(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電極、前記第2の電極、及び/又は前記スペーサが、前記トレイ内において前記第1の電極、前記第2の電極、及び/又は前記スペーサを位置決めするための位置合わせ特徴部を備える、請求項1に記載の装置。
前記トレイの前記位置合わせ特徴部が、前記第1の電極、前記第2の電極、及び/又は前記スペーサの前記位置合わせ特徴部と位置合わせするように構成され配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
近年、人間の活動の環境に対する影響及びこれがもたらし得る負の結果に関する認識が、ますます高まってきている。資源の削減、再利用、及び再循環が、より重要になりつつある。特に、清浄水は、必需品として不足しつつある。したがって、水を浄化するための様々な方法及びデバイスが公開されてきた。
【0003】
水を浄化するための1つの方法は、水の中のイオンを除去するために通液型キャパシタ(Flow Through Capacitor:FTC)を備える装置を使用する、静電容量性脱イオン化によるものである。FTCは、静電容量性脱イオン化用の電気再生式セルとして機能する。電極を帯電させることにより、イオンが、電解質から除去され、電極の電気二重層中に保持される。これらの電極は、化学薬品を添加することなく、かように以前に除去されたイオンを脱着するように(部分的に)電気的に再生することが可能である。
【0004】
このイオン除去装置は、少なくとも1対の互いに離間された電極(カソード及びアノード)と、これらの電極を離間させ、これらの電極間に水を流し得るスペーサとを備える。これらの電極は、集電器又はバッキング層と、除去されたイオンを蓄積するために使用され得る例えば炭素などの高表面積材料とを備える。集電器は、高表面積材料と直接接触状態にあってもよい。集電器は、導電性であり、電極の内外へ及び高表面積材料中に電荷を移送する。
【0005】
電荷バリヤが、通液型キャパシタの電極に隣接して配置され得る。電荷バリヤという用語は、イオンに対して透過性又は半透過性を有し、電荷を保持することが可能な材料層を指す。電荷バリヤの電荷と逆の電荷を有するイオンは、この電荷バリヤ材料を通過することが可能であり、電荷バリヤの電荷と同様の電荷を有するイオンは、この電荷バリヤ材料を通過することができない。したがって、電荷バリヤ材料と同様の電荷のイオンは、例えば電極コンパートメント(区画室)内及び/又はスペーサコンパートメント内のいずれかに収容又は捕捉される。しばしば、電荷バリヤは、イオン交換材料から作製される。電荷バリヤは、イオン効率を上昇させることが可能であってもよく、これにより、エネルギー効率的なイオン除去が可能となる。
【0006】
この装置は、ハウジング内に水が入るための水注入口と、ハウジングから水を排出するための水排出口とを備えるハウジングを備えてもよい。このイオン除去装置のハウジング内には、電極及びスペーサが、圧縮力により、通常は機械的固定により、「サンドイッチ」式で積層される。この積層体を製造する際に、電極及びスペーサは、ハウジング内において一体的に組み立てられ得る。これらの電極及びスペーサが、ハウジング内において相互に対して正確に保持され得ることが重要となり得るが、これにより、製造が困難な課題となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、ハウジングの一部が除去された状態の、本発明による方法により作製されたイオン除去装置1の概略断面図を示す。この例においては、この装置は、12個の通液型キャパシタ積層体(flow through capacitor stack)3を備え得る。通液型キャパシタ積層体3は、第1の電極4(積層体の拡大図である
図2aを参照)、スペーサ8、及び第2の電極6の反復ユニットを備える。第1の電極4は、第1の集電器5(current collector)(
図1を参照)を備え、この第1の集電器5は、第1のコネクタ11と共に一体的に束ねられ得る。第2の電極6は、第2の集電器9を備え、この第2の集電器9は、同様に、装置の反対側において第2のコネクタ10と共に一体的に束ねられ得る。
