特許第5930240号(P5930240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5930240プログラムモードのシームレス統合を用いて神経刺激デバイスをプログラムするためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5930240
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】プログラムモードのシームレス統合を用いて神経刺激デバイスをプログラムするためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   A61N1/36
【請求項の数】18
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-547520(P2014-547520)
(86)(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公表番号】特表2015-500711(P2015-500711A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】US2012069915
(87)【国際公開番号】WO2013090819
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年8月15日
(31)【優先権主張番号】61/576,924
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】コタンダラマン シュリダール
(72)【発明者】
【氏名】リー ドンチュル
(72)【発明者】
【氏名】ルイ ムン ポク
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0245318(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/133564(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0183256(US,A1)
【文献】 特表2010−527675(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/124144(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極(26)に結合された神経刺激デバイス(14)をプログラムするためのシステム(10)であって、
プログラム選択制御要素(136)を含むユーザインタフェース(100)と、
処理回路(80)と、
制御回路(80)と、を含み、
前記プログラム選択制御要素(136)は、神経刺激デバイス(14)のための2つの異なるプログラムモード(202〜206)の1つをユーザに選択させるように構成され、
前記処理回路(80)は、第1のプログラムモード(202〜206)に対応する第1の電極形態を定め、前記プログラム選択制御要素(136)の作動に応答して第2のプログラムモード(202〜206)を選択し、前記第2のプログラムモード(202〜206)の選択に応答して、前記第1の電極形態に基づく第2の電極形態を定めるように構成され、前記第2の電極形態は、前記第2のプログラムモード(202〜206)に対応し、
前記制御回路(80)は、前記第2の電極形態に対応する刺激パラメータを発生させ、前記刺激パラメータのセットに従って、電気エネルギを前記複数の電極(26)に伝えるように前記神経刺激デバイス(14)に命令するように構成される、システム。
【請求項2】
前記第1の電極形態は、前記第2のプログラムモード(202〜206)に対して有効な電極形態ではない、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記第2の電極形態は、前記第1の電極形態を近似する、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記第1の電極形態及び前記第2の電極形態の各々は、分割電極形態である、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記第1のプログラムモード(202〜206)は、手動プログラムモード(202)及び半自動プログラムモード(204,206)の一方であり、前記第2のプログラムモード(202〜206)は、前記手動プログラムモード(202)及び前記半自動プログラムモード(204,206)の他方である、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記処理回路(80)は、前記神経刺激デバイス(14)を前記半自動プログラムモード(204,206)でプログラムするとき、前記複数の電極(26)に対する仮想多極(252)を定め、前記仮想多極(252)を模倣する前記複数の電極(26)のための振幅値を計算するように構成され、
前記刺激パラメータセットは、前記計算された振幅値を含む、請求項5に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記半自動プログラムモード(204,206)は、前記複数の電極(26)にわたって前記仮想多極(252)をパンするように構成される、請求項6に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記仮想多極(252)は、少なくとも1つのアノード(254,258)と、カソード(256)とを含み、前記半自動プログラムモード(204,206)は、前記カソード(256)が前記複数の電極(26)にわたって徐々に変位されるとき、前記少なくとも1つのアノード(254,258)を前記カソード(256)に対して変位させるように構成される、請求項6に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記第1のプログラムモード(202〜206)は、手動プログラムモード(202)であり、前記第2のプログラムモード(202〜206)は、半自動プログラムモード(204,206)である、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記処理回路(80)は、前記第1の電極形態のカソード電流の重心を計算し、前記カソード電流の重心に位置する仮想カソード(256)を有する仮想多極(252)を定め、前記仮想多極(252)を模倣する前記複数の電極(26)のための電流振幅値を計算することによって、前記第2の電極形態を定めるように構成される、請求項9に記載のシステム(10)。
【請求項11】
前記第1のプログラムモード(202〜206)は、前記半自動プログラムモード(204,206)であり、前記第2のプログラムモード(202〜206)は、前記手動プログラムモード(202)である、請求項5に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記第1の電極形態及び前記第2の電極形態は、同一である、請求項11に記載のシステム(10)。
【請求項13】
前記第1のプログラムモード(202〜206)は、第1の半自動プログラムモード(204,206)であり、前記第2のプログラムモード(202〜206)は、第2の半自動プログラムモード(204,206)である、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項14】
前記第2の半自動プログラムモード(204,206)は、限られた数の電極形態を有し、
前記第2の電極形態を定めることは、前記第1の電極形態に最良適合する前記限られた数の電極形態のうちの1つを選択し、それによって前記第2の電極形態を定めることを含む、請求項13に記載のシステム(10)。
【請求項15】
前記処理回路(80)は、前記第2の電極形態を定める前に、少なくとも1つの刺激パラメータを前記第1の電極形態に対応する第1の値から前記第2の電極形態に対応する第2の値まで徐々に調節するように構成される、請求項14に記載のシステム(10)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、電気刺激場フォーカスを含む、請求項15に記載のシステム(10)。
【請求項17】
更に、遠隔測定回路(86)を含み、
前記制御回路(80)は、前記刺激パラメータセットを前記遠隔測定回路(86)を介して前記神経刺激デバイス(14)に送信するように構成される、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項18】
更に、ハウジング(78)を含み、前記ハウジング(78)は、前記ユーザインタフェース(100)と、前記処理回路(80)と、前記制御回路(80)を収容する、請求項1に記載のシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織刺激システムに関し、より具体的には、神経刺激リードをプログラムする神経刺激システムに関する。
【背景技術】
【0002】
埋込み可能な神経刺激システムは、広範な病気及び疾患の治療効果を証明している。ペースメーカー及び「埋込み可能な心臓除細動器(ICD)」は、いくつかの心臓の病気(例えば、不整脈)の処置において非常に有効であることを証明している。「脊髄刺激(SCS)」システムは、慢性疼痛症候群の処置のための治療法として長く受入れられており、組織刺激の適用は、狭心症及び失禁等の付加的な適用に広がり始めている。「脳深部刺激(DBS)」も、難治性慢性疼痛症候群の処置のために10年以上治療的に適用されており、DBSも、近年運動障害及びてんかん等の付加的な分野に適用されている。更に近年の研究では、「末梢神経刺激(PNS)」システムは、慢性疼痛症候群及び失禁の処置において有効性を明らかにしており、いくつかの付加的な適用は、現在研究中である。更に、ニューロコントロール(米国オハイオ州のクリーブランド)による「フリーハンド」システム等の「機能的電気刺激(FES)」システムは、脊髄損傷患者の麻痺した四肢の何らかの機能を回復させるために適用されている。
【0003】
それらの埋込み可能な神経刺激システムは、典型的には、望ましい刺激部位に埋込まれた刺激リード、及び刺激部位から遠隔に埋込まれるが、直接に神経刺激リードに又は間接的にリード延長部を介して神経刺激リードに結合された神経刺激器(例えば、埋込み可能なパルス発生器(IPG))を担持する1つ又は2つ以上の電極を含む。神経刺激システムは、外部制御デバイスを更に含み、選択された刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させるように遠隔に神経刺激器に命令することができる。
