特許第5930194号(P5930194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930194
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】端末装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   G06F1/16 312Z
   G06F1/16 313E
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-138346(P2012-138346)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-2627(P2014-2627A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠史
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 恵一
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−265692(JP,A)
【文献】 特開平11−174598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
H04N 1/10
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結した端末装置であって、
読取対象が配置される前記第1の筐体に対向して前記第2の筐体に設けられた撮像手段と、
前記撮像手段により前記読取対象を撮影する際に、前記第1の筐体と第2の筐体との開閉角度を検出する角度検出手段と、
前記第2の筐体に設けられた発光体を駆動する駆動手段と、
前記角度検出手段により検出された開閉角度が小さくなればなるほど前記発光体の輝度が高くなるように制御する輝度制御手段と、
を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記発光体は、前記第2の筐体に設けられた表示部を照明するバックライトであり、
前記輝度制御手段は、前記角度検出手段により検出された開閉角度に応じて前記バックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記表示部に白色の塗りつぶし画像を表示させる表示制御手段を更に備え、
前記輝度制御手段は、前記表示制御手段によって前記表示部に白色の塗りつぶし画像が表示されている状態において前記バックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記輝度制御手段は、前記角度検出手段により検出された開閉角度に応じて前記バックライトの輝度を制御する場合に、前記表示部の全面を照明する場合に部分的に明るさが異なるように前記バックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項2あるいは請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記輝度制御手段は、前記第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結するヒンジ部の近くに配設された内側バックライトと、前記ヒンジ部から離れて配設された外側バックライトのうち、前記角度検出手段により検出された開閉角度に応じて前記バックライトの輝度を制御する場合に、前記内側バックライトの方が前記外側バックライトよりも輝度が高くなるように前記バックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記バックライトは、発光ダイオードである、
ことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
前記表示部の周辺照度を検出する照度検出手段を更に備え、
前記輝度制御手段は、前記角度検出手段により検出された開閉角度と前記照度検出手段によって検出された周辺照度に応じて前記発光体の輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項8】
前記撮像手段により前記読取対象を撮影する際に、前記角度検出手段により検出された開閉角度が前記読取対象を撮影することが可能な撮影可能範囲内か否かを判別する判別手段を更に備え、
前記輝度制御手段は、前記判別手段により撮影可能範囲内であることが判別された際に、前記発光体の輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項9】
第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結した端末装置に備えられるコンピュータを、
読取対象が配置される前記第1の筐体に対向し、かつ前記第1の筐体に開閉可能に連結されている前記第2の筐体に設けられた撮像手段により前記読取対象を撮影する場合において、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉角度を検出する手段、
前記第2の筐体に設けられた発光体を駆動する手段、