【0017】
第1のコネクタ11(
図1の部分拡大図である
図2bを参照)は、第1の集電器5を一体的にクランプ固定するために使用される。これらの集電器5、9並びに第1のコネクタ11及び第2のコネクタ10は、集電器5、9とコネクタ11、10との間の電気抵抗を低下させるために、例えば炭素(例えばグラファイト)などの同一の材料から作製されるとよい。第1のコネクタ11は、例えば銅などの金属などからなるインサート15を備える。インサート15は、インサート15と第1のコネクタ11との間に低電気抵抗を確保するために、第1のコネクタ11に螺合され得る。電力端子27は、電源と1つ又は複数のコネクタ10、11との両方に接続される構造体である。電力端子27は、ハウジングの上部22及び/又は下部24及び/又は任意の他の部分に固定されてもよい。電力端子27は、インサートを介して電源(図示せず)に全ての第1のコネクタ11を電気的に接続するために、例えば銅などの金属などから作製された、例えばロッド17などのレールを備えてもよい。第1のコネクタ11及びインサート15は、ロッド17のための開口を備えてもよい。インサート15及びロッド17は、例えば水バリヤとして機能する樹脂、膠剤、又は糊などにより、装置内部の水から遮断されるとよい。任意ではあるが、樹脂、膠剤、若しくは糊、又は任意の他の水遮断材料が、積層体の圧縮後に、コネクタ11の中空部19に対して適用されてもよい。樹脂により積層体3が汚染され得るのを回避するために、ゴムリング12が、インサート15中に設けられてもよい。トレイ13が、1つの積層体3を製造して、装置のハウジング21内において積層体3同士を一体的に組み立てるのを補助するために、用意されてもよい。このハウジングは、液密であるとよい。水は、トレイの周囲を及び積層体内へと流れることができる。ハウジング内においては、積層体3は、上部22と下部24との間において圧縮され得る。ハウジング21の上部23は、ロッド17を電源に接続させ得るフィードスルーを備える。このようにすることにより、電荷は、第1の集電器5を経由して第1の電極に進入することが可能となり、また例えば電極の再生の際などには電極から再度出ることが可能となる。水は、水注入口26を通りハウジング内へと、装置の内部に供給され得る。また、この水は、装置の内部において、トレイ及び通液型キャパシタ積層体3の周囲を流れることが可能であり、スペーサを通り積層体に進入し得る。通液型キャパシタ積層体3は、積層体の中間部に穴を備えてもよい。この穴の中に、円形チューブ29が設けられてもよく、この穴とチューブとの間の空間を通り、水が排出口30へと流れ得る。チューブ29の内部は、ナット35及びねじ棒33を備えてもよく、これらは、積層体3内において電極を圧縮するのを補助し得るものであり、ハウジング21の上部22と下部24との間において積層体3を圧縮するためのものである。
【0018】
圧縮は、装置を作製する際に、又は任意にはメンテナンスの際に行われ得る。一度に全ての積層体を圧縮することにより、圧縮力は、各積層体について非常に同等な又はさらには均等なものとなり、それと同時に、電極の表面に対して均等又は均一に分布する。
【0019】
積層体3を製造する際、第1の集電器5を備える第1の電極が、トレイ13内に設けられる。スペーサが、第1の電極の上部に配置され、第2の電極が、スペーサの上部に配置される。その後、スペーサが、第2の電極の上部に配置され、このスペーサの上に、別の第1の電極が配置される。これは、例えば10個の第1の電極及び第2の電極のユニットが、トレイ13により保持された積層体3内に設けられるまで、繰り返され、各第1の電極は、スペーサにより第2の電極から離隔される。その後、コネクタ部11が、集電器5の上部に配置され、金属インサート15が、積層体3の他方の側からトレイ13及び第1の集電器5を貫通して螺合されて、トレイ13に対して積層体3を固定する。
【0020】
