(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜系太陽電池などの光電変換素子や有機EL、発光ダイオード(LED)などの発光素子は、グリーンエネルギーや省エネルギーデバイスとして注目されている。
【0003】
これら光電変換素子や発光素子は、特に湿度に対して敏感であり、高温高湿などの環境下で長期にわたって使用されると、外部から侵入した湿度によって変質や劣化が起こり、素子の性能が低下してしまうため、湿度バリア性に優れるシール剤を必要としている。
また、色素増感太陽電池は湿式太陽電池とも呼ばれるように、素子内部にアセトニトリル等の極性有機溶媒(有機溶剤系)の電解液が封入されており、この電解液が揮発あるいは漏れると発電効率の低下を引き起こすことから、溶剤バリア性にも優れるシール剤が必要とされている。
【0004】
色素増感型太陽電池における電解液のシールについては、例えば特許文献1にはイオン性高分子等の熱可塑性樹脂をシール剤として使用した例が示されているが、この樹脂材料は耐熱性や耐湿性が悪く、長期間にわたってのシール性能を発揮することができない。
特許文献2にはポリイソブチレン系樹脂をシール剤として使用する技術が開示され、特許文献3にはエチレン・αーオレフィン・非共役ポリエン共重合体をシール剤として使用する技術が開示されている。これらは加熱硬化型シール剤であることから、硬化にまで時間を要し、生産性において問題がある。
【0005】
生産性を向上させる目的で光硬化性樹脂をシール剤として適用する検討も種々行われている。具体的にはラジカル重合を用いた引用文献4、カチオン重合を用いた引用文献5、6などが挙げられる。
特許文献4には液状飽和エラストマーと炭素数10〜22の(メタ)アクリレートからなるシール剤が提案されている。しかしながらこのシール剤組成物は、後述する比較例10に示すように湿度バリア性及び溶剤バリア性が不十分であることから、光電変換素子や発光素子に適用した場合、長期寿命は期待できない。
また特許文献5にはカチオン重合性化合物及びカチオン開始剤からなる光電変換素子用光硬化性シール剤が開示されている。しかしながらこのシール剤は、後述する比較例1に示すように湿度バリア性及び溶剤バリア性が不十分であることから光電変換素子や発光素子に適用した場合、長期寿命は期待できない。
さらに特許文献6にはビスフェノール型エポキシ樹脂を水素化して得られたエポキシ樹脂及びカチオン開始剤からなる色素増感型太陽電池用光硬化性シール剤が開示されている。しかしながらこのシール剤は、後述する比較例3に示すように湿度バリア性が不十分であることから光電変換素子や発光素子に適用した場合、長期寿命は期待できない。
【0006】
このような経緯より湿度および溶剤バリア性に優れるシール剤組成物について種々検討したところ、湿度バリア性を向上させると溶剤バリア性が低下、逆に溶剤バリア性を向上させると湿度バリア性が低下し、湿度バリア性と溶剤バリア性がトレードオフの関係にあり、両バリア性能を満足できることができなかった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の詳細を説明する。
〈(A)成分水添ノボラック型エポキシ樹脂〉
(A)成分である水添ノボラック型エポキシ樹脂は、本発明の課題である硬化物の湿度バリア性、溶剤バリア性を向上させる主要な成分である。水添ノボラック型エポキシ樹脂(A)としては、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA の水添ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、好ましいものとしては、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0012】
(A)成分である水添ノボラック型エポキシ樹脂の配合割合は、(A)成分が5〜40重量部に対して後述する(B)成分が60〜95重量部であることが好ましい。(A)成分が5重量部を下回ると、溶剤バリア性が低下する傾向にあり、40重量部を上回ると組成物の粘度が上昇し作業性の低下を招くとともに、湿度バリア性が低下する傾向にある。
【0013】
(A)成分である水添ノボラック型エポキシ樹脂の製造方法は、芳香族エポキシ樹脂を無溶剤又はテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系の有機溶剤を用いて、ロジウム又はルテニウムをグラファイトに担持した触媒の存在下で、芳香族を水素化反応し、得る方法などが挙げられるが、これらに限定されない。(A)成分である水添ノボラック型エポキシ樹脂の水素転化率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、特に好ましくは、80%以上である。水素転化率が50%より少ないと、樹脂硬化物の溶剤バリア性が低下してしまう恐れがある。市販品としては例えばYL−7717(三菱化学社製)等が挙げられる。
【0014】
〈(B)成分:カチオン重合性化合物〉
(B)成分であるカチオン重合性化合物としてはエポキシ基含有化合物、オキセタン含有化合物、ビニルエーテル含有化合物等が挙げられる。中でも湿度バリア性と溶剤バリア性の観点からエポキシ基含有化合物が好ましい。
【0015】
