(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930216
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】ドット形レコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 9/32 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
G01D9/32 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-207538(P2013-207538)
(22)【出願日】2013年10月2日
(65)【公開番号】特開2015-72169(P2015-72169A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】芳野 康裕
【審査官】
櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−026696(JP,A)
【文献】
特開平09−210734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00− 9/42
15/00−15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に色帯が異なるようにインクで染め分けられたリボンを記録紙の送り方向に沿って揺動させて記録色の切り換えを行うとともに記録紙の送り方向と直交する方向にリボン送りを行い、ワイヤドットよりなる記録ペンを記録紙の幅方向に往復移動させながら記録位置でインクリボンの各測定チャネルに割り当てられた所定の色帯を記録紙に打ち付けるように選択的に駆動するドット形レコーダにおいて、
前記記録紙の有効記録幅にわたって前記記録ペンの最小移動分解能で前記記録ペンの記録位置データを格納するメモリを設け、
前記メモリには、前記測定チャネルの測定値のトレンド記録データおよび前記測定チャネルに関連したデジタル印字データが前記記録ペンの移動により混合記録する記録位置データとして格納されることを特徴とするドット形レコーダ。
【請求項2】
前記記録ペンと対向する前記インクリボンの色帯を一方の色帯から他方の色帯に向かって所定の方向に順次切り替えながら前記ドットデータの記録を行い、他方の色帯による印字が完了すると一方の色帯が前記記録ペンと対向するように前記インクリボンの位置を戻すことを特徴とする請求項1記載のドット形レコーダ。
【請求項3】
前記トレンド記録データは、ドット記録および直線補間記録を含むことを特徴とする請求項1記載のドット形レコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドット形レコーダに関し、詳しくは、ドット記録動作の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録紙を用いたレコーダは、記録紙に記録された測定結果を必要なときにいつでも読めることから、レコーダのペーパーレス化が進んではいるものの、各種の分野で広く用いられている。
【0003】
記録紙を用いたレコーダの一種に、複数の測定チャネルの測定信号の変化を共通の記録ペンを用いてドット記録するドット形レコーダがある。
【0004】
特許文献1には、ドット形レコーダであって、幅方向に色帯が異なるようにインクで染め分けられたリボンを記録紙の送り方向に沿って揺動させて記録色の切り換えを行うとともに記録紙の送り方向と直交する方向にリボン送りを行い、ワイヤドットよりなる記録ペンを記録紙の幅方向に往復移動させながら、各測定チャネルの測定データの値に対応する位置でインクリボンの各測定チャネルに割り当てられた所定の色帯を記録紙に打ち付けるように記録ペンを選択的に駆動するようにした発明が開示されている。
【0005】
図5は従来のドット形レコーダの一例を示す概念ブロック図である。測定部10において、図示しないA/D変換器は所定の測定周期(例えば2.5秒)でアナログ入力信号をデジタル信号に変換出力するものであり、各測定チャネルのアナログ入力信号が順次切り換えて入力される。このA/D変換器の出力データは測定データとしてRAM20に格納される。RAM20に格納された測定データは、ユーザーが設定する記録周期で記録ペン駆動系30によってドット記録される。なお、RAM20には、測定データの他に、測定条件などの可変パラメータも格納される。
【0006】
図6は記録部分の要部構成図である。記録ペン駆動系30は、ワイヤドットよりなる記録ペンAでインクリボンBを記録紙43に打ち付けるように構成されている。すなわち、リボン制御部31とリボン駆動機構32は、幅方向に色帯が異なるようにインクで染め分けられたリボンBを記録紙43の送り方向Xに沿って揺動させて記録色の切り換えを行うとともに、記録紙43の送り方向Xと直交する方向Yにリボン送りを行う。
