹脂パイプ11が差し込まれる差込空間13を形成するための内筒部14及び外筒部15が内周及び外周に間隔をおいて突出形成されている。外筒部15の内周面の内端側には段部15aが設けられ、その段部15aより外端側には係止段差15bが設けられている。該係止段差15bには、ポリアセタール樹脂(POM)製の中間筒体16が係止されている。この中間筒体16と前記段部15aとの間の環状空間には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)製のシールリング17が配置されている。このシールリング17により、差込空間13に樹脂パイプ11が差し込まれたとき、樹脂パイプ11の外周面と外筒部15の内周面との間が水密に保持されるように構成されている。前記内筒部14の内側空間は、水などの流体が流通する流路18となっている。
【0015】
前記外筒部15の外周面には、2条の係止凸条19が周方向に延びるように、継手本体12の軸線方向に間隔をおいて突設されている。外筒部15に外嵌されるPPS製の蓋体20は、その内周面の2条の係止凹条21が前記外筒部15の係止凸条19に係合されることにより、外筒部15に連結されている。蓋体20の先端部は縮径され、その縮径部位の内周面には、先端ほど縮径する傾斜面22が設けられている。
【0016】
前記外筒部15と蓋体20との間には、差込空間13に差し込まれる樹脂パイプ11を抜け止めする抜け止め機構23が設けられている。この抜け止め機構23を構成する抜け止めリング24はステンレス鋼等の金属で形成され、その内周部には複数の抜け止め片24aが内端側へ傾斜するように突出形成されている。この抜け止めリング24は、蓋体20及び中間筒体16に挟着された支持体25と後記割リング26とにより挟持されている。この抜け止め片24aが、差込空間13に差し込まれた樹脂パイプ11に引抜き力が作用したとき、その外周部に食い込んで樹脂パイプ11を抜け止めするように構成されている。
【0017】
前記抜け止めリング24と蓋体20との間には、PPS製の割リング26が介在され、抜け止め片24aの傾斜角度を保持するように構成されている。この割リング26の外端部の外周面は外端側ほど縮径する斜面27となり、その斜面27が前記蓋体20の傾斜面22に摺接するように構成されている。割リング26の内周部には締付面28が形成されている。そして、継手10の差込空間13に樹脂パイプ11が差し込まれた状態で、樹脂パイプ11に引抜き力が作用した場合に抜け止めリング24を介して割リング26が外端側へ移動したとき締付面28で樹脂パイプ11を締付けるようになっている。
【0018】
前記蓋体20の傾斜面22の外端側は、樹脂パイプ11が継手10に差し込まれていないときには割リング26の斜面27が接触されていない非接触面となっている。前記の抜け止めリング24、支持体25、蓋体20、中間筒体16、割リング26等によって樹脂パイプ11の抜け止め機構23が構成されている。
【0019】
前記差込空間13には、樹脂パイプ11の先端面に押圧されて樹脂パイプ11の差し込みを案内するポリプロピレン樹脂(PP)製の差込ガイド29が配置されている。また、蓋体20の外周面には、ステンレス鋼製の締付用カバー30がその端部を蓋体20外周の取付溝20aに係止して装着され、外筒部15に対して蓋体20を抜け止め保持している。
【0020】
図2図4に示すように、継手用キャップ31を構成するキャップ部32はポリプロピレン樹脂等により円板状に形成され、前記継手10端部の開口を覆うように構成されている。このキャップ部32の一部には、該キャップ部32を継手10に着脱するための把持部33が突出形成されている。該キャップ部32の一側面の中央部には、継手10の差込空間13内への樹脂パイプ11の差込量を示すゲージ部34が断面円弧状に突出形成されている。このゲージ部34は、継手用キャップ31が継手10に装着されるとき、内筒部14の内側空間に挿入されるようになっている。
【0021】
同じくキャップ部32の一側面の上下の180度対向する位置には、一対の平板状をなす規制突起35がキャップ部32と直交する方向に延出されている。図5に示すように、一対の規制突起35の各先端部は互いに近づく方向に曲げ形成された曲げ部36となるとともに、該曲げ部36の根元部分の外面側には半円柱状の係合突部37が規制突起35の幅方向全体に延びるように膨出形成されている。前記規制突起35が平板状に形成され、係合突部37がその幅方向全体に延びるように形成されていることから、前記蓋体20内面の傾斜面22に対する係合力を高めることができる。また、曲げ部36により、蓋体20内への規制突起35の挿入を円滑に行うことができるとともに、蓋体20の傾斜面22に対する係合突部37の係合を安定して行うことができる。