【0004】
電気刺激エネルギは、電気パルス波形の形態で神経刺激器から電極に送出することができる。従って、刺激エネルギは、電極に制御可能に送出して神経組織を刺激することができる。電気パルスをターゲットにする組織に送出するのに使用する電極の形態は、電極形態を構成し、電極は、アノード(正)、カソード(負)、又はオフのまま(ゼロ)として作用するように選択的にプログラムすることが可能である。言い換えると、電極形態は、正、負、又はゼロの極性を表している。制御又は変更することができる他のパラメータは、電極アレイにより設けられた電気パルスの振幅、幅、及び繰返し数を含む。電気パルスパラメータと共に各電極形態は、「刺激パラメータセット」と呼ぶことができる。
【0005】
一部の神経刺激システム、特に独立して電流又は電圧供給源を制御したものを用いて、電極(電極として作用することができる神経刺激器の場合を含む)への電流の配分は、電流が多数の異なる電極形態を介して供給されるように変更することができる。異なる形態では、電極は、正又は負の電流又は電圧の異なる相対的割合で電流又は電圧を提供し、異なる電流配分(すなわち、分割電極形態)を生成することができる。
【0006】
簡単に上述したように、外部制御デバイスを使用して神経刺激器に命令し、選択された刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させることができる。典型的には、神経刺激器の中にプログラムされた刺激パラメータは、外部制御デバイスに対する制御を操作することによって調節され、患者に神経刺激器システムが提供する電気刺激を修正することができる。従って、外部制御デバイスによってプログラムされた刺激パラメータに従って、電気パルスは、神経刺激器から刺激電極に送出され、刺激パラメータのセットに従ってある一定の容積の組織を刺激又は活性化し、望ましい有効な治療を患者に加えることができる。最良の刺激パラメータセットは、典型的には、刺激される非ターゲット組織の容積を最小にしながら、治療恩典(例えば、疼痛の治療)を提供するために刺激する必要がある組織の容積に刺激エネルギを送出するものであることになる。
【0007】
しかし、様々な複合刺激パルスを発生させる機能と共に利用可能な多数の電極は、臨床医又は患者に刺激パラメータセットの非常に大きな選択を呈する。例えば、プログラムすべき神経刺激システムが、16の電極のアレイを有する場合、何百万もの刺激パラメータセットが、神経刺激システムの中にプログラムするために利用可能である可能性がある。
今日、神経刺激システムは、32の電極まで有することができ、これは、プログラムするために利用可能な刺激パラメータセットの数を指数関数的に増加させる。
【0008】
このような選択を容易にするために、臨床医は、一般的に、コンピュータ化プログラムシステムを介して神経刺激器をプログラムする。このプログラムシステムは、内蔵型ハードウエア/ソフトウエアシステムとすることができ、又は標準パーソナルコンピュータ(PC)で作動するソフトウエアによって主に形成することができる。PC又は専用ハードウエアは、神経刺激器が発生する電気刺激の特性を能動的に制御し、最適刺激パラメータを患者フィードバック又は他の手段に基づいて決定し、その後に最適刺激パラメータの1つのセット又は複数のセットで神経刺激器をプログラムすることを可能にする。コンピュータ化プログラムシステムは、いくつかのシナリオで患者を担当する臨床医によって作動させることができる。
【0009】
例えば、SCSから有効な結果を達成するために、1つのリード又は複数のリードは、電気刺激が異常感覚を引き起こすような位置に置く必要がある。刺激が誘発して患者が知覚する異常感覚は、処置のターゲットである疼痛と略同じ患者の身体の位置に位置するはずである。リードが正しく位置決めされない場合、患者は、埋込まれたSCSシステムから殆ど又は全く恩典を受けないことになる。従って、正しいリード配置は、有効疼痛治療と効果のない疼痛治療の間の差を意味する可能性がある。電極リードが患者内に埋込まれる時に、手術室(OR)マッピング手順との関連で、コンピュータ化プログラムシステムを使用して神経刺激器に命令し、電気刺激を付加してリード及び/又は電極の配置を試験することができ、それによってリード及び/又は電極が患者内の有効位置に埋込まれていることが保証される。
【0010】
リードが正しく位置決めされた状態で、ナビゲーションセッションと呼ぶ場合がある調整手順が、疼痛部位に最も良く対処する1組の刺激パラメータにより、コンピュータ化プログラムシステムを使用して実施され、外部制御デバイス及び適用可能な場合には神経刺激器をプログラムすることができる。従って、ナビゲーションセッションを使用して、疼痛に相関する活性化容積(VOA)又は区域を識別することができる。このようなプログラム機能は、埋込み中に又はリードが漸次的に又は予想外に動いてそれらがそれ以外に刺激エネルギをターゲット部位から離れるように移動すると考えられる場合は埋込み後に組織をターゲットにするために特に有利である。神経刺激器を再プログラムすることにより(典型的には、独立して電極に対する刺激エネルギを変更することにより)、活性化容積(VOA)は、多くの場合、リード及びその電極アレイを再位置決めするために患者を再手術する必要なく有効疼痛部位に再度移動することができる。組織に対して活性化容積(VOA)を調節する時に、神経繊維の空間補充の変化を滑らかで連続的であると患者が知覚するように電流の割合を少しだけ変化させ、区分的ターゲッティング機能を有することが望ましい。
【0011】
SCSに対する1つの公知のコンピュータ化プログラムシステムは、ボストン・サイエンティフィック・ニューロモデュレイション・コーポレーションから入手可能な「Bionic Navigator(登録商標)」と呼ばれている。「Bionic Navigator(登録商標)」は、好ましいPC上で作動し、臨床医が刺激パラメータを外部の手持ち式プログラム装置(遠隔制御部と呼ばれる)の中にプログラムすることを可能にするソフトウエアパッケージである。電極への分割電流配分(パーセントカソード電流、パーセントアノード電流、又はオフ)を含む刺激パラメータの各セットは、「Bionic Navigator(登録商標)」及び遠隔制御部の両方に記憶され、次に、患者内の複数の領域を刺激するのに使用することができる刺激プログラムの中に組み合わせることができる。
【0012】
プログラムされる刺激パラメータを決定するために、「Bionic Navigator(登録商標)」は、3つのモード、すなわち、(a)電極を流れるカソード電流及びアノード電流を手動で選択する手動プログラムモード、(b)限られた数の電極形態を使用して電極アレイを迅速に掃引し、2極刺激においてカソードを徐々に移動する電子トロール(「e−トロール」)モード、及び(c)広範な電極形態を使用して患者の快適性のための刺激カバレージを微調節して最適化するナビゲーションプログラムモードのうちの1つで臨床医によって作動させることができる。これらの3つのモードは、定められた患者に対して最も有効な刺激パラメータセットを臨床医が決定することを可能にする。
【0013】
手動プログラムモードにおいて、臨床医は、個々の電極と各選択された電極に適用される電流の大きさ及び極性とを直接に選択する。ナビゲーション及びe−トロールプログラムモードにおいて、「Bionic Navigator(登録商標)」は、異なる電極形態の間を半自動的に移行し、系統的に実時間で(例えば、ジョイスティック又はジョイスティック様制御器を使用して)埋込みリードに沿って電流を電気的に「ステアリング」し、それによってその後に刺激プログラムの中に記憶されて最終的に組み合わせることができる最も有効な刺激パラメータセットを臨床医が決定することを可能にする。SCSとの関連では、電流ステアリングは、典型的には、吻側−尾側方向(すなわち、脊髄の軸線に沿って)又は内側−外側方向(すなわち、脊髄の軸線に垂直)のいずれかにおいて実施される。
【0014】
ナビゲーション及びe−トロールプログラムモードは、臨床医が電極形態を一方の形態から別の形態に変化させる方法において一部異なっている。e−トロールプログラムモードは、電極形態の基本形態を変化させることなく、電極のシーケンスに従って予め定められた電極形態をシフトさせる「パン」として公知の技術を利用する。ナビゲーションプログラムモードは、電極のシーケンスに従ってカソードをゆっくり進めながら、カソードの周りに1つ又は複数のアノードを移動する「ウィービング」として公知の技術を利用する。e−トロール及びナビゲーションプログラムモードは、異なる臨床的用途(例えば、パンの場合の「スイートスポット」の発見又はウィービングの場合のカソードの周りの電界の成形)を有する場合がある。
【0015】
特許文献1に説明する1つの新しい電流ステアリング方法において、仮想極(仮想2極又は3極)の形態の刺激ターゲットが形成され、電極の各々に対する分割電流値を含む刺激パラメータは、これらの仮想極を模倣する態様で計算によって決定される。電流ステアリングは、電極の適切な分割電流値を仮想極の様々な位置の各々に対して計算するためにリードの周りで仮想極を移動することによって実施することができることを認めることができる。その結果、電流ステアリングは、任意の数及び配置の電極を使用して実施され、それによって上述の問題を解決することができる。
【0016】
仮想2極又は3極は、カソードとカソードからの縦軸線上に位置する上側(又は吻側)アノード及び下側(又は尾側)電極とで構成される簡素化仮想3極を使用して決定することができる。仮想3極は、(1)電極に対するカソードの位置と、(2)カソードとアノードの間の距離であるフォーカスと、(3)上側カソード上の電流のパーセントとで構成される3つの値を使用して定めることができる。この技術は、特許文献2に開示されている。
【0017】
単独で使用する時に、手動プログラムモードだけで「Bionic Navigator(登録商標)」を作動させることは面倒で時間を消費するタスクであることがある。実際には、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードのいずれかを使用して関連の汎用電極形態を迅速に判断し、次に、手動プログラムモードを使用して微調節し、アノード/カソードを追加/除去して最適刺激を与えることが非常に有用である。臨床医が、最適電極形態に非常に近い治療効果を得るために手動で電極を構成する知識を有する場合があり、次に、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードを使用して、手動で選択された電極形態の周りの治療を最適化することができるという点でその逆も真である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0106215号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第61/452,965号明細書