トレイ13及び積層体3は、良好な電気接触をもたらすためにロッド17上にインサート15を摺動させることにより、第1の電力端子27のロッド17に接続される。インサート15の穴は、インサート15とロッド17との間における良好な電気接触をもたらし、それと同時にロッド17上にインサート15を摺動させ得るような、サイズであるとよい。コネクタ11は、コネクタ部11にインサート15を螺合させることにより、コネクタ11とトレイ13との間に集電器5又は複数の集電器5が位置する状態において、トレイ13に対して押圧され得る。コネクタ11と第1の集電器5との間における良好な導電性を確保するために、コネクタ部15及び集電器に対する圧力は、100バール未満、好ましくは50バール未満、より好ましくは20バール未満、及び最も好ましくは約10バールである。
【0021】
複数の積層体3を、ロッド17に接続することが可能であり、これらの積層体3は、同様の態様で第2のコネクタ10に接続されてもよい。力が、ナット35及びねじ棒33を用いて、上部22及び下部24を介してこれらの積層体3に対して加えられることにより、電極の主面に対して垂直であるねじ棒33の長さに対して平行な第1の方向へと第1の電極及び第2の電極が圧縮される。この力は、5バール未満、好ましくは2バール未満、より好ましくは1バール未満、及び最も好ましくは約0.5バールの圧力を、積層体に対して及ぼす。
【0022】
第1のコネクタ11及び第2のコネクタ10により、ロッド17、18に沿って第1の方向へと第1の集電器5及び第2の集電器9を移動させることが可能となり、これにより、これらの集電器は、積層体3に対する圧縮力により損傷を被らなくなる。この移動は、第1の方向において複数の積層体3の高さの約0.05〜10%に及ぶものであってもよい。十分な圧力が、積層体に対して加えられた後には、樹脂が、第1のコネクタ11及び/又は第2のコネクタ10に沿って又はそれらを介して、コネクタ10、11の中空部19内に供給されてもよい。この樹脂は、硬化後には、コネクタ10、11の位置を固定し、(金属)インサート15及びロッド17を腐食から保護することができる。この装置の能力は、ハウジング内部の水が金属インサート15及びロッド17と直接接触状態にならずに済むようにし、したがって腐食が防止され、装置の性能が腐食により低下せずに済むため、長期間にわたって保証され得る。
【0023】
図3は、本発明による方法において使用するためのトレイ13の上面図を示す。トレイ13は、例えば穴36a、36bなどの開口を備え、これらの穴36a、36bは、ロッドに沿ってトレイを摺動させるために(
図2を参照)、及びトレイ13内において集電器を位置決めするために、使用し得る。トレイ13は、トレイ13内に位置決めされ得る電極を位置合わせするためにピン37a、37bを備えてもよい。ピン37a及び穴36aは、第2の集電器を位置合わせするために使用することができ、ピン37b及び穴36bは、第1の集電器を位置合わせするために使用し得る。また、これらのピンは、異なるトレイ同士を相互に位置合わせするためにも使用し得る。円形開口39は、水の注入口として機能し得るものであり、開口51は、水の排出口として機能し得る。トレイは、ポリプロピレンから作製されるとよく、コネクタ11の圧力に耐える必要な剛性を実現するために、例えば金属などからなる補強プレート(図示せず)を備えてもよい。隅部42は、スペーサを位置合わせするために使用し得る。スペーサは、第1の電極及び第2の電極を相互に電気的に絶縁するために、並びに第1の電極と第2の電極との間に流れを与えるために、使用されてもよく、第1の電極及び第2の電極よりやや大きくてもよい。
【0024】
図4は、積層体3を備える、本発明による方法において使用するためのトレイ13の上面図を示す。この積層体は、集電器5、9を備える第1の電極及び第2の電極を備える。コネクタ部11が、トレイ13に対して第1の集電器5をクランプ固定するために設けられている。コネクタ部11は、ねじ山を備え、インサート15(
図2を参照)が、集電器5及びトレイ13を一体的にクランプ固定しつつ、このコネクタ部11に螺合される。トレイ13内に設けられる、電極の主面41に対して垂直な第1の方向における積層体3の高さは、トレイ13の高さよりも高くてもよい。第1の集電器5及び第1の接続部11は、ロッド17に沿った積層体3の移動を可能にするために、開口36bの周囲に設けられるとよい。このようにすることで、圧縮の際に集電器5、9及び/又はコネクタに損傷を与えることなく、電極同士を一体的に圧縮するために積層体3に対して力を加えることが可能となる。インサート15を含むコネクタ11及びトレイ13は、それらがロッド17に沿って位置合わせされつつ、相互方向に部分的に移動し得るように、設計されている。