エポキシ基含有化合物としては、(A)成分以外のエポキシ基を含有する化合物であれば特に限定されない。例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、芳香族ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂肪族ポリオールポリグリシジルエーテル、エポキシ化ジエン重合体、脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。これらは1種類あるいは2種類以上を併用しても良い。これらうち、シール剤の粘度を調整でき、かつガスバリア性を保持できるという観点でビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0016】
(B)成分は、(A)成分を希釈し用いることができるので、25℃で液状であることが好ましい。(B)成分の配合割合は、(A)成分が5〜40重量部に対して(B)成分が60〜95重量部であることが好ましい。(B)成分が60重量部を下回ると組成物の粘度が上昇し作業性の低下を招くとともに、湿度バリア性が低下する傾向にあり、95重量部を上回ると溶剤バリア性が低下する傾向にある。
【0017】
本発明に使用する(B)成分のエポキシ当量は好ましくは100〜300であり、更に好ましくは、120〜240である。エポキシ当量が100より少ないと、樹脂硬化物に靱性がなく脆くなってしまう。エポキシ当量が300より大きいと硬化物の架橋密度が低下するので湿度バリア性と溶剤バリア性が低下してしまうことから好ましくない。尚エポキシ当量は、JIS K−7236の方法で測定される。
【0018】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、芳香族ビスフェノールA型エポキシ樹脂、芳香族ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、芳香族ビスフェノールF型エポキシ樹脂、芳香族ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中で芳香族ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく用いられ、その中でも芳香族ビスフェノールA型エポキシ樹脂、芳香族ビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0019】
芳香族ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばエピコート827、エピコート828、エピコート834(三菱化学社製)、EPICLON840、EPICLON850、EXA−850CRP(DIC社製)等が挙げられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばYX−8000、YX−8034(三菱化学社製)、EXA−7015(DIC社製)等が挙げられる。芳香族ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピコート806、エピコート807(三菱化学社製)、EPICLON830、EPICLON830−S、EPICLON835、EPICLON EXA−83CRP、EPICLON EXA−830LVP、EPICLON EXA−835LV(DIC社製)等が挙げられる。水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばYL−6753(三菱化学社製)などが挙げられる。
【0020】
上記ビフェニル型エポキシ樹脂の市販品は、例えばYX−4000、YX−4000H、YL−6121H、YL−6121H、YL−6640、YL−6677、YL−7399(三菱化学(株)社製)等が挙げられる。上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、HP7200、HP7200L、HP7200H、HP7200HH(DIC社製)等が挙げられる。上記ナフタレン型エポキシ樹脂の市販品としては、例えばEPICLON HP−4032、HP−4032D、HP−4700、HP−4770(DIC社製)等が挙げられる。
【0021】
上記芳香族ノボラック型エポキシ樹脂としては、芳香族フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族ジフェニロールプロパンノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。芳香族フェノールノボラックエポキシ化合物の市販品としては、エピコート152、エピコート154(三菱化学(株)社製)、YDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704、YDCN−500等(東都化成社製)が挙げられる。芳香族クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、N−660、N−665、N−670、N−670、N673、N−665−EXP、N−672−EXP等(DIC社製)が挙げられる。
【0022】
上記脂肪族ポリオールポリグリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0023】