前記検出された開閉角度が小さくなればなるほど前記発光体の輝度が高くなるように制御する手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙媒体(例えば、ノートブックや書籍)に記載されている情報を読み取る画像読取装置としては、その紙媒体をスキャナで走査することによってイメージデータとして読み取ったり、デジタルカメラで撮影することによって撮影画像として読み取ったりするようにしている。そして、従来、紙媒体をデジタルカメラによって読み取る技術としては、例えば、第1の筺体と第2の筺体とがヒンジ部を介して回動可能(開閉可能)に取り付けられているノートパソコンにおいて、第1の筺体のキートップに資料を置き、撮像部を備えた第2の筺体がキートップの全体を撮影可能となる位置で所定時間保持されたときに、撮像部を動作させて資料の撮影を開始するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−76267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術にあっては、キートップ上に置いた資料を撮影するためには、第1の筺体と第2の筺体とを所定のヒンジ角度に厳密に調整する必要がある。また、第1の筺体と第2の筺体との角度によっては、第2の筺体の奥の方まで、つまり、ヒンジ部の付近まで外光が入り難くなって撮影画像全体が暗くなってしまうために、ノートパソコンを光源に向けたり、光源に近づけたりして撮影を行う必要があった。
【0005】
本発明の課題は、第1の筐体と第2の筐体との開閉角度に応じて、読取対象を明るく鮮明に撮影できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の端末装置は、
第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結した端末装置であって、
読取対象が配置される前記第1の筐体に対向して前記第2の筐体に設けられた撮像手段と、
前記撮像手段により前記読取対象を撮影する際に、前記第1の筐体と第2の筐体との開閉角度を検出する角度検出手段と、
前記第2の筐体に設けられた発光体を駆動する駆動手段と、
前記角度検出手段により検出された開閉角度が小さくなればなるほど前記発光体の輝度が高くなるように制御する輝度制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の筐体と第2の筐体との開閉角度に応じて、読取対象を明るく鮮明に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理装置として適用したカメラ付きタブレット端末装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
図2】カメラ付きタブレット端末装置11、紙媒体12をバインダ13に装着した状態における外観斜視図。
図3】バインダ13を構成する第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉じる際に撮像部6によって紙媒体12を撮影したときの撮影画角と紙媒体12との関係を示した図。
図4】複数個のバックライト5cの配設状態を示した図。
図5】第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度が開閉角度センサ9によって検出された場合に、その開閉角度に応じてバックライト5cの輝度が制御される様子を説明するための図。
図6】輝度テーブル3cを説明するための図。
図7】タブレット端末装置11の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャート。
図8】本実施形態の変形例を説明するための図で、撮影画像を解析することにより第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度を検出する場合を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図7を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、情報処理装置として撮像機能(デジタルカメラ)を備えたタブレット端末装置に適用した場合を例示したもので、図1は、このカメラ付きタブレット端末装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
タブレット端末装置は、その筐体全体が、例えば、A5サイズの携帯型情報端末装置であり、タッチ入力機能、無線通信機能などの基本機能のほか、後で詳述するが、このタブレット端末装置に接近配置されている紙媒体(例えば、ノート、リポート用紙、書籍など)を撮影することによりその紙媒体に記載されている情報(文字や図表など)を光学的に読み取る画像読取機能を備えている。本実施形態において、紙媒体とは、撮影すべき情報が記載されている媒体を示すものであり、素材が紙であることを特定するものではない。即ち、本実施形態において、紙媒体とは情報が記載されている被写体を意味している。また、本実施形態において、紙媒体には、情報を電子的に表示可能な電子ペーパーも含まれる。
【0011】