【0022】
図6に示すように、規制突起35及びその曲げ部36は外面側が円弧状に膨らみ形成され、強度向上が図られている。そして、図1に示すように、継手用キャップ31が継手10に装着されたとき、規制突起35が差込空間13内に延び、係合突部37が蓋体20の傾斜面22に係合して、継手10からの継手用キャップ31の抜け落ちを規制するようになっている。
【0023】
図9(a)及び(b)に示すように、前記ゲージ部34は、キャップ部32を樹脂パイプ11の端面に宛がったときに樹脂パイプ11の外周面に沿うように構成されている。このため、ゲージ部34の円弧の半径は、樹脂パイプ11の大きさに対応して決定される。そして、図9(a)及び(c)に示すように、その状態で、ゲージ部34の先端面に沿って樹脂パイプ11の差し込み長さを示す目印線38を描くことができるようになっている。
【0024】
次に、以上のように構成された継手用キャップ31についてその作用を説明する。
さて、継手用キャップ31を継手10に装着する場合には、図7(a)に示すように、キャップ部32の把持部33を把持し、ゲージ部34を内筒部14の内側空間に挿入していくと両規制突起35の先端部が継手10の蓋体20の外端部に到り、その内側に挿入される。このとき、規制突起35の先端部には内側へ曲げられた曲げ部36が形成されていることから、規制突起35の先端部が蓋体20の外端部に当たることを回避してスムーズに挿入することができる。
【0025】
続いて、図7(b)に示すように、キャップ部32を継手10側へ指で押し込むようにして規制突起35を差込空間13内へさらに挿入すると、その係合突部37が蓋体20の先端内周面に摺接することによって規制突起35が内側へ撓み変形しながら移動する。そして、図7(c)に示すように、キャップ部32の規制突起35側の側面(内面)が蓋体20の外端面に当たるまで挿入すると、係合突部37は蓋体20の先端内周面から傾斜面22側へ変形し、その傾斜面22に係合する。このとき、規制突起35の先端部には内側に曲げ形成された曲げ部36が設けられているため、規制突起35の先端部が継手10の割リング26に干渉することを回避することができる。
【0026】
この状態では、一対の係合突部37は、それぞれ蓋体20の先端内周面より外径側に位置している。このため、継手用キャップ31に抜き出し方向への力が作用したとき、その力が一対の規制突起35の各係合突部37を介して蓋体20の傾斜面22に受け止められる。従って、継手10の蓋体20から継手用キャップ31の抜け落ちが抑えられる。
【0027】
以上の実施形態により得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態の継手用キャップ31において、キャップ部32には差込空間13内へ延び、蓋体20の内面に係合する規制突起35が設けられている。このため、継手10の不使用時に継手10の端部に継手用キャップ31を装着すると、キャップ部32の内面が蓋体20の外端面に密着するとともに、規制突起35が継手10の差込空間13内に挿入されて蓋体20の内面に係合する。従って、継手10の運搬時等において継手10に加わる振動等で継手用キャップ31に引抜き方向の力が作用したとき、規制突起35と蓋体20の内面との係合力により継手用キャップ31の抜け落ちが規制される。
【0028】
よって、本実施形態の継手用キャップ31によれば、継手10からの抜け落ちを抑制することができ、その結果継手10内に塵埃等が入り込むことを抑えることができ、シールリング17の機能を保持することができるという効果を奏する。
(2)前記規制突起35は、蓋体20の傾斜面22側へ延びる係合突部37を有している。従って、その係合突部37が蓋体20の傾斜面22に容易に係合することができるとともに、係合突部37と傾斜面22との間の係合力を高めることができる。
(3)前記規制突起35は、180度対向する位置に一対設けられている。このため、規制突起35の機能を有効に発揮させることができ、継手10からの継手用キャップ31の抜け落ち抑制効果を向上させることができる。