エポキシ化ジエン重合体としては例えば、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリイソプレン等が挙げられる。
【0024】
脂環式エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、リモネンジエポキシド等が挙げられる。これら脂環エポキシ化合物の市販品としては、例えば、セロキサイド2021、2081、2083、2085、3000(以上、いずれもダイセル化学工業社製)、サイラキュア6105、6110、6128(以上、いずれもユニオンカーバイド社製)等が挙げられる。
【0025】
上記オキセタン化合物としては特に限定されず、例えば、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−メチル−3−グリシジルオキセタン、3−エチル−3−グリシジルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
上記ビニルエーテル含有化合物の例としては、ビニルエーテル化合物、プロペニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としてはエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブテンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトール及びヘキサビニルエーテル、エチレングリコールジエトキシビニルエーテル、トリエチレングリコールジエトキシビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエトキシビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエトキシビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサエトキシビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルクロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル等が挙げられる。プロペニルエーテル化合物としてはエチルプロペニルエーテル、プロピルプロペニルエーテル、イソブチルプロペニルエーテル、オクタデシルプロペニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、エチレングリコールモノプロペニルエーテル、ブタンジオールモノプロペニルエーテル、エチレングリコールブチルプロペニルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロペニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノプロペニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジプロペニルエーテル、t−ブチルプロペニルエーテル、t−アミルプロペニルエーテル、ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、ヒドロキシブチルプロペニルエーテル、シクロヘキシルプロペニルエーテル、ブタンジオールジプロペニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0027】
〈(C)成分:光カチオン重合開始剤〉
本発明に用いられる(C)成分である光カチオン重合開始剤は、紫外線を照射することにより発生するカチオン種が前記(A)成分或いは(B)成分のエポキシ基を反応させる働きを有するものである。例えば、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩を挙げることができる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。芳香族ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0028】
芳香族スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−ter−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロアンチモネート、4−(p−ter−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。これらに限定されるものではない。
これらの光カチオン重合開始剤は単独あるいは混合して使用してもよい。光カチオン重合開始剤を使用することで、紫外線照射により常温硬化が可能となることが出来る。
【0029】