【特許文献3】米国特許第6,895,280号明細書
【特許文献4】米国特許第6,516,227号明細書
【特許文献5】米国特許第6,993,384号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/0010566号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2010/0121409号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ナビゲーションプログラムモード又はe−トロールプログラムモードの両方は、形態の部分集合のみを手動プログラムモードで可能にさせるものである。各モードで可能な形態は、他の非手動プログラムモードでいつも利用可能ではないので、モード間の切り換えが面倒であった。典型的には、モード間の切り換えは、以前のモードで注意深く調節した形態に関する全ての情報を失い、新しいモードでデフォルト形態から開始し、次に、新しいモードを使用してデフォルト形態を調節することが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の態様により、複数の電極に結合された医療デバイスをプログラムするためのシステムを提供する。システムは、医療デバイスのための2つの異なるプログラムモードの一方をユーザに選択させるように構成されたプログラム選択制御要素を含むユーザインタフェースを含む。システムは、第1のプログラムモードに対応する第1の電極形態を定め、プログラム選択制御要素の作動に応答して第2のプログラムモードを選択し、かつ第2のプログラムモードの選択に応答して第2の電極形態を定めるように構成された処理回路を更に含む。第2の電極形態は、第2のプログラムモードに対応する。一実施形態において、第1の電極形態は、第2のプログラムモードに対して有効な電極形態ではない。別の実施形態において、第2の電極形態は、第1の電極形態に近似する。第1及び第2の電極形態の各々は、例えば、分割電極形態である場合がある。
【0021】
システムは、第2の電極形態に対応する刺激パラメータセットを発生させ、かつ刺激パラメータセットに従って複数の電極に電気エネルギを伝えるべく医療デバイスに命令するように構成された制御回路を更に含む。
【0022】
別の実施形態において、第1のプログラムモードは、手動プログラムモード及び半自動プログラムモードのうちの一方のモードであり、第2のプログラムモードは、手動プログラムモード及び半自動プログラムモードのうちの他方のモードである。この場合に、処理回路は、半自動モードで医療デバイスをプログラムする時に複数の電極に対して仮想多極を定め、かつ仮想多極を模倣する複数の電極のための振幅値を計算するように構成することができる。刺激パラメータセットは、計算振幅値を含む。半自動プログラムモードは、例えば、複数の電極にわたって仮想多極をパンし、又はカソードが複数の電極にわたって徐々に変位される時に仮想多極のカソードに対して仮想多極のうちの少なくとも1つのアノードを変位させるように構成することができる。
【0023】
更に別の実施形態において、第1のプログラムモードは、手動プログラムモードであり、第2のプログラムモードは、半自動プログラムモードである。この場合に、処理回路は、第1の電極形態のカソード電流の重心を計算し、カソード電流の重心に位置する仮想カソードを有する仮想多極を定め、かつ仮想多極を模倣する複数の電極のための電流振幅値を計算し、それによって第2の電極形態を定めることによって第2の電極形態を定めるように構成することができる。
【0024】
更に別の実施形態において、第1のプログラムモードは、半自動プログラムモードであり、第2のプログラムモードは、手動プログラムモードである。この場合に、第1の電極形態及び第2の電極形態は、同一である場合がある。更に別の実施形態において、第1のプログラムモードは、第1の半自動プログラムモードであり、第2のプログラムモードは、第2の半自動プログラムモードである。この場合に、第2の半自動プログラムモードが限られた数の電極形態を有する場合には、第2の電極形態を定めることは、第1の電極形態に最良適合する限られた数の電極形態のうちの1つを選択し、それによって第2の電極形態を定めることを含むことができる。処理回路は、第2の電極形態を定める前に、少なくとも1つの刺激パラメータ(例えば、電気刺激場フォーカス)を第1の電極形態に対応する第1の値から第2の電極形態に対応する第2の値まで徐々に調節するように更に構成することができる。
【0025】
任意的な実施形態において、システムは、遠隔測定回路を更に含み、その場合に、制御回路は、遠隔測定回路を通して神経刺激デバイスに刺激パラメータセットを送信するように構成することができる。システムは、ユーザインタフェース、処理回路、及び制御回路を収容するハウジングを更に含むことができる。
【0026】
本発明の第2の態様により、患者の組織(例えば、脊髄組織)に隣接して埋込まれた複数の電極に結合された神経刺激デバイスをプログラムする方法を提供する。神経刺激デバイスは、患者内に埋込むことができる。本方法は、神経刺激デバイスをプログラムする第1のモードに対応する第1の電極を定める段階と、第1のプログラムモードと異なる第2のプログラムモードを選択する段階と、第2のプログラムモードの選択に応答して第1の電極形態に基づいて第2の電極形態を定める段階と、第2のプログラムモードを使用して医療デバイスをプログラムする段階とを含む。第1及び第2のプログラムモードと第2の電極形態が定められる方式とは、上述したように同じとすることができる。任意的な方法は、第1の電極形態と組織の間に電気刺激エネルギを印加する段階と、第2の電極形態と組織の間に電気刺激エネルギを印加する段階とを含む。
【0027】
本発明の他の及び更に別の態様及び特徴は、本発明を例示することを意図し、本発明を限定しない好ましい実施形態の以下の詳細説明を読むと明らかになる。
【0028】
図面は、本発明の好ましい実施形態の設計及び有用性を示し、ここで、同様の要素は、共通の参照番号によって参照される。本発明の上述の及び他の利点及び目的を達成する方法をより良く理解するために、上で簡単に説明した本発明のより詳細説明を添付の図面に示されているその具体的な実施形態を参照して以下に示す。それらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを描いており、従って、本発明の範囲を限定すると考えるべきではないことを理解した上で、本発明を添付の図面の使用により付加的な特殊性及び詳細と共に説明かつ解説する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の1つの実施形態によって構成された「脊髄刺激(SCS)」システムの平面図である。
図2】患者に対する図1のSCSシステムの配置の斜視図である。
図3図1のSCSシステムと共に使用される埋込み可能なパルス発生器(埋込み可能なパルス発生器(IPG))及び経皮リードの外形図である。
図4図1のSCSシステムと共に使用される遠隔制御部(遠隔制御部(RC))の正面図である。
図5図4の遠隔制御部(RC)の内部構成要素のブロック図である。
図6図1のSCSシステムに使用する臨床医のプログラム装置(臨床医用プログラム装置(CP))の内部構成要素のブロック図である。
図7】手動モードで図3の埋込み可能なパルス発生器(IPG)をプログラムするための図6の臨床医用プログラマー(CP)のユーザインタフェースの平面図である。
図8】e−トロールモードで図3の埋込み可能なパルス発生器(IPG)をプログラムするための図6の臨床医用プログラマー(CP)のユーザインタフェースの平面図である。
図9図3の埋込み可能なパルス発生器(IPG)をプログラムするために図8のe−トロールモードによって使用される多極のパンされたシーケンスの図である。
図10】分解能及びフォーカス制御器の中への「詳細タブ」の拡張を特に示す図8のユーザインタフェースの平面図である。
図11】ナビゲーションモードで図3の埋込み可能なパルス発生器(IPG)をプログラムするための図6の臨床医用プログラマー(CP)のユーザインタフェースの平面図である。
図12図3の埋込み可能なパルス発生器(IPG)をプログラムするための図10のナビゲーションモードによって使用される異なる仮想多極のシーケンスの図である。
図13図12に示す多極のシーケンスのためのウィーブ空間を示すプロットの図である。
図14図6の臨床医用プログラマー(CP)のユーザインタフェースにおける手動、e−トロール、及びナビゲーションモードの間の移行を示す状態図である。
図15】ユーザインタフェースをe−トロール又はナビゲーションモードから手動モードに置くための段階を示す流れ図である。
図16】ユーザインタフェースを手動モードからe−トロールモード又はナビゲーションモードに置くための段階を示す流れ図である。
図17】手動プログラムモードに使用された最後の電極形態に基づいてe−トロール又はナビゲーションプログラムモードに対応する電極形態を定めるための下位段階を示す流れ図である。
図18】例示的な手動モード電極形態から例示的なe−トロール電極形態への移行を示すグラフである。
図19】ユーザインタフェースをナビゲーションモードからe−トロールモードに置くための段階を示す流れ図である。
図20】ユーザインタフェースをe−トロールモードからナビゲーションモードに置くための段階を示す流れ図である。
図21】例示的なe−トロール電極形態から例示的なナビゲーション電極形態への移行を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明は、脊髄刺激(SCS)システムに関する。しかし、本発明は、脊髄刺激(SCS)における適用例に適切であるが、本発明は、その最も広範な態様ではそのように限定されるものではないことを理解すべきである。そうではなく、本発明は、組織を刺激するのに使用する任意のタイプの埋込み可能な電気回路と共に使用することができる。例えば、本発明は、ペースメーカー、除細動器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、協働四肢運動を生じさせるように構成された刺激器、皮質刺激器、脳深部刺激器、末梢神経刺激器、超小型刺激器、又は尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼、頭痛、その他を処置するように構成された任意その他の神経刺激器の一部として使用することができる。
【0031】