制御部1は、電源部(二次電池)2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこのタブレット端末装置の全体動作を制御するもので、この制御部1には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部3は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、図7に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラムメモリ3aと、このタブレット端末装置が動作するために必要となる各種の情報(例えば、フラグなど)を一時的に記憶するワークメモリ3bと、後述する輝度テーブル3cなどを有している。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続されている状態においては所定のサーバ装置側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0012】
操作部4は、押しボタン式のキーとして、図示省略したが、電源をオン/オフさせる電源キーなどを備え、制御部1は、この操作部4から操作キーに対応して出力される入力操作信号に応じた処理を行う。タッチ表示部5は、表示パネル5aにタッチパネル5bを積層配設した構成で、表示パネル5aは、縦横比(例えば、横4:縦3)の異なる画面を有した高精細液晶ディスプレイであり、この表示パネル5aの背面側には照明用の複数個のバックライト5cが配設されている。この複数個のバックライト5cは、例えば、3色(赤、緑、青)LED(発光ダイオード)あるいは白色LEDによって構成されたもので、その輝度は輝度コントロール部5dによって制御される。タッチパネル5bは、撮影者の指などでタッチ操作された位置を検知してその座標データを入力するタッチスクリーンを構成するもので、例えば、静電容量方式あるいは抵抗皮膜方式を採用しているが、その他の方式であってもよい。
【0013】
撮像部6は、画像読取機能を構成するもので、図示省略したが、光学レンズからの被写体像が撮像素子(CCDやCMOSなど)に結像されることにより被写体を高精細に撮影可能なデジタルカメラ部で、撮影レンズ、撮像素子、各種のセンサ、アナログ処理部、デジタル処理部を有している。撮像部6は、オートフォーカス機能などを備え、画像読取機能の動作時に、例えば、フレームレートが秒15コマ(15fps)の連続撮影(高速撮影)が可能となっている。無線LAN(Local Area Network)通信部7は、高速大容量の通信が可能な無線通信モジュールで、最寄りの無線LANルータ(図示省略)を介してインターネットに接続可能となっている。
【0014】
周辺照度センサ8、開閉角度センサ9については、後で詳述するが、周辺照度センサ8は、表示パネル5aの周辺の明るさを検出するための照度センサであり、制御部1は、この周辺照度センサ8によって検出された周辺照度に応じてバックライト5cの輝度を制御(調光)するようにしている。開閉角度センサ9は、後述する開閉可能な筐体の開閉角を検出するセンサであり、制御部1は、この開閉角度センサ9によって検出された開閉角に応じてバックライト5cの輝度を制御するようにしている。
【0015】
図2は、カメラ付きタブレット端末装置11、紙媒体12をバインダ13に装着した状態における外観斜視図である。
タブレット端末装置11と紙媒体(例えば、ノート、リポート用紙、書籍)12とは、バインダ13に装着されている。バインダ13は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとをヒンジ部13cを介して見開き状に開閉可能となるように取り付けた構成で、図示の例では、右側に第1の筐体13aが配置され、左側に第2の筐体13bが配置されている。なお、第1の筐体13aと第2の筐体13bとは、図示の場合とは逆の関係であってもよい。第1の筐体13a及び第2の筐体13bは、厚い平板状長方形(同形同大)の紙部材(厚紙)で、縦長の第1の筐体13a及び第2の筐体13bを左右に配置した状態においてヒンジ部13cを介して開閉可能に連結されている。即ち、第1の筐体13aと第2の筐体13bとは、ヒンジ部13cを回転軸として開閉可能に構成されている。
【0016】
そして、第1の筐体13aと第2の筐体13bとは、図示のように180°開いた状態から第1の筐体13aの上に第2の筐体13bが重なり合う状態(完全に閉じた状態)まで開閉可能なもので、ユーザにあってはバインダ13を180°開いた状態においてタブレット端末装置11を使用したり、紙媒体12に文字や図表などを書き入れたりするようにしている。また、タブレット端末装置11及び紙媒体12を使用しないときには、第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉じてバインダ13を完全に閉じるようにしている。
【0017】
タブレット端末装置11は、その全体が薄型の直方体で、バインダ13を構成する第2の筐体13b上に装着されていると共に、縦長の第2の筐体13bに対してタブレット端末装置11も縦長となる向きに配設されている。また、バインダ13を構成する他方の筐体(第1の筐体)13a上には紙媒体12が配置されている。紙媒体12は、一枚のシート状の用紙であってもよいし、書籍のように冊子の状態(製本状態)であってもよい。なお、バインダ13上において、タブレット端末装置11と紙媒体12との配置関係は、上述とは逆の関係であってもよい。また、タブレット端末装置11、紙媒体12は、バインダ13に着脱可能に装着されているが、その装着の仕方は、例えば、留め具、フックを使用するなど、任意である。
【0018】