特に(C)成分の光カチオン重合開始剤の中でも芳香族スルホニウム塩は300nm以上の長波長域にも紫外線吸収特性を有し、紫外線による硬化性に優れ、湿度バリア性と溶剤バリア性に優れる硬化物を与えることが出来ることから好ましい。中でも特に芳香族スルホニウム/アンチモン塩系開始剤のうち、SP−150、SP−170(旭電化社製)を配合すると光硬化性が向上し、硬化物のガスバリア性を向上できることから好ましい。光カチオン重合開始剤の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して0.1重量部〜20重量部、より好ましくは0.5重量部〜10重量部である。0.1重量部未満であると硬化が不十分となり、湿度バリア性や溶剤バリア性を有さない硬化物になってしまう恐れがある。また、20重量部以上であると硬化物中のイオン性物質が多くなり、光電変換素子や発光素子等の構成部材を腐食する可能性が高く、好ましくない。
【0030】
〈(D)成分:無機充填材〉
(D)成分の無機充填材は、本発明の目的である湿度バリア性、溶剤バリア性を向上させる主要成分である。本発明に用いる無機充填材の平均粒子径は50μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。無機充填材の平均粒子径が50μmよりも大きいと、湿度バリア性が低下してしまうので、シール剤としての特性を満たさない。尚発明において平均粒径とはD50の平均粒径を示す。
【0031】
さらに本発明に用いる(D)無機充填材の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは7〜80重量部、特に好ましくは10〜70重量部である。(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して5重量部を下回る場合は湿度バリア性が低下してしまうので、シール剤としての特性を有さない。100重量部を上回る場合は、粘度が増大するために、本発明の組成物をシール剤として適用する場合に塗布作業性が著しく損なわれる傾向にある。
【0032】
また、(D)成分の無機充填材の形状は、板状又は鱗片状、球状、不定形、針状、繊維等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。無機充填材の形状のうち湿度バリア性と溶剤バリア性に優れることから板状又は鱗片状無機充填材が好ましく用いられる。板状又は鱗片状無機充填材としては、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、ノントロナイト、ソーコナイト、サポナイト、バイデライト、スチブンサイト等のスメクタイト、タルク、アルミナ、ベーマイト、炭酸カルシウム、シリカ、モンモリロナイト、マイカ及びバーミキュライトが好ましく、より好ましくはタルク、マイカが用いられる。その他板状、鱗片状粒子であれば使用可能である。
【0033】
無定形や球状の無機充填剤としては、微粉末シリカ、シリカ、アルミナ、ベーマイト、炭酸カルシウム、ガラス、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック等の無機充填材などが挙げられる。
【0034】
その他の任意成分としては、エポキシ樹脂硬化剤、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性化合物、ゴム状ポリマー微粒子、熱可塑性エラストマー、可塑剤、チオキサントン等の光増感剤、保存安定剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、有機溶剤、乾燥剤、消泡剤、ギャップ材、顔料、染料などの着色剤が挙げられる。
【0035】
エポキシ樹脂硬化剤は前記(A)成分或いは(B)成分のエポキシ基を反応させる硬化剤であり、具体例としてイミダゾール類、有機酸ヒドラジド類、酸無水物類、アミン類、ルイス酸類、ジシアンジアミドなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。イミダゾール類としては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム−トリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2−メチルイミダゾール−(1)〕−エチル−S−トリアジン等が挙げられる。有機酸ヒドラジド類としては、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、サリチル酸ジヒドラジド、オレイン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0036】
光ラジカル重合開始剤は、(C)成分の光カチオン開始剤と併用することにより硬化性を向上させることができる。具体例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド化合物等などが挙げられる。これらのうち、アセトフェノン類、アシルホスフィンオキサイド化合物が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