最初に図1を見ると、例示の脊髄刺激(SCS)システム10は、一般的に、複数の(この場合は2つ)埋込み可能な神経刺激リード12と、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14と、外部遠隔制御部RC(遠隔制御部)16と、臨床医用プログラム装置(CP)18と、外部試験刺激器(ETS)20と、外部充電器22を含んでいる。
【0032】
IPG14は、1つ又はそれよりも多くの経皮的リード延長部24を通じて神経刺激リード12に物理的に接続され、神経刺激リード12は、アレイに配置された複数の電極26を担持する。図示の実施形態において、神経刺激リード12は、経皮的リードであり、この目的のために、電極26は、神経刺激リード12に沿って一列に並んで配置される。図示の神経刺激リード12の数は2つであるが、1つのみを含むあらゆる適切な数の神経刺激リード12を設けることができる。変形例として、外科用パドルリードを、経皮リードのうちの1つ又はそれよりも多くの代わりに使用してもよい。以下により詳細に説明するように、IPG14は、パルス電気波形(すなわち、時間的に連続した電気パルス)の形態の電気刺激エネルギを1組の刺激パラメータに従って電極アレイ26に送出するパルス発生回路を含む。
【0033】
ETS20はまた、経皮的リード延長部28及び外部ケーブル30を通じて神経刺激リード12に物理的に接続することができる。IPG14と類似のパルス発生回路を有するETS20も、1組の刺激パラメータに従ってパルス電気波形の形態の電気刺激エネルギを電極アレイ26に送出する。ETS20とIPG14の間の大きな差は、提供することになっている刺激の反応性を試験するために、神経刺激リード12が埋込まれた後とIPG14の埋込みの前に試験的に使用される埋込み不能デバイスである。従って、IPG14に対して本明細書に説明するあらゆる機能は、ETS20に対して同様に実施することができる。例示的なETSの更なる詳細は、特許文献3(米国特許第6,895,280号明細書)に説明されている。
【0034】
RC16を使用して、双方向RF通信リンク32を通じてETS20を遠隔測定的に制御することができる。IPG14及び神経刺激リード12が埋込まれた状態で、RC16を使用して、双方向RF通信リンク34を通じてIPG14を遠隔測定的に制御することができる。このような制御により、IPG14をオン又はオフにし、異なる刺激パラメータセットでプログラムすることを可能にする。IPG14も作動し、プログラムされた刺激パラメータを修正し、IPG14によって出力された電気刺激エネルギの特性を能動的に制御することができる。以下により詳細に説明するように、CP18は、手術室及び追跡セッションにおいてIPG14及びETS20をプログラムするための臨床医の詳細な刺激パラメータを提供する。
【0035】
CP18は、IR通信リンク36を通じてRC16によりIPG14又はETS20と間接的に通信することによってこの機能を実施することができる。変形例として、CP18は、RF通信リンク(図示せず)を通じてIPG14又はETS20と直接に通信することができる。CP18によって提供された臨床医の詳細な刺激パラメータも使用して、刺激パラメータをその後に独立型モード(すなわち、CP18の支援なしに)RC16の作動によって修正することができるようにRC16をプログラムする。
【0036】
外部充電器22は、誘導リンク38を通じてIPG14を経皮的に充電するのに使用する携帯式デバイスである。簡潔にするために、外部充電器22の詳細は、本明細書では以下に説明しない。外部充電器の例示的な実施形態の詳細は、特許文献3(米国特許第6,895,280号明細書)に開示されている。IPG14がプログラムされており、その電源が外部充電器22によって充電されるか又はそうでなければ補充された状態で、IPG14は、RC16又はCP18が存在することなくプログラムされるように機能することができる。
【0037】
図2に示すように、神経刺激リード12は、患者40の脊柱42内に埋込まれる。神経刺激リード12の好ましい配置は、刺激すべき脊髄区域に隣接しており、すなわち、その上に載っている。神経刺激リード12が脊柱42を出る位置の近くの空間の不足により、IPG14は、一般的に、腹部の中又は臀部の上のいずれかの外科的に作られたポケットに埋込まれる。IPG14はまた、勿論、患者の身体の他の位置に埋込むことができる。リード延長部24は、神経刺激リード12の出口点から離れたIPG14の位置決めを容易にする。図示のように、CP18は、RC16を通じてIPG14と通信する。
【0038】
ここで図3を参照して、神経刺激リード12及びIPG14の外部的特徴を簡単に説明する。神経刺激リードのうちの一方12aは、8つの電極26(E1−E8とラベル付けした)を有し、他方の刺激リード12bは、8つの電極26(E9−E16とラベル付けした)を有する。リード及び電極の実際の数及び形状は、勿論、意図する用途により変化することになる。IPG14は、電子及び他の構成要素(以下により詳細に説明する)を収容するための外側ケース44と、神経刺激リード12の近位端が、電極26を外側ケース44内のエレクトロニクスに電気的に接続する方式で係合するコネクタ46とを含む。外側ケース44は、チタンのような導電性の生体適合性材料から構成され、気密密封された区画を定め、内部エレクトロニクスは、身体組織及び体液から保護される。一部の実施形態において、外側ケース44は、電極として機能することができる。
【0039】
IPG14は、バッテリと、IPG14の中にプログラムされた1組の刺激パラメータに従ってパルス電気波形の形態の電気刺激エネルギを電極アレイ26に送出するパルス発生回路とを含む。このような刺激パラメータは、アノード(正)、カソード(負)、及びオフ(ゼロ)を定める電極形態と、各電極(分割電極形態)に割当られた刺激エネルギのパーセントと、パルス振幅(IPG14が電極アレイ26に一定の電流又は一定の電圧を供給するか否かかに応じてミリアンペア又はボルトで測定した)、パルス幅(マイクロ秒で測定した)、及びパルス繰返し数(1秒当たりのパルスで測定した)を定める電気パルスパラメータとを含むことができる。
【0040】
電気刺激は、2つ(又はそれよりも多く)の作動電極の間で起こることになり、2つの電極のうちの一方は、IPGケースとすることができる。刺激エネルギは、単極又は多極(例えば、二極、三極、その他)の様式で組織に送信することができる。単極刺激は、刺激エネルギが、選択された電極26とケースの間に送信されるように、リード延長部26のうちの選択された1つがIPG14のケースと共に作動する時に起こる。双極刺激は、刺激エネルギが選択された電極26の間で送信されるように、リード電極26のうちの2つがアノード及びカソードとして作動する時に起こる。例えば、第1のリード12上の電極E3は、第2のリード12上の電極E11がカソードとして作動する同じ時間にアノードとして作動させることができる。三極刺激は、リード延長部26のうちの3つが、アノードとして2つ及び残りがカソードとして1つ、又はカソードとして2つ及び残りがアノードとして1つのその3つが作動する時に起こる。例えば、第1のリード12上の電極E4及びE5は、第2のリード12上の電極E12がカソードとして作動する同じ時間にアノードとして作動させることができる。
【0041】
図示の実施形態において、IPG14は、電極の各々を貫流する電流のマグニチュードを個々に制御することができる。この場合には、電流発生器を有することが好ましく、各電極に対する独立電流源からの個々の電流調節振幅は、選択的に発生させることができる。このシステムは、本発明を利用するのに最適であるが、本発明で使用することができる他の刺激器は、電圧調節出力装置を有する刺激器を含む。個々にプログラマブルな電極振幅は、微調整を達成するのに最適であるが、電極にわたってスイッチを切り換える単一出力源もプログラムするのに微調整なしに使用することができる。混合電流及び電圧調節デバイスも、本発明で使用することができる。IPGの詳細な構造及び機能を示した更なる詳細は、特許文献4及び5(米国特許第6,516,227号明細書及び米国特許第6,993,384号明細書)により完全に説明されている。
【0042】
IPGではなく、SCSシステム10は、変形例として、神経刺激リード12に接続された埋込み可能受信機−刺激器(図示せず)を利用することができる点に注意すべきである。この場合、埋込まれた受信機に給電するための電源、例えば、バッテリ、並びに受信機−刺激器に命じる制御回路は、電磁気リンクを通じて受信機−刺激器に誘導的に結合された外部コントローラに格納されることになる。データ/電力信号は、埋込まれた受信機−刺激器の上に置かれたケーブル接続送信コイルから経皮的に結合される。埋込まれた受信機−刺激器は、信号を受信し、制御信号に従って刺激を発生させる。
【0043】
ここで図4を参照して、RC16の一例示的な実施形態を以下に説明する。上述したように、RC16は、IPG14、CP18、又はETS20と通信することができる。RC16はケーシング50を含み、これは、内部構成要素(プリント基板(PCB)を含む)、並びにケーシング50の外部が担持する照明付き表示画面52及びボタンパッド54を収容する。図示の実施形態において、表示画面52は、照明付き平面パネル表示画面であり、ボタンパッド54は、フレックス回路の上に位置決めされた金属ドームの膜スイッチと、直接にPCBに接続されたキーパッドコネクタとを含む。任意的な実施形態において、表示画面52は、タッチスクリーン機能を有する。ボタンパッド54は、多くのボタン56、58、60、及び62を含み、それらは、IPG14がオン及びオフになるのを可能にし、IPG14内の刺激パラメータの調節又は設定に備え、スクリーンの間の選択に備える。
【0044】
図示の実施形態において、ボタン56は、IPG14をオン及びオフにするように作動させることができるオン/オフボタンとして機能する。ボタン58は、RC16が画面表示及び/又はパラメータの間でスイッチを切り換えることを可能にする選択ボタンとして機能する。ボタン60及び62は、パルス振幅、ハルス幅、及びパルス繰返し数を含むIPG14が発生するパルスの刺激パラメータのいずれかを増加又は減少させるように作動させることができるアップ/ダウンボタンとして機能する。例えば、選択ボタン58は、パルス振幅をその間にアップ/ダウンボタン60、62を通じて調節することができる「パルス振幅調節モード」、パルス幅をアップ/ダウンボタン60、62を通じてその間に調節することができる「パルス振幅調節モード」、及びパルス繰返し数をアップ/ダウンボタン60、62を通じてその間に調節することができる「パルス繰返し数調節モード」にRC16を置くように作動させることができる。変形例として、専用アップ/ダウンボタンを各刺激パラメータに提供することができる。アップ/ダウンボタンの使用ではなく、ダイヤル、スライダーバー、又はキーパッドのようないずれかの他のタイプのアクチュエータを使用して刺激パラメータを増加又は減少させることができる。RC16の機能性及び内部構成要素の更なる詳細は、特許文献3(米国特許第6,895,280号明細書)に開示されている。