このようにバインダ13の第2の筐体13bにタブレット端末装置11が装着されている状態において、タブレット端末装置11のタッチ表示部5及び撮像部6は、タブレット端末装置11の表面側に位置するように配設され、更に撮像部6と周辺照度センサ8は、表面側の一端中央部(図示の例では表面左端中央部)に位置するように配設されている。また、ヒンジ部13cには開閉角度センサ9が配設されている。この開閉角度センサ9は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとを開閉可能に連結するヒンジ部13cに設けられ、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度を検出するもので、例えば、ヒンジ部13cの軸(図示省略)が一定量回転する毎に2相のパルスを出力するロータリーエンコーダによって構成されたり、ホール素子あるいは磁気抵抗素子を使用して開閉検出を行う磁気センサによって構成されたりしている。
【0019】
図3は、バインダ13を構成する第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉じる際に撮像部6によって紙媒体12を撮影したときの撮影画角と紙媒体12との関係を示した図である。
制御部1は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度が例えば、125°〜30°の範囲(撮影可能な範囲)において、バインダ13を閉じる動作(開閉角度センサ9によって検出された開閉角度)に応じて、撮像部6のオートフォーカス機能を連動(追従)させて紙媒体12にフォーカスを合わせるようにしている。
【0020】
図4は、複数個のバックライト5cの配設状態を示した図である。
複数個のバックライト5cは、表示パネル5aの背面側においてその直下に配設されたもので、縦横比の異なる表示パネル5aの長手方向(横方向)に沿って4列配列となっている。すなわち、第1の筐体13aと第2の筐体13bとを連結するヒンジ部13c側に近い位置に配設された2列の内側バックライト5cと、ヒンジ部13cから離れた位置に配設された2列の外側バックライト5cとを有し、この4列のバックライト5cは、表示パネル5aの背面全体にゆきわたっている。輝度コントロール部5dは、開閉角度センサ9によって検出された開閉角度に応じて複数個のバックライト5cの輝度を制御するようにしているが、その際、2列の内側バックライト5cと外側バックライト5cとに分けてそれらの輝度を制御するようにしている。
【0021】
図5は、開閉角度センサ9によって検出された開閉角度に応じてバックライト5cの輝度を制御する様子を説明するための図である。
図5(1)は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度が70°の場合を示し、図5(2)は、その開閉角度が30°の場合を示している。この場合、輝度コントロール部5dは、その開閉角度が小さくなればなるほど、バックライト5cの輝度が高くなるように制御するようにし、また、開閉角度が同じであれば、内側バックライト5cの方が外側バックライト5cよりも輝度を高くなるように制御するようにしている。
【0022】
図6は、輝度テーブル3cを説明するための図である。
輝度テーブル3cは、開閉角度センサ9によって検出された開閉角度及び周辺照度センサ8によって検出された周辺光の変化に応じてバックライト5cの輝度を制御する際に参照されるテーブルで、角度輝度テーブル3c−1、照度輝度テーブル3c−2を有している。制御部1は、開閉角度センサ9によって検出された開閉角度に応じて角度輝度テーブル3c−1を参照した後、周辺照度センサ8によって検出された周辺照度に応じて照度輝度テーブル3c−2を参照するようにしている。
【0023】
角度輝度テーブル3c−1は、開閉角度センサ9によって検出された開閉角度に対応付けて内側バックライト5c及び外側バックライト5cの輝度値を記憶する構成で、「開閉角度」、「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」の各項目を有している。図示の例において「開閉角度」の“30°〜”、“35°〜”、…、“120°〜”、“〜125°〜”は、撮影可能な範囲(例えば、125°〜30°の範囲)を5°刻みで分けた場合を示し、この5°刻み毎に対応して「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」にはその輝度値が記憶されている。
【0024】
すなわち、「内側バックライト輝度」には、5°刻みの開閉角度の変化に対応付けて内側バックライト5cをどのような輝度で点灯させるかの輝度値が記憶され、また、「外側バックライト輝度」には、5°刻みの開閉角度の変化に対応付けて外側バックライト5cをどのような輝度で点灯させるかの輝度値が記憶されている。この場合、「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」は、開閉角度が小さくなればなるほど、その値が大きくなるように設定され、また、開閉角度が同じであれば、内側バックライト5cの方が外側バックライト5cよりも輝度を大きくなるように設定されている。
【0025】