【0007】
記録ペン制御部33と記録ペン駆動機構34は、記録ペンAを記録紙43の幅方向に沿った0%と100%の間で往復移動させながら、各測定チャネルの測定データの値に対応する位置でインクリボンBの各測定チャネルに割り当てられた所定の色帯を記録紙43に打ち付けるように記録ペンAを選択的に駆動する。記録周期は前述のように作業者が任意に設定できるものであり、記録紙43の送り速度と関連して設定される。
【0008】
記録紙駆動系40は、記録紙制御部41と記録紙モータ42と記録紙43とで構成されている。記録紙43は、記録紙制御部41により回転速度が制御される記録紙モータ42により、作業者が設定する所定の速度で繰り出される。
【0009】
設定操作部50は、各測定チャネルにおける測定レンジや警報設定値や記録紙送り速度などの測定条件を設定するためのものであり、文字記号類を入力するためのキーボードや設定値のアップダウンを制御するスイッチやロータリーエンコーダなどが操作パネルとして設けられている。作業者は、表示部60の表示情報を参照しながら設定操作部50を操作する。
【0010】
ROM70には、装置全体の動作を制御するためのプログラムや固定パラメータが格納されている。
【0011】
外部メモリ80としては、フロッピー(登録商標)ディスクやICカードなどのリムーバルメモリが用いられる。
【0012】
通信インタフェース90は、外部装置との間で制御信号や測定データの授受を行うために用いられる。
【0013】
CPU100は、測定データに対して移動平均演算などの各種の演算処理を行うとともに、装置全体を統括制御する。
【0014】
ドット記録について説明する。なお、以下の説明では、記録紙43の有効記録幅が100mm、入力は6チャネル、測定周期を1秒、トレンド記録周期を1チャネル/5秒(30秒/6チャネル)とする。ドット記録にあたっては、
図7に示すように、トレンド記録周期毎に直前の測定結果を記録する。すなわち、測定#0直後のトレンド記録周期では、測定#0における1〜6チャネルの測定結果に含まれる測定チャネル1の測定値が記録される。測定#5直後のトレンド記録周期では、測定#5における1〜6チャネルの測定結果に含まれる測定チャネル2の測定値が記録される。このようにして、30秒後の測定#30直後のトレンド記録周期では、測定#30における1〜6チャネルの測定結果に含まれる測定チャネル1の測定値が記録される。
【0015】
ドット記録動作にあたっては、以下の6ステップが測定チャネル毎に繰り返して実行処理される。
S1)リボンBの揺動シフトによる測定チャネルに割り当てられた記録色の選択
S2)記録ペンAの走査(移動)開始
S3)測定値に応じた記録位置での記録ペンによるドット記録
S4)端部到達による記録ペンAの停止
S5)リボンBの揺動シフトによる初期位置戻し
S6)記録紙43の所定長さ送り
【0016】
測定チャネル1の測定値を紫色で記録し、測定チャネル2の測定値を赤色で記録し、測定チャネル3の測定値を緑色で記録し、測定チャネル4の測定値を青色で記録し、測定チャネル5の測定値を茶色で記録し、測定チャネル6の測定値を黒色で記録するように測定チャネルの記録色が割り当てられているものとすると、
図8に示すような動作シーケンスを繰り返して実行する。
【0017】
ここで測定チャネル1の記録動作に着目すると、測定#0から測定#30までの31個の測定値の内、記録周期RAでドット記録されるのは測定#0の測定値のみであり、記録周期RBでドット記録されるのは測定#30の測定値のみであって、測定#1〜測定#29の測定結果はドット記録されない。この結果、
図9(A)に示すように測定チャネル1の測定値が大きく変動すると、ドットとドットの間隔が大きく開いてしまい、トレンド記録の連続性が失われてしまうことになる。
【0018】
そこで、入力値が変動する場合は、前回の記録周期RAのドット記録位置と今回の記録周期RBのドット記録位置との間を直線補間するようにドット記録を挿入し、記録の連続性を維持することが行われている。具体的には、
図7の測定#0のドット記録位置と測定#30のドット記録位置との間に複数のドット記録を記録ペンAの移動方向に沿って直線的に挿入することにより、
図9(B)のような記録結果が得られる。ただし、この場合も測定#1〜測定#29の測定結果はトレンド記録には反映されない。
【0019】
さらに、これら測定#1〜測定#29の測定結果をトレンド記録に反映させるために、前回の記録周期RAにおける測定#0と今回の記録周期RBにおける測定#30との間の測定値の最大値と最小値を求め、これら最大値と最小値の間を直線補間するようにドット記録を挿入することにより