【0045】
図5を参照して、例示的なRC16の内部構成要素をここで説明する。RC16は、一般的に、プロセッサ64(例えば、マイクロコントローラ)、プロセッサ64によって実行するための作動プログラムを記憶するメモリ66、並びに刺激パラメータセット、入力/出力回路、及び特にIPG14に刺激パラメータを出力し、IPG14からステータス情報を受け入れるための遠隔測定回路68、及びボタンパッド54から刺激制御信号を受け入れ、表示画面52(図4に示す)にステータス情報を送信するための入力/出力回路70を含む。簡潔にするために本明細書では説明していないRC16の他の機能の制御と同様に、プロセッサ64は、ボタンパッド54のユーザ操作に応答して新しい刺激パラメータセットを生成する。それらの新しい刺激パラメータセットは、次に、遠隔測定回路68を通じてIPG14に送信されることになる。RC16の機能性及び内部構成要素の更なる詳細は、特許文献3(米国特許第6,895,280号明細書)に開示されている。
【0046】
簡単に上述したように、CP18は、複数の電極形態のプログミングを非常に簡素化し、ユーザ(例えば、医師又は臨床医)がIPG14、並びにRC16の中にプログラムされる望ましい刺激パラメータを容易に決定することを可能にする。従って、埋込み後のIPG14のプログラマブルメモリの刺激パラメータの修正は、CP18を使用するユーザによって実施され、CP18は、IPG14と直接に通信するか又はRC16を通じてIPG14と間接的に通信することができる。すなわち、CP18は、脊髄の近くの電極アレイ26の作動パラメータを修正するようにユーザによって使用されることができる。
【0047】
図2に示すように、CP18の全体の外観は、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)のものであり、実際に、指示プログミングデバイスを含むように適正に構成され、本明細書に説明する機能を実施するようにプログラムされているPCを使用して実施することができる。変形例として、CP18は、ミニコンピュータ、携帯情報端末(PDA)など、又は拡張機能を有する遠隔制御器(RC)の形態でさえも取ることができる。従って、プログミング手法は、CP18内に格納されたソフトウエア命令を実行することができる。変形例として、このようなプログミング手法は、ファームウエア又はハードウエアを使用して実施することができる。いずれの場合でも、CP18は、最適刺激パラメータを患者フィードバックに基づいて決定することを可能にし、その後に最適刺激パラメータを用いてIPG14をプログラムするために、IPG14が発生する電気刺激の特性を能動的に制御することができる。
【0048】
ユーザがそれらの機能を実施することを可能にするために、CP18は、マウス72、キーボード74、及びケース78に収容されたプログミング表示画面76を含む。マウス72に加えて又はこの代わりに、トラックボール、タッチパッド、ジョイスティック、又はキーボード74に関連付けられたキーの一部として含まれる指示キーのような他の指示プログミングデバイスを使用することができることは理解されるものとする。
【0049】
以下に説明する図示の実施形態において、表示画面76は、従来型のスクリーンの形態を取り、その場合に、マウス、ジョイスティック、トラックボール等によって制御されるカーソルのような仮想ポインティングデバイスを使用して表示画面76上のグラフィックオブジェクトを操作することができる。代替の実施形態において、表示画面76は、デジタイザタッチスクリーンの形態を取り、スクリーンは、能動的又は受動的のいずれにすることもできる。受動的である場合、表示画面76は、指又は非電子スタイラスのような受動デバイスがスクリーンと接触する時に、圧力又は電流の変化を認識する検出回路を含む。能動的である場合、表示画面76は、電子ペン又はスタイラスによって送信された信号を認識する検出回路を含む。いずれの場合にも、物理的ポインティングデバイス(例えば、指、非電子スタイラス、又は電子スタイラス)がスクリーンに近接している時に、検出回路は、それがポインティングデバイスとスクリーンの間で物理的に接触しても又はスクリーンの近くのポインティングデバイスを所定の距離内に収めてもそれを検出することができ、同時に物理的ポインティングデバイスが近接しているスクリーンの位置を検出する。ポインティングデバイスがスクリーンに触れ又はそうでなければスクリーンに近接している時に、タッチ点に隣接するスクリーン上のグラフィックオブジェクトは、操作に対して「ロックされ」、ポインティングデバイスがスクリーンから離れるように移動する時に、予めロックしたオブジェクトはアンロックされる。
【0050】
図6に示すように、臨床医用プログラマー(CP)18は、一般的に、コントローラ/プロセッサ80(例えば、中央演算処理ユニット(CPU))と刺激プログラムパッケージ84を記憶するメモリ82とを含み、これらは、コントローラ/プロセッサ80によって実行され、ユーザが埋込み可能なパルス発生器(IPG)14及び遠隔制御器(RC)16をプログラムすることを可能にする。臨床医用プログラマー(CP)18は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14及び遠隔制御器(RC)16に刺激パラメータをダウンロードするために、かつ遠隔制御器(RC)16の遠隔測定回路68を通して遠隔制御器(RC)16のメモリ66に既に記憶された刺激パラメータをアップロードするために(例えば、遠隔制御器(RC)16の遠隔測定回路を通して)出力回路86を更に含む。注意すべきことに、コントローラ/プロセッサ80を単一デバイスとして図6に示すが、処理機能及び制御機能は、個別のコントローラ及びプロセッサによって実施することができる。従って、臨床医用プログラマー(CP)18によって実施されるように以下に説明する制御機能は、コントローラによって実施することができ、臨床医用プログラマー(CP)18によって実施されるように以下に説明する処理機能は、プロセッサによって実施することができることを認めることができる。
【0051】
コントローラ/プロセッサ80によるプログラムパッケージ84の実行は、マウス72の使用を通してナビゲートされる多くの表示画面(図示せず)を提供する。これらの表示画面は、他の機能の中でも、臨床医が、患者プロフィール情報(例えば、名前、誕生日、患者識別、医師、診断、及び住所)を選択又は入力し、手順情報(例えば、プログラム/追跡、インプラント試験システム、インプラント埋込み可能なパルス発生器(IPG)、インプラント埋込み可能なパルス発生器(IPG)及びリード、交換埋込み可能なパルス発生器(IPG)、交換埋込み可能なパルス発生器(IPG)及びリード、交換又は修正リード、外植、その他)を入力し、患者の疼痛マップを生成し、リードの形態及び向きを定め、神経刺激リード12によって出力された電気刺激エネルギを開始して制御し、かつ手術設定及び臨床設定の両方において刺激パラメータで埋込み可能なパルス発生器(IPG)14を選択してプログラムすることを可能にする。上述の臨床医用プログラマー(CP)機能の更なる詳細説明は、特許文献6(米国特許出願公開第2010/0010566号明細書)及び特許文献7(米国特許出願公開第2010/0121409号明細書)に開示されている。
【0052】
本発明に最も関連することとして、プログラムパッケージ84の実行は、異なるプログラムモード、及び図示の実施形態では手動プログラムモード、e−トロールプログラムモード、及びナビゲーションプログラムモードである3つのプログラムモードを使用して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14をユーザがプログラムすることを便利に可能にするユーザインタフェースを提供する。
【0053】
ここで図7を参照して、臨床医用プログラマー(CP)18によって生成され、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14をユーザがプログラムすることを可能にするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)100を説明する。図示の実施形態において、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)100は、プログラム選択パネル102、リード表示パネル104、及び電気パラメータ調節パネル106の3つのパネルを含む。グラフィカルユーザインタフェース(GUI)100の一部の実施形態は、タブ108(パラメータ調節パネル106を示すか又は隠すための)又はタブ110(リード選択パネル104及びパラメータ調節パネル106の両方の全貌を示すか又は隠すための)上をクリックすることによってリード表示パネル102及びパラメータ調節パネル106の一方又は両方を閉じる及び拡張することを可能にする。
【0054】
プログラム選択パネル102は、プログラムと埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に対して定められているか又は定めることができる区域とに関する情報を提供する。複数のプログラムは、カルーセル112に表示することができる。例示的な実施形態において、16のプログラムを定めることができるが、プログラム1が、フィールド114の「1」に示すように、現在定められている唯一のものである。他の実施形態は、異なる数又は配置の利用可能なプログラムスロットと共に、利用可能なプログラムを表示するためのカルーセル又は他の技術を使用することができる。
【0055】
各プログラムは、名称フィールド116によって示すように名前をつけることができる。刺激オン/オフボタン118は、現在実行中のプログラムをオン又はオフにすることを可能にする。実行中のプログラムがオンであると、刺激パラメータセットが、臨床医用プログラマー(CP)18に生成され、遠隔制御器(RC)16に送られる。プログラムが複数の区域の刺激を制御することを可能にする4つまでのプログラム区域120を定めることができる。各プログラム区域120は、患者内の電極の刺激を個別に制御することができ、かつ個別にオン又はオフにすることができる。プログラム区域120の各々は、以下に説明するように、グラフィカルリード124及び126上のマーカとして使用することができるラベル122でラベル付けすることができる。いくつかの一時的区域128は、一時的区域128の中にプログラム区域120を複写し、又はプログラム区域120の中に一時的区域128を複写することによって区域情報の一時的記憶のために使用することができる。これは、一時的区域128のうちの1つによって4つのスロットのうちの1つから別のスロットにプログラム区域120を複写することを可能にする。他の実施形態はまた、プログラム区域120のうちの1つを直接にプログラム区域120のうちの別の1つの中に複写することを可能にする。個々のプログラムは、カルーセル112の他方のスロットに複写され、又は必要に応じて削除することができる。