ラジカル重合性化合物は本発明の組成物の硬化性や物性の調整という目的で任意に用いられる。ラジカル重合性化合物はとしてはアクリロイル基含有化合物が例示される。アクリロイル基含有化合物としては例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2,−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H,−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3―プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエンルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。これらのうち、(A)成分との相溶という観点よりプロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートエチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。配合量は、本発明の(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0038】
熱可塑性エラストマーは、本発明のシール剤の内部応力緩和又は接着力向上させる目的で便宜用いられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレンブロックとポリブタジエンブロックやポリイソプレンブロック、ポリイソブチレン等からなるブロック共重合体であるスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でもスチレン系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。これらは、単独で、又は二以上組み合わせて使用してもよい。配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して20重量部以下であることが望ましい。20重量部を上回ると硬化物の湿度バリア性が低下してしまうおそれがある。
【0039】
シランカップリング剤は、本発明のシール剤の接着向上剤として便宜添加されても良い。例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系、その他γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。配合量は、本発明の(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
ゴム状ポリマー微粒子はシール剤の内部応力緩和又は接着力向上を目的として便宜添加されてもよい。これらのゴム状ポリマー微粒子は、例えばアクリルゴム系のゴム状ポリマー、シリコンゴム系のゴム状ポリマー、オレフィンゴム系ゴム状ポリマー、ポリエステルゴム系ゴム状ポリマー、ウレタンゴム系ゴム状ポリマーが挙げられ、中でもシリコンゴム系のゴム状ポリマー、オレフィンゴム系ゴム状ポリマーであること好ましい。単独でも複数を併用してもよい。これらゴム状ポリマー微粒子の配合量は、本発明の(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましい。
【0041】
本発明のシール剤は更に、水酸基を有する脂肪族炭化水素またはポリエーテル化合物を添加しても良い。水酸基を有する脂肪族炭化水素やポリエーテル化合物は、光硬化型樹脂組成物の光カチオン重合反応を阻害することから、適当量を配合することで光照射後の硬化時間を制御する役割を果たすので、作業性を調整可能である。配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して20重量部以下であることが望ましい。20重量部を上回ると硬化物の湿度バリア性が低下してしまうおそれがある。
【0042】
本発明における溶剤バリア性とは、85℃の条件下にてJIS Z 0208に準拠した透湿カップ法による硬化物の電解液透過度が、200μmの厚さで40g/m
2・24h以下であることが好ましく、より好ましくは25g/m
2・24h以下であり、特に好ましくは10g/m
2・24h以下である。40g/m
2・24hを超えると、硬化物の電解液バリア性が不十分であることから、素子内部に電解液が封入されている色素増感太陽電池等の光電変換素子において、電解液が揮発あるいは漏れることから発電効率の低下を引き起こす恐れがある。ここで硬化物とは、本発明の組成物に対して紫外線照射機により積算光量60kJ/cm
2を照射後、80℃雰囲気下で60分加熱した物とする。
【0043】
本発明における湿度バリア性とは、85℃、85%RHの条件下にてJIS Z 0208に準拠した透湿カップ法による硬化物の透湿度が、200μmの厚さで50g/m
2・24h以下であることが好ましく、より好ましくは40g/m
2・24h以下であり、特に好ましくは30g/m
2・24h以下である。50g/m
2・24hを超えると、硬化物の湿度バリア性が不十分であることから、光電変換素子や発光素子は外部から侵入した水分によって変質や劣化が起こり、素子の性能が低下してしまう恐れがある。ここで硬化物とは、本発明の組成物に対して紫外線照射機により積算光量60kJ/cm
2を照射後、80℃雰囲気下で60分加熱した物とする。
【0044】
本発明の光硬化型樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ミキサー、ロール、押出機等の各種混練機が用いられる。また必要に応じて配合される添加剤を、常温下又は加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下又は不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練する方法等が挙げられる。