照度輝度テーブル3c−2は、周辺照度センサ8によって検出された周辺光の変化に応じて内側バックライト5c、外側バックライト5cの輝度増減率を記憶する構成で、「周辺照度」、「輝度増減率」の各項目を有し、図示の例では、「周辺照度」には、標準的な明るさを(所定の閾値)を基準として“明るさ大”、“明るさ中”、“明るさ小”が記憶されている。「輝度増減率」は、角度輝度テーブル3c−1を参照することによって得られた「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」を周辺照度に応じて増減率を記憶するもので、「輝度増減率」には、標準的な明るさを増減する値として、“30%減”、“増減なし”、“30%増”が記憶されている。
【0026】
次に、本実施形態におけるタブレット端末装置11の動作概念を図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0027】
図7は、タブレット端末装置11の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、電源投入に応じて実行開始される。
先ず、制御部1は、電源投入操作(電源オン操作)に応じてメモリなどをクリアする初期化処理を行うと共に、露出などの撮影条件を撮像部6に設定して撮影を開始させ、更には、バックライト5cの照明効果を高めるために、タッチ表示部5の表示パネル5aに白色の塗りつぶし画像を表示させる(ステップS1)。
【0028】
そして、制御部1は、電源オフ操作が行われたかを調べ(ステップS2)、電源オフ操作が行われなければ(ステップS2でNO)、開閉角度センサ9から第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度を取得し(ステップS3)、その開閉角度は撮影可能範囲(例えば、125°〜30°の範囲)であるかを調べる(ステップS4)。なお、撮影可能範囲は、125°〜30°の範囲に限らず、110°〜15°の範囲などであってもよく、どのような範囲を設定するかは、紙媒体12の大きさや文字サイズなどを考慮して、予めユーザ操作により任意に設定可能としてもよい。
【0029】
いま、開閉角度が撮影可能な範囲から外れているときには(ステップS4でNO)、例えば、開閉角度が180°であれば、バインダ13を180°開いた状態においてタブレット端末装置11を使用したり、紙媒体12に文字や図表などを書き入れたりしている場合であり、また、開閉角度が0°であれば、バインダ13を完全に閉じている場合であり、このような場合には、上述のステップS2に戻って電源オフ操作が行われたかを調べる。また、開閉角度が撮影可能な範囲(例えば、125°〜30°の範囲)内であれば(ステップS4でYES)、その開閉角度に応じて角度輝度テーブル3c−1を参照することにより、5°刻みの開閉角度に対応付けられている「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」の輝度値を読み出す(ステップS5)。例えば、開閉角度が75°〜70°であれば、それに対応する「内側バックライト輝度」及び「外側バックライト輝度」からその輝度値をそれぞれ読み出す。
【0030】
そして、周辺照度センサ8から表示パネル5aの周辺の照度を取得し(ステップS6)、この周辺照度に応じて照度輝度テーブル3c−2を参照することにより、“明るさ大”、“明るさ中”、“明るさ小”に対応する“輝度増減値”を読み出す(ステップS7)。これによって角度輝度テーブル3c−1から読み出した「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」の輝度値を、照度輝度テーブル3c−2から読み出した“輝度増減値”に基づいて増減させる処理を行う(ステップS8)。この場合、周辺照度が“明るさ小”であれば、角度対応の「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」を“30%”増大させ、“明るさ大”であれば、角度対応の「内側バックライト輝度」、「外側バックライト輝度」を“30%”減少させる。
【0031】
これによって算出(増減)された「内側バックライト輝度」の輝度値を輝度コントロール部5dに与えて内側バックライト5cをその輝度に応じて点灯させると共に(ステップS9)、「外側バックライト輝度」を輝度コントロール部5dに与えて外側バックライト5cをその輝度に応じて点灯させる(ステップS10)。この状態において撮像部6によって撮影された1フレーム分の撮影画像を取得し(ステップS11)、この取得画像を保存候補として記憶部3に一時記憶させる(ステップS12)。
【0032】
そして、開閉角度センサ9によって検出された開閉角度は撮影可能範囲の下限値を超える“30°”未満かを調べ(ステップS13)、撮影可能範囲の下限値を超えていなければ(ステップS13でNO)、上述のステップS2に戻る。以下、上述の動作を繰り返す結果、バインダ13を閉じる(開閉角度が狭くなる)にしたがってバックライト5cの輝度が高くなり、開閉角度が同じであれば、内側バックライト5cの方が外側バックライト5cよりも輝度を高くなり、更に周辺照度に応じてバックライト5cの輝度が増減される。ここで、電源オフ操作が行われたときには(ステップS2でYES)あるいは撮影可能範囲の下限値を超えたときには(ステップS13でYES)、撮像部6の動作を停止させると共にバックライト5cを消灯させ(ステップS14)、更に電源をオフする処理を行う(ステップS15)。その後、図7のフローから抜ける。なお、ユーザは、一時記憶されている保存候補の各撮影画像の中から所望の画像を適宜選択し、その選択画像のみを記録保存するようにしてもよい。