【0056】
ここでリード表示パネル104を見ると、グラフィカルリード124及び126は、8つのグラフィック電極130各々(リード124には電極E1−E8とラベル付けし、リード126には電極E9−E16とラベル付けした)と共に示されている。他の数のリード及びリード当たりの電極は、必要に応じて表示することができる。他の数の電極を使用する埋込みシステムにおいて、その電極の数は、リード表示パネル104に示すことができる。リードの4つまでの群は、リード群タブ132のうちの1つを選択することによって見ることができる。更に、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14のケース44を表すアイコン134は、リード表示パネル104に表示されている。グラフィカルリード124及び126の電極のいずれかに電流を割当てるのに追加して、電流は、電極としてのケース44に割当てることができる。
【0057】
リード124及び126の電極130の各々を個々に選択することができ、臨床医がその電極130に割当てられた電流の極性及び大きさを設定することを可能にする。例示的な実施形態において、電極E15が現在選択されている。それぞれ3つのプログラム区域に対応する3つの群の電極に電流が割当てられている。電極群130aは、カソード電流の100%を割当てた電極E2での単一カソードと、それぞれアノード電流の25%及び75%を割当てた電極E1及びE3での2つのアノードとを示している。電極群130bは、カソード電流の100%を割当てた電極E7での単一カソードと、それぞれアノード電流の50%及び50%を割当てた電極E6及びE8での2つのアノードとを示している。電極群130cは、カソード電流の100%を割当てた電極E10での単一カソードと、それぞれアノード電流の60%及び40%を割当てた電極E9及びE11での2つのアノードとを示している。
【0058】
パラメータ調節パネル106は、ユーザが手動プログラムモード、e−トロールプログラムモード、及びナビゲーションプログラムモードの間で切り換えることを可能にするプルダウンプログラムモードフィールド136を含む。図7に示すように、手動プログラムモードが選択されている。手動プログラムモードにおいて、グラフィカルリード124及び126、並びにグラフィックケース132の電極130の各々を個々に選択することができ、振幅/極性区域138に位置するグラフィック制御器を使用してその電極134に割当てた電流の極性(カソード又はアノード)及び大きさ(パーセント)を臨床医が設定することを可能にする。特に、区域138に位置するグラフィック極性制御器140は、「+」アイコン、「−」アイコン、及び「オフ」アイコンを含み、これらは、正の分極(アノード)、負の分極(カソード)、及びオフ状態の間で選択された電極134を切り換えるようにそれぞれ作動させることができる。区域138における振幅制御器142は、選択された電極134の分割電流の大きさを低減するように作動させることができる矢印と、選択された電極134の分割電流の大きさを増加させるように作動させることができる矢印とを含む。振幅制御器142はまた、選択された電極134の分割電流の調節された大きさを示す表示区域を含む。振幅制御器142は、好ましくは、電極を見ることができず、かつリード表示パネル104において選択されない場合は無効にされる。
【0059】
手動プログラムモードが選択された時に、パラメータ調節パネル106はまた、それぞれの「アノード+」及び「カソード−」アイコンによって選択された極性の全ての電極に対して自動的に電流割当を等しくするように作動させることができる均等化制御器144を含む。パラメータ調節パネル106はまた、パルス振幅調節制御器146(ミリアンペア(mA)で表される)、パルス幅調節制御器148(マイクロ秒(μs)で表される)、及びパルス速度調節制御器150(ヘルツ(Hz)で表される)を含み、これらは、全て3つのプログラムモードで表示されている。制御器146、148、150の各々は、それぞれの刺激パラメータの値を低減するように作動させることができる第1の矢印と、それぞれの刺激パラメータの値を増加させるように作動させることができる第2の矢印とを含む。制御器146,148、150の各々はまた、現在選択されているパラメータを表示するための表示区域を含む。例示的な実施形態において、5mAのパルス振幅、210μsのパルス幅、60Hzのパルス速度が選択されている。制御器146、148、150も表示されている。
【0060】
図8に示すように、e−トロールプログラムモードが選択されている。このモードでは、手動プログラムモードで個々に選択可能及び構成可能であったリード表示パネル104に示す電極130は、表示のためだけに使用され、直接に選択可能又は制御可能ではない。パラメータ選択パネル106は、電流を上に、下に、左に、又は右にステアリングすることを可能にする矢印のステアリングアレイ152を含む。例示的な実施形態において、電流は、仮想多極をパンし(すなわち、仮想多極の基本形態(フォーカス(F)及び上側アノードパーセント(UAP)を変化させることなく、実際の電極26に対して仮想多極が移動される)、かつ実際の電極26が仮想多極を模倣するのに必要な電気振幅値を計算することによってステアリングされる。例えば、図9に示すように、一連の仮想多極及びこの場合に3極及び2極は、電極アレイ26において利用可能な電極位置を表す複数の点線の上にパネル電流ステアリング技術により順次定められる。
【0061】
例示的な実施形態において、仮想3極の全ては対称的であるので、仮想アノードは、中心仮想カソードから等しく離間している。公称仮想多極はまた、広い3極/2極と考えられるので、仮想アノードは、カソードから比較的大きい距離(この場合、2つの電極だけ)で離間している。電極アレイ26の端部の間で、仮想3極は、電極アレイ26に沿ってパンされる(すなわち、LGF値は、仮想カソードが電極アレイ26に沿ってシフトされる時に維持される)。しかし、仮想3極のうちの外側仮想アノードのいずれかがアレイの最後の電極と当接すると、仮想2極が利用される(電極アレイ26の上側にある上側仮想2極、及び電極アレイ26の下側にある下側仮想2極)。仮想2極は、次に、電極アレイ26に沿ってパンすることができる(すなわち、LGF値は、仮想カソードが電極アレイ26に沿ってシフトされる時に維持される)。
【0062】
e−トロールプログラムモードでは、パラメータ調節パネル106はまた、詳細タブ154を含み、詳細タブ154は、図10に示すように、作動された時にリード表示パネル104を隠し、分解能制御器156及びフォーカス制御器158へのアクセスを提供する。
【0063】
分解能制御器156は、刺激調節分解能を変化させることができる。一実施形態において、「Fine(細かい)」、「Medium(中程度)」、及び「Coarse(粗い)」の3つの可能な設定を選択することができる。分解能制御器156は、分解能を調節するのに使用することができる「+」アイコン及び「−」アイコンを有する。分解能制御器156はまた、電流分解能レベルをグラフィック表示する表示要素を含む。分解能を「Fine」に設定する時に、ステアリングアレイ152の使用が引き起こす各変化により、分解能を「Medium」又は「Coarse」に設定する時よりも電極形態が変化しにくくなる。例えば、「Coarse」分解能を有する仮想多極のパンは、電極間隔の10%と同等のステップで電極アレイ26に対して仮想多極を変位させることができるのに対して、「Fine」分解能を有する仮想多極のパンは、電極間隔の1%と同等のステップで電極アレイ26に対して仮想多極を移動することができる。
【0064】
フォーカス制御器158は、フォーカスを増加させるように互いの方向に仮想多極のアノード及びカソードを変位させ、又はフォーカスを低減するように互いに離れるように仮想多極のアノード及びカソードを変位させることによって刺激フォーカスの変化を可能にする。フォーカス制御器158は、フォーカスを調節するのに使用することができる「+」アイコン及び「−」アイコンを有する。フォーカス制御器158はまた、電流フォーカスレベルをグラフィック表示する表示要素を含む。
【0065】
図11に示すように、ナビゲーションプログラムモードが選択されている。e−トロールプログラムモードにおけるように、ナビゲーションプログラムモードにおいては、手動プログラムモードで個々に選択可能及び構成可能であったリード表示パネル104に示す電極は、表示のためだけに使用され、直接に選択可能又は制御可能ではない。パラメータ選択パネル106は、電流を上に、下に、左に、又は右にステアリングすることを可能にする矢印のステアリングアレイ162を含む。例示的な実施形態において、電流は、カソードが電極アレイ26に対して変位する時に仮想多極のカソードの周りで1つ又はそれよりも多くのアノードをウィービングし、かつ電極26が仮想多極を模倣するのに必要な電気振幅値を計算することによってステアリングされる。
【0066】
例えば、図12に示すように、一連の仮想多極は、電極アレイ26において利用可能な電極位置を表す複数の点線の上にウィーブ電流ステアリング技術により順次定められる。各例示的な多極は、多極が3極であるか又は2極であるか(3極にはT及び2極にはB)を示す指示符号を有し、電極間隔の観点から長手方向フォーカス(LGF)を示す添字付き指示符号、及び2極の場合の2極を示す添字付き指示符号は、アノードがカソードの上に重なることを意味する上側2極(u)であり、又は、2極は、アノードがカソードの下に重なることを意味する下側2極(l)である。
【0067】
図12に示す実施形態において、異なる仮想多極は、以下の順序:狭い仮想3極(T2)、狭い上側仮想2極(B2u)、広い上側仮想2極(B3u)、広い仮想3極(T2.5)、広い下側仮想2極(B3l)、狭い下側仮想2極(B2l)、及び狭い仮想3極(T2)で順次定められる。本明細書の目的に対して、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードのいずれかで仮想2極又は仮想3極を互いに定めるのに使用する時の用語「狭い」及び「広い」は、相対語であり、狭い2極及び/又は狭い3極が、広い2極及び/又は広い3極の長手方向フォーカス(LGF)よりも小さい長手方向フォーカス(LGF)を有することを単に意味する。
【0068】