図9(C)のような記録結果を得ている。これにより、測定#1〜測定#29の測定結果もトレンド記録に反映されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開昭62−91814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかし、このような従来の構成によれば、段落0015に記載しているように、インクリボンBを揺動させて所定の色帯を記録ペンAに対向させた状態で記録ペンAを測定値に応じた所定の記録位置に移動停止させ、記録ペンAを駆動してインクリボンBの所定の色帯を記録紙43に打ち付けることによりドット記録を行い、ドット記録後にインクリボンBを初期位置に戻すという一連の動作を各記録位置について順次繰り返して実行することから、入力点数が多い(たとえば18入力(打点))の場合は上記動作を18回繰り返すことになり、1周期のドット記録にかなりの時間(たとえば20秒/18チャネル)がかかるという問題がある。
【0022】
各測定チャネルの測定周期は記録周期に比べて短いので、1周期のドット記録を行う間に各測定チャネルの測定データとして複数個を取り込むことができる。たとえば記録周期が20秒で各測定チャネルの測定周期を1秒とすると、1周期のドット記録を行う間に各測定チャネルは20個の測定データを取り込むことになる。
【0023】
これら1周期のドット記録間における各測定チャネルの複数個の測定データに基づいて各測定チャネルの測定値を複数のドット記録で直線補間記録することも考えられるが、従来のドット記録動作では多大の動作時間を要することになり、現実的ではない。
【0024】
また、各測定チャネルの測定データに基づくドットによるアナログ的なトレンド記録と英数カナ漢字記号などのデジタル印字とを同時に記録することも望まれているが、これらを記録ペンAの1回の移動でドット記録することは従来の記録制御方式では直線補間記録と同様に多大の動作時間を要することになり、現実的ではない。
【0025】
本発明は、このような従来の問題点に着目したものであり、その目的は、従来と同一の機構を用いながら、従来よりも高速に直線補間記録やアナログ的なトレンド記録と英数カナ漢字記号などのデジタル印字との同時記録を行うことができるドット形レコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
このような課題を達成する請求項1の発明は、
幅方向に色帯が異なるようにインクで染め分けられたリボンを記録紙の送り方向に沿って揺動させて記録色の切り換えを行うとともに記録紙の送り方向と直交する方向にリボン送りを行い、ワイヤドットよりなる記録ペンを記録紙の幅方向に往復移動させながら記録位置でインクリボンの各測定チャネルに割り当てられた所定の色帯を記録紙に打ち付けるように選択的に駆動するドット形レコーダにおいて、
前記記録紙の有効記録幅にわたって前記記録ペンの最小移動分解能で前記記録ペンの記録位置データを格納するメモリを設け、
前記メモリには、前記測定チャネルの測定値のトレンド記録データおよび前記測定チャネルに関連したデジタル印字データが前記記録ペンの移動により混合記録する記録位置データとして格納されることを特徴とする。
【0027】
請求項2の発明は、請求項1記載のドット形レコーダにおいて、
前記記録ペンと対向する前記インクリボンの色帯を一方の色帯から他方の色帯に向かって所定の方向に順次切り替えながら前記ドットデータの記録を行い、他方の色帯による印字が完了すると一方の色帯が前記記録ペンと対向するように前記インクリボンの位置を戻すことを特徴とする。
【0028】
請求項3の発明は、請求項1記載のドット形レコーダにおいて、
前記トレンド記録データは、ドット記録および直線補間記録を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
これらにより、従来よりも高速に直線補間記録やアナログ的なトレンド記録と英数カナ漢字記号などのデジタル印字との同時記録を行うことができるドット形レコーダが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施例を示す概念ブロック図である。
【
図2】記録ペンAを駆動するオンオフデータを格納するオンオフデータ格納部の概念説明図である。
【
図3】本発明のRAM20に格納される各種データの説明図である。
【
図4】本発明に基づく記録動作のシーケンス説明図である。
【
図5】従来のドット形レコーダの一例を示す概念ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、幅方向に紫、黒、緑、青、茶、赤の6色の色帯に染め分けられたインクリボンBを用いて直線補間記録やアナログ的なトレンド記録と英数カナ漢字記号などのデジタル印字との同時記録を行うものとする。
【0032】
図1は本発明の一実施例を示す概念ブロック図であり、
図5と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1と