【0045】
本発明の光硬化型組成物の硬化方法は、加熱により硬化させる方法、光照射により硬化させる方法、光照射後に更に加熱し硬化させる方法、光照射後と同時に加熱し硬化させる方法が挙げられる。上記加熱硬化をする場合の加熱温度としては特に限定されないが、40〜100℃程度であることが好ましい。
【0046】
光照射することにより硬化させるに際しての光源は特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LED、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。
【0047】
本発明の光硬化型組成物の用途としては特に限定されず、例えば、接着剤、シール剤、封止フィルム、コーティング剤、ライニング剤、ポッティング剤等の種々の用途に好適に用いることができる。なかでも、シール剤として用いることが好ましい。
本発明の光硬化型樹脂組成物は、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜系太陽電池などの光電変換素子や有機EL、発光ダイオード(LED)などの発光素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ等の表示素子等のシール等に好適に用いることができる。これらのうち、光電変換素子用途、発光素子用途に好ましく用いられ、特にに好ましくは、光電変換素子用途に用いられる。尚本発明のシール剤を用いてなる電子部品もまた、本発明の1つである。
【実施例】
【0048】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
〈実施例1〜16及び比較例1〜10〉
組成物を調製するために下記成分を準備した。
【0050】
〈A成分〉
(a−1)水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量189、外観は25℃で半固体))「YL−7717(三菱化学社製)」
〈B成分〉
(b−1)芳香族ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160〜170、外観は25℃で液状)「エピコート807(三菱化学社製)」
(b−2)芳香族ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び芳香族ビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物(エポキシ当量160〜170、外観は25℃で液状「EXA−835LV(DIC社製)」)
(b−3)芳香族ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量250、25℃で半固体)「エピコート834(三菱化学社製)」
(b−4)水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量205、外観は25℃で液状)「YX−8000(三菱化学社製)」
(b−5)芳香族フェノールノボラックエポキシ樹脂(非水添のフェノールノボラックエポキシ樹脂、エポキシ当量176〜178、外観は25℃で高粘度液体)「エピコート152(三菱化学社製)」
〈C成分〉
(c−1)芳香族スルホニウム/アンチモン塩系カチオン開始剤「SP−170」(旭電化社製)
(c−2)芳香族ヨードニウムカチオン開始剤「SR−1012」(サートマー社製)
〈D成分〉
(d−1)平均粒子径2μm 鱗片状タルク
(d−2)平均粒子径5μm 鱗片状マイカ
(d−3)平均粒径16nmジメチルシラン処理ヒュームドシリカ「R972(日本アエロジル社製)」
(d−4)平均粒径15μm 破砕結晶性シリカ「RD−8(龍森社製)」
製)」
(d−5)平均粒径2μm 球状シリカ「SO−C5(モーションテック ジャパン社製 )」
(d−6)平均粒径10μm 球状アルミナ「AO−809(アドマテックス社製)」
【0051】
(A)成分、(B)成分、(C)成分を撹拌機にて30分間撹拌した。その後、(D)成分を添加してさらに30分間撹拌した後、配合物を3本ロール機に通して、(D)成分を均一に分散させた。その後さらにプラネタリーミキサーで減圧下30分撹拌した。詳細な調製量は表1、表2及び比較例10に従い、数値は全て重量部で表記する。
【0052】
実施例1〜16および比較例1〜10のシール剤組成物について透湿度試験(カップ法)、溶剤バリア性試験(ウェットカップ法)を実施した。
【0053】
[湿度バリア性試験(カップ法)]
200mm×200mm×0.2mmの枠にシール剤組成物を泡が混入しないように流し込んだ。その後、紫外線照射機により積算光量60kJ/cm
2を照射後、80℃雰囲気下で60分加熱し、厚さ0.2mmのシート状の硬化物を作成した。塩化カルシウム(無水)5〜6gを直径30mmの開口部を有するアルミニウム製カップに入れて、前記硬化物をカップにセットした。「初期の全重量」(g)を測定した後、雰囲気温度85℃で相対湿度85%に保たれた恒温恒湿槽に放置し、24時間毎に「放置後の全重量」(g)を測定して、「透湿度」(g/m2・24h)を計算した。詳細な試験方法はJIS Z 0208に準拠する。