図12に示す仮想多極は、長手方向フォーカス(LGF)及び上側アノードパーセント(UAP)によって定められた「ウィーブ空間」にシーケンスをマップすることによってカソード位置及び長手方向フォーカス(LGF)をその間で区分的に変化させる臨界点と考えることができる。図13に最も良く示すように、仮想多極のシーケンスは、仮想多極において連続的変化をもたらす臨界点(円によって表す)を順次接続する軌道線によって定められる。
【0069】
図13から認められるように、狭い仮想3極(T2)から始まり、狭い上側仮想2極(B2u)で終るシーケンスは、長手方向フォーカス(LGF)を維持しながら上側アノードパーセント(UAP)を区分的に増加させる。狭い上側仮想2極(B2u)から始まり、広い上側仮想2極(B3u)で終るシーケンスは、長手方向フォーカス(LGF)を区分的に増加させながら上側アノードパーセント(UAP)を維持する。広い上側仮想2極(B3u)から始まり、広い仮想3極(T2.5)で終るシーケンスは、長手方向フォーカス(LGF)を区分的に増加させながら上側アノードパーセント(UAP)を区分的に減少させる。広い仮想3極(T2.5)から始まり、広い仮想2極(B3l)で終るシーケンスは、長手方向フォーカス(LGF)を区分的に増加させながら上側アノードパーセント(UAP)を区分的に減少させる。広い下側仮想2極(B3l)から始まり、狭い下側仮想2極(B2l)で終るシーケンスは、長手方向フォーカス(LGF)を区分的に低減しながら上側アノードパーセント(UAP)を維持する。狭い下側仮想2極(B2l)から始まり、狭い仮想3極(T2)で終るシーケンスは、長手方向フォーカス(LGF)を維持しながら上側アノードパーセント(UAP)を区分的に増加させる。
【0070】
注意すべきことに、上述のシーケンスは、狭い仮想3極(T2)と広い上側仮想2極(B3u)の間で異なるタイプの仮想2極/3極を通して移行しながら、電極アレイ26に対して仮想カソードの同じ位置を維持し、広い上側仮想2極(B3u)と広い下側仮想2極(B3l)の間で一方向に(この場合上方に)電極アレイ26に対する仮想カソードの位置を区分的に変化させ、広い下側仮想2極(B3l)と狭い仮想2極(T2)の間で異なるタイプの仮想2極/3極を通して移行しながら、電極アレイ26に対する仮想カソードの同じ位置を維持する。図12に示すシーケンスは、繰返し循環することができ、その効果は、各サイクル当たり1つの電極により仮想カソードを上方にシフトすることである。様々なウィーブ電流ステアリング技術を説明する更なる詳細は、「汎用仮想多極を定めるための神経刺激システム」という名称の特許文献2(米国仮特許出願第61/452,965号明細書)に説明されている。
【0071】
ナビゲーションプログラムモードにおいて、パラメータ調節パネル106はまた、上述の詳細タブ154を含み、詳細タブ154は、図10のe−トロールプログラムモードに関して上述した同じ方式で、作動された時にリード表示パネル104を隠し、分解能制御器156及びフォーカス制御器158へのアクセスを提供する。
【0072】
分解能制御器156は、刺激調節分解能の変化を可能にする。一実施形態において、「Fine(細かい)」、「Medium(中程度)」、及び「Coarse(粗い)」の3つの可能な設定を選ぶことができる。分解能を「Fine」に設定する時に、ステアリングアレイ162の使用により生じる各変化により、分解能を「Medium」又は「Coarse」に設定する時よりも電極形態が変化しにくくなる。特に、分解能に応じて、異なる段階サイズを使用して図12に示す仮想多極の間で移行させることができる。例えば、分解能を「Fine」に設定する場合に、細かい分解能(1臨界点移行当たり10ステップ)を使用して、カソードがシフトされていない臨界点の間で移行することができ、更に細かい分解能(1臨界点移行当たり20ステップ)を使用して、カソードがシフトしている臨界点の間で移行することができる。分解能を「Coarse」に設定する場合に、粗い分解能(1臨界点移行当たり5ステップ)を使用して臨界点の全ての間で移行することができる。
【0073】
フォーカス制御器158は、フォーカスを増加させるように互いの方向に仮想多極の各々のアノード及びカソードを変位させ、又はフォーカスを低減するように互いに離れるように仮想多極の各々のアノード及びカソードを変位させることによって刺激フォーカスの変化を可能にする。
【0074】
意義深いことに、プログラムモードフィールド136の作動を通してプログラムモードの間で切り換える時に、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14を前のプログラムモードでプログラムした最後の電極形態が別の電極形態に変換され、これは、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14を次のプログラムモードでプログラムする第1の電極形態として使用される。
【0075】
図14を参照して、手動、e−トロール、及びナビゲーションプログラムモードの間で途切れなく移行するように臨床医用プログラマー(CP)18を使用する1つの方法を示す状態図200をここに説明する。手動プログラムモード202の時に、臨床医用プログラマー(CP)18は、移行208を使用してe−トロールプログラムモード204に、又は移行210を使用してナビゲーションプログラムモード206に移行することができる。e−トロールプログラムモード204の時に、臨床医用プログラマー(CP)18は、移行212を使用して手動プログラムモードに、又は移行214を使用してナビゲーションプログラムモードに移行することができる。ナビゲーションプログラムモード206の時に、臨床医用プログラマー(CP)18は、移行216を使用して手動プログラムモードに、又は移行218を使用してe−トロールプログラムモードに移行することができる。手動プログラムモードに対する移行212及び216は、電極形態に何ら変化なく達成することができる(すなわち、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードに使用された最後の電極形態は、手動プログラムモードに使用する第1の電極形態と同じになる)。
【0076】
以下により詳細に説明するように、移行208、210、及び214は、e−トロールプログラムモード204又はナビゲーションプログラムモード206に適用可能な制約に応じて電極形態の変化を必要とする場合がある。電極形態の変化は、移行の始めに又は移行の終わりにいつでも起こる場合があるが、好ましくは、ユーザが異なるプログラムモードを選択した後に起こる。図15は、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードから手動プログラムモードに移行するための技術を示し、図16は、手動プログラムモードからe−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードに移行するための技術を示し、図19は、ナビゲーションプログラムモードからe−トロールプログラムモードに移行するための技術を示し、下記の図20は、e−トロールプログラムモードからナビゲーションプログラムモードに移行するための技術を示している。
【0077】
図15を参照して、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードから手動プログラムモードに切り換えるための1つの技術220をここに説明する。ユーザは、パラメータ調節パネル106のプログラムモードフィールド136の値を変化させることによって手動プログラムモードを最初に選択する(段階222)。次に、手動プログラムモードに対応する電極形態は、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードに使用された最後の電極形態に基づいて定められる(段階224)。注意すべきことに、手動プログラムモードは、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードのいずれかで生成することができる全ての可能な形態を可能にし、従って、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードから手動プログラムモードに送信する時に電極形態の変化は起こらず、従って、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードに対応する電極形態は、手動プログラムモードに使用された最後の電極形態と同じになる。
【0078】
リード表示パネル104が見える場合に、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードに使用された最後の電極形態内の電流が割当てられた電極134が示されている(段階226)。パラメータ調節パネル106は、次に、グラフィック極性制御器140及びグラフィック振幅制御器142を有する振幅/極性区域138を示すその手動プログラムモードに変えられる(段階228)。手動プログラムモードにいる状態で、臨床医は、グラフィック極性制御器140及びグラフィック振幅制御器142を使用してあらゆる望ましい追加の変化を特定の電極に対して行うことができる。
【0079】
図16を参照して、手動プログラムモードからe−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードに切り換えるための1つの技術230をここに説明する。ユーザは、パラメータ調節パネル106のプログラムモードフィールド136の値を変化させることによってe−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードを最初に選択する(段階232)。次に、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードに対応する電極形態は、手動プログラムモードに使用された最後の電極形態に基づいて定められる(段階234)。注意すべきことに、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードは、アノード及びカソードの全ての可能な形態の部分集合を可能にするに過ぎないので、選択されたe−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードに有効な新しい及び異なる電極形態を計算しなければならない。
【0080】
この目的のために及び図17を参照して、臨床医用プログラマー(CP)18は、カソード電極及びカソード電極上に分配された電流の物理的位置を解析することによって電極アレイ26上のカソード電流の重心を計算する(段階240)。各電極の重量を考慮した電流割当てを有する点集合の重心を計算するために、あらゆる望ましい数学的技術を利用することができる。1群の重み付き点の重心を計算するための多くの数学的技術は、当業技術で公知であり、この計算に使用することができる。例えば、カソード電流の重心は、以下の式