図5の相違点は、RAM20に設けられるデータ格納部の構成にある。
【0033】
すなわち、
図1のRAM20には、記録ペンAのオンオフデータ格納部21、記録ペンAの位置データ格納部22、直線補間用位置データ格納部23、インクリボンBの色指定データ格納部24、記録ペンAにより印字記録するデジタル印字データ格納部25などが設けられている。
【0034】
本発明では、指定された所定のインク色で測定チャネルの測定値のドット記録または直線補間記録によるトレンド記録および英数カナ漢字記号などのデジタル印字を行うのにあたり、記録紙43の有効記録幅にわたって記録ペンAの最小移動ステップのそれぞれの位置に1バイトが割り当てられた記録ペンのオンオフデータとして展開してオンオフデータ格納部21に格納する。そして、記録ペンAを基準位置(0%)から1ステップ(たとえば0.1mm)ずつ移動させてその記録ペンAの位置に対応した記録ペンAのオンオフデータを読み出し、その値が「1」ならば記録ペンAを駆動して記録することを100%側に向かって一定の速度で移動させながら繰り返し実行する。
【0035】
インクリボンBの幅方向に沿った色帯の染め分けは手前側から奥行き方向に紫→黒→緑→青→茶→赤の順として紫はインクリボンBのホームポジションから最も近い色とし、紫色で記録した後は次の黒色にリボンシフトして記録することを赤に向かって繰り返すことにより、リボンシフトの時間を最小限にする。
【0036】
ここで、インクリボンBのホームポジションは手前側の紫の色帯が記録ペンAと正対するように奥行き方向に回転した位置に設定されているので、インクリボンBがホームポジションにいる状態では記録ペンAによる記録紙43の記録位置がインクリボンBで覆われる部分はかなり少なくなって大きく開放され、記録紙43上の記録結果をインクリボンBに遮られることなく比較的容易に目視確認できる。
【0037】
図2は、記録ペンAを駆動するオンオフデータを格納するオンオフデータ格納部21の概念説明図である。記録ペンAのオンオフデータは、記録紙43の有効記録幅にわたって記録ペンAの最小移動ステップのそれぞれの位置に1バイトが割り当てられる。たとえば記録紙43の有効記録幅を100mmとし、記録ペンAの移動分解能を0.1mmとすると、1000+α(バイト)が割り当てられる。ここで、αバイトは記録紙43の有効記録幅の左右の余白長さに相当する部分である。
【0038】
各測定チャネルの測定値の記録にあたっては、各測定値に対してあらかじめ設定された記録スパンデータ、記録ゾーンデータ、部分圧縮データ、0%位置や100%位置の校正データに基づく記録位置の校正演算などが施される。それらの演算結果は、ホームポジションを基準にした記録分解能(本実施例では0.1mm)の記録紙43上における
図3(A)に示すような位置データに変換されて、
図1のRAM20の位置データ格納部22に格納される。
【0039】
直線補間記録を行う場合には、トレンド記録周期(たとえば10秒)間における測定周期(たとえば1秒)毎に測定された10個の測定データの中から最小値(min)と最大値(max)が算出されて
図3(B)に示すような記録紙43上における位置データに変換され、
図1のRAM20の直線補間用位置データ格納部23に格納される。
【0040】
図3(C)はトレンド記録における各測定チャネルの色指定データ例図であり、これらの色指定データは
図1のRAM20に設けられている色指定データ格納部24に格納される。
【0041】
デジタル印字を行う場合には、
図3(D)に示すような印字色、印字先頭位置、印字文字列、文字管理データなどを含むデジタル印字データが
図1のRAM20のデジタル印字データ格納部25に格納される。
図3(E)は印字パターンの具体例図であり、5ドット×7ドットで表現された英文字「A」を示している。
【0042】
文字管理データは、文字列を記録ペンAによりドットで印字記録するためのドット記録の順番を示すものであり、
図3(E)の印字パターン例では英文字「A」を1から7の丸数字で表している。
【0043】
初期状態において、記録ペンAは
図6に示す記録ペンAの移動範囲の左端または右端のホームポジションに位置し、インクリボンBは記録紙43の送り方向の上流側に最大限揺動させたホームポジションに位置している。
【0044】
インクリボンBの紫色の色帯でドット記録およびデジタル印字を行う例について説明する。
<ドット記録>
ドット記録にあたっては、RAM20の色指定データ格納部24に格納されている紫色の色指定データにしたがって位置データ格納部22から紫色に指定された全ての測定チャネルのドット記録およびデジタル印字の位置デ―タを読み出し、各位置データに対応した
図2のオンオフデータ格納部21の所定の位置で記録ペンAをオン駆動するためのデータ「1」を格納する。
【0045】
<直線補間記録>