図4において構成される積層体3及びトレイ13は、
図1による装置においては上下反転状態で使用され得る点に留意されたい。積層体3は、イオン交換膜などの電荷バリヤ層を備えてもよく、この電荷バリヤ層は、電極の上部に分離層として適用されるか、又は例えばコーティングとして、第1の電極及び第2の電極と一体化され得る。トレイ13(
図3を参照)は、トレイ13内において第1の電極、第2の電極、及び/又はスペーサを位置決めするための例えば、
ノッチ、エッジ38、若しくは隅部42、
突出部若しくはピン37、又は
ロッド
などの位置合わせ特徴部を備えてもよい。第1の電極、第2の電極、及び/又はスペーサは、トレイ13内において第1の電極、第2の電極、及び/又はスペーサを位置決めするための例えばエッジ43などの位置合わせ特徴部を備えてもよい。トレイ13の位置合わせ特徴部は、第1の電極、第2の電極、及び/又はスペーサの位置合わせ特徴部を対合/位置合わせするように構成され配置されてもよい。トレイ13は、イオン除去装置1内においてトレイ13を位置決めするために、例えば開口36a、bなどの位置合わせ特徴部を備えてもよい。この装置は、装置1のハウジング21内においてトレイ13を位置決めするために、例えばロッド17などの位置合わせ特徴部を備えてもよい。開口36a、bは、例えば開口及びロッドのサイズが実質的に合致し得るなど、ロッド17と協働するように構成ないしは配置されてもよい。
【0025】
装置1内においてトレイ13を位置決めするための、例えば装置のロッド17などの位置合わせ特徴部(
図1を参照)は、電力端子27に対して第1の電極及び第2の電極を電気的に接続するためのコネクタの一部であってもよい。ロッド17は、コネクタの導電性を高めるために、例えば銅などの金属から作製されてもよい。位置合わせ特徴部は、例えばピン37a又は開口36aなど、断面の1つが実質的に円形形状又は矩形形状であってもよい。トレイ13は、トレイ13を通して水を流すための開口39、40、51を備えてもよい。トレイ13中の開口36a又は36bは、電力端子27に対して第1の電極又は第2の電極を電気的に接続するように、構成ないしは配置されてもよい。
【0026】
トレイ13は、電極積層体3の主面41に対面する主面44と、トレイ13の主面44に対して実質的に垂直に延在するリム45とを備える。各トレイ13内の複数の積層体3は、装置1のハウジング27内において積み重ねられる。トレイ13は、装置1内において電極同士を圧縮する例えばねじ棒33などの圧縮部材のための穴51を備えてもよい。
【0027】
トレイ13は、他のトレイにトレイを位置合わせするための位置合わせ特徴部としてピン37aを備えてもよい。例えば、ピンの残りの部分よりも細いピン37aの上部が、例えば別のトレイ13の主面44の反対側などにおいて、この別のトレイ中の開口により受けられる。位置合わせ特徴部の使用は、全ての電極及び積層体が通液型キャパシタ積層体の性能に対して等しく寄与するのを確保するために重要となる、装置内における電極及びスペーサの良好な位置決めを確保するためには重要となる。
【0028】
電極
電極(アノード及び/又はカソード)は、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(Teflon)(登録商標))マトリクス又はカーボンエアロゲル中において一体的に結合され得る、例えば活性炭素などの炭素質材料から作製することにより、非金属で作製されてもよい。FTCセルにおいて使用し得る電極は、濃厚塩溶液を用いて処理することにより、電極のイオン除去能力、及びイオン伝導性、ひいては除去速度を助長できる。
【0029】
イオンを蓄積するための材料は、可撓性層又は非可撓性層であることが可能な、例えば多孔質炭素などの高表面積層を備えてもよい。
【0030】