に従って計算することができ、ここで、
はそれぞれ、x軸線及びy軸線に沿った重心の位置であり、iは、電極形態であり、nは、電極の数であり、wiは、電極iのパーセント電流であり、xiは、x軸線に沿った電極iの位置であり、yiは、y軸線に沿った電極iの位置である。
【0081】
カソード電流の重心が計算された状態で、重心に位置するカソードを有する仮想多極を仮定する(段階242)。得られる仮想多極のフォーカス(F)及び上側アノードパーセント(UAP)は、電極アレイ26の更に別の範囲に対するカソードの位置(又は重心)に依存する場合がある。例えば、カソードが、電極アレイ26の吻側端部に近すぎる場合に、上側アノードパーセント(UAP)は、ゼロとすることができ、実質的に下側仮想2極を利用し、カソードが、電極アレイ26の尾側端部に近すぎる場合に、上側アノードパーセント(UAP)は、100パーセントとすることができ、実質的に上側仮想2極を利用する。カソードが、電極アレイ26の中間にある場合に、上側アノードパーセント(UAP)は、例えば、50パーセントになるように任意的に選択することができ、それによって2つの電極上に均等に電流を分配し、又は計算した重心を超えるアノード電流の大きさと計算した重心よりも小さいアノード電流の大きさとの間の比率に基づいて計算することができる。フォーカスは、様々な基準のいずれか1つに基づいて決定することができる。例えば、フォーカスは、例えば、3になるように任意的に選択することができ、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードによって使用される予め決められた仮想多極のフォーカスに適合するように選択することができ、又は手動電極形態で利用するアノード又はアノード電流の関数に基づいて、例えば、カソード重心の上又は下の主要なアノードの重心の位置とカソード重心の位置の間の距離に基づいて計算することができる。
【0082】
e−トロール及びナビゲーションプログラムモード電極形態によって使用される仮想多極形態は、可能な形態の部分集合に限定されるので、元の手動プログラムモード形態から計算する仮想多極は、e−トロール又はナビゲーションプログラムモードの最も近い有効電極形態に調節しなければならない。すなわち、手動プログラムモードに使用された最後の電極形態から計算された仮想多極に最良適合するe−トロール又はナビゲーションプログラムモードによって利用される予め決められた仮想多極が、次に選択される(段階244)。
【0083】
一実施形態において、仮想多極のフォーカスは、仮想3極の1つ又は複数のアノードがe−トロール又はナビゲーションプログラムモードに有効な仮想多極を生成するまで必要に応じて増加又は低減することができる。例えば、図18を参照して、手動プログラム形態からe−トロール形態への移行を示すグラフをここに説明する。図示のように、仮想3極252は、図17の段階240及び242に対応する手動で定めた電極形態250から計算される。仮想3極252は、仮想アノード254、仮想カソード256、及び仮想アノード258を有する。この例では、仮想3極252は、例示的な実施形態では非対称的であって仮想アノード254と仮想カソード256の間の2のフォーカスと、仮想アノード258と仮想カソード256の間の2.5のフォーカスとを有するe−トロールプログラムモードに対して有効な形態ではない。図17の段階244におけるように、手動からe−トロールプログラムモードに変換するために、非対称的仮想3極252は、2のフォーカスを有する対称的仮想3極260に変えられる。
【0084】
図17に戻ってそれを参照すると、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードに対して有効な仮想多極が決定された状態で、電極26がこの仮想多極形態を模倣するのに必要な電気振幅値が計算される(段階246)。
【0085】
図16に戻ってそれを参照すると、リード表示パネル104が見える場合に、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードに使用された最後の電極形態内の電流が割当てられた電極26が示されている(段階236)。パラメータ調節パネル106は、次に、矢印のステアリングアレイ154(e−トロールプログラムモードに対して)又は矢印のステアリングアレイ162(ナビゲーションプログラムモードに対して)を示すそのe−トロール又はナビゲーションプログラムモードに変えられる(段階238)。
【0086】
図19を参照して、ナビゲーションプログラムモードからe−トロールプログラムモードに切り換えるための1つの技術270をここに説明する。ユーザは、パラメータ調節パネル106のプログラムモードフィールド136の値を変化させることによってe−トロールプログラムモードを最初に選択する(段階272)。次に、e−トロールプログラムモードに対応する電極形態は、ナビゲーションプログラムモードに使用された最後の電極形態に基づいて定められる(段階274)。
【0087】
注意すべきことに、ナビゲーション及びe−トロールプログラムモードは、全ての可能な電極形態の異なる部分集合をサポートするので、ナビゲーションプログラムモードにおける仮想多極は、典型的にe−トロールプログラムモードによって利用される予め決められた形態のうちの1つに適合しない場合がある。しかし、ナビゲーションプログラムモードに使用された最後の仮想多極のフォーカス(F)及び/又は上側アノードパーセント(UAP)が、典型的にe−トロールプログラムモードによって使用される仮想多極のものと同じでない場合もあるが、ナビゲーションプログラムモードの仮想多極は、e−トロールプログラムモードで開始仮想多極として使用することができる。従って、この場合に、e−トロールプログラムモードに使用する初期仮想多極は、ナビゲーションプログラムモードに使用された最後の仮想多極と同一である。電極26がナビゲーションプログラムモードに使用された最後の仮想多極を模倣するのに必要な同じ電気振幅値が、ナビゲーションプログラムモードに使用する初期仮想多極を模倣するのに使用される。
【0088】
リード表示パネル104が見える場合に、e−トロールプログラムモード又はナビゲーションプログラムモードに使用された最後の電極形態内の電流が割当てられた電極26が示されている(段階276)。パラメータ調節パネル106は、次に、矢印154のステアリングアレイを示すそのe−トロールプログラムモードに変えられる(段階278)。e−トロールプログラムモードにいる状態で、臨床医は、フォーカス(F)及び上側アノードパーセント(UAP)を変化させることなく、矢印のステアリングアレイ154を通して仮想多極をパンすることができる。
【0089】
図20を参照して、e−トロールプログラムモードからナビゲーションプログラムモードに切り換えるための1つの技術280をここに説明する。ユーザは、パラメータ調節パネル106のプログラムモードフィールド136の値を変化させることによってナビゲーションプログラムモードを最初に選択する(段階282)。次に、ナビゲーションプログラムモードに対応する電極形態が、ナビゲーションプログラムモードに使用された最後の電極形態に基づいて定められる(段階284)。注意すべきことに、ナビゲーション及びe−トロールプログラムモードは、全ての可能な電極形態の異なる部分集合をサポートするので、ナビゲーションプログラムモードにおける仮想多極は、e−トロールプログラムモードによって利用される予め決められた形態のうちの1つに適合しない場合があり、従って、選択されたナビゲーションプログラムモードに有効な新しい及び異なる電極形態は、計算する必要がある場合がある。
【0090】
一実施形態において、e−トロールプログラムモード形態の電極形態からナビゲーションプログラムモードの電極形態への滑らかな移行は、そのフォーカスが、予め決められたナビゲーションプログラム形態のうちの1つに適合するまで、図10に示すフォーカス制御器158を通して仮想多極のフォーカスを調節するようにユーザを促すことによって達成される。この段階中に、臨床医用プログラマー(CP)18は、ナビゲーション矢印のようなフォーカス以外のパラメータへのアクセスを制限する場合があり、予め決められたナビゲーションプログラム形態に適合した後に、非フォーカスパラメータへのアクセスを可能にする場合がある。
【0091】
例えば、図21を参照して、e−トロールプログラムモード形態からナビゲーションプログラムモード形態への移行を示すグラフを説明する。図示のように、仮想3極300は、電極E3でのカソードの位置、1.5電極間隔のフォーカス、及び50の上側アノードパーセントを示すように図示されている。この例の仮想3極300は、ナビゲーションプログラムモードに対して有効な形態ではないので、e−トロールプログラムモードからナビゲーションプログラムモードへ切り換える時に、1.5電極間隔から2電極間隔までフォーカスを広げて移行を行い、仮想3極302を発生させることができる。
【0092】
ナビゲーションプログラムモードに有効な多極が決定された状態で、電極26がこの仮想多極形態を模倣するのに必要な電気振幅値が計算される(段階280)。パラメータ調節パネル106は、次に、矢印のステアリングアレイ162を示すそのナビゲーションプログラムモードに変えられる(ナビゲーションプログラムモードに対して)(段階282)。ナビゲーションプログラムモードにいる状態で、臨床医は、矢印154のステアリングアレイを通じて予め決められた一連の仮想多極形態を通して順番を追うことができる。
【0093】
臨床医が、目標とするモードでの形態過程を再開する必要なく、手動、e−トロール、及びナビゲーションプログラムモードの間の移行を可能にするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)及びその基本となるソフトウエアを提供することにより、上述の様々な実施形態は、埋込み可能医療デバイスをプログラムするための面倒でなくより有効なツールを提供することを以上から認めることができる。
【0094】
本発明の詳細説明を図示して説明したが、本発明を好ましい実施形態に限定するように考えられていないことは理解されると考えられ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定める本発明の精神及び範囲に含めることができる代替形態、修正、及び均等物を網羅することを意図している。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
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