【0033】
以上のように、本実施形態においてタブレット端末装置11は、第1の筐体13aに配置されている読取対象の紙媒体12を第2の筐体13bに設けられた撮像部6により撮影する際に、バインダ13を構成する第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度が開閉角度センサ9によって検出されると、その開閉角度に応じて発光体の輝度を制御するようにしたので、特別な操作を行わなくても、第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉めるだけで紙媒体12をどのような開閉角度であっても明るく、かつ白とびや黒つぶれなどの現象もなく鮮明に撮影することができ、簡単かつ確実な撮影を実現することが可能となる。
【0034】
発光体は、第2の筐体13bに設けられたタッチ表示部5の表示パネル5aを照明するバックライト5cであり、制御部1は、開閉角度センサ9により検出された開閉角度に応じてバックライト5cの輝度を制御するようにしたので、特別な発光体を設けなくても既存の発光体を利用して紙媒体12を照明することができ、部品点数の増大を防ぐことができる。
【0035】
制御部1は、タッチ表示部5の表示パネル5aに白色の塗りつぶし画像を表示させた状態において、バックライト5cの輝度を制御するようにしたので、表示パネル5aの黒表示などによってバックライト5cの明るさが部分的に減衰されることがなくなり、その輝度制御が容易となる。
【0036】
開閉角度センサ9により検出された開閉角度に応じてバックライト5cの輝度を制御する場合に、表示パネル5aの全面を照明する明るさが部分的に異なるようにバックライト5cの輝度を制御するようにしたので、開閉角度に関わらず、紙媒体12の全体をむらなく良好に照明することが可能となる。
【0037】
第1の筐体13aと第2の筐体13bとを開閉可能に連結するヒンジ部13cの近くに配設された内側バックライト5cの方が、ヒンジ部13cから離れて配設された外側バックライト5cよりも輝度が高くなるように複数のバックライト5cの輝度を制御するようにしたので、開閉角度が狭くなるにしたがってヒンジ部13cの近辺部分が遮光されて暗くなったとしてもその部分の照明を明るくすることができ、紙媒体12の全体をむらなく良好に照明することが可能となる。
【0038】
複数のバックライト5cをLEDによって構成するようにしたので、3色(赤、緑、青)LEDであれば、色温度を調整することができ、その調整によって鮮明な撮影画像を得ることが可能となる。
【0039】
周辺照度センサ8によって検出された表示パネル5aの周辺照度に応じて照度輝度テーブル3c−2を参照することにより発光体の輝度を制御するようにしたので、屋内、屋外、夜間、昼間などの周辺環境に合った制御が可能となり、より適切な明るさで紙媒体12を照明することが可能となる。
【0040】
紙媒体12を撮影する際に、制御部1は、開閉角度センサ9によって検出された開閉角度が紙媒体12を撮影することが可能な撮影可能範囲内であるか否かを判別し、撮影可能範囲内であることを条件に発光体の輝度を制御するようにしたので、その輝度制御を必要に応じて行うことができる。
【0041】
なお、上述した実施形態においては、開閉角度センサ9によって開閉角度を検出するようにしたが、図8に示すように撮影画像を解析することによって開閉角度を検出するようにしてもよい。図8は、撮影画像を解析することによって開閉角度を検出する場合を説明するための図である。制御部1は、撮影画像を解析することにより第1の筐体13aの端部が画角線から外れた際にその端部の切れ方(端部の位置)を認識し、その端部の切れ方が所定の切れ方であるか否かに基づいて第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度を認識する。
【0042】
すなわち、図示の例は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度に応じて第1の筐体13aの外郭線の映り具合が変化する様子を示した図である。ここで、第1の筐体13aの外郭線を示す実線は、閉じ角度が略70°の場合を示し、一点破線は、閉じ角度が略90°の場合を示し、二点破線は、閉じ角度が略125°の場合を示している。このように第1の筐体13aの端部が撮像部6の画角から外れた際の端部の切れ方、つまり、第1の筐体13aの端部と画角線とが交差する位置は、開閉角度に応じて変化するようになる。例えば、撮影画像の縦方向において、第1の筐体13aの端部と画角線とが交差する位置は、開閉角度が略70°、略90°、略125°の順にその縦方向中央部に近づくようになるため、その位置を特定することにより第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度の検出が可能となる。
【0043】
上述した実施形態においては、2列の内側バックライト5cと外側バックライト5cとに分けてその輝度を制御するようにしたが、4列のバックライト5cをヒンジ部13cからの距離に応じて1列毎にその輝度を制御するようにしてもよい。また、バックライト5cは、4列に限らず、その数は任意である。更に、上述した実施形態においては、複数個のバックライト5cを表示パネル5aの背面側においてその直下に配設するようにしたが、表示パネル5aの縁部分に複数個のバックライト5cを配設するようにしてもよい。更に、発光体としては、タッチ表示部5を照明するバックライト5cに限らず、専用の照明ライトであってもよい。