電極層において使用される炭素は、活性炭素を、及び任意にはカーボンブラック、カーボンエアロゲル、炭素ナノ繊維グラフェン、又は炭素ナノチューブなどの任意の他の炭素質材料を含むものとすることができる。炭素は、化学活性炭でもよく、又は蒸気活性炭であってもよい。炭素は、少なくとも500m
2/g、好ましくは少なくとも1000m
2/g、及びより好ましくは少なくとも1500m
2/gの高表面積を有してもよい。さらに、アノード及びカソードは、異なる炭素質材料から作製されてもよい。公知の非可撓性炭素層は、カーボンエアロゲルから作製される。しばしば、これらのエアロゲルは、複合紙(炭素繊維から作製された不織紙)として製造され、レソルシノール−ホルムアルデヒドエアロゲルで含浸され、熱分解される。密度に応じて、カーボンエアロゲルは、導電性を帯びることができ、これにより、複合エアロゲル紙は、通液型キャパシタにおける脱イオン化用の電極として有用なものとなる。
【0031】
炭素は、乾燥電極の少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、又はさらには少なくとも85重量%の濃度において電極中に存在してもよい。粉末材料からモノリスを形成するために、ラテックス又は硬化性樹脂などの熱可塑性材料又は粘弾性材料を使用することが一般的である。結合剤としてポリフルオロテトラエテン(PTFE)を使用する炭素層の例は、PACMM(商標)シリーズ(Material Methodsより市販)である。
【0032】
本発明の一実施形態は、例えばゾルフレックス(Zorflex)(登録商標)系列のもの(Chemviron Carbonより市販)などの、活性炭素繊維織成層又は炭素クロスを備える。
【0033】
本発明の好ましい一実施形態は、結合剤、活性炭素、及びカーボンブラックを含む、炭素コーティングを備え、この炭素コーティングは、電極を形成するために、参照により本明細書に組み込まれる国際出願PCT/EP/2008/064992の特許出願に記載される方法を用いて集電器上に直接的に被覆され得る。
【0034】
電極は、集電器を備えてもよい。集電器は、導電性材料から作製されてもよい。適切な無金属材料は、例えば、グラファイト、グラフェン、グラファイトシート、又は高グラファイト含有量の炭素マトリクスなどの、炭素などである。金属は、高価であり、腐食の危険性をもたらすため、無金属の電極及び集電器を使用することが有利である。集電器は、一般的にはシートの形態をとる。かかるシートは、本明細書においては、少なくとも33Amps/m
2及び最大で2000Amps/m
2を送るのに適切なものと規定される。この場合には、グラファイト集電器の厚さは、典型的には、100〜1000マイクロメートル、一般的には200〜500マイクロメートルとなる。
【0035】
スペーサ
スペーサ材料は、開放空間合成材料などの不活性タイプの材料を含むものとすることができ、例えばポリマー、プラスチック、又は繊維ガラスなどから作製される任意の材料とすることができる。スペーサは、多孔性又は非多孔性の、織成材料又は不織材料であることが可能である。スペーサは、典型的には絶縁性であるが、イオン伝導性をもたらす材料から調整され得る。適切なスペーサは、例えば、ポリアミド又はポリエチレンテレフタレートから作製された目の粗いメッシュ繊維又はフィルタ繊維である、ニテックス(Nitex)(登録商標)系列又はペテックス(Petex)(登録商標)系列のもの(Sefarより市販)などである。
【0036】
電荷バリヤ層
通液型キャパシタは、電荷バリヤを備えてもよい。電荷バリヤは、陰イオン若しくは陽イオンに関して、又はある特定の陰イオン若しくは陽イオンに関して選択性を有する、電極とスペーサとの間に配置され得る膜を備える。電荷バリヤは、被覆層として又はラミネート層として高表面積電極層に対して適用されてもよい。
【0037】
適切な膜材料は、均質なものでも、不均質なものでもよい。適切な膜材料は、陰イオン交換膜材料及び/又は陽イオン交換膜材料、好ましくは高解離性陰性基及び/又は高解離性陽性基を含むイオン交換材料を含む。かかる膜材料の例は、ネオセプタ(Neosepta)(商標)系列の材料(Tokuyamaから市販)、PC−SA(商標)及びPC−SK(商標)系列のもの(PCA GmbHから市販)、イオン交換膜材料エックスフマテック(ex Fumatec)、イオン交換膜材料ラレックス(Ralex)(商標)(Megaから市販)、又はエクセリオン(Excellion)(商標)系列の不均質膜材料(Snowpureから市販)である。