直線補間記録にあたっては、RAM20の色指定データ格納部24に格納されている紫色の色指定データにしたがって紫色に指定された測定チャネルの直線補間用位置データ格納部23からその測定チャネルのmin値とmax値を読み出し、
図2のオンオフデータ格納部21のmin値の位置データに対応した位置からmax値の位置データに対応した位置までの間の記録位置で記録ペンAをオン駆動するためのデータ「1」を格納する。
【0046】
たとえば記録ペンAの最小移動分解能が0.1mmの場合にドット間隔を0.3mmにするのにあたっては、min値の位置データに対応したオンオフデータ格納部21の位置にデータ「1」を格納してmin値の位置データ+3に対応したメモリの位置にも「1」を格納し、以下max値の位置データまで位置データ+3毎にこれを繰り返す。
【0047】
<デジタル印字>
RAM20のデジタル印字データ格納部25から
図3(D)のデジタル印字データの印字色が紫色のデータを読み出し、印字先頭位置データと印字文字列と文字管理データに基づくオンオフデータ格納部21の所定の位置に、記録ペンAをオン駆動するためのデータ「1」を格納する。
【0048】
図3(D)に示すデジタル印字データにおいて、先頭行の印字色は紫、文字先頭位置は50、印字文字列「ABC」の最初の文字は
図3(E)に示す「A」、文字管理データは4である。文字管理データが4であることから、(E)に示す「A」のフォントにおける番号4のドット部分を展開する。
【0049】
具体的には、文字の隣接するドット間隔が0.1mmの場合、文字先頭位置のオンオフデータ格納部21の位置には記録ペンAをオン駆動するためのデータ「1」を格納し、文字先頭位置+4のオンオフデータ格納部21の位置にも記録ペンAをオン駆動するためのデータ「1」を格納する。なお、文字の隣接するドット間隔が0.3mmの場合は、文字先頭位置+(4*3)のオンオフデータ格納部21の位置に記録ペンAをオン駆動するためのデータ「1」を格納する。文字列の「B」,「C」についても同様に展開する。
【0050】
なお、
図3(E)では5ドット×7ドットで表現された英文字「A」のフォントについて説明したが、たとえば12ドット×12ドットで表現される漢字のときも同様に展開する。
【0051】
このように、RAM20のオンオフデータ格納部21には、ドット記録または直線補間記録による紫色のトレンド記録データおよびデジタル印字データが展開される。
【0052】
インクリボンBの紫の色帯が記録ペンAと正対するようにインクリボンBを基準位置から所定の角度回転駆動させた後、記録ペンAを基準位置(0%)から1ステップ(たとえば0.1mm)移動させ、
図1からその記録ペン位置に対応した記録ペンAのオンオフデータを読み出しデータが「1」ならば記録ペンAを駆動してドット記録する。
【0053】
このような動作を繰り返しながら記録ペンAを100%側に向かって一定の速度で移動させ、100%位置(右端)まで移動させて停止させる。
【0054】
以上により、紫色のドット記録または直線補間記録によるトレンド記録データおよびデジタル印字データが記録される。
【0055】
次に、紫の色帯位置が記録ペンAと正対した状態から隣の黒色帯が記録ペンAと正対するようにインクリボンBを所定角度回転駆動する。そして、紫色と同様に、黒色のドット記録または直線補間記録によるトレンド記録データおよび黒色のデジタル印字データを記録する。
【0056】
続いてインクリボンBを、黒の色帯位置が記録ペンAと正対した状態から隣接する緑色帯が記録ペンAと正対するように所定角度回転駆動させる。
【0057】
以下同様に、青色の記録→茶色の記録→赤色の記録を実行する。その後、インクリボンBの色帯をホームポジションに戻し、記録紙43を所定量紙送りする。
図4は、このような本発明に基づく記録動作のシーケンス説明図である。
【0058】
この結果、全チャネルのそれぞれに割り当てられた所定の色のドット記録または直線補間記録によるトレンド記録データおよびデジタル印字の記録結果を得ることができ、このような一連の記録動作をトレンド記録周期ごとに繰り返して行う。
【0059】
なお、記録する色順序があらかじめ把握できていることから、記録色に基づいて記録分解能ごとのデータに展開した後、色帯を切り換えるためにリボンシフトするようにしてもよい。
【0060】
以上説明したように、本発明によれば、従来よりも高速に直線補間記録やアナログ的なトレンド記録と英数カナ漢字記号などのデジタル印字との同時記録を行うことができるドット形レコーダが実現できる。
【符号の説明】
【0061】
10 測定部
20 RAM
21 オンオフデータ格納部
22 位置データ格納部
23 直線補間用位置データ格納部
24 色指定データ格納部
25 デジタル印字データ格納部
30 記録ペン駆動系
40 記録紙駆動系
43 記録紙
50 設定操作部
60 表示部
70 ROM
80 外部メモリ
90 通信インタフェース
100 CPU