〈評価基準〉
◎:30g/m
2・24h未満
○:30〜40g/m
2・24h
△:40〜50g/m
2・24h
×:50g/m
2・24hより大きい
【0054】
[溶剤バリア性試験(ウェットカップ法)]
200mm×200mm×0.2mmの枠にシール剤組成物を泡が混入しないように流し込んだ。その後、紫外線照射機により積算光量60kJ/m
2を照射後、80℃雰囲気下で60分加熱し、厚さ0.2mmのシート状の硬化物を作成した。3−メトキシプロピオニトリル5〜6gを直径30mmの開口部を有するアルミニウム製カップに入れて、前記硬化物をカップにセットした。「初期の全重量」(g)を測定した後、雰囲気温度85℃に保たれた恒温槽に放置し、24時間毎に「放置後の全重量」(g)を測定して、「溶剤透過度」(g/m2・24h)を計算した。詳細な試験方法はJIS Z 0208に準拠する。
〈評価基準〉
◎:10g/m
2・24h未満
○:10〜25g/m
2・24h
△:25〜40g/m
2・24h
×:40g/m
2・24hより大きい
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
〈比較例10〉
IBX−A(イソボルニルアクリレート、共栄社製)100重量部、CI−2000(末端カルボキシル基含有水添ポリブタジエン、日本曹達社製)120重量部、イルガキュア184(BASF社製)1重量部添加し、遮光下で30分撹拌し作製した。
この硬化物の透湿度は180g/m
2・24hであり、上記評価基準では「×」であった。溶剤透過度は395g/m
2・24hであり、上記評価基準では「×」であった。
【0058】
〈実施例17〜18及び比較例11〜12〉
〈色素増感型太陽電池の作製〉
〈実施例17〉
色素増感太陽電池は以下のように作製した。フッ素がドープされた酸化スズ膜の付いた、表面抵抗率が10Ω/□の透明導電ガラス(15mm×25mm×1.1mm)を用い、導電面に酸化チタンペーストをスクリーン印刷し、450℃で焼成することにより4mm×4mmの酸化チタン層を積層した。この基板をルテニウム錯体であるN719色素のアセトニトリル溶液に24時間浸漬することにより、N719色素が吸着された酸化チタン層が積層された作用極を作製した。次に作用極に用いたのと同じ透明導電ガラスの導電面に厚さ100nmで白金を蒸着し、対極を作製した。対極には電解液を注入するため、ドリル加工により直径約0.8mmの注入孔を作製した。対極の15mm×15mmの範囲にディスペンサーで実施例4で作製した光硬化型組成物をシール剤として用いて□形に塗布し、作用極を貼り合わせた。シール剤には30μmのスペーサーが添加されており、作用極貼り合わせ後のシール幅が2mmになるように調整した。その後、紫外線照射機により積算光量30kJ/m
2を照射後、80℃雰囲気下で30分加熱しシール剤を硬化させた。次に対極に形成した注入孔に電解液を滴下し、電解液が沸騰しない程度に真空引きを行うことで、作用極と対極の間の空隙内部の脱気を行い、その後大気圧に戻すことにより、電解液を作用極と対極の間の空隙に注入した。使用した電解液は、3−メトキシプロピオニトリルにMPII(1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド)0.6mol/l、ヨウ素0.1mol/l、NMBI(N−メチルベンゾイミダゾール)0.5mol/lを溶解したものを用いた。上述のように電解液を注入した後、余分な電解液を拭き取り、光硬化型色素増感型太陽電池用シール剤のアクリル系樹脂30Y−727(スリーボンド社製)を注入孔に塗布し、カバーガラスを貼り合わせた。これに紫外線照射機により積算光量30kJ/m
2を照射して光硬化型シール剤を硬化させ、電解液を封止し、本発明の色素増感型太陽電池(セルA)を得た。
〈実施例18〉
実施例17において、シール剤を実施例13を用いた以外は、実施例17と同様にして色素増感型太陽電池(セルB)を得た。
〈比較例11〉
実施例17において、シール剤を比較例1を用いた以外は、実施例17と同様にして色素増感型太陽電池(セルC)を得た。
〈比較例12〉
実施例17において、シール剤を比較例4を用いた以外は、実施例17と同様にして色素増感型太陽電池(セルD)を得た。
【0059】
[電解液漏洩試験]
各セルA〜Dを用いて下記に示す高温試験を行い、電解液のシール性は封止した電解液の漏洩量を測定し、初期値との重量変化率( % ) により評価した。
[光電変換効率測定]
各セルA〜DをI−Vテスターに接続し、ソーラーシミュレータ(山下電装社製)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW/cm
2の疑似太陽光を照射して、電流−電圧特性から短絡電流密度、解放電圧および形状因子を求め、これから光電変換効率を算出し、初期と耐久性試験後の光電変換効率から変換効率保持率(%)を求めた。
・変換効率保持率(%)=耐久試験後の変換効率/耐久試験前の変換効率×100
[耐久性試験]
各セルA〜Dについて実施した耐久性試験は以下の通りである。
・高温試験(85℃×1000h)
・高温高湿試験(85℃,85%RH×100h)
耐久試験後の各セルA〜Dについて変換効率及び漏洩率について評価し、その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】