【0038】
積層体
FTCは、以下の少なくとも1つの反復ユニットを備えてもよい:
集電器を備える陰イオン電極
任意の、電荷バリヤとしての陰イオン交換膜
従来的なFTCスペーサ
任意の、電荷バリヤとしての陽イオン交換膜
集電器を備えるカソード電極。
複数の反復ユニットが、積層体を構成するために使用されてもよく、本発明においては、積層体は、イオン除去装置内に積層体を位置決めし、均等な分布の圧力及び水流を実現するためのトレイを備える。
【0039】
典型的には、実際に見受けられるようなFTC積層体内の反復ユニットの個数は、コネクタに対して実際に束ねられ接続され得る電極層の個数によって制限される。好ましくは、FTC内の反復ユニットの個数は、少なくとも1つであり、好ましくは少なくとも5つであり、より好ましくは少なくとも10個であり、さらにより好ましくは少なくとも20個である。実用上の理由から、反復ユニットの個数は、一般的には、200個を未満であり、好ましくは150個未満であり、より好ましくは100個未満であり、又はさらには50個未満である。
【0040】
積層体は、5バール未満、好ましくは2バール未満、より好ましくは1バール未満、及び最も好ましくは約0.5バールの圧力にて圧縮される。
【0041】
積層体は、いわゆる浮遊電極を備えてもよい。浮遊電極は、電源に直接的には接続されないが、電源に又は他の浮遊電極から接続された積層体内の他の電極から分極電荷を受領する電極である。浮遊電極は、平行に、及び積層体内において主電極同士の間に位置決めされ得る。本発明は、積層体内の主電極を電源に接続するために使用されてもよい。浮遊電極を使用する1つの利点は、コネクタに対する電圧がより高くなり得ると同時に、コネクタを通る電流がより低くなり得る点である。コネクタにおける抵抗による電気損失は、浮遊電極を使用することにより著しく低下し得る。したがって、本発明の一実施形態は、
第1の電極を用意することと、
第1の電極に接する状態でスペーサを設けることと、
スペーサに接する状態で第2の電極を設けることであって、第2の電極が浮遊電極であることと、
第2の電極に接する状態でスペーサを設けることと、
スペーサに接する状態で第3の電極を設けることと、
第1のコネクタを用いて第1の電力端子に第1の電極を接続することと、
第2のコネクタを用いて第2の電力端子に第3の電極を接続することと、
第1の電極、第2の電極、及び第3の電極を相互に対して圧縮するために、積層体に対して力を加えることであって、第1のコネクタ及び/又は第2のコネクタにより、第1の電力端子及び/又は第2の電力端子に対して第1の電極及び/又は第3の電極を移動させ得ることと
を含む。複数の浮遊電極が、第1の電極と第3の電極との間に位置決めされてもよい。
【0042】
本発明の特定の実施形態を上記において説明したが、本発明は説明したのとは別様にも実施し得る点が理解されよう。例えば、本発明は、上記において開示したような方法を記述する機械可読命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラムか、又はかかるコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、又は光ディスクなど)の形態をとってもよい。
【0043】
上述の説明は、例示として意図され、非限定的なものとしては意図されない。したがって、以下に示す条項の範囲から逸脱することなく、既述のような本発明に対して修正を行い得ることが、当業者には明らかであろう。
【0044】
また、実施形態は、以下の番号を付された条項においても実現される。
【0045】
1.水からイオンを除去するための装置を作製する方法であって、この方法は、
第1の電極を用意することと、
第1の電極に接する状態でスペーサを設けることと、
スペーサに接する状態で第2の電極を設けることと
により、積層体を製造することを含み、この方法は、さらに、
第1のコネクタを用いて第1の電力端子に第1の電極を接続することと、