【0044】
上述した実施形態においては、開閉角度センサ9により検出された開閉角度に応じてバックライト5cの輝度を制御する場合に、輝度テーブル3c内の角度輝度テーブル3c−1を参照し、また、周辺照度センサ8によって検出された表示パネル5aの周辺照度に応じてバックライト5cの輝度を制御する場合に、輝度テーブル3c内の照度輝度テーブル3c−2を参照するようにしたが、その輝度値を所定の関数式に基づいて算出して制御するようにしてもよい。
【0045】
上述した実施形態においては、情報処理装置としてタブレット端末装置11に適用した場合を示したが、これに限らず、カメラ機能付きパーソナルコンピュータ・PDA(個人向け携帯型情報通信機器)・デジタルカメラ・音楽プレイヤーなどであってもよく、勿論、デジタルカメラ自体であってもよい。
【0046】
また、上述した各実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0047】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結した情報処理装置であって、
読取対象の紙媒体が配置される前記第1の筐体に対向して前記第2の筐体に設けられた撮像手段と、
前記撮像手段により前記紙媒体を撮影する際に、前記第1の筐体と第2の筐体との開閉角度を検出する角度検出手段と、
前記第2の筐体に設けられた発光体を駆動する駆動手段と、
前記角度検出手段により検出された開閉角度に応じて前記発光体の輝度を制御する輝度制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記発光体は、前記第2の筐体に設けられた表示部を照明するバックライトであり、
前記輝度制御手段は、前記角度検出手段により検出された開閉角度に応じて前記バックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、
前記表示部に白色の塗りつぶし画像を表示させる表示制御手段を更に備え、
前記輝度制御手段は、前記表示制御手段によって前記表示部に白色の塗りつぶし画像が表示されている状態において前記バックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項2あるいは請求項3に記載の情報処理装置において、
前記輝度制御手段は、前記角度検出手段により検出された開閉角度に応じて前記バックライトの輝度を制御する場合に、前記表示部の全面を照明する場合に部分的に明るさが異なるように前記バックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、
前記輝度制御手段は、前記第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結するヒンジ部の近くに配設された内側バックライトと、前記ヒンジ部から離れて配設された外側バックライトのうち、前記角度検出手段により検出された開閉角度に応じて前記バックライトの輝度を制御する場合に、前記内側バックライトの方が前記外側バックライトよりも輝度が高くなるように前記複数のバックライトの輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記バックライトは、発光ダイオードである、
ことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記表示部の周辺照度を検出する照度検出手段を更に備え、
前記輝度制御手段は、前記角度検出手段により検出された開閉角度と前記照度検出手段によって検出された周辺照度に応じて前記発光体の輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記撮像手段により前記紙媒体を撮影する際に、前記角度検出手段により検出された開閉角度が前記紙媒体を撮影することが可能な撮影可能範囲内か否かを判別する判別手段を更に備え、
前記輝度制御手段は、前記判別手段により撮影可能範囲内であることが判別された際に、前記発光体の輝度を制御する、
ようにしたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、
コンピュータに対して、
読取対象の紙媒体が配置される第1の筐体に対向し、かつ前記第1の筐体に開閉可能に連結されている第2の筐体に設けられた撮像手段により前記紙媒体を撮影する場合において、前記第1の筐体と第2の筐体との開閉角度を検出する機能と、
前記第2の筐体に設けられた発光体を駆動する機能と、
前記検出された開閉角度に応じて前記発光体の輝度を制御する機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0048】
1 制御部
3 記憶部
3a プログラムメモリ
3c 輝度テーブル
3c−1 角度輝度テーブル
3c−2 照度輝度テーブル
4 操作部
5 タッチ表示部
5a 表示パネル
5c バックライト
5d 輝度コントロール部
6 撮像部
8 周辺照度センサ
9 開閉角度センサ
11 タブレット端末装置
12 紙媒体
13 バインダ
13a 第1の筐体
13b 第2の筐体
13c ヒンジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8