(4)前記キャップ部32には、差込空間13内への樹脂パイプ11の差込量を示すゲージ部34を内筒部14の内側に挿入可能に突設した。そのため、このゲージ部34により継手10に対する樹脂パイプ11の差込量を簡単に知ることができる。
(5)前記ゲージ部34は、キャップ部32を樹脂パイプ11の端部に宛がったときに樹脂パイプ11の外周面に沿うように構成されている。このため、樹脂パイプ11の端部に差込量を示す目印線38をつける操作を容易かつ速やかに行うことができる。
【0029】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
図10に示すように、継手10が寒冷地で使用される場合には、継手10の外周部全体がポリウレタン樹脂発泡体等の合成樹脂発泡体で形成された保温材39により被覆されている。この場合には、継手用キャップ31として前記実施形態に示した構造のものに代えて、図10に示すように、キャップ部32の把持部33をその根元の折曲部33aで斜め外方に傾斜させたものを用いることが好ましい。このように構成すれば、保温材39に邪魔されることなく、継手10に対する継手用キャップ31の着脱を容易に行うことができる。
【0030】
図11(a)及び(b)に示すように、各規制突起35の根元とキャップ部32の側面との間に三角板状の補強リブ41を設けるように構成してもよい。このように構成した場合、規制突起35の強度を高めて内側への倒れを抑制することができ、蓋体20の傾斜面22に対する規制突起35の係合力を向上させることができる。
【0031】
図12(a)及び(b)に示すように、規制突起35の曲げ部36の先端部に内側へ曲げた延出部36aを形成してもよい。この場合には、図12(c)に示すように、継手用キャップ31を継手10に装着したとき、規制突起35の延出部36aが内筒部14の外周面に係合し、規制突起35を外側へ押し広げることができ、蓋体20の傾斜面22に対する係合突部37の係合力を高めることができる。
【0032】
・ 前記継手用キャップ31のキャップ部32に設けられた把持部33を省略してもよい。この場合には、キャップ部32の周囲を把持して継手用キャップ31の着脱を行うことができる。また、キャップ部32の直径が継手10の蓋体20先端部の直径よりも小さい場合には、前記継手10外周の保温材39を継手10よりも長くなるように延出形成することができる。
【0033】
・ 前記規制突起35を1箇所又は3箇所以上に設けてもよい。規制突起35を複数箇所に設ける場合には、継手用キャップ31の抜け止めを安定して行うことができるように、規制突起35をキャップ部32の周方向に均等間隔に設けることが望ましい。
【0034】
・ 前記規制突起35の係合突部37には、継手10の蓋体20の傾斜面22に沿う傾斜対応面を形成してもよい。このように構成すれば、係合突部37の傾斜対応面が蓋体20の傾斜面22に密着して両者間の係合力を高めることができる。
【0035】
・ 前記規制突起35を、角棒状、丸棒状等の形状に変更してもよい。
・ 前記規制突起35の係合突部37を、円錐状、円錐台状、角錐状、角錐台状等の形状に形成してもよい。
【0036】
・ 前記規制突起35の係合突部37を省略してもよい。この場合には、平板状に形成された規制突起35の幅を広く設定することが好ましい。
・ 前記継手用キャップ31のゲージ部34を省略してもよい。この場合にも、継手用キャップ31は継手10からの抜け落ちを防止できて、防塵効果を発揮することができる。
【0037】
・ 前記継手用キャップ31を、ポリエチレン(PE)樹脂等で形成してもよい。
・ 前記継手10を、継手本体12が三方、四方等となるように構成することも可能である。
【0038】
・ 前記継手本体12、蓋体20等をポリアセタール(POM)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等の合成樹脂(エンジニアリングプラスチック)によって形成してもよい。
【0039】
・ パイプとして、樹脂パイプ11のほかに銅パイプ等の軟らかい金属製のパイプを使用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…継手、11…樹脂パイプ、13…差込空間、14…内筒部、15…外筒部、20…蓋体、22…蓋体内面としての傾斜面、31…継手用キャップ、32…キャップ部、34…ゲージ部、35…規制突起、37…係合突部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12