第1の電極及び第2の電極並びにスペーサを圧縮するために積層体に対して力を印加することと、それと共に、
第1のコネクタにより第1の電力端子に対する第1の電極の移動を可能にすることと
を含む。
【0046】
2.条項1に記載の方法であって、積層体を製造する際に、以下のステップ、すなわち、
第1の電極を用意するステップと、
第1の電極に接する状態でスペーサを設けるステップと、
スペーサに接する状態で第2の電極を設けるステップと、
第2の電極に接する状態でスペーサを設けるステップと、
が、複数回にわたり反復される。
【0047】
3.条項2に記載の方法であって、各第1の電極が、第1の電力端子に対して第1のコネクタにより接続され、
第1のコネクタにより、第1の電力端子に対する少なくとも1つの第1の電極の移動が可能となる。
【0048】
4.条項1〜3のいずれかに記載の方法であって、この方法が、
複数の第1の電極をそれぞれが備える複数の積層体を用意することと、
第1のコネクタを用いて第1の電力端子に対して複数の第1の電極を接続することと、
複数の積層体に対して実質的に同等の力を同時に印加することであって、第1のコネクタにより、第1の電力端子に対する複数の第1の電極の中の少なくとも1つの移動が可能となることと
を含む。
【0049】
5.前述の条項のいずれかに記載の方法であって、この方法が、第2のコネクタにより第2の電力端子に対して第2の電極を接続することを含み、第1の電極及び第2の電極を相互に対して圧縮するように積層体に対して力を印加する際に、第2のコネクタにより、第2の電力端子に対する第2の電極の移動が可能となる。
【0050】
6.請求項1〜4のいずれかに記載の方法であって、第2の電極が、浮遊電極であり、この方法が、第2の電極に接して設けられたスペーサに接する状態で第3の電極を設けることを含み、この方法が、第2のコネクタにより第2の電力端子に対して第3の電極を接続することをさらに含み、第1の電極、第2の電力、及び第3の電極を相互に対して圧縮するために積層体に対して力を印加する際に、第2のコネクタにより、第2の電力端子に対する第3の電極の移動が可能となる。
【0051】
7.前述の条項のいずれかに記載の方法であって、この方法が、第1の電力端子及び/又は第2の電力端子に沿って、及び/又は第1のコネクタ及び/又は第2のコネクタを介して、樹脂、膠剤、糊、又は任意の他の水バリヤを供給することを含む。
【0052】
8.前述の条項のいずれかに記載の方法であって、この方法が、1つ又は複数の積層体に対して力を印加することを含み、第1の電極と第2の電極との間に結果的に得られる圧力が、5バール未満、好ましくは2バール未満、より好ましくは1バール未満、及び最も好ましくは約0.5バールである。
【0053】
9.前述の条項のいずれかに記載の方法であって、この方法が、第1のコネクタを用いて電極を接続しつつ、第1の電極と第1のコネクタとの間に力を印加することをさらに含み、第1の電極と第1のコネクタとの間において結果的に得られる圧力が、100バール未満、好ましくは50バール未満、より好ましくは20バール未満、より好ましくは約10バールである。
【0054】
10.前述の条項のいずれかに記載の方法であって、積層体を製造する際に、トレイが積層体を保持するために用意される。
【0055】
11.条項10に記載の方法であって、製造の際に、第1の電極が、第1のコネクタを使用してトレイ上にクランプ固定される。
【0056】
12.条項10又は11に記載の方法であって、第1の電極が、トレイ上にクランプ固定され、結果的に得られる圧力が、100バール未満、好ましくは50バール未満、より好ましくは20バール未満、及び最も好ましくは約10バールである。
【0057】
13.条項11に記載の方法であって、この方法が、第1の電力端子の第1のレール上に第1のコネクタを摺動させることを含む。
【0058】
14.条項13に記載の方法であって、この方法が、第1のレールを用いて、トレイを保持するためにハウジングを用いて、又は先に用意されたトレイを用いて、トレイを位置合わせすることを含む。
【0059】
15.前述の条項のいずれかに記載の方法により得られる、水からイオンを除去するための装置。